火成岩の分類

 マグマが火山から噴出し、急に冷えて固まった岩石を火山岩、マグマが地下の深いところでゆっくり冷えて固まった岩石を深成岩といいます。これら火山岩と深成岩を合わせて火成岩と呼びます。火山岩も深成岩も元となったマグマの種類により化学組成や含まれる鉱物の割合、見た目の特徴(色や質感)、重さなどに違いが現れ、その違いに応じて岩石名が付けられています。
まずマグマはその主要な成分である二酸化ケイ素(SiO2)の量が少ないものから順に玄武岩質マグマ(SiO2が45~52%)、安山岩質マグマ(SiO2が52~63%)、デイサイト質マグマ(SiO2が63~70%)、流紋岩質マグマ(SiO2が70~77%)に分けられます。これらのマグマからできた火山岩がそれぞれ玄武岩、安山岩、デイサイト、流紋岩になります。一方、深成岩は玄武岩質マグマからは斑れい岩、安山岩質マグマからは閃緑岩、デイサイト質マグマからは花こう閃緑岩、流紋岩質マグマからは花こう岩が形作られます。 ところで二酸化ケイ素(SiO2)の量をどこで区切るかについてはいろいろな説があり、安山岩質マグマをSiO2が52~66%とし、SiO2が66%以上を流紋岩質マグマとすることもあります。この場合、火山岩は玄武岩、安山岩、流紋岩に、深成岩は斑れい岩、閃緑岩、花こう岩にそれぞれ3区分されます。中学校の理科ではこのような3区分がとり上げられています。
 国際地質科学連合という地質科学分野の国際協力を担うNGO(非政府組織)では、火山岩を玄武岩(SiO2が45~52%)、玄武岩質安山岩(SiO2が52~57%)、安山岩(SiO2が57~63%)、デイサイト(SiO2が63~69%)、流紋岩(SiO2が69%以上)に5区分し、深成岩については含まれる鉱物の量比で分ける方法をとっています。地質の研究者はこの国際地質科学連合による分類に従っています。
 火成岩を分類した表を作成するとき、二酸化ケイ素(SiO2)の量が少ないものを左側、多いものを右側に配置する場合と、有色鉱物(輝石や角閃石、かんらん石などの暗緑色とか褐色をした鉱物)が少ない(見かけは白っぽい)ものを左側、多い(見かけは黒っぽい)ものを右側に配置する場合とがあります。前者では玄武岩と斑れい岩が左側に、流紋岩と花こう岩が右側になりますが、後者ではこれが逆になります。どちらかが正しくもう一方が間違っているということではありません。

火山岩と深成岩の見かけの特徴

 流紋岩から玄武岩に、また花こう岩から斑れい岩に向かって、白っぽい色から黒っぽい色に、重さは「やや軽いかな」から「やや重いかな」に変化します。これは含まれる鉱物の種類と量が変わるためです。例えば流紋岩や花こう岩では石英や長石といった無色ないし白っぽい灰色の鉱物(これを無色鉱物といいます)が多くを占めるのに対し、玄武岩や斑れい岩には輝石や角閃石、かんらん石などの暗緑色とか褐色をした鉱物(これを有色鉱物といいます)がたくさん含まれています。
 火山岩は急に冷やされてできるため大部分が微細な結晶あるいはガラスからなり、この中に冷える前のマグマだまりで作られていた大きな結晶が散らばっている外観を示します。微細な結晶やガラスの部分を石基、大きな結晶を斑晶といい、このような火山岩のつくりを斑状組織といいます。これに対し、深成岩は地下深くでゆっくり冷えてできるため、冷える過程で結晶が成長して同じくらいの大きさの“粒”の集合のようになります。このような深成岩のつくりを等粒状組織といいます。

休火山と死火山

 火山はかつて「活火山」「休火山」「死火山」の三つに分けられていました。活火山は噴火や噴気の活動が現在見られるもの、休火山は今は静かだが、火山活動のあったことが記録として残っているもの、死火山は火山活動の記録がないものという分類です。
 しかし、火山の観測や研究が進むにつれ、火山の活動は数万年から数十万年もの長期間にわたることが明らかになり、火山を記録の有無などに基づいて分類しても、その活動性までは判断できないと理解されるようになりました。このきっかけとなったのが1979年の御嶽山の噴火だといわれています。 長野県と岐阜県の境にある御嶽山は、噴気の記録はあったものの広く知られないまま一般には「死火山」であると思われていました。その御嶽山が1979年10月に水蒸気爆発を起こしました。このため「死火山」や「休火山」という言葉は使われなくなり、日本では現在「活火山」だけが以下の定義のもとで用いられています。なお、日本の活火山の総数は海底火山も含め111となっています。
(2003年火山噴火予知連絡会による活火山の定義)活火山:おおよそ過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山

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