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日本の火山と火山地質図「阿蘇火山」
下司信夫(活断層・火山研究部門)
ASO-VOLCANO written by Nobuo Geshi (Geological Survey of Japan, AIST)

阿蘇火山

展望台からのぞいた中岳火口。火口底には青緑色の湯だまりが
あって、その周辺からは盛んに火山ガスが噴出しています。

東西17km、南北25kmの阿蘇カルデラと、その中央に東西に配列する中央火口丘からなる大規模な火山で、中央火口丘の一つである中岳は現在も活発に活動を続けています。

阿蘇火山のカルデラは約30万年前から9万年前までに発生した4回の大規模な火砕流噴火に伴って形成され、カルデラの周囲には広大な火砕流台地が発達しています。また、その噴火の火山灰は日本列島のほぼ全域を覆い、北海道東部でも発見されています。カルデラ形成後、カルデラ中央部に安山岩や玄武岩からなる成層火山群が成長しました。現在も活動を続けている中岳や、最高峰の高岳などです。

歴史時代の噴火は現在も活動している中岳の火口から発生しています。中岳火口は静穏時には湯溜りになっていますが、活動が活発化すると湯溜りは干上がり、火口底から火山灰の放出が見られます。またしばしば赤熱したマグマが吹き上げられるストロンボリ式噴火も発生します。また地下水とマグマとの接触により、激しいマグマ水蒸気爆発も繰り返し発生しています。火口からは常時火山ガスが放出され、火口付近ではガス中毒による観光客の死亡事故も繰り返し発生しています。最近火口底の一部が赤熱するなど火山活動が活発化しており、2003年7月には、9年ぶりに火口から火山灰の放出が起きました。

地質調査総合センター発行
「阿蘇火山地質図」 1:5万。
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火山地質図〜火山のおいたちをさぐる

 

火山地質図とは、日本の主な活火山を対象に、その火山の噴火史に注目して作られた地質図です。火山地質図には、溶岩や火砕流といった火山噴出物の分布や、噴火口の位置など火山の構造に関する情報が記載されています。また、その火山の形成史や活動に関する解説が付けられています。これまでに全国16の活火山の火山地質図が出版され、防災や火山研究の基礎データとして利用されています。