恐竜の新しい分類案

 現在、恐竜は骨盤の形の違いから「竜盤類」と「鳥盤類」という二つの大きなグループに分けられています。この分け方はこれまで100年以上にわたって学界で認められてきました。このうち竜盤類はディプロドクスのような長い首と長い尻尾をもつ植物食恐竜の「竜脚形類」とティラノサウルスに代表される肉食恐竜を含む「獣脚類」とに分けられます。一方、鳥盤類はトリケラトプスのような角のある「修飾頭類」、ステゴサウルスのような背中や尻尾に板状あるいは棘(とげ)状の突起がある「装盾類」などいくつかに分けられています。
 このような恐竜の分類について、イギリスの研究者たちが恐竜の骨の特徴を詳しく調べ、2017年に新しい分類案を提唱しました(英国の学術誌 Nature Vol.543, p.501-506.)。彼らは竜盤類のうちの獣脚類がむしろ鳥盤類に近縁なものであるとして、獣脚類と鳥盤類を合わせて新たに「Ornithoscelida」(オルニソスケリダ類)というグループにまとめました。そしてこれまで位置づけの定まっていなかったヘレラサウルス類を竜盤類に加えました。これにより竜盤類は再定義され、竜脚形類とヘレラサウルス類からなるとしました。
 恐竜の竜盤類と鳥盤類という大分類を見直した分類案は大きな反響を呼んでいます。この分類案がもし受け入れられれば、教科書や図鑑の恐竜の項目はおそらく書き直しになります。しかし、これはまだ仮説の段階です。仮説は様々な観点から検討され、評価されなければなりません。
 数多くの恐竜のより完全な骨格化石が発掘されたり、十分な調査の行われていない地層から新種の恐竜が見つかったりすれば、さらに新しい恐竜の分類案が提案されることがあるかもしれません。地質まんがの館長さんの言葉のとおり、「恐竜についてはわからないことがまだまだいっぱいある」「これからも新しい発見がいろいろありそう」ですね。

現在の恐竜の分類

現在の恐竜の分類

現在の恐竜の分類

恐竜の新しい分類案
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