11001_1965

5萬分の1地質図幅説明書

大江山

(京都 第 1 号)

通商産業技官 猪木幸男
通商産業技官 黒田和男

地質調査所

昭和 40 年


目次

I. 地形
II. 地質
II.1 概説
II.2 いわゆる夜久野帯の岩石(時代未詳の岩石類)
II.2.1 夜久野南帯の岩石
II.2.2 夜久野北帯中の岩石類
II.3 古生界
II.3.1 下見谷層
II.3.2 未詳の古生界
II.3.3 舞鶴層群
II.4 中生界
II.4.1 夜久野層群
II.4.2 志高層群
II.4.3 難波江層群
II.5 超塩基性岩およびその付随岩類
II.5.1 大江山岩体
II.5.2 南東部の構造線に沿う岩体
II.6 中生代末期の火成岩類およびホルンフェルス
II.6.1 安山岩質噴出岩
II.6.2 流絞岩~石英斑岩
II.6.3 迸入岩類
II.6.4 ホルンフェルス
II.7 第四系
II.7.1 物部層
II.7.2 段丘堆積物
II.7.3 崖錐堆積物
II.7.4 冲積層
III. 応用地質
III.1 大江山を中心とした鉱床
III.2 図幅南部地域の鉱床
III.3 その他の鉱床
文献

巻末図版

Abstract

1 : 50,000 地質図幅説明書(昭和 36 年稿)

大江山

(京都 第 1 号)


本図幅は昭和 33 年から昭和 34 年にかけて野外調査を行ない, その後, 室内研究を続けて取りまとめたものである。 調査地域のうち黒田は中・古生層の分布範囲内を, また猪木は主として火成岩類および変成岩類などの分布地域を担当し, 全般的取りまとめをした。

本図幅地域内の中・古生層の分布範囲のうち, 大江町周辺部については, 京都大学の中沢圭二教授らによって, 長年月をかけて行なわれた詳細な研究があり, 本文中にも同教授らの発表資料に基づいて記述した箇所が少なくない。

応用地質の項では, 調査当時すでに休山, 廃山となっている鉱山も少なくないので, その鉱床の概略について. 既刊の資料, および本所鉱床部あるいは大阪駐在員事務所の保管資料に基づいて記述したものがある。 また, 夜久野南帯中, 縞状鉱については, 本所鉱床部の竹田英夫技官の記載によっている。

I. 地形

本図幅地城は近畿地方の北部にあって, 行政上は大部分が京都府に, 北西の一部が兵庫県に属する。 地形的には丹波山地の北縁部にあたり, 丹波・丹後の国を境する大江山およびそれに連なる山々と, その間を縫って流れる由良川・野田川に沿う若干の平地からなり立っている。

図版 1 鬼ケ城から大江山連峰を望む

本地域は, 山地の地形的特性によって次の3地域に分けることができる。 その境界は, 1つは地域南西隅の長須から仏坂峠・雲原・与謝峠を通って 加悦 かや 町に抜ける 北北東 - 南南西方向の地形的断層線であり, 他のものは, 南端中央部の上天津から同じく北北東に河守・毛原・寺尾敷を通って小田に抜ける 地形的断層線である。 この断層線は必ずしも, 全般的地質状況に大きな変動をあたえるものではないが, ほぼ平行するこの2本の地形的断層線によって分けられる3つの地域を, それぞれ 東部地区 中央地区 西部地区 と呼ぶことにする。

西部地区 は, 主として中生代後期に迸入した花崗岩から構成される山地からなっている。 海抜高度は北側で海抜 500 m 前後, 南側では 650 m 前後を示し, 江笠山・ 郷路 ごうろ [ ← 郷路山 ? ] ・伏見山等の山が点在しているが, とくに甚だしい起伏が認められない。

中央地区および東部地区の中心となる山稜は, 地域北東隅付近の赤岩山(669 m)にはじまり, 西南西 - 東北東に延びて大江山(832.6 m)に至る 一連の大江山連峰と呼ばれている山脈で, 南側の由良川水系と北側の宮津湾に注ぐ水系の分水界となっている。 この一連の山稜は主として超塩基性岩からなり, 饅頭形のまるい山容を示す。 北側ではかなりの急斜面をなして, 宮津湾・与謝の海および野田川の谷を形成する一連の低地に臨んでいるが, 南側では徐々に高度を下けて, 由良川沿いの低地に至るひと続きの山地に連続している。

中央地区 は, 北から順に大江山(千丈ケ嶽)・赤石嶽・天ケ峯・三岳山・竜ケ城にみられるように, 比較的とがった形を呈する山が, 各所に点在することが地形的特徴となっている。 これらのとがった形の山は, 古生代・中生代に生成した岩石が, 花崗岩類の影響を受けた結果, 著しく堅硬となった岩石(ホルンフェルス)から構成されていることが多い。

東部地区 では, 主として非変成中生層・古生層から構成される山地からなり, 海抜 250~350 m の山が連続している。 一般に稜線はほぼ一定の高度を示し, 長く連続する性質をもち, その方向が, 地層や岩石の配列方向とほぼ一致することも, この地区の山の特徴ということができる。

これら3区の地形を総合して, 本図幅地域一帯は過去に一度平坦化された後に隆起し, その後の削剥作用によって現在みられるような地形となったのであるが, 削剥作用の進む速さが, 構成する岩石のやわらかさにほぼ比例するような状況におかれたので, 山の形や比高, 稜線の走る方向などが, 地質を反映しているようである。

第 1 図 図幅地域周辺概念図

本地域のおもな河川としては, 南東部を斜断して北東に流れる由良川, およびこれに注ぐ数多くの支流があり, 主要水系網を形成している。 また地域北都には野田川が北流して北隣の宮津図幅地域内に入り, 北西部では, 太田川・久畑川が西隣の出石図幅地域内に入り, 出石川となって西流する(第 1 図)。 前に述べたように水系網は地質の支配を受け, 断層破砕帯や比較的侵食作用に対する抵抗性の小さい岩石の分布する部分を撰択して, 河谷が配置している。 河谷の横断面は V 字型で, 両斜面の傾斜はかなり急であるが, 地域北東部の超塩基性岩の露出する地区だけは, 浅くて両斜面が開いた谷型を示し, 他の地区とかなり不調和な状態をもっている。 図幅地域北部中央寄りの野田川に沿う低地を除けば, 谷底平野の発達はきわめて悪く, 谷はしばしば峡谷状となって山間を縫って流れるため, 長く連続した平地に乏しい。 由良川は丹波山地一帯の水を受ける(流域面積 約 1,800 km2)大河川であるが, 南隣の福知山図幅地域内の福知山盆地に集まった水が本図幅地域内を通過し, しかも谷底平野を伴わないので, 多雨時, 豪雨時における水位の上昇が甚だしく, 数年に1度の割で谷底平野全帯が一つの流れと化す大洪水が発生している。 第 2 図版は昭和 34 年の 15 号台風による大江町の浸水の状況を示す。

図版 2 昭和 34 年の 15 号台風による大江町 河守の浸水

地域南東隅の物部付近には, やや広い平地があり, いわゆる洪積台地を伴う。 この平地は細長く東方に, 東隣の舞鶴図幅地域内に連続するもので, 比較的新しい地質時代に生じた窪地とも考えられる。 なお, この洪積台地と時代的に同一とみられる段丘が, 由良川およびその支流に沿ってわずかに分布する。

本図幅地域, ことに西部地区・中央地区では, 北北東 - 南南西方向, および北北西 - 南南東方向のいくつかの断層破砕帯がある。 例えば 中央部の天座 [ ← 雲原の東方 2.5 km ? ] から南南西に 下野条・喜多・戸倉・一ノ宮・新宮・岩戸 [ これらすべての位置不明 ] を通る一連の地形異状線に示されるような, ほぼ直線上に並ぶ地形異状が認められる。

II. 地質

II.1 概説

本図幅地域の地質は, 大きく2つの地質単元からなっている。 それは前述の地形的区分とは無関係である。 1つは図幅地域内の中央部から南東部にかけて分布し, いわゆる「夜久野岩類」, 古生層および三畳系を主とする「舞鶴帯」に特有な岩石群で構成されており, 他の1つは北西部に広く分布する花崗岩類を主体とした 中生代末期の火成岩類から構成されている。 そして, これらはいずれも, 大まかに北東 - 南西ないし東北東 - 西南西の方向性をもって帯状に分布している。

本地域内の「舞鶴帯」を構成する岩石類は, それぞれ東隣の舞鶴図幅地域から引き続くものである。 北側から中下部二畳系とされている大浦層(本図幅では 下見谷 しもみたに 層), その南側に剪裂帯を伴う断層を境として, 「夜久野北帯」 [ 以下の [注] 参照 ] が分布するが, これは図幅中央南東部地域で, 断層によって断たれ尖滅している。 さらにその南側には, 「夜久野南帯」 [ 以下の [注] 参照 ] との間の中央帯あるいは中間帯 [ 以下の [注] 参照 ] があって, 上部二畳系の舞鶴層群および大浦層(下見谷層)の一部が分布し, そのなかに夜久野層群の一部とみられる三豊系が挾在している。

[注]
[ 「夜久野北帯」, 「夜久野南帯」およびそれらの間の中央帯あるいは中間帯は ] いずれも舞鶴地質図幅内に使用された舞鶴帯中の構造亜帯である。

「夜久野南帯」は図幅地域の南東隅を占め, 南隣の福知山図幅地域にまたがって分布している。

南帯もまた中央南部, 室尾谷付近で南北性の断層できられ, 西方への延長を閉しているが, 南隣の福知山図幅地域内で, それが南方にずれ, 同じく帯状分布をして西方へ延びている。

図幅地域の中央東部に分布する三畳系の 志高 しだか 層群 [ 以下の [注] 参照 ] は, 大浦層(下見谷層)と夜久野北帯との両側にまたがり, それとは断層あるいは不整合関係で接している。

[注]
本層群の時代的位置については下部三畳系とするものと, 上部三畳系とする両説がある。 本地質図幅では中沢圭二の前者の説に従っている。

夜久野北帯を構成する岩石類は, 舞鶴図幅地域でみられるものと異なり, 3つのブロックをつくっている。 東側から,

(1) 舞鶴花崗岩を主とするブロック ; これは [ 東隣の ] 舞鶴図幅地域内に広く分布するが, 本図幅地域の東端部に, その西の縁辺部がわずかに分布するにすぎない。
(2) 舞鶴花崗岩類似の小岩体と輝緑岩質岩とのコンプレックスのブロック。
(3) 黒雲母片麻岩・角閃岩類を主とする変成岩および火成岩からなるブロック。

これらのうち (1) および (2) は舞鶴図幅地域内での夜久野第3岩群に属し, (3) は構成岩類からみると夜久野第1岩群に属す。

夜久野南帯の岩石は舞鶴図幅地域内での同帯の構成メンバーと同様で, 角閃石片岩~細粒角閃岩および 片麻状変成角閃石斑糲岩(粗粒角閃岩)を主体とする帯(夜久野第1岩群)と, 泥岩層および「輝緑凝灰岩」層からなる 市野瀬層群(輝緑凝灰岩層中の輝緑岩質~斑糲岩質岩は夜久野第2岩群に属する) とを含んでいる。

夜久野南北両帯に含まれる夜久野第1岩群に属する岩類は, いずれも時代不明であり, 市野瀬層群もまた, 本地域内でも依然 時代を決めるべき化石を含んでいない。 北帯の舞鶴花崗岩は 舞鶴図幅地域内では下見谷層(大浦層)および舞鶴層群を貫いており, 本地域では, この類似岩である北帯 (2) の花崗岩質小岩体は, 志高層群の一部に不整合で覆われていることが, 中沢圭二 追1) によって述べられている。

北帯の西端ブロックの変成岩類と南帯の変成岩類とは岩質, 産状ともにきわめてよく類似している。 また粗粒角閃岩(変成斑糲岩)は, これらの変成岩のもつ構造にほぼ調和的に迸入した変動時~後変成期の迸入岩と考えられる。 南帯では変成岩を捕穫しているところがある。 この両帯の変成岩はおそらく同一変成帯に属するものであろうが, その形成時期については詳らかでない。 以上のような考察から両帯の変成岩を別々の名称 [ 以下の [注] 参照 ] で呼ぶよりは一括して舞鶴変成岩と呼ぶことにする。

[注]
舞鶴図幅説明書で南帯のものを舞鶴変成岩 56), 61), 67) , 加納・他 55) によれば北帯のものを河守変成岩と呼んでいる。

以上のような「舞鶴帯」を構成するいくつかの亜帯あるいはブロックの間には, たいていの場合, 断層あるいは剪裂帯があって, それを境として, それぞれが接している。

このような構造線上には, 処々に蛇紋岩の小岩体が点在していることがある。 図幅地域中央南東部の夜久野北帯と, その南側の下見谷層との境にみられる蛇紋岩列はその著しい例である。 図幅地域中央北部の大江山連峰の大部分を構成する超塩基性岩体も その一例である可能性もあるが, 岩体の規模の相違, 北側に直接する中生代末期の花崗岩類などによって, その構造的位置は不明となっている。 いずれにしても この超塩基性岩も三畳紀末以後花崗岩類迸入以前であろうと推定され, 一応, これらの蛇紋岩の小岩体を含めて舞鶴図幅地内での夜久野第4岩群の一部としておく。

とにかく, 本地域内では, 南部~南東部地域の三畳系以後の堆積層はみられず, 北西部に広く分布する中生代末期の迸入岩類の頃まで相当な時代間隙があるようである。 つまり舞鶴地質図幅で述べたように, 三畳紀に湾入性の海侵があって三畳系の堆積をみた後, 一大変動をもたらす造構運動があって, いまの舞鶴帯の外枠ができ, その時の構造線に沿って蛇紋岩類が迸入した。 その後, この地域は隆起を続けていたもののようで, 中生代末期に至って, 中国地方全域にわたる酸性岩を主とする火山活動, 深成活動など一連の火成活動があった。 この地域の北西部に広く分布する迸入岩類は, その深成活動に深いつながりをもつ岩石である。 本地域の中生代末期の迸入岩類には, 種々の岩相あるいは岩質の違いがみられ, それぞれ迸入時期を異にしており, それらは鳥取 [ 以下の [注] 参照 ] を中心とした同種の岩石類と迸入の時期がある程度一致している。 これらの一連の迸入岩類は直接する中生層あるいは古生層に熱変成作用を与え, これらをホルンフェルス化している。

[注]
村山正郎・山田直利・その他による既刊文献 66) , および未刊図幅 追10), 追11)

また, これらの中生代末期の迸入岩類のなかで比較的早期の迸入岩類と考えられるものには, 一つのコンプレックス ベルトを構成しているものがある。 このベルトは約 500 m 位の平均幅をもち, ほぼ NE - SW~ENE - WSW の方向をとっており, これは前述した, 南側の地質単元の一般的伸長方向に一致している。 つまり, この2大単元の新旧両構造の間になんらかの関連性のあることを思わせるものがある。

本地城には第三紀の堆積岩を欠いている。

第四系としては南東隅において, 舞鶴図幅地域内に標式的分布を示す物部層(同図幅地域では 梅迫 うめざこ 層)があり, その他, 由良川流域および北部の野田川などの流域には段丘堆積層がみられる。 おもな河川沿いには, さらに冲積層がよく分布している。

以上の地質を総括すると第 1 表のとおりである。

第 1 表 地質総括表

II.2 いわゆる夜久野帯の岩石(時代未詳の岩石類)

夜久野南帯および夜久野北帯に含まれる変成岩およびそれに伴われる迸入岩類と, 南帯中の市野瀬層群が時代未詳の岩石類である。 また北帯中の (2) のコンプレックス ブロック [ 先に「II.1 概説」で記載している ] に含まれる諸岩のうち, 花崗岩質岩は舞鶴花崗岩に類似しているが, その被迸入岩類は時代不詳である。 したがって, ここでは, 北帯の (2) のブロックの岩石類をも一括して, この章で述べることにする。

II.2.1 夜久野南帯の岩石

[ II.2.1.1 ] 変成岩およびそれに伴う迸入岩

本地域では次のものが区別される。

1) 角閃石片岩~細粒角閃岩 [ Mh ]
2) 黒雲母片岩~片麻岩 [ Mb ]
3) 片麻状変成角閃石斑糲岩(粗粒角閃岩) [ Ma ]

本地域内では, 舞鶴図幅地域内によく発達する他の貫入岩, 例えば塊状斑糲岩あるいは優白岩質の小岩体などは, まれにしか認められない。

1) 角閃石片岩~細粒角閃岩 [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
肉眼のうえでも, 鏡下でも斜長石が不明確で両者いずれとも区別し難い場合が少なくない。 しかしどちらかといえば, むしろ細粒角閃岩と呼ばれるべきものである。

本岩は舞鶴図幅地域との境界付近に分布する。 露頭は著しく風化し, 部分的に粘土化したものがある。 またこの地域は一般に岩石の露出状況が悪く, 他の岩石類, 例えば市野瀬層群・二畳系および三畳系の岩石などとの関係が明らかでないが, それらの縁辺部付近の岩石がとくに著しく擾乱され, ミロナイト化していることが多いという点などから, その間に断層ないし剪裂帯のあることが, 推定される。 また 石隅 いしくま [ ← 石ノ隈 ? ] の北部地域にみられる角閃石片岩様岩石もこの一部と思われるが, とくにこの付近は著しく岩石が擾乱しているため, 市野瀬層群の輝緑岩質岩中の捕獲岩であるのか, 両者が相互にもみ込まれたものであるのか判然としない。

一般に本岩は, 外観的にも片状組織および白黒の縞目が明瞭である。 露頭では普通は表面が風化のため赤茶色となっており, また比較的新鮮な部分でも帯緑暗灰色の脆弱な岩石となっている。

本岩は細粒で, 片状組織は鏡下でも明瞭である。 変質した斜長石の変質程度はまちまちであるが, その An 成分は決め難い。 角閃石は細粒ではあるが, 長径 1.0 mm 位のものがある。 2 Vx ≒ 86°, c^Z ≒ 22°, N2 ≒ 1.671 である。 その他, スヘン・チタン鉄鉱・硫化物・緑泥石・石英・縁簾石などを少量含んでいる。

本岩は処々に優白岩質の小岩体によって貫かれている。 その小岩体は主として, 石英閃緑岩質のものであり, プロトクラストないしカタクラスト構造が著しく, 斜長石・石英を主成分として, 緑色角閃石・黒雲母を伴うが, 有色鉱物はたいてい緑泥石化している。 斜長石は多くソ-シェル石化ないし白色雲母化し, その成分は決め難い。 2次的に黝簾石あるいは緑簾石・緑泥石ができており, 葡萄石の細脈がよく発達している。

2) 黒雲母片岩~片麻岩

図版 3 夜久野南帯中の捕獲岩様黒雲母片岩~片麻岩(山野口から なか へぬけるつもりの谷にて)

本岩は豊里の南西方, 福知山市佐賀の多谷の奥の沢のなかに露出する。 後述の粗粒角閃岩(片麻状変成斑糲岩)の比較的細粒部に挾まれ, 捕獲岩様の産状を呈している。 その露頭写真を図版 3 に示す。 岩石そのものは, 表面が風化し, 汚染しているが, 比較的堅硬な岩石である。 一見するとミロナイト様の岩石であるが, 片理の明らかな白黒の縞目構造を示すものと, 塊状で片理のはっきりしないものとが, 互層様ないしは層々迸入様をなしている。 この片理の方向は 周囲の粗粒角閃岩の片理ないし角閃石の平行配列の方向にほぼ一致し調和的である。 片状のものは鏡下でも, 肉眼的にも片状構造が明らかであり, 塊状のものは, 鉱物組成の平行配列が明らかでなく, モザイック組織を示すが, 細粒の花崗岩様の構造がうかがえる。 しかし, いずれの岩石も, 石英・斜長石を主とし, 黒雲母を伴っている。 カリ長石らしいものはあるが, 変質のため確認できない。 石英・長石類とも, 径 0.3~0.5 mm の大きさで等粒であるが, 黒雲母は小型で, 0.3 mm 以下の小粒である。 斜長石の成分は An 20 位と推定される。 石英には波動消光をするものが多い。 黒雲母は葉片状, 淡褐色~無色に近い多色性を示すが, 多かれ少なかれ緑泥石化している。 随伴鉱物として, 異常消光を示す柘榴石および鉄鉱が含まれる。 その他, 破砕された形の石英の小粒(0.05 mm 以下)からなる細脈が発達し, その付近に葡萄石が形成されており, 炭酸塩鉱物が点在する。 本岩の鏡下の写真は巻末図版 Ⅲ。

3) 片麻状変成角閃石斑糲岩(粗粒角閃岩)

本帯中の本岩は西側ブロック [ 豊里の南~南西地域 ] を占め, 細粒角閃岩および市野瀬層群とは断層で画されている。 隣接している舞鶴図幅地域内に広く分布するものと, 肉眼的にも, また鏡下でもまったく同質である。 したがって, その岩質については, 舞鶴地質図幅説明書にやや詳細な記載があるので, ここでは簡単に述べる。

おもな組成鉱物は斜長石および角閃石で, それぞれが等粒である。 それらの配列に方向性があり, とくに角閃石のそれはよく目立つ。 斜長石はソ-シュル石化し, この変質した部分に葡萄石がよくみられることがある。 この斜長石の成分は An 50~60 位と推定されるが, 以上のような変質のため明らかでない。 角閃石は, 本地域では, 緑色~淡緑色のものが多くみられ, 長径 1.0 mm 前後のものが普通である。 2 Vx = 70°(±), c^Z ≒ 20, N2 = 1.665~1.671 の光学性を示している。 輝石類の存在は余り明らかでなく, 2次的鉱物としては緑簾石・石英・緑泥石・絹雲母・スヘンがみられ, 葡萄石の脈あるいはプール, 曹長石の細脈などがよく発達している。 また, パンペリ石様鉱物も観察される。

図版 4 南帯と中間帯との境界付近の剪裂帯(粗粒角閃岩中)(中部落)

2次的鉱物の発達は, 剪裂帯に沿う地帯の本岩中に著しく, 白色鉱物とくに葡萄石の形成がよく目立つ。 この付近の岩石は付図 [ ← 図版 4 ? ] に示す露頭写真でも明らかなように, 一見ミロナイト様岩となっており, カタクラスト組織が著しい。 また, 部分によって, 一見 塊状粗粒で, 優白質ペグマタイト様岩石のみられることがある。 これは粗粒角閃石が斑晶状をなし, 基地の白色となったもので, この白色の部分はほとんど葡萄石質鉱物(パンペリ石も含まれる)からできている。 この例は本地域では室尾谷の上流にみられる。 このような岩石の形成については, 未だいろいろの問題が残されている。 いずれにしても, この種の岩石は, 粗粒角閃岩中でも, 剪裂帯に近いところに産出しているようである。

本岩類似の岩石は, 北帯中にみられるものを除いて, 南帯と北帯との中間帯(Intermediate zone), すなわち非夜久野帯中にもみられる。 河守の南西方の常津 [ 位置不明 ] 付近に分布するものがそれで, ここでは3方, つまり NW - SE, WNW - ESE, ENE - WSW の方向性をもった断層によって取り囲まれた3角地帯を形成している。 これらの断層の方向は明らかに, 一般の夜久野帯の方向とは斜交し, 構造的にも異質的な感を与えられる。 しかし, そのなかの構成岩である中~粗粒角閃岩の組成鉱物の配列の方向は 概して北帯中のものとは異なり, むしろ南帯中のそれに一致している。 また, これらを取り囲む断層に沿って蛇紋岩の小岩体が迸入していることは興味深い。 この地域の粗~中粒角閃岩の露頭写真を図版 5 に示す。

図版 5 常津付近の粗粒角閃岩(片麻様変角閃石斑糲岩)

本地域では本岩を貫く塊状変成斑糲岩はほとんどみられないが, 優白質岩は点々としてみられる。 そのほとんどが珪長斑岩ないし曹長斑岩であって, たいてい粗~中粒角閃岩を斜めにきる, 5 m 以下の幅をもつ小岩体である。 いずれもプロトクラストないしカタクラスト組織が著しく, 石英と曹長石質長石の斑晶をもち, それらの細粒部が石基をなす。 有色鉱物はまれであるが, あってもほとんど緑泥石化している。 そのほか鉄鉱・アパタイトがみられ, 2次的鉱物として絹雲母・緑簾石・スヘン・葡萄石などを含んでいる。

[ II.2.1.2 ] 市野瀬層群 [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
本層群については舞鶴地質図幅説明書で述べたように, 小浜図幅で用いられた宝尾層と, それを挾在する輝緑凝灰岩層とを併せたものである。 かつて本層群は 五泉 いずみ 層群と呼んだが, その音が著名な「和泉層群」に一致するところから, 付近の異なる標式地の名をとって本層群に改めたのであるが, 本層群の名も同一音の地層名が四国その他の上部二畳系に用いられている。

本層群は, 本図幅地域の南東隅に分布している。 これも, 東隣の舞鶴図幅地域からの延長部にあたっている。 前述したように, 本地域内では露出状況のもっとも悪い地域に分布しているので, 他の夜久野南帯の岩石, すなわち変成岩や片麻状変成斑糲岩との相互関係は不明であるが, おそらく断層関係にあるものと推定される。

本地域の本層群は, その分布範囲は狭いが舞鶴図幅地域内と同様, 「輝緑岩~輝緑凝灰岩」層と泥岩層とが観察されるが, いずれも無層理で, 上下関係は不明である。 「輝緑岩~輝緑凝灰岩」層は塩基性凝灰岩および玄武岩質熔岩を主とし, このなかの輝緑岩ないし斑糲岩質の小貫入体からなっている。 しかし一般に, 風化が著しく一様に緑色岩化しているので, それらの間の境あるいは, それぞれの岩質を野外で決めることが困難な場合が多い。 いずれの岩石も鏡下では, 明らかな特有の残存組織をもっていることが多いが, 本地域ではとくに 緑泥石・緑簾石・曹長石・炭酸塩鉱物・スヘン・絹雲母・葡萄石などの変質鉱物が 多量に形成されていることが多く, 原岩の鉱物は単に骸晶となって残留していることがまれではない。 各岩石の詳細についてはすでに舞鶴地質図幅説明書に記載してある。 また, 本地域においても, 処々に, 酸性岩あるいは珪質岩と呼ばれている岩石がみられる。 この岩石は, 珪長岩ないし珪長斑岩様の岩質を示し, 細粒~中粒の長石(斜長石)・石英からなり, これらが斑晶状を呈する。 有色鉱物は少ないが, そのほとんどが緑泥石質物質に変質している。

泥岩層は小規模で 「輝緑岩~輝緑凝灰岩」層の間にレンズ状にみこまれたような産状を呈する。 本地域ではそれらの直接の関係は露出状態が悪いため明らかでないことが多い。 泥岩のなかにはかなり砂質を帯びたシルト岩ないし細粒砂岩の部分がある。 外観はいずれも暗灰色~灰色を呈するが, 砂質の部分はいくらか白っぽい灰白色を呈する。 また部分によって, 泥岩が珪化しているところもある。 また, 泥岩の一部には礫岩を伴うところもあるが, その層位的位置は明らかでない。

本地域においてもなお, 本層群中から化石の採集はできなかった。

II.2.2 夜久野北帯中の岩石類

すでに [ 「II.1 概説」において ] 述べたように, 本地域内の北帯は次の3つのブロックからなっている。

(1) 舞鶴花崗岩ブロック
舞鶴図幅地域に広く分布し, 本図幅地域との境界にかけて連続する。 舞鶴花崗岩を主体とし輝緑岩質岩を含有する。 本岩類については「舞鶴地質図幅」中に詳しい。
(2) 輝緑岩質岩と圧砕花崗岩とのコンプレックス ブロック
岡田由里 おかだゆり [ 図幅地域東端中央 ] から河守付近にかけて分布する。 両者の相互の関係は規模のちがいはあるが, (1) の場合に類似する。
(3) 変成岩(角閃岩・黒雲母片麻岩)ブロック
河守付近から小田原付近にかけて 南帯類似の変成岩類およびそれに伴われる迸入岩類が分布する。

(1), (2), (3) のそれぞれの境には断層の存在が確認され, または推定される。 とくに著しいのは (1) と (2) との境に蛇紋岩の迸入をみる剪裂帯のあることで, この剪裂帯は中間帯と北帯との境にあるものと連続する。 この剪裂帯の存在が (1) と (2) とが, たとえ岩質が類似していても, ともに, 同一の岩石からなっているものかどうか疑問を抱かせる。

[ II.2.2.1 ] 舞鶴花崗岩ブロックの岩石

本ブロックの主体は, 前述のように舞鶴図幅地域内にあって, 本図幅地域では, その西縁辺部のほんの一部が, 分布しているにすぎない。 また舞鶴花崗岩については, 舞鶴図幅で二畳紀末の迸入岩としたが, ここでは北帯の説明上の関係からこの順に述べる。

本地域の岩石はいわゆる圧砕花崗岩とも古期花崗岩とも呼ばれている。 舞鶴花崗岩の縁辺部であるためか, とくに圧砕組識が著しく, また断層にかこまれた3角地帯のなかにあるので, いっそう擾乱され, ミロナイト様岩となり, ときには, 帯緑暗灰白色を呈している。 一般に鏡下で, プロトクラストないしカタクラスト組織 [ 以下の [注] 参照 ] を示し, ポーヒロクラスト組織をもつものもある。 主成分鉱物は斜長石・石英からなり, カリ長石に乏しく, 黒雲母も, その量が少ない。 その他 少量ではあるが, 各種の2次的鉱物を含んでいる。 とくに帯緑暗灰白色の岩石を鏡下でみると, 破砕組織の発達が著しく, 完全にミロナイトないしカタクラサイト化し, 原岩の組織や組成鉱物をまったくとどめていない。

[注]
ここでは(前出の場合にも), いずれとも判断し難い組織を示すので, 「ないし」という言葉を用いてある。 以下にも「ないし」というのはそのような意味で用いている。

一見 斑晶とみられる部分は, 石英粒の分結集合体によって置換された偽斑晶となっている。 またその細かく破砕された基質の部分には, 細粒の石英質鉱物の断片が散らばり, なかには非晶質物質に変質したものもみられる。 そうしたところに無数の方解石の細脈が発達している。

[ II.2.2.2 ] 輝緑岩質岩・圧砕花崗岩コンプレックス ブロックの岩石

本ブロックは, 北帯のなかでもかなり広い範囲にわたって分布し, その延長はほぼ 8 km に及ぶ。 そしてまた, ここにあげた輝緑岩質岩や花崗岩質岩のほかに, 後述するような種々の岩石が含まれている。

花崗岩質岩体は, おもに幅 10 m 以下の小岩体で, 10 m 以下の間隔をおいてひんぱんに輝緑岩質岩を貫いていることが多い。 また一見すると交互に貫いたり, 貫かれたりしたようなみかけを示すこともある。 すなわち, 輝緑岩が花崗岩質岩を貫いているようにみえ, また花崗岩質岩が, 輝緑岩質岩のなかにとりこまれ, 大きなレンズ状の塊となっていることもある。 このような両岩石の露頭における産状を図版 6 に示す。

図版 6 北帯コンプレックス ブロック中の輝緑岩質岩(黒色部)と花崗岩質岩(白色部)(岡田由里)

輝緑岩質岩と一括した岩石には, 凝灰岩および熔岩も含まれている。 それには, 2次的変質作用によって, 部分的に緑色片岩様の岩石となっているものもある。

さきにふれたように, このコンプレックス ブロックのなかには局部的に, 次節の角閃岩・黒雲母片麻岩ブロック中のものに類似する 迸入岩および変成岩が挾まれている。 岡田由里付近の, 片麻状ないし片状構造の明らかな, 中ないし粗粒角閃岩はその一つである。 これは露頭がわずかなので, 地質図には図示していないが, 後述する不整合の認められる露頭の北方の地点にあたり, 北側の三畳系とは断層をもって接している。 また, この地点の 真南 まみなみ の川原付近には, 珪礬質の片麻岩が露出している。 また, 金屋 [ 河守の北東 1 km ] の北方で泥岩層が挾まっており, 北有路 きたありじ [ 金屋の東方 2 km ] の西方の谷には, この輝緑岩質岩中の「輝緑凝灰岩」の間に挾まって, 石灰岩のレンズが 2 カ所露出しているところがある。 しかし, この石灰岩中からも化石は発見されていない。 要するに, このブロックは 「輝緑岩」~「輝緑凝灰岩」など, 主として塩基性の噴出岩あるいは迸入岩からなる地層のなかに, 数多くの花崗岩質岩の小岩体が質入したものである。 その火成活動などに関連した造構連動 [ 以下の [注] 参照 ] によって, 変成岩類が, レンズ状に挾みこまれたものであろう。 また, 次の現象も注意すべきものがある。 それは本ブロック中に含まれる岩類が, 通常の場合に他の地層, 古生層あるいは三畳系と断層をもって接しているが, 桑飼 [ 岡田由里の南西 500 m ] 南部で, 北帯の北側縁辺部において, 花崗岩質岩が, 下見谷層(大浦層)の泥質岩を貫くかのような露頭がみられることである。 付近には剪裂帯もあって, その関係は明らかではないが, 下見谷層(大浦層)と本ブロックの地層とは, 必ずしも断層関係にあるとは限らない。 また, すでに述べたように岡田由里付近には, これらのコンプレックス上に三畳系の志高層群が不整合関係で覆っている箇所がある。 これについては, 中沢圭二による詳細なスケッチ マップが作られているので, これを第 2 図に示す。

[注]
もしも本花崗岩質岩が, 舞鶴花崗岩につながる Boss であるとすれば, その造構運動も二畳紀末期と推定される。

第 2 図 志高層群の不整合露頭スケッチ(中沢圭二原図(1960); 地質学会巡検資料より)

次に, 本ブロックの主体をなす輝緑岩質岩と花崗岩について簡単に記述する。

1) 輝緑岩質岩

本岩は 東隣の舞鶴図幅地域中の舞鶴花崗岩に捕獲されている輝緑岩質岩に きわめてよく類似している。 外観は一様に暗緑灰色の比較的脆弱な岩石で, 風化が著しい。 肉眼的には凝灰岩質のもの, 熔岩質のもの, 貫入岩質のものがあり, 相互間の区別ができないことが多い。 とくに変質の著しいものは鏡下でも識別し難い。 つまり鏡下で, 斜長石・輝石を主とするが, それらがオフィチック組織をなして, ほぼ均質完晶質のもの, 斑状組織を示すもの, 著しく凝灰質でパイロクラスチックな組織をもつもの, さまざまであるが, 2次的変質の著しいものはこれらの組織が不明瞭となっている。 おしなべて, ここに「輝緑岩質岩」と一括した岩石は以上のような岩質をもつ岩石の集合体である。

斜長石は普通の場合, 変質しているため成分がはっきりしないが, An 50~60 位と推定される。 輝石類には, 普通輝石がもっとも多い。 副成分としては鉄鉱が含まれるが, 他のものはほとんど2次的変質鉱物に置きかえられ, 斑状組織を示すものは, 石基中のガラスもほとんど脱ガラス作用を蒙っている。 2次的鉱物には, 緑泥石・曹長石・葡萄石などがみられる。 また, かすかな片状構造を示して, ほとんどが変質鉱物のみからできているものがある。 それは緑簾石・曹長石・緑泥石岩となっている。

2) 花崗岩質岩

本岩の産状や岩質が舞鶴花崗岩の縁辺相に類似することはすでに述べたが, 舞鶴図幅地域内の北帯の北方の地域に, 点々と大浦層(下見谷層)を貫く小岩体にむしろ酷似する。 外観, 優白質, 灰白色の風化の著しい岩体である。 鏡下で, プロトクラストないしカタクラスト組織の著しい中~細粒の岩石である。 ときには, ポーヒロクラスト組織をもつ。 石英・斜長石を主とし, カリ長石はまれにみられ, 岩質としては, トロニエム岩ないし花崗閃緑岩質である。 斜長石は曹長石~灰曹長石質で, 径 0.5 mm(±)の半自形のものが多く, アルバイト双晶が著しい。 ときに斜長石は湾曲していることがある。 石英は他形~半自形で, 径 1.0 mm 位のやや大きな結晶を示すものがあり, また, 他の主要鉱物の間をうめた分結脈状のものがある。 たいていの石英は波動消光する。 また, カリ長石中に虫食い状にミルメカイト様を示すものもまれに認められる。 カリ長石はパーサイト構造を示す。 黒雲母はそれらの間を埋めて, 葉片状~紐状をなすが, 緑泥石化していることが多く, その量もきわめて少ない。 その他, 鉄鉱のほか2次的鉱物として緑泥石・緑簾石・スヘン・葡萄石などが普通にみられる。 本岩の鏡下の写真は巻末図版 Ⅸ に掲載してある。

3) 挾在する変成岩

ここでは, 川原 [ 図幅東端中央 ; 岡田由里の南方 2 km ] 付近に挾在される変成岩について述べる。 この変成岩は 宇谷 うだに 川に沿う河床および道路傍の切割の崖に露出している。 外観は著しく風化し, その片麻状~片状構造がけされ, 著しく擾乱して, 千枚岩様の岩相を呈している。 しかし, よく観察すると, 固有の片理の発達がみられ, 走向 N 80°E, 傾斜 50°N である。 これを斜めに輝緑岩質岩の小岩脈が貫いている。 本岩の北縁部にも輝緑岩質岩があり, これらの輝緑岩質岩の貫入に関連して, またこの変成岩が挾在されたのであろうか。 また, この岩石の南側に直接して, 蛇紋岩を伴う剪裂帯が発達しており, 変成岩自身も著しく破砕されている。 したがってこの断層運動によってこの位置に変成岩がもみ込まれたものであろうか。 いずれにせよ, その成因については明らかでない。 この変成岩の露頭の写真を図版 7 に示す。

図版 7 北帯中のミロナイト~ヒロナイト様を呈する黒雲母片岩~片麻岩(川原)

本変成岩は角閃石黒雲母片岩ないし片麻岩であり, 後述の変成岩ブロックの同質岩に酷似する。 外観は前述のように, 部分によって著しく擾乱され, 黒味を帯びたミロナイトないし千枚岩様を呈するが, 縞目のはっきりした片状~片麻状組織が明らかで, 帯褐暗灰色を呈し, 風化しているが, 比較的堅硬な岩石である。 鏡下でも, 片状構造が明らかであるが, 2次的なカタクラスト組織が一様にみられる。 斜長石・石英・角閃石の細粒鉱物が主成分鉱物である。 カリ長石らしいものも認められるが, 絹雲母化が著しいので, 明らかではない。 斜長石も同様な変質をしているが, 特有の双晶(アルバイト式)がよく残存している。 斜長石の成分は An 20 位と推定される。 石英は長石類と同様に, 径 0.2 mm 前後のものが多いが, さらに小粒の結晶が集まって分結脈をつくっており, これも一般的な構成鉱物の配列方向に一致している。 後者は前者に較べて新鮮な感があるが, ともに波動消光をしている。 黒雲母も細粒で, 長径 0.3 mm, 短径 0.1 mm 位の葉片状のものが多い。 淡黄色~褐色の多色性を示すが, 緑泥石化が著しい。 角閃石は, 半自形, 長柱状で, 長径 0.5 mm 以下である。 2 Vx ≒ 70°, c^Z ≒ 20°, 淡緑色から, 緑色の多色性を示すが, これも緑泥石化が著しい。 その他, 柘榴石・アパタイト・鉄鉱を随伴し, 2次的に, スヘン・葡萄石がよくみられる。 またこの変成岩の北側のものには, ほとんど角閃石と石英からなる石英角閃石片岩ともいわれる変成岩が挾まれており, 組成鉱物もさらに細粒となっている。

また脈幅 0.5 m 位の変角閃石玢岩が, これらの変成岩を貫いている。 これはさきに輝緑岩質岩と述べたのであるが, 本ブロックでいうところの輝緑岩質岩類とはやや異なり斑状構造が明らかである。 斑晶は斜長石・角閃石と少量の黒雲母からなり, それらは多かれ少なかれ変質している。 石基はほとんどが細粒の石英である。 わずかな有色鉱物は緑泥石化している。 これらはすべて2次的変質によって生成されたもので, さらにスヘンや葡萄石脈・炭酸塩鉱物などがみられる。

[ II.2.2.3 ] 変成岩(角閃岩・黒雲母片麻岩)ブロックの岩石

本ブロック中に含まれる変成岩の一部について, かつて河守変成岩と名づけられた。 しかし, 河守変成岩は河守付近のものについてのみ名付けられたのであるが, 南帯その他にも分布する同質の変成岩とともに, 舞鶴帯に特有の変成岩という意味から, このブロックの変成岩も併せて, 舞鶴変成岩と呼んだ方が適当であろう。 この地域の変成岩類は, 部分的に異なるところもあるが, 概して, その片理の方向は ENE - WSW の傾向を示し, 北帯の一般的延長方向とほぼ一致する。 露頭でみられる本変成岩は, 著しく風化しているばかりでなく, また, 著しい圧砕作用をうけているのでその片状組織が不明瞭となっている。 野外で一見しただけでは, 変成岩か迸入岩かの区別も困難で, 岩質を決め難いことが多く, とくに珪礬質の岩石は変質砂岩とみまちがえることがある。 しかし鏡下では, 原岩の組織, 鉱物が比較的よく保存されており, 野外でも馴れると岩石種の区別は必ずしも不可能ではない。

本ブロック中の変成岩および迸入岩類には, 次のような種類が大きく区別される [ 以下の [注] 参照 ] 。 一般に分布のうえからは塩基性~中性のものが多く, 酸性のものは比較的少ない。

変成岩類
1) 縞状片麻岩~黒雲母片麻岩
2) 細粒角閃岩類
2') その他結晶質石灰岩
迸入岩類
3) ミロナイト~ヘリフリンタ様花崗岩
4) 片麻状変成角閃石斑糲岩(粗粒角閃岩)
5) 花崗岩質岩
6) 石英曹長斑岩質脈岩
[注]
地質図上には 3) および 6) は表現されていない。

1) 縞状片麻岩~黒雲母片麻岩

本岩類は河守付近とその北方, 天田内から小谷 [ 位置不明 ] にかけてと, 小田原南東部地域に分布する。 いずれの地域においても幅 100~300 m で, 北帯の南北両縁の構造線に調和的な傾向を示している。 しかし, この一見 帯状分布をするもののなかには, 他の変成岩(主として細粒角閃岩)が挾まれ, 互層状を呈することが多い。 地質図では, 両者を含めて塗色してある。 本岩の外観についてはすでに述べたが, その比較的明瞭な縞状構造を示すものの産状および外ぼうを次の2つの露頭写真で示す (図版 8, 9)。

図版 8 北帯中の縞状片麻岩(舞鶴変成岩)(大江町北東部)

図版 9 北帯中の黒雲母片麻岩(舞鶴変成岩)(天田内)

本岩類は鏡下で, 片状~片麻状構造を示し, 肉眼的にも明らかな白黒の縞目模様は黒雲母の多寡によることが認められる。 主成分鉱物は斜長石・石英・カリ長石・黒雲母からなり, 柘榴石が比較的多くそれに参加する。 縞目の白色部には, 黒雲母・柘榴石が少ないが, 黒色部には, 黒雲母が圧倒的に多く, 斜長石・石英はきわめて少量で, この部分に, 柘榴石が濃集していることがある。 主要組成鉱物の大きさはまちまちであるが, 平均して, 中粒~細粒で, 径 1 mm 位のものはむしろ最大に近い。 細粒のものは平均して径 0.1 mm 以下の組成鉱物からなることが多く, 一見して黒雲母片岩様をなす。 斜長石は An 10~20 位の成分を示すが, 一般に, 絹雲母化している。 石英には, 単結晶として斜長石と組み合うものと, プール状の分結結晶の集合体となって片理に沿い, あるいは主要組成鉱物の間隙をうめているものとがある。 後者は径 0.05 mm 以下であり, 前者よりいっそう新鮮で, 汚染していない。 しかし両者とも波動消光を示すことが多い。 カリ長石はきわめて少量で薄片によっては含まれないことがある。 黒雲母は長径 0.5 mm 位のものと 0.1 mm 位のものとがあり, 一般に小型である。 あるものは葉片状, あるものは紐状を呈す。 X = 無色~淡黄色, Y ≒ Z = 黄褐色~褐色の多色性を示す。 あるものは緑泥石化する。 黒色部で黒雲母と共存する柘榴石には径 0.3 mm 位のものがあるが, 他のものは一般により細粒である。 その他, 鉄鉱が散点するほか, 2次的鉱物として, 葡萄石・緑簾石・緑泥石・絹雲母などがみられる。 本岩の鏡下の写真は巻末図版 Ⅰ に示してある。

2) 細粒角閃岩類

本岩類は本ブロックの変成岩の中でももっとも広く分布し, 南帯の細粒角閃岩類と同質のものが多い。 本岩類は主として角閃石および斜長石からなるが, そのほか石英あるいは黒雲母に富むものがある。 しかし多くのものは, 多少の黒雲母を含んでおり, 南帯のものに較べて花崗岩質岩の影響の強くあらわれたものと考えられ, 一つの特徴といえる。 外観上では, これらの間の区別はむずかしいが, 黒雲母に富むものは, 肉限で識別できる。 一般に片状組織が明瞭であるが, 著しく擾乱をうけたもの, あるいは風化したものは外観 輝緑岩ないし輝緑凝灰岩様を呈することがあり, また, きわめて細粒のものは肉眼的に片状組織が不明瞭である。 鏡下で, 角閃石・斜長石を主とするものは南部でみられた細粒角閃岩と同様の性質を示している。 ときに含まれる石英は, この角閃石・斜長石の間隙をうめ, 脈状, プール状の細粒結晶の集まりとなっている。 これらはほぼ角閃石・斜長石の平行配列に調和している。 黒雲母はこれらの鉱物間に調和的に散在する。 いずれの鉱物も, 等粒で, 角閃石の長径 1.0 mm 位のものを最高として, ほとんどのものが径 0.3 mm 以下である。 黒雲母に富む角閃岩は, 前記の黒雲母片麻岩の間に挾まっていることが多い。 本岩は, 鏡下で, 角閃石と黒雲母の平行配列が明瞭なのが普通であるが, 一部には, モザイックな粒状構造を示すものもある。 また, ときには, 斜長石の大晶(径 1.0 mm 位)がみられ, 斑状変晶の明らかなものがある。 主成分鉱物は, 斜長石・角閃石・黒雲母であるが, 黒雲母は, 相対的には少量である。 斜長石は普通径 0.3~0.5 mm 程度で多かれ少なかれ白色雲母に変質しているため, その成分は決め難いが, An 40~50 と推定される。 角閃石は普通は長径 0.5~0.8 mm で, 長短さまざまな柱状結晶である。 その光学性は 2 Vx ≒ 70°, c^Z ≒ 20°, 多色性は X = 淡黄緑色, Y = 緑色, Z = 帯淡褐緑色で, γ(≒ 最大 N2 として)≒ 1.670 である。

黒雲母は葉片状~紐状を呈し, 一般に角閃石より小型で, X = 淡黄色, Y ≒ Z = 黄褐色~褐色の多色性を示すが, 多くは緑泥石化している。 また, 河守の西の一部では, 単斜輝石が残存している。 この岩石の鏡下の写真は巻末図版 Ⅳ に示す。 その他, 柘榴石・ジルコン・鉄鉱を含み, 2次的鉱物として緑泥石・緑簾石・黝簾石がみられ, 葡萄石脈およびパンペリ石様鉱物が認められる。

以上のおもな変成岩のほか片状結晶質石灰岩が黒雲母角閃岩の間に挾まっている。 本岩は小田原南東部の2カ所にみいだされるが, 露出状態が余り良くないので, 全貌がよくわからないが, きわめて小規模なレンズ状のものと推定される。 本岩にはまったくスカルン様の鉱物はみられず, 大部分が方解石質炭酸塩鉱物からなる結晶質の石灰岩である。 その他 少量の緑泥石質鉱物・絹雲母・石英などが含まれている。

3) ミロナイト~ヘリフリンタ様花崗岩

本岩は黒雲母片麻岩類の形成に関与した一種の層々迸入型の花崗岩質岩であり, 後述の酸性岩とはその迸入時期を異にすると考えられる。 本岩は主として黒雲母片麻岩~縞状片麻岩の分布する地域, すなわち河守市街地の北方の小田原南部地域にみられ, その規模はきわめて小さく, 幅 1 m 以下のものから 10 m 位のものである。 本岩はときに片麻状構造を示し, また, カタクラサイトとなっているばかりでなく, 著しく風化しているので付近の片麻岩類と見まちがうこともあるが, その境も不明瞭となっている。 しかし, それをよく見ると, 片麻岩の片理面に沿って, しみこみ状を呈していること, あるいは比較的塊状な拡がりをもって, それらをきることなどをみきわめることによって, ようやく区別される。 本岩類はおそらく, 舞鶴図幅地域内の菅板峠の南方に分布する舞鶴変成岩のなかに認められた 花崗岩質岩と同時期に迸入したものであろう。 鏡下で, 本来, グラノブラスト的組織を示すものと思われるが, ここではプロトクラストないしカタクラスト組織が著しくなっている。 また, 片麻状組織のみられるものもあり, ときとしては, モルタル構造を示し, 一種のポーヒロイド的なものと考えられるものもある。 本岩の主成分鉱物は, 石英・長石類である。 黒雲母は副成分としてみられるが, 新鮮なものは少なく, そのほとんどが緑泥石質鉱物に変質している。 長石には, An 10~20 の成分をもつものと推定される斜長石と, マイクロクリン構造の明らかなカリ長石とがあるが, 後者は量的に少ない。 いずれも著しく絹雲母化している。

石英は単結晶として長石類と組合っているものと, プール状ないし脈状に分結集合したものとがある。 前者は長石類と同様の径 0.5 mm 位のものが普通であるが, 後者は 0.05 mm 以下であり, 片麻状組織を示すもののなかではその組織に調和的である。 斑状をなすものは径 0.8 mm 位である。 黒雲母は一般に小型で, 径 0.3 mm 位のものが普通で, 葉片状あるいは紐状を呈している。 多色性は淡黄色から帯黄褐色を示す。 その他ジルコン・アラナイト・柘榴石・アパタイトがみられ, 2次的に生成された葡萄石脈が目立つ。

4) 片麻状変成角閃石斑糲岩(粗粒角閃岩)

本岩は南帯に広く分布する岩石とほとんど同質である。 野外では, その露出状態が悪いため, 変成岩類との関係は不明であるが, その片麻状構造の一般傾向からみると変成岩の片理にほぼ調和的で, ここでも南部の場合と同様に, 変成作用後期に迸入した変動末期の迸入岩であり, この中に点々と形成される黒雲母の存在から, それ自身変成作用の影響を蒙ったものと考えられる。 本岩は前記の南部の同質岩にほとんどみられなかった黒雲母を含んでいるが, これは南部のものに較べて, 花崗岩の影響を強くうけたためであろう。 本岩は他の変成岩中の角閃岩類より粗粒であって, 帯緑色の暗灰色~黝色を呈する。 一般に露頭では脆弱なものが多い。

鏡下では, 片状構造の明らかなもの, 比較的塊状で填間的組織 [ 以下の [注] 参照 ] のみられるものなどさまざまである。 部分的にはカタクラスト組織が著しい。 その主成分鉱物は斜長石および淡緑色の角閃石で, 黒雲母がまれに付随することがある。 斜長石は大部分が絹雲母化その他ソーシェル石化しているが, その成分は An 60 前後と推定される。 結晶粒の大きさは径 0.8 mm 位。 角閃石は長径 1 mm 前後の短柱状のものが多く, 2 Vx ≒ 60°, c^Z ≒ 15°, N2 = 1.668 で, ほとんど無色から淡緑色~緑色の多色性を示す。 黒雲母は径 0.5 mm 以下の比較的小粒の結晶で, 淡黄色から褐色への多色性を示すが, ほとんど緑泥石化している。 その他, 炭酸塩鉱物, サゲナイト構造をもつチタン鉄鉱を含み, スヘン・絹雲母・緑簾石・葡萄石などがみられ, ときには石英脈が発達していることがある。 本岩の鏡下の写真は巻末図版 Ⅶ に示してある。

[注]
元来, 火山岩の石基の組織であるが, 斜長石の間隙を角閃石がうめるようにみえる斑糲岩組織(例えば輝緑岩様斑糲岩の組織)の 一部にもここでは用いた。

5) 花崗岩質岩

本岩は南帯の変成岩・迸入岩を貫く同質岩, 北帯の舞鶴花崗岩あるいは輝緑岩質岩~花崗岩質岩コンプレックス中の同質岩に類似するが, とくに最後のものに酷似する。 しかし本岩中には, それらよりいっそう擾乱された構造をもつものも少なくない(巻末図版 Ⅷ 参照)。

本岩は普通 幅 3~5 m の小岩体をなしている。 外観は灰白色で, 風化が著しく砂粒となってざくざくに崩れているものが少なくない。 岩質はおおむね, トロニエム岩質であるが, ときには両雲母花崗岩もあり, 斑状組織の明らかな斑状花崗岩(Porphyritic granite)質のものも少なくない。 一般に, プロトクラストないしカタクラスト組織が著しく, ときに, ポーヒロクラスト組織がみられる。

主成分鉱物は斜長石・石英で, カリ長石が少量加わる。 黒雲母と白雲母がともにみられることがあるが, 黒雲母のみ伴われる方が多い。 いずれの組成鉱物も著しく破砕され, 汚濁していることが多いので, それぞれの成分, 性質は余りよくわからない。 斜長石には径 1 mm 以上のものもあるが, 普通は 0.5 mm 位である。 その成分 An 15 前後と推定される。 カリ長石はパーサイト質のものである。 石英には粗粒のものや細粒のものがあり, 前者は径 0.5 mm 位, 後者は 0.05 mm 以下のものが集合して, プール状をなしている。 細粒のものの一部はカリ長石のなかで, 虫状を呈してミルメカイト様の微文象構造をつくっている。 雲母類は普通 0.1~0.3 mm で葉片状をなす。 鉄鉱・ジルコン・アパタイトのほか2次的鉱物として, 緑泥石・緑簾石・絹雲母・葡萄石などがみられ, あるものは主成分鉱物を交代し, あるものはプール状・脈状となっている。

6) 石英曹長斑岩質脈岩

本岩も南帯のあちこちでみられるものと類似する。 これは, 5) の岩石に較べてもさらに規模が小さく, 脈状岩で, 普通 幅 0.5 m 位であるが, 0.1 m 以下のものもある。

一般に, プロトクラストないしカタクラスト組織の著しいポーヒロクラスチックな岩石である。 斑晶状をなすものは石英および曹長石質斜長石で, その径はともに 0.5 mm 位のもので, ともに集まってグロメロポーフィリチック様の組織を示す。 基質はほとんど同質の鉱物からなるが, カリ長石が含まれていることはまれではなく, またしばしば黒雲母がみられる。 鉄鉱のほかに, 2次的鉱物として, 緑泥石・緑簾石・葡萄石・スヘンなどがみられる。

II.3 古生界

II.3.1 下見谷 しもみたに

本層は, 図幅地域北東隅の下見谷付近を模式地とし, 北側は超塩基性岩類, 南側は夜久野北帯および一部は三畳系 志高層群とそれぞれ接して露出する。 粘板岩~頁岩を主とし, 砂岩・チャート・輝緑凝灰岩を挾む累層である [ 以下の [注1] 参照 ] 。 粘板岩~頁岩は暗灰色~帯緑暗灰色で, しばしば 5 cm 程度に成層し, 打てば直方体状に砕けやすい。 丹波地帯に広く露出する古生界 [ 以下の [注2] 参照 ] の粘板岩に比較すると片理に乏しく, 舞鶴層群の頁岩にむしろよく似た性状をもつ。

[注1]
神戸 27), 31) の西部古生層と同じ。
[注2]
「舞鶴」図幅における丹波地帯古生層(プロパー)。

チャートは通常 やや緑色を帯びた青白色を呈し, 塊状で幅数 10 cm 程度のレンズ状をなして粘板岩~頁岩中に挾まれることが多い。 また, 粘板岩~頁岩中に厚さ 30 m 以下の層として挾まれている場合には, あたかも粘板岩が次第に珪酸分を増して遂にチャートに移行するような状態が その境界部にみられる。 また, このようなチャートには, 層理が認められるが, 周囲の粘板岩中の層理とは一致しない微褶曲性構造や, 層内褶曲構造をもつことが多い。

輝緑凝灰岩は濃緑色を呈するが, 詳細にみると赤紫色の部分が斑点状あるいは墨流し状に含まれている。 この岩石は堅硬, 緻密で. しばしば径 50 cm~1 m のチャート質の部分を団塊状に含み, 上下および側方に珪質の部分をもって急速にチャートに移化する。 風化すれば紫色を帯びた赤褐色の土壌となる。

本層内には, 赤色チャートと呼ばれる凝灰質珪質岩が挾まれる。 この岩石は厚さ 3~5 cm ごとの層理を示して粘板岩~頁岩中に連続して発達し, 破砕風化の度合が粘板岩~頁岩に比較してかなり少ないので, 渓流中の砂礫のかなりの部分を占めている。

このような岩石で構成される下見谷層は, 由里谷 - 西方寺 さいほうじ - 河原 こうら - 下見谷の道路に沿っては下位から次のように区分される。

下部 : 西方寺から河原までの道路に平行して露出するチャート層を上限とする。 非常によく連続する赤色チャート, および輝緑凝灰岩の厚さ 50 m 以内の層を挾み, その下位にレンズ状の砂岩を含む部分が, また, 最上位に近く砂岩・泥岩の細互層が 15 m 前後の厚さで挾まれる。 全体として, 1,000 m 以上の厚さをもつ。 この輝緑凝灰岩の一部に, とくに図幅地域の北東縁辺部に夜久野岩類類似の塩基性岩の迸入をみる。

中部 : 河原から下見谷北方までの, 粘板岩~頁岩を主とする単調な部分で, この頁岩は泥質よりはむしろシルト質であり, 層理も明瞭でない。 中位に砂岩の層を挾む。 厚さ 600 m。

上部 : 赤岩山の東南東方にあたる位置にみられる塊状砂岩を主とする部分で, 最下位には, 頁岩・砂岩の互層があり, 中部層に移りかわる。 頁岩・砂岩の互層は, 5 cm 程度に細粒砂岩からシルト岩, あるいは微粒砂岩から泥質岩へ移りかわるような成層状態を繰り返すものである。 上限は不明。

本図幅地域内における下見谷層の構造は, 北側に分布する超塩基性岩をとりこむ盆地状構造をもち, 地域中央部では北に傾斜する単斜構造, 東部では東北東に傾斜する単斜構造, さらに図幅地域東縁では岩尾 [ 図幅地域東端 ; 赤岩山の東方 2 km ] - 赤岩山を結ぶ線に平行で, 西方に傾く向斜軸をもつ向斜構造を示す。 岩尾および上漆原 [ 岩尾の南 ] の西方で, 地層が南西側に傾斜するのは, 向斜の北翼が露出しているものである。

高津江 - 三河 そうご - 二俣を結ぶ地区に, 南側を舞鶴変成岩と接して露出する下見谷層は, 地頭 [ 由良川の川岸 ] - 内宮 [ 河守の北 4 km ] を結ぶ地区 [ 東西方向に 5 km 以上の地区 ] に露出する下見谷層最下部が, 断層によって繰り返し現われているものと見られる。 この部分の下見谷層は, 赤色チャートを挾む粘板岩~頁岩が, 軽く千枚岩化している。

下見谷層の時代は, 化石を産しないので, 層相から推定する以外に方法はない。 前記の諸岩石の組合せは, 東隣の舞鶴図幅地域内の古生界のうち, 下見谷層の直接 東方延長部に相当する由良川以西の大浦層 [ 以下の [注] 参照 ] の層序と関連させて考察すると, 上部の砂岩頁岩互層に相当する部分中の細礫岩中に Yabeina - Lepidolina faunule に属する紡錘虫化石群を含むので, その時代よりも少し古い。 すなわち中期二畳紀と考えられる。

[注]
したがって, この部分の大浦層は下見谷層に含まれることとなる。

II.3.2 未詳の古生界

図幅地域の南東部中央寄りの南有路の付近から東北東方向に延び, 南側は舞鶴層群, 北側は舞鶴花崗岩を主体とする諸岩石と断層で接しつつ, さらに東隣「舞鶴」図幅地域へと帯状に連なる輝緑凝灰岩を主とし, 粘板岩~頁岩を挾む地層がある。 この地層は「舞鶴」図幅では舞鶴帯北部古生層・大浦層として, 下見谷層の東方延長部と一括したものである。

輝緑凝灰岩は緑色, 塊状, 緻密で, しばしば赤紫色の角礫状の組織を含む。 粘板岩~頁岩はやや緑色を呈する暗灰色で, 舞鶴層群の頁岩に比較して珪質でかなり堅硬である。 その層相は, 下見谷層下部の輝緑凝灰岩を主体とする部分に似ているが, 化石を産しないので, 時代は確定できない。

この地層は, 北方に 50~60°傾斜する一般配列方向を示し, 舞鶴地帯の構造方向とまったく一致する。 輝緑凝灰岩が占める割合の多いこと, 舞鶴地帯の構造方向に加わっていることから考えると, 市野瀬層群と此較される可能性が大きい。

II.3.3 舞鶴層群

本層群は, 図幅地域南西部に, ほぼ東西方向に約 4 km の幅をもって, 細長く露出し, 三畳系の諸岩石とともに, 夜久野中帯を構成している頁岩・砂岩・礫岩からなる地層である。

本図幅地域での舞鶴層群は, 次の3つに大別することができる。 すなわち

1) 図幅地域南東部にあって, 北側は舞鶴花崗岩, 未詳古生層に断層で接し, また, 南側は夜久野南帯の諸岩石と, 直接に, あるいは, 三畳系の地層を介して断層で接するもので, この東方延長は, 東隣の「舞鶴」図幅地域内に広く露出し, 舞鶴層群の模式とされる部分に連続する。
2) 図幅地域南西部に, 北側は花崗岩に貫かれ, 南側は三畳系の地層と断層で接し, 一つの孤立したブロックを形成しているもの。
3) 地域中央南寄りの 公荘 ぐじょう 付近に三畳系の地層と断層をもって接し, きわめて小範囲に露出して, 特異な動物化石群を含むもの。

これらをそれぞれ 1) を物部 - 河東 [ ← 由良川の東部 ? ] 地区の舞鶴層群, 2) を河西 [ ← 由良川の西部 ? ] 地区の舞鶴層群, 3) を公荘層として, 別箇に記述する。

1) 物部 - 河東地区の舞鶴層群

本地区の舞鶴層群は, 頁岩・砂岩・細礫岩からなる。 頁岩は暗灰色~黒色で, 泥質のものは 3~5 cm ごとによく成層し, シルト質のものは無層理, または 1 m 程度のわずかな層理をもつ。 砂岩は暗灰色~灰色で等粒のものが多く, シルト岩とは, 相互に移り変わるのが通常である。 細礫岩は多くの場合, 砂岩中に厚さ 5~10 m でレンズ状に挾まれ, その周囲はぼやけて砂岩に移化する。 礫には径 2 cm 以下のチャート・砂岩・緑色珪質岩石の円礫が多く, 淘汰不良である。 石灰岩の円礫を含む場合には全体が石灰質となり, 緻密, 堅硬である。

本層中の淘汰不良の粗粒砂岩および細礫岩からは, 第 2 表に示すような紡錘虫化石を産する。

第 2 表 物部 - 河東地区 産出 紡錘虫化石(文献 48) による)

Codonofusiella sp. cuniculata KANMERA
Pseudodoliolina psudolepida gravitesta
P. sp.
Schwagerina sp. aff. acris
S. sp.
Yabeina columbiana (DAWSON)
Y. yasubaensis TORIYAMA
Y. gubleri KANMERA
Lepidolina sp. cf. toriyamai KANMERA
L. sp.

とくに豊里中 [ ← 「豊里」付近の「中」地区 ? ] 付近からは, 次の紡錘虫化石を含む石灰岩転石が, 中沢ほか [ 文献 49) ] によって報告されている。

Reichelina matsushitai NOGAMI
Schubertella ? sp.
ほかに, Bryozoa calcareous algae

また, 広畑 ひろばたけ [ 公荘の東方 3 km ; 奈良原 ならわら の北方 1 km ] 付近の細粒泥質の砂岩中には, 第 3 表のような動物化石を産する [ 文献 49) ]

第 3 表 河東地区 化石表(追加文献 8)(1961)より追記)

Derbyua alterstriata
D. cf. grandis
D. hemisphaerica var. radiata
D. sp.
Chonetina substrophomenoides
C. cf. strophomenoides
C. matsushitai
Lissochonetes biparita
L. morahensis
L. cf. avicula
L. sp.
Productus (Dictyoclostus) gratiosus
P. (D.) cf. margaritatus
P. (D.) sp.
Linoproductus kiangsiensis
L. interruptus
Aulosteges dalhousi
Husteria grandicosta
H. indica
Eolyttonia nakazawai
Aviculopecten sp.
Pleurophorus sp.
Pseudophyllipsia sp.
Bryozoa
Crinoid stems

しかし, 豊里中の石灰岩, 広畑付近の腕足貝化石群を含む砂岩, および紡錘虫化石群を含む細礫岩の層群の正確な上下関係は, それぞれの産出層準が断層で細かく分割された地塊ごとにあり, その間の連けいを確かめることができないのでわからない。

この地域の舞鶴層群は, 全体として, 北に 50~70°傾斜する単斜構造をもっているが, 断層によって多くの地塊に分かれ, それぞれの地塊が固有の走向・傾斜値をもつために, かなりの波状褶曲が考えられる。 この地区では, 連続した層位関係をとらえることは, 困難であるが, 東西方向に走る顕著な走向断層によって以下の2つに区分することができる。

  1. 北側の西方, 赤目坂 [ 広畑の東方 1 km ] 付近にみられるような泥質ないしシルト質頁岩の部分が非常に多く, 全体としては, 層理に乏しい帯。
  2. 南側の志賀郷・西坂 [ 位置不明 ] からさらに三畳系の露出する地区を越え, 室尾谷から筈巻 [ 下天津の東方 1 km ] にまで延びる細礫岩を伴う砂岩層が発達する帯。

東隣の「舞鶴」図幅地域内から連続して追跡する結果によって, [ 上記の ] 北側の帯にはいる地層の層準は, 南側の帯のそれよりは上に位置するものである。

由良川の左岸側に位置する下天津から下大内 [ 下天津の南西 3 km ] に至る地区に露出する舞鶴層群は, 物部 - 河東地区の舞鶴層群の西方延長に相当する。 しかし, 熱変成作用を受けてホルンフェルスになっているので, 正確な層位を求めることができないが, 砂岩層の発達が著しくなく, 北側帯に対比されるものであろう。

なお, 西方北方のシルト質の頁岩を主とする地塊の岩石は, 幅約 1 km にわたって, 軽度の千枚岩化作用を受けている。 室尾谷から下大内を結ぶ線上にある本層は熱変成作用を受け, 著しく珪化され, あるいはホルンフェルスとなっている。

2) 河西地区の舞鶴層群

本地区の舞鶴層群も, 頁岩・砂岩および礫岩からなり, 物部 - 河東地区のものに比較すると, 礫岩質の部分が多い。

礫岩は河守 付近に露出するものは, 物部 - 河東地区と同じく非常に淘汰の悪い細礫岩で, 礫の種類は, チャート・砂岩・石灰岩が多く, 安山岩・玢岩・緑色珪質岩・花崗岩質岩石 [ 以下の [注] 参照 ] がこれに次ぐ。 この礫岩中の石灰岩には第 4 表に示すような化石が含まれている。

[注]
礫の内容, ことに花崗岩質岩石については, 文献 63)にその詳細が述べてある。

第 4 表 河西地区 産出 化石表(文献 58) による)

蓼原 たでわら [ 河守と公荘の間 ]
Neoschwagerina margaritae DERPAT … Abundant
N. cf. simplex
N. cf. douvillei
Schwagerina sp.
Pseudodoliolina sp.
Fusulinella sp.
Siphonodendron n. sp. Siphonodendron nakazawai MINATO & KATO
Waagenophyllum sp.
天寧寺 [ 大呂の北西 500 m ]
Neoschwagerina douvillei
N. sp.
Sumatrina sp.

地域西部に露出する礫岩は, 径 10 cm 程度の円礫を圧倒的に多く含み, しかも, この礫岩層はよく連続する [ 以下の [注] 参照 ] 。 礫の種類はチャートが多く, 砂岩・珪質岩・玢岩がこれに次ぐ。 礫岩の厚さは新宮 [ 位置不明 ] 付近では約 50 m に達する。

[注]
したがって, 河守周辺の舞鶴層群は, むしろ物部 - 河東地区の舞鶴層群に含めるべきかも知れない。

なお砂岩中の細礫質の部分からは, 第 5 表に示すような紡錘虫化石を産する。

第 5 表 河西地区 産出 紡錘虫化石(文献 58) による)

Condonofusiella cuniculata
Parafusulina ? sp.
Schwagerina sp. aff. acris
Pseudodoliolina pseudolepida gravitesta
Yabeina columbiana (DOWSON)
Y. yasubaensis TORIYAMA
Y. gubleri KANMERA
Lepidolina kumaensis KANMERA
L. toriyamai KANMERA
L. toriyamai maizurensis NOGAMI

この地域の舞鶴層群は, 日藤 ひとう [ 下天津と公荘の間 ] - 行積 いつもり [ 天ガ峯の南西 2 km ] を通る断層 [ ← 北北西 - 南南東の断層 ] を境として構造を異にする。

すなわち, 東側の部分は, 北北東に 50°前後傾斜する単斜構造をもち, 夜久野北帯の岩石群と断層で接する。 西側の部分は ENE - WSW 方向にその軸をもつ褶曲構造を示す。 花崗岩に接する部分, および約 2 km の近接範囲は, 接触変質作用を受け, はっきりした構造を求めることは困雉である。

物部 - 河東地区の舞鶴層群との正確な層位関係は, 断層により細かく地塊に区切られているために不明であり, ことによく連続する礫岩層に比較される部分も求めることはできない。 ただ砂岩の占める割合の多い部分と礫岩層を含む部分とが, 比較される可能性が大きい。

3) 公荘 ぐじょう [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
公荘層と公庄層との2通りの書き方があるが, 本説明書では, 5万分の1地形図の記載に従って公荘層とする。

図幅地域中央部の公荘付近に露出する上部二畳系で, 舞鶴層群に含められ, 公荘動物化石群を産することで特徴づけられる累層である。 本層を構成する岩石は, 砂岩・頁岩および礫岩で, これらがひんぱんな互層をなし, 物部 - 河東地区の舞鶴層群に比較すると礫岩が多く, やや石灰質で三畳系の地層とは区別がつけがたい。 礫岩の礫は 3~10 cm 大で, チャート・砂岩・頁岩・珪岩・石灰岩などの水成岩礫が多い。

本層の厚さは 250 m 以上, 化石は頁岩中に密集し, 化石床状またはうすい層状に産出する。

第 6 表 公荘層 産出 化石(追加文献 8)(1961)より追記)

Costatoria kobayashii
Neoschizodus permicus
Bakevellia gujoensis
Actinodontophora aff. katsurensis
"Pleurophorus" tenuistriatus
Aviculopecten sp.
Septimyalina sp.
Allorisma sp.
Bellerophon sp.
Bucanopsis sp.
Spinomarginifera nipponica SHIMIZU
Schellwienella ruber (FRECH)
Schellwienella regularis HUANG
Orthotetina sp.
Bryozoa

本層の時代は, 上記 [ ← 第 6 表 ] の公荘動物化石群の化石内容, および層相から, 少なくとも舞鶴層群全体(プロパー)の Lepidolina - Yabeina 化石群を含む細礫岩の多い層準, および物部 - 河東地区の舞鶴層群の含腕足貝化石群を含む砂岩の層準の時代より古くない ということ以外に確定していない [ 文献 54)による ]

舞鶴層群の時代は, すでに述べた紡錘虫化石群・含腕足貝化石群および公荘動物化石群によって 中~後期二畳紀とされ, 紡錘虫化石群のうちの大部分と, 含腕足貝化石群を含む層準が, ほとんど全部, Lepidolina - Yabeina zone に含められる。

II.4 中生界

II.4.1 夜久野層群

本層群は, 図幅地域南西部にあっては, 最大幅約 2.5 km の範囲で, ENE - WSW 方向に帯状に分布し, その延長は, 西隣の「出石」図幅地域内およびその南側の「但馬竹田」図幅地域内に達する。 また図幅地域南東部にあっては, 東西約 2 km, 南北約 3 km の拡がりをもち, 周囲を舞鶴層群にとりかこまれた状態が孤立して分布する。

すでに緒言等にも述べたように, 本図幅地域内に露出する夜久野層群の一部については, 京都大学の中沢圭二教授以下数氏によって 詳細な地質調査(1 : 5,000 実測図による)に基づく研究がなされ, それぞれ次のように公表されている。

  1. 地域南東部の奥山・ 広畑 ひろばたけ 奈良原 ならわら 付近に孤立した地塊として露出するものについては, 京都府大江町 河東地区の夜久野層群として, 文献 49)
  2. 地域中央南寄りの公荘・ 一尾 いちお ・大呂付近に露出するものについては, 京都府大江町 河西地区の夜久野層群として, 文献 49)
  3. 地域南西隅を含む隣接「出石」・「但馬竹田」図幅地域内に露出するものについては, 夜久野地区の夜久野層群として, 文献 43)

したがって, この説明書でも, 南東部地区は河東地区, 南西部の帯状分布をなす区域は, 河西 - 夜久野地区の名称を用いる。

夜久野層群を構成するおもな岩石は, 砂岩・頁岩で, これに少量の礫岩・石灰岩が挾在する。 砂岩は淡青~淡灰白色で, 石灰質のことが多く, 細粒で淘汰良好である。 頁岩は, 淡青~暗青灰色を呈し, 石灰質で, 通常 5~20 cm ごとの層面に平行な割れ目をもち, かなりシルト質のことが多い。 舞鶴層群の砂岩・頁岩に比較すると, 部分的には, 非常によく似ているが, 夜久野層群のそれは, 全体が石灰質に富んでおり, 青色調を帯びていることによって区別される。 ことに, わずかに熱変質作用を受けたものは, この区別が明瞭となる。

夜久野層群の層相は, 地区ごとにかなりの相違がみられる。 中沢・ほかは, 本図幅地域の夜久野層群を, 層相, ことにその構成岩石の組合せと, 構成岩石の細かい特徴とによって, 河東地区のものを 広畑 ひろばたけ 累層と 奈良原 ならわら 累層, 河西地区のものを 一尾 いちお 層と大呂層, 夜久野地区のものを奉納谷層・わるいし層と区分し, それぞれ模式地を定めて次のように記載している。

[ 河東地区の夜久野層群 ]
広畑 ひろばたけ 累層
標式地
広畑 - 奈良原間の道路沿い。
層相
下部 :
中粒~礫質砂岩を主とし, 数 m~10 数 m のシルト質~泥質頁岩を挾在。
上部 :
シルト質~泥質, 頁岩を主とし, 細粒砂岩を伴う。
層厚
上下限とも断層で切られているため不明であるが, 少なくとも 420 m 以上。
他層との関係
舞鶴層群とは断層で接する。
奈良原 ならわら 累層
標式地
奈良原
層相
舞鶴層群を傾斜不整合に覆う基底砂岩層にはじまり, 最上部に細粒砂岩層を挾むほか, 大部分は頁岩からなる。
層厚
370 m 以上, 上限は断層で切られているため不明。
他層との関係
広畑累層と断層で接し, これとは同時異相である。

第 3 図 河東地区における夜久野層群の地層区分図

[ 河西地区の夜久野層群 ]
一尾 いちお
標式地
一尾 [ 公荘と大呂の間 ] から長尾 [ 一尾の北北西 1.5 km ] に至る路傍。
層相
大部分は, 比較的細粒の砂岩で, シルト質頁岩や礫岩を含む。 一尾から西にかけては最下部に礫岩層が, 中・上部には 20~80 m の頁岩層があり, かなり連続する。 公荘付近には局部的に厚さ 200 m に達する礫岩があり, 急激に側方に砂岩にうつりかわる。 これは一種の三角州性堆積層である。
層厚
[ 未掲載 ]
他層との関係
舞鶴層群と断層で接する。
大呂層
標式地
大呂から上谷 [ 大呂の北西 1 km ] に至る道路沿い。
層相
大部分, 頁岩および砂質頁岩からなり, 最上部近くに細粒砂岩を挾在する。
層厚
上限が断層で切られているため不明であるが, 少なくとも 530 m。
他層との関係
一尾層に整合に重なる。
[ 夜久野地区の夜久野層群 ]
奉納谷層
模式地
南西隣接図幅地域内。
層相
下部 :
泥質~シルト質頁岩を主とする。 厚さ 180 m 以上。
中部 :
微粒~中粒, 砂岩を主とし, 最上位に 20 m 内外の成層シルト質~砂質頁岩がある。 また最下位には細礫質の部分がある。 厚さ約 200 m。
上部 :
砂岩からなる。 下位には 10~30 cm 厚の礫岩を伴い, 上位には 10 m 内外のシルト質頁岩層を挾む。 厚さ 176 m。
他層との関係
舞鶴層群と断層で接する。
わるいし層
模式地
南西隣接図幅地域内。
層相
下部 :
よく成層する頁岩。 厚さ 120 m 以上。
上部 :
葉理不規則, 不連続なシルト質頁岩。 厚さ 160 m 以上。
他層との関係
奉納谷層に整合に重なる。

河東地区・河西地区および夜久野地区以外, すなわち図幅地域南西部の日尾・常願寺・長須付近に露出する夜久野層群は, 花崗岩の熱変質作用を強く受けているために原層相はほとんど失なわれ, 頁岩は帯紫暗灰色, または黒色塊状の粘板岩ホルンフェルスとなり, 砂岩は青灰色の砂岩ホルンフェルスとなっているが, 概観して, 下部はまれに頁岩を挾むこともあるが, 中粒ときに礫質の砂岩を主とし, 上部は 30 cm~1 m ごとに成層するシルト質頁岩を主とし, 3~5 cm ごとに下位のシルト質の部分から上位の泥質の部分に漸移する単位層が積み重なって 10 m 以上に及んでいる部分を最上位に含む。

したがって, 模式地における一尾層と奉納谷層, 大呂層とわるいし層は層相からみて一連のものである。 このことから, 河西 - 夜久野地区の夜久野層群を便宜的に次のように概括的に区分しておく。

上部 :
頁岩を主とする。
下部 :
砂岩を主とし, 礫岩 [ 以下の [注] 参照 ] を伴う。
[注]
礫岩の礫種については, 文献 63) のように興味ある研究がなされている。 詳細は, それぞれの文献を参照されたい。

夜久野層群は, 全体として, E - W~ENE - WSW の一般配列方向を示すが, おもな傾斜方向は, 河東地区と河西 - 夜久野地区とで異なり, 河東地区では, 北方へ 50°内外, 河西 - 夜久野地区では, 南方へ 30~50°で, 夜久野層群だけを考えると, 由良川の流路に沿って大きな向斜軸があり, 河西 - 夜久野地区のものは向斜の北翼, 河東地区のものは向斜の南翼に分布しているものの一部とみることができる。 この大きな構造を切って, 河東地区には数多くの断層があり, 夜久野層群(広畑累層および奈良原累層)は多数の小地塊に分断され, それぞれの地塊で固有の地層の走向・傾斜をもつ。 河西 - 夜久野地区では, 露出地域の中央に 2~3 本の顕著な走向断層があって, 地層の重複がみられるほか, 公荘付近では小断層によって細かく地塊化されている。 さらに小滝 [ 位置不明 ] 付近には, 志向断層の南側に北方に傾斜する地塊があるが, これは図幅地域の南側の区劃線に沿って向斜軸をもつ向斜構造があって [ 以下の [注] 参照 ] , この地塊は向斜の南翼の部分であり, この志向断層は向斜軸に関係し, 地層の擾乱すなわち, 走向・傾斜測定値の急激な側方変化が認められる。

[注]
文献 45) によって, この構造が夜久野地区で確認されている。

本図幅地域の夜久野層群は次の [ 第 7 表, 第 8 表および第 9 表の ] ような化石を産する [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
すべて文献 49) による [ 実際には文献 52) が引用されている ] 。

第 7 表 広畑層, 奈良原塁層および 大呂層の産出化石(文献 52) による)

広畑層 上部
広畑層 下部
奈良原累層(層準不明)
奈良原塁層 下部
奈良原塁層 上部
大呂層 下部
大呂層 上部

第 8 表 奈良原累層 層準別産出化石表(文献 52) による)

第 9 表 一尾層の産出化石(文献 52) による)

中沢ほかによって, これらの化石群から, Neoschizodus - "Bakevellia" zone, Hollandites - "Danubites" zone, Monophyllites zone, さらに Neoschizodus - "Bakevellia" zone については, Claraia subzone, Nuculana nogamii yakunoensis subzone が設定され, それぞれ次の [ 第 10 表の ] ように対比されている [ すべて文献 49) による ]

第 10 表

zone 対比
Ladinian 藤平
松島 Monophyllites zone 大呂層
Anisian
伊里前 わるいし層
奈良原塁層
Scythian 津谷 Hollandites - "Dannella" zone 広畑塁層 奉納谷層
魚成 Nuculana nogamii yakunoensis subzone Neoschizodus - "Bakevellia" zone 一尾層
Claraia subzone

要するに, 本図幅地域の夜久野層群は中~下部三畳系に属するもので, 河西 - 夜久野地区においては, 下部層が下部三畳系(Scythian), 上部層が中部三畳系(Anisian)に属するとみてよい。 河東地区においては, 大部分が, 下部三畳系(Scythian)に属する。

II.4.2 志高 しだか 層群

本層群は, 図幅地域東隅の中央に露出し, さらに東隣の舞鶴図幅地域内に続く礫岩・砂岩・頁岩等からなる地層である。

本層群は, 下位から順に次のように区分される。

般若寺層 : 般若寺 [ 位置不明 ; 河原 こうら の南 1 km ? ] 付近においては, 古生層 下見谷層を傾斜不整合で覆い, 岡田由里の東方では, 舞鶴変成岩類を不整合で覆う。 下位から順に基底礫岩・砂岩層, 赤色~緑色砂質頁岩・頁岩層, 細粒礫岩砂岩互層が順に重なる。 礫岩の礫には, チャート・赤色チャートが多い。 厚さは, 模式地の般若寺付近において 180 m である。 化石は含まれない。

富室 ふむろ 層 : 礫岩からなる下部層, 砂岩・頁岩の互層からなる中部層, および頁岩を主とする上部層に細分される。 礫岩の礫にはチャート・砂岩が多く, 石灰岩・安山岩ないし玢岩・緑色岩石がある。 礫の大きさは, ときに直径 50 cm に及ぶ。 模式地の富室における層厚は 450 m で化石は含まれない。

岡田下 おかだしも 層 : 基底部に礫岩があり, その上位に頁岩・砂岩の互層が続く。 砂岩は緑色~帯青緑灰色で等粒, 頁岩は帯緑暗青色を呈し, やや石灰質で, 舞鶴層群のものとは, その色調のやや青緑色を呈すること, やや石灰質であることによって容易に区別される。

層厚は模式地において 180 m である。 基底近くの頁岩層中に次の化石を産する。

Neoschizodus cf. laevigatus
"Bakevellia" cf. kambei
"Entolium" sp., Palaeoneilo sp., Nuculana sp., Michelinoceras sp.,
巻貝および Nautiloid ? の破片

志高層 : 基底部の礫岩層にはじまり, 無煙炭層を伴い礫岩や異常堆積相を示す層間角礫岩を挾む砂岩と, 頁岩との互層, さらに無煙炭層を挾む砂岩層がその上に来る。

なお, 本図幅地域内には, わずかにその基底部が分布するだけで, 大部分は, 東隣の [ 舞鶴 ] 図幅地域内にある。 厚さは 260 m 以上で上限不明。 化石は, 基底付近の砂岩中に次のような動物化石を産する。

Myophoria tangoensis KAMBE
Myophoria shidakensis KAMBE
Myophoria α. sp. nov. indet. (aff. M. laevigata var. Alberti in SCHMIDT)
Myophoria β sp. nov. indet. by KOBAYASHI & ICHIKAWA, 1949
Cfr. M. laevigata (ZlETHEN) var. elongata PHILLIPI
Cfr. M. laevigata (ZlETHEN) var. rotunda PHILLIP
Gervillia sp.
Nucula sp. [ 文献 30) ]

また, 炭層付近からは次の植物化石を産する [ 文献 20) ]

Cladophlebis nebbensis (BRONGN.)
C. denticulata (BRONGN.)
C. haiburnensis (L. & H.)
C. raciborskii forma integra O. & T.
Cfr. Zamites megaphyllus (PHILLIPS)
Taeniopteris stenophylla KRYSHT.
T. shitakensis OISHI
Czekanowskia sp.
Podozamites griesbachi SEWARD
P. lanceolatus (L. & H.)

志高層群は, 全体として南東に 60°前後傾斜する地質構造をもつ。 富室の北方を NE - SW 方向に走る断層によって, 志高層群の分布は2つに分けられ, 南東に傾斜する地層が重複し, 単斜構造をもつ2つの地塊がさらに傾斜方向の断層によって, 細かく分けられ, それぞれの小地塊が特有の走向・傾斜値をもつという状態をとっている。 分布の大部分は由良川の北岸であるが, 由良川の南岸の原 [ 桑飼下の東方 500 m ? ] 付近にも, 周囲を(舞鶴花崗岩)にとりかこまれて, 般若寺層の基底に近い部分が, 南東方向の傾斜をもつ地塊として露出しているのが認められる。

志高層群の時代を決定するものは, 上記の植物化石群・動物化石群およびその他層相, 地質構造的解釈から層位学的に判断される結果だけである。 まず, 植物化石群については, 前記の化石内容をもつ植物化石群は, 大石によって志高 flora と命名され, いわゆる Rhaeto - Lias 植物化石群に含められており, その意味からすれば, 後期三畳紀のものである。 動物化石群については, 中沢ほかは岡田下層に含まれる動物化石群の "Entolium"以外は, すべて夜久野層群下部層を含む舞鶴地帯下部の三畳系のものに酷似し, 志高層中に含まれる動物化石群も Neoschizodus - "Bakevellia" faunule のものにその組合せが似ていることを指摘している [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
この論点については, 文献 49) の p. 132~133 に詳細な記述がある。

その他, 地質構造上からは, 舞鶴変成岩, および二畳系 下見谷層のうえに不整合にのっているというだけで, これ以後ということだけしかいえない。 なお, 広川・東郷・神戸は, 南西に隣接する「但馬竹田」図幅, および「大屋市場」図幅地域にまたがって分布する 御祓山 みはらいやま 層群を, 動物化石群および層相上の類似点から, 志高層群と同時代の上部三塁系としたが, その後の調査によって中沢ほかは下部三畳系であるとしている。

要するに志高層群は三畳系に属することに変わりはないが, 上部・下部のいずれであるか, まだ確定した証拠は挙げられていない。

II.4.3 難波江 なばえ 層群

本層群は, 図幅地域の南東隅の物部付近にわずかに分布するが, 東隣の舞鶴図幅地域内では夜久野南帯を構成する諸岩石と, 舞鶴層群に挾まれて断続しながら細長く分布し, さらに北東の隣接図幅地域へと続く。

本層群を構成する岩石は, 砂岩と頁岩である。 頁岩は黒色~暗灰色で, 層面に平行に薄板状または葉片状に割れる性質をもち, 舞鶴図幅地域内のものに比較して, やや粘板岩質である。 砂岩は白色~灰色で, 多くは塊状をなし, 1 m ごとに層理が認められることもある。 石英質で風化すると黄褐色となり, 舞鶴層群の砂岩に比較して, 淡色でやや軟質であることによって区別される。

この層群の模式地である若狭湾沿岸の難波江地区では, 本層群は次の4つに区分され, そのうち最下位の N1 層は本図幅地域内には認められない。

N1 層(下部頁岩砂岩層)
N2 層(下部砂岩層)
N3 層(上部頁岩層)
N4 層(上部砂岩層)

本地域では, この地層中に次の [ 第 11 表の ] ような動物化石を産する [ 文献 48) ]

第 11 表 [ 難波江層群の動物化石 ] (文献 52) による)

化石名 ↓ / 層準 → N2 N3l N3l N3l N3u
Velata maizurensis
Pseudolimea naumanni ×
Lima yataensis ×
Lima yataensis var. kuredaniensis × ?
Lima (Acesta ?) sp. indet. ×
Oxytoma n. sp. ? indet. ×
"Ostrea" sp. ×
"Gryphaea" sp. aff. keilhaui
Plicatula hekiensis
Bakevellia monobensis
Minetrigonia hegiensis × ×
Parallefondon monobensis
Anodontophora ? aff. manmuensis ?
"Cuspidaria" ayabensis ×
"Megalodus" sp.
Cardinia triadica
Palaeopharus maizurensis ×
Palaeopharus pausicostatus ×
Schafhautria astartiformis
Mentzeliopsis ogawai MS
[ 第 11 表で使われている記号の意味 ]
◎ : Abundant, ● : Common, ○ : Rare, × : Very rare

これらの化石のうち, とくに Minetrigonia hegiensis (SAEKI), Palaeopharus maizurensis KOB. & ICHI. 等によって, 難波江層群は上部三畳系 佐川統の下部に相当するとされている。

この図幅地域の難波江層群は全体として南に 60°程度に傾斜する単斜構造を示し, 下限は断層によって舞鶴層群に, 上限は同じく断層によって夜久野南帯の岩石と接する。

II.5 超塩基性岩類およびその付随岩類

超塩基性岩類には, 次の2つの岩体列がみられる。 1つは, 図幅地域の中央北部に広く分布し, 大江山連峰の大部分を占めるもので, ENE - WSW 方向の延長方向に連なる岩体列で, これを大江山岩体とよぶ。 いま1つは, 南部地域とくに夜久野帯など舞鶴帯のなかの構造線に沿って点在する 小岩体からなるものである。

両者は, 地域的なへだたりがあるため, それらの関係が明らかでない。 大江山岩体ではその北方に広く分布する中生代末期の花崗岩類に直接しているので, 迸入の構造上の位置までも不明である。 いずれにしても, 両岩体とも, 三畳系を貫き, 白堊紀末と考えられている花崗岩類に貫かれている点から, 三畳紀末以後, 中生代末期までの間の造構連動に関連した迸入岩であろうという点では一致している。

南北両岩体の間には次のような違いがみられる。

  1. 北部のものは南部のものより岩体が大きいこと。
  2. 北部のものは蛇紋岩化が岩体全体に及んでいない。 つまり原岩の残留組織, 鉱物が多くみられるが, 南部のものは, ほとんど完全に蛇紋岩化している。
  3. 南部のものは捕獲岩として「夜久野岩類」だけを含んでいるが, 北部のものはその他の捕獲岩を有すること。
  4. 南部のものには, 超塩基性岩特有の微閃緑岩質岩脈が少ないが, 北部のものでは普遍的にみられること。
  5. 輝緑岩あるいは, 玄武岩質岩の貫入岩は北部のものに限られていること。
  6. 銅鉱床は北部のものに限られていること。

II.5.1 大江山岩体

北部の大江山連峰に沿って分布する超塩基性岩は, 図幅地内で3つの岩体がみられる。 1つは赤岩山から千丈ケ原にいたるもので, 3つのうち最大の拡がりをもつ。 岩体の大きさは, 山陰・中国地方を通じて, 村岡図幅 [ ← 出石図幅の西隣 ] 地域内の岩体に次ぐものである。 1つは赤石岳を形成するものと南方の山河 [ ← 山河は赤石岳の北方 2 km にある地名 ? ] 付近の岩体で, もともと1つの岩体であったものが断層 [ 南北走向の断層 ] によって分布を南北にずらされたものと考えられる。 いま1つは西端部に分布し, 西隣の出石図幅地域内にまたがり, 一見, 中生代末期の花崗岩類を貫くかのような産状を呈する。 その周囲の産状, 地質状態から, この岩体は上記2つのものと一連の岩体で, それが花崗岩のなかへ, 断層で挾みこまれたものと解釈されるが, 明らかでない。

赤岩山 - 千丈ケ原岩体と他の2つの岩体とは, 以上のような産状のうえでの違いはあるが, 岩質的には同一性質をもっているので, ここではこの岩体を中心に述べることにする。

赤岩山 - 千丈ケ原岩体は下見谷層(大浦層)を貫き, 中生代末期の宮津花崗岩に貫かれ, 南西部は NW - SE 方向の断層で断たれている。 いも状の大きなレンズをなし, もっとも幅の広いところは, 鬼茶屋 [ ← 仏生寺の北方 1 km ] から鬼穴に至る付近で 5 km 近くもある。 最大延長は 10 km に及ぶ。 岩体の南側には輝緑岩質ないし玄武岩質岩石が, その周縁部を貫いており, その付近には鉱床を伴う鉱化作用の跡があり, 千丈ケ原付近には河守鉱山があって銅鉱山として有名である。 また, 本岩体は数多くの「微閃緑岩」の小岩脈に貫かれ, 処々に角閃岩あるいは斑糲岩などの捕獲岩をもっている。

本岩は表面が一様に風化, 酸化して, 帯褐暗灰色を呈し, 一般に堅硬であるが, 著しく蛇紋岩化の進んだ部分は樹脂光沢を示し, 暗緑色を呈している。 がいして岩体の東側半分は蛇紋岩化が強いが, 西側半分は原岩の組織あるいは鉱物がよく残存している部分が多い。 この蛇紋岩化の著しい部分は溶性燐肥 [ ← 地質図上の Sf(Soluble phosphate fertilizer) ] の原料となって, 採掘されている。

鏡下では特有のメッシュ組織がみられるものもあれば, ないものもある。 組成鉱物は, ほとんど蛇紋石鉱物 [ 以下の [注] 参照 ] からなるが, 常にわずかにクロム鉄鉱ないしクロムピコタイト質尖晶石を含んでいる。 原岩の残留鉱物は橄欖石のみの場合もあり, ほとんど輝石のみの場合もあるが, 一般には両者をともに含んでいる。 この残留鉱物によって原岩の性質を推察することができるが, 原岩の種類による分布範囲を区分することは難かしい。 巻末図版 Ⅹ はほとんど橄欖石のみの残晶を含む蛇紋岩の鏡下の写真である。

[注]
一部緑泥石を含むが, 両者の概略の関係については すでに「舞鶴」図幅説明書(p.37)に述べてあるものと同じである。

また, 北縁の部分には, 橄欖岩の残存鉱物とともに, 透角閃石質角閃石が処々に見られる。 この角閃石は, 宮津花崗岩の接触によって新たに晶出した変成鉱物と考えられる。

図版 10 蛇紋岩化橄欖岩と宮津花崗岩との接触部(1)。
Sp : 蛇紋岩化橄欖岩, Am : 角閃石岩, gt : 花崗岩

第 12 表 大江山連峰山頂付近における蛇紋岩と花崗岩との接触部の化学分析値 (分析者 : 技術部化学課 大森えい)

試料 ① 0-270 ② 0-271 ③ 0-272 ④ 0-273 ⑤ 0-275 ⑥ 0-276
SiO2 67.82 43.62 39.10 38.60 38.72 44.92
TiO2 0.41 0.38 < 0.01 < 0.01 < 0.01 0.15
Al2O3 15.90 13.05 0.95 0.75 1.11 16.79
Fe2O3 1.55 3.37 7.75 7.00 6.55 2.04
FeO 1.63 4.09 0.73 0.79 1.63 2.81
MnO 0.08 0.15 0.14 0.11 0.13 0.13
MgO 1.38 17.85 36.45 37.97 38.08 14.38
CaO 3.84 11.65 0.01 0.01 0.84 12.77
Na2O 3.84 1.81 0.06 0.06 0.07 2.13
K2O 2.73 0.27 0.02 0.03 0.01 0.24
P2O 0.05 0.01 0.00 0.00 0.00 0.01
H2O (+) 0.66
H2O (-) 0.02 (0.26) (2.68) (1.52) (1.56) (0.26)
Ig. loss 3.38 14.44 14.22 12.72 3.22
Cr2O3 0.00 0.07 0.19 0.20 0.20 0.18
Total 99.91 99.70 99.85 99.75 100.07 99.77
[ 第 12 表の試料の採取場所 ]
① 宮津花崗岩(角閃石黒雲母花崗岩): 宮津市 小谷 [ 位置不明 ]
② 角閃石岩 : 宮津市 不甲峠北
③ 変質蛇紋岩(表面赤やけ): 宮津市 不甲峠北
④ 変質蛇紋岩(表面赤やけ): 宮津市 不甲峠北
⑤ 蛇紋岩 : 宮津市 不甲峠北
⑥ 縞状角閃石(角閃石岩): 宮津市 不甲峠北

不甲峠 [ ← 河守鉱山の北東方 3 km ] の北方のバス道路の南側の切割り崖の露頭写真を図版 10 に示すが, ここでは蛇紋岩と宮津花崗岩との境に 約 1~2 m 位の幅で角閃石岩の単鉱物岩が発達している。 その蛇紋岩側では幅約 3 m の間, 蛇紋岩そのものが, 一般風化面とは趣を異にする「焼け」を生じている。 これは花崗岩の接触変質作用によるものと考えた。 しかし, 第 12 表の化学分析結果はこの接触部の化学成分の変化を示すものであるが, この表でもわかるように, 蛇紋岩そのものの鉱物成分, 化学成分は接触部に近づいても, それほどの変化を示さず, その境の角閃石岩の地帯にはいると, 急激に CaO と Al2O3 が増加しているのである。

この CaO の増加は花崗岩の注入によるものとは考え難く, この岩石の成因はいまのところ明らかでない。 むしろ, もともとの超塩基性岩の縁辺相あるいは捕獲岩である可能性もある。

岩体中の脈岩「微閃緑岩」

本岩は幅 5 m 以下の岩脈で, 外観は中粒の白黒の絣模様を呈する塊状, 堅硬な岩石である。 鏡下で, ほぼ等粒の完晶質, 主として褐色角閃石および斜長石からなり, 前者が後者の間隙を埋めるような組織を示す。 部分的に斜長石が斑晶状を呈することがあるが, 普通, 径 0.5 mm 前後の結晶粒からなる。 斜長石は An 40~50 の成分を示す。 褐色角閃石はその周縁部が陽起石質角閃石に変質しており, この両者は, ともに緑泥石化する。 その他, 鉄鉱のほか, 石英・スヘンおよび曹長石脈などがみられる。

捕獲岩

角閃岩は, 寺屋敷 [ 不甲峠の南西 500 m ] 付近にみられ, 片状~片麻状構造が明らかである。 蛇紋岩と接する露頭がないので, 関係がよくわからないが, 分布および岩質などからみると, おそらく捕獲岩であろう。 本岩は方向性の明らかなネマトブラスト組織をもつ淡緑色角閃石と 変質した斜長石とを主成分鉱物とし, ときに輝石の残晶を含んでいる。 その他 鉄鉱のほか, 2次的な黝簾石・絹雲母などがみられる。

斑糲岩は千丈ケ原の道路傍の切割に露出しているが, 蛇紋岩と直接するところはない。 本岩は著しく変質し, カタクラスト組織が明瞭な, 粒状組織をもつが, 一部には同じ構成鉱物が斑晶様を呈している。 主成分鉱物は変質した斜長石(An 60~70 ?), 異剥石質単斜輝石である。 鉄鉱が随伴するほか黝簾石が生成され, 斜長石の付近では著しく汚染した部分がみられる。

本蛇紋岩体中には, 蛇紋岩特有のロジン岩様の外観 白色のレンズ状捕獲岩は少ないが, 東側の蛇紋岩化した部分にはときどきみいだされることがある。

輝緑岩~玄武岩質脈岩

本岩は超塩基性岩体の南縁部に細長く帯状をなしているが, これは一般にレンズ状のものが断続しながら連なるものであるらしい。 外観は暗灰色~黝色を呈し, 堅硬である。 普通には中粒であるが, 細粒のものもある。 本岩の付近には鉱化作用の跡が見られ, 本岩も「赤焼け」している場合が少なくない。

鏡下でオフィチック組織を示すが, あるものはその組織のなかに主要鉱物を斑晶状に含んでいる。 また処々にカタクラスト組織がみられる。

主成分鉱物は斜長石・単斜輝石で, それらが斑晶となっているものがある。 斜長石はソーシュル石化している場合が多いが, その成分 An 50~70 と推定される。 単斜輝石は普通輝石質であるが, たいていの場合 陽起石質角閃石化して, ウラル石質のものとなっているものもある。 その他, 鉄鉱を含み, また, 2次的鉱物として, スヘン・チタン鉄鉱・緑簾石・黝簾石・陽起石・曹長石・石英・緑泥石などがみられ, あるものは主成分鉱物を交代し, あるものはプール状, 脈状となっている。 斑状構造を示すものには, その石基がほとんどこのような2次的鉱物によって占められていることがある。

また, 河守鉱山の坑内で, 約 0.5 m(±)の幅をもつ玄武岩脈がみられる。 これは上記のものに較べ, きわめて新鮮でほとんど鉱化作用を蒙っていない。

II.5.2 南東部の構造線に沿う岩体

本岩は前述のように構造線 [ ← 図幅東端と南有路で由良川に交わる断層 ? ] に沿って点々と小岩体をなして迸入しており, 多くの岩体は幅 10 m 以下, 延長 50 m 以下のレンズ状をなす。 しかし, 本岩の露出しているところは, 地形がきりたち, かつ崩壊が著しく, 小規模な崖錐をつくっていることが多い。

本岩体は完全に蛇紋岩化が進んだもので, 原岩の残存組織や残留鉱物はまったくみちれない。 外観は樹脂光沢をもつ暗緑色の脆弱な岩石であるが, ときには黝色を呈し堅硬なものもある。 一般に風化に弱く, かつ粘土化している。 そのなかでとくに堅硬な部分がある場合には, たいてい, それは捕獲岩であって, 斑糲岩質ないし粗粒角閃岩質のものである。 またまれには, ロジン岩様の灰白色のレンズ状の岩石も含まれていることがある。

本岩はほとんど蛇紋石質鉱物からなり, 残留鉱物はまったく認められず, また, 特有のメッシュ構造がしばしば見られる。 また, 尖晶石族の鉱物は普遍的に点在する。

II.6 中生代末期の火成岩類およびホルンフェルス

II.6.1 安山岩質噴出岩

本図幅地域の中央西部に分布する安山岩質噴出岩は, 西隣の出石図幅地域内に広く分布する中生代末期の噴出岩類の一部と思われる。 しかし出石図幅地域内で, その噴出岩類の主体をなす流紋岩質噴出岩類は, 本地域内には, 次項で述べる流紋岩質の小岩体を除けば, まったく分布しないので, ここに述べる安山岩質噴出岩がそれとどのような関係にあるのか, はっきりしない。

安山岩質噴出岩のもっともよく観察されるのは, 河野辺北西の方谷部落付近であるが, その分布範囲はきわめて狭少であり, すべて熔岩であって, 凝灰岩を伴っていないようである。

本岩は後述の花崗岩類によって貫かれ, 熱変成作用を受けてホルンフェルス化している。

本岩は外観, 帯緑暗灰色で脆弱な部分があり, そこでは玉葱状構造を示している。 またこの安山岩質岩の北西部の清滝・本城付近には, 著しく風化した玢岩質の岩石がみられるが, 標本採集不能の状態にまで粘土化している。 これはおそらく, 本岩と関連のある火成岩であろう。

本岩は鏡下で, 斑状構造が明らかである。 斑晶は斜長石および輝石類である。 この斜長石は径 0.5~0.8 mm であり, 自形性が強く, 累帯構造を示すものが多い。 しかし推定される平均の成分は An 40~50 である。 輝石類もまた, 自形性に富み, 径 0.5 mm 前後のものが多い。 この輝石類には斜方輝石と単斜輝石とがあり, 前者は紫蘇輝石質で, 後者の普通輝石質のものより, 量のうえからは, はるかに多い。 石基は間粒組織ないし填間組織をもっていたもののようであるが, 少なくとも検鏡したところでは, 再結晶によりほとんど完晶質となっている。 主として, 斜長石・輝石類および鉄鉱からなるが, 輝石類はほとんど緑泥石化し, また石基には2次的に黒雲母が著しく晶出している。

II.6.2 流紋岩~石英斑岩

本岩は本地域内できわめてわずかに分布する。 調査した範囲では, 砥石 といし 岳の西方 [ ← 大俣の北西 1 km ; 河守鉱山の東南東 4 km ] と南有路の南西方 [ ← 地質図上に凡例なし ] との2カ所であり, いずれも前述の二畳系の岩石を貫く脈岩様の小岩体である。

いずれの岩石も変質が著しく, 前者は後の鉱化作用を蒙り, 後者は蠟石化していて原岩は余り明らかでない。 表題のように流紋岩か石英斑岩かの区別も, また, 石英安山岩質のものであるかもはっきりしない。 いずれにしても, 斑晶をなすのは石英と変質した斜長石で, カリ長石の存在は明らかでない。 有色鉱物はほとんど緑泥石質物質・絹雲母・酸化鉄によって置き換えられ, 汚濁している。 石基はガラス質物質が多いが, 全体として脱ガラス作用をうけ, 珪長質組織を示し, 有色鉱物は斑晶同様に変質し, 鉄鉱が散点している。

この岩石は, 前記の安山岩質噴出岩よりもさらに, 西隣図幅地域内の後期中生代の噴出岩類の分布地域からはるかに隔絶した位置にあるので, 実のところ ここに一括した後期中生代の火成岩類の一部であるかどうかはいっそう詳らかでない。

II.6.3 迸入岩類

ここに中生代末期の迸入岩類としたものは, 古生層とか三畳系とかの古期岩類を貫き, これらに熱変成を与えた塩基性から酸性にわたる一連の深成岩~半深成岩をさす。 その迸入の時期については, 本図幅地域では明らかではないが, その岩質とその連続性からして, 西方の山陰および中国地方へ広く分布する中生代末期の火成岩類に類似しているので, ここでも一応 中生代末期の迸入岩類として取り扱うことにする。 しかし本地域の付近では, 宮津北部地域などで新第三系がこれらを被覆しており, また, 蛇紋岩を貫いたり, 前記の安山岩に熱変成を与えているという関係がみられるにすぎない。

本地域に分布するこれらの迸入岩類は, 推定される迸入の前後関係, 順序から, 次の岩石種が区別される(ほぼ南から北へ向かう分布の順であるが, 大体 迸入の順序に合致するようである)。

(1) 塩基性岩
(イ) 天ケ峯・二俣塩基性岩
(ロ) 仏谷塩基性岩
(2) 宮津・雲原花崗岩中に捕獲された塩基性岩(これは前2者とは岩質を異にする)
(3) 雲原花崗岩(中粒黒雲母花崗岩)
(4) 花崗閃緑岩
(5) 花崗斑岩
(6) 細粒黒雲母花崗岩
(7) 文象岩~文象斑岩
(8) 宮津花崗岩(粗粒角閃石・黒雲母花崗岩)
(9) 脈岩
(イ) アプライト
(ロ) 玢岩

(4), (5), (6), (7) の迸入岩類は, 雲原花崗岩と宮津花崗岩との境界付近に集まって帯状分布をなす部分の岩石を一括して, 早期迸入岩コンプレックス帯と呼ぶ。

(1) 塩基性岩類

(イ) 天ケ峯 てんがみね 二俣 ふたまた 塩基性岩

橋ケ谷 [ 位置不明 ] から天ケ峯にかけて, 石英斑糲岩質の塩基性岩が分布し, 天ケ峯の西方では, ほぼ南北に走る断層で断たれ, 後述の雲原花崗岩と接している。 また, その東方への延長部に相当する二俣沢の下流部に, その一部と推定される岩石がボス(Boss)状に露出しており, その周りの被迸入岩の下見谷層はいずれもホルンフェルス化している。 この石英斑糲岩質塩基性岩を天ケ峯・二俣塩基性岩とよぶ。

外観はともに, やや優白質で花崗岩質酸性岩と見誤ることがある部分があるが, 一般には暗灰色, 堅硬な岩石である。 鏡下で, 両地域の岩石にはやや組成鉱物に違いはあるが, ともに前述した意味での填間的組織をもつ斑糲岩構造を示す。 主成分鉱物はともに斜長石および単斜輝石であるが, 天ケ峯の岩体には紫蘇輝石が含まれていることがある。 その他, 石英がそれら鉱物間を充填するようにあらわれ, 角閃石が輝石を交代して晶出している。 黒雲母がみられる場合は点在している。 斜長石は径 0.8~1.00 mm, その成分は An 60~70 と推定されるが, 累帯構造を示すものもある。 カリ長石は二俣のものには認められないが, 天ケ峯のものにはパーサイト構造を示すものが認められることがある。 単斜輝石は径 0.5~1.0 mm のものが普通で, 半自形を呈する。 ほとんど無色で, 部分的に緑泥石化が著しい。 また明らかに淡緑色の角閃石がそのなかにみられるものもあり, 一部にはウラル石となっているものもある。 紫蘇輝石は細粒で, 径 0.3~0.5 mm である。 橋谷付近の本岩中に認められる以下の関係のマイクロ・スケッチを第 4 図に示す。

輝石 角閃石 緑泥石
↓(?)
黒雲母

第 4 図 天ケ峯塩基性岩中の輝石・角閃石・黒雲母・緑泥石の関係を示すマイクロスケッチ(橋谷産)

これらの岩石はいずれも, 後の花崗岩質岩の影響をうけ, 両者の混成岩というよりは 花崗岩化斑糲岩(granitized gabbro)というべきものであろうか。 とに角, 特殊な岩石である。

いずれの岩石も, 随伴鉱物として鉄鉱・アパタイト・ジルコンのほか, 2次的な緑泥石・絹雲母・緑簾石・黝簾石・スヘン・曹長石を含んでいる。

(ロ) 仏谷 ほとけだに 塩基性岩

本岩は, 与謝峠の南方, 仏谷の西斜面に露出する小岩体で, (イ) で述べた塩基性岩類とは趣を異にし, 外観は優黒質, 一見して斑糲岩とわかる堅硬, 緻密な岩石であって, これを仏谷塩基性岩と名付ける。 岩石はやや粗粒, 均質で, 「黒御影」とよばれ, 建築材・墓石などに用いられている。

鏡下で, いわゆる斑糲岩構造が明瞭である。 組成鉱物は一般に粗粒で, きわめて新鮮である。 主成分鉱物は斜長石・紫蘇輝石・単斜輝石で, 角閃石・黒雲母が伴われ, 石英・カリ長石もまれではない。 その他, 鉄鉱・柘榴石およびアパタイトの小粒が散点する。 斜長石は径 1.5~2.0 mm の自形ないし半自形の結晶で, その成分は An 50~60 である。 紫蘇輝石(2 Vx = 48~52°)は長径 1.0~2.0 mm の自形ないし半自形のものが多いが, 部分的に角閃石化, 黒雲母化, および緑泥石化が著しい。 単斜輝石には, 異剥石質のものが認められ, 径 1.0 mm 前後の半自形を示し, 変質状態は紫蘇輝石の場合とよく似ている。 角閃石の内部には, たいていの場合, 輝石が残存している。 黒雲母もまた同様であるが, 交代の際に生成されたと推定される鉄鉱が付近に散点していることがある。 角閃石は, 2 Vx ≒ 70°, c^Z ≒ 20°くらいで, 淡緑色~緑色の多色性を示し, 黒雲母は淡黄褐色~褐色の多色性を示す。 また, 一部では, 径 0.01 mm くらいの角閃石の小結晶が, ミルメカイト様に輝石中に晶出して, 蠕虫状をなしている(一種のマイクロポイキリティク組織 ?)。 また, カリ長石はパーサイト構造を示すもので, 斜長石間に石英とともに組み合っている。 石英は, 斜長石・輝石類の間隙を充填することが多いが, ときには, 斜長石とカリ長石との境界に, 径 0.01 mm 以下の細粒結晶が, これまた蠕虫状に生成され, ミルメカイトとなっている。

以上のような現象をみると, 本岩も (イ) の塩基性岩と同様に, 斑糲岩としては, 特殊な岩石である。

本岩の典型的なものの鏡下の写真を巻末図版 Ⅻ に示す。

(2) 宮津・雲原両花崗岩中の塩基性捕獲岩

本岩類は宮津・雲原両花崗岩に捕獲岩として取りこまれている岩石で, その規模はさまざまであって, 完全に一露頭が, 本岩類で構成され, 部分的に花崗岩の侵入をうけているもの, レンズ状の溜りとなっているもの, また拳大以下のもの, とくに, 豆粒大の「クロット」状の溜りとなって, ほぼ普遍的に散在するものなどさまざまである。 しかしクロット状になっているものを除いては, この種の塩基性岩が集中的にみられるところは, 雲原・宮津両花崗岩の境界のコンプレックス帯の中であって, とくに, 地質図上では区別して図示していないが, コンプレックス帯の東部, 図幅地域の中央北部, 香河から鬼穴付近にかけての宮津花崗岩が東へ拡がる地域である。 雲原花崗岩中には, 比較的この種の捕獲岩は少ないが, 雲原の西方部にわずかにみられる。

本岩類中とくに宮津花崗岩に含まれ, 香河付近の露頭をなすものは, 一見すると, 脈岩とも思われるが, きわめて複雑に花崗岩質物質がはいりこんで花崗岩化も著しい。 しかし, 優黒質, 暗灰色のまゝ残存しているものには, 肉眼的にも, 長径 5 mm にも及ぶ長柱状の角閃石が含まれており, その特徴となっている。 鏡下では, 間粒様ないしオフィティク様の組織がみられ, 閃緑岩~閃緑玢岩, あるいは部分によっては, 角閃石輝緑岩といえる岩質を示す。 斜長石・石英・角閃石を主成分鉱物とし, カリ長石・黒雲母を伴っていることがある。 斜長石は, 短~長柱状(lath-shape)のはっきりした自形結晶で, 普通には, 長径 0.5 mm 位, An 40~50 の成分を示し, ときには, 石英がそのまわりを取巻いていることがある。 角閃石は前記のように, 特徴的な長柱状半自形の結晶で, その長径は普通のものでも, 1.5 mm 以上であるが, 短径は 0.1 mm 位である。 部分的に緑泥石化するが, 2 Vx = 70°, c^Z = 25°位で, 淡緑色~濃緑色の多色性を示す。 黒雲母もまた一部緑泥石化する。 随伴鉱物として鉄鉱が散点するが, その他 2次的鉱物として, スヘン・緑簾石・黝簾石などがみられる。 特徴的な角閃石を含む岩石の鏡下の写真は巻末図版 ⅩⅢ に示してある。

また, 以上に述べた特徴的な角閃石を含まない同質岩も少なくない。 この場合, 含まれる角閃石は, せいぜい長径 1.00 mm 位が最大であり, 黒雲母の一部は, これを交代している。 久畑 [ ← 図幅地域西端中央 ] の南部にみられる捕獲岩の一部には, 斜長石が著しく長い柱状~拍子木状(lath-shape)を示し, 1.5 mm 位のものがあり, 角閃石はまったく黒雲母化し, 一部には緑簾石~黝簾石質鉱物となっているものがある。

雲原花崗岩中の数少ない捕獲岩には, 後者のような塩基性岩が多い。

(3) 雲原花崗岩

本図幅地域で, 後述のコンプレックス帯の南側にあって, とくに雲原付近からその南西方にかけて広く分布する中粒黒雲母花崗岩を雲原花崗岩と呼ぶ。 同じように, コンプレックス帯の北側に広く分布する中~粗粒の角閃石黒雲母花崗岩を宮津花崗岩と呼ぶ。 両者の産状のうえでの関係は不明であるが, 本岩はより早期の迸入岩であろうと推定している。

雲原・宮津両花崗岩の間には, 概観すると次のような違いがみられる。 しかしこの違いは, 必ずしも両岩体全般にわたって共通するものではない。

  1. 規模のうえから, 宮津花崗岩の方が, 図幅地域外を含めると, はるかに広大である。
  2. 節理は雲原花崗岩によく発達している。
  3. 宮津花崗岩は, 一般にペグマタイト質といえるほどに粗粒の部分が多いが, 雲原花崗岩の方は中粒で比較的均質である。
  4. 雲原花崗岩は岩質に変化は少ないが, 宮津花崗岩は岩質に変化がある。 例えば, 宮津花崗岩はその東側では, 相対的に角閃石が多く, 西側では少ない。
  5. いわゆる塩基性クロットは宮津花崗岩中に多いが, 雲原花崗岩には塩基性捕獲岩はあるが, クロットは少ない。
  6. 雲原花崗岩中にはアプライト質脈岩が少なく, 宮津花崗岩中には玢岩質脈岩が少ない。
  7. 岩質的に雲原花崗岩はコンプレックス帯の岩石の一部に類似性をもつが, 宮津花崗岩はもたない。 例えば, 鏡下で雲原花崗岩中には, 柱状 - 長柱状(lath Shape)の斜長石が多く含まれていること。 また, 雲原花崗岩の方が変質の程度が強いことなど。

雲原花崗岩は, 外観 優白質灰白色であるが, やや黄色味を帯びることがある。

鏡下で, 等粒組織を示す。 径 0.5 mm 位の斜長石・石英・カリ長石を主とし, 副成分として黒雲母を含む。 斜長石は短柱状~長柱状のものが多く, An 15~20 の成分をもち, ときに累帯構造の著しいものがある。 また, ときどき, 絹雲母化, 緑簾石化, 曹長石化している。 カリ長石にはパーサイト構造を示すものが多く, マイクロクリン構造を示すものは珍しい。 石英はそれらの間を填めるような産状を呈するが, ときにカリ長石と微文象組織を示す。 黒雲母は葉片状で, これは, 0.3 mm 大のものが多い。 淡褐色~チョコレート色~濃赤褐色の多色性を示すが, ときどき緑泥石化している。 角閃石がまれに少量散点していることがある。 その他, ジルコンがみられ, 黒雲母中に含まれるときは, 多色 うん を示す。 柘榴石は光学異常を呈し, 変質した黒雲母の付近に集まっていることがある。 鉄鉱・アパタイトのほかに, 2次的鉱物として, 緑泥石・黝廉石がみられ, 黒雲母 → 緑泥石 → 黝簾石と解釈される晶出関係を示すものがある。 本岩の鏡下の写真は巻末図版 ⅩⅤ。

(4) 花崗閃緑岩

本岩は大江山(千丈ケ岳)と赤石岳との間に分布する小岩体である(また, 早期迸入岩コンプレックス帯中にも同質岩が含まれている)。 本岩は, 下見谷層の一部を貫き, 西側で接する超塩基性岩との間には, 南北に走る断層が推定される。 他の迸入岩と本岩との関係は明らかでないが, 虫本 [ ← 加悦の東方 2.5 km ] の南方において, コンプレックス帯のなかに同質岩が含まれ, 宮津花崗岩中に捕獲されているので, この岩石もコンプレックス帯のものと一連の迸入岩として取り扱うことにした。

外観は優白質で, 灰色~灰白色の比較的堅硬な岩石である。 鏡下では, 一見 モザイック様の等粒組織(径 0.5~0.8 mm)を示すものもあり, 部分的に斑状を示す。 主成分鉱物は斜長石・石英で, カリ長石は比較的少ない。 角閃石と黒雲母は副成分鉱物として, ともに普遍的にみられるが, ところによって, 黒雲母が角閃石を置きかえている。 両鉱物とも, 普通さらに, 緑泥石化している。 斜長石はときに, 斑晶様(径 1.0 mm 位)となっているところがあるが, ともにその成分は An 20~40 位である。 カリ長石はパーサイト構造を示し, ときどき石英と文象構造を示す。 これらの長石は多少なりとも絹雲母化しており, 虫本の南方のものには, 曹長石化しているものがある。 角閃石は柱状結晶で, ときには著しく緑泥石化する。 一般に, 2 Vx ≒ 70°, c^Z ≒ 20°, 淡緑色~緑色の多色性を示す。 黒雲母は葉片状をなし, 淡黄褐色~濃褐色の多色性を示す。 このほか, 鉄鉱・アパタイトを含み, 2次的鉱物として, スヘン・緑簾石がみられる。

(5) 花崗斑岩 [ Cg ]

本岩は香河 [ ← 加悦の東方 3 km ] の西方に露出し, 早期迸入岩コンプレックス帯の延長部にあたる, 宮津花崗岩中の捕獲岩塊である。 肉眼的にも, 斑状組職の明瞭な優白質灰白色の岩石で, 風化によって脆弱な岩石となっていることが多い。

鏡下で, 完晶質, 斑状組織が明らかである。 斑晶は主として石英・斜長石からなるが, カリ長石・黒雲母もまた少量みられる。 角閃石は黒雲母中に残晶様に含まれることがある。 石英・長石類などはいずれも, 径 0.8 mm 位の自形ないし半自形の結晶である。 斜長石の成分は An 15~20 である。 カリ長石はパーサイト構造を示すもので, 石英に包まれたようなものもある。 黒雲母は淡黄褐色~褐色の多色性を示す。

石基は粒状, 珪長質組織を示すが, 処々に石英・長石類間に黒雲母がみられる。 おもな鉱物は斑晶と同じであり, ジルコン・鉄鉱・スヘンが加わる。 石英とカリ長石は微文象組織を示すことがある。 黒雲母は緑泥石および緑簾石に変質していることが多い。

(6) 細粒黒雲母花崗岩 [ Cg ]

本岩は図幅地域のコンプレックス帯の西側の大部分を占めているが, 与謝峠 [ ← 赤石岳の西方 1 km ] 付近の地域にも同質岩がみられる。 次に述べる文象岩とは外観のうえから区別が困難であり, また境界もはっきりしない。 漸移的関係にある可能性がある。 外観は比較的堅硬, 細~中粒の岩石で, 桃色を強く帯びている特徴的な部分もあり, 雲原・宮津両花崗岩とは区別され易い。

鏡下で, 有色鉱物の少ない, 径 0.5 mm 位の等粒の一見 モザイック様の組織を示す。 カリ長石に富み, 石英・斜長石はそれに次いで, ほぼ等量含まれている。 黒雲母はほとんど緑泥石化するが, あってもきわめて少量である。 まれに, 角閃石が認められることがある。 長石類・石英はそれぞれ径 0.5 mm 前後のものが多い。 カリ長石はパーサイト質のものが多い。 斜長石は An 15~20 の成分を示すが, 曹長石化しているものが多い。 カリ長石と石英をつくることがある。 その他 鉄鉱が散点する(巻末図版 ⅩⅣ)。

(7) 文象岩~文象斑岩 [ Cg ]

本岩は前記の細粒花崗岩の一部とも考えられ, ともにコンプレックス帯の主体をなしているが, いずれも, 本帯中の他の岩石との関係は明らかでない。 外観は前記の細粒花崗岩に酷似するが, どちらかといえば, より白っぼい岩石である。

鏡下で, 石英とカリ長石との著しい微文象組織が特徴的によく発達する岩石で, 斑状構造はまれにしかみられない。 主成分鉱物は, カリ長石・石英および斜長石であるが, 斜長石はきわめて少量となるか, ほとんど含まれないものもある。 本岩も有色鉱物は少なく, 小型の黒雲母が散点する。 カリ長石にはパーサイト構造をもつものが優勢であり, マイクロクリン構造をもつものは少ない。 斜長石は An 15 位の成分を示す。 その他, 本岩中には, 鉄鉱の点在をみるほか, 他の鉱物はあまりみられない。

(8) 宮津花崗岩

本岩は前述のような命名によったもので, 北隣の宮津図幅地域内に広く分布するばかりでなく, 北東方は東隣の舞鶴図幅の北東方地域へ, 西は出石図幅地域の北部およびその北隣地域にまで広く分布する。 本地域内でも北部から北西部に広く分布し, 図幅全面積の約 1 / 5 を占めている。

北隣の宮津地質図幅では, 本岩を角閃石黒雲母花崗岩と黒雲母花崗岩との2つに分けている。 本地域内でも, 同様の区分が可能である。 すなわち, 早期迸入岩コンプレックス帯を境にして, 東側は比較的角閃石を多く含む花崗岩を主としており, 西側は, 角閃石の比較的少ない岩相を主としている。

本岩はきわめて粗粒な岩石で, 一見して, ペグマタイト様といえる部分の多い, 優白質, 帯桃色灰白色の岩石である。 本地域内では, 表面の風化が著しく, 新鮮な標本採集が困難なことが少なくない。 前記したように, 本岩中には, 塩基性の捕獲岩が多く含まれている。 それには, 拳大以上のものから豆粒大以下のものまであり, 前者は東側の部分に多く, 後者は一般に塩基性クロットと呼ばれ, 西側の部分に多い。

本岩は鏡下で, 一般に粗粒で, やや等粒の半自形粒状組織の岩石であるが, 斑状を呈する部分も少なくない。 主成分鉱物は石英・カリ長石および斜長石で, それぞれ径 10 mm 以上のものもあるが, 普通 5 mm 前後で, 部分によっては, より細粒のものもある。 その他, 黒雲母・角閃石が伴われる。 斜長石は An 15~20 の成分を示し, 一部には絹雲母化あるいは炭酸塩鉱物化するものがある。 カリ長石には, マイクロクリン構造のものとパーサイト構造のものとがあるが, 後者の方がより多くみられる。 石英には, ときに細粒のものがあり, まれに波動消光をする。 黒雲母は径 0.5~1.0 mm の葉片状ないし紐状をなし, 淡褐色~チョコレート褐色の多色性を示す。 まれに緑泥石化する。 角閃石は長径 0.5~1.0 mm の柱状を示すが, 周縁部が緑泥石に変質していることがあり, また, 結晶の一部が黒雲母化していることもある。 光学性ははっきりしないが, 大体 2 Vx = 70°, c^Z = 20°で, 淡緑色~緑色の多色性を示す。 その他, 鉄鉱・アパタイト・ジルコン・アラナイトを含み, ジルコン・アラナイトが黒雲母中に含まれるとき, 黒雲母は一般に多色暈を示す。 またときには, 柘榴石が含まれ, サゲナイト構造を示すチタン鉄鉱のみられることがある。 またカリ長石の割れ目に沿って, 曹長石脈が発達し, その付近に, ミルメカイト様に石英の極細粒結晶の発達していることもある。

塩基性含有物をもつものには, 拍子木様(lath shape)を示すやや細粒の斜長石の残存と, 黒雲母を包んだ石英の生成をみることがある。 これはポイキリティク組織に似ており, 香河 付近のものに多い。 またここでも, 角閃石 → 緑泥石 → 黒雲母の関係が観察され, その付近にスヘンの生成をみることがある。

本岩の代表的なものの鏡下の写真を巻末図版 ⅩⅥ および ⅩⅦ に示す。

(9) 脈岩類

雲原・宮津両花崗岩中に, いくつかの規模の小さい脈岩がみられる。 前述のアプライト質脈岩と玢岩質脈岩である。 いずれも幅 5 m 以下の細脈岩であるが, 両者は成因的に直接関係はないようであり, かつ, ともに共存する露頭もみられない。

(イ) アプライト質脈岩 [ A ]

本岩は普通 1 m 前後の幅をもつが, より細かく枝分かれしていることがある。 外観, 優白質灰白色で緻密, 堅硬な岩石である。 この岩脈に貫かれた宮津花崗岩などが著しく風化している場合でも、 本岩はそのまま風化をまぬがれていることが多い。 そのような野外の産状を図版 11 に示す。

図版 11 宮津花崗岩中のアプライト脈岩

本岩は細粒で, 主成分鉱物はカリ長石・石英および斜長石であり, それぞれ, 径 0.3~0.5 mm の等粒結晶である。 黒雲母はそれらの間隙を填めるように生成されている。 カリ長石には, パーサイト質のものが多く, 石英と文象組織をつくることがある。 斜長石は An 15 位の成分を示すが, また量的にきわめて少ないことがある。 黒雲母は径 0.1~0.2 mm の葉片状をなし, 一般には淡褐色~濃褐色の多色性を示すが, 部分的に緑泥石化しているものがある。 その他 アラナイト・ジルコン・スヘン・鉄鉱などがみられる。

(ロ) 玢岩質脈岩 [ P ]

本岩は本図幅地域内で, 雲原の西方地域にみられるが, 露頭の数は少ない。 一般に, きわめて風化に弱く, 粘土質の帯褐暗灰色の脆弱な岩石となっており, 肉眼的に岩質不明のことが多い。

鏡下では, 斑状組織が著しく, 全体として, とくに石基の部分が酸化鉄などで汚染していることが多く, 完晶質かどうか見分けることが困難である。 斑晶は斜長石・輝石および角閃石で, まれに石英をみるが, その著しく多いものはむしろ石英玢岩である。 石基は変質汚染して, その組織は明らかでないが, 火山岩でいうところの填間組織をもつようである。 斜長石・輝石および鉄鉱からなる。 ガラスの存在は明らかでない。 斑晶および石基ともに, 有色鉱物はほとんど緑泥石化していることが多い。

第 13 表 大江山付近の後期中生代迸入岩類 総括表

以上のような, 中生代末期の迸入岩類を総括し, 鳥取地方に同様な関係で分布する岩質類似の迸入岩類と比較対照してみると, 第 13 表のようである。

また, 各岩石種の代表的標本についての化学分析値を第 14 表に示す。

第 14 表 大江山付近の後期中生代迸入岩類の化学成分(分析者 : 大森えい)

試料 A B C D E F
SiO2 51.86 53.80 67.85 68.84 77.03 74.60
TiO2 0.68 1.15 0.36 0.36 0.08 1.18
Al2O3 19.52 18.24 15.27 14.93 12.82 13.23
Fe2O3 1.89 1.86 1.37 0.95 1.04 0.93
FeO 5.92 6.95 2.14 2.44 0.44 1.13
MnO 0.13 0.12 0.10 0.21 0.05 0.10
MgO 6.37 4.51 1.74 1.54 0.07 0.49
CaO 9.62 8.01 3.22 2.89 0.37 1.11
Na2O 2.94 2.97 2.95 3.17 4.58 3.65
K2O 0.43 1.33 3.89 3.94 3.37 3.85
P2O5 0.07 0.29 0.10 0.09 0.01 0.06
H2O (+) 0.33 0.37 0.62 0.38 0.05 0.25
H2O (-) 0.32 0.36 0.50 0.38 0.38 0.33
Tot. 100.15 99.96 100.11 100.12 100.29 99.91
Sal. 67.65 70.56 89.41 89.76 98.09 95.44
Fem. 31.97 28.74 10.60 9.85 1.90 4.34
Tot. 99.62 99.30 100.01 99.61 99.99 99.78
[ 第 14 表の試料の採取場所 ]
A : 仏谷塩基性岩(0-409): 福知山市 仏谷
B : 仏谷塩基性岩(0-68): 福知山市 仏谷
C : 雲原花崗岩(0-319): 福知山市 雲原
D : 花崗閃緑岩(0-102): 京都府与謝郡 福知山市境界 仙丈ヶ岳
E : 細粒花崗岩(0-69): 福知山市 与謝峠の南
F : 宮津花崗岩(0-453): 京都府与謝郡加悦町

II.6.4 ホルンフェルス

本図幅地域の北東部から南西部にかけて, 広く分布する古生層(とくに下見谷層)および中生層(とくに夜久野層群)の一部は, 前述の中生代末期の迸入岩類によって, その接触部から, かなりの範囲にわたって, 接触熱変成作用を蒙って, ホルンフェルス化している。

ここでは, その変成度による分帯の詳細は省略し, 一般的な性質のみを簡単に記述するにとどめる。

本図幅地域のこの種の変成岩は, 多少の鉱物の組合せの違いはあっても, ほとんど黒雲母ホルンフェルスに一括できるものである。 肉眼的に, 帯褐暗灰色, 緻密, 堅硬な岩石であって, 非変成岩とは容易に区別できる。 原岩が砂岩・泥岩の互層であった場合には, よくその層理をあらわす縞模様が残されているが, 一般には塊状で, 片理を示すものはほとんどない。 鏡下で, 粒状のモザイック組織がはっきりしており, 普通 径 0.1 mm 前後あるいはそれ以下の細かい等粒結晶の鉱物からできている。 組成鉱物ほ, たいていの場合, 石英・黒雲母を主としており, 長石類(斜長石がもっとも多い)は随伴程度である。 千丈ヶ岳を形成するホルンフェルスは, その付近の花崗閃緑岩の影響によるものであるが, このホルンフェルスのなかには, 陽起石質角閃石・石英・緑泥石・黝簾石・スヘン・黒雲母の組合せのものがみられる。 原岩は塩基性凝灰岩と思われるが, その拡がりは不明である。

また, 雲原花崗岩の接触変成によると考えられるもののなかに, 石英 - 黒雲母 - 斜長石の組合せのほかに, 石英 - 黒雲母 - 絹雲母 - 柘榴石, 黒雲母 - 石英 - 陽起石 - 斜長石などの組合せのものもみられる。

II.7 第四系

図幅地域内に分布する第四系は, おそらく更新統と思われる物部層と段丘堆積物, 更新~現世統の崖錐堆積物および現世の河床堆積物, その他(冲積層と一括)に分けられる。

II.7.1 物部 ものべ

地域内南東隅に近い物部・豊里付近に, 海抜高度 80 m 前後の丘陵を形成して分布している。 この地層は, 東隣の舞鶴図幅地域内で 梅迫 うめざこ 砂礫層としたものの西方延長に当り, 分布地の周縁部に露出する岩石の亜角礫と粘土とが混合した層相を呈し, 層理に乏しく全体として崩積堆積物に酷似する。

とくに物部の東方では, 次のような層相をもつ部分がある。

下部 : 下半分は灰色やや均質の粘土, 上半分が帯黄褐灰色のシルトを主とし, 全体として塊状を呈し, ときに腐植物が含まれる。

上部 : 径 5 cm 以下の古生代の頁岩の円礫を多く含む砂層と, 粘土~シルト層が約 30 cm の厚さを1単位として互層する。 この部分には多数の植物遺体を含み, そのなかから Carpinus sp., Fagus sp., Wistaria sp., Syrax sp. が鑑別される [ 以下の [注] 参照 ] 。 淘汰は良い方である。

[注]
大阪市立大学の粉河昭平助手の鑑定による。

この層相を示す部分は, 物部層分布地域の比較的中心部に相当し, 更新世(?)における小湖沼の存在が推定される。 この地点での最下位の層相はわからないが, 下半部は周縁部と同じ崩積堆積物に近い性質をもつと推定する。

II.7.2 段丘堆積物

本図幅地域の段丘堆積物は, 由良川本流およびその支流に沿って, 現河床面から約 50 m の比高差をもって断続して分布するもの, 地域中央北側の野田川に沿い, 現河床面から 20 m 内外の比高差をもって分布するもの, に分けられる。

由良川およびその支流に沿って分布するものは, その近傍に露出する岩石の円礫を主とする礫層である。 この段丘面は, 先に述べた物部層の堆積面と同一とみられるが, 物部層が崩積性ないし湖沼性の堆積物であるのに対し, 由良川およびその支流に沿う段丘堆積物は, 河床堆横物であるので, あえて区分した。

野田川低地周辺部の段丘堆積物は, 主として礫層からなり,加悦の東方では腐植物を含む粘土層を挾在している。 菊地 23) は, 加悦 かや の南方の第四系を次のように区分している。

  1. 鳴 段丘礫層 : 最下部に 1 m 内外の炭質物を含む粘土層をもち, その上に 0.3~0.4 m の厚さの礫層と, 0.5~1.0 mの 厚さの砂層とが互層する。
  2. 谷田 段丘礫層 : 最上位の粘土層は大江山のニッケル鉱床を構成する。
  3. 与謝 段丘礫層 : 0.5~0.7 m の直径をもつ花崗岩の角礫からなる。

これらのうちで, 鳴 段丘礫層は, 物部層に対比されるものであり, また与謝 段丘礫層は, 次に述べる崖錐堆積物と同一のものである。

II.7.3 崖錐堆積物

図幅地域西寄りの三岳山の東麓, および大江山の北麓に顕著なものがあるほか, 地域北東部の赤岩山の南麓その他に, 崖錐が発達する。 これらを構成するものは, 径 1 m 以上にも達する角礫ないし亜角礫と, シルト~粘土の混合物である。 その表面は粘土質の土壌となっている。

II.7.4 冲積層

冲積層は各河川の流域を占めて分布し, 礫・砂および粘土からなる。

III. 応用地質

本地域には, 日本鉱業 K.K. 経営の河守鉱山を除いては, 大きな鉱床を対象とした大鉱山はみられない。 しかし, いくつかの零細な鉱床は散点しており, おそらく, 第2次世界大戦当時には, なんとか採掘していたものらしいが, 現在ではほとんどが, 休山あるいは廃山の状態となっている。

第 5 図 鉱床分布図

本地域の鉱床を, 地域的にみて, 次の3つに区分して述べる。

  1. 大江山を中心とし, 蛇紋岩に関係のあるもの。 河守鉱山をはじめ, 同じ鉱床型に属する大小の銅鉱床, クロム鉄鉱鉱床, 大江山ニッケルの露天化鉱床および溶性燐肥原料としての蛇紋岩。
  2. 図幅南部地域で, 鬼ケ城付近から夜久野村の北部にかけての花崗岩の迸入に関係のありそうなもの -- 小規模な銅・亜鉛あるいは硫化鉄鉱鉱床。
  3. その他 -- 南有路の大江陶石, 志高の石炭, 仏谷の石材など。

III.1 大江山を中心とした鉱床

[ III.1.1 ] 河守鉱山

京都府加佐郡大江町にあり, 大江山の南東麓の千丈ケ原に位置し, 銅とクロムを対象とした鉱山である。

本鉱山は, 大正 6 年に千丈ケ原発電所の貯水池の新設工事中に露頭を発見したものに端を発し, 福知山市の広谷某氏の試掘出願にはじまる。 その後, 昭和 3 年に日本鉱業株式会社の手に移り, 現在に至るが, その間, 業界の不況, その他によって, しばしば休山した。 しかし, 昭和 8 年以後はとにかく稼行を維持してきている。 記録によれば, 昭和 8 年から同 25 年まで精鉱 47,485 t を産出, 平均品位は銀 : 90 g / t, 鋼 : 8.0 % という。 また, クロム鉄鉱は昭和 9 年から同 16 年まで 3,244 t(Cr2O3 : 30 %)を産出したが, これはほとんど掘りつくされている。

銅を主とする鉱床 [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
主として原口九万ほかによる本所鉱床資料より抜萃。

本鉱床は橄欖岩~蛇紋岩の大江山岩体を母岩とする, いわゆる裂罅充填鉱脈であって, 銅の品位は良好であるが, 脈幅の薄い細脈であることが特徴とされている。

鉱脈は母岩の裂罅に沿って発達したものである。 この鉱脈は母岩中に発達する玄武岩~輝緑岩質岩脈に沿っており, この岩脈が鉱床の生成に関係がありそうに考えられるが, 鉱脈は岩脈の上下両盤に沿って発達し, また岩脈中の割れ目にも発達していることから, この岩脈は鉱床生成よりも古いものと推定されている。 一般に岩脈に接触する部分の鉱脈は, 他の場合よりも脈勢が劣っている。 しかし, この岩脈は鉱脈のほぼ中心に存在していることが多いので, 岩脈の存在を探鉱上の有効な目標としている。

鉱脈には現在1~4号𨫤まであるが, そのうちでも, 3号𨫤の鉱脈が主脈であって, 他はその枝脈である。

本鉱山は後述のクロム鉄鉱鉱床を除いて, 銅をおもな対象としているが, 金・銀・ニッケルが含有され, 金は 1 g / t 以下, ニッケルも品位不足で, 副産物として価値あるものは 90~100 g / t が含有される銀のみである。

鉱石は黄銅鉱を主とし, 多量の磁硫鉄鉱を伴い, 随伴鉱物として鉄閃亜鉛鉱・黄鉄鉱・硫砒鉄鉱を少量伴い, 盤肌には, 品位不良の滑石および石綿が発達する。 最近, 銅鉱物としてキューバ鉱が発見された。 銅鉱の2次的鉱物として, 珪孔雀石やマンガン方解石が知られている。

本鉱床の運鉱岩は明らかでない。 図幅地域北部および西部にわたって広く分布する黒雲母花崗岩類, あるいはそれらに関連する中生代末期のその他の迸入岩類が, この付近の地下深所に潜在していて, これらが運鉱岩となっているとも考えられている。

クロム鉄鉱鉱床

本鉱床は現在まったく採掘しつくされているといわれている。 次には, 石川俊夫の論文 19) より抜萃してその概略を記す。

第 6 図 クロム鉄鉱 鉱床位置図(石川俊夫(1940)による)

鉱床は Ⅰ, Ⅱ の2鉱床に分かれ, 橄欖岩~蛇紋岩体の南縁部近くに胚胎する。 分布は第 6 図に示す。 Ⅰ 鉱床は千丈ケ原南側の急斜面で, ほぼ東西に走り, 海抜 600 m 前後の山稜の北側にあり, Ⅱ 鉱床は Ⅰ 鉱床の北東約 500 m, 海抜 450 m 位の緩斜面上に位している。 付近には前記の銅鉱床の一部が認められるが, 銅鉱床とクロム鉱床とはその成因において無関係であろう。

Ⅰ 鉱床中の鉱体の形状はレンズ状, 板状を呈し, 膨縮が著しいが, Ⅱ 鉱床の鉱体は層状あるいは脈状をなし, 褶曲あるいは急激に切断されて不規則な形を呈していたもののようである。 鉱床と母岩との境界は, 一般に判然としないが, 平滑な接触面を有することが多く, また不規則に母岩中に出入し, 小分枝を出すことがある。 Ⅱ 鉱床もほぼ Ⅰ 鉱床と同じような形態を示すが, 細粒斑状鉱は母岩と次第に漸移することがある。 その境界には, 白色粘土や水爆石 [ saponite ] が挾在されていた。

本鉱山の鉱石には, 緻密塊状鉱, 集粒塊状鉱および細粒斑状鉱の3種があって, 前2者は Ⅰ 鉱床に, 最後のものは Ⅱ 鉱床に多かった。 平均品位は Cr2O3 : 30 %, 緻密塊状鉱には 40 % 以上のものがあった。 割れ目にしばしばクロム鉄鉱などや上述の白色粘土および水爆石を伴う。 その他 鉱床に伴う鉱物には, 脈石として, 蛇紋石のほか石英および方解石がある。

成因的考察として, 本鉱床は狭義の岩漿時代に生成されたものはその一部で, 大部分は橄欖岩と同一岩漿から分離した溶液が, 母岩固結後に鉱化ガスなどの力によって貫入沈殿したものと石川は考えていたようである。

河守鉱山の南東方および東方地域で, 超塩基性岩の南側のまわりの処々に, 鉱化作用の跡がみられ, その付近の岩石は鉄錆様の茶褐色を呈している。 そのうち, 鉱床として採掘されたのは, 仏性寺鉱山 および 大俣鉱山 のものである。 前者は銅鉱とモリブデン鉱を対象とし, 後者は銅・亜鉛鉱を対象としたという記録がある。 いずれも, 下見谷層中に賦存するものであって, ここではまったく蛇紋岩には関係なく, 運鉱岩は河守鉱山のものと同一であろうと考えられている。

岡田鉱山 は, 大俣鉱山の北北東方にあって, 超塩基性岩中の小規模なクロム鉄鉱を採掘。 鉱体はレンズ状をなし, 鉱石の品位は平均して Cr2O3 : 25~40 % という。

[ III.1.2 ] 大江山ニッケル鉱床

本鉱床は京都府与謝郡加悦町にあって, 石場, 桜内, 宇豆貴 うずき および桑飼村 温江 あつえ 地域にまたがって分布する。 しかし現在は廃山となっている。

本鉱床は大江山連峰の北側斜面上に, 連峰を構成する橄欖岩・蛇紋岩などの超塩基性岩の崩壊によって堆積された 一種の崖錐堆積層中に胚胎する。 これは橄欖岩・蛇紋岩の岩塊の風化分解によって生成された, 2次的富化 露天化鉱床であって, 水平的にも垂直的にも変化に富むが, 鉱床の総面積は 30 万 m2, 深度は 6 m 位までが価値あるものとされていた。 以上の超塩基性岩は 0.1~0.5 % のニッケルを含有するが, これが風化崩壊して, 花崗岩の基盤の上に堆積し, この基盤岩石の原地形に制約されてできた低地に, 階段状に堆積した礫~角礫が風化, 下降水(雨水のこと)および地下水などの諸作用を蒙り, この礫層の粘土化とこれに伴うニッケル分の富化を招来したもので, 循環水によるニッケル分の移動はむしろ少なかったと解されている [ 以下の [注] 参照 ] 。 この Ni を含有する粘土には, 赤・褐・緑色の3種があり, 緑色のものがもっとも Ni の含有量が高い。 これらの粘土の上質試料に基づく主要成分分析表を第 15 表に示す。

[注]
文献 18), 19) より総括抄録。

第 15 表 代表的上質試料による各粘土の分析表(菊地広(1947))

粘度成分 褐色 1 褐色 2 青色
NiO 0.96 0.89 1.99
Fe2O 45.67 40.80 10.10
CoO 0.09 0.10 0.11
Cr2O3 2.53 2.39 0.26

この鉱床の豊鉱部の位置あるいは性質を, 柱状図による垂直分布表の1例によって示せば第 7 図のようである。

第 7 図 ニッケルの賦存状態を示す柱状図(木下亀城・滝本清(1939))

富鉱帯およびいわゆる珪苦土ニッケル鉱を伴う「玉石」が常に地下水面以下に埋存することは, Ni 分の下降および集中を立証するもので, 緑色粘土および珪苦土ニッケル鉱を伴う「玉石」の存在は, 富鉱帯探査の肉眼的指標となっている。

なお, 菊地 23) はこの付近の第四系を次のように分け, 鉱床賦存は谷口段丘礫層に多いことを指摘した。

上位から
鳴 段丘礫層
谷口 段丘礫層
与謝 段丘礫層
冲積層

ただし, 本地質図幅では, これらの段丘礫層を一括し, とくに崩壊・崖錐性堆積層とは区別して地質図に塗色してある。

また, 超塩基性岩の大江山岩体そのものは, とくによく蛇紋岩化の進んだ東側の大部分が, 溶性燐肥原料 として採掘されている。 栃原・寺屋敷にかけての地域のものがもっともよく利用されているようである。

III.2 図幅南部地域の鉱床

この地域の鉱床は, 主として銅・鉛・亜鉛・硫化鉄を対象とするもので, いくつかの群小鉱床からなっている。 これらはその分布状態から, 西部地区鉱床と東部地区鉱床とに分けられる。 いずれも, 中生代末期の花崗岩質迸入岩類に関係があるとされているが, はっきり判ってはいない。 また, いずれの鉱床も, 現在稼行されているものはほとんどなく, それぞれの鉱床の実態をつかむことが困難である。 次には, 各地区ごとに, 既成の記録に基づいて, 各鉱床の概略を記すにとどめる。

[ III.2.1 ] 西部地区

富国鉱床 : 京都府福知山市 金谷にあり, 中生代三畳系(夜久野層群)の砂岩・頁岩の互層の層理に沿う裂罅充填鉱床。 鉱石は黄銅鉱・黄鉄鉱, まれに閃亜鉛鉱を伴う。 脈石は石英で, 金・銀を含有する。

三国鉱床 : 京都府福知山市 上川口 常願寺にあり, これも中生代三畳系(夜久野層群)の砂岩・頁岩の互層中に胚胎。 「ヤケ」を採鉱したもので, 少量の磁硫鉄鉱が母岩に鉱染した程度で, 銅鉱は認められていない。

日尾鉱床 : 京都府福知山市 三岳の日尾にあり, 古生層中のホルンフェルス中の「ヤケ」と, 中生層中の頁岩砂岩互層中に胚胎するものとがある。 前者は銅を対象としたものであるが, 鉱体は芋状で, 鉱石として黄鉄鉱のほか少量の黄銅鉱を伴う。 後者は亜鉛を対象としたもので, 𨫤幅の膨縮が甚だしいが, 品位はやや良好。 鉱石は閃亜鉛鉱のほか, 磁硫鉄鉱と黄銅鉱を伴う。

隆盛鉱床 : 鉱床は夜久野層群中の砂岩層に胚胎した裂罅充填鉱床で, 鉱脈の走向は N 50~70°W, 傾斜 50~70°S。 おもなものは2脈であって, 鉱体はレンズ状をなし, 細長い脈状のものと塊状のものとがある。 鉱石は磁硫鉄鉱を主とし, 硫砒鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・方鉛鉱を伴う。 品位は Fe : 40~55 %, S : 25~35 %。

大呂鉱床 : 京都府福知山市 上川口の立原にあり, 中生層の砂岩頁岩互層中の層理に沿う裂罅充填鉱床。 わずかに少量の黄銅鉱・黄鉄鉱をみるのみである。

一宮鉱床 : 京都府福知山市 三岳にあり, 中生層砂岩中の「ヤケ」を採鉱。 少量の閃亜鉛鉱と黄鉄鉱が認められた。

[ III.2.2 ] 東部地区

福知山鉱床 : 京都府加佐郡大江町 南山 字室尾谷 にあり, 古生層中の粘板岩を母岩とする鉱脈で, 東西 350 m, 南北 150 m の範囲内に8つの露頭および7つの珪化帯が確認されたという。 口碑によれば, 貞享・元禄年間以来, 銀を目的に稼行。 鉱石のおもな鉱物は磁硫鉄鉱で, 黄銅鉱・鉄閃亜鉛鉱・硫砒鉄鉱・黄鉄鉱を伴う。 場所によって, 輝蒼鉛鉱あるいは方鉛鉱を伴う。 脈石として石英・方解石が多い。 品位は Fe : 30~50 %。

「夜久野岩」中の縞状鉱 : 福知山市 山野口の北部地域 [ ← 福知山鉱床の南方 ? ] で, 某氏の狸掘り坑口付近に蓄積された鉱石に基づいての記載。 鉱床は夜久野南帯の片麻状変成斑糲岩中に胚胎する。 以下, 本所鉱床部金属課の竹田英夫技官の鑑定結果を記す。

本鉱床は磁硫鉄鉱および方鉛鉱を主とする鉱染状鉱石からなり, 母岩の片理面あるいは剥理面に平行な縞状構造を呈するものである。 鏡下で, 以上の2鉱物のほか閃亜鉛鉱が主体となり, 磁鉄鉱を伴う。 磁硫鉄鉱は構成鉱物中もっとも多量に存在し, 脈石鉱物と接する周辺部および内部に葉片状または細脈状の白鉄鉱の晶出がある。 方鉛鉱は縞状鉱の縞にほぼ平行に細脈を形成し, 磁硫鉄鉱・閃亜鉛鉱を交代する一方, その内部に黄錫鉱・四面銅鉱(?)・磁硫鉄鉱および閃亜鉛鉱の結晶粒を包有する。 閃亜鉛鉱は著しく微粒の黄銅鉱を多量包有して, 溶離構造を示し, 黄錫鉱と共生することがある。 また, 閃亜鉛鉱は磁硫鉄鉱・方鉛鉱により交代された組織を示し, 構成鉱物中で早期に晶出したものとみなされる。 磁鉄鉱は上記の硫化鉱物とは別に, 単体として母岩中に散点する。 以上の結果からみて, 本鉱石の特徴は磁硫鉄鉱と方鉛鉱とを主とし黄錫鉱を伴うこと, 黄銅鉱が著しく少ないことが挙げられ, また, 上記の組合せ, 共生関係から比較的高温から低温(150~350 ℃)までの間で, 鉱化作用が行なわれたと推定される。 検討した試料が少数なので確実な結論には達し得ないが, 本鉱床は, 共生鉱物からみて, おそらく花崗岩類の活動に関係するであろう。

この南部地域の他の鉱床を実際に検討することができないが, それらも以上の鉱床と比較すると類似点があり, 一括して中生代末期の迸入岩類を伴う火成活動と関連のあるものと推測される。

III.3 その他の鉱床

陶石 : この鉱床は大江町 南有路において, 古生層を貫く流紋岩質岩脈が浅熱水性溶液の影響によって陶石化したものである。 本鉱床は大江鉱山として, かつて採掘された。 記録によれば, 鉱床には2つの鉱体があった。 いずれも延長 70~110 m の小規模なものであったらしいが, 現在はほとんど掘りつくされて原形を止めない。

石炭 : 京都府加佐郡岡田下村 志高にあり, 志高炭鉱として, 志高層群の瀝青炭を採掘した。 志高層群の最上位層に含まれる石炭層で, 膨縮の甚だしいものである。 炭厚は平均 1.0 m, 埋蔵炭量は 1.1 × 106 t が推定されていた。 この鉱山の主体は舞鶴図幅地域内にある。

石材 : 雲原の北方の仏谷斑糲岩が俗に「黒御影」として採石されている。 権者は福知山石材 K.K. である。

文献

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丹後志高村の石炭,丹後のマンガン鉱(雑記), 地学雑,Vol.7,No.78, 1895
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32) 地質調査所 :
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33) 京都府 :
20 万分の1 京都府地質図, 1951
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A Study on the Pelecypod fauna of the Upper Triassic Nabae Group in the Northern Part of Kyoto Prefecture,Japan,Part 1~4, Mem. Coll. Sci.,Univ. Kyoto,Ser. B,Vol.19,No.21~23, 1952,1954~1956
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京都府天田,加佐郡下磁硫鉄鉱々床調査報告, 地調月報,Vol.9, No.6, 1958
47) 礒見博・黒田和男 :
若狭西部の地質, 地調月報,Vol.9,No.3, 1958
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京都府大江町東付近の中・古生層 -- 舞鶴地帯の層序と構造(その 5), 地質学雑,Vol.64,No.749, 1958
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舞鶴地帯の中,下部三畳系総括 -- 舞鶴地帯の層序と構造(その 8), 地質学雑,Vol.64,No.750, 1958
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夜久野迸入岩に伴う高度変成岩類について, 地質学雑,Vol.65,No.764, 1959
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舞鶴付近のいわゆる "夜久野塩基性岩" について, 地質雑,Vol.65,No.766, 1959
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59) Nakazawa,K. :
Permian and Eo-Triassic Bakevellias from the Maizuru Zone, Southwest Japan, Mem. Coll. Sci.,Univ. Kyoto,Ser.B,Vol.26, No.2, 1959
60) 志岐常正 :
舞鶴地帯に分布する二畳系及び三畳系の砂岩の 2,3 の性質, とくに maturity の問題について, 地球科学,No.42, 1959
61) 猪木幸男 :
舞鶴付近のいわゆる "夜久野岩類" について, 地調月報,Vol.10, No.12, 1959
62) 志岐常正 :
舞鶴層群の級化成層と砂岩の主成分鉱物組成, 地質学雑,Vol.66, No.778, 1960
63) 加納博・他 2 名 :
礫岩からみた舞鶴地帯の二畳紀後背地の展望,含花崗岩質岩礫岩の研究(その 11), 地質学雑,Vol.67,No.791, 1960
64) 広川治・黒田和男 :
5万分の1地質図幅「宮津」,および同説明書, 地調, 1960
65) Nakazawa,K. :
Permian and Eo-Triassic Myophoriidae from the Maizuru Zone, Southwest Japan, Jap. Jour. Geol. Geogr.,Vol.31,No.1, 1960
66) 村山正郎・他 2 名 :
倉吉 - 人形峠地域の地質,ウラン,その資源と鉱物, 朝倉書店,p.400~405, 1961
67) 猪木幸男・他 2 名 :
5万分の1地質図幅「舞鶴」,および同説明書, 地調, 1961

追加文献 (原稿執筆(1961)後, 出版までに発表された関係論文など)

1) 兵庫県 :
兵庫県地質鉱産図および同説明書, 1961
2) 中沢圭二 :
夜久野地域のいわゆる夜久野貫入岩類(舞鶴地帯の層序と構造,その 9), 槇山次郎教授還暦論文集,p.149~161, 1961
3) Shimizu, D. :
Brachiopod Fossils from the Permian Gujo Formation of the Maizuru Group, Kyoto Prefecture, Japan, Mem. Coll. Sci., Univ. Kyoto, Ser.B, Vol.28, No.2, 1961
4) Shimizu, D. :
Brachiopod Fossils from Permian Maizuru Group, Mem. Coll. Sci., Univ. Kyoto, Ser.B, Vol.27, No.3, 1961
5) Nakazawa, K. :
Early and Middle Triassic Pelecypod-fossils from the Maizuru Zone, Southwest Japan, Mem. Coll. Sci., Univ. Kyoto, Ser.B, Vol.27, No.3, 1961
6) Shiki, T. :
Studies on Sandstone in the Maizuru Zone, Southwest Japan - II, Graded Bedding and Mineral Composition of Sandstone of the Maizuru Group, Mem. Coll. Sci., Univ. Kyoto, Ser.B, Vol.27, No.3, 1961
7) 加納博 :
舞鶴地帯の 2,3 の礫岩とみられる "ポーヒロイド" 様片麻岩礫とその起源 -- 日本の基盤問題に関する岩石学的寄与(1)--, 地質学雑,Vol.67,No.785, 1961
8) 清水大吉郎・他 3 名 :
舞鶴ブ群の層序 -- 舞鶴地帯のブ序と構造 -- その 10, 地質学雑,Vol.68,No.800, 1961
9) 清水大吉郎・他 3 名 :
舞鶴層群の堆積と二畳紀構造運動,舞鶴地帯の層序と構造,その 11, 地質学雑,Vol.68,No.801, 1961
10) 村山正郎・大沢穣 :
5万分の1地質図幅「青谷・倉吉」,および同説明書, 地調, 1961
11) 山田直利 :
5万分の1地質図幅「奥津」,および同説明書, 地調, 1961
12) Shimizu,D. :
The Permian Maizuru Group into stratigraphy and Syntectonic Faunal Succession through the Latest Paleozoic Orogeny, Mem. Coll. Sci.,Univ. Kyoto,Ser.13,Vol.28,No.4, 1962
13) 加納博・他 2 名 :
志高不整合の黒雲母起源バーミキュライトとその意義, 地質学雑,Vol.68,No.797, 1962
14) 藤木良規 :
河守鉱山産鉱石鉱物の共生関係 -- とくに Cu - Fe - S 系鉱物の離溶組織について, 鉱山地質,Vol.13,No.62, 1963
15) 今井秀喜・藤木良規 :
河守鉱山産含ニッケルおよび含コバルト硫化鉱物の EPMA による研究, 鉱山地質,Vol.13,No.62, 1963
16) 清水大吉郎 :
舞鶴層群の層序と化石群 -- とくに腕足類化石群とその変遷について, 化石,No.6, 1963
17) 藤木良規 :
河守鉱山産硫化鉱物および付近の火成岩中の微量元素の地球化学的研究, 鉱山地質,Vol.14,No.63, 1964
18) 藤木良規 :
河守鉱山付近の地質および鉱床, 鉱山地質, Vol.14, No.63, 1964
19) Kuroda, Y., et al. :
Two Kinds of White Mica found in the Komori Ultrabasic Mass, Kyoto Prefecture, Japan, 岩石鉱物鉱床学会誌, Vol.51, No.4, 1964
20) 大西清盛・大橋恒夫 :
河守鉱山の地質,鉱床について, 鉱山地質,Vol.14,No. 64, 1964

巻末図版

撮影 : 正井義郎
偏光板
図版 Ⅰ,Ⅱ,Ⅳ,Ⅺ : 単ニコル
その他の図版 : クロスニコル
縮尺 : 各図版とも図版 Ⅰ と共通

図版 Ⅰ 柘榴石含有縞状片麻岩(0 - 309)。
Pl : 斜長石, Q : 石英, B : 黒雲母, G : 柘榴石

図版 Ⅱ 塊状, 細粒黒雲母角閃岩(0 - V′60)。
Pl : 斜長石, Q : 石英, H : 角閃石, B : 黒雲母, Pr : 葡萄石脈

図版 Ⅲ 黒雲母片麻岩~片岩(0 - 374)。
Pl : 斜長石, Q : 石英, B : 黒雲母

図版 Ⅳ 輝石残晶含有黒雲母角閃岩(0 - 40)。
Pl : 斜長石, Q : 石英, H : 角閃石, B : 黒雲母, Px : 輝石残晶

図版 Ⅴ 黒雲母片麻岩(0 - 357)。
Q : 石英, F : 変質した長石, B : 黒雲母

図版 Ⅵ 角閃石片岩~細粒角閃岩(0 - 305)。
Pl : 斜長石, H : 角閃石

図版 Ⅶ 粗粒角閃石~片麻状変成角閃石斑糲岩(0 - 314)。
Pl : 変質した斜長石, H : 角閃石

図版 Ⅷ 北帯の変成岩中の圧砕花崗岩(0 - 130)。
Pl : 斜長石, Q : 石英, B : 黒雲母, K : カリ長石(?)

図版 Ⅸ 北帯コンプレックス・ブロック中の花崗岩(0 - 142)。
Pl : 斜長石, Q : 石英, B : 黒雲母

図版 Ⅹ 蛇紋岩化ダン橄欖岩(0 - 272)。
O : 橄欖石, Sp : 蛇紋石, Cr : クロム鉄鉱

図版 Ⅺ 蛇紋岩(橄欖岩)と宮津花崗岩との接触部における角閃石岩(0 - 271)

図版 Ⅻ 仏谷塩基性岩(0 - 68)。
Pl : 斜長石, Px : 斜方輝石, H : 角閃石, B : 黒雲母, Q : 石英

図版 ⅩⅢ 宮津花崗岩中に捕獲されたコンプレックス帯中の塩基性~中性岩(閃緑玢岩, 長注状の角閃石を含むのが特徴)(0 - 119)。
Pl : 斜長石, Q : 石英, H : 角閃石

図版 ⅩⅣ 輝石残晶含有黒雲母角閃岩(0 - 40)。
K : カリ長石, Q : 石英, Pl : 斜長石, B : 黒雲母

図版 ⅩⅤ 雲原花崗岩(0 - 67)。
Pl : 斜長石, Q : 石英, K : カリ長石, B : 黒雲母

図版 ⅩⅥ 宮津花崗岩(やや中粒の部分)(0 - 270)。
Pl : 斜長石, K : カリ長石, Q : 石英, B : 黒雲母, H : 角閃石

図版 ⅩⅦ 宮津花崗岩(粗粒なもの, これは角閃石を含まない)(0 - 453)。
Pl : 斜長石, K : カリ長石, Q : 石英, B : 黒雲母


EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN Scale 1 : 50,000

OE-YAMA

Kyoto, No. 1

By SACHIKO IGI & KAZUO KURODA (Written in 1961)


Abstract

The area of this sheet-map is situated in the northern part of the central Japan, and comprises the mountain range of Oeyama, which is famous as one of places of historical interest in Japan ; and also geologically occupies the northeastern part of the so-called "Maizuru zone".

GEOLOGY

The sheet-map area is roughly constituted of two geologic units : one unit occupies the southeastern half of the area and is mainly composed of Permian and Triassic sediments and metamorphic and their associated igneous rocks, which characterize the "Maizuru zone", and another, the northwestern half, is mainly composed of granitic rocks and their associated intrusives, whose intrusions are inferable to be late Mesozoic in age.

In the "Maizuru zone" of this area, there occur, from north towards south, Shimomitani formation, Yakuno northern zone, intermediate zone and Yakuno southern zone, which are distributed each other as zonal arranging order trending in ENE - WSW direction.

N.B.
"Yakuno northern zone" and "Yakuno southern zone" have been named in the geological sheet-map "Maizuru" and "intermediate or central zone" means non-metamorphic zone between the above two zones.

The Yakuno northern zone is divided into three blocks : Maizuru granite block, diabase-granite complex block and metamorphic block ; the intermediate zone comprises some parts of Shimomitani formation, Maizuru group and Triassic sediments (Yakuno and Nabae groups) ; the Yakuno southern zone, Ichinose group and gneissoid (gneissose) hornblende gabbro, accompanied with metamorphics. Only Shidaka group, probably of lower Triassic, unconformably covers the complex block of the Yakuno northern zone and is distributed traversing both of the zone and its northern outside zone where Shimomitani formation occurs.

Igneous complex of late Mesozoic time contains various rocks such as gabbroic, dioritic and granitic rocks ; and it is possible that they are discriminated between intrusions at the earlier stage and at later.

The gabbroic and dioritic rocks are earliest ; granodiorite, graphic granite and fine-grained granite, which constitute a complex belt trending in NE-SW direction, and medium-grained granite named Kumohara granite is earlier, and coarse-grained granite named Miyazu granite is later. And the marginal parts of the Paleozoic and Mesozoic sediments around these intrusives have been metamorphosed into hornfels.

It is also very interesting in respect of geotectonics that the general trend of the complex belt of later Mesozoic intrusives is nearly agreeable to that of some "Yakuno zones".

In the central part of the area, ultrabasic rocks such as peridotite, pyroxenite and serpentinite occur as large masses with considerable expansion along the border line between the preceding two geologic units.

The summarized geologic sequence in the area is set out in Table 1.

Table 1

Rocks from the so-called "Yakuno zones" (Unknown Age)

Maizuru metamorphics and associated intrusive rocks

In this area these rocks are distributed in both of the Yakuno southern zone and Yakuno northern zone. Metamorphics in the northern zone have ever been called "Komori metamorphics", and those in the southern zone, called "Maizuru metamorphics" in the "Maizuru" sheet-map area, but in this text both metamorphics are, in the lump, called "Maizuru metamorphics", being caused by the conception, that both are distributed in the Maizuru zone and have presumably been originated from the same metamorphism or orogeny.

Amphibolite~hornblende schist and banded biotite gneiss are main members of Maizuru metamorphics. Schistosity or gneissosity of the rocks, even in this area, is generally concordant to the trend of the Maizuru zone, but not always so in the southern zone.

These rocks are intruded by many basic and acid rocks such as gneissoid meta-hornblende gabbro, sheared granite, quartz albitophyre etc. Gneissoid meta-hornblende gabbro occurs as concordant intrusives, late kinematic intrusions, to metamorphics. The rock is composed of amphibole and saussuritized plagioclase accompanied with many secondary minerals such as epidote, chlorite, prehnite, sphene etc. ; in places some metamorphics are included in it as xenolithic rocks. Gneissosity of these rocks are, in the southern zone, slightly oblique to the direction of the border lines of the zone, which generally means the trend of the Maizuru zone.

Much of acid intrusives occur as small masses in the northern zone.

Ichinose group

This group is distributed only in the Yakuno southern zone, continuing from "Maizuru" sheet-map area, and occurs in the Maizuru metamorphics and associated rocks, being intercalated into them by faults. The group consists of mudstone part and "schalstein" or diabasic rock part. The mudstone part forming lenticular beds in "schalstein", is mostly composed of dark gray mudstone and fine-grained sandstone, rarely accompanied with conglomerate ; fossils are not found in this part, even in this area. The "schalstein" or diabasic rock part is composed not only of basaltic pyroclastics and lavas but also of fine- or coarse-grained diabasic~gabbroic intrusives, rarely including amphibolite xenoliths. And they are also more or less altered to produce secondary minerals like those in the Maizuru metamorphics and associated intrusive rocks.

Rocks in granite-diabase complex block of the "Yakuno northern zone"

In this complex block of the "Yakuno northern zone", there occur granitic and diabasic rocks ; and at some parts are found "schalstein"~pyroclastic rocks, and at some parts are found xenolith-like metamorphics very similar to Maizuru metamorphics. Granitic rocks are intruded as small masses into diabasic rocks, and are predominantly protoclastic~cataclastic in texture, being very similar to the marginal facies of Maizuru granite. The granitic rock, also called "Sheared granite", consists of plagioclase, quartz, potassium-feldspar and chloritized biotite, and as secondary minerals, quartz, epidote, prehnite, etc.

Diabasic rock is remarkably ophitic in texture and composed principally of plagioclase, augitic pyroxene and hypersthene, but these have been replaced by secondary minerals, such as chlorite, epidote, sericite, prehnite, carbonate, etc. But some of diabasic rocks are undoubtedly pyroclastic in texture and some are altered into chlorite-albite-epidote-(quartz) rock which is inferable to belong to green schist facies from their metamorphic mineral assemblage.

Maizuru granite in the Yakuno northern zone

Maizuru granite, which occurs in this area, is just marginal parts of older granite or sheared granite extensively distributed in the eastern neighbouring sheet-map area, "Maizuru". This rock is intruded into the Shimomitani formation (Oura f.) and Maizuru group in the "Maizuru" sheet-map area. It is white-gray in colour, and protoclastic~cataclastic in texture, especially predominant in mylonitic texture, and mainly contains quartz, plagioclase, potassium feldspar and biotite which are intensely deformed.

PALEOZOIC

The Paleozoic rocks are divided, from north to south, according to their geological and structural positions, into the following three groups : Paleozoic rocks on the northern side of the "Yakuno northern zone", Paleozoic rocks in the northern part of the "central zone" and Paleozoic rocks in the southern part of the "central zone".

The Shimomitani formation, cropping on the northern side of the "Yakuno northern zone", is composed of clayslate~shale, with thin intercalations of reddish chert, schalstein and lenticular sandstone in the lower part, and massive sandstone in the uppermost part. The formation trends from ENE to WSW in the eastern part of the area, and ESE to WNW in the western part. It shows a monoclinal structure inclining northwards, except in the northeastern corner of the area where synclinal structure is found. The age of the formation is presumably early or middle Permian.

The Oura formation which is distributed in the narrow belt of the northern part of the "Yakuno central zone" is composed of alternations of tuffaceous~siliceous shale and schalstein. The formation contains a considerably lower horizon of the Maizuru group.

The Maizuru group, one of the main constituents of the "central zone", is composed of alternations of shale and sandstone intercalating thin conglomerate~granule-stone. The conglomerate yields fusulinid fossils divisible into two fusulinid faunules such as Lepidolina-toriyamai faunules (Lepidolina kumaetisis, Lepidolina toriyamai, Yabeina gubleri, Codonofusiella cuniculata, etc. are included) and Palaeofusulina-Reichelina faunule (Reichelina matsushitai, etc. are included). On the other hand, the mudstone contains two brachiopod-molluscan fossil faunules, known as the Kawa-higashi faunule and the Gujo faunule. The Kawa-higashi faunule is composed of the following species such as Littonia cf. nobilis WAAGEN, Martinia sp., Pseudophillipsia sp. that is most referable to the same horizon of Lepidolina toriyamai faunule. The Gujo faunule, composed of Myophoria kobayashii KAMBE, Neoschizodus permicus NAKAZAWA, Bakevellia gujoonsis NAKAZAWA, Bellerophona sp., etc., indicates considerably uppermost Permian or not older than the age of the Lepidolina toriyamai faunule.

The formation that contains characteristic Gujo faunules is named the Gujo formation.

TRIASSIC

The Triassic sedimentary strata are divided, from their geological and tectonic positions, into the following three groups, namely the Yakuno group, the Shidaka group and the Nabae group.

The Yakuno group, distributed in the "central zone", is generally in contact with the Maizuru group by faults, but in the eastern part of the area the group overlies the Maizuru group with a clino-unconformity. The eastern area, where the Yakuno group crops surrounded by the Maizuru group, is named the Kawa-higashi district, and the other area is called the Kawa-nishi-Yakuno district.

The Yakuno group of the Kawa-higashi district is divided into two formations from its lithofacies. The Hirobatake formation is composed mainly of fine- to very coarse-grained sandstone in the lower part and bluish shale in the upper part. The Narawara formation, composed mainly of shale with sandstone containing conglomerate in basal parts, is divisible into eight members, the members Ⅰ~Ⅷ in ascending order. Both formations are in contact with fault each other, and contemporaneous in age from paleontological evidence. They may be referred to the Scythian except for the upper part. The Yakuno group of the Kawa-nishi-Yakuno district is composed mainly of fine- to medium-grained sandstone intercalating thin shale and conglomerate beds in the lower part, and mainly of shale and sandy shale in the upper part.

The Yakuno group, in general, contains Monophyllites cf. sphaerophyllus (HAUER) in the uppermost horizon, Nuculana nogamiiNAKAZAWA, "Hollandites" torii N., "Danubites" kogai N., Danubites japonicus SHIMIZU, Hungarites aff. proponticus TOULA, etc. in the middle horizon, Neoschizodus cf. laevigatus (ZlETHEN), "Bakevellia" kambei N., Meekoceras sp., Ophiceras sp., etc. in the lower. So it ranges from Eo-Triassic or Scythian to Meso-Triassic or Aniso-Ladinian in age. The following fossil zones and subzones, are recongnizable in the group, in descending order.

Neoschizodus-"Bakevellia" zone Claraia subzone
Nuculana nogamii Yakunoensis subzone
Hollandites - "Danubites" zone
Monophyllites zone

The Shidaka group, cropping on the northern side of the "Yakuno northern zone", is in contact with the Paleozoic Shimomitani formation and the "Yakuno rocks" by unconformity. The group is composed mainly of sandstone, conglomerate and shale, with reddish shale and sandstone in the lowermost part, and a few beds of anthracite in the uppermost part. The group is divisible from its lithofacies into the following four formations in ascending order ; Hannyaji formation, Okadayuri formation [ ← Fumuro formation ? ] , Okada-shimo formation and the Shidaka formation. The lowest shale of the Okadashimo formation contains such molluscan fossils as Neoschizodus cf. laevigatus (ZlETHEN), and "Bakevellia" cf. kambei NAKAZAWA. The lowest sandstone of the Shidaka formation yields Myophoria tangoensis KAMBE, Myophoria shidakensis KAMBE, etc. The uppermost shale yields so-called the Shidaka fossil flora including Cladophlebis nebbensis (BRONGN.), C. denticulata (BRONGN.), C. haiburnensis (L. & H.), Taeniopteris stenophylla KRYSHT., T. shidakensis OISHI, Podozamites griesbachi SEWARD., P. lanceolatus (L. & H.). From these fossil evidences, most of the group are presumably regarded as Eo-Triassic, and the uppermost portion yielding the Shidaka flora is considered as not younger than Anisian in age.

The Nabae group, distributing in a narrow belt which is bounded with the Paleozoic Maizuru group on the northern side and "Yakuno rocks" on the southern side by faults, is divided into the following three formations in ascending order, N2, N3 and N4 formations. The N2-formation, composed of light-colored and fine- to medium-grained sandstone intercalating thin beds of conglomerate, yields Minetrigonia hegiensis (SAEKl), etc. The N3-formation is composed of greyish sandy shale or shale interbedding thin fine- to medium-grained sandstone. The formation contains Pseudolimea naumanni (KOB. & ICHI.), Minetrigonia hegiensis (SAEKl), Palaeopharus maizurensis KOB. & ICHI. in the lower part and Velata maizurensis NAKAZAWA, Bakevellia monobensis NAK., Parallelodon monobensis NAK., Palaeopharus maizurensis KOB. & ICHI., etc. in the upper. The N4-formation consists generally of bluish or lightcolored sandstone. From these fossil evidences, the group is Upper Triassic or Carnian in age.

Ultrabasic and basic rocks

There are, in this area, two groups of ultrabasic rocks ; one group is intruded, as small masses, along the sheared zones or fault line, which are related with the tectonic movement, being significant for the geologic history, especially in late~post Triassic time at the southern part of this area. Another occurs, along the border line between the above-mentioned geologic units, as rather large mass. The former mostly altered into serpentinite without the relict minerals from original rocks ; but in the latter are able to be found the relict minerals such as olivine and pyroxenes especially at the western half part of the mass, and are presumed its original rocks to be pyroxenite, pyroxene peridotite and dunite from these relict minerals. And diabasic~basaltic dike rocks are intruded into the southern part of the latter. Also the ore deposits such as chromite and also chalcopyrite, pyrrhotite, etc. are included only in the latter. Both of ultrabasic rocks include lenticular xenoliths of amphibolite and gabbroic rocks.

Igneous Rocks of Late Mesozoic Time

Effusives

Andesitic rock at the western part of the area is probable to be one member of the volcanics of late Mesozoic, which are extensively distributed in the western neighbouring area. The rock is greenish dark gray in color, partly showing onion structure, and is mainly composed, as phenocrysts and even in groundmass, of plagioclase and pyroxenes such as augite and hypersthene ; but they are altered, more or less, into secondary minerals. And also the groundmass is metamorphosed by Miyazu granite into hornfels, with much of biotite.

Intrusives

They are intruded into the older sediments such as other early Mesozoic and later Paleozoic sediments, whose marginal parts are altered into hornfels by contact metamorphism of these intrusives.

In this area these intrusives are divided into the following rockspecies, in ascending order, from older to younger :

1. Basic rocks
ⅰ) Tengamine & Futamata basic rock
ⅱ) Hotoke-dani basic rock
2. Xenolithic basites in Miyazu & Kumohara granites
3. Kumohara granite (Medium-grained biotite granite)
4. Granodiorite
5. Granite porphyry
6. Fine-grained granite
7. Granophyre
8. Miyazu granite (Coarse-grained hornblende biotite granite)
9. Dikes (Aplite & porphyrite)

Some parts of two basic rocks of the first rank, Tengamine and Futamata basic rocks, are leucocratic in external appearance. But they are always composed of plagioclase and pyroxenes, and accessorily of hornblende, biotite, quartz, and rarely potassium feldspar. Rocks of the 4~7 ranks constitute a zonal belt, trending to NE - SW direction, which appears to be boundary zone between Kumohara granite and Miyazu granite at the western part of this area. These rocks are petrographically granitic or granodioritic with some hypabyssal characters in general and are presumable to the forerunners of the batholithic mass named Miyazu granite. Then the above-mentioned belt is called as the zone of early stage intrusives-complex.

QUATERNARY

The Quaternary sediments comprise river terrace deposits, talus deposits and alluvium. River terrace deposits are composed of gravel, sand and clay. In the southeastern part of the area, the deposits named the Mononobe formation, show the facies of lake deposits. Talus deposits, composed of breccia (rubble), sand and clay, are found at the foot of Mt. Mitake Mt. Oe (yama) etc. Alluvial deposits, composed of gravel, sand and clay, are distributed along the river.

ECONOMIC GEOLOGY

Mineral resources in this area are generally small in scale, except those of the Komori mine.

The Komori mine is situated on the western side of the peridotite-serpentinite mass which constitutes most part of the Oe-yama mountain range. There are two kinds of ore deposits in this mine : one is chromite deposits, another, pyrrhotite-bearing copper (chalcopyrite) deposits. The former was worked many years ago, but now is not under working ; the latter is actively being worked even now, and the ore contains 7~8 % Cu and 100 g / t Ag in average.

Other small scale mines, such as the Fukoku mine, the Mikuni, the Bio, Oro and Ichinomiya, etc., for copper- or zinc-bearing ore deposits, lie scattered at the southwestern part of the area, but most of them have already closed to work. The iron-sulphide ore deposits of the Fukuchiyama mine, which have already closed, are marked as one of resources of barbarious iron deposits such as pyrrhotite with marmatite, arsenopyrite, pyrite, etc. Banded deposits in coarse-grained amphibolite (gneissoid meta-hornblende gabbro) at Yamanoguchi, Fukuchiyama city, the southern part of this area, are mainly composed of pyrrhotite and galena, accompanied with sphalerite, marcacite stannite, chalcopyrite, tetrahedrite, etc.

Lateritic deposits of nickel at the northern slope of the Oe-yama mountain range are found in the detric serpentinite or peridotite boulder and its clay ; and the Oe-yama mine ever worked them. The chief ore mineral is garnierite.

Porcelain stone at Minami-ariji, Oe-cho, has assumably been altered from quartz porphyry-dike, injected into the slaty rocks of the Permian, and is closed now.

Serpentinite, the eastern part of Oe ultrabasic rock-mass, is quarried to use as a material for soluble phosphate fertilizer.

Coals, intercalated as thin beds in the Shidaka group, were worked ten years ago by the Shidaka mine, one of "Shidaka coal field".

As building stone and tombstone, Hotoke-dani basic rock, called "Kuro-mikage", is. quarried on a small scale for local uses.


昭和 40 年 9 月 17 日 印刷
昭和 40 年 9 月 24 日 発行
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