GSJニュースレター NO.13 2005/10

インドネシア第四紀国際セミナーに参加して
大久保 泰邦(地質調査情報センター)

写真 CCOPでインドネシア代表となり,今回の会議の主催団体を務めるSukarma地質研究開発センター所長(右)と地熱資源開発のインドネシアと日本の掛け橋の役割をするNasution博士(左).

 2005年9月21〜22日に,インドネシアのバンドンで,「人間環境のための情報となる第四紀地質データ」と題した国際セミナーが開催された.主なトピックとしては,第四紀環境の地質,都市計画に必要な第四紀堆積物, 第四紀層による地球科学的人類学,である.この会合は第四紀地質研究所(Quaternary Geological Laboratory)の21周年を記念して開催されたとのことである.

 第四紀地質研究所は1984年にJICAの支援を受け設立さsれ,その後インドネシア政府の努力で近代化され,東南アジアの中心となる研究所の一つとして現在に至っている.

 主催者は地質研究開発センター(GRDC:Geological Reserach and Development Center)である.GRDCは,火山・地質災害緩和研究所や地質・鉱物環境研究所などとともに,インドネシアエネルギー・鉱物資源局の参加にあり,バンドンに本部がある.

 招待者リストには,GSJの他,防災科学技術研究所,JICA,アジア防災センターなどの日本の機関,中国,タイ,韓国,マレーシア,ベトナム,カンボジア,オランダ,カナダ,ベルギー,ドイツ,ロシア,オーストラリア,米国,英国,フランスの機関があった.しかし,外国からの参加は,オーストラリアと日本の2カ国であった.これは連絡が開催間近になって行われたためであろう.

 会場には300名ほどの参加者があり,また約10程度のインドネシアの企業,NPOが出展する展示会が開催され,昼食時,コーヒーブレイクには歌の演奏もあるなど,非常に賑やかであった.

 研究発表の内容は,人類学,古気候学,火山・地震学,都市環境・都市計画,森林火災,小規模鉱山,海岸環境,地熱利用に及ぶ非常に幅の広いものであり,また学問レベルも非常に高いものであった.

 地震学にかんしてはインドネシアは世界の先進国となったといえよう.しかし,地震や火山噴火などの防ぎようがないパッシブなリスクに対する管理技術に関してはまだ発展途上であり,この分野では日本とインドネシアなどの地震・火山国と研究協力を継続する必要がありそうである.

 Nasution博士(写真)は講演で,インドネシアにおける地熱の直接利用の可能性について論じていた.



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