GSJニュースレター NO.13 2005/10

CCOP第42回年次総会・第46回管理理事会報告
村尾 智・大久保 泰邦・渡辺 真人(地質調査情報センター)

日本のカントリーレポートを発表する佃センター代表.

 第42回CCOP総会は,2005年9月13日から17日まで北京の民族飯店で,シンガポール,フィリピンを除く9加盟国の代表,協力国,協力機関顧問団が参加して開催された.日本からの出席者は以下の通りである.地質調査総合センター代表 佃 栄吉,産総研地質調査情報センター地質調査企画室長 大久保泰邦,同国際連携主幹 渡辺真人,同シニアリサーチャー 村尾 智,産総研東北センター所長 加藤碩一,産総研地質情報研究部門副部門長 栗本史雄,同主任研究員 七山 太,産総研地圏資源環境研究部門グループ長 駒井 武,日鉱探開顧問 嶋崎吉彦,石油天然ガス・金属鉱物資源機構 矢島太郎.

1.年次総会
 議事次第は (1) 開会・役員選出・議題採択 (2) CCOP活動報告(2004年7月1日〜2005年6月30日) (3) 加盟国報告 (4) 協力国・協力機関報告 (5) 2006年度CCOP事業計画の検討 (6) 顧問団会合 (7) 全体会議 (8) 第43回年次総会の時期および場所 (9) その他の議題 (10) 各国代表団からの所見表明 (11) 課題別討議 であった.

 開会にあたり,主催国中国の国土資源副大臣Wang Min, 管理理事会議長Somsak Potisat,顧問団議長David Prior, 中国地質調査局副局長Wang Boacaiからの挨拶がなされた.

 CCOP活動報告では,Chen事務局長より,産総研とCCOPとの契約による以下の5つのプロジェクトについての進捗状況報告が行われた.

・Ground Water Assessment along Great River Basins in East and Southeast Asia.
・Field Workshop for Volcanic Hazaed Mitigation
・Integrated Geological Assessment of Deltas in Southeast Asia(DeISEA Project)
・Geoscience Asian Information Network(GAIN)
・Japan-Thailand Joint Seminar

 また,産総研が仲介し,CCOPと世銀の契約として2005年5月より開始した,鉱業(スモールスケールマイニング)を内包する地域社会の発展と人間の安全保障のためのプロジェクトである「CASM(Communities And Small Scale Mining)- Asia Project」について,世銀との契約手続きが終了したことが報告された.

 加盟国報告のうち,わが国の発表では,わが国の防災に対する貢献を中心とした講演を佃センタ-代表が行った.特に2004年12月26日発生のスマトラ沖地震に伴う津波について産総研がシミュレートした結果について,その動画を講演の中で再現したところ,好評であった.また,アジア防災センターの活動についても紹介を行った.

 協力国報告では,わが国がアジアをリードしているハザードマップ作成について,加藤東北センター所長よりその成果を発表し,英語版CD-ROM“Interactive Geological Hazard Map of East and Southeast Asia”をデモンストレーションした.発表に対しては,今後の研究をいかに展開するのかとの質問があり,ウェブを使用した情報提供について検討中である旨,回答がなされた.

 課題別討議では,「地球資源と地球環境の持続的発展」と題して27件の論文発表があった.日本からは矢島太郎氏,駒井 武氏からそれぞれ「Mineral Resources Exploration Using Advanced Remote Sensing Data」と「Risk Assesment for Heavy Metals Containing Soil and Groundwater」であった.


2,管理理事会

 主な議題は,既存のプロジェクトの状況と新規プロジェクトについて,2006年度予算について,PKMプロジェクト,顧問団からの提言について,であった.

 はじめに,既存のプロジェクトの活動状況と新たなプロジェクトの提案について報告された.ノルウェーの協力で行おうとしている,新たな石油地質のknouwledge managementに関するプロジェクト(PKM)について,資源に関するデータは国家戦略上重要であるため取り扱いに微妙な点があり,どのようにこのプロジェクトで取り扱うかについて議論された.基本的には,データの取り扱いに関する技術的側面を中心に取り扱い,具体的なデータの中身には深く立ち入らないということで理解が得られた.

 顧問団からのセクターマネージャーを雇用するべきであるとの提言に関して,雇用にともない財政状況が悪化するとのシミュレーションがなされたが,セクターマネージャーの雇用により新たな資金獲得の可能性なども考慮してもう少し前向きに考えるべきとの意見があった.また,セクターマネージャーにはマーケティングの視点や交渉能力,および優れたプレゼンテーション能力を持つ人を雇用すべきとの提案があった.

 二国間協力に関してCCOPが積極的に関与すべきであるとの提言については了承が得られた.また新たな加盟国を加えることが承認され,まず東南アジアの6か国に加盟を持ちかけることで合意した.

 その他,第47回管理理事会を2006年3月にタイのプーケット島で,第43回年次総会を(10月30日〜11月5日)と管理理事会(11月6〜7日)を韓国の済州島で行うこと,2006年からの2年間の管理理事会議長国を日本とすることが承認された.また,日鉱探開顧問(地質調査所OB)の嶋崎氏が中心となってまとめているCCOPの歴史に関する出版物について報告があった. 
 
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