GSJニュースレター No.2  2004.11
2004年地震学会秋季大会報告   吉田 邦一 (活断層研究センター)
 2004年地震学会秋季大会が福岡市の九州大学箱崎キャンパスで10月9~11日に開催された.口頭発表3会場とポスター会場の4会場で行われた.ポスター会場では9月5日に発生した紀伊半島沖の地震に関する緊急報告も行われた.ここでは私が興味を引かれたことについていくつか取り上げて報告する.

 紀伊半島沖の地震については,地震発生よりわずか1ヶ月ほどしか経っていないのにもかかわらず,42件もの発表が行われた.発表は,例えば,地磁気,重力,ひずみ,地下水位などの観測結果,2003年十勝沖地震で注目された長周期地震動の観測結果とそのシミュレーション,一連の地震の震源過程,震源域周辺の地震活動や余震活動の観測,津波の解析など,幅広い分野に関して行われた.地震発生から間もないこともあり,観測報告が主な内容であったが,速報ながらかなり充実した内容の発表も見られた.突っ込んだ解析はこれから行われるのだろうが,各関係者の対応の早さに感心させられた.

 強震動のセッションにおいては,昨年9月に発生した十勝沖地震に関して,筆者を含め多くの発表があった.地震発生から約1年が経過したこともあり,かなり突っ込んだ内容の発表が見られた.特に全面火災を引き起こした石油タンクとの関係で注目された長周期地震動については,地下構造モデルの作成が実際の地震記録を対象に解析を行う以上重要な課題であり,精力的に行われていることが発表された.しかし,シミュレーションで観測記録を完全に説明するまでは行かないようで,現実問題としてはまだまだ壁が立ちはだかっていることを実感させられた.このほか,十勝沖地震の際の苫小牧以外の地域において観測された長周期地震動の解析や,関東平野などにおける長周期地震動の評価など,興味深い発表が多く見られた.この他にも大学や各研究機関からの数多くの発表が多くあり,最新の研究動向を把握する上で参考になる学会であった.次回の2005年地震学会秋季大会は札幌での開催が予定されている.

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GSJニュースレター No.2 2004.11
(独)産業技術総合研究所地質調査総合センター
GeologicalSurvey of Japan,AIST