GSJニュースレター No.1  2004.10
国際惑星地球年(IYPE)会合報告    宮崎 光旗 (地質情報研究部門)
 本会議中の8月23日,国際地質科学連合(IUGS)事務局主催による国際惑星地球年(International Year of Planet Earth 2005-2007,以下IYPE)に向けての会合が,IYPEマネージメントチーム,ユネスコ担当者,それに各国のIUGS国内委員等の参加でもって開催された.

最初にIYPEマネージメントチームからIYPEの趣旨,次世代がより安全でより豊かな世界を築くために地球科学が一層の貢献をすること,またそのために地球科学がより広く認識される必要があること,と紹介があり,ついで以下のような現状報告がされた.

・IYPEの活動は,国連による国際年宣言と科学テーマ,アウトリーチが三本の柱である.

・科学テーマはこれまでに発表していた8テーマに土壌を加えた9テーマとなる.

・IUGSとユネスコが牽引し,IUGGほか6団体,9ヶ国の支持がすでに得られている.

 今後の取り組みとして,1)国連での他の国々への支持の拡大,2)本格的活動の始動,3)科学計画およびアウトリーチのための計画募集,4)スポンサー発掘,5)開始後の実行組織作り,があげられた.また長期的展開として,2005年のIYPEスタート(プレ国際年),2006年の国連国際年,2007年のポスト国際年+IGY(International Geophysical Year)50年,そして2008年の引き続いてのIGY50(IGYは1957-1958の2年間実施された)+IPY(International Polar Year)+第33回万国地質会議,でもって地球科学への関心と普及を盛り上げていくことが述べられた.

 ついで,科学テーマ,アウトリーチの話に移り,科学テーマは多くの専門家の議論により絞られたものであり,国際土壌科学連合(IUSS)の参加により土壌のテーマが追加されたことが報告された.各国の科学プロジェクトはIYPE科学テーマとして招聘したいことも述べられた.アウトリーチに関しては,活動のガイダンスを紹介するパンフレット原案が配布され,少ない予算を有効的に使用するためにマッチングファンドを考えているということであった.地球科学界は比較的小さく,また細分され,さらに国あるいは地理的にも分かれているところがある.一方,時間空間的に永くて広い現象を対象としている.いかに地球科学がより広く認識されるかは大変重要であり,アウトリーチは大きな位置づけがされていると述べられた.その後,意見交換に入り,

・生態系や生物多様性など,あるいは生 命史が欠けている.

・まずは地球システムを社会に説明,相 互関係を打ち立てて基礎研究.

・各国によるテーマも考えるべき,また インタラクティブ対話的アウトリーチ を.

・ 地質に仕事が無く,パートの‘地質旅行’ で食べているのが現状.

・基礎科学である地質科学として公衆と  の意思疎通が大事.

・政治家や行政官を納得させるアイデア が重要.

・政治家が理解できる話し方を,また共 通言語を.

・教師へのアプローチ戦略を考えること.などの意見が出され,今後の取り組みに参考とすることとなった.またIUGS各国国内委員からIYPEへの賛同が寄 せられた.

 最後に,科学テーマパンフレットのうち,刊行された「地球と健康」「気候」「深地球」が紹介された.パンフレットはIYPEウェブサイト(www.esfs.org)でも公開され,その後,「資源」が追加されている.

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GSJニュースレター No.1 2004.10
(独)産業技術総合研究所地質調査総合センター
GeologicalSurvey of Japan,AIST