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新潟県南魚沼市八箇峠トンネル (仮称) 周辺の地質

研究情報

   ガス爆発事故の発生した八箇峠 (はっかとうげ) トンネル (仮称) は、六日町盆地西側の魚沼丘陵にあります。この付近は、六日町盆地の西縁にある六日町断層帯の西側にあたり、新第三紀から第四紀の堆積岩と火山岩が分布しています (図1)。とくに、トンネル付近には、古い方から、主に安山岩と泥岩からなる一村尾層 (ひとむらおそう) (約700-600万年前)、砂質泥岩主体の岩之沢層 (いわのさわそう) (約350〜290万年前)、主に砂岩からなる和南津層 (わなづそう) (約280万年前)、そして礫・砂・シルトからなる魚沼層 (うおぬまそう) (約270万年前〜50万年前) が分布します。また、枡形山山頂付近には安山岩からなる枡形山溶岩 (ますがたやまようがん) (100万年前) が見られます (図2)。このうち、掘削中の八箇峠トンネル内は魚沼層の最下部にあたり、主に陸上の扇状地で堆積した礫 (砂利) を主とする堆積物からなります。

   新潟地域は日本でも有数の油田・ガス田地帯であり、今回の爆発事故現場は油田・ガス田分布地域の縁辺部にあたっています (図3)。魚沼丘陵の地下深部にも、新潟地域で石油・天然ガスの発生源となっている地層や、石油・天然ガスが溜まっている地層と同じ地層が分布しています。

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図1  新潟県南魚沼市周辺の地質概略図
20万分の1日本シームレス地質図スマートフォン版
(活断層DBを重ね表示) に加筆。赤枠は図2の範囲。
(クリックすると、20万分の1日本シームレス地質図のサイトへジャンプします。)

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図2 事故現場付近の地質図。5万分の1地質図幅「十日町」
(柳沢ほか, 1985) に加筆。 トンネルの位置は長岡国道工事事務所の資料による。
新潟地域の主要な油田・天然ガス田の多くは、魚沼層より古い地層の分布域に存在する。
(図をクリックすると、大きなサイズで表示されます。)

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図3 新潟周辺の油田・ガス田の分布 (地質調査所, 1976)。
☆ 印が今回の事故のあったトンネルの位置。
(図をクリックすると、大きなサイズで表示されます。)

文献
  • 柳沢幸夫・茅原一也・鈴木尉元・植村 武・小玉喜三郎・加藤碵一 (1985) 十日町地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1図幅), 地質調査所, 104p.
  • 地質調査所 (1976) 日本油田・ガス田分布図 (第2版).

地質分野研究企画室
地質情報研究部門    柳沢幸夫、竹内圭史

問い合わせ先

産総研  地質調査総合センター 
お問い合わせ窓口 http://www.gsj.jp/inquiries.html