15061_1956

5万分の1地質図幅説明書

都農

(鹿児島 第 61 号)

通商産業技官 木野義人

地質調査所

昭和 31 年


目次

I. 地形および地質概説
I.1 尾鈴山地
I.2 海岸平野
II. 地質各説
II.1 新第三系
II.1.1 尾鈴酸性岩類
II.1.2 宮崎層群
II.2 第四系
II.2.1 通山浜層
II.2.2 立野礫岩層
II.2.3 扇状地および段丘堆積物・ローム層
II.2.4 冲積層および砂丘堆積物
III. 地質構造
文献

Abstract

1 : 50,000 地質図幅説明書 (昭和 30 年稿)

都農

(鹿児島 第 61 号)


本図幅調査は昭和 29 年 3 月に行われ, 尾鈴酸性岩類の地域については, 本所地質部斎藤正次の踏査した結果を参考とした。 また貝化石の鑑定に関しては, 本所地質部井上正昭, 有孔虫の鑑定については同福田理の手をそれぞれ煩わした。

I. 地形および地質概說

本図幅は宮崎県中北部, 日向灘に面する海岸地域を占める。 海岸線はきわめて単調で, そのほゞ直線的な砂浜はそのまゝ南方宮崎方面に連続し, いわゆる隆起海岸の原形を保っている。

本地域は地形的に明瞭に2分され, すなわち尾鈴酸性岩類からなる尾鈴山地と, 新第三系・更新統および 現世統に属する種々の堆積物からなる海岸平野とに分けられる。

本地域における層序は第 1 表の通りである。

第 1 表 層序表

なお, 本図幅には, 応用地質の立場からは特に記述すべきものはない。

I.1 尾鈴山地

本山地はいわゆる尾鈴酸性岩類からなる山地で, その主峯部は図幅地域外西方にあって, 急峻で, 深山幽谷をなしているが, 図幅地域内では, 西隅に畑倉山の 800 m を超える高度が認められる程度で, 山地全体からみればその東縁部にあたり, 概して平頂低夷の丘陵性で, 東南東方へ向かって平均約 10°の緩傾斜をもって, 少しく波状を呈しつつ漸次高度を減じながら海岸平野に没している。 この尾鈴山地東麓斜面は地形的に準平原の面影をよく残し, この様子は側方から明瞭に遠望することができる(図版 1)。

図版 1 耳川河口附近から南方を望む。 手前は美々津町。 遠景に尾鈴山地の東麓が緩やかな斜面をみせ, 準平原地形をよく残していることを示す。

これらの平頂面ないし緩斜面を形成する尾鈴酸性岩類の表面は風化が甚だしく, 厚い残留土壌で覆われていて, その上にはよく水磨されたチャートの小円礫が載っており, これは地質的にも準平原であることを示すものである。 準平原化された尾鈴酸性岩地域は中新世後半にはいって, 東方に緩やかに傾斜しつつ沈降を開始し, 新第三紀中・後期の宮崎層群に一部を覆われ, その後東側の緩傾斜面を保ちつつふたたび隆起し, 尾鈴酸性岩体上に載っていた宮崎層群は, 漸次削剝されて行ったものと考えられる。

尾鈴酸性岩体中には地形的に明瞭な断層線ないし地溝帯が認められる。 すなわち図幅地域北西部において石並川上流を WSW ‒ ENE に走るもの, 図幅地域中央部において都農川上流から心見川中流を越えて, 又井野附近に向かうもの, 名貫川中流立野から都農町北部をかすめるもの, などがある。 そしてこれらの断層線に挾まれた平頂丘陵は, それぞれ典型的な傾動地塊ないし地壘をなし, 地質構造の推定上重要な地形的特徴である(図版 2, 3)。

図版 2 美々津附近から南方を望む。 前方の段丘は美々津段丘。 遠景の尾鈴山地東斜面中に地形的に断層線が認められ, 傾動地塊の様相を呈している。

図版 3 都農神社付近から西方を望む。 左側の山稜部は 175 m 独立丘。 右側の山稜部は 338.6 m 高地。 中間凹地は立野附近を通る地溝部。 このなかに立野礫岩層が堆積している(地質断面図参照)。

I.2 海岸平野

本図幅地域において, 平野部の大半は段丘からなり, 地域外の南方高鍋・佐土原方面に広大に発達する いわゆる日向海岸段丘群に連続している。 このうち, 図幅地域のほゞ中央に位置する唐瀬原や三ケ月原などは, 名貫川の扇状地として形成されたいわゆる扇状地段丘で, このような扇状地は平田川南側支流の上流にもその形跡が認められ, 尾鈴山塊の隆起に伴なう各河川の旺盛な営力を示している。

これらの段丘ないし扇状地段丘は種々の高度面を示し, 扇状地が全く海岸段丘面に連続し, それがさらに隣接段丘面に連続または対比できるものもあるが, 名貫川沿岸や平田川沿岸に見られる小範囲を占める段丘のように, 局地的で隣接地域に追跡することが困難なもの, あるいは同一河川沿岸においてすら両岸の段丘面は必ずしも一致せず, いわゆる非対称的段丘 4) をなしているものもある。

これらのうち, 更新統に属するものはいわゆるローム層を伴ない, 面がよく連続し, 広範囲に亘り対比が可能である。 これには2段あって, 下段は図幅地域北端の石並川河口に始まって都農川北岸に連続し, 次に名貫川南岸から平田川北岸に及び, さらに平田川と図幅地域外南方の小丸川との間に広く発達する一連の段丘群であり, 上段のものとしては唐瀬原を中心とするもの, および上述平田川西方上流の扇状地が挙げられる。 これらはそれぞれ美々津段丘(図版 2, 4)および唐瀬原扇状地と呼ばれている 4), 8)

一方連続性に乏しく, 明瞭なローム層を伴なわない局地的な段丘または扇状地群は現世統に属し, 名貫川および平田川沿岸に幾段にも発達し, 複雑な形状と消長とを示している。

一般に現世統に属する段丘群の砂礫は厚さ 10 m 以下で, 概して数 m 程度であるのに対して, 更新統の砂礫層は 10 m 以上に及ぶ。 なお, 美々津段丘表部を構成するローム層は, 一般に厚さ 1 m 前後の層として連続するのに対して, 唐瀬原のものは 2~3 m に及んでいる。

美々津段丘面はその高さが, 北部すなわち都農川以北で約 30 m, 中部すなわち名貫川 - 平田川間で 30~40 m, 南部すなわち平田川 - 小丸川(図幅地域外)間で 50~60 m とおのおの異なっている。 そしてこの段丘面の高度が南するにしたがって, 階段状に増加する傾向はさらに図幅地域外南方の高鍋・妻方面において著しい。

これらの段丘は日向灘に面して連続した海蝕崖をつくっていて, 近い過去において波浪の侵蝕作用を著しく受けた形跡を残している(図版 4, 5)。

図版 4 通山浜附近の海岸段丘(美々津段丘)

以上の段丘群は 石並川・心見川・都農川・名貫川・平田川 などの河川の本支流によって中断分割され, 段丘塊を形成しているが, これら各河川の谷底および海岸に沿う狭少な地帯は冲積地を形成し, 現世の土砂礫からなる。 上述の段丘地帯は多く原野をなし, 近年ようやく耕作地として開拓されてきたものの, 水田化されることが少ないのに対して, 冲積地は灌漑の便が良いので多く水田に利用されている。

石並川河口から名貫川河口に至る間の海岸には高さ数 m, 幅 50~100 m の小規模な砂丘が連続し, 内側に河流を停滞せしめ, あるいは湿地ないし湿地跡を残し, さらに海岸から数 10 m 沖には小規模な沿岸洲が生成しているが, これらは緩慢な隆起に伴なう海岸地形の変遷過程を示すものとして興味深い。

図版 5 通山浜附近の海蝕崖

II. 地質各說

II.1 新第三系

II.1.1 尾鈴酸性岩類

本岩類は北隣の富高図幅地内において, 石英斑岩ないし流紋岩からなる広大な岩体および その周辺に点在する石英斑岩を総称したもので, 本図幅地域には主として石英斑岩が露出する。

本岩類は富高図幅地内において, 中新統中下部と思われる庵川礫岩を貫ぬき, また一部ではこれを覆い, 本図幅地域においては, 中新統上部から鮮新統に亘るとみられる宮崎層群に不整合に覆われるので, その貫入噴出の時期は中新世中期と考えられる。

大きくみると岩体の内部はほゞ均質であるが, 岩質は花崗斑岩から石英斑岩に亘り, 一部は流紋岩というべきものを包含する。 たゞしこれらの岩相は漸移するものであって, 各岩種の間で貫入あるいは噴出の時期に前後があるのではなく, 一時期に貫入したものが冷却, 固結する際, 部分的に結晶度を異にしたものである。 なお, この岩体には火山砕屑岩を全く含まない。

尾鈴酸性岩は上記のように, 1) 半深成岩相から一部噴出岩相を呈し, これらが漸移すること, 2) 庵川礫岩層とは貫入関係, 一部では被覆関係にあること, 3) 広大な面積を占めて露出するが火山砕屑岩相を伴なうことなく, 中心噴火によるものでないこと, などからみて, きわめて浅所に貫入したものであり, しかも岩体の一部は地表にまで到達したもので, いわゆる「屋根破り式噴出」(De-roofing Eruption [ 以下の [注] 参照 ] )あるいは「広域噴出」(Areal Eruption)の型に属するものと推測される。 同様な噴出機構の岩石としては 紀伊半島の熊野酸性岩類に属する花崗斑岩が知られているが, それと尾鈴酸性岩類とは岩質上にも酷似した点が多い。

[注]
R. A. Daly : Igneous rocks and their origine, Mc. Graw-Hill Book Co., 1914

岩石はおもに暗灰色, 一部は淡灰色を呈し, 堅硬, 緻密であるが, 節理とくに柱状節理に富み, また流紋岩質のものでは板状節理その他の節理がある。 柱状節理の軸に垂直あるいはやゝ斜交する流理をもつものがあり, ことに流紋岩質のものにはこれが顕著である。 常に多量の斑晶をもって, 明らかに斑状を呈する。 また著しく変成された球状の捕獲岩に富む。

斑晶 : 斜長石・石英・黒雲母および2次的緑泥石。

斜長石および石英は最も多量であり, 大きさはそれぞれ 5 mm 以下のことが多い。

黒雲母は少量であって黄褐色の多色性を示す。

岩石中には緑泥石を斑晶状に多量にもち, そのうちには輝石の仮像を留めるものもある。

石基 : 石英・カリ長石・斜長石などからなり, 組織は細粒質, 微文象質, 珪長質などを示す。

石英およびカリ長石は他形をもって, 噛みあった形に結晶して石基の主体を作る。

斜長石は自形微柱状であって, その量は少ない。

捕獲岩には 全く再結晶して 珪線石・スピネル・コーディーライトなどを含むアルミナ質岩のものと, 紫蘇輝石・斜長石などからなる鉄アルミナ質のものとがある。 別に砂岩組織を残すものもある。

II.1.2 宮崎層群

本層群は図幅地域南方の妻・高鍋方面に標式的に発達するもので, その一部は本図幅地域南半の段丘周辺部すなわち谷壁や海蝕崖などにおいて, 段丘礫層下に狭小な露出が見られる。

全般的に東南東へ向かって平均 10°で緩やかに傾斜し, 基盤の尾鈴酸性岩類に対して 北方へ行くにしたがい順次上部が覆蔽するように分布している。

本層群は基底礫岩をもって尾鈴酸性岩体上に不整含に載り, 更新統に不整合に覆われる。

尾鈴酸性岩との関係 : 尾鈴酸性岩類との不整合面は図幅地域のほゞ中央, 三ケ月原扇状地の基部附近の名貫川谷底において観察され, 石英斑岩の風化面上に厚さ約 5 m の植物質黒色泥岩を挾んで, 本層群の基底礫岩が載る。

礫は石英斑岩・流紋岩・チャート・砂岩・頁岩などの径数 cm 程度の小礫からなり, 時に石英斑岩の大・巨礫を混ずる。 砂および粘土によって膠結され, 礫岩全体として凝固度は弱い。 この地点から下流約 500 m 附近に同じく凝固度の弱い砂岩が露出し, 石英斑岩ないし流紋岩を主とする小礫を混ずる。

唐瀬原の後背高地(沓袋西方)に位置する尾鈴酸性岩上の平坦部には, 石英斑岩の風化面上に, 石英斑岩のほかにチャートを含む小礫層が載る状態は 前記の不整合関係に酷似し, 尾鈴準平原面上の宮崎層群基底礫岩の一部が平坦面に残留したものとみられる。 さらにこのような尾鈴酸性岩類と宮崎層群との不整合関係は, 宮崎平野平坦面と尾鈴山塊を含む日向山地東斜面との交線すなわち山麓線に沿って, 本図幅地域外の南西方に, ほゞ連続約に露出する。 そしてこのような宮崎層群の分布状態と, 宮崎層群の不整合面ないし層面の一般的傾斜が 尾鈴山地東斜面の傾斜と大体一致すること, とから考えあわせて, 現在の尾鈴山地東斜面は 宮崎層群堆積前におけるかつての侵蝕面を再現しているものとみられる。

層序および岩相 : 平田川沿岸に露出する宮崎層群は, 岩相的に上部と下部とに分けられる。

下部は上述のような基底礫岩に始まり, 砂質淤泥岩, 淘汰良好な未凝固細粒砂岩および塊状泥岩の連続的な堆積を示す。 上部はふたたび凝固度の弱い細粒砂岩にはじまり, 次いでこの種の砂岩と泥岩または砂質淤泥岩との互層となり, 名貫川河口附近から通山浜に至る海崖によく露出する。

かような岩質的な層序は古生物的層序とよく対応し, 宮崎層群の堆積輪廻をよく表現している。 すなわち下部において下位の砂質淤泥岩中からは Cucullaea granulosa や Acila sp. などの貝化石が産出し, 浅海深部を指示するが, 上位の塊状泥岩ないし砂質淤泥岩中に産する貝化石 -- Olectospira excelsa, Pusia cfr. hondana などは浅海深部から半深海性を指示し, また同時に得られた有孔虫 -- Siphogenerinaraphana, Anomalina balthica などは泥帯棲種に属し, 現在土佐湾において 100~500 m の深度から採取されるものである [ 以下の [注] 参照 ] 。 したがって, 本層群下部は海侵の進展に伴なう急激な増深過程における堆積物と思われる。

[注]
浅野淸 : 土佐灣現生有孔虫類と土佐国安芸郡鮮新世化石有孔虫類との比較考察, 地質学雑誌,Vol. 44, 1937

これに対し, 上部ではふたたび凝固度の弱い砂岩が, 泥岩または砂質淤泥岩と互層し, Cucullaea granulosa が特徴的に再出現するほか, 潮間帯から浅海を指示する貝化石 -- Dosinia cfr. troscheli, Tonna cfr. luteostoma, Volsella nitida, Glycymeris rotunda, Linthia nippcnca などを産するので, その堆積環境は下部の半深海性から沿海性に急変し, かつかなりの動揺があったものと推定される。

このような平田川沿岸に見られる岩相は, 北方へ向かって変化が甚だしく, 例えば下部最上位の泥岩は次第に粒度を増し, 淤泥岩や砂質泥岩ないし泥質砂岩に漸移する。 名貫川下流沿岸犬猪久保附近では砂質淤泥岩ないし細粒砂岩が露出し, Cucullaea granulosa をはじめ Chlamys satowi, Anomia sp., Chlamys sp. を産する。

しかし一方, 南方へはこの平田川における岩相がかなりよく連続し, 図幅地域外の小丸川北岸では, 概括的に, 下部 -- 基底礫岩相・砂岩および泥岩相・細粒砂岩相・塊状泥岩相, 上部 -- 砂岩および泥岩ないし砂質淤泥岩相, の順序で, 本図幅地域のものにそれぞれ対応する。 これら岩相の相互関係は第 1 図によって示される。

第 1 図 宮崎層群岩相変化概念図

本層群下部はほゞ従来の妻層(群)(中新統上部)に, 上部はほゞ高鍋層(群)(鮮新統)にそれぞれ相当する。

本地域における本層群産出化石を纒めれば第 2 表の通りである。

なお, 通山浜には図幅地域南縁に近接した図幅地域外の海崖から, 海棲動物化石を豊富に産出する(図版 6)ので, 併せて表示する。

第 2 表

宮崎層群産貝化石
下部
Acila sp.
Cucullaea granulosa JONAS
Chlamys satowi YOKOYAMA
Ch. sp.
Anomia sp. Pusia cfr. hondana YOK,
Olectospira excelsa (YOK.)
上部
Cucullaea granulosa JONAS
Glycymeris rotunda (DUNKER)
Musculus (M.) n. sp.
Volsella nitida (REEVE)
Amussiopecten sp.
Limatula sp.
Vasticardium sp.
Paphia sp.
Collista sp.
Dosinia cfr. troscheli LISCHKE
Tonna cfr. luteostoma (KÜSTER)
Olivella cfr. baetica (CARPENTER)
(海胆)
Linthia nipponica YOK.
上部(通山浜附近 図幅地域外)
Hawaiarea uwaensis (YOK.)
Anadara castelata YOK.
Glycymeris rotunda (DUNK.)
G. imperialis KURODA
Limopsis (Emploconia) cumingii A. ADAMS
Volsella nitida (REEVE)
Atrina (Servatrina) pectinata (LINNÉ)
Chlamys sp.
Patinopecten tokyoensis (TOKUNAGA)
Amussiopecten praesignis YOK.
Ostrea sp.
Limatula sp.
Venericardia panda (YOK.)
Cardium sp.
Callista cfr. chinensis (HOLTEN)
Mactra sp.
Solen grandis DUNK.
S. krusensterni SCHRENCK
Miyadora sp. (n. sp.)
Cuspidaria sp.
Umbonium (Suchium) suchiense MAKIYAMA
Turritella sp.
Nassaria sp. (n. sp.)
Fusinses perplexus (A. AD.)
Dentalium (D.) weinkouffi DUNK.
(珊瑚)
Flabellum sp.
宮崎層群産有孔虫化石
下部
Robulus calcar (LINNÉ)
R. lucidus (CUSHMAN)
R. cfr. lucidus (CUSHMAN)
Nodosaria deceptoria SCHWAGER
Lagenonodosaria scalaris (BATSCH)
Ellipsonodosaria lepidula (SCHWAGER)
Lagena acuticosta REUSS
L. sulcata spicata CUSHMAN and MC. CULLOCH
L. semistriata Williamson var.
L. Sp.
Fissulina orbignyana (SEGUENZA)
Nonion kidoharaense FUKUTA
N. japonicum ASANO
N. Sp.
Pseudononion japonicum ASANO
Elphidium fax barbarense NICOL
E. advenum (CUSHMAN)
Bulimina marginata d'ORBIGNY
Entosolenia catenulata WILLIAMSON
E. Sp.
Renssella sp.
Uvigerina nitidula SCHWAGER
Siphogenerina raphana (PARKER and JONES)
Eponides praecinctus (KARRER)
E. aff. praecinctus (KARRER)
E. aff. subornatus (CUSHMAN)
E. umbonatus (REUSS)
Rotalia japonica HADA
R. ketienziensis angulata KUWANO
R. takanabensis (ISHIZAKI)
R. aff. ketienziensis angulata KUWANO
Hanzawaia nipponica ASANO
H. aff. hamadaensis ASANO
Anomalina flintii CUSHMAN
A. balthica (SCHROETER)
A. sp.
Planulina sp.
Globorotalia micheliniana (d'ORBIGNY)
Globigerina spp.
上部(通山浜附近 図幅地域外)
Robulus nikobarensis (SCHWAGER)
R. lucidus (CUSHMAN)
Dentalina emaciata REUSS
Lagenonodosaria scalaris (BATSH)
Lagena striata (d'ORBIGNY)
L. sp.
Nonion japonicum ASANO
N. sp.
Elphidium fax barbarense NICOL
E. kushiroense ASANO
E. sp.
Bulimina marginata d'ORBIGNY
Entosolenia catenulata WILLIAMSON
Bolivina hanzawai ASANO
B. seminuda CUSHMAN
Uvigerina nitidula SCHWAGER
Siphogenerina raphana (PARKER and JONES)
Eponides sp.
Rotalia ketienziensis angulata KUWANO
R. sp.
Epistomina elegans (d'ORBIGNY)
Hanzawaia nipponica ASANO
H. hamadaensis ASANO
H. cfr. nipponica ASANO
Globigerina spp.

II.2 第四系

II.2.1 通山浜層

更新世初期の堆積物としてすでに知られているものに, 通山浜層がある。

この標式的露頭は図幅地域南端の通山浜附近の海蝕崖にみられ(図版 6), こゝでは宮崎層群上部の侵蝕面上に, 基底礫岩に始まり, 礫質砂岩を主とし, 淤泥岩を最上部とする未凝固堆積物で, 厚さ 50 m 以下であり, 更新統段丘礫層に不整合に覆われる。

図版 6 通山浜附近の海蝕崖に露出する 宮崎層群上部の含貝化石層(下半部にみえる白い斑点は貝化石の露出)と 通山浜層(崖の中央からやゝ上方に宮崎層群を不整含に覆う礫岩がみえる)。

基底礫岩中の礫は石英斑岩を主とするが, その上の砂層中の礫は砂岩を主とし, それに石英斑岩・頁岩・チャートなどを混ずる。 また礫の大きさは径 10 cm 以上の中・大礫を主とするが, 処により, 径数 cm 以下の小礫ないし細礫からなり, また時に偽層を呈している。

通山浜南方図幅地域外において, 本層最上部の凝灰質淤泥岩中から Moerella sp. を産し, 同淤泥岩が干潮線に近い沿岸に堆積したことを示している。

また通山浜北北西, 松原附近に凝灰質白色粘土を挾む砂と礫との互層の小露出があるが, これらも通山浜層の連続と考えられる。

II.2.2 たて 野礫岩層

名貫川中流立野附近の谷底に顕著な礫岩が露出し, 段丘礫層に不整合に覆われている。 この礫岩を便宜上立野礫岩と呼ぶ(図版 7)。 礫は石英斑岩のみによって構成され, 円礫および亜角礫状の径 10~20 cm の中礫で, 同じく石英斑岩の細片によって比較的堅く膠結されている。 本層は一部に厚さ 2~3 m の未凝固白色粘土を挾み, 僅かに東方へ傾斜(5~10°)している。

図版 7 立野附近, 名貫川谷底に露出する立野礫岩層

本礫岩層は宮崎層群の基底礫岩と比較して, 礫の組成や堆積状態を異にしている。 また他岩層との直接関係は観察できないが, 介在する粘土の凝固度や礫種から推して, 宮崎層群よりも新しく, 段丘礫層よりも古い堆積物, すなわち逼山浜層に相当する地層とみられる。

本礫岩層の堆積面は周囲の尾鈴酸性岩体と完全に交わっている。 堆積状態, 礫質および地形を考えあわせて, 本層は宮崎層群堆積後の急激な地殻変動に起因する地溝堆積物と考えられる。

立野礫岩と同様の堆積物と考えられるものは, 都農川中流木戸ノ平附近と, 心見川中流又井野および長野附近の河岸にも露出し, いずれも 径 10~30 cm の角礫状ないし亜角礫状の 石英斑岩のみからなる中・大礫礫岩を主とし, 礫質または砂質泥岩を挾んでいる。 そのうち, 長野附近の砂質淤泥岩中には厚さ 1 m 以下の亜炭層を1枚挾み, 南東へ向かって約 10°傾斜しており, その堆積状態および周囲の地質的条件を考えあわせて, 同堆積物が閉鎖的内陸性のものであることを示している。 亜炭層は上記の地点に僅かに露出するのみでほかにみられないので, おそらく局地的な堆積物に過ぎないと思われる。

II.2.3 扇状地および段丘堆積物・ローム層

扇状地ないし段丘を構成して広く分布する氾濫性粗粒堆積物は, 主として礫層からなり, しばしば上部に粘土質赤土および黒色腐植土を載せる。

赤土は普通日向ロームと呼ばれているものであるが, これは関東ロームにおけると同様, 更新統最上部を特徴づける地層として取扱われているので, このローム層を伴なう段丘堆積物を更新統に属するものとする。

一般に更新統に属する礫層は厚さ 10 m 以上に及ぶが, 現世統に属するものは 10 m 以下のことが多い。 またローム層の厚さは, 美々津段丘群においては約 1 m であるが, 唐瀬原扇状地のものは 3 m に達する。 またローム層の不明瞭な場合でも黒色腐植土は多くの段丘に発達し, おおむね厚さ 50 cm 程度である。

全段丘群を通じて, 構成礫は径 10~30 cm の中・大礫を主とし, このような礫層の間に時に砂層または粘土層が介在する。 また礫は石英斑岩を主とするが, 図幅南部地域では砂岩・頁岩・チャートなどを伴なうことがある。

いわゆる日向ロームは, 更新世末における 霧島火山の活動に由来する火山灰の風成堆積物と考えられている。 構成物質は石英粒・鉄鉱片のほかは大部分無定形, 赤褐色の粉末からなる。 また分析の結果は約 10 % の Fe2O3 を含み, その含有量は関東ロームに酷似する [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
H. Tsuya : Mineralogical and Chemical composition of the Kanto Loam from Turumi, 震研彙報,No. 17, 1939

黒色腐植土はローム層の表部をなし, 植物の還元作用と腐植堆積によって生じたものと思われる。

II.2.4 冲積層および砂丘堆積物

現世における堆積物としては, 上述の扇状地および段丘砂礫層の一部のほかに, 段丘より低所に分布する河岸冲積地および海岸冲積地, 海岸小砂丘などをつくる堆積物がある。 砂礫および粘土からなり, 海岸砂丘のものはほとんど砂と礫のみからなるが, 他の多くは表層部に風化ないし腐植土壌を生じている。

III. 地質構造

各岩層の一般的な構造については既述の通りであるが, その造構造運動のおもな時期としては, 以下のような対応付けが考えられる。

宮崎層群堆積直前 : 新第三紀前半
宮崎層群堆積後, 通山浜層などの堆積前 : 新第三紀末
通山浜層などの堆積後, 現在まで : 更新世~現世

まず宮崎層群堆積直前のものとして, 尾鈴酸性岩体を含む基盤の準平原化と, その上に宮崎層群を堆積せしめた沈降運動とが想定される。 この際 尾鈴酸性岩類の噴出岩体が 後背基盤からの物質の供給を阻止していなかったことは, 宮崎層群基底礫岩の礫種から窺われ, 準平原化の進捗と同時に, 尾鈴酸性岩体が西方後背基盤に較べて相対的に沈降の傾向にあったと想像される。 北隣の富高図幅地内における坪谷川 - 塩見川構造線生成の萠芽は すでにこの時期にあったと思われる。 しかし宮崎層群全体の堆積は, たゞ尾鈴酸性岩体地域のみの沈降によるのではなく, 日向山地を形成する基盤の傾動に基づく東側の広範囲な沈降によるものと思われる。

次に注目されるのは更新統下部に属する通山浜層および立野礫岩などの存在である。 これらと宮崎層群との不整合関係および堆積状態の特異性は, 宮崎層群堆積後, 通山浜層堆積前の間において 地盤の隆起・侵蝕・断層・沈降などが行われたことを示している。 宮崎層群堆積後のこの期間には 尾鈴酸性岩体を越えて後背基盤地帯からの物質の供給が ほとんど杜絶していたことは通山浜層の構成礫の種類によって判る。 すなわち, この間においては, 尾鈴酸性岩体を含む基盤が西方に高まる傾動隆起を開始し, その際尾鈴酸性岩体は独特の地塊と化し, 先の沈降運動とは逆に, 尾鈴酸性岩体を含む基盤が後背の基盤の前面を遮断するような傾動隆起を行い, その途上において, 尾鈴酸性岩体内はさらに塊裂し, ある部分は隆起して地壘となり, ある部分は陥没して地溝を形成したものと推定される。 そしてこの時期における造構造運動の結果は現在の地形にもよく残されていて, 例えば尾鈴山塊の傾動地塊地形, 富高図幅地内における坪谷川 - 塩見川構造線, 本図幅地域における心見川・都農川などの中・上流にみられる ENE ‒ WSW またはこれらの方向を切る断層地形などは よくこの間の地塊運動を物語るものである。 宮崎層群は本地域内ではほとんど断層や擾乱をうけていないようにみえるが, 宮崎方面においては岩石の凝固度が大で, 相当著しい断層を伴なって地塊化していることが知られている。 したがって, この時期における造構造運動は相当広域に亘って行われたものであったが, 地層のうけた影響はその物理性の差によって相違を生じたものと解される。

最後に 本地域平野部の大半を占める扇状地ないし段丘堆積物は ほゞ現在と同様な河川の氾濫によるものであって, その段丘化は現世に至るまで引続いて行われている 尾鈴地塊を含む日向山地の傾動隆起に伴なう海岸平野部の連鎖的隆起と, 各河川による侵蝕・堆積との相互反復作用の結果とみられる。

文献

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日向海岸平野(宮崎県)の鮮新期初期からの地殻変動とそれに関する疑問, 地理学評論,Vol. 8, 1932
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宮崎層群中の Cyclamina について(講演要旨), 地質学雑誌,Vol. 55, 1951
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宮崎県の地質と地下資源, 1955

EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN Scale 1 : 50,000

TSUNO

Kagoshima, No. 61

By YOSHITO KINO (Written in 1955)


Abstract

The northwestern half of the area mapped is a part of the Osuzu mountain block composed of acidic igneous rocks. Flat-topped surfaces are seen on the mountains, and they are considered as the survival of early Neogene peneplaned land mass.

The southeastern half of the area mapped is located in the nothern part of Miyazaki coastal plain, and is constituted of Neogene and Quaternary sediments. The half of this area is characterized by many fans and terraces.

The geological sequence in the area is summarized in Table 1. There are no workable mineral resources.

Table 1. Summary of the Stratigraphy

Osuzu acidic rocks

The Osuzu acidic rocks in this area are a part of the great intrusive body caused probably by a sort of "areal eruption".

The rocks intrude and partly cover the Shimanto group of the "Unknown Mesozoic", and the Iwogawa conglomerates are presumed to be early Neogene in the area of Tomitaka sheet-map and are unconformably overlain by the middle and upper Neogene Miyazaki group in this mapped area.

The rocks comprise quartz porphyry, biotite granite porphyry and rhyolite, but the former is dominant, these rock facies seem to be transitional to one another.

Miyazaki group

This is a part of the Miyazaki group which widely distributes in Miyazaki coastal plain, but in this mapped area, group is narrowly exposed on a cliffs along rivers, sea coast, and others.

This group is stratigraphically divided into two parts, the lower and the upper.

The lower part, nearly corresponding to the Tsuna formation of the Miyazaki group, is constituted of basal conglomerate, sandy siltstone, well-sorted fine grained sandstone and massive dark-gray mudstone, from the base upward.

The characteristic molluscan fossils, such as Cucullaea granulosa, Acila sp., Oleclospira exeelsa and Pusia cfr. hondana ; are found, and the foraminiferal fossils such as Siphogemerina raphana and Anomalina balthica are also yielded.

The upper part comparable with the Tanabe formation of the same group, is composed of alternating sandstone and mudstone or sandy siltstone. The characteristic molluscan fossils, for example, Cucullaea granulosa, Dosinia cfr. troscheli, Volsella nitida and Glycymeris rotunda are yielded.

These lithological and paleontological character indicate the following fact ; the lower part is represented by a type of deposit that gradually accumulated in shallow water which may have been undergoing continual subsidence, but the reverese phenomena have been appeared in the upper part of this group.

Quaternary

The mode of occurence and the character of the conglomerates of early Pleistocene Tōriyamahama formation, Tateno conglomerate and other similar coarse materials, covered by Pleistocene and Recent terrace gravel beds, would seem to indicate that a abruped deposition had occurred on a eroded surface of the Miyazaki group or faulted grooves of the Osuzu tilting block. The block movement took place at the final stage of Neogene.

On the other hand, most of the Quaternary sediments wide-spread in this area are represented by fluvial deposits upon broad fans and terrsces.

Among the fluvial deposits, geological age of which are covered by reddish volcanic ash, the so-called "Hyuga loam", are assumed to be latest Pleistocene ; others are Recent. Fan or terrace dilluvium is composed of gravel, sand and clay, occurring along shore and streams.


昭和 31 年 8 月 1 日印刷
昭和 31 年 8 月 6 日発行
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