GSJニュースレター NO.11 2005/8

サイエンスキャンプ2005報告
川辺 禎久 (地質調査情報センター)・中川 充 (北海道産学官連携センター)



西山火口での参加者による記念撮影.

 日本科学技術振興財団が主催し,産総研北海道産学官連携センター・地質調査総合センターが行う恒例のサイエンスキャンプが7月25日から27日にかけて行われました.

 今年の参加者は,全国から集まった高校1年生4名,2年生6名の計10名.25日昼過ぎに新千歳空港で集合後,まずは札幌市月寒の産総研北海道センターに移動し,北海道センター所長吉田さんの挨拶に続き,ゲノムファクトリー研究部門副部門長の扇谷さん,糖鎖工学研究センターの清水さん,メタンハイドレート研究ラボの海老沼さん,キャンプに同行するゲノムファクトリー研究部門の安野さんにより,各実験室,遺伝子組み換え植物温室の見学,メタンハイドレートの実物燃焼実演などを行いました.その後,宿泊先である休暇村支笏湖に移動,包括協定の一環として特別参加の北海道大学の中川光弘教授と合流しました.夜のミーティングでは中川教授と中川 充による火山と有珠山についての講義があり,翌日の見学に備えました.

 翌26日は,キャンプのハイライトである昭和新山登山と,2000年有珠山噴火西山火口の見学です.三松正夫記念館館長の三松三朗さんの案内で,昭和新山屋根山頂上まで登り,押し上げられた旧河床堆積物,天然煉瓦,貫入したデイサイト溶岩などを観察しました.生徒さんたちは,慣れないハンマーを使って,貫入したデイサイト溶岩を探していました.2000年有珠山噴火西山火口の観察では,噴気に捲かれたり,いまだ100度近い地温を示す地熱地帯,断層群,傾き破壊された家屋を目の当たりにし,初めて体感する自然の力に圧倒されたようです.夜には,川辺による三宅島2000年噴火の解説,安野さんの遺伝子組み換え植物のお話のほか,北海道センター金子さんによる,地元民ならではの北海道講座も開かれ,おおいに盛り上がりました.

 最終日は,伊達市の消防防災センターを訪れ,防災体験施設,有珠山に関する展示などを見学しました.地元新聞社の取材も受け,29日の記事中には「噴石採取が楽しかった」との生徒の感想が掲載されました.その後,千歳市に移動し,昼食の後,閉講式が行われ,生徒一人ひとりに修了証書が渡されました.

 台風接近の影響もほとんどなく,無事キャンプが終了したのはなによりでした.今回はややおとなしめの生徒さんが多かったのですが,研究現場や実物に触れることで,自分たちの進路などになにがしかのヒントを得てくれたものと思います.

 最後に,キャンプを支援していただいた,北海道センター前田さん,中川啓子さん,羽坂さん,日本科学技術振興財団の橋山さんに感謝いたします.


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