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第3回CCOP国内支援委員会開催
高田 亮(地質調査情報センター)


写真 会議の様子.


図 CCOPの役割と関わり合い方の図.


 地質調査情報センターは,2007年7月6日に経済産業省別館にて,第3回CCOP国内支援委員会を開催した.CCOP(東・東南アジア地球科学計画調整委員会)とは,11ヶ国が参加する政府機関である.第3回は,外務省,経済産業省,および国内地球科学系の11機関の委員が出席した.第1回でのCCOPの紹介とカントリーレポートの内容についての議論,第2回での外務省と経済産業省の各政策の解説に引き続いて,第3回は国内各機関のCCOPへの参加の可能性を探ることが課題であった.

 はじめに,加藤碵一産総研理事から第49回管理理事会の報告があった.CCOP事務局長が交代したこと,プロジェクトの順調な進行や産総研職員の長期派遣により日本がCCOPに貢献していることなどが報告された.

 議題では,それぞれのCCOPへの参加形態にあわせて,メリットがあることが確認された.各機関のCCOP参加の可能性を探るため,CCOP参加のメリット分析のまとめを,事務局の栗本史雄地質調査情報センター長が報告した.参加形態には,カントリーレポートによる参加,ワークショップや年次総会への参加,プロジェクト持ち込みなどがある.そして,CCOP参加のメリットとして,(1)政府間機関であるあため加盟国が平等に参加し,多様性のあるアジアの中で多国間の結合が強いこと,(2)データ編集が行いやすいこと,(3)国境・沿岸・環境の調査が行いやすいこと,(4)優秀な事務局が支援,(5)調査・研究,政策,教育,普及などの幅広いプロジェクトを実行できることが確認された.相手側であるCCOP加盟国にとっても,先進国と対等の成果が得られること,インフラの整備に波及すること,国境にまたがる問題が取り扱えるなどのメリットがあることも指摘された.

 これに引き続き,CCOPへの参加メリットの4実例を紹介した.カンボジアで調査研究している塚脇真二委員(代読)から,教育機関として初めてCCOPとMOUを締結した金沢大学の例が紹介された.鈴木清史氏(帝塚山学院)(代読)は,CCOP津波ワークショップで,社会科学にまたがる防災スキルの実践を紹介して,現地研究者から評価された例を報告した.内田洋平氏(地質調査情報センター)が,CCOPで成果を上げている水資源プロジェクトの例をあげ,MOUなしに加盟国がデータ編集などに協力していることを紹介した.バンコクCCOP事務局に長期派遣されている村尾 智氏(地質調査情報センター)は,すでに国際展開している活動であるスモールスケールマイニング(貧困層による零細鉱業)が,CCOPを利用することで,財政的にも事務作業上も,効率よく進んでいることを発表した.

 次に,第44回年次総会で報告するカントリーレポートの発表原稿を,国土地理院,気象庁,アジア防災センター,JICA,防災科研,土木研,環境研,ERSCAD,全地連,JOGMEC(代読),産総研,が発表した.これらの発表原稿をもとに,参加の可能性も探った.

 参加の可能性についてのまとめとして,栗本センター長より,CCOPの役割と関わり合い方について,2004年のスマトラ島沖地震の例を議論材料として紹介した(図).日本の各研究機関は,本地震に対して,様々な調査・観測を行い,それぞれシンポジウムやワークショップの開催,人材育成など成果普及活動を行ってきた.CCOPとは,災害への緊急の直接的な貢献をする機関ではなく,各機関で蓄積された技術・成果などを,アジアのために,ワークショップ,データ編集,人材育成,普及をとおして,政策に反映させ,地球科学情報を普及させ,インフラ整備させるための機関である.これらの蓄積が次の災害軽減にフィードバックする.そこで,日本の機関が個別に行ったシンポジウムやワークショップの開催,人材育成などの成果普及活動を,CCOPを間に入れて連携することでさらに活発に発展させることができるのではないかという提案を行った.最後に,経済産業省吉田雅彦課長より,国際機関としてのCCOPの活用について,外務省の小野日子企画官から,「人間の安全保障」に資するCCOPでの活動への期待のコメントをいただいた(写真).

 CCOP事務局より,国別セクター・コーディネータとして,CCOPの下にある Geo-REsources, Geo-Environment, Geo-Information の3つのセクター毎のコーディネータの候補者を加盟国の専門家から推薦してほしいとの依頼がきている.任務は,地球科学計画の向上,加盟国とCCOPとの情報交換,プロジェクトの相談などである.本コーディネータの基本的任務は,CCOP国内支援委員会の目的に合致するので,個別に各機関に割り振らないで,1年間試験的に,産総研のCCOP国内支援委員会事務局がハブとなって,最適な機関の専門家に依頼するというシステムと行うことにした.





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