GSJニュースレター NO.12 2005/9

古地磁気・岩石磁気サマースクール報告
山崎 俊嗣(地質情報研究部門)



 9月1日〜3日に産業技術総合研究所第7事業所第2会議室において,古地磁気・岩石磁気サマースクールが開催された.この「夏の学校」は,大学等各機関の持ち回りで開催され,70年代初めから30年以上も続いている.つくばで開催されたのは1987年以来2回目である.このような会の存在は,研究者間のコミュニケーションの機会を作り,まとまりの良い,派閥争いのようなことがあまりないコミュニティを作るのに一役買っていると思う.長く続いている理由には,この分野の研究者層が,このような会合をするのに手ごろな人数であるためもあろう.

 この「夏の学校」は,以前は,学会では時間が短くて十分議論できないということを,若手研究者が中心となって議論する場,という色彩が強かったが,近年では,学生の教育・若手研究者の育成に重点がシフトしつつある.スクールの内容は,伝統的にその年の世話をする機関が工夫することになっている.今回お引き受けするにあたり,私はこの分野の博士課程進学者が最近減少していることに危機感を持っていたため,学生にじっくり勉強してもらって,この分野の魅力や重要性を理解してもらうことを目指した.そのため,ダイナモからテクトニクスや地球環境研究への応用まで幅広い内容で,大学院修士過程レベルのレクチャーを主体としたプログラムを構成した.最近,「○○学夏の学校」といった企画が他の分野でも多く行われるようになってきたと思うが,少なくとも固体地球科学では似たような危機感をいだいている分野が多いのではないだろうか.学生の気質のかつてとは随分変わり,じゃまをせず放っておけば勝手に育つと傍観しているわけにはいかなくなった,ということもあろう.

 参加者は例年より多い66名で,約半数が学部生〜博士課程の学生であった.多くの学生の参加を得たことは成功であったと思う.また,自己紹介を兼ねた,半強制的なポスターセッションを行ったことは,学生・若手研究者の交流にも役立ったと思う.果たして何人が将来この分野に残るだろうかと考えると,運営する側としては多少疲労感も残るが,地道な努力がこの分野,さらには地球科学の発展につながると信じたい.

 なお,開催にあたって日本地球掘削科学コンソーシアムと地質調査総合センターに後援をいただいた.

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