露頭の観察

 道路の切り割りや川沿いの崖などで、私たちはしばしば層をなして重なっている堆積岩の地層を見ることがありますね。崖によってはそこに安山岩などの火山岩、あるいは花こう岩といった深成岩の硬い岩石が顔を出していることもあるでしょう。
 このような地層や岩石が出ている場所を「露頭(ろとう)」といいます。そして露頭を何か所も詳しく調べていくと、その露頭のある地域の地質がいつごろどのようにしてできたのかがわかってきます。地質がわかると、学術上の知識が増えるだけではなく、その知識を国土の開発や自然保護、防災に役立てたりすることができるようになります。
 露頭は道路の切り割りや川沿いの崖のほか、工事現場、採土場・採石場、海岸の岩場、山の尾根などにあって地層や岩石を観察するのに適していますが、それぞれ注意しなければならないことがいくつかあります。

注意点
1.露頭観察に出かける前に ・露頭のある場所の地質について、図書やインターネット上の情報を参考にして、あらかじめ学習しておきましょう。
・この事前の学習によってどんな用具と服装を準備するかを考えましょう。
・場所にもよりますが、危険な動物(クマ、ヘビ、ハチ、アブ、ダニ、ヒル、ムカデなど)には要注意です。植物のトゲ等によるひっかき傷や,皮膚のかぶれにも注意しましょう。
・信頼のおける大人の人(家族や学校の先生)と一緒に出かけましょう。決して一人で出かけたりしないように。
・計画を立てたら、それを家族の人や学校の先生に見せ、その際にアドバイスを受けたら計画に反映させましょう。
2.観察する場所に着いたら ・ 露頭の位置を地図上に入れましょう。露頭の位置は後でちゃんとわかるように番号などを振るようにしましょう。例えば2019年9月16日の1番目に観察する露頭ならば2019091601としておくという番号のつけ方があります。
・ 露頭にいきなり近づかないで、少し離れたところから露頭全体をまず観察してみましょう。
・ 地層の重なりが平らか斜めか、地層が曲がったり断層で途切れたりしていないか、色はどうか、厚みの変化はないか、露頭の中に大きな岩石が出ていないか、もし岩石があったとき地層はその岩石にどんなふうに接しているか・・・などを見てみましょう。
・ 露頭が岩石の場合は、岩石の色、ふくらんでいるかへこんでいるか、特徴的な割れ目や形が見えないか・・・などを見てみましょう。
・ 露頭の番号をつけて露頭全体のスケッチをノートに描き、どこがどんなふうに見えるか、観察したことを記録しましょう。
3.露頭に近づく前に ・ 露頭は道路の切り割りや川沿いの崖のほか、工事現場、採土場・採石場、海岸の岩場、山の尾根などにありますが、近づけるところと近づけないところとをよく見極めましょう。
・ 足元が不安定な石や落石には十分注意しましょう。
・ 私有地、工事現場、採土場・採石場などには所有者や管理者の方から許可を得て立ち入るようにしましょう。
・ どの場所でも落石に気をつけるほか、道路の切り割りでは交通事故、川沿いの崖では足元の滑りや浮き石、海岸の岩場では潮の満ち引きなどに注意しましょう。山の尾根では落石を起こさないように。
4.露頭に近づいて観察 ・ 露頭を少し削って新鮮な面を出してみましょう。
・ ハンマーやシャベルでコツコツたたいて硬さや固結の程度を感じとってください。
・ 地層を構成する1枚1枚の層の厚さをものさしで測ってみましょう。手が届かないところは見て判断したおおよその厚さでもかまいません。
・ わかる範囲で、礫(れき)岩、砂岩、泥岩、凝灰岩、石灰岩、チャートなどに区分しましょう。
・ 層に含まれる粒子の形、大きさ、量などを観察しましょう。
・ 化石(貝殻、炭化した木片、葉っぱ、巣穴など)は含まれていませんか?
・ もし化石があったら、化石は層の中にどんなふうに入っていますか? 詳しく観察してみましょう。
・ 層の中にうねったり斜めに交差したりした模様はありませんか?
・ 層と層の境は明瞭ですか? 上の層が下の層をけずって堆積しているようなところはありませんか?
・ クリノメーターを持っていたら、層と層が平らに接しているところを選んで走行と傾斜を測ってみましょう。
・ 岩石の露頭では表面が汚れたり風化したりしている場合がおおいので、ハンマーでたたいて新鮮な面を出してみる必要があります。
・ 岩石をたたくときには、手袋、保護メガネ、ヘルメットなどを着用し、周囲に破片が飛ぶことにも注意しなければなりません。
・ 岩石の硬さ、色、鉱物の大きさや量などを観察しましょう。
5.記録と採集 ・ 層の厚さを測ったらノートに記録しましょう。このとき地質柱状図にして記録する方法がよくとられます。硬い層は出っ張った形に、軟らかい層はへこんだ形に表すとよいでしょう。
・ 各層の特徴を記入しましょう。
・ サンプルを採取してみましょう。サンプルの大きさは握りこぶしくらいで十分です。新聞紙に包んでビニール袋を入れ、露頭の番号をつけましょう。ノートのスケッチや地質柱状図に採取した位置を入れましょう。

地中熱ヒートポンプシステムの概要

露頭をスケッチしてみましょう


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観察した内容を地質柱状図の形にしてまとめてみましょう
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