地質情報展2015ながの
 

石割り岩石一覧表

堆積岩たいせきがん

礫 岩れき がん(福岡県福津市渡 恋の浦)

礫岩

礫岩は径数mmから数cmの小さな岩石(礫:れき)が集まって固結した岩石です。礫の間は径2 mm以下の砂粒か、橙赤色と白色の沸石が満たしています。礫は火山岩が多いですが、まれに飴色~紅色のめのうが入っています。この礫岩は化石を含みませんが、上位の地層では約3,000万年前(新生代古第三紀漸新世後期)の貝化石が発見されています。

砂 岩さ  がん(島根県松江市宍道町来待)

砂岩

約1,500万年前(新生代新第三紀中新世)に浅い海で火山噴出物由来の砂が積もってできた岩石です。来待石(きまちいし)と呼ばれ、石灯ろうなどの庭園装飾用石材に利用されています。化石としてパレオパラドキシア(水辺に生息したカバに似た動物)が見つかっています。

泥 岩でい がん(青森県七戸町)

泥岩

1,300~700万年前(新生代新第三紀中新世)頃に深い海底に泥が積もってできた岩石です。黒っぽい色をしているのは有機物由来の炭素を多く含むためで、泥岩はしばしば石油の根源岩となります。割るとまれに白色の微化石が見つかります。

泥 岩でい がん(島根県松江市鹿島町古浦)

泥岩

約2,000万年前(新生代新第三紀中新世)に湖に泥が積もり、固まってできた岩石です。灰色と黒色の泥岩が交互に重なってきれいなしましまに見えます。このしましまにそって石が簡単にはがれとれます。貝や植物の化石がはいっていることがあります。

珪 藻 土けい そう ど(石川県珠洲市)

珪藻土

けい藻という水中の植物プランクトンが死んで積み重なってできた岩石です。さわると手に粉が付きますが、粉の1粒1粒が珪藻の化石です。珪藻土は火に強く、熱をさえぎる特殊な性質のため、昔から七輪・コンロなどに使用されています。また吸湿性があるので、壁材にも使われます。

石 灰 岩せっ かい がん(栃木県佐野市葛生)

砂岩

暗灰色の基地の中に白いぼうすい虫(フズリナ類)の化石が見えます。ぼうすい虫といっても昆虫ではなく、単細胞の原生動物です。この岩石は2億7,000万年前頃(古生代ペルム紀中期)に、石灰質の殻を持つ動物の遺骸が海の底で積み重なってできた岩石です。現在では、石灰やセメントの原料として使われています。

火山岩かざんがん

玄武岩 げんぶがん (福岡県福津市渡 恋の浦)

玄武岩

灰色の基質にまれに径1 mmくらいのかんらん石斑晶が見えます。また玄武岩に溶けていた揮発性成分が発泡して空隙を作っています。約330~360万年前(新生代新第三紀鮮新世)に噴出した溶岩です。

安 山 岩 あん ざん がん (秋田県男鹿市寒風山)

安山岩

男鹿半島の寒風山(かんぷうざん)の溶岩です。約2万年前(新生代第四紀更新世)に起こった噴火で火口から流れ出した安山岩溶岩です。寒風石(かんぷせき)ともよばれ、寒風山のふもとの採石場で採掘され墓石などに利用されています。

安 山 岩あん ざん がん(鹿児島県鹿児島市桜島)

安山岩

桜島で1914~1915年に噴火して流れ出た溶岩(大正溶岩)が固まった岩石です。この噴火によって桜島と九州の大隅半島は陸続きとなりました。小さな黒い鉱物は輝石(きせき)、茶~緑色の鉱物はかんらん石、白い鉱物は斜長石(しゃちょうせき)です。

デイサイト(長崎県島原市)

安山岩

雲仙火山の1991年~1995年噴火では、粘り気の強い溶岩が溶岩ドーム(平成新山)を作りました。溶岩ドームの不安定な部分は何度も崩れて、高温で危険な火砕流が5年間に9,400回も発生しました。これは火砕流堆積物に含まれる溶岩の岩片で、白い斜長石や黒い角閃石(かくせんせき)が見えます。

流紋岩りゅうもんがん(黒曜岩)(こくようがん)(北海道遠軽町白滝)

流紋岩(黒曜岩)

黒曜石とも呼ばれますが、地質学では黒曜岩と呼びます。白滝の黒曜岩は約220万年前(新生代第四紀)に流紋岩マグマが急速に冷やされ、黒色-褐色の火山ガラスになりました。割れると鋭く尖るので、古代人は鏃(やじり)などの石器の材料として利用しました。白滝では一部が北海道の天然記念物に指定されています。

深成岩しんせいがん

黒雲母花崗岩 くろうんもかこうがん (茨城県笠間市稲田)

黒雲母花崗岩

6,000万年前頃(新生代古第三紀暁新世)にマグマが地下深くでゆっくり冷えてできた岩石です。肉眼で径数mmの鉱物を識別でき、灰色の石英、白い長石(カリ長石と斜長石)と黒い黒雲母が見え、岩石が鉱物の集合であることが理解できます。花崗岩はみかげ石とも呼ばれ、ビルの外壁や墓石などに使われます。

斑れい岩 はんれいがん(茨城県つくば市筑波山)

斑れい岩

斑れい岩は玄武岩質マグマが地下深くでゆっくり冷え固まってできた黒っぽい岩石です。黒い鉱物は主に角閃石、白い鉱物は斜長石(しゃちょうせき)で、鉱物の粒径は石により大小さまざまあります。斑れい岩は浸食されにくいので山頂部に分布します。筑波山周辺の斑れい岩は中生代白亜紀末に形成されました。

変成岩へんせいがん

珪質片岩 けいしつへんがん (群馬県藤岡市三波川)

珪質片岩

海底に堆積したチャートが地下深くに運ばれて高圧下でできた変成岩で、割れやすい面(片理面)があります。石英が多い白い縞、白雲母・緑泥石が多い黒い縞と、紅れん石が多いピンク色の層を含んでいます。三波川変成岩は中生代白亜紀に形成され、関東地方の他、中部地方から九州まで分布します。

泥質片岩 でいしつへんがん (群馬県藤岡市三波川)

泥質片岩

泥岩が地下深くに運ばれて、高圧下で白雲母・緑泥石・石墨などを生じた岩石です。鉱物が同じ向きに並んで割れやすい面(片理面)があります。黒い斑点は曹長石で、本来は白い鉱物ですが石墨を多く含むため黒く見えます。三波川変成岩は中生代白亜紀に形成され、関東地方の他、中部地方から九州まで分布します。

苦鉄質片岩 くてつしつへがん (群馬県藤岡市三波川)

苦鉄質片岩

海底の玄武岩が地下深くに運ばれ、高圧下で緑泥石・角閃石ができて緑色に変わり、薄く割れやすい面(片理面)を持った変成岩です。玄武岩は苦鉄質岩なので、苦鉄質片岩と呼ばれます。白い斑点は曹長石で、点紋片岩(てんもんへんがん)と呼ばれます。三波川変成岩は庭石や石碑に使われる三波石として有名です。

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