4.2.5 外来テフラ

後境テフラ

小林・成尾(1998)は,後境火山体上の寝待温泉西方において,角閃石・石英を含み,屋久島に分布する小瀬田(こせだ)火砕流(町田・新井,1992,2003)に対比される可能性のあるテフラ(後境テフラ)を発見・報告した.屋久島の小瀬田火砕流からは0.58±0.08 MaのITPFT年代が報告されている(森脇・他,2000).

後境テフラの産状



鬼界葛原テフラ

鬼界葛原(きかいとづらはら)テフラ(K-Tz)は口永良部島の北方約40kmの鬼界カルデラから約95,000年前に噴出した広域テフラで,口永良部島では高堂森火山の山体上から見出された.口永良部島での鬼界葛原テフラは,下位に20−30cm厚の軽石質火砕流堆積物(長瀬火砕流)があり,その上位を約40cm厚の火山豆石を多量に含む降下火山灰層が覆う.

鬼界葛原テフラの産状


姶良ATテフラ

姶良(あいら)カルデラから約29,000年前に噴出した広域テフラで,口永良部島島内では厚さ約5 cmの灰白色ガラス質細粒火山灰層として発達する.ATは野池−湯向テフラの下位の暗色火山灰中に挟在している.ATは番屋ヶ峰火山,高堂森火山,カシ峯火山の噴出物を覆う.また野池火山北西山麓の溶岩流を覆う.ATと上位の野池−湯向テフラの間は主に暗色細粒火山灰からなり,数枚の細粒火山灰質テフラを挟む.細粒のスコリアや軽石が点在する層準がいくつか認められるが,大規模な噴火活動を示す降下軽石堆積物は認められない.

姶良ATテフラの産状




鬼界アカホヤテフラ

鬼界(きかい)アカホヤテフラ(K-Ah)は口永良部島の北方約40kmの鬼界カルデラから約7,300年前に噴出した広域テフラで,鉢窪・新期古岳・新岳火山上を除く口永良部島のほぼ全域で確認できる.口永良部島内での本テフラは軽石質の幸屋火砕流堆積物と,それを覆うガラス質で細粒の火山灰のアカホヤ火山灰 からなる.幸屋火砕流堆積物は鬼界カルデラに面した北側山腹で50 cm〜1 m,尾根上で30 cm程度の厚さで,凹地では局所的に厚く堆積している.軽石片は直径5cm以下の場合が多いが,局所的に厚く堆積している場所では直径30 cmを超える大型の軽石塊が含まれる.そのような場所ではしばしば直径数10 cmにおよぶ外来岩片を伴なう.火砕流堆積物基底部には粗粒砂〜細礫サイズの緻密な岩片や結晶片からなる厚さ数cmのグランドレイヤーが発達する場合が多い.火砕流堆積物を覆って,赤褐色細粒火山灰からなるアカホヤ火山灰層が30〜50 cmの厚さで堆積しているが,純層として確認できる地点は限られている.

鬼界アカホヤテフラの産状



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