15079_1971
地域地質研究報告
5万分の1図幅
鹿児島(15) 第 79 号
地質部 太田良平
昭和 46 年
地質調査所
目次 I. 地形 II. 地質 II.1 地質概説 II.2 四万十層群 II.3 寄田輝石安山岩 II.4 天狗鼻角閃石安山岩 II.5 鴨ノ瀬角閃石安山岩 II.6 串木野輝石安山岩 II.7 川内輝石安山岩 II.8 小麦川角閃石安山岩 II.9 川内玄武岩 II.10 入戸軽石流 II.11 ロームおよび火山灰層 II.12 砂礫層 II.13 砂丘堆積層 II.14 冲積層 III. 応用地質 III.1 金属鉱床 III.2 石材 文献 Abstract
地域地質研究報告
5万分の1図幅
(昭和 44 年稿)
鹿児島(15) 第 79 号
この地域地質図は昭和 43 年の秋に 20 日間の現地踏査をなし作成した。 現地では鹿児島県庁・川内市役所および串木野市役所から諸便宜の供与を受けた。
調査地域は鹿児島県の北西部に位置し, 地域の北半部は川内市に, 南半部は串木野市に属している。 地域内の交通としては, 西海岸の 寄田 [ ← 寄田 ? ] から 川内 川の南岸を経て川内市街地へ, また南海岸の羽島から海岸通りを串木野市街地へそれぞれバスが通っており, また寄田から [ 川内市 ] 土川 および [ 串木野市 ] 平山 を経て羽島に至る間も, 回数は少ないがバスが通じている。
調査地域北部を流れる川内川は九州第2の河川であって, 熊本県の南東隅 [ ← 熊本県 球磨郡 上 村 ] の 白髪岳 [ 標高 1417 m ] に源を発し, 霧島山の北から 栗野 および 大口 などを経て鶴田ダムに入り, やがて 宮ノ城 や川内市街地などを経てこの地域に入り海に注いでいる。
この調査地域の大部分は複雑に起伏し連亘する山岳地帯であって, 羽島の北東の 弁才天 山 [ ← 辨財天山 ? ] (519.1 m)を最高峯とし, 北部では 中 山 [ 409 m ] および 柳 山 [ 389 m ] を経て 笠 山 [ 342 m ] に連なり, 南部では荒川の背後の 340 m 高地に延び, この地域の分水岺を形成している。 地域内の山岳はおおむね壮年期の険しい地形で, ほとんど火山岩からなるが火山の原地形はあまり残っておらず, 弁才天山の西部や調査地域東縁の 山神段 付近で熔岩台地々形がみいだされるにとどまる。 これら山岳は急崖をもって海に臨むことが多く, したがって河川の流路は比較的短かくただちに海に, あるいは川内川に注いでいる。 寄田の近くの海岸には約 3 km にわたり砂丘が発達し, 比高 10 m 内外の丘を連ねているが, これは波浪により打上げられたもので, その東方の山地との間には3個の湖を生じている。
| 現世 | 冲積層 | a | 礫および砂 | ||
| 更新世 | 砂丘堆積層 | sd | 砂 | ||
| 砂礫層 | gr | 礫および砂 | |||
| 入戸軽石流 | S | 軽石凝灰角礫岩 | |||
| 川内玄武岩 | B | 普通輝石橄欖岩玄武岩熔岩 | |||
| 小麦川角閃石安山岩 | Hk | 紫蘇輝石角閃石安山岩熔岩 | |||
| 川内輝石安山岩 | Ps | 輝石安山岩熔岩 | |||
| 新第三紀 |
串木野
輝石安山岩 | 辨財天熔岩 | BZ | 輝石安山岩熔岩 | |
| 平山熔岩 | HR | 橄欖石含有輝石安山岩熔岩 | |||
| 池ノ段熔岩 | ID | 橄欖石含有輝石安山岩熔岩 | |||
| 新田熔岩 | NT | 橄欖石含有輝石安山岩熔岩 | |||
| 瀬戸野熔岩 | ST | 橄欖石含有輝石安山岩熔岩 | |||
| 山ノ口熔岩 | YK | 橄欖石含有輝石安山岩熔岩 | |||
| 岩脉 [ Dyke ] | D | 輝石安山岩 | |||
|
火山
砕屑岩 | 無層理 | P | 輝石安山岩凝灰角礫岩および熔岩 | ||
| 成層 | t | 成層した凝灰岩・火山礫凝灰岩および凝灰角礫岩 | |||
| 鴨ノ瀬角閃石安山岩 | Hm | 角閃石安山岩熔岩 | |||
| 天狗鼻角閃石安山岩 | Ht | 輝石含有角閃石安山岩凝灰角礫岩 | |||
| 寄田輝石安山岩 | Py | 橄欖石含有輝石安山岩熔岩 | |||
| 中生代 | 四万十層群 | ss | 砂岩・礫質砂岩および礫岩 | ||
| cl | 粘板岩 | ||||
調査地域内で最も古い岩石は 地域北縁付近から川内川の河口(調査地域外)にかけて分布する四万十層群で, 粘板岩層と砂岩層との互層からなり, この地質時代は中生代白亜紀といわれている。 この上に不整合に各種火山岩が載る。 すなわち下位から 寄田輝石安山岩・ 天狗鼻および鴨ノ瀬角閃石安山岩・ 串木野輝石安山岩・ 川内輝石安山岩・ 小麦川角閃石安山岩の順で重なり, その後に川内玄武岩が流出した。 これらの地質時代は必ずしも明確ではないが, 串木野輝石安山岩の火山砕屑岩中に, 荒川鉱山坑内(東隣の川内図幅地域内)で 新第三紀中新世を指示する貝化石がみいだされており, また串木野輝石安山岩とその上に載る川内輝石安山岩との間には 東隣の川内図幅地域内で国分層群が挾まれており, 國分層群 [ ← 国分層群 ? ] の地質時代については種々の論議があるが, 更新世第1氷期および第1間氷期といわれているので, おそらく串木野輝石安山岩以下が新第三紀鮮新世に, 川内輝石安山岩から上が第四紀更新世に属すると考えられる。 寄田輝石安山岩は西海岸の寄田付近に, 天狗鼻角閃石安山岩は西海岸突端の天狗鼻から川内川沿岸に分布し, 鴨ノ瀬角閃石安山岩は天狗鼻の沖に浮ぶ小島をつくっている。 以上のように, 川内川の左岸 [ = 南岸 ] 地区では調査地域の北西ほど古い岩石が分布しているのは地質構造上注意すべきである。
串木野輝石安山岩は この地域内に広く分布するばかりではなく 北薩一帯の広大な面積に分布し, 串木野・荒川両鉱山(川内図幅地域内)をはじめその他諸鉱山の金銀鉱床を胚胎している。 この主体をなすものは, 火山砕屑岩を主としこれに熔岩流を挾むもので, その基底部は水中堆積と思われよく成層しており, この事実は川内川の沿岸や寄田付近で観察することができる。 この主体部の上に各種熔岩が載っており, これを 山ノ口熔岩・ 瀬戸野熔岩・ 新田熔岩・ 池ノ段熔岩・ 平山熔岩および 弁才天熔岩 [ ← 辨財天熔岩 ? ] などに分類した。 以上はいずれも輝石安山岩からなる。 この串木野輝石安山岩は多少の差はあるが熱水変質作用を受けており, ことに調査地域の南部ほど著しく, 羽島からその東方の 河原 [ ← 河原 ? ] までには金銀鉱床の旧坑が多数散在し, その付近の岩石は脱色・珪化などの熱水変質を受けている。 しかし この上に載る川内輝石安山岩およびこれ以後の火山岩は 前記の変質作用をまったく受けていない。 小麦川角閃石安山岩は串木野輝石安山岩や川内輝石安山岩を貫ぬく熔岩円頂丘として, また川内玄武岩は串木野輝石安山岩の上に載り熔岩台地をつくりみいだされる。 これらは東隣の川内図幅地域内にも分布し, そこでは累重関係から生成順序が明らかになっているが, このようにこの地域では, 輝石安山岩・ 角閃石安山岩・ 輝石安山岩・ (鉱床生成期)・ 輝石安山岩・ 角閃石安山岩および玄武岩の順で火山活動が行なわれた事実は注目すべきである。
入戸 軽石流はいわゆるシラスで, 寄田付近や川内川の南岸の調査地域東縁付近に分布し, 現在の鹿児島湾北部をつくる姶良カルデラの形成直前に大量に流出したといわれ, その地質時代は更新世第4氷期である。 以上の諸岩石はいずれも厚いローム層で覆われているが, ローム層は地質図には記載してない。 羽島付近や川内川沿岸に砂礫層が分布し, 寄田付近の海岸に砂丘堆積層がみられるが, これらはローム層に覆われていないので, あるいは現世に入るものかも知れない。 冲積層は海岸や川内川に臨み平野を構成する。
これは調査地域の北縁の海岸に近く, [ 川内川の河口の南岸の ] 久見崎 (調査地域外)までの間に低く起伏した山地をつくり分布し, 寄田輝石安山岩や天狗鼻角閃石安山岩に覆われ, 粘板岩層と砂岩層との互層からなる。 この分布区域はほぼ NW - SE 方向の断層により大きく2分されているほか, 小断層が多く, また樹木が繁茂し露頭が少なく, 地質構造は必ずしも明らかではないが, 前記の断層の西部はほぼ N 60°E の走向で南方に 15°前後 傾斜しており, 断層の東部ではほぼ南北の走向で 20°前後 西方へ傾斜しているようである。
これは主として粘板岩からなり, しばしば砂岩の薄層を挾む。 粘板岩の新鮮なものは黒色で かなり堅く 層理は明瞭であるが, 通常は風化して黄褐色を呈し 軟弱となり 剥がれ易く, また小破片に砕け易くなっている。 粘板岩は砂岩に較べ岩質が弱いためにこの差は地形にもよく露われ, 砂岩層が高く険しい山地をつくっているのに反し [ 粘板岩層は ] 低平な山地をつくり, 地表では粘板岩の小破片が無数に散乱している。
これは主として砂岩からなり, ときに礫質砂岩や礫岩に移化し, しばしば粘板岩の薄層を挾んでいる。 砂岩は一般に灰緑~暗灰色を呈し, すこぶる硬く, 風化すると黄褐色になる。 おおむね塊状で層理は明らかではないが, 挾在する粘板岩によってこの走向・傾斜がわかることがある。 礫岩の礫は胡桃大ときに鶏卵大になることがあり, 肉眼で判別できる限り古生層のチャートが最も多く, ほかに砂岩・粘板岩などが見られる。 なお, 古生層は川内川北岸(この調査地域北縁から北へ 600 m)に広く分布しており, これとの間はほぼ川内川の位置に断層が走ると考えられている。
これは 西海岸の寄田付近からその北方の久見崎(調査地域外)にかけ 四万十層群の上に不整合に直接載り, 天狗鼻角閃石安山岩や串木野輝石安山岩に覆われている。 熔岩流として出現したもので 低平な台地をつくっている。 特徴ある堅硬な岩石で斑状組織を呈し, 長さ 0.3~0.8 mm の斜長石斑晶が灰緑色の石基中に比較的密に散在し, ほかに長さ 0.5~1.0 mm の輝石斑晶もみいだされ, 一般に変質がすすみ 一見してやや古い感があり, 薄い板状節理がよく発達する。
鏡下に検すると橄欖石含有輝石安山岩に属し斑晶に富み, 斑晶は斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり橄欖石を伴い, ほかに微斑晶として磁鉄鉱がみいだされる。 斜長石は柱状で曹灰ないし亜灰長石に属し, おおむね清澄であるが割目にそいガラス化したものが少なくない。 紫蘇輝石は柱状で淡緑~淡褐色の多色性を示す。 普通輝石は柱状で淡緑色を呈し (100) 双晶を示すものがある。 またまれに, 紫蘇輝石が内側に 普通輝石が外側にある両者の平行連晶が認められる。 橄欖石は短柱状 無色で割目が発達し, 周縁はイディングス石化し褐色を呈する。 磁鉄鉱は4角または不定形の黒色を示す。 また斜長石・紫蘇輝石・普通輝石・橄欖石および磁鉄鉱などからなる聚斑状集合に富む。 石基はガラス基流晶質で 析木状の斜長石・柱状の単斜および斜方輝石・粒状の鉄鉱およびガラスからなる。
これは 西海岸の天狗鼻付近一帯から寄田の東方の山地および調査地域北東隅付近にみいだされ, 北隣の「 西方 」図幅地域内にも広く分布している。 寄田輝石安山岩の上に直接載り, 串木野輝石安山岩に覆われ, 角閃石安山岩凝灰角礫岩を主とし, 熔岩はまれにしかみいだされない。 この凝灰角礫岩は 拳大以下の角閃石安山岩岩塊が同質火山礫や火山灰とともに凝結したもので, 爆発による陸上堆積物と思われる。 この分布区域の地形には特徴があり, 円味を帯びた小さな丘陵が起伏して連なっている。 熔岩は斑状組織を呈し, 長さ 1~3 mm の大形の斜長石斑晶が 長さ 1.2~2 mm の角閃石斑晶とともに灰青色の石基中に散在したものである。 またこの熔岩は風化を受け易い岩質である。
鏡下に検すると輝石含有角閃石安山岩に属し, 斑晶は斜長石および角閃石を主とし, 紫蘇輝石および普通輝石を伴い, 徴斑晶として磁鉄鉱がみいだされる。 斜長石は柱状で, 曹灰長石と中性長石とのほぼ中間の化学成分をもち, 結晶の中央部から外方へ著しい反復累帯構造がみられ, おおむね清澄であるが時に内核部全体が著しく汚濁し, 縁辺部だけが清澄のものも認められる。 角閃石は新鮮なものは少なく, 結晶外形を保持したまま ほとんどオパサイト化して輝石・鉄鉱などの微粒の集合体となっているが, まれに結晶の中核に角閃石が残っていることがあり, この場合は酸化をうけて灰黄~赤褐色の著しい多色性を示す。 紫蘇輝石は柱状または長柱状で, 淡緑~淡褐色の多色性を示す。 普通輝石は柱状で淡緑色を示す。 磁鉄鉱は4角または不定形の黒色を示す。 また, まれに 石英の外来結晶が見られる。 石基はガラス基流晶質で, 析木状の斜長石・柱状の単斜および斜方輝石・粒状の鉄鉱およびガラスなどからなる。
鴨ノ瀬は天狗鼻付近の海岸線から西方約 1.7 km の沖に浮ぶ小島で, 干潮時には島の周囲は数 10 m, 高さは 10 m 近くあって, 角閃石安山岩熔岩からなる。 この岩石は堅硬で節理が縦横に発達しており, 斑状組織を呈し, 長さ 0.4~1.0 mm の斜長石斑晶および 長さ 1~4 mm の細長い角閃石斑晶が灰青色石基中に顕著に散在しているが, 石基の部分は風化のため灰褐色になっていることが多い。 このように天狗鼻角閃石安山岩の熔岩とは岩相を異にしているが, 離れているために時代の新旧は不明である。
鏡下に検すると角閃石安山岩に属し, 斑晶は斜長石および角閃石からなり, 微斑晶として磁鉄鉱を伴う。 斜長石は柱状で中性長石に近い曹灰長石で, 結晶の中核部は汚濁しまたはガラス化が進んでいることが多いが, 縁辺部は一般に清澄である。 角閃石は柱状ないし長柱状を呈し縁辺に黒色オパサイト縁をもち, 内部も輝石・鉄鉱などの微粒の集合からなり 新鮮な部分はほとんど残っていないが, 大形の結晶では中核部にみいだされることがあり, この場合はかなり酸化していて淡黄~赤褐色の著しい多色性を示す。 磁鉄鉱は少量で4角または不定形の黒色を示す。 石基は毛氈状組織で, 析木状の斜長石・長柱状の斜方輝石・粒状の鉄鉱などからなる。
これはこの調査地域内ばかりではなく鹿児島県北西部一帯に広く分布し, 串木野鉱山および荒川鉱山(ともに東隣の川内図幅地域内)をはじめ その他多くの金銀鉱床の母岩となり, 荒川鉱山の坑内では火山砕屑岩の中から新第三紀中新世を示す貝化石を産する。 この調査地域内では寄田輝石安山岩や天狗鼻角閃石安山岩の上に載り, 川内輝石安山岩で覆われており, すこぶる厚く 300~400 m あると考えられ, この主体をなすものは火山砕屑岩を主とし熔岩流を挾むもので, この基底の一部は成層しており, また前記の主体部の上には熔岩からなる数岩体が載っており, また主体部を貫ぬく1本の岩脈があり, これら全部を串木野輝石安山岩と総称する。 したがって地質図幅の凡例で, 主体をなす火山砕屑岩を基底にある成層部と, これから漸移する無層理部とに分けて示し, 岩脈をなすものを「岩脈」, これらの上に載り熔岩からなる6岩体をそれぞれ「山ノ口熔岩」・ 「瀬戸野熔岩」・ 「新田熔岩」・ 「池ノ段熔岩」・ 「平山熔岩」および「 弁才天熔岩 [ ← 辨財天熔岩 ? ] 」に分類し, 地質図幅上でこれらの分布を示した。 上記の6岩体の新旧についてはそれぞれ独立して分布しているため不明である。
羽島および周辺の 海士泊 [ ← 海土泊 ? ] ・ 中野 [ ← 野中 ? ] ・ 河原 および白浜付近の岩石は脱色・珪化・緑色化などの熱水変質作用を著しく受けており, 新鮮な部分はほとんどなく 至る所に石英細脈がみいだされ, 羽島海岸や 中野 付近一帯には多くの含金銀石英脈があり, 大正年間にはさかんに探鉱された。 これから北には鉱床を胚胎せず, また変質の程度も低く緑色化だけであるが, この変質は主体部ばかりではなく この上に載る前記の諸熔岩も受けており, 川内輝石安山岩がまったく新鮮なのと対照的で, この事実は東隣の川内図幅地域内でも確かめられている。
串木野輝石安山岩の基底部に当り, 川内川沿岸から寄田付近に分布するものは 火山砕屑物が成層しているため地質図幅では特に区分したが, この上位にある無層理の火山砕屑岩とは漸移し明確な境界はない。 これは よく成層した灰白色凝灰岩・ 灰緑色火山礫凝灰岩・ 円礫ないし亜角礫混り凝灰質砂岩などの互層を主とし, これに円礫層や薄い熔岩流などを挾むことがあり, 火山活動開始時の浅海堆積物と思われる。 この堆積物は川内川の南岸の道路ぞいによく露われており, 各地点の走向は N 10~50°E で常に南東方へ 20~35°傾斜している。 したがって, おそらく現在の地形の谷の位置に走向断層またはこれに近い断層があって, 地層が繰返して現われているものと思われる。 対岸の 平島 [ ← 平嶋 ? ] 付近に分布するものは N 60~90°E で南方へ 18~30°傾斜していて, 両岸の間には断層が走ると考えられる。
本岩中に挾まれた安山岩熔岩は必ずしも一様の岩相ではないが, いずれも堅硬な岩石で, 長さ 0.2~0.5 mm の斜長石および 長さ 0.3~0.8 mm の輝石のこまかい斑晶が濃青色石基中に散在したものである。
これを鏡下に検すると橄欖石含有輝石安山岩に属し, 斑晶は斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり, ときに橄欖石を伴い, ほかに微斑晶として磁鉄鉱がみいだされる。 斜長石は柱状で曹灰ないし亜灰長石に属し, おおむね清澄で著しい反復累帯構造がみられ, ときにガラスの微細粒を帯状に含むことがあり, また内核の大部分が著しく汚濁したり結晶外形が円味を帯びたものがある。 紫蘇輝石は柱状で 淡緑~淡褐色の多色性を示す。 普通輝石は柱状で淡緑色を呈し (100) 双晶を示す。 また 紫蘇輝石を内側に普通輝石が外側にある両者の平行連晶がしばしば認められる。 橄欖石は短柱状でほとんどすべてイディングス石化し褐色を呈する。 磁鉄鉱は4角または不定形の黒色である。 また 斜長石・紫蘇輝石・普通輝石および磁鉄鉱などからなる聚斑状集合がしばしば認められる。 石基はガラス基流晶質で, 析木状の斜長石・柱状または 粒状の単斜および斜方輝石・粒状の鉄鉱およびガラスなどからなる。
これは凝灰角礫岩をはじめ各種火山砕屑岩の重畳からなり, その中に輝石安山岩熔岩を挾んでいる。 本岩の分布区域のうち南方に分布するものは火山砕屑岩よりも熔岩に富み, ことに羽島崎付近から沖の島一帯はほとんど熔岩からなる。 この凝灰角礫岩は 人頭大以下の各種安山岩々塊が火山礫や火山灰と共に凝結したもので, 岩質は粗鬆であり, 岩塊にはまれに四万十層群に属すと思われる砂岩がみいだされる。 この中に挾まれた輝石安山岩熔岩は必ずしも一様の岩相ではないが, ごく普通に見られるものは斑状組織を示し, 長さ 0.5~1.2 mm の斜長石および 長さ 0.4~1.0 mm の輝石の両斑晶が灰緑青色の石基中に密に散在したもので, 変質作用を受け 一見してやや古い感じがある。
この熔岩を鏡下に検すると橄欖石含有輝石安山岩に属し, 斑晶は 斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり, 橄欖石を伴い, 微斑晶として磁鉄鉱がみいだされる。 斜長石は柱状で曹灰ないし亜灰長石に属し, 一般に清澄で結晶の中核から外側へ反復累帯構造が著しく, ときに内核の大部分が著しく汚濁したり ガラスを多く含むものがある。 紫蘇輝石は柱状で淡緑~淡褐色の多色性を示し, 普通輝石は柱状で淡緑色を呈し (100) 双晶がみられる。 両者はともに結晶の縁辺や割目にそい緑泥石化がすすんでいる。 橄欖石は短柱状を呈し無色であるが, 縁辺はイディングス石化し褐色を示す。 磁鉄鉱は4角または不定形の黒色を呈する。 本岩はまれに角閃石を含むことがあるが, この角閃石はまったくオパサイト化し, しかも縁辺部にある輝石粒は反応してやや成長しているので外来結晶と思われる。 石基はガラス基流晶質または毛氈状組織で, 析木状の斜長石・ 柱状の単斜および斜方輝石・ 粒状の鉄鉱などからなり, いずれも微細で, ときにガラスを伴う。
これは西海岸に近い 土川 部洛の 西 [ ← 東 ? ] の道路際で見られ, 串木野輝石安山岩の火山砕屑岩を貫ぬき, 幅 3 m 以上あり, 走向 N 60°E で直立しており, 両側の冷却面に垂直に径 15~30 cm の6角柱状の節理が発達している。 堅硬, かつ緻密な岩石で斑状組織を呈し, 長さ 0.5~1.2 mm の斜長石斑晶が純黒色の石基中に比較的まばらに散在しており, 輝石斑晶は肉眼ではほとんど認められないが, 長さ 0.4 mm 以下である。
鏡下に検すると輝石安山岩に属し, 斑晶は斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり, 微斑晶として磁鉄鉱を伴う。 斜長石は柱状で曹灰長石に属し, おおむね清澄であるが, しばしばガラス・鉄鉱・輝石などの粒を多く含有するものがある。 紫蘇輝石は柱状で淡緑~淡褐色の多色性を示す。 普通輝石は柱状で淡緑色を示し (100) 双晶をなすものがある。 磁鉄鉱は4角または不定形の黒色である。 ほかに斜長石・紫蘇輝石・普通輝石および磁鉄鉱などからなる聚斑状集合が見られる。 石基はガラス基流晶質で褐色ガラスに富み, その中に析木状の斜長石・柱状の単斜および斜方輝石・粒状の鉄鉱などが散在している。
これは西海岸に近い山ノ口で寄田輝石安山岩のつくる熔岩台地の上に載り, 比高 40 m の円錐形の山体をつくって聳え, ほとんど熔岩からなるようで, おそらく熔岩円頂丘と思われる。 黒色緻密な岩石で斑状組織が認められ, 長さ 0.4~1.0 mm の微細な斜長石斑晶が散在し, 輝石斑晶は肉眼ではあまり明らかではないが 長さ 0.3~0.8 mm である。
鏡下に検すると橄欖石含有輝石安山岩に属し, 斑晶は 斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり, 橄欖石を伴い, 微斑晶として磁鉄鉱がみいだされる。 斜長石は結晶外形のはっきりした柱状で曹灰長石に属し一般に清澄である。 紫蘇輝石は柱状で淡緑~淡褐色の多色性を示す。 普通輝石は柱状で淡緑色である。 紫蘇輝石が内側に 普通輝石が外側にある両者の平行連晶がしばしば認められる。 橄欖石は小形で, すべてイディングス石化して褐色を呈する。 磁鉄鉱は4角または不定形で黒色を示す。 石基は毛氈状組織で, 析木状の斜長石・柱状または 粒状の単斜および斜方輝石および 粒状の鉄鉱などからなる。
これは西海岸に近く, [ 寄田の南方 2 km の ] 瀬戸野のすぐ西に高く険しい山地を連ねて聳えほとんど熔岩からなり, 串木野輝石安山岩の火山砕屑岩の上に載っている。 すこぶる堅硬な岩石で斑状組織を呈し, 長さ 0.2~0.5 mm の微細な斜長石斑晶が純黒色の石基中に散在しており, 輝石斑晶は肉眼ではあまり目立たないが長さ 0.3~0.7 mm である。
鏡下に検すると橄欖石含有輝石安山岩に属し, 斑晶は斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり, 橄欖石を伴い, 微斑晶として磁鉄鉱がみいだされる。 斜長石は柱状で曹灰長石に属し, おおむね清澄で累帯構造は著しくないが, しばしばかなり円味を帯び, かつ汚濁したものがみいだされ, これは外来結晶と思われる。 紫蘇輝石は柱状で淡緑~淡褐色の多色性がみられ, 普通輝石は柱状で淡緑色を呈する。 これら両種の輝石とくに普通輝石において, 結晶外形がかなり円味を帯び, かつ累帯構造を示すものがある。 橄欖石は柱状を呈し無色であるが, 縁辺部はイディングス石化し褐色を呈する。 磁鉄鉱は少量で4角または不定形の黒色を呈する。 石基はガラス基流晶質で, 析木状の斜長石・ 柱状の単斜および斜方輝石・ 粒状の鉄鉱およびガラスなどからなる。
これは西海岸に近い [ 寄田の南方 1 km の ] 新田の西に串木野輝石安山岩の火山砕屑岩の上に載り, ほとんど熔岩からなり, 低平な熔岩台地をつくっている。 岩石は肉眼的に特徴があり, 堅硬, かつ緻密で斑状組織を呈し, 長さ 0.8~1.5 mm の斜長石および 長さ 0.7~1.2 mm の輝石の両斑晶が黒色の石基中に比較的密に散在している。
鏡下に検すると橄欖石含有輝石安山岩に属し, 斑晶は斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり, 橄欖石を伴い, 微斑晶として磁鉄鉱がみいだされる。 斜長石は柱状で曹灰長石に属しおおむね清澄であるが, 結晶のほとんど全部が著しく汚濁し, 縁辺部だけが清澄のものや, また著しく円味を帯びたものもみいだされる。 紫蘇輝石は柱状で淡緑~淡褐色の多色性がみられ, まれに貫入双晶をなすものが認められる。 普通輝石は柱状で淡緑色を呈し (100) 双晶を示すものがあり, また結晶の外形がかなり円味を帯びたものがある。 まれに紫蘇輝石を内側に普通輝石を外側にした両者の平行連晶が認められる。 橄欖石は少なく短柱状で無色であるが, 縁辺部はイディングス石化し褐色を呈する。 磁鉄鉱は4角または不定形の黒色である。 石基は毛氈状組織で, 析木状の斜長石・ 柱状または粒状の単斜および斜方輝石・ 粒状の鉄鉱などからなる。
これは調査地城中央部の [ 寄田の南南東方 1.5 km の ] 池ノ段のすぐ 北 [ ← 東 ? ] に険しい急な山地を形成して聳え, 串木野輝石安山岩の火山砕屑岩の上に載っている。 すこぶる堅硬, かつ緻密な岩石で板状節理がよく発達しており, 時に熱水変質作用のため脱色または緑色化した部分がみられる。 この岩石は斑状組織を呈し, 純黒色の石基中に長さ 0.2~0.6 mm のこまかい斜長石斑晶が比較的まばらに散在していて, 輝石斑晶は肉眼ではあまり明らかではないが長さ 0.5 mm 以下である。
鏡下に検すると橄欖石輝石安山岩に属し, 斑晶は斜長石・紫蘇輝石・普通輝石および橄欖石からなり, 後3者はほぼ等量にあり, ほかに微斑晶として磁鉄鉱を伴う。 斜長石は一般に結晶外形のはっきりした柱状を呈し, 亜灰長石に近い曹灰長石に属し, おおむね清澄で反復累帯構造が著しいが, まれにガラスを多く包有し, 円味を帯びたものがあり, これは外来結晶と思われる。 紫蘇輝石は柱状で淡緑~淡褐色の多色性を示し, 時に鉄鉱の不定形微細粒を多く包有するものがあるが, これは橄欖石から転移したものと思われる。 普通輝石は柱状で淡緑色を呈し (100) 双晶ががみられる。 橄欖石は短柱状を示し無色であるが, 縁辺部はイディングス石化し褐色を呈する。 磁鉄鉱は4角または不定形の黒色を示す。 また 斜長石・ 紫蘇輝石・ 普通輝石・ 橄欖石および磁鉄鉱などからなる聚斑状集合が多くみいだされる。 石基はガラス基流晶質で, 褐色ガラスに富み, その中に 析木状の斜長石・ 柱状の単斜および斜方輝石・ 粒状の鉄鉱などが散在している。
これは羽島の北に串木野輝石安山岩の火山砕屑岩の上に熔岩流をなして広く分布し, その表面は東ほど高くゆるやかに西へ傾斜している。 堅硬な特徴ある岩石で斑状組織がみられ, 長さ 0.2~0.8 mm のこまかい斜長石斑晶が緑黒色の石基中に密に散在しており, 輝石斑晶は肉眼ではあまり明らかではなく長さ 0.3~0.7 mm である。 この岩体は諸所で脱色・粘土化などの熱水変質作用を受けている。
鏡下に検すると橄欖石含有輝石安山岩に属し, 斑晶は斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり, 橄欖石を伴い, 微斑晶として磁鉄鉱が認められる。 斜長石は柱状で曹灰長石に属し一般に清澄であるが, 著しい反復累帯構造を示すものが多く, また微細なガラス粒を帯状に包有するものが少なくない。 紫蘇輝石は柱状で淡緑~淡褐色の多色性が認められ, 磁鉄鉱を包有するものが多い。 また貫入双晶をなすものがしばしばみいだされる。 普通輝石は柱状で淡緑色を示し (100) 双晶がみられる。 まれに紫蘇輝石が内側で普通輝石が外側にある両者の平行連晶がみいだされる。 橄欖石は少なく, 短柱状を呈し, 無色であるが, 縁辺部はイディングス石化し褐色である。 磁鉄鉱はやや大形で多く, 4角または不定形の黒色を示す。 また この岩石の特徴として 斜長石・紫蘇輝石・普通輝石および磁鉄鉱などからなる聚斑状集合に富んでいる。 石基はガラス基流晶質でガラスに富み, 析木状の斜長石・柱状の単斜および斜方輝石・粒状の鉄鉱および褐色ガラスなどからなる。
これは調査地域の南東部で地域内の最高点である 弁才天 [ ← 辨財天 ? ] 山(海抜 519 m)を形成し堅硬な熔岩からなり, 平山熔岩の上に載っている。 弁才天熔岩と [ 後述する ] 川内輝石安山岩との関係については, 直接接触した露頭はないが, 後者 [ ← 川内輝石安山岩 ] は熱水変質作用の影響を全く受けていないのに 前者 [ ← 辨財天熔岩 ] にはその影響がみられるので, 前者 [ ← 辨財天熔岩 ] の方が後者 [ ← 川内輝石安山岩 ] より古いことは明らかである。 この熔岩はその形態から熔岩円頂丘として出現したと思われる。 斑状組織を呈し斑晶に富むが, 斑晶は比較的小さく, 長さ 0.3~0.8 mm の斜長石および 長さ 0.4~1.0 mm の輝石が暗青緑色の石基中に密に散在している。
鏡下に検すると輝石安山岩に属し, 斑晶は斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり, 微斑晶として磁鉄鉱を伴う。 斜長石は曹灰長石に属し清澄なものは少なく, 劈開や割目に沿いガラス化がすすんでいる。 紫蘇輝石は長柱状または柱状で淡縁~淡褐色の多色性を示し, 普通輝石は柱状で淡緑色を示す。 両種の輝石はともに磁鉄鉱を包有することが多い。 ほかに角閃石がみいだされるが, これは小形で少なく, 全くオパサイト化しており, これを構成する縁辺の輝石粒が周囲と反応してやや成長しているので外来結晶と思われる。 磁鉄鉱はやや多く4角または不定形の黒色を示す。 また 斜長石・紫蘇輝石・普通輝石および磁鉄鉱からなる聚斑状集合に富んでいる。 石基はガラス基流晶質で, 析木状の斜長石・ 柱状の単斜および斜方輝石・ 粒状の磁鉄鉱およびガラスなどからなる。
これは調査地域の中央部に串木野輝石安山岩の上に載り広く分布する。 ほとんど熔岩からなり, おそらく数カ所の火口から流出したと考えられるが, それぞれの熔岩の岩相には著しい相違はない。 堅硬な岩石で斑状組織がみられ, 長さ 0.2~0.4 mm の微小な斜長石斑晶および 長さ 0.3~0.8 mm の輝石斑晶が灰青色石基中に比較的密に散在し, 板状節理がよく発達する。 一見して新鮮な感があり, これ以下の諸岩石にしばしば認められる熱水変質作用は全く受けていない。
鏡下に検すると輝石安山岩に属し, 斑晶は斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり, 微斑晶として磁鉄鉱を伴う。 斜長石は結晶外形のはっきりした柱状を示し, 曹灰ないし亜灰長石に属し, おおむね清澄であるが劈開や割目にそいガラス化がすすみ, まれに結晶の内核が著しく汚濁したものがある。 紫蘇輝石は長柱状で淡緑~淡褐色の多色性を示す。 普通輝石は柱状で淡緑色を示し (100) 双晶をなすものがある。 紫蘇輝石および普通輝石はともに磁鉄鉱を包有することが多い。 また笠山の南の上野 [ 位置不明 ] 付近に分布する本岩に橄欖石を包有することがあるが, 少ない。 磁鉄鉱は4角または不定形の黒色を示す。 ほかに 斜長石・紫蘇輝石・普通輝石および磁鉄鉱などからなる聚斑状集合がしばしば認められる。 石基は析木状の斜長石・柱状の単斜および斜方輝石および粒状の鉄鉱などからなる。
これはこの調査地域と東隣の川内図幅地域との境界付近で, 串木野輝石安山岩および川内輝石安山岩を熔岩円頂丘および岩脈の形で貫ぬいており, この調査地域内に分布するものは熔岩円頂丘の一部であって, この調査地域内では露頭は少なく, 主として森林中に転石としてみいだされる。
この岩石には斑状組織が見られ, かつ斑晶に富み, 長さ 0.5~1.2 mm の斜長石斑晶と 長さ 0.5~1.5 mm の角閃石斑晶とが暗青緑色の石基中に密に散在しているが, 石基は風化のため容易に灰色化する。 また角閃石斑晶には時に小豆大のものがあり, ペン先程度のものも必ずしも珍しくなく, まれに親指大のものが見られる。
鏡下に検すると輝石角閃石安山岩に属し, 斑晶は斜長石・角閃石・紫蘇輝石および普通輝石からなるが, 有色鉱物のうち角閃石は大きく, かつ多量にあり, ほかに微斑晶として磁鉄鉱を伴う。 斜長石は曹灰長石に属し, 一般に汚濁していて割目に沿いガラス化がすすみ, また結晶の縁辺に著しい反復累帯構造が認められる。 角閃石は オパサイト化作用のため結晶外形を保持したまま輝石や鉄鉱などの微粒の集合に変り, 原鉱物が全く残っていないことが多いが, まれに結晶の中核に見出され, 灰黄~淡褐色の多色性を示す。 紫蘇輝石は長柱状で淡緑色を示し多色性は著しくない。 普通輝石は柱状で淡緑色を呈し (100) 双晶を示すものが多い。 磁鉄鉱は4角または不定形の黒色を示す。 ほかに斜長石・紫蘇輝石・普通輝石および磁鉄鉱からなる聚斑状集合がかなり多い。 石基は毛氈状組織で, 析木状の斜長石・柱状の単斜および斜方輝石・粒状の鉄鉱などからなる。
この岩体はこの調査地域内では東縁部にわずかに分布しているだけで, 他の諸岩石との関係は串木野輝石安山岩の上にあるという以外は不明であるが, 東隣の川内図幅地域内では広く点在して分布しており, 國分 [ ← 国分 ? ] 層群や川内輝石安山岩の上に載っている。 この調査地域内に分布する岩体は比高 100 数 10 m の熔岩台地地形を示し, 山頂部は著しく平坦である。 岩石は全体が純黒色を呈し斑状組織がみられ, 個々の斑晶は肉眼ではあまり明らかではないが, よく注意すれば 長さ 1.2 mm 以下の斜長石の斑晶および 長さ 0.7 mm 以下の橄欖石や輝石の斑晶が認められる。
鏡下に検すると普通輝石橄欖石玄武岩に属し, 斑晶は斜長石・橄欖石および普通輝石からなる。 斜長石は柱状で亜灰長石に属しおおむね清澄である。 橄欖石は短柱状無色であるが, 結晶の縁辺や割目に沿い緑泥石化や蛇紋石化がすすんでいる。 普通輝石は橄欖石よりも少なく柱状で淡緑色を示す。 石基は填間状組織であって, 析木状の斜長石・柱状または粒状の橄欖石および単斜輝石・粒状の鉄鉱などからなり, 少量のガラスを伴う。
調査地域東縁の 瀬戸地 [ 位置不明 ; 柳山の北東方 1.5 km ? ] 付近と西海岸の寄田付近の2ヵ所に分布し, いずれも比高 20 m 以下の丘陵をつくっている。 これは 姶良 火山から姶良カルデラ形成の直前に流出したといわれており, 俗にシラスと呼ばれ, かつては当時の低地を埋めたのであるが, これは侵食からまぬがれた部分である。 胡桃大以下の淘汰の悪い軽石塊が軽石質微細片の中に混在し堆積しており, 岩質は軟弱で崩れ易い。
この地質時代については, 川内市 [ 青山町 ] 牛首(この調査地域東縁から東へ約 3.8 km)および 樋脇町 宇都(同じく約 13.5 km)で得られた入戸軽石流中の天然木炭による実験で, はなはだしくかけ離れた次の2つの値が出ている。
| 試料(産地) | 測定値 | 測定者 |
| 入戸軽石流(牛首) | 23,400 ± 800 年 | 一色ほか, 1965 |
| 入戸軽石流(宇都) | 16,350 ± 350 年 | 荒牧, 1965 |
地質図には記載してないが, 褐色ロームおよび暗灰色火山灰層が [ 後述する ] 砂礫層・砂丘堆積層および冲積層を除く全山地を覆って載り, 前者の厚さは 20~30 cm, 後者のそれは 10 cm 内外である。
羽島付近と調査地域の北縁にみいだされる。 前者は人頭~1斗樽大の円礫を主とし台地をつくり, 串木野安山岩の上に載り, 海岸堆積層と思われる。 後者は久見崎の市街地(調査地域外)に連続して延び, 拳大以下の円礫および砂からなり, 川内川の河川堆積物と思われる。
西海岸の寄田付近の海岸に沿って分布し, 川内川河口(調査地域外)までの間に 長さ約 3 km・幅数 100 m の範囲に比高約 10 m の砂丘を連ね, この上は松林になっている。
諸河川および海浜に沿って分布し, 礫・砂および粘土などからなる。
この調査地域内には応用地質として特記すべきものはあまりないが, 南海岸の羽島付近一帯には金銀鉱床の多くの旧坑が点在し, かつて探鉱されたことがある。 ほかに安山岩熔岩が諸所で建設資材として利用されている。
南海岸の羽島浜からその東方の 中野 [ ← 野中 ? ] にかけて分布する串木野輝石安山岩は著しい熱水変質作用を受けており, 諸所に脱色・粘土化あるいは珪化した部分が見られ, また金銀鉱床の旧坑が点在し, その数は 20 を下ることなく, 羽島浜の海岸にある旧坑が最も大きい。 これらはいずれも大正年間にさかんに探鉱されたが大きい鉱体に当ることなく, 昭和 17 年以後は放置されている。 この外側, すなわち 海士泊 [ ← 海土泊 ? ] ・ 秋元 [ ← 萩元 ? ] ・ 河原 付近一帯は岩石の変質の程度がやや弱く, さらにその外側一帯は広い範囲にわたり緑泥石化作用を受けている。
調査地域内には各種の安山岩熔岩が広く分布し, 採掘および搬出に便利な場所では建設資材として諸所で採取されてきた。 調査地域南東部の荒川浜の県道ぞいでは, 南国採石 KK が 串木野輝石安山岩の熔岩をさく岩機やブルトーザーなどを使用し大規模に採取しており, 従業員は 35~40 名あり, 岩石を砕き専らバラスとして用いている。 ほかはいずれも小規模で, 筆者の調査当時に稼行中のものは羽島の市街地の北の1ヵ所だけで, 串木野輝石安山岩の熔岩を従業員数名が手工具により採取していた。
QUADRANGLE SERIES
SCALE 1 : 50,000
Kagoshima (15) No. 79
By Ryohei OTA (Written in 1969)
| Recent | Alluvium | a | Gravel and sand | ||
| Pleistocene | Sand dune | sd | Sand | ||
| Sand and gravel | gr | Gravel and sand | |||
| Ito pumice flow | S | Pumice tuff breccia | |||
| Sendai basalt | B | Augite olivine basalt lava | |||
|
Komugi-gawa
hornblende andesite | Hk | Hypersthene hornblende andesite lava | |||
| Sendai pyroxene andesite | Ps | Pyroxene andesite lava | |||
| Neogene |
Kushikino
pyroxene andesite | Benzaiten lava | BZ | Pyroxene andesite lava | |
| Hira-yama lava | HR | Olivine bearing pyroxene andesite lava | |||
| Ikeno-dan lava | ID | Olivine bearing pyroxene andesite lava | |||
| Nitta lava | NT | Olivine bearing pyroxene andesite lava | |||
| Setono lava | ST | Olivine bearing pyroxene andesite lava | |||
| Yamano-kuchi lava | YK | Olivine bearing pyroxene andesite lava | |||
| Dyke | D | Pyroxene andesite | |||
|
Pyroclastic
rock |
Non-
stratified | P | Pyroxene andesite tuff-breccia and lava | ||
| Stratified | t |
Stratified tuff,
lapilli tuff and tuff-breccia | |||
| Kamonose hornblend andesite | Hm | Hornblende andesite lava | |||
| Tengu-bana hornblende andesite | Ht | Pyroxene bearing hornblende andesite tuff-breccia | |||
| Yorita pyroxene andesite | Py | Olivine bearing pyroxene andesite lava | |||
| Mesozoic | Shimanto group | ss |
Sandstone,
conglomeratic sandstone and conglomerate | ||
| cl | Clayslate | ||||
The oldest rock in the mapped area is the Shimanto Group of Mesozoic, on which various kinds of volcanic rocks were thickly accumulated one after another, namely Yorita pyroxene andesite, Tengu-hana [ ← Tengu-bana ? ] and Kamonose hornblende andesites, Kushikino pyroxene andesite, Sendai pyroxene andesite, Komugi-gawa hornblende andesite and Sendai basalt in order of flowing-out. As to the geological ages of these volcanic rocks, the first three are of Neogene and the rest of Pliocene from the facts that fossils indicating Miocene are contained in pyroclastic rock of Kushikino pyroxene andesite and also the Kokubu formation of the earliest Pliocene is intercalated between Kushikino pyroxene andesite and Sendai pyroxene andesite in the east-neighboring area. Kushikino pyroxene andesite around Hashima town was suffered from hydrothermal alteration, e. g. decoloration, kaolinization, silicification or chloritization, with more than twenty abandoned mines, which were once prospected up to about fourty years ago.
Ito pumice flow was flowed out of Aira Volcano, which is located in the northern part of the present Kagoshima Bay, at the end of Pleistocene. There are Sand and gravel bed and Sand dune, probably of Pleistocene, along rivers and seashore, respectively. There is Alluvium along rivers and seashore.
昭和 46 年 8 月 9 日 印刷 昭和 46 年 8 月 14 日 発行 著作権所有 工業技術院 地質調査所 (C) 1971,Geological Survey of Japan