GSJニュースレター NO.19 2006/4

第47回CCOP管理理事会報告

村尾 智(地質調査情報センター)

写真:議長を務める佃代表と補佐するチェン事務局長.


 2006年3月29日より31日までタイ,クラビにて第47回CCOP管理理事会が開催された.地質調査総合センタ−からは佃代表が議長兼日本代表として,その他3名が代表団メンバーとして参加した.今回の議長職は佃代表にとって初仕事であった.参加国はカンボジア,中国,インドネシア,日本,韓国,マレーシア,フィリピン,タイ,ベトナム,アメリカ(顧問団議長)であった.シンガポールとパプアニューギニアは欠席した.

 議題は「業務の進捗状況」,「新たなプロジェクト等」,「業務計画および予算」,「石油関係プロジェクト報告(2件)」,「顧問団勧告への対応」,「次回開催地・時期」,「事務局長選挙」,「規則改定」,「IYPE(国際惑星地球年)」,「加盟国の新規案件」,「地球科学とガバナンス」であった.

 今回は,技術的課題以外ではCCOPの運営が議論の焦点であった.特に,増加するCCOPのプロジェクトをどう管理するかという点について議論があった.近年,チェン事務局長の努力もあって,CCOPのプロジェクトは増加の一途をたどり,現状ではマンパワーが限界に近いとおもわれる.そこで,スタッフを増やすかどうか,増やすとしたら,どのようなシナリオで進めるかについて,議論が行われた.

 CCOPはプロジェクトを管理するために,業務を便宜上「地球資源」「地球環境」「地質情報」の3つのセクターに区分している.そこで,事務局は,それぞれのセクターをまとめるマネージャーを確保する前提に立ち,次の3つのシナリオを提示した.

(1)事務局に在籍する地域専門家とIT担当者に3つのセクターのうち2つを担当させる.IT担当者はセクターマネージャーとして昇進させる.IT担当の助手を1名雇用する.
(2)在籍する地域専門家とIT担当者に3つのセクターのうち2つを担当させる.IT担当者はセクターマネージャーとして昇進させる.さらにもう1名セクターマネージャーを雇用する.IT担当者の助手も1名雇用する.
(3)セクターマネージャーを2名雇用し,在籍する地域専門家とあわせて,3名で各セクターを管理させる.

 これに対し,フィリピンは,セクターマネージャーの役割にマーケティングについて,さらに議論を続けるための会議開催を提案した.また,マネージャー雇用のほかに,CCOPの維持についてのブレーンストーミングが必要と指摘した.マレーシアは,マーケティング導入には賛成するが,CCOPに似た業務を行う組織が多数あることを認識した上で,行動に移るべきと述べた.また,セクターマネージャーがマーケティングに集中し,プロジェクトコーディネーターが各プロジェクトを管理するべきではないかと述べた.

 結論として,現在IT管理をしている事務局スタッフを地質情報担当のマネージャーとして昇格させ,別に1名のマネージャーを雇用,さらに1名のIT助手を雇用というシナリオで話を進めることになった.わが国もこれに同意した.

 運営の議論に加えて,来年の3月末で任期が切れるチェン事務局長の後任の選挙について,手続きの確認が行われた.選挙については,おおよそ次のような日程で作業を進めることとなった.

2006.10.1  加盟国が管理理事会議長に候補を推薦
2006.12.14  投票
2006.12.15  開票
2007.4.1   新事務局長就任

 技術的課題としては,2件の石油関係プロジェクトについて,詳しい報告があり,了承された.また,地質調査総合センターがCCOPと世銀を仲介して実現した「CASM-Asia」というスモールスケールマイニングのプロジェクトを核として,さらに大きなプロジェクトを立ち上げたいとの意向が事務局から表明された.わが国はこれまでの経緯を説明し,この問題に取り組むCCOPの姿勢を高く評価した.さらに,わが国より,グリッドコンピューティングを地球科学に応用する「GEO Grid」構想について紹介したが,各国の反応は皆無であった.

 なお,次期会合である第43回年次総会と第48回管理理事会は今年の秋に韓国の大田(デジョン)で開催される.会期は,年次総会が10月30日から11月3日まで(このうち11月1〜2日はテーマ別セッション),代表団会合が11月3日午後,管理理事会が11月4日から5日である.テーマ別セッションではガスハイドレートとコールベッドメタンについて議論する予定である.







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