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第1回「震災対策技術展/自然災害対策技術展」宮城でのブース出展報告
下川 浩一(地質調査情報センター)


写真1:第1回「震災対策技術展/自然災害対策技術展」宮城の開会式の様子.
写真2:仙台会場における地質調査総合センターの展示ブース.


 震災対策技術展は,震災対策に焦点を当てた世界でも唯一の展示会として,平成9年から毎年1月下旬〜2月上旬に,神戸会場と横浜会場で開催されてきた展示会です(http://www.exhibitiontech.com/etec/).今回は,東北で最初の上記展として,宮城県沖地震対策研究協議会と第1回「震災対策技術展/自然災害対策技術展」宮城実行委員会の主催により2006年10月4日〜5日に,仙台市の東端にある仙台港近くのみやぎ産業交流センター(夢メッセMIYAGI)において開催されました.4日には,宮城県沖地震対策研究協議会の長谷川会長(東北大学教授)や東北地方整備局長などの来賓を迎えての開会式が開かれました(写真1).来場者数は4日が1,557名,5日が1,956名の2日間で合計3,513名(事務局発表)でした.会場が仙台の中心部からかなり離れていることを考えると,本展示会への関心は非常に高かったと思われます.

 本技術展は,国や地方公共団体の防災及び建築関連部署・機関,教育機関,一般企業の施設・防災担当者,防災関係NPO法人等を対象に,展示会やセミナー,シンポジウムを行うことにより,震災・災害への備え,震災・災害直後の緊急対応力,及び救援・復旧活動などに関する最新情報を提供するものです.地震調査研究推進本部により公表されている将来の宮城県沖地震の発生確率が非常に高いこともあって,耐震補強や転倒防止器具関連の展示に関心が集まっており,また,緊急対応の移動通信や非常用備品等の生活に密着した展示も多く見られました.さらに,同時開催された震災対策講演会やシンポジウムでは,「緊急地震速報と安否確認」や「最新の技術を用いた地震防災〜迫り来る宮城県沖地震に備えて〜」など,実践的な防災対策に関する講演が人気を集めていました.

 産総研地質調査総合センターでは,地質調査総合センターの紹介とともに,「仙台平野の津波堆積物調査の成果」と「地震時の地盤災害調査とその予測」の,2つのテーマに関するポスターを展示しました.前者の展示では,仙台・石巻平野の沿岸部で津波堆積物調査を行った結果,平安時代に編纂された日本三代実録に記述されている西暦869年の仙台平野を襲った巨大津波が,現在の海岸から3〜4km以上内陸まで遡上したことが明らかになったことを説明しました.今後,このような巨大地震が引き起こすと考えられる津波に対する防災対策を考えておく必要があります.後者では,3年前の2003年宮城県沖の地震(5月26日)及び宮城県北部の地震(7月26日)によって,宮城県鳴瀬町の田園地帯で広範囲に発生した噴砂は,堤間の湿地だけでなく,通常液状化が発生しにくいとされた浜堤上にも広く分布しており,現地で地上型3Dレーザースキャナー測量,電気探査,ボーリングやジオスライサーによる試料採取など,様々な調査を実施した結果,海浜砂層であっても,砂採取と埋め戻しの影響で容易に液状化することが明らかになったことを解説しました.今後,このような土地改良・改変の場所,時期,及び改変内容等を精査し,個々に液状化強度を検討することによって,液状化被害を受けやすい場所を予測し,効果的な液状化防止対策が可能になると考えられます.

 また,展示ブースで来場者に地質調査総合センター及び関連ユニットのパンフレットを配布するとともに,東北地方や地元の地質図などの展示販売も行い,成果の公表と情報発信に努めました(写真2).




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