地質で語る百名山 トップへ

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斎藤眞
written by Makoto Saito

荒島岳は百名山の中でもマイナーな山に属するでありましょう。

福井県大野市と和泉村との境に位置し、山頂からは白山や日本海を望むことができます。

国道158号線から見た
荒島岳南斜面
シャクナゲ平からの
荒島岳山頂
荒島岳山頂から
白山を望む

荒島岳は、地質図(20万分の1地質図幅「岐阜」)に示されているように、前期−中期中新世の深成岩、火山岩・火山砕屑岩からなっています。これらの深成岩、火山岩などはそれらを取り巻く環状の岩脈ないし断層の内部に分布します。このような地質構造はコールドロンと呼ばれ、カルデラを形成するような火山の地下が露出したものと考えられています。
これら火山岩類の基盤をなしているのは、古生代後期の変成年代を持つ変成岩とそれに貫入したジュラ紀の船津花崗岩、及びそれらを覆う後期ジュラ紀−前期白亜紀の手取層群です。
古生代後期の変成岩は、日本列島が朝鮮半島の北東側にくっついていた時の大陸地殻の一部と考えられています。一方荒島岳周辺の前期−中期中新世の地層は日本列島が大陸から離れつつある時の火成活動によってできたと考えられています。

手取層群は、後期ジュラ紀の地層は浅海成でアンモナイトなどの化石を多く含み、前期白亜紀の地層は陸成で恐竜化石を産出します。勝山市の福井県立恐竜博物館はこの地層から産出した恐竜化石を見学することができます。

さらに、前期ジュラ紀の船津花崗岩は、石灰岩に貫入した部分にスカルン型の金属鉱床を形成し、この地域でも中竜鉱山(休鉱)が有名です(地質図下端)。現在アドベンチャーランド中竜として坑道の中を見学できます。

このように、荒島岳周辺は、地質学的に極めて興味深い地域です。


なお、荒島岳の地質については、近年次の論文が公表されています。
冨岡伸芳・石渡明・棚瀬充史・清水智・加々美寛雄(2000):福井県大野市,前期中新世荒島岳コ-ルドロンの地質と岩石,地質学雑誌,106,5,313-329

写真提供:河合卓哉(岐阜県多治見市)
文:斎藤眞(地質情報研究部門)



20万分の1地質図幅「岐阜」、荒島岳周辺(左)と、その凡例(右)
(画像をクリックすると大きくなります)


地質図の入手方法は こちら です。