10023_1973

地域地質研究報告
5万分の1図幅

金沢(10) 第 23 号

魚津 うおづ 地域の地質

[ 地質調査所 地質部 ] 角靖夫
[ 地質調査所 地質部 ] 野沢保

昭和 48 年

地質調査所


目次

用語 語義

I.	地形
II.	地質
II.1	概説
II.2	船津花崗岩類(古生代後期または中生代初期)
II.2.1	片貝川花崗閃緑岩
II.2.2	伊折花崗閃緑岩
II.2.3	岩脈状捕獲岩
II.2.4	片貝川花崗閃緑岩および伊折花崗閃緑岩の深成作用
II.3	手取層群(白亜紀)
II.3.1	手取層群上部
II.4	太美山層群(古第三紀または白亜紀)および珪長岩岩脈
II.4.1	礫岩および凝灰岩
II.4.2	凝灰岩および石英安山岩凝灰角礫岩
II.4.3	角閃石石英安山岩熔岩など
II.4.4	石英安山岩熔結軽石凝灰岩
II.4.5	角閃石黒雲母流紋岩熔結凝灰岩
II.4.6	流紋岩熔岩
II.4.7	珪長岩
II.5	新第三系(北陸層群)
II.5.1	楡原累層
II.5.2	岩稲累層および岩脈
II.5.3	八尾累層および岩脈
II.5.4	音川累層
II.5.5	室田累層
II.6	第四系
II.6.1	呉羽山礫層
II.6.2	開析扇状地・河岸段丘堆積物および古期崖錐堆積物
II.6.3	冲積堆積物・新期崖錐堆積物および砂丘堆積物
III. 	応用地質
文献

魚津図幅 地質図 訂正

Abstract

付図 目次

第 1 図		魚津図幅地域 東部地区 地形略図
第 2 図		魚津図幅地域 層序関係 断面概念図
第 3 図		魚津図幅地域 地質構造 略図
第 4 図		早月川沿岸地域 花崗岩 分布図
第 5 図		ひだ山地における基盤岩 分布図
第 6~10 図	早月川沿岸地域 花崗岩の化学成分 相互関係図
第 11~13 図	(船津花崗岩類 写真)
第 14 図	魚津図幅地域 太美山層群 層序総合図
第 15 図	富山地方 新第三系 地質区図
第 16 図	魚津図幅地域 北陸層群 層序関係概念図
第 17 図	魚津図幅地域 岩稲累層 層序関係概念図
第 18 図	魚津図幅地域 岩稲累層 地質柱状図
第 19 図	魚津図幅地域 八尾累層 層序関係概念図
第 20 図	折戸凝灰岩層 地質柱状図
第 21 図	古鹿熊砂岩層 地質柱状図
第 22 図	古鹿熊砂岩層 岩相変化図
第 23 図	魚津図幅地域 南部地区 福平凝灰角礫岩 火山円礫岩層 岩相変化図
第 24 図	魚津図幅地域 北部地区 福平凝灰角礫岩 火山円礫岩層 岩相変化図
第 25 図	魚津図幅地域 福平凝灰角礫岩 火山円礫岩層 地質柱状図
第 26 図	魚津図幅地域 大岩凝灰岩層 地質柱状図
第 27 図	坪野凝灰質砂岩層 地質柱状図
第 28 図	魚津図幅地域 南部地区 坪野凝灰質砂岩層 岩相変化図
第 29 図	魚津図幅地域 北部地区 坪野凝灰質砂岩層 岩相変化図
第 30 図	釈泉寺泥岩層 地質柱状図
第 31 図	釈泉寺泥岩層 岩相変化図
第 32 図	魚津図幅地域 南部地区 釈泉寺泥岩層 - 音川累層 境界部 地質柱状図
第 33 図	魚津図幅地域 北部地区 釈泉寺泥岩層 - 音川累層 境界部 地質柱状図
第 34 図	魚津図幅地域 音川累層 岩相変化図
第 36 図	魚津図幅地域 室田累層 地質柱状図
第 37 図	魚津図幅地域 室田累層 岩相変化図
第 38 図	魚津図幅地域 呉羽山礫層 基底部 地質柱状図
第 39 図	魚津図幅地域 呉羽山礫層 岩相変化図
第 40 図	魚津図幅地域 呉羽山礫層 地質柱状図
第 41 図	魚津図幅地域 第1期開析扇状地堆積物 基底面 高度分布図
第 42 図	魚津図幅地域 冲積層 さく井 地質柱状図
第 43 図	魚津図幅地域 金属鉱床 分布図
第 44 図	魚津図幅地域 地下水 分布図
第 45 図	魚津図幅地域 地質柱状図 作成地 一覧図

付表 目次

第 1 表		魚津図幅地域 地質総括表
第 2 表		早月川沿岸地域 花崗岩 化学成分
第 3 表		魚津図幅地域 太美山層群 火山岩類 化学分析値
第 4 表		魚津図幅地域 新第三系 新旧地層名・地層区分 対照表
第 5 表		魚津図幅地域 温泉水 分析値

用語 語義

層理・単層の厚さ 極厚



葉・極薄
100 cm 以上
30~100 cm
10~30 cm
3~10 cm
3 cm 以下
礫の粒度(粒径) 巨礫
大型大礫
小型大礫
大型中礫
小型中礫
細礫
256 mm 以上
128~256 mm
64~128 mm
32~64 mm
4~32 mm
2~4 mm

地域地質研究報告
5万分の1図幅 (昭和 48 年稿)

金沢(10) 第 23 号

魚津 うおづ 地域の地質


魚津図幅地域の野外調査はおもに昭和 33 年に行ない, 昭和 41 年に補足した。 船津 ふなつ 花崗岩類を野沢が, ほかを角が担当した。 報告には途上の堆積学的研究の一端を加えてある。 調査・研究にあたって, 次の御好意をうけた。

富山大学の藤井昭二教授から新第三系の層序について教示頂き, 富山県庁の浅野久男技師(現嘱託)から金属鉱床について調査の協力と教示を賜わった。 魚津市役所ならびに上市町役場には便宜を計って頂き, 石油資源開発株式会社には地質図に掲載した重力分布の資料を提供して頂いた。 この資料の重力調査は当所の物理探査部の小川健三技官によって昭和 31 年に行なわれている。

地下水の項については応用地質部の村下敏夫技官に, その概況を執筆して頂いた。 太美山 ふとみやま 層群について地質部の山田直利技官から現地検討と岩石鑑定などの協力をうけ, 新第三系について地質部の坂本亨技官から現地検討と貝化石同定の援助をうけた。 太美山層群の岩石学的記載は山田技官に負うところが大きい。 研究に使用した岩石薄片は, 北海道支所の谷津良太郎技官および渡辺真治技官・ 技術部の安部正治技官および村上正技官によつて作製された。

以上の諸氏・諸機関に対して心から感謝の意を表するとともに, あわせて調査・研究上の先人諸氏に対して深く敬意を表する次第である。

地質図に数箇所誤った表示をしたので, その訂正を末尾に示した。 照合下さるようお願いする。

I. 地形

魚津図幅地域は富山県の中央部にあって, 中新川 なかにいがわ 郡 北西部・ 滑川 なめかわ 市・魚津市・富山市 東部・黒部市 南部と富山湾の一部にわたっている。 地形の大勢としては, 地域外の東・南側にある立山連峰などの高山地から, 北西の富山湾床へ向かって低下する中間の地帯にあたる。

南東隅の標高 1,000 m あまりの 山稜 さんりょう から, 北西隅の深度 600~700 m の海底まで, 平均 70 ‰ 台の 勾配 こうばい があり, ほぼ高度の順に, 山地・丘陵地・台地・低地・陸棚・陸棚斜面の性質をおびている。 このうち, 台地・低地・陸棚の部分の平均勾配がゆるい。 第 1 図は, 東半の陸域について, 復元等高線と, 概略の地質系統分布とを合せて示したもので, 昭和 46 年に国土地理院発行の5万分の1地形図によっている。 地形と地質の断面的関係は, 地質図の断面図と [ 後述する「II. 地質」の「II.1 地質概説」の項に示した ] 第 2 図に表わしたようになっている。

第 1 図 魚津図幅地域 東部地区 地形 略図 [ 凡例の記載は省略した ]

山地 : だいたい, 標高 500 m 以上の山稜を含む地域に山地地形が備わっている。 地質的には, 花崗岩質岩石・珪長質火山岩・安山岩質凝灰角礫岩・中生代砂岩など, 侵食に抵抗的な岩石が主体となった地域である。 山頂を包んだ外郭が 600~1,200 m の高度で, 満壮年期程度の開析を経た山容を示している。 このうち 1,000 m 以上の部分は, 北立山の猫又山(東隣の黒部図幅地域内)から分岐した山稜の末端にあたり, 深井(1958a)の立山連峰縁辺山地という区分に属している。 山稜は分岐し, かなりの屈曲と比高とをおびている。 谷は深く切れ込んで, 谷壁に急斜面が多く, 枝谷が樹枝状などに発達している。 一部には断層に沿った谷がみられる。 一般に, 谷頭の侵食が強く, 枝谷内に岩塊が滞留している箇所がある。 とくに花崗岩地域に激しい崩壊がみられる。 中生代の手取層群・新第三紀の安山岩質火山岩類の分布地には, 崩土の集積した緩斜地ができている。

この山地地域は, 下部更新統の 呉羽山 くれはやま 礫層の堆積後, 中部更新統の開析扇状地堆積物の形成前(更新世前期頃)の地殻変動の結果を原地形として, その後侵食され続けてきた地域とみなされる。

丘陵地 : 標高 500 m 以上の山稜を含まない地域のうち, おもに新第三系と呉羽山礫層から構成された地域が, 丘陵地の性質をおびている。 部分的に, 古期(とくに第1期)の開析扇状地堆積物が残存している。 高度 200~500 m の外郭を示しているが, 開析が全般に行き渡って, 尾根筋は小さい 凹凸 おうとつ を伴った複雑な形となっており, 微地形に新第三系の岩質差が現われている。 谷系には, 必従的方向のほか古期扇状地と, 新第三系の境, 新旧 扇状地の境, 新第三系内の岩質の境に沿った方向の要素が認められる。 扇状地堆積物が残存している部分と, 扇状地堆積物におおわれていたとみなされる部分(第 1 図参照)とには, ほかより, 風化が進み, 谷密度が低く, 崩土・風化土壌が多い。 また, 崖錐堆積物が集積した箇所, 地すべり地が含まれている。

丘陵地形は, 更新世前期頃の地殻変動後の地形が原地形であった部分と, 古期扇状地堆積物の堆積後の地形が原地形であった部分とからできたとみなされる。

台地 : 更新世の後期・末期の扇状地・河岸段丘の群で構成された地形で, 台地面が, だいたい, 10 m から 300 m あまりまでの高度にわたって, 階段状に配置している。 この地形は立山連峰を後景に見事な景観を作り, 成因的にも立山山地と関連があって, 藤井(1965)によって, 加積 かずみ 山麓階と名付けられている。

第1期のうちの古い時期の扇状地以外は, 現在の各河川の側方に, 同流系とみなされる扇状地が数段づつ分布している。 中期・新期の扇状地は同時期の河岸段丘と連続している場合がある。 扇状地・河段丘の位置は, 一般に, 古い時期のものほど高く, また現在の河谷から離れている。 異なる流系間では, 扇頂の高度を推定してみると, 全般に, 片貝 かたかい 川系と 早月 はやつき 川系が高く, 上市 かみいち 川系が低い。 片貝, 早月間には大差がないが, 古期・中期については片貝系が高く, 新期については早月系が高いように見受けられる。 開析の程度は, 原面の消失の点で, 古期のものほど進行しており, 第4期以降の扇状地で小さい。 谷の伸長に関しては, 流系ごとに谷の発生の初期条件が違うため, 新旧との関連が薄い。 また, 渡辺(1929, 1932)が注目したように, 扇状地表面の勾配が, 古期の 100 ‰ 前後から新期の 20~30 ‰ へ順次小さい値を示している (「II.6.2 開析扇状地堆積物」の項参照)。

なお, 渡辺(1929, 1932)は, これらの扇状地について, 海岸線付近を軸にした増傾斜運動による立山山地の隆起と海側の沈降が継続した結果, 何段もの扇状地ができ, また古い扇状地ほど大きい増傾斜的変位をうけたと解釈している。 最近の知識からは, 渡辺の考えに海水準の変動の影響を加味したがよいと思われる。

低地 : 富山平野の東部分にあたり, 大部分が現世の扇状地である。 [ 魚津市街を流れる ] かど 川・ [ 富山市東部を流れる ] 白岩 しらいわ 川を除いて, 片貝・早月・上市・ 常願寺 じょうがんじ の諸河川の扇状地が並び, その間が少しづつ複合して連続している。 現世 扇状地のほかに, [ 富山市 東部の海岸付近の ] 水橋 みずはし 周辺にある扇状地前縁の平地, 各河川の沿岸の平地, 新期の開析扇状地の一部がある。

河川沿岸の平地は, 幅が台地地帯で広く, 勾配が山地地域を開析している河川の場合に大きい。 新期の開析扇状地, とくに第6期 扇状地の裾の部分は, 現世 扇状地とほとんど連続するような低平地を形成している。

水橋周辺の平地は, おもに, 常願寺川の扇状地の前縁の微傾斜地にあたり, 深井(1958b)によって水橋三角洲と名付けられ, 藤井(1965)によって自然堤防帯と呼ばれている。 滑川市街地以西の, だいたい, 標高 10 m 以下の部分で, 海岸から内陸 3~4 km までの間に広がっており, 2~5 ‰ くらいの勾配をおびている。 この中には, 藤井(1965)によって, 常願寺川の旧河道が数すじ確認されている。

常願寺川の扇状地は大きな扇状地で. 南隣の五百石図幅地域内に扇頂があり, この地域にはその北側の末端付近が見られている。 地域南端で 20 ‰ 前後の勾配があり, 北へ急にゆるくなって, 舟橋町 [ ← 舟橋村 ? ] 付近で 5 ‰ 前後, [ 図幅地域西端の ] 新庄町付近では 2 ‰ あまりとなり, 前縁の平地へ移行している。

上市川の扇状地は小さい扇状地で, ほかの扇状地ほど張り出していない。 扇頂の高度が 60 m 前後, 表面の勾配がおよそ, 扇頂部 20 ‰, 扇央部 10 ‰, 扇端部 5 ‰ あまりであつて, 前縁に平地が伴っている。

早月川の扇状地は開析扇状地を両側にして, いちょうの葉のような扇形を示している。 扇頂の高度は約 140 m, 勾配は扇頂部 25 ‰ あまり, 扇央部・河口付近 20 ‰ 内外, 滑川市街地近くの扇端が 10 ‰ 程度である。

片貝川の扇状地は, 扇頂の高度 60 m 前後で, 勾配が扇頂部 25 ‰ あまり, 扇央部約 15 ‰, 海岸近くで少しゆるくなって海に臨んでいる.

河川および河床堆積物 : この地域には, 常願寺川の下流部, 小河川である上市川・早月川・片貝川・ 布施 ふせ [ ← 図幅地域北東隅 ] の中流部と下流部, さらに小さい角川・白岩川・ 郷川 ごうがわ [ ← 滑川市・上市町を流れる上市川の支流 ] などが含まれている。

常願寺川は主流の伸長が数 10 km に過ぎないが, 上流の流域が比較的広く, とくに砂礫生産の多い南立山山地からの支流が中流で掌指状に合流しているため, 融雪などの出水によって砂礫が激しく運搬される河川である。 南隣の五百石図幅地域の 上滝 かみだき 町から扇状地を約 7 km 流下して, この地域に達している。 この地域での河口までの約 10 km の間は, 天井川の傾向をおびており, 平常, 河流は人工堤防に囲まれた砂礫質の河床中を蛇行・分流して, 半ば伏流的に流れている。 氾濫の経歴があるが, 近年は, 護岸と河床砂礫の大量排除とによって災害防止がはかられている。 河床の砂礫は, 細礫を多く含んだ砂に, 中礫以上の礫が伴っているもので, 礫と砂が混合, あるいは分離して堆積している。 下流へ礫の量が減り, 粒度が小さくなる傾向がある。 中礫以上についてみると, 大日橋 - 常盤橋間の朝日 [ 位置不明 ; 大日橋と常盤橋の中間地点で常願寺川の西岸 ] 付近では, 小型中礫がかなり多く, 大型中礫・小型大礫が少量づつ, 大型大礫・巨礫が微量で, 最大級の礫の径が 30~50 cm である。 常顕寺大橋 [ ← 常願寺橋 ? ] 付近では, 小型中礫が比較的少なく見え, 大型中礫・小型大礫が少量づつ, 大型大礫が微量, 最大級の礫が径 20~30 cm である。 国鉄線 - 河口間では, 礫の総量が減って, 小型中礫・大型中礫・小型大礫が微量づつ, 大型大礫がごく微量, 最大級の礫が 20 cm 前後となっている。 礫の岩石種は, おもに片麻岩・安山岩で, 少数が花崗岩質岩石・斑状の珪長質火山岩・無斑晶状の珪長質火山岩などである。 常願寺橋の上流約 1 km の河床で, 柴草埋没林(藤井, 1965)が発見されている。

上市川・早月川・片貝川・布施川は, どれも, 主流の伸長が 20~30 km の小河川であるが, それぞれ開析の盛んな高山・中山地帯を流下して, 平野部まで巨礫混じりの砂礫を搬出している。 山間部では, 比較的急な谷壁で限られた砂礫質の河床を流れ, 側方侵食を起こしている。 河道は少し屈曲しており, 移動が激しいようである。 平野部に入っては, 扇状地を比較的高い河床を作って流れ, 流路が人工堤防で制禦されている。 河川勾配は, 20 ‰ 前後の所が多い。 どの河川も, 山間部では大礫を中心とした礫が, 所によって砂より多量に堆積している。 中に, 径 2 m の巨礫, ときには近距離からの径数 m の礫が混じっている。 礫の岩石はおもに花崗岩質岩石と片麻岩とである。 扇状地地帯でも, 径 1 m 大の巨礫が含まれており, 早月川では河口近くでさえ径 1 m 級の礫が認められる。 下流では, 安山岩・珪長質火山岩などの礫が混在している。

白岩川支流の大岩川, 上市川支流の郷川, [ 魚津市街を流れる ] 角川は, おもに丘陵地を流域とした小さい河川で, 岩石礫が少なく, 河川勾配が比較的ゆるい。 河道が屈曲していて, 氾濫 はんらん し易い箇所があり, 護岸が行なわれている。

海岸地および海浜堆積物 : この地域の海岸線は, だいたい, 現世の扇状地の平面形に関連した屈曲を示している。 しかし, 扇状地が最もよく発達した時期の形状は, 海食的営力をうけて失われたと考えられる。

滑川市街地以西は常願寺川扇状地の前縁などの平地が海に臨んだ部分で, 直線状である。 このうち, 白岩川河口以西にはごく低い海岸砂丘と砂浜が連なっている (「II.6.3 砂丘堆積物」の項参照)。 白岩川河口 - 上市川河口間には, 護岸堤の外に砂と中礫・小型大礫とが分離して堆積しており, 少しの砂浜ができている。 滑川市街地の周辺では, 堤外に中礫・大礫の堆ができている箇所がみられる。 礫はおもに片麻岩と花崗岩質岩石の礫である。

滑川市街地から魚津市街地までの間は, 早月川の扇状地が海に面しており, 扇状地の前縁が侵食されて現在の形になったとみなされる所である。 高塚付近では内陸へ幅数 10 m の礫の浜堤ができており, 護岸堤がない。 礫の堆は砂の上に厚さ 2~3 m で堆積している。 礫は小型大礫・大型中礫を中心に, 小型中礫から径 30 cm 以下の巨礫にわたっており, 多くが片麻岩礫である。 その東, 荒俣 - 吉浦間では, 堤外に砂と中礫・大礫などが堆積している。 最大礫は 30 cm 内外の径を示している。 早月川河口付近には中礫・大礫混じりの砂が堆積している。 魚津市街地の西側では中礫混じりの砂がみられる。

魚津市街地以北は片貝川の扇状地が海に臨んだ箇所で, その前縁が侵食されたものとみなされる。 魚津港付近は埋没林(「II.6.3 冲積堆積物」の項参照)で有名な箇所である。 海底に樹株を含んだ泥質層・砂層がある。 魚津市街地から北では, 護岸堤の外に大礫・中礫が堆積している。 巨礫が混在し, 径 50 cm 内外の最大径がある。 片麻岩・花崗岩質岩石の礫が多い。

以上は昭和 33 年 11 月に観察した状況である。 各河川の河口付近と, 常願寺川以西の海岸とは, 河川排出物の供給をうける堆積的海岸とみなされる。 これに対して, ほかの海岸は, 扇状地の海食物質が海浜堆積物の主材になっている所で, 部分的には沿岸流によって堆積物が集積されるが, 大部分, 海岸線維持に護岸堤が要る侵食的海岸である。 なお, 藤井(1959, 1965)によって, 白岩川河口付近が夏は砂浜, 冬は礫浜になること, 常願寺川河口が冬に 閉塞 へいそく 的になることが指摘されている。

海岸侵食について, 石井(1952)は古図などの検討から, 明治初期以降, 荒俣 - 吉浦間付近に 20~30 m の海岸線後退があったと推定している。 また, この地域の水橋町以東の海岸にみられる海食的傾向は, 角(1967)が黒部川扇状地の海岸侵食について考えたものと 同様な成因によつている可能性がある。

海底および底質 : 文献によって概況を述べる。 なお, 海域の知識は諸種の研究・調査によつて急速に増加されようとしている。

海底の地形は, 海上保安庁(1952, 1957), 田山・佐野(1952)によると次のようである。 この図幅範囲には深度 700 m までの陸棚と陸棚斜面とが含まれており, 大観すると, 西部の 日方江 ひかたえ から北東へ引いた線と早月川を延長した線とで分けた3地区ごとに性格が違っている。 この境界線は田山・佐野(1952)が推定した断層に沿うものである。 日方江の沖の北西側では深度数 10 m から 700 m まで達した洋谷が2本あり, その間に北東へ 7 km あまり伸びた海底山脚がある。 この海脚の上では, 沖合約 5 km で 200 m の水深になる。 この部分の陸棚斜面は, 洋谷が分岐しているので複雑になつている。 日方江 - 早月川間の沖は, 陸棚の幅が 1~2 km で, 陸棚斜面には深度 50~300 m の洋谷が多数あり, 300 m 以深に凹凸が少ない。 早月川以北は, 陸棚が幅 1 km 内外で, 陸棚斜面が洋谷もなく急である。 田山・佐野(1952)は日方江沖で深度 150 m・250 m の海段, 日方江 - 水橋間の沖で深度 300 m・450 m・650 m の海段を見いだし, とくに 200~250 m, 400~450 m のものは段丘平坦面としか解釈されないと述べている。

底質については, 海上保安庁(1952)によると, 数 10 m 以浅の陸棚の上には, 岸から数 100 m~1 km 沖合まで細粒砂が卓越しており, そのうち, 魚津港以北と魚津市街地南端付近との岸近くは礫質, 浜黒崎・日方江の岸近くは中粒砂質, 常顕寺川河口外は粗粒砂質である。 陸棚の外側部分と斜面の大部分とは泥でおおわれているが, 魚津市街地の沖の洋谷付近には沖合約 3 km, 深度 500 m くらいまで砂泥が分布し, その西, 吉浦の沖にも約 2 km 沖, 深度 250 m までの間に砂泥が広がっている。 なお, 常願寺川沖の洋谷の末端(約 8 km 沖合, 深度約 700 m)に礫の小分布が認められている。

鎌田(1971)によると, 音波探査を通じて, 富山湾の主部分に, 上位から A・B・C の3層の堆積が認められており, この海域の陸棚斜面は, おもに C 層の分布地域にあたっている。 C 層は第三紀層に相当する反射層とみられている。

II. 地質

II.1 地質概説

魚津図幅地域は, 古生代・中生代の地質区区分上は西南日本の内側に含まれる飛騨帯に属し, 新第三紀の地質区区分上は グリンタフ地域に入る西南日本弧内帯中の北陸・山陰区に属している。 図幅区郭内には, 第 1 表に総括した地層・岩石が認められる。 南東隅付近に船津花崗岩類が露出し, その北西側の山地に 手取 てとり 層群・太美山層群・新第三系が分布し, 丘陵地から低地にかけて第四系が広がっている。 これらの層群・系は, それぞれ下位に対して傾斜不整合の関係をもって重なり, 全体として, 北西向きにゆるく傾斜している。 船津花崗岩類は, 東隣・南隣地域に露出している飛騨変成岩類(片麻岩・結晶片岩など)とともに, これらの地層の基盤として伏在しているであろう(第 2 図・第 3 図参照)。

第 1 表 魚津図幅地域 地質総括表(波線は不整合・非整合を示す)

第 2 図 魚津図幅地域 層序関係断面 概念図(波線は不整合・非整合関係を示す)

第 3 図 魚津図幅地域 地質構造略図(第四系上部を除く) [ 凡例の記載は省略した ]

船津花崗岩類はトーナル岩・花崗閃緑岩・アダメロ岩などであって, この地域では2種の型が識別される。 この地域の手取層群は, 層群の上部にあたる白亜紀前期頃の陸成層である。 太美山層群は, 種々の珪長質火山岩からなりたっており, 岩質・層序上, 富山県東端から新潟県西端にかけて分布するものの中部・上部と近親である。 新第三系は, 富山県から石川県 東部にかけて連続的に分布している北陸層群に属するもので, 層群の模式地域とほぼ共通した区分の5累層から構成されている。 おもに堆積盆地の縁辺部に形成された海成層で, 下位に対して不整合・非整合を示す累層が多い。 また, おもに火山噴出物とその砕屑からなりたった地層が含まれている。 第四系には扇状地成の礫質堆積物が目立っている。

この地域の表層にみられる地質構造は, きわめて複雑である(第 3 図参照)。 更新世前期の地層までに北東 - 南西方向, 北北西 - 南南東方向などの断層が交錯し, 上昇小地塊・陥没小地塊を含んだ断層帯が連なっている。 この構造は, 中生代以来に集積された変形ではあるが, 基盤の構造を表わし, 更新世前期の地殻変動の性格を強く反映しているに違いない。

なお, 山地・丘陵地の地質状況については, かなり知識を増すことができたが, まだ, その構造発達史をくわしく編むことができない。 また, 低地下・海底の地質に関して, いくらかの考察を加えることが可能になったが, 実質的な推定を下すためには物理探査・試錐などによる研究が必要である。


[ 地質図の凡例 ]

第四紀 現世 砂丘堆積物 s
新期崖錐堆積物 d2 崖錐角礫・砂および泥
冲積堆積物 a 礫・砂および泥
更新世 開析扇状地
および
河岸段丘堆積物
第6期 f6 / t6 礫・砂および泥
第5期 f5 / t5 礫・砂および泥
第4期 f4 / t4 礫・砂および泥
古期崖錐堆積物 d1 崖錐角礫・砂および泥
開析扇状地
および
河岸段丘堆積物
第3期 f3 / t3 礫・砂および泥
第2期 f2 / t2 礫・砂および泥
第1期 f1 / t1 礫・砂および泥
呉羽山礫層 Km 泥層および泥質砂層(亜炭を伴う)
Ks 砂層および含礫砂層
Kg + Kt 礫層・含礫砂層および凝灰岩(Kt)
Kp 含礫砂層および砂層
新第三紀 鮮新世 室田塁層 凝灰質砂岩層 Ms 凝灰質砂岩および凝灰岩
火山円礫岩相 Mc 火山円礫岩および凝灰質含礫砂岩
音川塁層 泥岩層 Om 砂質泥岩および泥岩砂岩互層
中新世 砂岩層 Os + Os' 砂岩および泥岩(Os')
岩脈 A 安山岩
D 石英安山岩質岩石
八尾累層 釈泉寺
泥岩層
最上部 Ys' + Ys 砂質泥岩および砂岩(Ys')
主部 Ysm + Ysm' 泥岩および砂岩(Ysm')
坪野凝灰質砂岩層 Yt' + Yt 凝灰質砂岩および凝灰岩(Yt')
大岩凝灰岩層 Yi 凝灰岩
福平
凝灰角礫岩
火山円礫岩層
Yk 1~5 火山円礫岩および凝灰質砂岩
Ykt 凝灰岩
Yka 1~6 輝石安山岩熔岩流
Ykb 安山岩凝灰角礫岩および凝灰岩
古鹿
熊砂岩層
Yfs 砂岩および砂質泥岩
Yf 礫岩
折戸凝灰岩層 Yo 凝灰岩・凝灰質砂岩および凝灰質泥岩
岩脈 P 玢岩および安山岩
岩稲累層 松倉凝灰角礫岩層 Im 安山岩凝灰角礫岩(安山岩熔岩を伴う)
白倉山泥岩層 Ir 凝灰質泥岩・凝灰岩および凝灰質砂岩
小早月川礫岩層 Is 火山円礫岩および安山岩凝灰角礫岩
楡原累層 田蔵砂岩層 Nt 砂岩および礫岩
岩脈 F 珪長岩
古第三紀前期
または
白亜紀後期
太美山層群 Fr 流紋岩熔岩
Fw 角閃石黒雲母流紋岩熔結凝灰岩など
Fp 石英安山岩熔結軽石凝灰岩
Fd 角閃石石英安山岩熔岩など
Ft 凝灰岩および石英安山岩凝灰角礫岩
Fc 礫岩および凝灰岩
白亜紀 手取層群(上部) Tu 砂岩・砂岩泥岩互層および礫岩
中生代前期 船津
花崗岩類
岩脈状捕獲岩 Gh 流紋岩質岩石
Gd 安山岩質~細粒閃緑岩質岩石
伊折花崗閃緑岩 Gi 細粒花崗閃緑岩・アダメロ岩など
片貝川花崗閃緑岩 Gk 花崗閃緑岩・アダメロ岩など
Gm 花崗岩質ミロナイト

II.2   船津 ふなつ 花崗岩 かこうがん [ Gm, Gk, Gi, Ga, Gh ]

本図幅地域の東縁には, 花崗岩質岩石が, 中生層および第三紀層におおわれて, わずかに分布する。 この花崗岩質岩石は, 分布と岩相から以下のように2分される。

片貝川 かたかいがわ 花崗閃緑岩 [ Gm, Gk ]
伊折 いおり 花崗閃緑岩 [ Gi ]

片貝川花崗閃緑岩は, 片貝川本流にそって広く発達するもので, 本図幅地域では, [ 図幅地域東端・南北中央やや北の ] 奥平沢 おくひらさわ 付近にその北端がわずかにのぞく岩体 [ ← 地質図上で確認できない ] と, 早月川沿岸の中村 [ ← 白倉山(標高 878 m)の西南西方 2.5 km ] 付近に細長く分布するものがみとめられる。 両者は, 伊折花崗閃緑岩 [ Gi ] を東西両側ではさんだ形に分布する。 本岩は, 中粒, 赤桃色, ミロナイト質の部分が多い(第 4 図)。

第 4 図 早月川沿岸地域 花崗岩分布図

伊折花崗閃緑岩 [ Gi ] (野沢保・坂本亨, 1960)は, 早月川沿岸, 蓬沢 よもぎざわ - 伊折 - ぞろめき [ 以下の [注] 参照 ] 付近によく発達するもので, 本図幅地域に岩体のほぼ半ばが分布し, さらに南へのびる。 本岩は, 細粒, 赤桃色, アプライト様である。

[注]
蓬沢は前記の中村の南東方 2.5 km(本図幅地域の南東隅よりやや西), 伊折は蓬沢の南東方 1 km の伊折発電所の付近, また, 「ぞろめき」は本図幅の南隣の五百石図幅地域内の 白萩 しらはぎ 発電所の付近である。

片貝川花崗閃緑岩と伊折花崗閃緑岩の前後関係は明らかでない。 両者の境界付近では, 片貝川花崗閃緑岩がミロナイト質であるために関係がわかりにくい。 本稿では, 伊折花崗閃緑岩がアプライト様の外観をもっているので, 一応 片貝川花崗閃緑岩より若いと考えておく。 しかし, 両岩体は, いずれが先にせよ, 接近した時期に迸入したもので, あるいは, 入りくんだ関係で同時と考えるべきかもしれない。

これらの花崗岩類は, 本図幅地域ではわずかな分布をしめるにすぎないが, 隣接する黒部・立山および五百石図幅地域に広く連続し, さらに南西方にのびて, ひだ変成帯北縁の花崗岩体の一部をつくる。 このような, ひだ変成帯にあって, ひだ変成岩に密接に伴う花崗岩類を総括して船津花崗岩とよぶ。 本図幅地域は船津花崗岩の分布の北東端に近い。 この付近では, 共存するひだ変成岩の分布と構造がほぼ南北方向になり, 船津花崗岩すなわち片貝川花崗閃緑岩や伊折花崗閃緑岩の分布や内部構造, ミロナイト方向などもまた, ほぼ南北方向になる(第 5 図)。

第 5 図 ひだ山地における基盤岩 分布図。
Basement rock distribution in the Hida Mountains

船津花崗岩は, 一般に次のような2型に分かれる。

船津型(花崗閃緑岩~アダメロ岩)
(例) 片貝川花崗閃緑岩・伊折花崗閃緑岩
下之本型(石英閃緑岩~トーナル岩)
(例) 称名 しょうみょう 花崗閃緑岩(野沢・坂本, 1960)

ひだ変成帯北縁では, 両型がひろく分布し, しばしば両者の中間型もあらわれるが, 片貝川花崗閃緑岩と伊折花崗閃緑岩は, ともに岩石学的にも化学成分の上からも, 船津型に属すると考えられる。

なお, 本稿で片貝川花崗閃緑岩と呼んだ岩石は, 佐藤信次・ほか(1967)の「片貝岩体」の一部に相当するらしいが, 「片貝岩体」の範囲は明瞭でなく, 野沢・坂本(1960)の伊折花崗閃緑岩の一部をもふくむらしいので, 本稿では, 一応, 別に片貝川花崗閃緑岩と名づけた。

また, 伊折花崗閃緑岩については, 野沢・坂本(1960)が定義したあと, 太田昌秀(1961)が, 野沢・坂本(1960)の称名花崗閃緑岩と同義に用いている。 混乱をさけるため注記しておく。

II.2.1 片貝川 かたかいがわ 花崗閃緑岩 [ Gm, Gk ]

片貝川沿岸の奥平沢には, 変質した赤桃色, 中粒の花崗閃緑岩が第三紀層におおわれてわずかにのぞいている。 この花崗閃緑岩は, 片貝川ぞいに南へおよそ 15 km の長さにわたってつづくもので, 奥平沢より南で「眼球片麻岩」などのミロナイト性の岩石が多くなる。

早月川沿岸の中村付近で, 段丘堆積物の下からのぞいている眼球片麻岩をふくむミロナイト性花崗閃緑岩も, 片貝川沿岸のミロナイト性花崗閃緑岩に まったく類似した岩石学的および化学的性質をもっているので, 片貝川花崗閃緑岩の一部をなすものと考える。

本岩は, 大部分がミロナイト化作用の影響をうける。 ミロナイト化作用の影響を考慮しても, 本岩はもともと不均質で, 次のような岩相をふくむ。

a. 花崗閃緑岩~アダメロ岩
b. トーナル岩
c. アプライトおよびペグマタイト
d. 閃緑岩質包有岩および岩脈状捕獲岩

これらの諸岩相のうちで, 花崗閃緑岩がもっとも多量に露出している。

ミロナイトについては, その特徴を次のように整理することができる。

a. 圧砕性
b. 平行性
b.1 片麻状構造(Gneissose structure)
b.2 縞状構造(Banding structure)
b.3 壁土状構造(Puddy structure)
c. 再結晶性
d. 変成斑晶(「眼球」状微斜長石)

これらの諸性質のさまざまな程度の組合せによって, 多様な岩型およびそれらの漸移的な中間型がつくられる。

片貝川にそう片貝川花崗閃緑岩の主体は, 本図幅地域には, 奥平沢付近にわずかにのぞくにすぎないので, おもに中村付近の岩体についてのべる。

中村付近の岩体では, 平行構造は一般に弱い。 片麻状あるいは縞状構造が少ないのに反して, 壁土状構造はしばしばみいだされる。 壁土状構造の部分では, ふつう, 緑がかった灰黒色の細粒石基の中にまるみをおびた礫のような花崗岩の小塊や, 石英・斜長石などの破片が散点する。 礫状の花崗岩はトーナル岩質であることが多く, ふつう変質し, 白雲母片を点在させる。 ミロナイトの基質を鏡下でみると, おもに石英とアルカリ長石の細粒からなり, 粒度差で壁土状構造をつくる。 少量の緑泥石, 鉄鉱などをふくむ。

白雲母トーナル岩質ミロナイト, TN66102705A, 上市町 中村
不均質な灰黒色の石基中に, 径 2~3 cm の花崗岩の小団塊や, 径 0.5~2.0 mm の石英や斜長石の小片が散点する。 石基には壁土状構造がみとめられる。
鏡下でみると, 花崗岩塊は, おもに石英と斜長石からなり, ごく少量の緑泥石をもち, トーナル岩質である。 変質が著しく, 白雲母片が散点する。 斜長石は, 半自形, 径 0.5~2.0 mm, ほぼ灰曹長石らしい。 石英は, 径 0.5~1.5 mm, 不規則な外形をもつ。
ミロナイトの基質は, ほぼ完晶質で, 径 0.1~0.2 mm の石英およびアルカリ長石を主とする。 その他, 白雲母片(径 0.1~0.3 mm)がふくまれ, 散点したり, 集まって白雲母脈またはレンズをつくる。 石英もまた, プールをつくったり, 不規則な脈をつくったりすることがある。 基質の粒度の不均質性や石英の濃集が壁土状構造をつくる。 ごく少量の鉄鉱, ジルコン様鉱物および燐灰石をふくむ。

また, 基質と礫状岩片との境界がはっきりせず, 不規則に混在する部分もある。

再結晶作用の著しいミロナイトは, 花崗閃緑岩質またはアダメロ岩質の場合が多い。 平行配列をするやや大きな石英や斜長石の間をさらに細粒の石英や斜長石の結晶がうめ, 片麻岩様の構造をつくる。 有色鉱物もこれに平行に配列する。 有色鉱物の少ない部分では, 片麻状構造は, しばしば肉眼ではわかりにくい。 一般に, 長さ 1~2 cm の微斜長石の斑晶がよく発達し, 片麻状構造の強い岩石では, 眼球片麻岩になる。

ミロナイト質花崗閃緑岩, TN66102703D, 上市町 中村
片麻状の平行構造の著しい花崗閃緑岩で, 中粒, 斑晶状の微斜長石が著しい。
鏡下では, おもに斜長石・石英および微斜長石からなり, 黒雲母・白雲母およびごく少量の鉄鉱およびジルコン様鉱物をふくむ。 斜長石は, 角のつぶれた半自形, 径 3~5 mm, 変質が著しい。 石英は, 斜長石の間をうめ, 他形, 径 2~3 mm である。 微斜長石は, 斑晶状, 径 1~2 cm, 角がとれ, 多少眼球状である。 新鮮で, 格子状構造が発達する。 黒雲母は, 径 1~2 mm, ほとんど緑泥石化する。 斜長石は, 平行に配列する傾向があり, 黒雲母がその間に鎖状につながって配列するので, 片麻岩様の外観をもつ。

ミロナイト化作用の著しい部分にも, ミロナイト化の弱いあるいはほとんどみとめられない岩石がところどころにふくまれる。 おもに花崗閃緑岩で, 中粒または粗粒, 緑泥石化した黒雲母をもち, 微斜長石が斑晶状に発達していることもある。 ほとんどミロナイト化作用をうけていない岩石でも, 一般に変質が著しく, 岩石全体がうすく緑色がかった色調をおびていることが多い。

また, 奥平沢付近のアプライト質花崗閃緑岩も, ミロナイト化作用の影響が少ない。 しかし, 変質は著しい。

黒雲母アダメロ岩, TN66102705B, 上市町 中村(化学分析 No. 7)
うすく緑がかった明色, 中粒の岩石で, 早月川沿岸のミロナイト帯の中にありながら, ほとんどミロナイト化していない。 弱い平行構造, N 20°W, 80°E があるらしい。
鏡下では, おもに黒雲母・微斜長石・石英および斜長石からなり, 少量の燐灰石, 鉄鉱およびチタン石をふくむ。 黒雲母は, 径 2~4 mm, ほとんど緑泥石化するが, ごく一部に緑色黒雲母が残存する。 白雲母の小片が少量散点する。 微斜長石は, 半自形, 径 3~6 mm, 新鮮で格子状構造が著しい。 石英は, 不規則な塊状, 径 2~4 mm である。 しばしば微斜長石と石英は文象共生をする。 斜長石は, 径 2~4 mm, 塊状半自形, 変質が著しく, 微斜長石の小片を点在させる。
明色花崗閃緑岩, TN57091912, 魚津市 奥平沢
細粒, 赤桃色。 肉眼では有色鉱物がほとんどないようにみえる。 平行構造もミロナイト化作用の影響もみとめられない。
鏡下では, おもに微斜長石・石英および斜長石からなり, 少量の緑泥石化した黒雲母, リウコクシンおよびごく少量の鉄鉱・燐灰石およびジルコン様鉱物を伴う。 黒雲母は, 径 0.5~1.0 mm, 完全に緑泥石化し, 鉄鉱を伴う。 微斜長石は, 他形, 径 3~5 mm, 新鮮で, 格子状構造をもつ。 斜長石は, 半自形, 径 2~3 mm, 変質が著しく, 白雲母の小片を散点させる。 石英は, 塊状他形, 径 0.5~1.5 mm, ときに集合する。

閃緑岩質包有岩および岩脈状捕獲岩については, 伊折花崗閃緑岩中におけるものと同一であり, また伊折花崗閃緑岩における分布の方が多いので, 一括して伊折花崗閃緑岩の項でのべる。

第 2 表 早月川沿岸地域 花崗岩化学成分(KAWANO and NOZAWA(1968)による ; 分析 : 川野昌樹技官)。
Chemical Composition of granitic rocks in Hayatsuki-gawa area, Hida Mountains

試料 1 2 3 4 5 6 7 A-1 A-2 A-3 B-1 B-2 C
SiO2 69.86 69.74 71.96 67.34 65.88 66.04 69.82 70.52 66.61 67.93 71.52 62.15 69.17
TiO2 0.19 0.18 0.17 0.43 0.39 0.46 0.33 0.18 0.41 0.40 0.22 0.57 0.39
Al2O3 16.59 16.89 15.17 15.67 17.57 16.29 15.67 16.21 16.62 15.98 15.03 17.21 15.00
Fe2O3 0.75 0.83 1.19 1.49 1.31 1.10 0.68 0.92 1.40 0.89 0.89 2.46 1.05
FeO 0.90 0.88 0.56 2.40 2.00 1.67 1.34 0.78 2.20 1.51 0.96 2.76 2.48
MnO 0.04 0.05 0.03 0.09 0.12 0.06 0.08 0.04 0.11 0.07 0.05 0.11 0.10
MgO 0.35 0.31 0.36 1.68 1.14 0.76 0.83 0.34 1.41 0.80 0.48 2.04 1.15
CaO 2.10 2.00 1.51 3.85 2.74 2.45 1.57 1.87 3.30 2.01 1.93 4.48 3.15
Na2O 4.35 4.65 4.28 3.47 5.23 3.07 3.28 4.42 4.35 3.18 3.74 4.30 3.45
K2O 3.32 3.18 3.43 2.14 1.77 4.41 4.16 3.31 1.96 4.29 3.87 1.92 3.01
P2O5 0.05 0.03 0.04 0.11 0.13 0.14 0.10 0.04 0.12 0.12 0.08 0.35 0.13
H2O (+) 0.58 0.55 0.55 0.73 0.81 1.31 1.03 0.56 0.77 1.17 0.59 1.31 0.74
H2O (-) 0.18 0.12 0.16 0.16 0.20 0.20 0.30 0.15 0.18 0.25 0.13 0.23 0.30
Fe 0 0 0 0 0 0.09 0.14
SO3 0 0 0 0 0 0.01 0.01
S 0 0 0 < 0.01 < 0.01 0.05 0.08
CO3 0.39 0.23 0.10 0.12 0.26 1.53 0.15 0.24 0.84
Total 99.65 99.64 99.51 99.68 99.55 99.64 99.57 100.12
以下は Norm の値
Q 22.85 25.51 30.31 27.28 20.41 24.61 29.76 27.22 23.85 27.19 29.87 16.69 27.92
C 2.04 2.23 1.79 0.88 2.35 2.31 3.15 2.02 1.64 2.17 1.54 0.69 0.64
Or 19.59 18.81 20.26 12.53 10.46 26.04 24.60 19.55 11.50 25.32 22.83 11.40 17.81
Ab 37.33 39.32 36.18 29.36 44.30 25.96 27.77 37.61 36.83 26.87 31.74 36.38 29.20
An 10.04 9.74 7.20 18.48 12.81 11.25 7.18 9.00 15.65 9.22 8.84 20.58 14.77
Sal. tot. 94.85 95.61 95.74 88.53 90.33 90.22 92.46 90.39
En 0.87 0.77 0.89 4.19 2.81 1.90 2.07 0.84 3.50 1.99 1.19 5.08 2.86
Fs 0.79 0.73 2.51 2.16 1.52 1.50 0.76 2.34 1.51 0.93 2.30 3.22
Mt 1.09 1.20 1.32 2.15 1.89 1.60 0.99 1.20 2.02 1.30 1.23 3.60 1.53
Hm 0.29
Il 0.36 0.33 0.32 0.82 0.74 0.88 0.61 0.34 0.78 0.75 0.41 1.08 0.74
Ap 0.14 0.07 0.10 0.23 0.30 0.34 0.23 0.12 0.27 0.29 0.26 0.52 0.30
Fem. tot. 3.25 3.10 2.92 9.90 7.93 6.24 5.40
Total 98.10 98.71 98.66 98.43 98.26 99.46 97.86 99.04
以下は化学組成の比の値
Na2O / K2O 1.31 1.46 1.24 1.62 2.95 0.69 0.78 1.34 2.22 0.74 1.00 2.62 1.15
MgO / FeO 0.22 0.19 0.43 0.45 0.36 0.28 0.43 0.28 0.41 0.35 0.25 0.41 0.46
以下は Differentiation Index 用の Norm の和の値
Q + Ab + Or 82.77 83.64 86.75 69.17 75.17 76.61 82.13 75.77 72.18 79.38 84.44 64.48 74.98
[ 第 2 表の試料の詳細 ]
1 : TN57090809A. 細粒黒雲母花崗閃緑岩(伊折花崗閃緑岩)
富山県 上新川郡 上市町 早月川 鍋増 なべぞう 谷 [ ← 立山図幅地域内 ? ]
2 : TN66102406B. 細粒黒雲母花崗閃緑岩(伊折花崗閃緑岩)
富山県 上新川郡 上市町 早月川 桑首 くわこび 谷(採取地点 No. 1) [ ← 本図幅地域の南東隅 ]
3 : TN57052805B. 細粒黒雲母アダメロ岩(伊折花崗閃緑岩)
富山県 上新川郡 上市町 早月川 ぞろめき [ ← 五百石図幅地域内 ]
4 : TN57092405. 角閃石花崗閃緑岩(称名花崗閃緑岩)
富山県 上新川郡 上市町 千石川 千枚滝 [ 位置不明 ; 五百石図幅地域内 ? ]
5 : TN57092006. 黒雲母トーナル岩(称名花崗閃緑岩)
富山県 上新川郡 上市町 早月川 赤谷 [ ← 五百石図幅地域内 ]
6 : TN66102605. 黒雲母白雲母花崗岩質ミロナイト(片貝川花崗閃緑岩)
富山県 魚津市 片貝川 別又谷 [ ← 黒部図幅地域内 ]
7 : TN66102705B. 黒雲母アダメロ岩(片貝川花崗閃緑岩)
富山県 上新川郡 上市町 早月川 中村(採取地点 No. 2)
A-1 : 伊折花崗閃緑岩 1~3 の平均
A-2 : 称名花崗閃緑岩 4~5 の平均
A-3 : 片貝川花崗閃緑岩 6~7 の平均
B-1 : 船津花崗岩 船津型の8コの平均
B-2 : 船津花崗岩 下之本型の9コの平均
C : 日本産花崗岩(SiO2 > 55 % )の平均(HATTORI et al., 1960)

第 6 図 [ Differentiation Index(Normative Q + Or + Ab)ごとの化学組成 SiO2, TiO2, Al2O3, Fe2O3, FeO, MgO, CaO, Na2O, K2O, H2O (+) の値のグラフ ]

第 7 図 [ 化学組成 FeO total - Na2O + K2O - MgO の値の三角ダイアグラム ]

第 8 図 [ ノルム Q - Ab - Or の値の三角ダイアグラム ]

第 9 図 [ 化学組成 K2O と Na2O の値の相関図 ]

第 10 図 [ 化学組成 H2O (+) と MgO の値の相関図 ]

[注]
第 6~10 図(早月川沿岸地域 花崗岩の化学成分 相互関係図)の凡例の記載は省略する。

片貝川花崗閃緑岩は, 船津花崗岩の船津型岩相と岩石学的性質がまったく同一である。 また, その化学成分も, 船津型の類型に入る(第 2 表と第 6~10 図 [ 以下の [注] 参照 ] )。 そのなかで, MgO と H2O (+) が比較的多いのは, ミロナイト化して, 緑泥石を多くふくんでいることに関係があるのであろう。

[注]
KAWANO,M. and NOZAWA,T.(1968)による。

片貝川花崗閃緑岩のミロナイト化作用は, ミロナイトの中に, ミロナイト化作用をまったくうけていないアプライトやペグマタイト質脈, あるいは微斜長石斑晶のあることからみて, 花崗閃緑岩の深成作用の末期, ペグマタイト期の途中でおきたものと考えられる。 おそらく, ミロナイト化作用には, ペグマタイト物質が重要な役割をはたしたのであろう。

II.2.2 伊折 いおり 花崗閃緑岩 [ Gi ]

伊折花崗閃緑岩は, 東側および西側をミロナイト質の片貝川花崗閃緑岩にはさまれ, 南方は, 不規則な境界で称名花崗閃緑岩に接する(第 4 図 ; 野沢保・坂本亨(1960))。 北西方の境界は, 第三紀層および中生層に不整合におおわれたり, 断層で接したりしている。 岩体は, ほぼ南北方向にのびた長方形に近く, およそ 30 km2 にわたって分布する。

本岩は, 比較的均質で, 本図幅地域内では, ほとんど平行性もない。 いくらかミロナイト質の平行性は, 本図幅地域南方の伊折付近で, 称名花崗閃緑岩に接する付近にあらわれる。

本岩には, 次のような岩相がふくまれる。

(a) 細粒花崗閃緑岩~アダメロ岩
(b) 細粒花崗岩
(c) アプライト
(d) 文象花崗岩
(e) グライゼン
(f) 包有岩類

これらの諸岩相のうちで, 細粒花崗閃緑岩~アダメロ岩がもっとも多量で, 岩体の大半をしめる。 アプライトは, レンズ状または脈状で, 本図幅地域にはあまり多くないが, 南方の [ 五百石図幅地域内の ] 称名花崗閃緑岩に接する付近には, アプライトの多い帯が発達する。 細粒花崗岩や文象花崗岩などの分布はせまい。 グライゼンは転石でみとめられるにすぎない。

(a) 細粒花崗閃緑岩~アダメロ岩

本岩は, 早月川沿岸の蓬沢の南方付近, 桑首 くわこび 谷などによく露出する。

本岩は, 細粒, 赤桃色, 一般には平行構造を欠き, 包有物にも乏しい。 全般に比較的均質であるが, 微斜長石の増減によって, 花崗閃緑岩からアダメロ岩までの漸移的な岩型がつくられる。

本岩は, おもに黒雲母・斜長石・微斜長石および石英からなり, 少量の鉄鉱・燐灰石およびしばしばチタン石をふくむ。 まれには, 褐廉石をふくんだり, 黒雲母に伴って角閃石の小粒を散点させたりする。 黒雲母は, 径 0.5~1.0 mm, 小さくかつ, 少量で, ほとんど完全に緑泥石化し, 鉄鉱および葡萄石を少量伴う。 斜長石は, 柱状自形または半自形, 長さ 2~4 mm, 変質が著しく, 白雲母の細片が内部に生じていることもある。 周辺部は, 比較的新鮮な灰曹長石のリムがとりまく。 斜長石は, しばしば微斜長石と石英が細粒であるために, 斑晶状に目だつこともある。 微斜長石は, 不規則な粒状または半自形, 径 1~2 mm, 石英もほぼ同様である。 鉄鉱は, 磁鉄鉱・赤鉄鉱および黄鉄鉱がふくまれ, 岩石が塩基性になるほど磁鉄鉱が多い。 チタン石は, 美しい自形, 径 1~3 mm をつくったり, 磁鉄鉱のまわりをコロナ状にとりまいたりする。

細粒黒雲母花崗閃緑岩, TN66102406B, 上市町 桑首 くわこび 谷(化学分析 No. 2)
細粒, 赤桃色, 平行構造はない。
鏡下では, おもに黒雲母・微斜長石,石英および斜長石からなり, 少量の鉄鉱および燐灰石をふくむ。 黒雲母は, 径 0.5~1.0 mm, 完全に緑泥石と葡萄石におきかえられる。 微斜長石は, 半自形, 径 3~5 mm, 変成斑晶状に大きく, 他の鉱物を包有する。 新鮮で, 格子状構造が発達する。 石英は, 塊状, 径 1~3 mm である。 斜長石は, ほぼ自形に近い柱状, 3~5 mm, 変質が著しいが, 内部に累帯構造らしいものがみとめられる。 周辺には, 新鮮な灰曹長石のリムがとりまく。

(b) 細粒花崗岩

細粒花崗閃緑岩~アダメロ岩の一部は, 斜長石の著しく少ない, 細粒, 赤桃色で比較的均質な花崗岩に移化する。

(c) アプライト

アプライトは, 脈状, レンズ状あるいは不規則な外形をもち, 一部はミロナイト化作用をうける。 伊折花崗閃緑岩のうちで岩体南部, 称名花崗閃緑岩に接する側に多く, 称名花崗閃緑岩の中へも 迸入 へいにゅう する。

アプライトは, 次の2主要岩相に分けられる。

(1) 赤桃色アプライト
いくらか不規則な外形の微斜長石および石英からなり, 変質した斜長石が残斑晶状にふくまれる。 ごく少量の緑泥石化した黒雲母および鉄鉱をふくむ。 鉄鉱は磁鉄鉱が主で, 黄鉄鉱が局部的に散点したり, 脈をつくったりすることがある。
(2) 暗灰色アプライト
暗色, 不均質なアプライトで, 赤桃色アプライトにくらべると, 緑泥石化した黒雲母片が著しく多い。 暗灰色アプライトは, 赤桃色アプライトと共存することがあり, 赤桃色アプライトによって貫かれる。 鉄鉱など造岩鉱物は, 赤桃色アプライトにほぼ同じである。

(d) 文象花崗岩

上市町 桑首 くわこび 谷で, 細粒花崗閃緑岩の一部に文象花崗岩がみいだされる。 脈状らしいが, 形態や接触関係は明らかでない。

文象花崗岩, TN57092706B, 上市町 桑首 くわこび
赤桃色, ち密, 斑状の外観をもつ。
鏡下でみると, 径 2~3 mm の塊状の石英が斑晶状にふくまれ, 石基は, 石英と微斜長石の細かな文象構造でうめられる。 ごく少量の鉄鉱をふくむ。

(e) グライゼン

上市町 蓬沢付近で, グライゼンの転石がみいだされた。 桑首 くわこび 谷の入口付近なので, 伊折花崗閃緑岩に由来するものと考えてよいであろう。

グライゼン, TN57092709B, 上市町 蓬沢
粗粒, 灰色, 多孔質な風化面をもつ。
鏡下では, おもに白雲母・斜長石および少量の微斜長石をふくむ。 白雲母は, 径 1~3 mm, 多量にふくまれる。 斜長石は, 半自形, 径 2~5 mm, 変質が著しい。 石英は, まったくみいだされない。

(f) 包有岩類

片貝川花崗閃緑岩および伊折花崗閃緑岩には, 団塊状またはレンズ状の閃緑岩または角閃岩質の包有岩や, 細脈状あるいは細かいレンズ状の方解石の集合がしばしばみいだされる。 包有岩には団塊状の閃緑岩が多い(第 11 図)。

第 11 図 a 伊折花崗閃緑岩中の細粒閃緑岩質包有物(上市町 鍋増 なべぞう 谷, 魚津図幅地域外, 約 500 m 南)

第 11 図 b 第 11 図 a と同じ [ 第 11 図 a の部分接写 ]

閃緑岩質包有岩は, いわゆる "ovoidal xenolith" 状で, 径 5~100 cm のいくらか不規則なまるみをおびた外形をもち, しばしば群集する。 細粒から母岩の花崗岩とほぼ同じ粒度のものまで, 多様な粒度にわたっている。 岩石は, 閃緑岩~石英閃緑岩~トーナル岩質で, 細粒のものでは, 自形長柱状の角閃石および斜長石を主とし, 多くは多少変質した黒雲母片を伴う。 しばしば, 斜長石が斑晶状に大きくなる。 粗粒のものでは, 同じような鉱物構成でも, 変質は, 一般に細粒の場合より著しい。 細粒, 粗粒のいずれの岩石も, ごく少量の鉄鉱・燐灰石およびチタン石をふくむ。 また, ほとんどの場合, 母岩の花崗岩質岩石から, 微斜長石が変成斑晶状にしみこむ。 微斜長石の量はさまざまである。

閃緑岩質包有岩は, 団塊状の他にレンズ状または脈状のこともある。

これらの閃緑岩質包有岩の起原はあきらかでない。 一部は, 花崗閃緑岩類の固結早期に貫入した 斑糲 はんれい 岩~閃緑岩などの塩基性小迸入岩体に由来し, また少なくとも一部は, 同じく早期に貫入した岩脈に由来するのであろう。 このような古期岩脈については, 次項でのべる。

細粒閃緑岩, TN57092807, 上市町 鍋増谷
暗色, 細粒, 花崗岩質細脈に網目状に迸入される。
鏡下では, おもに角閃石と斜長石からなり, 少量の鉄鉱・燐灰石・葡萄石および緑簾石をふくむ。 角閃石は, ほぼ自形, 長さ 0.5~1.0 mm, しばしば双晶し, 変質が著しい。 多色性は, X : 緑がかった褐色, Y, Z : うすい緑色である。 斜長石は, 半自形, 径 1.0~2.0 mm, 変質が著しく, 白雲母の小片を散点させる。
葡萄石や緑簾石は, 花崗岩脈に近い部分に多い。 葡萄石は, しばしば, 細脈をつくる。

伊折花崗閃緑岩の化学成分をみると, 本図幅地域および南隣図幅地域での3コの分析値は, いずれもかなり類似した性質を示し, 船津花崗岩のなかの船津型に属する(第 2 表と第 6~10 図)。 ただし, 船津型としては, Na2O が比較的多い。 本岩は, 実際に有色鉱物に乏しく, アプライト質であり, 化学成分でも, 平均で, Norm の salic total が 95.3 % に達し [ ← 第 2 表では「平均」の試料 A-1 の「Sal. tot.」の値は記されておらず, 伊折花崗閃緑岩の個別の試料 1, 2, 3 の値はそれぞれ 94.85, 95.61, 96.74 ] , Differentiation Index(Norm Q + Or + Ab)は 75.77 [ ← 第 2 表の試料 A-1 の値 ] である。 しかし, 普通のアプライトとは, Na2O が多く, K2O が比較的少ない点で異なる。 これは実際に, カリ長石が比較的少なく, 斜長石が多いことに対応する。

II.2.3 岩脈状捕獲岩 [ Ga, Gh ]

第 12 図 a 伊折花崗閃緑岩中の岩脈状捕獲岩(上市町 鍋増 なべぞう 谷)。 節理が共通し, 花崗岩質物質が岩脈側へ浸入している

第 12 図 b 第 12 図 a の部分接写

伊折花崗閃緑岩および片貝川花崗閃緑岩には, 多数の岩脈が発達する。 これらの岩脈の中には, 明らかに壁岩から独立した節理系をもち, 急冷縁があり, 付近に発達する第三系の岩脈と同じ岩相のものもある。 このような岩脈は, 花崗閃緑岩類の深成作用とは関係がないようにみえる。 しかし, その他に, 岩脈の外形をもちながら, 同時に捕獲岩の性質をそなえた岩脈がある。 露頭でみられる特徴をまとめてみると, 次のようになる(第 12 図参照)。

  1. 岩脈として独立した節理をもたず, 節理が壁岩と共通する。
  2. 岩脈の縁辺部では, 急冷縁がないばかりか, 逆に粗粒化したり, 変質していたりする。
  3. 岩脈は壁岩にまったく接触変成作用をあたえていない。
  4. 岩脈の境界は, 一見 鋭く直線的にみえる場合でさえ, こまかくみると, 漸移的に微斜長石など花崗岩質物質がしみこんでいたり, 花崗岩からアプライト質細脈が迸入していたりする。
  5. 花崗岩中のアプライト脈が岩脈につきあたって方向をかえ, 岩脈にそってのびることもある。

このような諸特徴は, これらの岩脈がおそくとも花崗岩の固結完了前に貫入していたことを示している。 おそらくその貫入は, 花崗岩の貫入・固結が大半終わり, アプライト・ペグマタイトなど 一部の成分の固化がまだ終わりきっていない時期であったと考えられる。

また, このような岩脈状捕獲岩の諸特徴は, どの場合にもすべてみられるわけではなくて, 岩脈ごとに特徴と程度を異にしている。 その変化は漸移的にたどることができる。 すなわち, 早期に貫入して花崗岩の影響を著しくうけたものから, 比較的晩期に貫入して, 捕獲岩としての諸特徴に乏しいものまでがふくまれる。

岩脈状捕獲岩は, 多くは, 幅 20~100 cm の直線状の境界をもち, 数脈が平行して集まることもある。 その分布と貫入方向の規則性はたしかでない。

岩脈状捕獲岩は, 2つの岩相に大別できる。

(a) 細粒閃緑岩~安山岩 [ Ga ]
(b) 流紋岩 [ Gh ]

細粒閃緑岩は, 包有岩の項でのべた細粒閃緑岩とほとんど同一である。

安山岩質岩石は斑晶の著しいものと著しくないものがあり, 石基の粒度にも変化が多い。 斑晶は, 斜長石および現在は方解石などに交代されている鉱物からなる。 石基は, 長柱状の斜長石と変質鉱物からなる。 斜長石は, 粗粒の岩石では長さ 0.15 mm 前後, 細粒の岩石では長さ 0.05 mm 前後である。 変質鉱物は緑泥石を主とし, 炭酸塩鉱物をまじえる。 粒状の鉄鉱がしばしば多数, 不均質に分布する。

流紋岩質岩脈は, 石英の斑晶を散点させ, 明色, 細粒で, 変質が著しい。

第 13 図 伊折花崗閃緑岩中の古期岩脈(岩脈状包有岩, 上市町 桑首 くわこび 谷)

細粒閃緑岩, TN57092706A, 上市町 桑首 くわこび 谷(第 13 図)
暗緑色, 細粒, 花崗岩との境界は比較的鋭い。
鏡下でみると, おもに角閃石および斜長石からなり, 少量の緑簾石および方解石をふくむ。 角閃石は, 半自形, 0.5~2.0 mm, 多色性は, X : 緑がかった褐色, X, Y : うすい緑色を示す。 しばしば集合し, 緑泥石を伴う。 斜長石は, 長柱状半自形, 長さ 0.5~2.0 mm, 変質が著しい。 方解石は, 細脈をつくることが多い。
安山岩, TN66102703C, 上市町 中村
不均質で, 淡緑~暗緑色, 細粒, 細い石英脈がつらぬく。
鏡下でみると, 変質が全体に著しい。 斑晶としては斜長石だけが目だつが, その他に現在は変質鉱物の集合になっている斑晶であったらしいものもふくまれる。 石基は, アルカリ長石, 緑泥石および少量の石英からなる。 少量の鉄鉱およびリウコクシンをふくむ。 斜長石斑晶は, 半自形, 1~3 mm, 入りくんだりんかくをもち, 変質が著しく, 白雲母の小片が散点する。 石基は, 径 0.2~0.5 mm の細粒のアルカリ長石および石英片からなる。 石英は, 網目状の細脈をつくる。
本岩は, 安山岩質ではあるが, 壁岩の影響をうけていると考えられる。

II.2.4 片貝川花崗閃緑岩および伊折花崗閃緑岩の深成作用

片貝川花崗閃緑岩および伊折花崗閃緑岩は, 第三紀層および中生層におおわれる他に, 直接に時代を示す地質学的事実はない。 両岩は, 船津花崗岩に属する。 船津花崗岩は, 飛騨山地では, 神岡の南方で石炭紀層をつらぬく。 また, その K - Ar 法および Sr - Rb 法による同位元素年令は, 大部分が 180 m.y. 付近に集中する(野沢, 1968)。

本図幅および隣接図幅地域における船津花崗岩の深成作用の順序は, およそ次のように考えられる。

1.  称名花崗閃緑岩(下之本型)
… 多少の時間的間隔 …
2.  片貝川花崗閃緑岩(船津型)
… 同時またはひきつづいて …
伊折花崗閃緑岩

それぞれの花崗閃緑岩体に, 塩基性小迸入岩類およびまれに酸性小迸入岩類を伴う。

片貝川花崗閃緑岩は. その形成末期にミロナイト化作用を伴う。 ミロナイト化作用は, 船津型岩石に共通する特徴である。

伊折花崗閃緑岩は, アプライト質である。 飛騨山地において, 船津花崗岩は, 一般に北縁にアプライト質岩石が多い。 これは, ひだ変成岩が南半では珪線石, 北縁に近づいて紅柱石や藍晶石を産出することと関係して, 南方に深部相, 北方に浅部相が発達すると考えるべきかもしれない。

また, 伊折花崗閃緑岩は, アプライト質の外観にもかかわらず, Na2O は K2O より多く, 微斜長石が少なく, 斜長石が多い。 斜長石としては, 変質した残斑晶状のものもふくまれる。 また, チタン石もしばしばみいだされる。 このような特徴は, 本岩が普通のアプライト, すなわち, 花崗岩残漿の固結物であるだけではなくて, 複雑な歴史をうけついでいるもののように思われる。

II.3 手取 てとり 層群

手取層群は, 飛騨高原の諸地に分布するジュラ紀後半・白亜紀の地層からなりたった層群である。 この層群は白山・神通の2地質区にわたって堆積したとみなされており, 石川県南部・福井県東部・岐阜県北部(北端部を除く)に分布する地層が白山区に, 富山県南東部・岐阜県北端部・長野県東端部に分布する地層が神通区に属している。 神通区内の手取層群は, 不整合を境にして, 海成層の多い下部と, 陸成層の多い上部とに分かれ, 下部が区内の南部地域に, 上部が全域に分布している(前田(1961b); 河合(1961); ほか)。

魚津図幅地域の地層は汽水か淡水成の砂岩・礫岩からなりたち, 層厚が 200 m 未満である。 これらは神通区内の手取層群上部に属し, 白亜紀前期頃に堆積したとみなされる。 なお, 片貝川の中流の奥平沢の周辺の手取層群の一部(東隣の黒部図幅地域内)から, Xenoxylon latiporosum (CRAMER) が発見されている(前田, 1958, 1961a)。

II.3.1 手取層群上部(Tu)

分布・構造 : 露出地帯に断層が多いので, 分布がまとまっていない。 おもな分布は, 船津花崗岩類と, 太美山・北陸両層群との境界に沿った位置を占めて, 早月川の中流の 蓬沢 よもぎざわ 付近, 蓬沢の東側山地, [ 白倉山(標高 878 m)の北方 3 km の ] 松倉の東側山地, 片貝川の中流の奥平沢周辺にある。 これらの場所では, 地層が船津花崗岩類に乗って, 北西~西向きにゆるく傾斜している。 このほか, 断層にはさまれた小岩体が, 太美山層群中, 船津花崗岩中, 太美山層群 - 珪長岩間, 花崗岩類 - 珪長岩間に認められる。 このような岩体は, 細長く現われていて, おそらくレンズ状の形をしていると思われる。

層序関係 : 下位は, 船津花崗岩類と不整合の関係がある。 ただし, 基底のこまかい現象については明らかでない。 上位は, 太美山層群・北陸層群(岩稲累層)に傾斜不整合でおおわれている。 また珪長岩の貫入をうけた箇所がある( [ 後述する「II.4 太美山層群および珪長岩岩脈」の項の ] 「II.4.7 珪長岩」の項参照)。

層厚 : 上位に太美山層群・岩稲累層が乗っている場所(蓮沢の東側山地・松倉の東側山地)で, 100 数 10~200 m である。

岩相 : おもに粗粒砂岩・中粒砂岩からなりたち, 礫質粗粒砂岩・細粒砂岩・砂岩頁岩互層・砂質礫岩・頁岩・褐炭が混じった地層である。 厚層理・中層理が見られる部分が多い。 岩石は, だいたい, 砂岩・礫岩が硬岩級, 頁岩が中硬岩級に属するが, 表層では, 中硬岩・軟岩状に風化し, また崩壊岩塊となっている。

上下を通じて, 主要な岩相にはさほどの違いが認められないが, 付随した地層の種類は, 所によって, 次のように違っている。 早月川の中流の西岸では, 最下部に中礫・細礫混じりの粗粒砂岩と砂質礫岩とが多い。 蓬沢の東側山地の桑首谷の斜面では, 下部に, 規則的な砂岩頁岩互層が伴われ, 黒灰色の炭質砂岩が多く, 中部に, 比較的厚い炭質頁岩がはさまれ, 上部に, 厚い(数 m 以上)赤褐色砂岩が含まれている。

砂岩には, 厚層理・中層理をおびたもののほか, 層理が少ないもの, 薄層理や斜交する葉層理を示したものが認められる。 砂岩は, ほとんどが灰白色, 少数が黒灰色・赤褐色である。 灰白色の砂岩は, 泥質物と珪質・炭酸石灰質膠結物などの基質と, 多量の石英粒と少量の長石・岩石・チャート粒などからできている。 この多くは, 長石粒の量が石英粒の半分以下でチャートを加えた岩石片より多量, 細粒シルト・粘土の量は少ないという組成で, 砂岩の鉱物組成分類上, GILBERT(1954)の Feldspathic wacke, Feldspathic arenite, PETIJHON(1957)の Arkose, 岡田(1971)の長石質アレナイトにあたる。 石英粒はおもに亜角粒, 長石粒はカリ長石と斜長石との亜円~角粒であって, 石英粒・長石粒は, 結晶の特徴によって, 大多数が船津花崗岩類, 少数がひだ変成岩類などから由来したとみなされる。 岩石粒・チャート粒には亜円粒・円粒が多い。 岩石の種類は, 非変成の堆積岩基盤に対応するシルト質泥岩・ 頁岩・ 珪質頁岩(凝灰質泥起源)・ 微細粒砂岩・ チャート・ 凝灰岩・ 変質安山岩・ 変質珪長質火山岩, 変成岩基盤に関連するスレート・ 凝灰質のスレート・ 結晶質となったチャート・ 結晶片岩・ 片麻岩, 船津花崗岩類に属する花崗閃緑岩などである。 重鉱物粒には, 黒雲母・輝石・角閃石・ジルコン・ガーネットが多い。 黒灰色の砂岩は, 灰白色の砂岩に比べて, 基質中に泥質物が少なく, 炭質物が多い。 砂粒の種類では, 石英が非常に多いものがあり, 一般に, 岩石粒・チャート粒がきわめて少ない。 赤褐色の砂岩は, 砂粒の種類については灰白色砂岩と大差がないが, 基質が珪質膠結物・泥質物・赤褐色の鉄質微粒からできており, その量が灰白色砂岩より少量である。 また, 新鮮でない長石粒・火山岩粒と, チャート粒とが赤色をおびている。 赤色の長石・火山岩片はおもに堆積時の風化によって変質しているらしい。 チャート粒には元来, 赤色のものもある.

礫質砂岩・砂質礫岩は, 普通, 厚層・極厚層を作っている。 礫が層状に配列していることもあるが, 普通, 不規則に含まれていて, 層理が少ない。 礫はほとんど細礫と小型中礫であって, 多くが亜円形・円形に円磨されている。 礫の岩石種は, チャート・ スレート・ 細粒砂岩・ 泥岩・ アダメロ岩・ 花崗閃緑岩・ 片麻岩・ 変質珪長質火山岩などであって, チャートが最も優勢である。 チャートには, 白色・灰色・黒色・赤色のものがあり, 隠微晶質・微晶質のものが混じっている。

砂岩頁岩互層には, 不規則な互層と規則的な互層とがある。 不規則な互層は, 粗粒砂岩・中粒砂岩・細粒砂岩の中層や厚層の間に, 頁岩の薄層や中層がはさまれているものであり, 規則的な互層は, 中粒砂岩・細粒砂岩の中層か薄層の上に, 頁岩の薄層か極薄層が重なった組合せからなりたっている。

頁岩は, 一般に, 炭質物を多く含んだ, 細粒砂混じりのシルト質頁岩で, 砂岩と互層しているほか, 砂岩中に薄層・中層となってはさまれている。 これらのうちには炭質頁岩に属するものがあり, 炭質頁岩は厚層にもなっている。 頁岩や頁岩に伴った砂岩中に植物破片が入っているが, 保存が悪い。

褐炭は, 炭質頁岩・炭質細粒砂岩に伴うか, 中粒砂岩や砂岩頁岩互層にはさまれて, ところどころ見いだされる。 厚さは, 普通, 20 cm 未満, まれに山丈数 10 cm である。

II.4 太美山 ふとみやま 層群 [ Fc, Ft, Fd, Fp, Fw, Fr ] および珪長岩岩脈 [ F ]

新第三系の北陸層群に不整合におおわれた火山岩類が, 富山県の南西部と東部とを中心に, それぞれ, 隣接する石川・岐阜県下, 新潟県下にわたって分布しており, 一括されて, 太美山層群(旧名は太見山層群)と呼ばれている。 この地層名は池辺(1950), 池辺・中世古(1955)に命名された。 模式地は富山県 西砺波 にしとなみ 福光 ふくみつ 町(旧太美山村) 刀利 とり 以南の 小矢部 おやべ 川筋である(池辺(1954); 池辺・市原ほか(1951))。

魚津図幅地域の太美山層群は, 凝灰岩・石英安山岩熔岩・石英安山岩熔結凝灰岩・流紋岩熔結凝灰岩などからなりたち, 船津花崗岩類と手取層群とを不整合におおい, 新第三系の楡原・岩稲・八尾の諸累層によって不整合におおわれている。 層群内の層序は, 地層が断層の多い地帯に露出しているため, 確実にとらえられないが, 堆積環境・岩質・捕獲岩片などの考察によって, 第 14 図のように編成される。 これらの堆積物は, 初め, 合計 1,000~2,000 m の厚さで広がっていたと推測されるが, 北陸層群におおわれるまでに, 構造変形と削剥とをうけて大部分が数 100 m 以下の厚さとなり, 現在では, 新第三系の下位に不規則に分布していると推定される。

第 14 図 魚津図幅地域 太美山層群 層序関係図

[ 第 14 図に関する注意書き ]
波線は不整合関係, 平滑線は整合関係, 実線は関係の確定範囲, 破線は推定範囲を示す。
白地は断層によって欠如した部分および地表に露出していない部分にあたる。
地層の記号の意味は以下の通り
Fr : 流紋岩, Fw : 流紋岩溶結凝灰岩, Fp : 石英安山岩熔結軽石凝灰岩, Fd : 石英安山岩熔岩など, Ft : 凝灰岩・石英安山岩凝灰角礫岩, Fc : 礫岩・凝灰岩

山田・阿部(1968)は, 黒部川下流付近から新潟県の西端の親不知付近へかけて分布する太美山層群と この地域の太美山層群とを総括し, それを, 噴出順序にほぼ対応した安山岩類・石英安山岩類・流紋岩類の3種に大別している。 魚津図幅地域のものは, このうちの, 中期頃に噴出した石英安山岩類と, 後期頃に噴出した流紋岩類とにあたる。

この地域の太美山層群の地質時代は, 富山県東端部の笹川流域(下新川郡 朝日町 笹川)産の 流紋岩熔結凝灰岩の黒雲母の絶対年代が カリウム・アルゴン法で 59 × 106 年である (西南日本内帯後期中生代火成活動研究グループ(1967); 山田・阿部(1968))ことと, 手取層群・新第三系に対する層序関係( [ 後述する ] 「II.4.2 凝灰岩および石英安山岩凝灰角礫岩(Ft)」, 「II.5.1 楡原塁層」, 「II.5.2 岩稲塁層および岩脈」および「II.5.3 八尾塁層および岩脈」の項参照)とから, 古第三紀または白亜紀後期である公算が大きい。 なお, 1955~1958 年の間には, 新第三系に属する古鹿熊砂岩層( [ 後述する ] 「II.5.3.2 古鹿熊砂岩層」の項参照)の一部が太美山層群の最上部と解釈されたため, その含有貝化石によって, 中新世と判定されていた。

珪長岩岩脈 [ F ? ] は, 船津花崗岩類・手取層群あるいは太美山層群を貫いているものである。 北陸層群の堆積以前に貫入したと考えられる。

II.4.1 礫岩および凝灰岩(Fc)

分布・構造・層序関係 : 断層にはさまれて, 片貝川中流の魚津市 山女 あけび [ ← 図幅地域東端の奥平沢の北方 1.5 km ] のごく狭い範囲に露出している。 地層は, 西北西へ 20~30°傾斜し, 下位側が船津花崗岩類に, 上位側が北陸層群に接している。 おそらく, 片貝川の中流地域での太美山層群の最下部であろう。 ただし, 上市川・早月川流域の最下部との前後関係はわからない。

岩相・層厚 : 層厚数 m の礫岩層と, その上に整合に重なった, 層厚 10 m あまりの凝灰岩層とである。

礫岩は, 含礫砂岩を伴った基質の多い礫岩で, 層理が明らかでない。 おもな礫は, 無斑晶質の石英安山岩と, 花崗岩質岩石の, 大礫・巨礫であって, 亜円形か亜角形に円磨されている。 ほかに, 凝灰岩・安山岩・熔結凝灰岩などの礫が少量混じっている。 基質は, 火山岩起源・花崗岩質岩石起源の砂を含んだ, 凝灰質の, 泥質砂と砂質泥とである。

凝灰岩層は, 凝灰岩と凝灰質砂岩との互層であって, 水成の級化成層を含み, 明らかな中層理・細層理をおびている。 凝灰岩は, 顕微鏡下では, おもに無斑晶質の石英安山岩片・斜長石・石英から構成されていて, 安山岩片が混じっている。 凝灰質砂岩は, 火山灰・火山礫の砕屑ばかりからなりたっている。 これらは, おもに石英安山岩質の火山抛出物と推定される。

II.4.2 凝灰岩および石英安山岩凝灰角礫岩(Ft)

分布・構造 : 上市川流域から早月川流域にかけて広がっており, 片貝川流域の奥平沢付近では, 地質図に示した部分と, 図幅地域外 [ = 本図幅の東隣の黒部図幅地域内 ] の片貝川の東岸の山腹とに分布している。

地層の構造は, 断層で分離された小地塊ごとに違っているが, 大きくみて, 田蔵 たぞう [ ← 図幅地域南端・蓬沢の西方 2.5 km ] 周辺の上市川流域と 蓬沢 よもぎざわ 周辺の早月川流域とでは, 北西向き 20~30°の傾斜, 中村 [ ← 蓬沢の北西方 2.5 km ] ・尻高山 [ ← 中村の東方 1.5 km ] 付近では西向きの緩傾斜である。

層序関係 : 前項の礫岩および凝灰岩(Fc), 次項の角閃石石英安山岩熔岩など(Fd)とともに, この地域の太美山層群の下部を構成していて, 分布地域の南東寄りの部分では手取層群を, 北西寄りの部分では船津花崗岩類をおおっている。 この関係は, 手取層群上部が, 南隣の五百石図幅地域などに 1,000 m をこえる厚さで広く残存しており, この地域内にも全面的に堆積していたと推定されるので, 不整合とみなされる。

岩相・層厚 : 石英安山岩質の, 火山礫凝灰岩・粗粒凝灰岩・凝灰角礫岩などから構成された地層で, 石英安山岩熔岩流(Fd)をはさんでいる。 上市川・早月川流域では, 熔岩を合せて, 層厚 600~700 m の堆積層でなりたっていることがわかるが, 小さい地塊に露出する地層の層序ははっきりしない。 岩石は, 全般に変質して, 二次的にできた粘土鉱物・炭酸塩鉱物などを含んでおり, 堅さの程度について, 風化していない部分が硬岩・中硬岩, 風化部と崩壊岩塊とが軟岩状である。

上市川の田蔵付近と早月川の蓬沢付近との間の山地では, 下位が断層, 上位が北陸層群との不整合によって限られているが, 地層が最も連続的に観察される。 ここでは, 下位から, 火山岩塊をかなり含んだ火山礫凝灰岩(層厚数 10 m 以上), 石英安山岩熔岩(100 数 10 m), 粗粒凝灰岩を伴った火山礫凝灰岩(200 数 10 m), 石英安山岩熔岩(数 10 m), 火山礫凝灰岩と凝灰角礫岩(100 m 弱)が重なっている。 これらには, 全般に層理が少ないが, ところどころ水成堆積層としての性質が表われており, 中部の粗粒凝灰岩を伴った火山礫凝灰岩中には, 明瞭 めいりょう な水成層理が認められる。 火山礫凝灰岩は, 一般に, 無斑晶質の石英安山岩質火山礫などから構成されて, 褐色をおびた淡灰色や灰白色を示している。 顕微鏡観察から, 細粒の火山灰が少ないために, 分級が比較的良いことと, 抽出物が水中堆積過程であまり円麿・破壊をうけていないことがわかる。

蓬沢の東側山地には, 田蔵 - 蓬沢間での下部と中部とに相当する凝灰岩が分布し, 中村・尻高山付近には, 田蔵 - 蓬沢間の下部に類似した火山礫凝灰岩と凝灰角礫岩とが, 100 数 10 m の厚さで分布している。 なお, 中村部落と尻高山の南麓では, 最下部に, 断片的に火山円礫岩がみいだされる。 珪長質の火山岩類と船津花崗岩類との礫を含んだ, 凝灰質基質の火山円礫岩である。

[ 蓬沢の北方 4.5 km の ] 虎谷 とらだに 付近にも, 凝灰角礫岩と火山礫凝灰岩とが分布しているが, 岩石が鉱化作用によって変質しており, そのうえ, 露岩が少ないので, 田蔵 - 蓬沢間の地層との層序関係が推定できない。

奥平沢には, 層厚約 20 m の, 火山礫凝灰岩と粗粒凝灰岩とからなりたった地層が露出している。 一部分に, 弱い級化成層をおびた, 不明瞭な中層理・厚層理が認められるが, 大部分は塊状である。 凝灰岩は, 石英安山岩質であって, 緑色をおびた灰色を示している。 火山礫凝灰岩には, 火山礫のほか, 軽石・ 斜長石・ サニディン・ 石英・ 黒雲母・ 角閃石・ 無斑晶質石英安山岩片・ 安山岩片・ 熔結凝灰岩片・ 泥岩片などが含まれている。

II.4.3 角閃石石英安山岩熔岩など(Fd)

分布・構造・層序関係 : 全域に散在している。 上市川・早月川流域では, 数枚の熔岩流が, 凝灰岩および石英安山岩凝灰角礫岩(Ft)の間に入っており, 角川・片貝川流域では, 2, 3 の岩体が, 多数の地塊に分かれて分布している。 角川・片貝川流域の岩体については, 凝灰岩・凝灰角礫岩(Ft)との層序関係が, ほとんどわからない。 なお, 早月川流域では, 凝灰岩・凝灰角礫岩(Ft)に伴って, 地質図に記入していない小岩体が, 虎谷付近・蓬沢の東側山地・中村付近・尻高山付近に現われている。

石英安山岩相互の前後関係は, 上市川・早月川流域に分布するものについては, 凝灰岩および凝灰角礫岩(Ft)との層序関係から推定できるが, 角川・片貝川流域のものについて, また, 全域については, 推定が及ばない。

岩質 : 岩石は, 角閃石石英安山岩・黒雲母石英安山岩などで, 多くが斑晶の少ない 緻密 ちみつ なものである。 どの岩石も脱ガラス化作用と変質作用とをうけていて, 新鮮でない。 これらの岩石は, 堅さが硬岩級で, 突出した 山稜 さんりょう や急斜面を形成していることがある。 しかし, 分布地全体については, 風化土砂や少し軟化した岩塊におおわれて, 露岩が少ない。

田蔵・ 折戸 おりと [ ← 田蔵の北北東方 2 km ] 以南の上市川 - 早月川間の山地では, 凝灰岩・凝灰角礫岩(Ft)中の2層準に, 地質図に示した厚い熔岩がはさまれている (「II.4.2 凝灰岩および石英安山岩凝灰角礫岩(Ft)」の項参照)。 どちらの熔岩も, 拍子木状の斜長石・石英・微粒の不透明鉱物などから構成された石基中に, 少量の斜長石微斑晶を含んだ石英安山岩熔岩である。 このうち下位の熔岩は, 赤褐色, 紫褐色, あるいは赤褐色や紫褐色をおびた灰色であって, 厚さが 100 数 10 m である。 大部分に流理構造があり, 下部に自然破砕構造の発達した部分が認められる。 上位の熔岩は, 暗灰色あるいは灰色で, 厚さが数 10 m あり, 大部分に自破砕構造が表われている。 その角礫は, すべて同質の無斑晶質の石英安山岩であって, 多くが径数 mm~3 cm, 少数が径 5~10 cm(最大 20 cm)で淘汰されていない。 大型の角礫には赤褐色のものがみられる。 基質は, 角礫とほぼ同質で, 拍子木状の斜長石斑晶と細かい酸化した不透明鉱物とを含んでおり, 角礫の多い部分では網目状に入り込んでいる。 上位・下位, どちらの熔岩も, 産状と岩質の特徴とから, 水中で固結したと推定される。

蓬沢の北部に露出しているものは, 斜長石・石英・黒雲母の斑晶を少量含んだ石英安山岩ないし流紋岩質の岩石からなりたち, 灰色や灰白色をおびている。 これには板状の節理が明らかである。 火山礫凝灰岩との関係から, 折戸の南方での上位の熔岩流と同じくらいの層準のものと考えられる。

奥平沢・ 東蔵 とうぞう [ ← 奥平沢の北方 500 m ] の岩体は, 暗灰色, または青味をおびた灰色の 緻密 ちみつ で均質な岩石からなりたち, 塊状で岩質の地域差が小さく, 一般に方状の節理を表わしている。 奥平沢では少なくとも 300 m 以上の厚さをもっている。 岩石は, 斑晶の少ない角閃石石英安山岩であって, 鏡下で, 微斑晶として, オパサイト化した角閃石と, 炭酸塩鉱物などに置き換わった長柱状の斜長石とを含み, 石基が, 非常に細かい, 拍子木状の斜長石, 石英, 少量の有色鉱物などからできている。 なお, 石基中の斜長石が配列して流理構造を示している場合がある。 第 3 表に, この岩石の化学組成を示す。 化学分析試料の採取地点は地質図に記入してある [ ← 奥平沢の南方の「⛒ 3」; 「3」は第 3 表の試料 1 の詳細として記されている「分析試料採取地点 No. 3」を指す ]

第 3 表 魚津図幅地域 太美山層群火山岩類 化学分析値(山田・阿部(1968)による ; 分析 : 安倍智彦技官)

試料 1 2 3 4
SiO2 66.85 65.49 74.47 72.98
TiO2 0.24 0.41 0.23 0.24
Al2O3 16.20 14.49 12.61 13.03
Fe2O3 1.53 1.73 1.45 2.57
FeO 1.79 3.88 0.24 0.22
MnO 0.02 0.07 0.01 0.01
MgO 0.60 1.88 0.21 0.13
CaO 1.47 0.47 0.86 0.37
Na2O 4.16 1.49 2.63 2.03
K2O 3.13 6.44 5.11 5.55
P2O5 0.19 0.25 0.12 0.12
H2O (+) 1.73 2.57 1.16 1.75
H2O (-) 0.62 0.49 0.53 0.54
CO2 1.00 - - -
Total 99.53 99.66 99.63 99.54
[ 第 3 表の試料の詳細 ]
1 : 角閃石 - 石英安山岩熔岩(Fd)
分析試料採取地点 No. 3(UZ. 44), 魚津市 奥平沢, 片貝川の支谷の砂防堰堤の脇の切取り
2 : 石英安山岩溶結凝灰岩(Fp)
分析試料採取地点 No. 4(UZ. 20), 魚津市 虎谷, 小早月川沿いの林道の切取り
3 : 黒雲母 - 角閃石 - 流紋岩溶結凝灰岩(Fw)
分析試料採取地点 No. 5(UZ. 31), 魚津市 山女, 片貝川の支谷の林道切取り
4 : 角閃石 - 黒雲母 - 流紋岩溶結凝灰岩(Fw)
分析試料採取地点 No. 6(UZ. 39), 魚津市 平沢, 発電用水路の脇の切取り

松倉 [ ← 奥平沢の南南西方 3.5 km ] の東方・ 古鹿熊 ふるかくま [ ← 奥平沢の西南西方 3 km ] ・奥平沢の片貝川の南西側の支谷奥に散在しているものは, それぞれ少し岩質が違うが, だいたい, 青味をおびた灰色か淡灰色の, 緻密で斑晶の少ない, 角閃石石英安山岩あるいは黒雲母石英安山岩からなりたっている。

白倉山の南麓の石英安山岩類は, 多量の斜長石斑晶と少量の角閃石微斑晶とを含んだ角閃石石英安山岩, 斑晶として斜長石だけを含んだ石英安山岩などであって, 凝灰岩を伴っている。 これらは, 青味をおびた灰色, 淡灰色, 風化して褐色をおびた灰白色を示しており, 部分的に鉱化作用をうけている。 なお, 前述の諸地のものにくらべて, 斑晶の量が多い。

そのほか, 虎谷のものは, 多量の斜長石大型斑晶と少量の角閃石・黒雲母の微斑晶とを含んだ 黒雲母角閃石石英安山岩であり, 周辺の凝灰岩・凝灰角礫岩とともに鉱化作用をうけ, 鉱床の母岩となっている。 蓬沢の東部のものは, 斜長石・黒雲母斑晶を含んだ黒雲母石英安山岩である。

II.4.4 石英安山岩熔結軽石凝灰岩(Fp)

分布・構造・層序関係 : 小早月川(早月川の支流)流域の虎谷・白倉山付近の約 3 km 四方の範囲に存在する [ ← 地質図上では確認できない ] 。 周囲が断層で限られており, 船津花崗岩類, 新第三系, 太美山層群の凝灰岩・凝灰角礫岩に接している。 虎谷の北方で, 上位に流紋岩熔岩(Fr)が乗り, 白倉山の南麓で, 下位に石英安山岩熔岩(Fd)が位置しているが, ほかの太美山層群の岩石との累重関係が見られる箇所はない。 軽石による葉理構造から判断すれば, この熔結凝灰岩は, だいたい北西・北方向へゆるく傾斜した構造をおびていて, 厚さが数 100 m とみなされる。

岩質 : 肉眼的に, 灰色・淡灰色, あるいは緑をおびた灰色のマトリックスと, 多量の, 暗緑色をおびた灰色の扁平な軽石と, 少量の岩石片とから構成された熔結凝灰岩であって, 虎谷の東方の小早月川本流の沿岸で模式的に観察される。 軽石は, 長径が普通数 cm, 最大 10 cm であって, 場所によっては, 定方向に配列して葉理構造を作っている。 岩石片は, 不規則に含まれ, 大きさが径 8 cm 以下で不揃いである。 粒度や構成物質の差による成層は, はっきりしていない。

顕微鏡下では, 肉眼的にマトリックスと見える部分に, 少量(一般に容量 10 % 以下)の斑晶が含まれている。 斑晶の種類は, 多い順にあげて, カリ長石・斜長石・石英・鉄苦土鉱物などである。 ただし, 石英については, ほとんど含まれない所もある。 鉄苦土鉱物の種類は, よくわからない場合が多いが, 角閃石であることがある。 そのほか, 酸化の進んだ不透明鉱物が混じっている場合がある。 マトリックスは, 本来ガラス片の集合したものであるが, ガラス片が熔結し, さらに脱ガラス化作用・変質作用をうけ, 石英・緑泥石・絹雲母などができて微晶質となっている。 軽石片は, 繊維状の構造をもち, 緑泥石などを含んでいる。 岩石片は, 多くが無斑晶質の石英安山岩, わずかが安山岩である。 化学組成については第 3 表参照 [ ← 第 3 表の試料 2 ]

岩石の堅さについては, 中硬岩級の所が多いが, 硬岩状の地区と軟岩が混じる地区とがあり, また, 風化によって, やわらかい岩塊や土砂ができている箇所がかなりある。 だいたい, 小早月川本流沿いでは東方ほど, 虎谷から白倉山の西麓へかけては南方ほど, 岩石が堅く, 扁平となった軽石の方向がよく揃っている。 東部・南部の凝灰岩が, 強く熔結した部分に相当する。 なお, この熔結凝灰岩は, 随所で鉱化作用をうけており, 虎谷付近の金銀鉱床の母岩となっている。

II.4.5 角閃石黒雲母流紋岩熔結凝灰岩(Fw)

分布・構造・層序関係 : 片貝川流域の平沢・山女・黒谷付近 [ ← 奥平沢の北方の片貝川沿い ] におもな分布があり, 以前, 平沢流紋岩(今村・ほか, 1951), Nevaditic rock(MATSUMOTO & IKEBE, 1958)と呼ばれていた。 これらのほか, 奥平沢の南西方の支谷, 角川の上流の 古鹿熊 ふるかくま にも断片的に存在する。 それぞれ, 断層に囲まれて露出しており, 太美山層群のほかの岩石・地層とは重なっていない。 北陸層群には黒谷・奥平沢の南西方の支谷・古鹿熊で不整合におおわれている。

岩質 : 長石・石英の斑晶を多く含んだ流紋岩質の熔結凝灰岩であって, 新鮮な部分は堅硬である。 比軟的風化しやすい岩石で, 風化した岩塊は中硬岩・軟岩となっている。 地域によって多少岩質が違い, だいたい, 山女の東方の谷などに露出しているものと, 平沢・黒谷に分布しているものとの, ふたつの型にまとめられる。 おそらく, 平沢・黒谷のものが上位を占めていて, 両者が重なっている場所では, 厚さが数 100 m に達していると思われる。 なお, これらには, 一般に幾分 不規則な方状の節理がまばらに入っている。

山女谷・奥平沢の南西方支谷に分布しているものは, 少し紫色をおびた灰色の黒雲母角閃石流紋岩熔凝灰岩であって, 容量 20~30 % の斑晶を含んでいる。 斑晶は, 平均 1 mm 前後, 最大 3 mm の大きさで, 多いほうから, 斜長石・サニディン・石英・角閃石・黒雲母・不透明鉱物である。 このうちサニディン [ 玻璃 はり 長石 ] は新鮮であるが, 斜長石は変質しており, 角閃石は仮像が残っているだけである。 マトリックスは, 熔結したガラス片が 脱ガラス作用と変質作用とをうけて 微細な珪長鉱物などに変わったものからできている。 なお, 無斑晶質石英安山岩熔岩などの岩片が少量含まれている。 この熔結凝灰岩の厚さは, 山女の東側山地で, 魚津図幅地域外も含めて, 250 m 以上と見込まれる。 化学組成については, 第 3 表参照 [ ← 第 3 表の試料 3 ]

平沢・黒谷に分布しているものは, 非常に多量の斑晶を含んだ淡紅色あるいは灰白色の黒雲母流紋岩熔結凝灰岩である。 熔結された軽石の小片が少量含まれ, それによって葉理構造が現われている部分がある。 また, 平沢の発電所付近ではほとんど直立した柱状の節理が認められる。 厚さは, 山稜を作っている部分で 300 m 以上と見積られる。 おもな斑晶は, ほぼ等量づつ含まれている石英・サニディン・斜長石と, これらより少量の黒雲母とであって, 平均 2 mm 前後, 最大 5 mm の大きさをもっている。 このうち, サニディンは清澄であるが, 斜長石(中性長石)はかなり変質しており, 黒雲母には熔結によって屈曲しているものが多い。 ほかに, 緑泥石・不透明鉱物などで置換され, 仮像となった角閃石の斑晶が伴っている場合がある。 マトリックスは, おもに, 脱ガラス作用・変質作用とによってできた微細な珪長鉱物からなりたっている。 ガラス片の熔結した構造が残っており, 部分的に微球顆構造が表われている。 なお, 一般に, 数 mm 程度の異質岩片が微量含まれていて, その種類は無斑晶質石英安山岩熔岩, 細粒・粗粒の泥岩(手取層群に由来すると思われる)などである。 化学組成については第 3 表参照 [ ← 第 3 表の試料 4 ]

II.4.6 流紋岩熔岩(Fr)

虎谷の北東方の [ 標高値 687 m の ] 山頂付近に存在して, 熔結軽石凝灰岩(Fp)の上位を占めている。 少量の斑晶を含んだ, 淡紅色, あるいは紅色をおびた灰白色の岩石である。 斑晶は自形の石英と斜長石のほか, 微量の黒雲母と不透明鉱物であり, 石基は変質して微晶質である。

II.4.7 珪長岩(F)

黒雲母珪長岩などで, 岩脈・岩床あるいは不規則な形態となって 船津花崗岩類・手取層群または太美山層群を貫いている。 産状と岩質とから考えて, これらは 太美山層群の火山噴出終末期から 北陸層群堆積前までの間に貫入したものと判断される。

岩石は, 一般に, 淡灰色かまたは褐色・青色をおびた淡灰色か灰白色の斑状岩であって, 顕微鏡下では, 短冊状の斜長石, 細粒の石英, 絹雲母, 炭酸塩鉱物などからできた石基中に, 少量の斜長石・黒雲母の斑晶が含まれている。 ただし, 斜長石は絹雲母・炭酸塩鉱物などに, 黒雲母は不透明鉱物・炭酸塩鉱物・絹雲母などに変わっている。 堅硬な岩石で, 崩壊物には岩塊が多い。

早月川の左岸(蓬沢の対岸)・ 濁谷 にごりだに [ ← 白倉山の北東方 1.5 km ] ・松倉 [ ← 白倉山の北方 3 km ] に分布している岩体は, それぞれ, 不規則な形態をもった貫入岩の一部と思われる。 これらには, 一般に方状の節理が表われている。

桑首 くわこび 谷と白倉山の南麓との間に分布している手取層群の中には, 幅 1~10 m 程度の岩脈と岩床とが幾本も認められる。 このうちには角閃石の斑晶を含むものがある。

II.5 新第三系(北陸層群)

富山県から石川県の南東部にかけて分布する新第三紀層を, 筆者らは北陸層群と呼んでいる。 この層群は, 中新世初期に発生して, 鮮新世末期頃まで存在した富山積成盆地の中で形成されたと考えられている。 富山積成盆地の主要な部分は, 富山積成区という小単位の地質区の区域に相当する。 富山積成区の中は北区と南区とに分けられていて, 魚津図幅地域は南区の東部分にあたっている(坂本・ほか(1959); 池辺(1957); 坂本(1966); 西南日本新生代研究グループ(1960); 絈野・坂本・石田(1961))。 第 15 図参照。

第 15 図 北陸地方 新第三系 地質区図 [ 凡例の記載は省略した ] 。 西南日本新生代研究グループ(1960), 絈野・坂本・石田(1961), 地質調査所 地質図幅 50 万分の1「金沢」(1958), 地質調査所 地質図幅 20 万分の1「七尾・富山」(1967)によって編集。

北陸層群の標準層序は, 積成区の中央部に露出する地層によって, 下位から, 楡原 にれはら 岩稲 いわいね 八尾 やつお 音川 おとがわ 氷見 ひみ 埴生 はにう の6累層で示される。 これらの堆積期間についての時代的区分としては, 各累層の堆積期にもとづいた, 楡原期・岩稲期・ 黒瀬谷 くろせだに 期(八尾累層下部・中部の堆積期)・ 東別所 ひがしべっしょ 期(八尾累層上部の堆積期)・音川期・氷見期・埴生期の区分を使っている。 黒瀬谷期と東別所期とは, それぞれ中世古(1954)たちの黒瀬谷累層と東別所累層との堆積期にあたる。 楡原期から東別所期までは中新世, 氷見期は鮮新世, 埴生期は更新世初期に含まれる。

魚津図幅地域の新第三系は, 下位から, 楡原・岩稲・八尾・音川・ 室田 むろだ の諸累層で構成されている。 室田累層は氷見期の地層とみなされる。 第 16 図・第 1 表 [ ← 魚津図幅地域 地質総括表 ] 参照。 第 4 表には, この報告の層序区分と今村・ほか(1951)の区分との関係を示した。 なお, 角(1959, 1961)の層序と地層名とをこの報告で改める。

第 16 図 魚津図幅地域 北陸層群(新第三系)層序関係 概念図(波線は不整合・非整合関係を示す)

第 4 表 魚津図幅地域 新第三系 新旧地層名・地層区分 対照表(波線は不整合・非整合関係, "?" は層序関係不明を示す)

この地域の北陸層群の特徴として, [ 1 ] 各累層の基底に, すべて不整合か非整合があり, 岩稲累層と八尾累層とがそれぞれ基盤をおおっていること, [ 2 ] 岩稲期だけでなく, 黒瀬谷期・氷見期の地層にも多量の火山噴出物が含まれていること, [ 3 ] 黒瀬谷期に基盤の小地塊が地殻表面まで上昇した形跡があること, の3項があげられる。

古地理上, 北陸層群は付属海の一部に堆積したと考えられ, 魚津図幅地域に露出する地層は, 南東方が山地, 北西方が深い海になる大地形のもとで, おもに浅海底・半深海底に堆積したとみなされる。 このうち, 東別所期の地層の大部分と, 音川期・黒瀬谷期後期の地層のそれぞれ一部とが半深海成の性質をおびており, 楡原期・岩稲期・黒瀬谷期・東別所期初期・音川期の地層の主部分と室田累層とが, 陸地にごく近い位置に堆積した特徴を備えている。

なお, 新第三紀, とくに岩稲期・黒瀬谷期に貫入したと思われる岩脈が, 基盤岩類・新第三系の中にある。 岩質は, ひん 岩質・安山岩質・石英安山岩質などである。

II.5.1 楡原 にれはら 累層

楡原累層という名称は, 津田・千地(1950)が, [ 本図幅の南西隣の八尾図幅地域内の ] 富山県 婦負 ねい 八尾 やつお 町付近の新第三紀層の最下部に対して提起した地層名で, 模式的にみられる 神通 じんつう 川の中流地域の 細入 ほそいり 村 楡原 [ ← 八尾図幅地域東南隅付近 ] によって名づけられている。

模式地周辺の楡原累層は, 魚津地域より南西の, 五百石図幅地域の西部から, その西の八尾図幅地域中央部にかけて広く分布しており, 下部が 今生津 いもづ 礫岩層, 上部が 芦生 あしう 砂岩層という部層からなりたっている。 合せて 200~300 数 10 m の層厚があり, 河口近くに堆積した沿岸性堆積物とみなされている(坂本・野沢(1960); 野沢・坂本(1960); 津田(1955))。

魚津図幅地域の地層は, 分布が模式地と連続していないが, 上位層や下位層との関係から楡原期の堆積物とみなすことができ, その岩相も模式地の地層と類似しているので, 楡原累層に含めたものである。 薄い1部層からなりたち, ごく狭い範囲に分布している。 富山地方の楡原期堆積物のうちで最も東の分布にあたる。 所属する部層は, 田蔵 たぞう 砂岩層であって, 浅海成と推定される砂岩と礫岩とから構成されている。

[ II.5.1.1 ] 田蔵 たぞう 砂岩層(Nt)

地層名・模式地 : この地層は堆積環境の考察から, 累層の模式地周辺にある部層の延長部とみなせないので, 部層を新設した。 中新川 なかにいかわ 上市 かみいち 町 田蔵付近の上市川の中流の右岸(田蔵部落の対岸)に最もよい露出がある。

分布・構造 : [ 蓬沢の西方 3 km の ] 田蔵 - 稲村間の上市川の右岸側の谷壁と河岸とに, 断層で乱されて分布している。 田蔵の東方の 629 m 三角点付近より東方には存在しない。 ただし, 岩稲累層の産状も考慮すれば, 分布地より西方と北方の地下には, この部層の連続部と, 同時期の地層とが伏在していると推測される。

以前, 角(1959, 1961)は, 上市川以東で「楡原累層」が角礫層に変化すると報告したが, 角礫層の大部分は岩稲累層に含まれる。 富山県(1957), MATSUMOTO & IKEBE(1958)が, この地域内で楡原累層とした地層は, 八尾累層の一部であった。

層序関係 : 太美山層群の石英安山岩質角礫凝灰岩 [ ← Ft ] をおおっているが, 露出が悪いため, 基底の状態はわからない。 しかし, 礫岩・砂岩中に太美山層群から由来した砕屑物が多いこと, 太美山層群の下部に乗っていること, 地層が沿岸堆積物とみなされることから, 両者の層序関係は不整合と結論付けられる。

上位には, 岩稲累層が, 不整合, あるいは非整合で重なっている。

層厚 : 10 m 前後と推定される。

岩相 : 砂岩と礫岩とからなりたった地層で, 下部では礫岩が主, 上部・中部では砂岩が主となっている。 岩石は, よく固結しているが, 堅硬ではなく, 風化が進んだ部分は軟岩状である。 有用な化石は発見していない。

礫岩の多くは, 大礫混じりの中礫細礫礫岩であって, 風化をうけて褐色をおびた淡灰色を示している。 混在する大礫の径は大部分 13 cm 未満, 最大級の礫で 30 cm 前後, 基質の量はだいたい標準的である。 分級の程度は, 礫岩として普通あるいは幾分良い。 礫の形については, 全粒度を通じて, 円礫の比率が高く, 球状礫が多い。 とくに, 大礫・中礫には高円磨のものが目立っている。 礫の岩石種組成は, 珪長質の火山岩と凝灰岩とが主で, 花崗岩質岩石とチャートなどが従となっている。

砂岩は, おもに, 粗粒砂岩と中粒砂岩とであって, 露出で灰白色・白色, あるいは褐色をおびた灰白色を示している。 層理は明瞭でない。 大部分に, 炭質物細片が含まれており, また, ところどころ, 炭質泥岩の薄層がはさまれている。 粗粒砂岩には, 細礫の混じったものがかなりある。

代表的な粗・中粒砂岩には, 砂粒として, 珪長質火山岩, 次に石英が多量, チャート・凝灰岩が少量, 砂岩・頁岩・花崗閃緑岩・長石・雲母などが微量含まれている。 火山岩粒の過半は亜円形か円形に円磨されており, 石英粒の多くは亜角形か角形である。 基質は, おもに泥質物で, そのうち粘土・細粒シルトは少ないが, 粗粒シルトが多く, 全量が容積比 15~30 % である。 これらの砂岩は鉱物組成についての分類では, おもに, GILBERT(1954)の Lithic arenite・Lithic wacke, PETTIJHON(1957)の Sub-gray-wacke, 岡田(1971)の石質アレナイトに属する。

礫岩・砂岩を構成する砕屑物の起源については, 珪長質火山岩・凝灰岩は太美山層群から, 石英の一部・チャート・砂岩・頁岩は手取層群から, 石英の一部・花崗岩質岩石は船津花崗岩類から由来したと推定される。

II.5.2   岩稲 いわいね 累層 [ Is, Ir, Im ] および岩脈 [ P ]

岩稲累層という地層名は, 今村(1937)が, 富山県 婦負 ねい 郡 細入村 岩稲付近 [ ← 本図幅の南西隣の八尾図幅地域内の楡原の北方 1.5 km ] の神通川の河畔 [ ← 神通峡と呼ばれている ] を模式地として設けた岩稲層に由来している。 現在では, 富山南区の岩稲期の地層全部に対して適用されている。 魚津図幅地域の岩稲累層は, 下位から, 小早月川礫岩層・白倉山泥岩層・松倉凝灰角礫岩層と名付けた3部層で構成されている。 部層相互の関係は前後関係である。 層厚は合せて数 100 m に達している。 これらは, 太美山層群・手取層群・船津花崗岩類を不整合におおい, 少しの地層欠如の不整合か非整合で楡原累層に乗っている。 八尾累層には不整合におおわれている。 第 17 図参照。

第 17 図 魚津図幅地域 岩稲累層 層序関係 概念図(波線は不整合関係を示す)

累層の下部に礫質層が発達していること, 狭い範囲内で多種の下位層・岩石に乗っていること, あるいはまた, 岩石が全般に変質をうけていることは, この地域の岩稲累層の特色である。 なお, この地域内の分布が, 現在のところ, 確実に岩稲累層に含められる地層の地表露出の東北限を表わしている。 玢岩や安山岩の岩脈 [ P ] が, 船津花崗岩類・太美山層群の中に認められる。 この多くは, 岩稲期に貫入したと考えられる。

II.5.2.1 小早月川 しょうはやつきがわ 礫岩層(Is)

地層名・模式地 : 新規に名付けた部層名である。 白倉山の南側の小早月川支谷(白倉山 - 尻高山間を流れる支谷の東又, 中新川 なかにいかわ 上市 かみいち 町), 白倉山の東側の小早月川の本流(上市町), [ 白倉山の北方 3 km の ] 松倉 まつくら の東方の 1085 m 三角点の西側の山腹(魚津市)に模式的露出がある。 白倉山の南側では数段の小滝に露出し, 白倉山の東側では狭谷の壁となって現われている。

分布・構造 : 模式地のほか, [ 白倉山の北西方 2.5 km の ] 虎谷の北西部・ [ 虎谷の北西方 1.5 km の ] 鉢(魚津市) [ ← 小早月川礫岩層(Is)は虎谷と鉢の間にあるもののみ ? ] , 松倉の南方の小早月川枝谷(上市町). [ 蓬沢の北西方 1.5 km の ] 折戸の南方の 629 m 三角点の東・南麓(上市町) [ ← この位置には松倉凝灰角礫岩層(Im)しかない ? ] と, 地質図に示していないが, 桑首谷の北側の山稜周辺(上市町)にも分布している。 これらは, それぞれ断層によって切られて連続していない。 地層は, 多くの場所で, 西または北西へ傾斜しているが, 白倉山の南麓では, 南東向きに傾斜している。

層序関係 : だいたい, 分布範囲の西半部では太美山層群の上, 東半部では手取層群の上に重なっており, 南東部では船津花崗岩類の上に乗っていたと推定される。 この不整合関係は, 楡原累層堆積前の経過に, 楡原期の地表削剥が加わって形成されたと思われる。

上位には, 大部分で白倉山泥岩層 [ Ir ] が重なり, 白倉山泥岩層が尖減した部分では, 松倉凝灰角礫岩層 [ Im ] が直接重なっている。

層厚 : 地域によって変化する。 分布の南東部の白倉山周辺 と, 北西部の虎谷・鉢付近 とでは 150 m 以上(下限不明)。 北東部の松倉の東方と南方 とでは数 10 m, 南西部の折戸の南方と蓬沢付近 では薄くなって 20 m 前後となる。

岩相 : 火山 抛出 ほうしゅつ 物・安山岩の砕屑物・基盤岩の砕屑物が混合した水成層で, おもに, 火山円礫岩・礫岩・凝灰角礫岩からなりたっている。 含まれている本質抛出物は, 上下を通じて安山岩質であり, 類縁とみなされる火山岩礫の多くは, 輝石安山岩(紫蘇輝石普通輝石安山岩・普通輝石安山岩など)である。 基盤岩の砕屑物については, 礫として, 太美山層群の石英安山岩・凝灰岩, 船津花崗岩類の花崗岩質岩石, 手取層群礫岩からのチャートがあり, 基質の砂として, 太美山層群の石英安山岩片, 手取層群・船津花崗岩類由来の石英・長石, などが含まれている。 なお, 礫・基質ともに, 変質によってできた粘土鉱物・炭酸塩鉱物を含んでいて, 全体として, 青緑・紫をおびた灰色, または褐色を示している。

地域と地層の上下とによって, 次のような岩相の違いが認められる。 第 18 図参照。

第 18 図 魚津図幅地域 岩稲累層 地質柱状図 [ 凡例の記載は省略した ]

南東部 [ ← 白倉山周辺 ? ] : 下部・中部は, 抛出物とその類縁の安山岩との砕屑からできた凝灰角礫岩状の火山円礫岩であって, 太美山層群の石英安山岩・凝灰岩の砕屑を少量含んでいる。 下部には, 同時期の抛出物が多く, 中部には, 類縁の火山岩と基盤岩との砕屑が多い。 火山岩礫には, 粒径 50 cm~2.5 m の巨礫がある。 上部はおもに安山岩凝灰角礫岩である。

北東部 [ ← 松倉の東方・南方 ? ] : 下半部は, 太美山層群石英安山岩の角礫・亜角礫を多く含んだ礫岩であって, 南東部の中部の地層と同時期に堆積したとみなされる。 上半部は, 安山岩凝灰角礫岩状の火山円礫岩で, 南東部の上部と同時期の堆積物とみなされる。

西北部 [ ← 虎谷・鉢付近 ? ] : 太美山層群からの石英安山岩・石英安山岩熔結凝灰岩などの角礫・亜角礫と, 類縁の安山岩の礫と, 安山岩質抛出物とからできた礫岩であって, 下部と上部とに太美山層群由来の礫が多く, 中部に安山岩礫が多い。 この大部分は南東部の中部の地層と同時期に堆積したと推定される。

南西部 [ ← 折戸の南方と蓬沢付近 ? ] : おもに, 太美山層群の石英安山岩と類縁の安山岩との亜角礫・亜円礫を含んだ礫岩でなりたち, 上位ほど, 礫の円磨が高く, 抛出物の混入が少ない。 これらは, 全部が, 南東部の中部と同時期に堆積したとみなされる。

小早月川礫岩層は, 海進によって, 谷が埋積され, 堆積域が内陸に広がる過程で形成された地層と思われる。

II.5.2.2 白倉山 しろくらやま 泥岩層(Ir)

地層名・模式地 : 新規に設けた部層である。 白倉山の南側の小早月川支谷(白倉山 - 尻高山間の谷の東又, 上市町), 白倉山の北東側の小早月川本流(中新川郡 上市町)と, 松倉の南方の小早月川枝谷(上市町)とに良い露出がある。

分布・構造 : 白倉山の南側・東側から松倉付近にかけて分布している。 しかし, 地層は, 断層によって, 数個に分けられており, 同じ方向に傾斜していない。 白倉山付近では, 南東側上位で急傾斜していて, 逆転した部分がある。 松倉の南方の小早月川枝谷では南西へ 30~40°, 松倉の東部では西向き 20~30°に傾斜している。

層序関係 : 小早月川礫岩層 [ Is ] の上に整合に重なり, 松倉凝灰角礫岩層 [ Im ] によって整合におおわれている。 小早月川礫岩層との境界は, おもに, 火山抛出物の原粒度の差で非常に明瞭である。 地域によって, 種々の岩相の小早月川礫岩層に接している。

層厚 : 白倉山付近では約 20 m, 松倉付近では 30~40 m である。

岩相 : 泥岩・安山岩質凝灰岩・凝灰質砂岩などからなりたった地層である。 一般に, 紫をおびた灰色を示し, 明瞭な水成の中・厚層理を現わしている。

地域によって, 岩相に, 幾分違いがある。 白倉山の南側では, 凝灰質砂岩・火山礫凝灰岩・凝灰質泥岩の不規則な互層であって, 上部に, 厚さ数 10 cm と 1 m の凝灰角礫岩がはさまれている。 白倉山の東側と, 松倉の南方の小早月川枝谷付近とでは, 凝灰質泥岩が主体となり, 凝灰質砂岩・凝灰岩が伴われている。 松倉の東部では, 凝灰岩が主, 凝灰質泥岩が従となっている。

泥岩の大部分は, 淘汰の悪いシルト質泥岩であって, 炭質物片を比較的多量に含んでいる。 一部は, 砂質泥岩である。 代表的な泥岩は, 砂・シルト粒子として, 半晶質やガラス質の安山岩質岩片(大部分は火山抛出物の破片と思われる)・ 軽石片・ 石英・ 斜長石・ 炭質物などを含んでいる。

凝灰岩は, 火山礫凝灰岩と粗粒凝灰岩とであって, 降下火山抛出物が, 水中を沈降し, 水底で少し運搬されてから堆積したとみなされるものが多い。 風化した露出では, 青味をおびた灰白色を示している。 代表的な火山礫凝灰岩は, 安山岩質の火山礫と粗粒火山灰とからなりたち, 軽石と岩滓を少量づつ含んでいる。 抛出物の多くは, 破壊されて元の外形を失っており, 一部は, さらに円磨されている。

凝灰質砂岩の大部分は, 粗粒砂岩と中粒砂岩とである。 炭質物の細片を含んだものがあり, ときには, 炭質物の極薄層が縞状にはさまれている。 代表的な凝灰質砂岩には, 砂粒として, 軽石片・半晶質の安山岩質岩片・石英のほか, 斜長石・微斜長石などが含まれている。

II.5.2.3 松倉 まつくら 凝灰角礫岩層(Im)

地層名・模式地 : 新たに部層を設けた。 魚津市 松倉周辺で模式的に観察される。

分布・構造 : 断層によって多数の小地塊に分かれ, 上市川の中流・早月川の中流・小早月川の中流・角川の上流にわたって分布している。 分布は虎谷・中村付近の基盤岩地塊の回りで「コ」の字形に散開している。

層序関係 : 白倉山泥岩層 [ Ir ] を整合におおっているほか, 早月川の本流沿岸では小早月川礫岩層 [ Is ] の上に, 上市川の沿岸では楡原累層 [ Nt ] の上に重なっている。 小早月川礫岩層に対しては, 整合あるいは, ごくわずかの水底侵食を経た累重関係が推定され, 楡原累層に対しては, 地層がわずか欠如した不整合あるいは非整合の関係が推定される。

層厚 : 正確に求められないが, 上市川の沿岸で 200 m 弱(上位不整合), 折戸の南方で約 50 m(上位不整合), [ 白倉山の東北東方 1.5 km の ] 濁谷 にごりだに 付近で 200 数 10 m(上位断層), 松倉・古鹿熊付近で 200 m あまり(上位断層), 鉢付近で約 100 m(上位不整合)である。

岩相 : 一般に, 大部分が安山岩質の凝灰角礫岩であって, ところどころに火山礫凝灰岩・安山岩熔岩がはさまれており, まれに凝灰質泥岩が認められる。 上市川の流域では, 熔岩流が優勢である。 濁谷などには岩稲期に貫入したとみなされる安山岩岩脈が入っている所がある。 地層の全般に変質が行き渡っていて, 岩石には, 二次的な粘土鉱物・炭酸塩鉱物・珪酸鉱物などが含まれており, 一部では, 鉱化作用の影響も認められる。 したがって, もとの岩石は硬岩であるが, 風化が進行しやすいので, 軟岩・中硬岩状になった所や崩土でおおわれた所が多い。

凝灰角礫岩は, 青・緑・紫などをおびた灰色で, 普通, 層理を表わしていない。 含まれている火山岩塊は, 一般に非顕晶質の石基中に斜長石などの微斑晶を含んだ安山岩である。

熔岩は, どれも, 暗灰色, 青味をおびた暗灰色などの 緻密 ちみつ な輝石安山岩である。 変質しているので, もとの岩質がくわしくわからない。 上市川沿岸では, 数枚の熔岩流が重なって現われており, そのうちの下部のものは, 厚さが数 10 m あって, 早月川の西岸まで連続している。 この熔岩は, ガラスの少ない半晶質石基中に, 少量の斜長石と, 微量の普通輝石の斑晶を含んだ苦鉄質の普通輝石安山岩で, 変質をまぬがれた石基輝石が単斜輝石である。 小早月川の上流の濁谷の熔岩流のうちには, 斑晶として, 少量の斜長石と微量の普通輝石・紫蘇輝石を含んだものがある。

II.5.2.4 玢岩・安山岩岩脈(P)

南東部の 桑首 くわこび 谷付近に多数分布するほか, 地質図に記入してない幅数 m 以下のものなどが, 諸地に散在している。 大きいもので幅 20~30 m, 普通, 幅 10 m 未満で, 岩脈の延びが, さまざまな方向にわたっている。 ただし, 桑首谷では, 同系のものが平行している例があり, 全般に, 幾系かの岩脈が混在しているとみなされる。

岩質は, 普通輝石玢岩・角閃石玢岩・斜長石玢岩・輝石安山岩などである。 どの岩脈も, 多少とも, 変質をうけており, 緑泥石・炭酸塩鉱物などの二次鉱物ができている。 とくに, 鉱床地帯にはいちじるしく変質したものが認められる。 これらの岩脈は, 岩質上, 多くが岩稲期に形成されたと考えられる。 なお, 岩石はどれも堅硬である。

II.5.3   八尾 やつお 累層 [ Y… ] および岩脈 [ D, A ]

この報文で使う八尾累層は, 坂本・ほか(1959)の層序区分によるものである。 池辺(1948)の八尾層群, 池辺(1949)の八尾亜層群とほぼ同じ内容をもっている。 現在では, 富山積成区に堆積した黒瀬谷期・東別所期の地層を, 大部分, この累層に含めている。 [ 本図幅の南西隣の ] 八尾図幅地域・ [ その西隣の ] 城端 じょうはな 図幅地域で模式的に観察される。

第 19 図 魚津図幅地域 八尾累層 層序関係 概念図(波線は不整合・非整合関係, 鎖線は断層関係を示す)

魚津図幅地域の八尾累層は, 第 19 図に示したように, 下部が 折戸 おりど 凝灰岩層と 古鹿熊 ふるかくま 砂岩層(折戸凝灰岩層の上部と指交), 中部が 福平 ふくひら 凝灰角礫岩火山円礫岩層と大岩凝灰岩層, 上部が 坪野 つぼの 凝灰質砂岩層と 釈泉寺 しゃくせんじ 泥岩層からなりたち, それぞれ, 下部は 50~400 m, 中部は 400~900 m, 上部は 200~300 m の層厚がある。 だいたい, 下部と中部とが黒瀬谷期, 上部が東別所期の地層にあたる。 下部の2部層が岩稲累層と太美山層群とに不整合関係で乗っている。 坪野凝灰質砂岩層と下位の部層との間には非整合関係があり, 釈泉寺泥岩層と音川累層とは, この地域の南部で非整合, 北部と中央部で整合である。

富山南区についての, 魚津図幅地域の八尾累層の特徴は, 岩稲累層に対して, いちじるしい不整合現象が表われていることと, 中部に安山岩質の火山噴出物が多量に含まれていることとである。

石英安山岩質 [ D ] ・安山岩質 [ A ] などの岩脈が, おもに八尾累層を貫いて分布している。 石英安山岩質岩脈の一部は折戸凝灰岩層の堆積期の後半期間に, 安山岩岩脈の大部分は福平凝灰角礫岩火山円礫岩層の堆積期間に貫入したと推定される。

II.5.3.1 折戸 おりど 凝灰岩層(Yo)

地層名・模式地 : 新しく設定した部層であって, 中新川郡 上市町 折戸付近(早月川の西岸, 部落の下側の水路沿いなど), 上市町 下田 げだ 付近(早月川の東岸)で模式的にみられる。 折戸付近に分布する部分は, 今村・ほか(1951)の福平層 下部にあたる。

分布・構造 : 上市川の中流から角川の上流へかけて露出している。 構造は, 断層があって, 非常に乱れている。 折戸・下田付近から [ 折戸の西南西方 1.5 km の ] 稲村 いなむら 付近を通り, [ 稲村の南南西方 1 km or 田蔵の西方 500 m の ] 東種 ひがしたね の西側山地まで分布する地層は, 北北西・北西方向に傾斜しているが, 中村の西方・稲村の北東方の地層は, 西向きに傾斜し, 中村 - 簔輪 みのわ [ ← 中村の北方 3 km ] 間・早月川の西岸(小露出)・鉢 [ ← 蓑輪の北東方 500 m ] 河原波 かわらなみ [ ← 蓑輪の東北東方 1.5 km ] ・古鹿熊に分布する地層は, 北西向きに傾斜している。

層序関係 : おもに岩稲累層に乗り, 中村の西方で太美山層群 [ ← Ft ? ] に乗っている。 この層序関係は, 現在の中村の西方にあたる位置にも岩稲累層が堆積したと推定されることと, 折戸凝灰岩・古鹿熊砂岩の両層が海進環境のもとで堆積したと判断されることから, 陸上の削剥を経た不整合関係と言える。

古鹿熊砂岩層 [ ← Yf は見あたらないので Yfs ? ] とこの部層の上部とは, 鉢から松倉の北側山地までの間で, 指交の関係を表わしている。 中部・下部は古鹿熊砂層より下位にあたる。

上位には, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層が整合に重なっている。 なお, 下田・稲村・東種では, 折戸凝灰岩層中に石英安山岩質の岩脈 [ ← D ? ] が貫入している。

層厚 : 地層が断層で欠けている所が多い下田付近で 300 数 10 m 以上, 折戸付近で約 200 m 以上, 中村の西方で 100 m 以上, 鉢で数 10 m, 河原波で 100 数 10 m の厚さがある。 本来, かなりの層厚変化があったと思われる。

岩相 : おもに, 火山礫凝灰岩・凝灰岩・凝灰質砂岩・凝灰質泥岩からなりたった地層で, ところどころ, 安山岩凝灰角礫岩・礫岩がはさまれており, 局部的に, 火山砕屑流軽石凝灰岩・安山岩火山角礫岩が含まれている。 大半の地層は, 極厚層理・厚層理を示し, 一部の地層が中層理・薄層理をおびている。 大部分が軟岩(風化して土状), 一部が中硬岩である。 なお, 下田付近・稲村付近・河原波付近の地層は, 鉱化作用などをうけて変質している。

折戸付近と下田付近の地質柱状を, 第 20 図に示した。

第 20 図 折戸凝灰岩層 地質柱状図 [ 凡例の記載は省略した ]

火山礫凝灰岩と凝灰岩とは, たいてい, 青味をおびた灰色, あるいは緑がかった淡灰色であって, 安山岩質の火山礫を含んでいる。 厚さ数 m 以上の層が多く, 一般に, 層理が明らかでないが, 一部には, 水成の, 明瞭な層理をもったものがある。 凝灰質砂岩や凝灰質泥岩と互層する場合, 凝灰角礫岩を伴う場合, 凝灰質泥岩の同時礫を含む場合も認められる。

凝灰質砂岩は, 大部分が細粒か中粒であって, 一部が泥質である。 普通 青味をおびた灰色あるいは灰色で, ほとんど凝灰質物で構成されている。 炭質物などがかなり混じっているものもある。 一般に, 不明瞭な中層理をおびているが, 薄層理が発達していることがあり, 一部には凝灰質泥岩との薄互層も認められる。

凝灰質泥岩は, 灰色, 風化して褐色をおびた淡灰色を示すシルト質の泥岩で, 細粒の火山抛出物の砕屑を多量に含んでいる。 多くの場合に中層か厚層として, 凝灰質砂岩や凝灰岩の間にはさまれているが, 非常に厚い層, あるいは, 凝灰質砂岩との薄互層になっている場合もある。 折戸では, 幾分硬質な泥岩が認められる。

凝灰角礫岩は, 下田や折戸付近で, この部層の中部に, 非常に厚い層となって含まれており, さらに, 諸地でいろいろの層準に, 厚さ数 m 未満の層となってはさまれている。 一般に比較的小さい火山岩塊から構成されている。 これらには, 塊状を示すもののほかに, 火山岩塊が配列して水成層理を表わしているもの, 凝灰質砂岩の薄層をはさむものがあり, また凝灰質砂岩中にレンズ状ではさまれているものも見られる。 下田付近の部層中部の凝灰角礫岩は, 火山角礫岩を伴っている。 凝灰角礫岩・火山角礫岩は, 一般に輝石安山岩質である。 全般に, 変質して, 粘土鉱物・炭酸塩鉱物などができている。

礫岩は, 折戸の南西方と下田の南東方で, この部層の最下部に, 稲村 - 中村間と下田で, 部層の中部に含まれている。

折戸の南西方のものは, 岩稲累層に乗る基底礫岩とみなされる。 おもに, ガラス質の火山抛出物片と種々の組織の安山岩角礫とからなりたった, 中礫の多い火山円礫岩であって, 安山岩の巨大な礫や花崗閃緑岩の中礫が入っている。 下田の南東方の最下部のものは, おもに安山岩質の火山礫・火山岩塊からできた火山円礫岩である。 これには, 珪長質火山岩・安山岩の巨礫が含まれている。

稲村 - 中村間では, 角礫・亜角礫の多い中礫礫岩が2・3層認められる。 中村に近い箇所の礫岩は, 厚さが 10 m 以上あって, 破砕された船津花崗岩(ミロナイトではない)の上に乗っている。 この礫岩はほとんど, 直下の花崗閃緑岩の砕屑ばかりから構成されていて, ほかに, わずか太美山層群由来とみなされる珪長質火山岩類, 半花崗岩質花崗閃緑岩, 炭質のシルト質泥岩, 礫岩から由来したらしいチャートの礫などが含まれている。 稲村 - 中村の中間では, これに類似した礫岩と, その少し下位に, 珪長質火山岩・花崗閃緑岩の礫を多く含んだ, 厚さ 1 m あまりの礫岩とがある。 稲村に近い箇所では, 安山岩の角張った大礫・中礫と, 珪長質火山岩・チャートなどの丸味をおびた中礫とを含んだ, 厚さ 10 m 以上の礫岩が見いだされる。 下田付近の, 中部にはさまれている礫岩は, 珪長質火山岩・珪長岩・チャートなどの円礫を含んだ, 厚さ 2 m あまりの中礫礫岩である。 なお, 折戸では, 部層の中部にある凝灰角礫岩の間に, 火山円礫岩がはさまれている。

火山砕屑流堆積物は, 折戸 - 稲村間の 1 km2 あまりの範囲に露出していて, 折戸の南西方で, 前述した基底礫岩の上に重なっている。 おもに, 1~3 cm 大の角張った軽石片からできていて, 少量の岩石片が含まれている。 軽石片は, 発泡の少ないもので, もろくて, 風化しやすい。 新鮮な部分は, 青味をおびた淡灰色を示している堆積物には, 多少の粒度差があるが, 明白な構造は表われていないし, また, 熔結した部分もない。 厚さは 10 m 前後で, 上位には, 水成層理のある火山礫凝灰岩(厚さ約 2 m), さらに, 凝灰質泥岩(数 m)が重なっている.

稲村 - 中村間の角礫の多い礫岩の存在は, 岩稲累層堆積後から, この礫岩の堆積前までの間に, 基盤の地塊が表面に露出する事件があったことを示している。 この部層全体の層序・岩相から考えると, 部層の下部が堆積した後に, 基盤の一部が断層小地塊となって上昇して来たと推測される。

II.5.3.2 古鹿熊 ふるかくま 砂岩層(Yf, Yfs)

地層名・模式地 : 今村・ほか(1951)の古鹿熊層とほとんど同じ地層を指す。 模式地は魚津市 古鹿熊である。 部落付近で上部が, 部落の東方の角川支谷で下部と基底が観察される。

分布・構造 : 角川流域の古鹿熊付近・ 松倉の北側山地から片貝川流域の奥平沢の南西側支谷・ [ 奥平沢の北北西方 1 km の ] 平沢の南西側支谷・ [ 平沢の北北西方 1.5 km の ] 黒谷 くろだに 部落付近・ 黒谷の東側支谷, さらに, 布施川の流域にわたって分布している [ ← 古鹿熊砂岩層がある布施川の流域は本図幅の東隣の黒部図幅地域内 ? ] 。 これらの間で, 断層によって地層がずれたり, 欠けたりしているが, 大勢として, 北西へ 10°あまり傾いた構造となっている。

層序関係 : この部層の西端部は折戸凝灰岩層の上部と指交している。 指交の範囲は松倉の北側から鉢まで及んでいるが, 主要部が置き換わるのは古鹿熊の南部から [ 古鹿熊の南方 1 km の ] 春日の西部までの間である。

下位に対する関係は不整合である。 基底部に海岸近くの浅海で堆積したとみなされる礫岩・含礫砂岩が伴って, 松倉の北側山地で岩稲累層の松倉凝灰角礫岩層 [ Im ] の上, 奥平沢の南西側の支谷奥で太美山層群の石英安山岩熔岩 [ Fd ] の上, 黒谷・奥平沢の南西側の支谷・古鹿熊の東側支谷で太美山層群 流紋岩熔結凝灰岩 [ Fw ] の上 に乗っている。 岩稲累層堆積後 古鹿熊砂岩層堆積前の間に, 断層を起こした地殻変動と小規模の陸上削剥とがあったと推定される。

上位には, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層が整合に重なっている。

層厚 : 層厚には地域差があり, 奥平沢の南西方の支谷の奥で薄く, 60 m 内外, 同じ支谷の中流と古鹿熊とで厚く, 90 m 前後である。

第 21 図 古鹿熊砂岩層 地質柱状図 [ 凡例の記載は省略した ]

第 22 図 古鹿熊砂岩層 岩相変化図 [ 凡例の記載は省略した ]

岩相・化石 : 大部分が砂岩からなりたった浅海成の地層である。 下部に基底礫岩にあたる礫岩と含礫砂岩とがあり, 上部に泥質細粒砂岩と砂質泥岩が含まれている。 弟 21 図に古鹿熊・黒谷での地質柱状を示す。 全体としては, 第 22 図のような岩相変化がある。 なお, 地質図には, 下部の礫岩・含礫砂岩を Yf, そのほかを Yfs として表わしてある。

岩石は, 大部分が軟岩であって, 多くの所で風化をうけている. 風化生成物は一般に土砂で, 岩塊が少ない。 ただし, 巨大な礫を多く含んだ礫岩は, 中硬岩あるいは硬岩状であり, 岩塊の多い崩土を作っている。

礫岩・含礫砂岩 [ Yf ] は, 10~30 数 m の厚さで, 古鹿熊砂岩層の下部を構成している。 岩相と層厚が地域によって, いちじるしく違っている。

古鹿熊付近では, 主部が少し角張った大礫・巨礫を含んだ礫岩, 下部分が巨礫礫岩, 上部分が中礫礫岩であって, 部落の東方の支谷奥で 20 数 m, 部落寄りで約 10 m の厚さが見積られる。 基盤は太美山層群 流紋岩熔結凝灰岩 [ Fw ] で, 比較的 平滑な侵食面が現われている。 下部分(厚さ数 m あまり)の礫岩は, 多量の流紋岩熔結凝灰岩の円形球状巨礫(粒径数 10 cm 前後, 最大約 1.5 m)と, 少量の流紋岩熔結凝灰岩の中礫・大礫(角礫混じり), 石英安山岩質岩石の中礫・大礫(おもに亜円形)が密集した礫岩で, 少量の熔結凝灰岩・石英安山岩質岩石の砕屑砂・細礫によって 充填 じゅうてん されている。 基質の中に Ostrea らしい貝殻片が入っている。 主部の礫岩は, 石英安山岩質岩石の亜円, 亜角形の大礫・巨礫(おもに径 30 cm 以下)が主要構成物となった, 淘汰 とうた の悪い, 雑然とした組織の礫岩である。 石英安山岩質岩石の中礫, 流紋岩熔結凝灰岩の中~巨礫(最大粒径約 1.5 m), 安山岩の中・大礫が混じり, 中程度の量の, 泥質砂または砂質泥が基質となっている。 風化して, 赤褐色をおびた灰色を示している。 上部分の礫岩は, 多量の石英安山岩質岩石の亜円・亜角形中礫, 少量の石英安山岩質岩石・安山岩・細礫礫岩の大磯や珪質岩の中礫などと, 砂, 泥の混じった基質とからなりたっている。 基質の量は少量から多量まで, さまざまである。 部分的に層理が表われている。

松倉の北側では, 厚い礫岩がなく, 基底から厚さ 10~20 m の間が, 薄い礫岩層をはさんだ粗粒砂岩と, 含礫粗粒砂岩とから構成されている。 礫岩層の中には, 石英安山岩質岩石・珪質岩・安山岩の中礫などが含まれ, 含礫砂岩中には珪質岩の細礫・中礫が含まれている。

奥平沢の南西方の支谷に沿っては, 厚さ 10~20 m の, 中礫・大礫礫岩と細粒・粗粒の砂岩との互層で基底粗粒相ができている。 支谷の中流の枝谷で, 小規模の侵食 凹凸 おうとつ をもった基底面が見られる。 この付近では, 流紋岩熔結凝灰岩・安山岩・古期砂岩・石英安山岩質岩石のほか, 花崗閃緑岩・アダメロ岩・火山礫凝灰岩・変質安山岩・珪質岩と, 多種の礫が含まれており, また, 亜円礫が多い。 このうち, 下流寄りでは流紋岩熔結凝灰岩の礫が最も多く, 上流では石英安山岩質岩石の礫が最も多い。

黒谷の部落付近では, 太美山層群の流紋岩熔結凝灰岩 [ Fw ] の上に, 厚さ 30 m あまりの巨礫礫岩が乗っている。 片貝川の東岸では, 熔結凝灰岩の葉理構造に対して斜交した基底面が見られる。 この基底面には粗い凹凸がある。 礫岩は, 全般に, 粒径 25~50 cm 大, 次に 50~100 cm 大の礫を多く含んだ礫岩で, 珪質岩の礫がわずか混じっているが, ほとんど流紋岩熔結凝灰岩の礫とその砕屑砂からできている。 礫はおもに円形・亜円形で, 最大粒径が約 1.5 m である。 基質は淘汰の悪い砂で, 角張った砂粒が多く含まれている。 基質の量は中くらいである。 基底の直上, 数 10 cm~1 m の間では, 礫の径が1階級小さく, 基質の量が多い。 この礫岩層の上部分の基質には, 貝殻片の混じったところがあり, Glycymeris, Pectimidae, Ostrea (Crassostrea), Balanus が認められた。 同じ地点で, 弘原海・ほか(1955)によって Pecten arakawai NOMURA が発見されている。

黒谷の上流では, 礫岩層の上部分にあたって, 砂岩層をはさんだ中礫大礫礫岩があり, 変質石英安山質岩石・変質安山岩・珪質岩などの礫が含まれている。

山女 あけび 谷の奥(図幅地域外)にも, おもに流紋岩熔結凝灰岩の礫からできた, 厚い巨礫礫岩がある。 礫の源岩について, 流紋岩熔結凝灰岩・石英安山岩質岩石・変質安山岩・火山礫凝灰岩は太美山層群から, 珪質岩(チャート・結晶質チャート・珪質粘板岩など)と古期砂岩は手取層群から, 安山岩は岩稲累層から, 花崗閃緑岩・アダメロ岩は船津花崗岩類から由来したとみなされる。

主部の砂岩 [ Yfs ? ] は, おもに中粒と細粒の砂岩で, 一部が粗粒砂岩や含礫砂岩である。 多くが灰色で, 風化が進むと黄褐色になるか, 褐色をおびた淡灰色になる。 分級が良いものと, 分級が少し悪い泥質のものとが混在して, 一般に, 層理の不明瞭な地層となっている。 おもな砂粒の種類は 長石(カリ長石・斜長石)・石英・珪質岩(微晶質チャートなど)であって, 長石粒の量が優勢なものと石英粒が最も多いものとが認められる。 このほか, 片麻岩・珪長質火山岩・黒雲母・鉄鉱などの砂・シルト粒が微量含まれている。 鉱物組成分類上は, 多くが, GILBERT(1954)の Arkosic wacke, PETTIJHON(1957)の Arkose・Feldspathic gray-wacke, 岡田(1971)の長石質アレナイト・長石質ワッケに該当する。

主部の砂岩中には, 炭質物片がかなり多く混じっている部分や, 貝化石が含まれている部分がある。 古鹿熊部落の南はずれで主部の砂岩の中部に, Acila sp. を, 古鹿の熊部落内で, 主部の砂岩の上部に Nassarius sp., Olivella sp., Cylichna sp., Anadara sp., Nemocardium sp., Venerupis (Siratoria), siratoriensis (OTUKA), Sliqua sp. を, 平沢の南西方の支谷で主部の砂岩の中部に, Acila sp., Nuculana sp. を認めた。

泥質砂岩・砂質泥岩 [ ← これらも Yfs ? ] は, 古鹿熊付近・平沢の西方などで, 相伴って, 古鹿熊砂岩層の上部分を構成している。 この部分の厚さは, 古鹿熊付近の東寄りで約 10 m, 西寄りで約 30 m, 平沢の西方で 10 m 前後である。 一般に, 層理の不明瞭な地層となっており, 砂岩も泥岩も暗灰色, 風化すると褐色をおびた灰色を示している。 泥質砂岩は, おもに, シルトを多量含んだ極細粒か細粒の砂岩であり, 砂質泥岩は, 細粒砂・極細粒砂を多く含んだシルト質泥岩である。 これらに含まれている砂粒については, 石英・長石・珪質岩が主要で, 石英が最も多い場合と, 長石が最も多い場合とがある。 これらの砂岩・泥岩には, 全般的に貝殻片・有孔虫遺骸が含まれており, ところどころ軽石片・火山礫片・珪質岩細礫などが混じっている。 細礫・粗粒砂・中粒砂が多く混じった, とくに分級の悪い部分もある。

古鹿熊の部落内の泥質細粒砂岩から, Turritella sp., Boreotrophon sp., Dentalium (Fissidentalium) sp., Limopsis sp., Placopecten sp., Ostrea sp., Lucina sp. の貝化石を見いだした。

今村・ほか(1951)によれば, この砂岩から, Turritella kadonosawaensis uar. ikuridaniensis IDA, Acila submirabilis MAKIYAMA などが採取されており, 内尾高保の鑑定で Rotalia tochigiensis UCHIO, Vaginulina otukai UCHIO をはじめ, 多種の有孔虫化石が検出されている。

II.5.3.3 福平 ふくびら 凝灰角礫岩火山円礫層(Ykb, Yka [ 1~6 ] , Ykt, Yk [ 1~5 ]

地層名・模式地 : 今村・ほか(1951)の福平層を受け継いだものである。 模式地は [ 本図幅の東隣の ] 黒部図幅内の黒部市 福平の布施川の川岸である。 この場所は魚津図幅北東隅の 釈迦堂 しゃかどう 部落より 3~5 km 上流になる。 魚津図幅地域では, 角川・片貝川の沿岸で地層の内容がよく見られる。

分布・構造 : おもな部分は上市川流域から片貝川流域へかけて, 幅 1~2 km の帯となって, 北東 - 南西方向につらなっている。 この帯の地層は, 大局的には, 北西へ 10~25°傾斜した単斜構造となっているが, 走向方向の断層群によって乱され, 早月川と片貝川に沿った北北西 - 南南東方向の断層に切られている。

角川の中流周辺には, 鹿熊 かくま 部落 [ ← 古鹿熊の北西方 3 km ] の南東の山峰(鹿熊城跡)を中心とした分布がある。 これは, 走向断層によって, 地層が重複して現われた所である。 この大部分は 20~30°の北西傾斜の地層からなりたっているが, 南東側の部分は断層で乱されている。

層序関係 : 下位の折戸凝灰岩層 [ Yo ] と古鹿熊砂岩層 [ Yfs ? ] とに対する関係は, 両層との地層境界が, 浅海環境から深度が増し, 火山活動によって供給物が増えるという, 堆積環境の移行にあたっているので, 整合とみなされる。 最下部の熔岩流 [ Yka 1~6 ? ] と凝灰角礫岩 [ Ykb ? ] とが, 古鹿熊砂岩層と斜交している箇所があるが, 大きな削剥はなく, 堆積時の同時侵食による現象と解釈される。

上位層との関係は, 大岩凝灰岩層 [ Yi ] とは整合, 坪野凝灰質砂岩層 [ Yt ? ] については非整合である。

層厚 : 一般に, 500~600 m で, 角川の上流の池の原 [ ← 古鹿熊の北北東方 500 m ] 付近から片貝川までの断層帯の南側が薄く, 厚さが 400 m 前後, 早月川沿いが厚く, 断層帯の南側・北側ともに 800~900 m と推定される。 例外的に, 郷川の上流の 五位尾 ごいお [ ← 早月川沿いの中村の北西方 2 km ] 付近では, 部層の上部分だけが基盤の上に乗っているため, 厚さが数 10 m しかない。

第 23 図 魚津図幅地域 南部地区 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層 岩相変化図 [ 凡例の記載は省略した ]

第 24 図 魚津図幅地域 北部地区 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層 岩相変化図(記号は第 23 図と同じ)

第 25 図 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層 地質柱状図 [ 凡例の記載は省略した ]

岩相 : おもに, 安山岩質の火山噴出物と, その砕屑によってできた海成堆積物で, 凝灰角礫岩・凝灰岩・凝灰質砂岩・火山円礫岩・熔岩流などからなりたっている。 この部層の岩相は, 構成物の性格上, いちじるしく変化している。 地質図と, 第 23 図・第 24 図とに, 主要な岩質にもとづいた4種の区分単元 [ = Ykb, Yka 1~6, Ykt and Yk 1~5 ? ] によって, 岩相変化の大項を示した。 第 25 図は, 地層がよく観察される路線での地質柱状図である。 概観すると, 凝灰角礫岩 [ Ykb ? ] は下部・中部に, 火山円礫岩と凝灰質砂岩 [ Yk 1~5 ] は上部に, 凝灰岩 [ Ykt ? ] は中部に多く, 熔岩流 [ Yka 1~6 ] が全層を通じて北部地区に多い。

一般に, 凝灰角礫岩と凝灰岩には層理が少なく, 火山円礫岩と凝灰質砂岩には, ところどころ, 明らかな水成層理が表われている。 凝灰質砂岩には海生貝化石が含まれていることがある。 熔岩流には水底で固結したらしい構造も見うけられる。 局部的には, 熔結凝灰岩が存在し, 巨大な熔岩岩塊が礫岩中に含まれているので, 堆積域内に火山島が生成されたことが考えられる。 郷川の上流の五位尾付近では, 部層中の上部にあたる Yk5 の火山円礫岩・凝灰質砂岩が, 直接 船津花崗岩と太美山層群とに乗っている。 この現象は, Ykt 堆積直後に起きた局部的地殻変動によって, 基盤の小地塊が上昇してきた結果と推測される。

岩石の堅さは, だいたい, 安山岩熔岩流が硬岩, そのほかが中硬岩から軟岩の堅さである。 凝灰角礫岩のうちには中硬岩が多く, 凝灰岩・凝灰質砂岩のうちには軟岩が多い。 凝灰角礫岩と火山円礫岩の中には, 硬岩級の安山岩火山岩塊や安山岩礫が含まれている。 普通, 谷壁には新鮮な露岩があるが, 山腹などの緩斜面には風化された岩塊や崩土が多く, 枝谷には崩壊物の滞留が見うけられる。

凝灰角礫岩・凝灰岩(Ykb): 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層の下部・中部を構成している。 地域的には, 分布の南東寄りに発達している傾向がある。 凝灰角礫岩と火山礫凝灰岩が主体で, 少量の火山角礫岩・凝灰岩・火山円礫岩・凝灰質砂岩・凝灰質泥岩が伴っている。

凝灰角礫岩と火山礫凝灰岩とは, 黒灰色・暗灰色, 風化すると褐色, 褐色をおびた灰色などを示しており, 普通, 層理を表わしていない。 粒度組成上は, 最大径が 10 cm くらいで, おもに径数 cm 以下の火山岩塊と粗粒な火山礫とからできているものが多い。 そのほか, 最大径数 cm で火山礫が主となっているもの, 最大径 20 cm 程度のものなどがあり, 径数 10 cm~1 m の巨大な火山岩塊を含んだものも認められる。 また, 火山灰中に火山岩塊が混じった組成のものがある。 火山岩塊・火山礫には角張った初生的な形のものと, 磨損されて亜角形・亜円形になったものとが認められる。 磨損された岩塊が入っている部分には, 層理がかすかに認められることが多い。 ときには明らかな水成層理や, 異常な堆積構造が見られる。 火山円礫岩と凝灰質砂岩には, 亜円形の火山岩塊・火山礫が多く入っているものがあり, 級化成層を伴った明瞭な水成層理や, 斜交層理を表わしている。 角川の沿岸の 宇都呂 うつろ [ ← 鹿熊の南東方 1.5 km ] - 古鹿熊間では, 復元して北西向き・西向きの流向を示す斜交層理が見られる。

火山岩塊の岩質は, おもに, 比較的ガラスの多い半晶質の安山岩で, 斜長石・輝石あるいは斜長石だけの微斑晶が少量含まれている。 第 25 図の柱状図路線に沿って, 斑晶の輝石の種類を, おおまかに調べた結果では, 普通輝石だけである場合が多い。 普通輝石と 紫蘇 しそ 輝石とが含まれる(紫蘇輝石が少量)場合は, 上市川沿いの Ykb 中の下半部分(火山角礫岩などに), 宇都呂 - 古鹿熊間の下位の Ykb 中の上部分, 片貝川東岸の Ykb 中の下部分で認められる。

一部では, 多孔質の火山抛出物が混入したものや, 特殊な火山噴出物が見られる。 早月川の西岸の Yka2 安山岩熔岩流 [ ← 蓑輪の北西方 500 m のもの ? ] の下位では, 熔岩流の直下に厚さ 2~3 m の火山弾凝灰角礫岩があり, その下位に, 厚さ約 4 m の凝灰角礫岩を隔てて, 厚さ 10 m 前後の熔結凝灰岩がある。 この熔結凝灰岩は, 少し硬化している程度の上部と, 扁平なガラスを縞状に多く含んで, かなり熔結した中・下部とからなりたっている。 全体に火山礫・火山岩塊が含まれ, 中・下部には火山弾・熔岩片も混じっている。

火山円礫岩・凝灰角礫岩・火山礫凝灰岩の中には, 削剥されたらしい熔岩岩塊や基盤岩礫(少量)が含まれていることがある。 基盤岩由来の礫は, 船津花崗岩類の亜円形などの中・大礫, 手取層群礫質岩からの珪質岩の円形の小形中礫, 岩稲累層由来らしい苦鉄質の変質安山岩の亜角・亜円形の中礫などであって, ほとんどが陸域からの砕屑物とみなされる。

輝石安山岩熔岩流(Yka 1~6): 数枚の熔岩流がある。 地質図・第 23 図・第 24 図に示したように, 図幅地域の北部で, それぞれ異なった地層の間にはさまれている。 Yka5 と Yka6 との前後関係は, 決定しにくい。 このほか, 上市川の沿岸の 稲村 いなむら [ ← 蓬沢の西方 3 km 弱 ] 付近で, 凝灰角礫岩・凝灰岩(Ykb)に, 普通輝石紫蘇輝石安山岩熔岩流が含まれている(第 25 図参照)。

どの熔岩も, 苦鉄質の輝石安山岩であって, 黒灰色から灰色まで, 一般に暗灰色, 風化すると褐色がかった灰色を示している。 岩体の主部分は 緻密 ちみつ で堅硬な岩石からできている。 ガラス基流晶質などの半晶質石基中に少量の斜長石・輝石の微斑晶を含んだものが多い。 斑晶輝石は, 普通輝石だけ, あるいは普通輝石・紫蘇輝石両方であり, 石基輝石は, 単斜輝石だけ, または単斜輝石・斜方輝石の組合せである。 また, ほとんどの部分が海底で固結したとみなされ, 海底侵食によって熔岩の上部分を失った箇所がかなりあると思われる。

Yka1 は, 松倉から黒谷 [ ← 奥平沢の北北西方 2.5 km(片貝川沿い) ] の間で古鹿熊砂岩層の上に重なっている熔岩流で, 平沢 [ ← 奥平沢の北北西方 1 km ] の南西方支谷でシルト質泥岩の不規則な 凹凸 おうとつ 面に乗り, 黒谷付近で中粒砂岩などに斜交して接触している。 この基底の現象は, 熔岩の流動によって未固結堆積物が動かされ, 削られた結果であろう。 熔岩の厚さは, 一般に, 10~30 m と見積られる。 黒谷では, 柱状の節理が認められ, 厚さが 50 m を越える部分がある。 黒谷の岩石は, 斜長石・ガラス・単斜輝石などでできた石基中に, 少量の斜長石・普通輝石の微斑晶が含まれた苦鉄質の安山岩である。

Yka2 は, 角川流域の大熊 [ ← 早月川沿いの蓑輪の北方 1.5 km ] 付近から早月川の西岸までの間に見られる熔岩で, 大熊の南方では基部が凝灰角礫岩 [ Ykb ? ] や火山円礫岩 [ Yk3 ? ] を, 南北に延びた直立に近い接触面を作って貫通している。 熔岩の厚さは, 大熊の南方で 100 m 前後, 早月川の東岸で約 10 m, 西岸の分布の南寄りで 15~20 m, その数 100 m 北寄りで数 m, 宇都呂の南方 [ = 大熊の北方 ? ] の角川沿岸で 20 m あまりである。

熔岩の主部には, 2~3 cm 前後の厚さに割れる板状節理が認められる。 早月川の東岸では, 柱状節理と板状節理とが現われており, 基部に火山角礫岩が不規則に伴って, 下位の安山岩凝灰角礫岩をおおっている。 西岸では, 南寄りの箇所でおもに細かな板状節理, 北寄りで角礫状構造が認められる。 この北寄りの部分の直下には, 厚さ 2~3 m の火山弾凝灰角礫岩がある。 角川沿岸では, 全体が火山角礫岩状であり, 上位の安山岩凝灰角礫岩・火山円礫岩中に, この熔岩と同じ岩質の安山岩熔岩が径 1~数 m の岩塊となって含まれている。

大熊の [ ← 大熊の南方 500 m の ? ] 主部の岩石は, 無斑晶状で, 斜長石の長柱状微晶, ガラス, 粒状・短柱状の単斜輝石, 少量の斜方輝石, 鉄鉱からなりたっており, 斜長石微晶が流状構造を示している。 宇都呂の南方 [ = 大熊の北方 ? ] の角礫状部分の岩石は, 灰色, 微斑状で, ガラス・斜長石・単斜輝石・鉄鉱からできた石基中に, 少量の斜長石・普通輝石・紫蘇輝石の微斑晶を含んでいる。 石基の中の斜長石・輝石の長柱状結晶は無方向に伸びている。

Yka3 は, 角川流域の大熊から宇都呂 - 古鹿熊の中間まで露出している。 宇都呂の南方の角川主流沿いで, 厚さが 30 m 内外で, 主部には板状と柱状の節理がある。 下部の, 厚さにして数 m の部分には, 角礫状の構造があり, 不純物の多い青めのうの脈が不規則に含まれている。 上部数 m には, 岩滓状などの多孔質な部分が混じり, 角礫状の構造が備わっている。 主部分の岩石は, 暗灰色, 斑状で, 斜長石・普通輝石・紫蘇輝石のあまり大きくない斑晶が含まれ, 石基がガラスと少量の単斜輝石, 微量の鉄鉱・斜方輝石からなりたっている。

Yka4 は, 大熊から [ 北東方に ] 池ノ原 [ ← 大熊の東北東方 3 km ] - 島尻 [ ← 池ノ原の北方 4.5 km ] の中間まで連続し, [ 池ノ原の北北西方 3 km の ] 坪野 つぼの の南方の角川支谷最上流にも露出している [ ← 地質図上で確認できない ] 。 池ノ原の北方で 30~40 m の厚さがあり, 下に, 安山岩凝灰角礫岩などを貫いた貫入部が伴っている。 熔岩の主部には 0.5~3 cm 程度の厚さに割れる板状の節理があり, 貫入部には柱状の節理が現われている。 字都呂と大熊では, 厚さ約 20 m, 主部には板状節理, 下部には角礫状構造がある。 坪野の奥では, 上位の Yk4 に属する凝灰質砂岩・火山円礫岩の地層によって追覆的におおわれていて, 上部分に角礫状構造がある。

池ノ原の北方の主部の岩石は, 黒灰色でガラス光沢があり, 長柱状の斜長石と, 少量のガラス, 微量の単斜輝石・鉄鉱石などからできた石基中に, 少量の斜長石・普通輝石の微斑晶が含まれている。 貫入部の岩石は, 主部の石基と同じ組成の無斑晶状岩石である。 坪野の奥の岩石には, 主部と同じ組成の石基中に, 斜長石・紫蘇輝石の斑晶が少量含まれており, 宇都呂・大熊の岩石には, ガラスの多い半晶質石基中に 斜長石・普通輝石・紫蘇輝石の小さい斑晶がほかより多く含まれている。

Yka5 は, 坪野の南方の角川支谷の上流付近に露出している熔岩流で, Yk4 の上位にあって, 坪野凝灰質砂岩層 [ Yt ? ] におおわれている。 大部分は, 厚さ 20~30 m であって, 不規則に板状の節理を現わしている。 岩石は, 斑状で, 斜長石・ガラス・単斜輝石と微量の鉄鉱などでできた石基中に, 比較的多くの斜長石と微量の普通輝石との斑晶が含まれた岩石である。

Yka6 は. 片貝川の東岸の 東城 とうじょう [ ← 島尻の北東方 1.5 km ] 付近に分布している。 10 m 弱から 20 m くらいまでの厚さがあり, 西部には板状の節理, 東部には角礫状構造が認められる。 岩石は, ごく小さい斜長石の微斑晶が微量混じっているが, 全般に無斑晶状で, 長柱状の斜長石微晶, ガラス, 粒状の単斜輝石と微量の鉄鉱からなりたっている。 比較的, 西部では結晶が大きく, ガラスが少なく, 東部では結晶が細かく, ガラスが少し多く, 流状構造が認められる。

凝灰岩(Ykt): 部層全体の上半部に含まれ, 北西寄りの地域に発達している。 上市川流域の稲村付近, 郷川流域の 護摩堂 ごまどう [ ← 蓑輪の南西方 1 km ] の西方, 角川流域の大熊周辺(断層帯の南), 鹿熊の南方(断層帯とその北), 片貝川の東側の東城の南方に分布している。

厚さは護摩堂の西方では 100 m 前後, 大熊付近・早月川の東岸では, 150 m くらいと見積られるが, 鹿熊の南方では, Yk3 より下の部分が数 10 m, Yk3 より上が 200 m あまりとなっている。 このうち Yk3 より上の部分は互に側方へ連続するとみなされる(地質図断面図参照)。 東城の南方のものは, これらより上位の層準にあるもので, 厚さが数 10 m である。

鹿熊の南方の Yk3 以下の部分は, 淡色の火山礫と 少量の暗色の火山岩塊(少し円磨されたものが混じる)とからなりたった凝灰岩である。 間に, 淡色の火山礫を含んだ凝灰角礫岩がはさまれている。

東城の南方以外の, Yk3 より上位の岩相は, 一般に, 淡灰色・灰白色や風化すると黄褐色をおびる凝灰岩類で, 無層理状か, かすかな層理を示している。 岩石の堅さは, 中硬岩で, 風化して軟岩となる。 割目が少なく, 不透水的であるので, 谷壁に崖を作って露出している。 大部分は軽石質の火山礫凝灰岩であって, 火山岩塊を含む部分と粗粒凝灰岩とが付随しており, ところによっては凝灰角礫岩・凝灰質砂岩がはさまれている。 側方へ Ykb・Yk の岩相に変わり, 上位には Yk4・Yk5 の地層が重なっている。

この軽石質火山礫凝灰岩は, 発泡のよくない灰色・淡灰色の軽石質火山礫と, その砕屑砂あるいは火山灰とから構成されている。 軽石質火山礫は, 灰色のものに孔が少なく, 淡色のものに孔が多い。 普通, 径数 cm 以下で, 無淘汰的に集合している。 かすかに層理を示しているものは, 基質の砕屑砂中に自形の斜長石結晶が分離されて含まれたり, 円磨された火山礫が混じったりしていて, 水底で二次堆積をしたとみなされる。 このうちには, 火山岩塊が少量含まれている部分があり, その火山岩塊は斜長石の斑晶などを含んだ安山岩である。 分布の全域を通じて, 下部寄りに比較的 火山岩塊が多く含まれ, 水成層理があり, 上部寄りに淡色の軽石質火山礫が多い。 なお, 鹿熊の南方の下部分には, 復元して北西・西方に向う流向の斜交層理があり, 護摩堂の西方の上部分には, 黒色のガラス質火山礫が含まれている。

東城の南方の凝灰岩は, 灰色, 風化すると黄色味をおびた灰色になる粗粒凝灰岩で, 灰色の火山礫(少し発泡)と 紫をおびた暗灰色の普通輝石安山岩質火山礫などが含まれており, 中に多孔質抛出物の砕屑砂が混じっている。 地層には, 少しの分級と, 凝灰質砂岩層がはさまれることによって, かすかな薄層理・中層理が表われている。 なお, これらの延長と思われる凝灰質砂岩層が, 片貝川の西岸の Yk4 の中に認められる。

火山円礫岩・凝灰質砂岩(Yk1~5): 部層中の上半部の主要な構成員で, 凝灰質砂岩・火山円礫岩のほか, 少しの凝灰角礫岩・火山礫凝灰岩・凝灰岩・凝灰質泥岩からなりたっている。 Yk1~5 の区分ごとに, 幾分違いがある。

Yk1 は, 早月川の西岸の中村の北方で, 折戸凝灰岩層 [ Yo ] の火山礫凝灰岩の上に重なっている火山円礫岩層である。 見掛けは凝灰角礫岩に似ている。 安山岩火山岩塊などが再堆積した地層で, 厚さが 20~30 m である。

Yk2 は, 早月川の西岸の 蓑輪 みのわ の南方で, Ykb にはさまれている。 凝灰質細粒砂岩に凝灰質粗粒砂岩・火山円礫岩・火山礫凝灰岩・凝灰質泥岩が伴った地層で, 中層理や厚層理を示している。 厚さは 10 m 前後であるが, 凝灰角礫岩を主体とした Ykb の中で, よく連続している。

Yk3 は, 前述の Ykt の主部分の下位にある。 大熊周辺では, Yka2 の熔岩流に重なっていて, 径 0.5~3 m の安山岩熔岩塊を含んだ火山円礫岩と, 火山岩塊を含んだ水成の火山礫凝灰岩層からなりたっている。 厚さは, 厚い部分で 100 m 前後である。 鹿熊の南方では, Ykt の間にはさまれて, 厚さ 20~30 m の火山円礫岩主体の地層となっている。 この中の火山岩塊には, 普通輝石安山岩と, 斑晶として斜長石だけを含んだ安山岩があり, 礫には花崗岩質岩石が認められる。 礫の最大径は 30 cm 前後である。 郷川の上流地域 [ ← 早月川沿いの中村の西方 1 km ? ] では, 火山円礫岩と, 火山岩塊を含んだ水成堆積の火山礫凝灰岩とからなりたっており, 礫は種々の組織をもった安山岩礫で, 最大, 約 1 m の径がある。

Yk4 は早月川~片貝川間に分布しており, 断層帯の南では Yka4 熔岩流の上に重なり, 断層帯の北で Ykt と Ykb の上に重なっている。 火山礫・火山岩塊などが材料となった凝灰質含礫砂岩, 凝灰質砂岩, 亜円礫がかなり混じった火山円礫岩, 水成堆積の火山礫凝灰岩などからなりたっている。 一般に層理が認められる。 含まれている安山岩礫には, 普通輝石安山岩が多く, 普通輝石紫蘇輝石安山岩が少しであるが, それぞれ種々の組織のものが混交している。 安山岩礫の最大級のものは, 径 1 m 前後である。

上位には, 熔岩流が重なり, 一部では, 坪野凝灰質砂岩層 [ Yt ? ] が非整合で乗っている。 層厚は, 100 m 前後あるが, 坪野凝灰質砂岩層におおわれている所では, 削剥されて薄くなっている。

Yk5 は, 早月川の北西 [ ← 護摩堂と蓑輪の間 ? ] で, Ykt に重なり, 上市川沿岸 [ ← 釈泉寺と稲村の間 ? ] では Ykb に乗っている。 郷川上流の五位尾付近では, 例外的に, 船津花崗岩類 [ Gk ? ] と太美山層群の小地塊 [ Ft ? ] に乗っている。 Yk5 の上には, 上市川流域では大岩凝灰岩層 [ Yi ? ] が整合に重なり, ほかでは坪野凝灰質砂岩層 [ Yt ? ] が非整合で乗っている。 地層の厚さは, 上市川流域で 150~200 m, 護摩堂付近で 100 数 10 m, 両地域の中間では薄くて数 10 m である。

Yk5 は, 五位尾付近を除くと, 一般に, 安山岩質の火山礫・火山岩塊がおもな材料となってできた, 凝灰質含礫砂岩・火山円礫岩・凝灰質砂岩・水成堆積の火山礫凝灰岩などである。 普通, 明瞭な水成層理を表わしている。 含まれている礫の岩石は, おもに, 普通輝石安山岩・普通輝石紫蘇輝石安山岩などの種々の組織の輝石安山岩類で, 少数が, 花崗岩質岩石・ 無斑晶状の石英安山岩・ 斑状の珪長質火山岩・ 珪質岩(チャートなど)などである。 最大級の礫は, 上市川沿岸では, 一般に径 30 cm 以下, 一部で 50 cm 前後であり, 護摩堂付近では, 一般に径 20 cm, 大きい所で 70 cm や 1 m である。 上市川沿いの Yk5 の下部分には, 復元して, だいたい北西向きの流向を示す斜交層理をおびた異常堆積層があり, 斜長石斑晶を含んだ熔結凝灰岩の角礫が多量に入っている。 この熔結凝灰岩は同じ時期の噴出物とみなされる。

Yk5 の凝灰質砂岩は, 極粗粒から細粒まで種々の粒度にわたっている。 おもに安山岩質の火山抛出物の砕屑からできているが, 上市川沿岸での下部分の砂岩には, 微量であるが, 火山岩源石英, 深成岩源石英, 太美山層群の石英安山岩・凝灰岩, 淡色の微晶質チャート, 灰色のチャートなどの砂粒と, 有孔虫遺骸とが含まれている。 また, Nuculana, Lucinoma の貝化石も見出された。 護摩堂の北方の Yk5 の中部分にも二枚貝破片を含んだ凝灰質砂岩がある。 なお, 上市川沿岸の中部分の火山礫凝灰岩の一部には樹幹・樹皮の破片が含まれている。

五位尾の南方の船津花崗岩類の小地塊に乗る Yk5 は, 厚さ数 10 m の角礫礫岩でなりたっている。 大部分は花崗閃緑岩の単成礫岩で, 一部が珪長質火山岩の単成礫岩である。 花崗閃緑岩の単成礫岩は, 一般に, 多量の大礫, 少量の中礫・巨礫と, 粗粒砂からシルトまでの種々の粒度の基質とからなりたっており, 最大級の礫が径 30 cm くらいである。 珪長質火山岩の単成礫岩は, 太美山層群起源とみなされ, これらの角礫礫岩のうちの, 下部に厚さ数 m の層, 中部に厚さ 1 m の層としてはさまれている。 珪長質火山岩の礫は, おもに大型の大礫で, 最大径 1 m 前後である。

この礫岩層は, 側方へ性質を変え, 薄くなって, [ 五位尾の北北西方 1 km の ] 開谷 かいだん の北東方まで, Yk5 の最下部として連続している。 五位尾の東方では, 珪長質火山岩の単成角礫礫岩に変わり, 開谷の東方・北東方では, 珪長質火山岩・安山岩・花崗岩質岩石の角礫と亜角礫を含んだ混成礫岩になっている。

なお, 五位尾の南方の船津花崗岩類 [ Gk ? ] は, 東西方向と北西 - 南東方向の断層で, Ykt・Yk3 に接しており, その断層に沿って, 花崗閃緑岩の角礫, あるいはそれに太美山層群の珪長質火山岩の角礫が混じった断層角礫帯ができている。 また, 岩体の中に, 割目の多い部分, 角礫構造を表わした部分が含まれている。

Yk の堆積物の供給源としては, 堆積箇所の周辺に噴出・降下した火山噴出物のほかに, 堆積箇所より浅い部分に堆積していたもの, 陸域に堆積した火山物質, それに基盤岩類が考えられる。 基盤岩物質の多くは, 異質噴出物ではなく, 陸上からの砕屑物とみなされる。

II.5.3.4 大岩 おおいわ 凝灰岩層(Yi)

地層名・模式地 : 野沢・坂本(1960)の大岩火山礫凝灰岩層( [ 本図幅の南隣の ] 五百石図幅内の大岩川 [ 以下の [注] 参照 ] 流域に発達)につながる地層で, MATSUMOTO & IKEBE(1958)の Oiwa Tuff に相当する。 この地域内では, 上市町の須山 [ ← 釈泉寺の西南西方 1 km ] の奥 [ = 南東方 ? ] 片地 かたじ [ ← 五位尾の西方 1 km ] の奥 [ = 南東方 ? ] でよく見られる。

[注]
大岩川は本図幅の南隣の五百石図幅地域から本図幅の東西中央・南端の 大松新 おおまつしん や柿沢に沿って流れている。

分布・構造 : この地域では, 南端の須山の奥から郷川流域の五位尾の東部まで, 10~20°の北西向き傾斜で連続している。

層序関係 : 下位の福平凝灰角礫岩火山円礫岩層との関係は整合と判断される。 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層の最上部と大岩凝灰岩層とが, どちらも, ごく浅い堆積物ではなく, 両地層の堆積間に堆積域が浅化した証跡も見いだされないからである。 上位の坪野凝灰質砂岩層とは非整合の関係である。 須山の奥では地層が連続しているが, ほかの所では大岩凝灰岩層の上部が欠如していると推定される。 この部層の北東側への消滅は, おもに侵食によるとみなされるが, 凝灰岩層が北東側へ厚く堆積しなかったことにもよっているであろう。 南西方へは, 数 km 以上連続している(野沢・坂本, 1960)。

層厚 : 須山の奥から釈泉寺までの間では 10 数 m, 片地の奥で厚く, 数 10 m, 五位尾付近で数 m と見積られる。 岩質を考え合わせると, 片地の奥は, 堆積物の集結部にあたっていたと思われる。

岩相 : 軽石凝灰岩に, 凝灰角礫岩・凝灰質砂岩が混じっている地層で, 水成層理がある。 ただし, 層理は一般に明瞭でない。 岩石はおもに軟岩で, 一部が石材として利用されている。 第 26 図に須山の奥での地質柱状を示す。

第 26 図 大岩凝灰岩層 地質柱状図 [ 凡例の記載は省略した ]

軽石凝灰岩は, 一般に, 発泡の少ない灰白色の軽石と火山灰とがおもな材料となった凝灰岩で, 全体として淡灰色か灰色を示している。 堅さは削って成型できる程度である。 軽石・火山灰はわずかの水磨をうけた形状をしており, 軽石には, 火山礫相当の粒度径(4~32 mm)のものが多い。 混入物として, 少量の暗色の火山灰, 微量の火山礫, ごく微量の斜長石片(類質抛出物起源らしい)・ 火山岩源石英粒・ 深成岩源石英粒・ ガーネット(濃赤褐色)などが認められる。

凝灰角礫岩は, 一般に, 暗色の半晶質安山岩の, 火山礫と非常に角張った火山岩塊とから構成されている。 火山岩塊は, 最大, 径 20 cm あまり, 多くは 10 cm 未満の大きさである。 水成の 淘汰 とうた をうけていて, 火山岩塊が密集した層を作っていることが多く, また, 凝灰質砂岩層が不規則にはさまれている。 釈泉寺に露出している厚さ数 m の層の火山岩塊は, 斜長石・単斜輝石・ガラスでできた石基中に, 斑晶とし て少量の斜長石と微量の普通輝石を含んでいる。

凝灰質砂岩は, おもに淡灰色・灰色(風化して白色)の安山岩質火山抛出物の砕屑からなりたっている。 多くは, 極粗粒砂から細粒砂までが混合して, 分級がよくない。 火山岩塊由来の, ガラスの多い安山岩の角礫が含まれていることがある。

II.5.3.5 坪野 つぼの 凝灰質砂岩層(Yt, Yt')

地層名・模式地 : 新しく設けた部層であって, 魚津市 坪野部落の南方の谷から, その南西方, 魚津市 宇都呂へかけての間で模式的にみられる。 今村・ほか(1951)の, 池尻層の下部分と新村層下部の一部分とに相当する。

分布・構造 : おもな分布は, 早月川に沿った断層で切られているが, 上市川流域から片貝川流域までほぼ帯状につながっている。 このほか, 角川流域の鹿熊 - 池谷 [ ← 鹿熊の北東方 1.5 km ] 間と北山 [ ← 鹿熊の北東方 2 km ] 付近とに, 断層で重複した分布がある。 地層は, 早月川より南西の地区では 10~20°の北西・西向き傾斜, 早月川より北東の地区では 20~40°の北西向き傾斜を示している。 なお, この図幅地域の北東外 [ の黒部図幅地域内 ] へは, 今村・ほか(1951)が示したように数 km 連続している。

層序関係 : 下位の福平凝灰角礫岩火山円礫岩層と大岩凝灰岩層とに対しては非整合の関係, 上位の釈泉寺泥岩層に対しては整合の関係である。 南西側では, 隣接の五百石図幅との境界付近で, 大岩凝灰岩層と釈泉寺泥岩層との間に尖減している。

下位層に対する非整合については, 下位層が本来 不規則に集積した地層であるうえ, 坪野凝灰質砂岩層が境界と斜交する内部構造をもって重なっているため, 見掛上, かなりの斜交があるが, 須山の奥付近では地層の欠如がないと判断され(第 26 図参照), 他の部分での下位層の欠如も厚さ 100 m を越えないと推定される( [ 後に示す ] 第 28 図・第 29 図参照)。 この非整合の面は, 下位層堆積後に小規模の海退があり, 続いて釈泉寺泥岩堆積の海進が進行し始めた過程で作られた 浅海底での侵食の面と無堆積の面にあたると思われる。

層厚 : [ 早月川の東側の ] 宇都呂から [ 片貝川の東側の ] 東城の間で厚く, 30 m を越え, [ 早月川と片貝川の間の ] 坪野の上流では 60 から 70 m 前後に達している。 [ 上市川沿いの ] 釈泉寺付近・郷川の主谷付近 [ 位置不明 ] ・東福寺 [ ← 五位尾の北方 2.5 km ] の奥 [ = 南東方 ? ] 付近・鹿熊付近では, 20 m 内外, 須山 [ ← 釈泉寺の西南西方 1.5 km ] の奥 [ = 南東方 ? ] ・片地 [ ← 釈泉寺の北方 1.5 km ] の奥 [ = 南東方 ? ] ・池谷 [ ← 鹿熊の北東方 1.5 km ] では数 m である。 また, 北山 [ ← 鹿熊の北東方 2 km ] 付近では, 下部分が露出していないにもかかわらず, 数 10 m 以上に肥厚している。

第 27 図 坪野凝灰質砂岩層 地質柱状図 [ 凡例の記載は省略した ]

第 28 図 魚津図幅地域 南部地区 坪野凝灰質砂岩層 岩相変化図 [ 凡例の記載は省略した ]

第 29 図 魚津図幅地域 北部地区 坪野凝灰質砂岩層 岩相変化図(凡例は第 28 図と同じ)

岩相 : おもに凝灰質砂岩と砂岩とからなりたった浅海成の地層であって, 軽石凝灰岩・礫岩などがはさまれており, ところどころに貝・有孔虫などの遺骸が含まれている。 地層には中層理や厚層理があるが, 一般に明瞭な層理ではない。 第 27 図・第 28 図・第 29 図参照。 地質図上には, 凝灰岩を Yt', 凝灰質物の多い凝灰質砂岩とが優勢である部分を Yt として示してある。

宇都呂 - 東城間の下半部分は, おもに砂岩で, その間に部分的に礫岩・含礫砂岩・貝殻質砂岩・凝灰岩・凝灰質砂岩がはさまれている。 この部層の堆積期間の前半期に堆積したと考えられる。

砂岩は, 暗褐色(新鮮であれは暗灰色であろう), 風化が進んだもので褐色をおびた灰色であり, 粒度が粗粒砂岩から細粒砂岩まで種々である。 分級の程度もさまざまで, 中粒砂岩・粗粒砂岩のうちに分級の良いものが見られ, 泥質細粒砂岩のうちに礫まで含んだ分級の悪いものが見られる。 ただし, 粘土の含量は比較的少ない。 鉱物組成上は, 大多数が, 多量から非常に多量の安山岩質岩石粒, 少量の長石粒, 微量の石英粒という砂粒組合せでなりたっており, 少数が, 多量の長石粒, 少量の安山岩質岩石粒・石英粒という組合せである。 前者は, おもに, GILBERT(1954)の Lithic wacke, PETTIJOHN(1957)の Lithic gray-wacke・Sub-gray-wacke, 岡田(1971)の石英ワッケ・石質アレナイトに属し, 後者はおもに, GILBERT の Arkosic wacke, PETTIJOHN の Feldspathic gray-wacke・Arkose, 岡田(1971)の長石質ワッケ・長石質アレナイトに属する。

砂岩に含まれている安山岩質岩石粒は, 種々の組織の半晶質のもののほか, ガラス質・多孔質のもので, 亜円形, 次に円形の円磨をうけている。 ほとんどが, 下位の福平凝灰角礫岩火山円礫岩層起源の砕屑粒とみなされる。 長石粒は, 腐朽したものと新鮮な斜長石とであって, 大部分が福平凝灰角礫岩火山円礫岩層から, 新鮮な斜長石の一部はこの部層の堆積期に噴出された軽石から由来したと考えられる。 石英粒のうちには, 太美山層群の流紋岩質熔結凝灰岩起源と思われる自形結晶粒が認められる。 珪質岩(チャートなど)・石英安山岩・紫蘇輝石・角閃石・黒雲母・鉄鉱などの砂粒が微量, 軽石破片が微量あるいは少量含まれていることがある。 なお, 軽石片などの粗粒な火山抛出物は含まれていないが, 基質が凝灰質の泥でできた砂岩が認められる。

また, 砂岩の中には, 貝殻破片・有孔虫遺骸・海綿骨針破片が混入していることが多い。 坪野の奥では, この砂岩の上部分に多量の貝殻破片が含まれており, 貝殻破片がとくに多い部分は石灰質の堅い粗粒砂岩となっている。 貝殻類の破片は, 一般によく砕かれて大きさが数 mm 以下となっている。 属種が判定しにくいが, Cirripedia, Pectinidae(Chlamys など)が認められた。

礫岩・含礫砂岩中には, おもに, 亜円形・亜角形に円磨された, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層起源とみられる安山岩の細礫・中礫が含まれている。 東城付近では花崗岩質の礫, 宇都呂付近では珪長質火山岩・凝灰岩の礫も入っている。 凝灰岩・凝灰質砂岩中の凝灰質物は, たいてい, 軽石である。

宇都呂 - 東城間の上半部, 鹿熊付近・東福寺付近の主部, 開谷付近の上部・下部, 釈泉寺付近の下部は, 凝灰岩類・砂岩が混じった凝灰質砂岩からなりたっており, この部層の堆積期間の後半期に堆積したと考えられる。

凝灰質砂岩は, 軽石の砕屑と安山岩・長石などの砂粒からなりたっており, 軽石片が非常に多い。 淡灰色(風化で淡黄褐色おびる)のものから, 軽石片が比較的少ない, 灰色(風化で淡褐色おびる)のものまでにわたっている。 粒度上は, 粗粒・中粒・細粒の各粒度の砂岩がある。 どれも, 粘土粒子は少ないが, 細礫からシルトまでを含んでいて, 一般に, 分級が悪い。 地層には, 粒度の大小・凝灰質物の多少による中層理・細層理がかすかに認められる場合や, 乱堆積構造がみられる場合があるが, 通常, 凝灰岩層・凝灰質泥の薄層・含礫層などの夾在層がなければ, 層理が明瞭でない。 軽石の砕屑は, 非常に孔の多いものから, ほとんど孔のないガラスまで, 発泡の程度に差がある。 また, 砕屑化と円磨とを並行してうけているために, 種々の形状を示している。 安山岩は種々の組織のもので, 円磨された粒となっており, 腐朽した長石の大部分とともに, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層由来の砕屑と思われる。 新鮮な斜長石の一部と, 微量含まれている鉄鉱とは, 軽石から分離したものである。 ほかに, 石英・紫蘇輝石・普通輝石・黒雲母・チャートなどの砂・シルト粒が微量検出される。 貝殻片が認められることもある。

凝灰岩類には, 軽石凝灰岩と粗粒・細粒の凝灰岩とがある。 これらは, 普通, 淡灰色で, 風化すると黄褐色をおびた淡灰色や灰白色になる。 軽石凝灰岩中の軽石は多くは径 2~3 cm 以下の比較的よく発泡した脆い軽石で, 水底で少しの砕屑化をうけている。 斜長石・石英・鉄鉱・黒雲母が, 軽石中の斑晶またはそれから分離した粒として含まれている。 凝灰岩は, ほとんど軽石質の物質でなりたち, 少量の斜長石と鉄鉱が混じっている。 さらに, 石英・黒雲母が入っているもの, また, 小さい軽石が含まれているものもある。 これらは, 水底での砕屑化をうけているので, 供給された火山抛出物の粒度は, それぞれ, より粗粒であったと思われる。

宇都呂の東方では東西 100 数 10 m の間に, 厚さ約 3 m のガラス質の熔岩流が認められる。 下位は褐色をおびた灰色の中粒砂岩, 上位は凝灰質の泥質細粒砂岩である。 この熔岩は, 風化した部分が微細な割目によって中粒砂状にくずれるので, 肉眼では淡灰色の塊状のガラス質凝灰岩のように見える。 顕微鏡では, おもに半透明ガラスからなりたち, 白色の部分が交じって繊維状の構造ができており, 斑晶として, 微量の石英・斜長石・黒雲母・鉄鉱が含まれている。

砂岩は, 多くが, 風化によって淡褐色をおびた灰色の中粒や細粒の砂岩である。 一般に, 凝灰質物が少し混じるが, これは前記の凝灰質砂岩より分級がよく, 軽石の砕屑化が進んでいる。 砂粒の鉱物組成について, 多量の安山岩, 少量の長石, 微量の軽石の組合せ, あるいは, 多量の長石, 少量の安山岩, 微量の石英・軽石の組合せのものが多いが, 軽石片がかなり多量に混じっている場合もある。 おもな砂粒の種類と性質は凝灰質砂岩と共通しているが, 微量含まれているものの種類が多く, 凝灰質砂岩の場合より, さらに, 片麻岩・角閃石・ジルコン・貝殻・有孔虫・海綿骨針・炭質物などが含まれている。 坪野の上流では, この部層の上半のうちの下部の砂岩に貝殻破片が多く含まれていて, Pectinidae, Ostreidae, Brachiopoda が認められる。 東福寺の奥では, 砂岩と凝灰質砂岩の中に貝殻破片がかなり多く含まれている部分があり (帯状に集積されている場合がある), そのうちに, Amusium sp., Cardiidae cf. Clinocardium sp. が認められる。

開谷の北方の郷川の主谷付近から五位尾を経て釈泉寺までの間には, 礫岩が発達している。 郷川の主谷沿いでは, 厚さ 10 数 m の無層理の巨礫礫岩層である。 礫はほとんど珪長質火山岩で, 巨礫は亜円形・円形, 大・中礫は亜円形・亜角形の円磨をうけている。 五位尾付近では, 珪長質火山岩の角礫・亜角礫(最大礫径約 70 cm)からなりたった 厚さ数mの中礫・大礫礫岩となっている。 部落の東側では 部層の上部に おもに珪長質火山岩の円礫からできた厚さ約 1 m の大礫中礫礫岩もはさまっている。 これには, 珪長質火山岩のほかにチャートの礫が混じっている。 片地の奥では, 径 30 cm~1 m の巨礫を含んだ厚さ 2~3 m くらいの凝灰質砂岩となっており, 珪長質火山岩・花崗岩質岩石と, 手取層群のものらしい含細礫粗粒砂岩との角礫が含まれている。 釈泉寺付近では, 安山岩の角礫と珪長質火山岩の円礫の入った大礫礫岩がある。 これらの礫岩中の珪長質火山岩礫は, 石英安山岩・ 石英安山岩熔結凝灰岩・ 石英安山岩質凝灰岩(水成堆積のものを含む)など, 太美山層群の岩石からできているが, 花崗岩質などの礫とともに 下位の福平凝灰角礫岩火山円礫岩層 Yk5 中の角礫礫岩の中に含まれていた公算が大きい。 東城付近にも, 厚さ 3 m あまりの中礫大礫礫岩がはさまれている。 これには種々の安山岩礫と微量の花崗岩質礫とが含まれている。

釈泉寺付近では, この部層の上部, 須山の奥では部層の全部, 角川の支谷の北山付近で全部が, 泥質細粒砂岩と細粒砂を多く含んだシルト質泥岩とからなりたっている。 これらの砂岩は, だいたい, 多量の長石粒, 少量の安山岩片・石英粒,微量の軽石片という砂粒の取合せで構成されており, 微量の紫蘇輝石・角閃石・黒雲母・鉄鉱・海綿骨針・有孔虫・炭質物が検出される。 砂粒の起源は凝灰質砂岩の場合と同じであろう。 貝化石が少量含まれているところがあり, 釈泉寺付近では Lucinoma sp., 須山の奥では Acila (s. s.) sp. を認めた。

なお, 今村・ほか(1951)によって, この部層(今村・ほか(1951)の池尻層下部)の中から, Chlamys kaneharai (YOKOYAMA), Pecten kagamianus YOKOYAMA そのほかの貝化石が発見されている。

II.5.3.6 釈泉寺 しゃくせんじ 泥岩層(Ysm) [ Ysm, Ysm', Ys, Ys' ]

地層名・模式地 : 野沢・坂本(1960)によって命名された地層で, 中新川郡 上市町 釈泉寺の部落付近から約 1 km 下流 [ ← 上市川の ? ] までの間に模式的に露出している。 今村・ほか(1951)の新村層と東城層下半部とにあたる。

分布・構造 : この図幅地域では, 大岩川流域から布施川流域までの間, 北北東 - 南南西方向へ延びて分布しているが, 早月川の西岸に沿った断層を境として, 南と北の地質構造が違っている。 早月川の西岸以南では, 東福寺の奥から須山の奥へかけて一連に露出している。 地層は少し波曲しており, 走向が, 東福寺付近で北東 - 南西, 五位尾付近で北北西 - 南南東, 釈泉寺付近から南で北北東 - 南南西方向と変化している。 傾斜は, 北西向きで, 10~25°である。 この部層は, 南隣の五百石図幅地域内へ数 km 連続している(野沢・坂本, 1960)。

早月川の西岸以北では, 走向方向などの断層によって, 角川上流の宇都呂から片貝川流域の東城へかけての帯, 早月川の西岸の 上大浦 かみおおうら [ ← 鹿熊の南西方 1.5 km ] から角川流域の 池谷 いけだに [ ← 鹿熊の北東方 1.5 km ] までの帯, 北山 [ ← 鹿熊の北東方 2 km ] の北部のものなどに分かれ, 地層が重複して分布している。 宇都呂 - 東城の帯の地層は, 断層で多少ずれている箇所があるが, 全般に 10~20°の北西向き傾斜で連続し, 東隣の黒部図幅地域内で, 布施川沿岸からさらに北方へつらなっている。 上大浦 - 池谷の帯では, 南寄りで北西向き 20°前後の傾斜, 北寄りで北西向き 30°以上, 部分的に直立に近い傾斜を示している。 北山の北部では北西向きに 25~30°傾斜している。 これらのほか, 小菅 [ ← 小菅沼 こすがぬま ? ] ・池谷・北山の東部に, 断層によって, ほかの地層の間に割り込んだ小岩体がある。

層序関係 : 下位の坪野凝灰質砂岩層に対しては整合とみなされる。 両層の境界の岩質遷移は, 北部・中部地区では 坪野凝灰質砂岩層上部の凝灰岩や凝灰質物の多い砂岩または礫質岩から砂質泥岩へと急激であり, 南部では 凝灰質物の少ない砂岩または泥質砂岩から砂質泥岩へと漸移的である(第 27~30 図参照 [ 第 30 図は後に示す ] )。 この関係は, 海進途上の砂質帯から泥質帯への堆積環境移行と, 火山抛出物の供給の停止とに対応したものと思われる。

上位には, 音川累層が北部・中部地区で整合, 南部地区で非整合の関係で重なっている。

層厚 : 100 数 10 m から 200 m あまりの所が多いが, 地域差が大きく, 最も厚い上市川沿岸では 200 数 10 m, 次に早月川 - 角川間と上市川 - 郷川(五位尾)間で 200~200 数 10 m, 最も薄い坪野の奥では 100 m 前後である( [ 後に示す ] 第 31 図参照)。 なお, 上市川以南では, 上位の非整合によって, 上部分が欠けている(「II.5.4 音川塁層」の層序関係の項参照)。

岩相・化石 : おもに, シルト質泥岩からなりたった地層で, 浅海から, より深い海域にわたって堆積したものと思われる。

岩石は, 少し固結しているが, 団塊以外は軟岩で, 堅くない。 新鮮部は青味をおびた暗灰色, 風化部は, 普通, 黄褐色をおびた淡灰色である。 この崖錐堆積物は, 軟化した岩塊を含んだ泥がち土砂であることが多く, 風化土は, 粘重性をおびている.

全域にわたって, 最上部が粗粒である。 地質図には, 主部の泥岩を Ysm, 最上部の砂質泥岩がちの部分を Ys, 同じく砂岩がちの部分を Ys' として表わし, また五位尾付近の下部にある砂岩層を Ysm' として記入してある。 第 30 図は代表的な路線の地質柱状図を, 第 31 図は全域の岩相変化を示したものである。 中部・上部に, それぞれの地区での最も細粒な部分がある。

第 30 図 釈泉寺泥岩層 地質柱状図 [ 凡例の記載は省略した ]

第 31 図 釈泉寺泥岩層 岩相図 [ 凡例の記載は省略した ]

主部(Ysm) は, 極細粒砂を含んだシルト質泥岩(第 30 図には粗粒泥岩, 第 31 図には泥岩として示した), 次に細粒砂・極細粒砂を含んだ砂質泥岩から構成されており, 部分的に, 砂をほとんど含まないシルト質泥岩(第 30 図の細粒泥岩)・ 泥質細粒砂岩・ 凝灰質泥岩がはさまれ, 少量の団塊が含まれている。 全般に微細な炭質物・植物細片が比較的多く混入している。 地層には, 無層理状, 次に, かすかに層理をおびた部分が多いが, 東福寺付近・池谷などで, 葉層理・薄層理をおびた部分が含まれている。 葉層理・薄層理をおびた泥岩には, 風化で薄い板状の割目ができている。 部層の最下部は一般に少し粗粒で, 砂質泥岩が多い。 上市川沿岸の最下部では, 泥質砂岩が混じっており, その中に, Portlandia・Lucinoma・Macoma などの貝化石と樹葉片が見いだされる。 貝化石は全般にまれで, このほかには, [ 鹿熊の北北東方 2.5 km の ] 稗畠 ひえばたけ 付近の中部で Nuculana を認めただけである。 砂質泥岩の多い地区で地層が厚く, 薄い層理をおびた泥岩の多い地区で地層が薄い傾向が認められる。

代表的なシルト質泥岩には, 微量の粘土と 10~20 % 前後の極細粒砂が含まれており, おもな砂粒の種類は長石類, 次に石英である。 多くの場合, 少量の安山岩質岩片・珪質岩片, 微量の炭質物・海綿骨針・雲母・鉄鉱が含まれている。 さらに, 角閃石・輝石・軽石片・放散虫遺骸・珪藻遺骸・有孔虫遺骸が混じっていることもある。 砂質泥岩には, シルト質泥岩と共通なものが含まれているが, 細粒砂や極細粒砂が, 種々の割合で混じっている。 おもな砂粒の種類にも多い方から, 長石(斜長石・カリ長石)・安山岩質岩片・石英の順, あるいは安山岩質岩片・長石・石英の順となるなどの変化がある。 凝灰質泥岩の多くは, 微細な軽石片が入っているもので, 軽石片に炭質物が伴い, 基盤由来の長石・石英などの砂粒も混じっている。 なお, 全般に, 炭質物の微細片が含まれていることが多く, ときには, 黒く目立っている。

五位尾 ごいお の砂岩層(Ysm') は, おもに細粒砂混じりの極細粒砂岩からなりたった地層で, 厚い部分の層厚が 10 数 m, 南北に約 1 km 続いて尖滅している。 地層の主部では, シルト質の細粒層が伴って, 不明瞭な厚層理・中層理が表われ, その間に, 厚さ数 cm の団塊が層状になって含まれている。 南端部では砂岩とシルト質泥岩との厚さ数 10 cm~1 m ごとの互層でなりたち, 全体の層厚が主部よりわずか薄くなっている。 北端部では層厚が数 m で, その上半がシルト質泥岩厚さ数 10 cm と, 極細粒砂岩数 cm との互層となり, 下半にはシルト質泥岩の円形中礫が含まれている。

この砂岩は, 新鮮な部分が青味をおびた灰色で, 砂粒は長石(斜長石・カリ長石), 石英の順に多い。 ほかに, 少量の安山岩質岩片・珪長質火山岩片・珪質岩片, 微量の黒雲母・角閃石・紫蘇輝石・普通輝石などが含まれている。

上部・最上部(Ys・Ys') は, 砂質泥岩から中粒砂岩までの粒度の地層でなりたっており, 種々の岩相を表わしている(第 32 図, 第 33 図参照)。 この部分の厚さは, 一般に 20~50 m, 開谷 かいだん 付近が最も厚く 70 m 前後, 東福寺から上大浦にかけて最も薄く, 10 m 前後である。 比較的粗粒であるのは開谷周辺と 稗畠 ひえばたけ 付近とである。 最も多く見られる岩相は, 層理のかすかな砂質泥岩の岩相であって, 極細粒砂を含んだ砂質泥岩に, シルトの多い極細粒砂岩と, わずかの極細粒砂を含んだシルト質泥岩などが伴ったものである。 次に多い岩相は, 中粒砂混じりの, 細粒砂あるいは極細粗砂に, 泥質極細粒砂あるいは泥をはさんで葉層理・薄層理を作っている細粒砂岩の岩相である。 後者の岩相には, 斜交層理が多く, それから復元して求められる流向は, 郷川沿岸で北北西・北・北北東向き, 稗畠付近で北北西・北向きである。 そのほか, 泥質細粒岩が主となった岩相, わずか砂質の泥岩に細粒砂岩薄層をはさんだ岩相なども認められる。 砂質泥岩や泥質細粒砂岩が主となった岩相の地層には, 所によって, 凝灰質物・団塊・サンドパイプ・貝化石・樹葉片・魚鱗が含まれている。 その貝化石の種類は, Acila (s. s.), Saccella, Amusium, Lucinoma, Clinocardium, Macoma などで, Cirripedia も見られる。

砂岩は, 新鮮な部分で暗灰色か灰色, 風化部分で黄褐色をおびた淡灰色などを示しており, おもに, 長石(斜長石・カリ長石), 安山岩質岩石片, 石英の砂粒から構成されている。 おもな砂粒の量比には差異があり, 郷川沿岸から北の地域には, 長石・安山岩質岩石片・石英の順のものが優勢で, 安山岩質岩石・長石・石英の順のものなどが混じっており, 上市川沿岸には, 長石・石英・安山岩質岩石片の順のものが卓越している。 これらのほか, 少量の珪質岩片, 微量の石英安山岩質岩石片・ 珪長岩片・ 紫蘇輝石・ 普通輝石・ 角閃石・ 黒雲母・ 鉄鉱・ 炭質物・ 海綿骨針などが含まれ, 凝灰質のものには火山ガラスが混じっている。 砂岩中には, 泥が種々の割合で含まれているが, 一般に粘土が少なく, 比較的分級のよい砂岩もある。 また, 砂粒の円磨については, 一般に亜円形が主となっているが, 円形粒がかなり多いものも認められる。

釈泉寺泥岩中に含まれている砂粒は, おもに, 船津花崗岩類・福平凝灰角礫岩火山円礫岩層・太美山層群から, 一部が, 手取層群・岩稲累層・珪長岩から由来したと考えられる。

なお, 千地(1961)によって, 上市川の西岸の釈泉寺泥岩層下部から Uvigerina proboscidea, Robulus calcar, R. himiensis, Cassidulina sp., Cibicides sp. など, 片貝川の東岸の前村(東城の南西方)で中部から, Haplophragmoides emaciata, Bathysiphon sp. の有孔虫化石が見出されており, 釈泉寺泥岩層中に放散虫・海綿骨針・珪藻化石が, かなり普遍的に含まれていることが明らかにされている。

II.5.3.7 石英安山岩質岩脈(D)

新第三系を貫いている珪長質の岩脈である。 上市川・早月川流域で折戸凝灰岩層 [ Yo ] に貫入しているもの, 角川流域の鹿熊の南方の山頂(鹿熊城趾)からその南西麓にかけて露出しているもの, そのほか, 地質図上に示してないが, 角川上流の古鹿熊付近に散在しているものがある。

上市川流域の [ 図幅地域南端の ] 東種 ひがしたね の西方の岩体は, 円頂丘状の熔岩とその貫入部分と考えられる。 斜長石と少量の角閃石斑晶とを含んだ, 半晶質斑状の石英安山岩あるいは珪長質の安山岩である。 角閃石斑晶のほとんど全部, 斜長石斑晶の一部, 石基の大部分が変質している。 石英細脈に貫かれた部分がある。 [ 東種の北北東方 1 km の ] 稲村 いなむら の北方のものは, これと岩質が類似している。 早月川沿岸の 下田 げた 付近のものは, 金属鉱床の母岩となって, 変質をうけているが, もとは, 珪長質の安山岩質あるいは石英安山岩質の半晶質斑状(斜長石斑晶残存)の岩石である。 この岩脈は南西方向に傾いたレンズ状の形で, 北側が断層で断たれている。 以上の岩脈類は折戸凝灰岩層 [ Yo ] の堆積期間の後半期に形成されたと思われる。

鹿熊城趾付近のものは, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層 [ Yk… ] を貫いた岩脈で, 北西側が断層で切れている。 少量の斑晶を含んだ灰色の黒雲母石英安山岩で, 風化したものは褐色・白色などをおびている。 斑晶は, 石英・斜長石と微量の黒雲母で, 石英には融食をうけたものが多く, 斜長石の種類は中性長石・灰曹長石であり, 黒雲母はごく小さい。 石基は, ガラス質で, 中に, 微細な斜長石・鉄鉱などと, 晶子を含んだ部分とが含まれ, 一部に 球顆 きゅうか 構造が表われている。 城趾の山頂にある巨大な岩塊には空隙が多い。

古鹿熊の部落から, 東方・南東方へ約 1 km までの範囲に, [ 地質図に表示されている ] 安山岩岩脈のほか, [ 地質図に表示されていない ] 数本の珪長質火山岩の岩脈が分布している。 古鹿熊砂岩層 [ Yfs ] と福平凝灰角礫岩火山円礫岩層 [ Ykb ] の下部とに貫入している。 どれも幅数~10 m の小さい岩脈で, 北北東 - 南南西, 南北方向に延びている。 非顕晶質の岩石で, 肉眼で, 長石だけ, あるいは長石・石英の小さい斑晶が認められるものがある。

鹿熊城趾・古鹿熊の岩脈は, 比較的浅所で形成された岩質をもっているので, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層の堆積の終りから 釈泉寺泥岩層 [ Ys… ] の堆積の終りまでの間に貫入したのであろう。

なお, これらの岩脈の岩石は硬岩であるが, 風化した岩塊では中硬岩や軟岩になっている。 一般に, 岩脈の露出の周囲には, 岩塊を含んだ崩土が分布している。

II.5.3.8 安山岩岩脈(A)

おもに新第三系を貫いている安山岩質の岩脈である。 同時期とみなされるものが, 片貝川流域の太美山層群 [ F… ] の中にもある。 地質図に記入していないが, 幅数 m 未満の小さい岩脈もところどころに分布している。 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層 [ Yk… ] に貫入しているものが最も多い。

岩脈は, 大きいもので幅 30 m, 延長 1 km あまり, 一般には幅 10 m 以下で小さい。 直立に近いものが多く, 普通, 節理と冷却縁とが認められる。 岩脈の延びの方向は, 北東 - 南西方向が優勢であるが, 地区ごとに同方向の群となっていて, 貫入時の基盤の構造模様を暗示している。 例外的に, 古鹿熊には, 円頂丘状の貫入体がある。

岩石は, 一般に, 暗灰色の緻密で堅硬な輝石安山岩である。 ガラス・斜長石微晶と, 少量の輝石, 微量の鉄鉱などでできた石基中に, 少量の小さい斑晶, あるいは微量の微斑晶が含まれている。 石基中の輝石については, 変質している場合もあるが, 単斜輝石だけのものが多く, 少数に微量の斜方輝石が共存して認められる。 斑晶の輝石については, 普通輝石だけ, あるいは普通輝石・紫蘇輝石の組合せが見られるが, 変質している場合や斑晶として入っていない場合もある。

古鹿熊の円頂丘状の岩体の岩石は, 半晶質の輝石安山岩で, 斜長石(少量)・紫蘇輝石(微量)の小さい斑晶, 変質した輝石の微斑晶(少量)と, 長柱状斜長石・ ガラス・ 粒状輝石(変質)・ 鉄鉱などからできたガラス基流晶質石基とからなりたっている。 周辺に崖錐があって, 接触部の状況や節理の性状がわからない。

以上の安山岩質岩脈は, 大部分が福平凝灰角礫岩火山円礫岩層 [ Yk… ] の堆積期間中, とくにその後期に貫入したと思われる。

II.5.4 音川 おとがわ 累層 [ Os, Os', Om ]

魚津図幅地域には, 音川累層に含まれる地層が最大 300 数 10 m の厚さで露出している。 南部地区では, 八尾累層 [ Y… ] に非整合に重なり, 砂岩の中に音川動物群(紺野(1967); ほか)に属する浅海生貝化石を多量含んでいる。

地層名・模式地 : この報告で使う音川累層は, 池辺・中世古(1955)の音川累層を, 富山積成区全域に広げて準用したものである。 [ 本図幅の南西隣の ] 八尾図幅地域の地層が累層の模式となっている。 地層名は, 槇山・池辺(1948)の音川層群や, 池辺(1949)の音川亜層群に由来している。 この地域では, 今村・ほか(1951)の新山層と, 東城層の上半部とが音川累層になる。

分布・構造 : [ 図幅地域の ] 南端の大岩川流域から北端の布施川流域まで, 北北東 - 南南西方向につらなって, 下位の八尾累層の分布の西側に露出している。 早月川の西岸に沿った断層を境として南半と北半の構造が食い違っている。

早月川以南の地域では, 地層はわずか波曲し, 15~20°の西北西・西向き傾斜で, 東福寺付近から大岩川沿岸の大松新付近まで連続している。 大岩川以南へも, 五百石図幅さらに八尾図幅地域へと続いている(野沢・坂本(1960); 坂本・野沢(1960))。

早月川以北では, 北東 - 南西に通る断層帯とそれに交差する小断層とによって, 多数の地塊に分かれ, 重複して分布している。 断層帯の西側を占めている [ 早月川沿いの ] 上大浦 かみおおうら [ ← 鹿熊の南西方 1.5 km ] から [ 片貝川沿いの ] 貝田新 かいだしん [ ← 東城の西北西方 2 km ] 付近までの帯の地層は, 北側方で上位の室田累層・呉羽山累層の下にかくれ, 東側を占めている坪野の南方から東城の東方への帯の地層は, 布施川沿岸の 笠破 かさやぶり [ ← 本図幅の東隣の黒部図幅地域内 ] 付近を経てさらに [ 黒部図幅地域内を ] 北方へ延びている。 これらの帯には, 地層の擾乱が少なく, 北西へ 10~20°傾斜した部分が多いが, 中間の, 断層で乱された帯には, 池谷 いけだに [ ← 鹿熊の北東方 1.5 km ] で 30~40°傾斜した部分, [ 池谷の東北東方 1 km の ] 坪野の北方で北東・東向きに 20°以上傾斜した部分ができており, また断層によって割り込んだ室田累層の小地塊も認められる。

層序関係 : 八尾累層 釈泉寺泥岩層の最上部に, 南部では非整合に, 中央部・北部の大部分では整合に重なっている。 南部地区では, ごく浅い沿岸性の環境を経て地層が変わったとみなされる。

第 32 図 魚津図幅地域 南部地区 釈泉寺泥岩層 - 音川累層 境界部 地質柱状図 [ 凡例の記載は省略した ]

第 33 図 魚津図幅地域 北部地区 釈泉寺泥岩層 - 音川累層 境界部 地質柱状図 (凡例, 縮尺は第 32 図と同じ)

両層 [ = 釈泉寺泥岩層と音川累層 ] の境界は, 第 32・33 図のように, 種々の岩相の移り変わりとなって表われている。 南部では音川累層の基底部に礫質層が見られ, 中部地区でも [ 鹿熊の北北東方 2.5 km の ] 稗畠 ひえばたけ には基底礫岩と侵食面とがある。 下位層の削剥は, おそらく, [ 五位尾のそれぞれ西方と北方の ] 片地池 [ = 片地 かたじ の池 ] と開谷の間から南へ現われ, 釈泉寺泥岩層の岩相・層厚変化(第 31 図参照)を考慮に入れると, 削剥の量が, 稗畠ではわずか, 上市川沿岸では厚さ 30~40 m, [ 五位尾の南西方 3 km の ] 須山付近で 50~80 m, 大岩川沿岸では 100 m くらいであろう。 なお, 大岩川沿岸では, 音川累層最下部の岩相からみて, 陸上削剥が考慮される。

上位には, 室田累層が不整合関係で重なっている。

層厚 : 室田累層との間の不整合によって, 最大 300 数 10 m から全層が欠如するまでの違いができている。 北部地区の断層帯とその西側の部分には, 間にはさまれている [ 音川塁層の ] 泥岩部層(Om) より上位の 砂岩部層(Os) まで存在し, 一般に, 200~200 数 10 m, [ 鹿熊の北方 1.5 km の ] 金山谷 かなやまだに 付近の角川沿岸で地層の肥厚が加わり最大 300 数 10 m に達している。 これらの部分の Om より下位の Os の層厚は, 金山谷付近・東城の北西で 160~170 m 前後, そのほかで 120~130 m 前後であり, Om の層厚は金山谷・坪野で数 10 m, 北東へ向って薄くなり片貝川沿岸で 30 m 前後, また南西へ向って急激に薄化している。

南部と, 北部の東側の分布帯では, Om より下位の Os しか存在しないとみなされ, 片地以南・島尻 [ ← 東城の南西方 1.5 km ] の西方・東城の北東方では 100 数 10~200 m, 削剥量が大きい開谷 - 早月川間では数 10~100 m, 坪野の奥では 数 10 m 以下となり, 全く欠如された所もある。 第 34 図参照。

第 34 図 魚津図幅地域 音川累層 岩相図 [ 凡例の記載は省略した ]

岩相・化石 : おもに, 泥質の細粒砂岩からなりたった地層で, 音川動物群に属する浅海生貝類の化石が多く含まれている。 浅海域からそれより少し深い海域にわたって堆積したものと思われる。

主体となっている砂岩層(Os)と中部にはさまれている泥岩層(Om)から構成されている。 金山谷付近の角川沿岸で, この地域の最も上位の層準までが見られる。 第 34 図・第 35 図参照。 なお, 南部地区と, 北部地区の東側分布帯との Os は, Om より下位の部分とみなされる。

第 35 図 魚津図幅地域 音川累層 地質柱状図 [ 凡例(化石名の略号を含む)の記載は省略した ]

岩石は, 少しの固結を経ているが, 団塊以外は堅くない。 一般に, 新鮮な部分は青味をおびた暗灰色, 風化した部分は褐色をおびた灰色を示している。 傾斜地には軟弱な岩塊を含んだ土砂がちの崩土が見られ, 丘陵地の上などには土壌化の進んだ部分がある。 上市川の東岸の 眼目 さっか [ ← 釈泉寺の北西方 1.5 km ] 付近の土壌は水田の客土材に利用されたことがある。

砂岩層(Os, Os'): この地域の南 [ = 南隣の五百石図幅地域 ] 上滝 かみだき 砂岩層(野沢・坂本(1960), 坂本・野沢(1960)参照)に連続しており, 岩質にも似た点がある。 魚津地域では, 地区と層準とによって, 岩相に少しづつ差異がある。 南部地区の岩相は上市川沿岸で, 北部地区の岩相は角川沿岸の金山谷付近で模式的に見られる。

南部地区では, 大部分がシルト質細粒砂岩からなりたち, 上浅海生貝化石が比較的多く見出される。 地層には, 層理の明瞭な部分は少ないが, 多少の粒度組成差が含まれており, ところどころ, 中粒砂混じり, また細礫・中礫混じりの細粒砂岩層, あるいは極細粒砂の多い細粒砂岩層がはさまれている。 礫混じり・中粒砂混じりの細粒砂岩は, この地層の下部分に多く, また上市川沿岸に多い。 なお, 上下を通じて, 炭質物の細片が散点したり, 薄層となって含まれていることがあり, 下部には部分的に凝灰質物が混入している。

南部地区の最下部には, ごくゆるい波面状や平面状の削剥面を基底として, 須山で細礫や小型中礫を含む泥質細粒砂岩(厚さ約 3 m), 上市川の西岸で小型大礫混じりの中礫礫岩(15 cm 以下, レンズ状)と泥質細粒砂岩, 上市川の東岸で大礫・巨礫混じりの中礫礫岩(厚さ膨縮, 15~50 cm)がある。 須山では基底面から下位の釈泉寺泥岩層中へ, 径 1~1.5 cm の細粒砂で充填されたサンドパイプが 深さ数 cm まで入っているのが観察され, 上市川の東岸では 礫岩の厚い部分の基底面が階段状に削剥されているのが見られる(第 32 図参照)。

貝化石の量は, 一般に, 地層の下部寄りに, また地域的には上市川 - 片地の池間を中心として多い。 貝化石は, 少ない部分では散点あるいは少量の集積として見いだされるが, 多い部分では, 層状・レンズ状・塊状などに密集して含まれており, 合貝 あわせがい [ ≒ 2枚貝 ? ] が多く, その部分が団塊化していることがある。 化石層は厚さ 10~30 cm のものが多く, それぞれ, Glycymeris・Dosinia・Mya のうちの 1・2 種が卓越して含まれている場合が多い。 第 35 図に付記したように, 地層の上下で多産する種類が変化している。 南部地区で認めた貝化石の種類は, 次のようである。

Turritella saishuensis YOKOYAMA
Natica sp.
Nassarius sp.
Fulgoraria sp.
Anadara amicula YOKOYAMA
A. sp.
Glycymeris matumoriensis NOMURA et HATAI
G. sp.
Patinopecten yessoensis (JAY)
Ostrea sp.
Clinocardium sp.
Dosinia (Kaneharaia) kaneharai YOKOYAMA
D. spp.
Mercenaria chitaniana (YOKOYAMA)
Mactra sp.
Spisula sp.
Macoma calcarea (GMELIN)
Peronidia sp.
Mya cuneiformis (BÖHM)

北部地区の Om 層以下は, シルト質細粒砂岩に, ところどころ砂質泥岩層がはさまれた地層で, 層理が目立たない部分が多い。 下浅海生などの貝化石が少量, 散点的に含まれており, 部分的に中粒砂混じり・細礫混じりの細粒砂岩層や中粒砂岩層がはさまれている。 細粒砂岩は, 南部地区のものに比べて, 一般にシルトと極細粒砂の量が多い。 砂質泥岩層は, 一般に, 極細粗砂・細粒砂をかなり多く含んだもので, 厚さ数 10 cm~3 m の層としてはさまれている。 例外的に, 金山谷付近には, 極細粒砂を含んだシルト質泥岩などでなりたった, 最大層厚 20 数 m の レンズ状の泥岩層(Os') が存在している。

北部地区の最下部には, 貝化石が含まれていることがある。 金山谷からその西方にかけては Acila (Truncacila) sp., Nuculana congiensis OTUKA, Portlandia sp., Yoldia (s. s.) sp. が見いだされ, 島尻の西方では, Acila (s. s.) sp. が含まれている。 稗畠では Cirripedia を含んだ厚さ 1 m 数 10 cm の中礫礫岩が基底礫岩となって, 釈泉寺泥岩層の削剥面をおおっている。 Om 以下についての下部・中部に, 東側分布帯で, 凝灰質の部分が認められ, また, Nuculana sp., Yoldia sp., Limopsis sp., Lucinoma sp. などの貝化石が見いだされる。

北部地区の Om 以上は, シルト質細粒砂岩に, ところどころ, 中粒砂・細礫混じりの細粒砂岩層, 中粒砂岩層, 凝灰質細粒砂岩層がはさまれた地層である。 Om 以下の部分より, はさまれている地層が少し粗粒であり, 層理が認めやすい。 凝灰質砂岩中には軽石の細礫・小型中礫が散点的に入っていることがあり, 部分的に Acila, Macoma が含まれている。

南部・北部を通じて, 砂岩のおもな構成砂粒は, 長石と安山岩質岩片, 次に石英であり, 長石より安山質岩片が多い場合がかなりある。 一般に亜円形粒が多く, それに円形粒が伴っている場合と, 亜角形粒が伴っている場合とが認められる。 泥の量は 10 % から 50 % まで種々であるが, そのうち, 粘土の量は微量である。 副次的に含まれている砂粒の種類は, 珪質岩片・ 石英安山岩質岩片・ 珪長岩片・ 角閃石・ 紫蘇輝石・ 普通輝石・ 黒雲母・ 鉄鉱・ 軽石片などであり, そのほかに, 炭質物片・海綿骨針片が含まれていることがある。

砂岩の多くは, 鉱物組成の分類上 GILBERT(1954)の Arkosic arenite・Arkosic wacke・Lithic arenite・Lithic wacke, PETTIJHON(1957)の Arkose・Sub-gray-wacke, 岡田(1971)の長石質アレナイト・石質アレナイトにあたり, 砂のおもな供給源として, 船津花崗岩類・福平凝灰角礫岩火山円礫岩層・太美山層群・手取層群が推定される。

下部・基底の礫岩には, 須山付近では細礫・小型中礫としておもに珪質岩が, 上市川周辺では 中礫・大礫として 斑状の石英安山岩質岩石・ 流紋岩質岩石・ 無斑晶状の石英安山岩質岩石・ 流紋岩質熔結凝灰岩・ 珪質岩(チャート, 結晶質のチャート, 変質した珪質の細粒堆積岩, など)・ 変質安山岩が, 稗畠では 中礫として 変質安山岩・安山岩・安山岩質火山砕屑流凝灰岩・閃緑岩質岩石が含まれている。 基底部・下部の地層中の中礫・大礫は, 海汀 かいてい [ = 海の波うちぎわ ] での円磨を強くうけていない形状のもので, とくに稗畠の礫の多くは河川礫の形状を保っている。 中部・上部に含まれている礫は, おもに珪質岩と斑状の珪長質火山岩で, 一般によく円磨された細礫・小型中礫である。 珪長質の火山岩類は太美山層群に, 安山岩類は福平凝灰角礫岩火山円礫岩層に, 閃緑岩質岩石は船津花崗岩中の捕獲岩に起源が求められる。

泥岩層(Om): 角川流域の魚津市 金山谷付近で, 地層が厚く, 岩相が模式的に観察される。 金山谷付近では層厚が 60~70 m あり, 上下に岩相の変化がある。 下部は 極細粒砂混じりのシルト質泥岩と極細粒・細粒砂岩との不規則な薄互層に 泥岩薄層などがはさまれている地層で, 厚さ 2~10 cm の強い平行層理をおびている。 上方へ少し粗粒となり, 層理の弱い部分が増している。 くわしく見ると, この地層には, 中粒砂混じりの細粒砂から粘土混じりの細粒シルトまで, 種々の粒度の部分が含まれている。 中部は, 下部より細粒砂岩が少なく, 層理が 10~20 cm の厚さで疎らである。 上部は, 極細粒砂混じり粗粒シルトまたは粗粒シルト勝ちの, シルト質泥岩で, 層理が目立たない地層である。

金山谷付近では, 上下を通じて, 微細な炭質物が比較的多く含まれており, とくに下部・中部には細片が密に含まれた黒色の薄層がはさまれていることがある。 また, ところどころ, 軽石の細片が混じっている。 泥岩の部分は暗灰色, 風化して黄褐色をおびた淡灰色などを示し, 砂岩の部分は泥岩より淡色である。

稗畠・ 坪池 [ 位置不明 ; 坪野 ? ] ・大谷 [ ← 稗畠の北東方 1.5 km ] 付近の地層は, 金山谷のものと共通した性質を備えているが, 片貝川沿岸の地層は, 金山谷付近のものより全体に細粒で, 砂岩が少なく, 層理が弱まる。 とくに北寄りでその傾向が強い。 貝田新付近の [ 片貝川の ] 西岸では, 極細粒砂混じりのシルト質泥岩を主にした層理の目立たない地層で, 下部にわずかに層理が現われ, 極細粒砂岩薄層と炭質物の多い薄層がはさまれ, 上部に厚さ 10 cm 内外の団塊帯が含まれている。 [ 片貝川の ] 東岸では, 厚さ約 30 m の全体が層理の目立たない, おもに極細粒砂混じりのシルト質泥岩からなりたっている。 坪野の東方には, 部分的に斜交層理があり, ここでは北東方面へ向う流向が復元される。

Om 中の砂岩の砂粒の種類は, おもなものが長石・石英・安山岩質岩片・軽石片, 微量含まれているものが 珪質岩片・角閃石・紫蘇輝石・普通輝石・黒雲母・炭質物・海綿骨針などである。 軽石片を除けば, 根本的には砂岩層(Os)と変らないが, Os より淘汰が少し進んだ組成になっている。

なお, 千地(1961)によって, 片貝川の東岸の Om より下位の砂岩層中から, 有孔虫化石 Cibicides lobatulus, Hanzawaia nipponica などが検出されている。 また, 貝類化石については, 今村・ほか(1951), 藤井(1965)によって, 前述以外の種類も報告されている。

II.5.5 室田 むろだ 累層 [ Mc, Ms ]

この累層は, 化石をほとんど含んでいないので, 氷見期の地層と決定できないが, 層序関係から, 氷見累層と同時期に堆積したと考えられる。 なお, 氷見期に属している八尾図幅地域の 三田 みた 砂岩層(坂本・野沢, 1960), 富山図幅地域の 安養坊 あんようぼう 砂岩泥岩互層・ 長慶寺 ちょうけいじ 砂岩(坂本, 1963), 泊地域の 横尾 よこお 砂岩(藤井, 1959b)と岩相がかなり違っている。

地層名・模式地 : 今村・ほか(1951)の室田層と平林層の一部とにあたり, 角川流域の魚津市 観音堂 かんのんどう ・室田から 湯上 ゆのえ [ ← これら3箇所はいずれも鹿熊の北方 2.5~3.5 km ] にかけて模式的に露出している。

分布・構造 : 早月川の南岸に沿った断層に切られて, 南北に分離されている。 早月川以南では, 地層はわずか波曲した 10~20°の西北西向き傾斜で, 東福寺付近から南方の大岩川付近まで, 開析扇状地堆積物の下になって連続している。 早月川の南岸以北では, 走向方向の断層帯の部分と, その両側とに分布している。 このうち, 断層帯の西側の地層は, 早月川の西岸の上大浦(地質図に記入してないが, ここでは西向き 15°の傾斜が測られた)から, 北方の布施川支谷の日尾 [ ← 片貝川沿いの貝田新の北方 1.5 km ] へかけて, 北西・西北西へ数~10 数°, 部分的に 20°あまり傾斜し, わずか波曲している。 北山・坪野・ 御影 みかげ [ ← 日尾の東方 1.5 km ] などの断層帯の部分では, 小地塊ごとに, 地層が東南東・南東向き, あるいは西北西向きなど, 違った方向に傾斜し, 傾斜度もさまざまである。 これらの傾斜の変化によって, 断層生成前に小褶曲が形成されたことがわかる(地質図断面参照)。

断層帯の東側では, 地層は小断層に切られてはいるが, 角川支谷の坪野の南方から布施川沿岸の 黒沢 くろさわ [ ← 図幅地域北東隅の布施川の南岸 ] の南方・ 笠破 かさやぶり (黒沢の西方 1 km, 黒部図幅内)へかけて西北西・北西向き数~10 数°の傾斜で断続的に分布している。 この延長は黒部川の下流西側の 下立 おりたて 付近(泊図幅内)まで認められる。

層厚 : 角川流域で厚く, 室田 - 湯上間で最高の 300 数 10 m, 坪野・北山付近で 200 m 以上, 角川 - 早月川間で 200 m 前後である。 布施川沿岸で薄く, 黒沢の南方の西岸で 20 m 弱であり, [ 黒崎の北西方 1 km の ] 釈迦堂 しゃかどう の対岸では欠如している。 上市川以南でも薄く, 数 10 m 未満である。 その他の地域には, 数 10 m から 100 数 10 m の間で変化がある( [ 後に示す ] 第 37 図参照)。

層序関係 : 下位の音川累層, 一部では八尾累層の釈泉寺泥岩層の侵食面上をおおっており, 次のように不整合関係が推定される。 [ 1 ] 基底層が 音川累層の厚さにして 300 m 以上の差にわたる種々の層準と 釈泉寺泥岩層の上部とに接していること(第 34 図参照), [ 2 ] 八尾図幅地域などと比較したとき, この地域の音川累層の岩相がとくに堆積量の小さい岩相ではないので, この地域にも現存以上の厚さの音川累層が堆積していたと考えられること, そして, [ 3 ] 室田累層が浅海域の堆積物であることを考え合わせると, この地域に露出する室田累層の基底下の削剥には陸上侵食が働いたとみなされる。 ただし, 早月川以北で音川累層が Om 泥岩層を含んで残存している範囲については, 海底下だけの侵食によると解釈できる余地がある。

なお, 室田累層の基底部には礫岩などの粗粒砕屑岩が伴っており, また, 最下部と直下の音川累層とが斜交している露出がある。 音川累層の欠如が大きい坪野の奥付近から, その北西方向への斜交は平均 2~3°と推定され, そのうち, 南東側に寄った部分の斜交が大きい。

上位は, 呉羽山礫層が不整合に重なり, また, さらに大きく斜交して開析扇状地堆積物がおおっている。

第 36 図 魚津図幅地域 室田累層 地質柱状図 [ 凡例の記載は省略した ]

第 37 図 魚津図幅地域 室田累層 岩相図 [ 凡例の記載は省略した ]

岩相 : 浅海成とみなされる地層で, 凝灰岩などをはさんだ凝灰質砂岩の部層と, 安山岩質の火山円礫岩と凝灰質含礫砂岩からなりたった部層とを含んでいる。 前者の部層, 凝灰質砂岩層(Ms)がおもな構成員で, 後者の火山円礫岩層(Mc)は北東部で, 前者の下部分にはさまれて, 北東部にだけ存在している。 第 36 図・第 37 図参照。

岩石は, ごく弱い固結しかうけていないので, 軟らかく, 風化によって土砂になりやすい。 丘陵の頂部・緩斜地には土壌化の進んだところがあり, 谷には崩土が多い。 ただし, 火山円礫岩層(Mc)中には硬岩, 風化して中硬岩級の堅さを示す安山岩などの礫が含まれている。

凝灰質砂岩層(Ms) の過半は層理の目立たない凝灰質細粒砂岩である。 これに, 凝灰岩・粗粒~中粒の凝灰質砂岩・凝灰質泥岩などが伴っている。 基底部には礫岩か含礫砂岩が認められる。 凝灰質砂岩のうちには, 凝灰質物が非常に多いものがあり, これには, 普通, 明瞭 めいりょう な層理が現われている。

基底部は, 場所によって, 異なった岩質を示している。 [ 角川の東岸の ] 観音堂・室田周辺では, 厚さ 20~40 cm の大礫混じりの中礫礫岩または 凝灰質の含礫泥質砂岩や含礫砂質泥岩が連続している。 これらには, 斑状の石英安山岩・ 無斑晶状の石英安山岩質岩石・ 流紋岩質熔結凝灰岩・ 流紋岩・ 輝石安山岩・ 珪質岩などの なぎさ の円磨をうけた円礫と, 一部で音川累層砂岩の角礫が含まれている。 片貝川の東岸と布施川の西岸では, 凝灰質の含礫砂岩が主となり, その厚さが室田周辺より厚く, 花崗岩質岩石の礫も認められる。 早月川の南岸では, 小型の中礫を含んだ厚さ 2 m 前後の凝灰質中・粗粒砂岩がある。 早月川より南では, 多くの場合, 斑状の珪長質火山岩などの小型中礫・軽石を少量含んだ中粒・粗粒砂混じりの凝灰質細粒砂岩, または礫を含まない凝灰質細粒砂岩が基底部を占めている。 例外的に, [ 郷川沿いの ] 黒川 - 開谷間で, 斑状の珪長質火山岩の亜円形の大礫・中礫・巨礫が, 基底面上に1段だけ並んでいる部分が認められる。 ここでは, 花崗岩中の捕獲岩と思われる苦鉄質の深成岩の礫が混じっている。 また上市川沿岸では累層下部の砂岩にはさまれている礫層に, 珪長岩・斑状の珪長質火山岩・安山岩・花崗岩質岩石の中礫が含まれている。 全域を通じて, 基底部・下部に含まれている礫は, 珪長質火山岩類は太美山層群から, 安山岩はおもに岩稲累層から, 珪質岩は手取層群から, 花崗岩質岩石は船津花崗岩類から由来したものである。

なお, 基底面は比較的平滑であることが多い。 部分的には 凹凸 おうとつ があり, 黒川 - 開谷間の基底礫岩の下では, ゆるく波曲した基底から下位の音川累層中に内径 1 cm, 外径 2 cm 前後のサンドパイプが, 5~10 cm の深さまで入っている。

凝灰質細粒砂岩は, 一般に, 黄褐・赤・橙などをおびた淡灰色を示している。 この色調は室田累層の特徴のひとつである。 凝灰質細粒砂岩は, 分級がよく細粒砂が卓越しているもの, 中粒砂混じりのもの, 分級がわるく極細粒砂・シルトを多く含むもの, 極細粒砂が卓越しているものなど, その粒度組成が多様である。 これらの中の砂粒の鉱物組成は, 一般に, 火山岩片・長石に, 少量の石英・軽石片と, 微量の雲母などが混じったものであるが, 長石が最も多いもの, 軽石片がかなり多いものなどもある。 ほかに, 珪質岩片・輝石・海綿骨針片・炭質物が微量含まれていることがある。 火山岩片は, 大部分が安山岩質の半晶質岩片で, 一部が珪長質火山岩片である。 砂粒の円磨は, 火山岩片が亜円・亜角形, 軽石が角形である場合が多い。 なお, 凝灰質細粒砂岩の色調は, 黄褐・赤・橙色をおびた安山岩質風化岩片・基質・風化長石と, 暗色の安山岩質新鮮岩片と, 淡色を示す新鮮長石・軽石片・石英との混合によって現われた色調である。

凝灰質粗粒~中粒砂岩には, 暗色のものと淡色のものとがある。 暗色のものには, 紫をおびた灰色などの, 比較的新鮮な安山岩片が卓越し, 次に風化した火山岩片, 少量の長石・石英, 微量の珪質岩片・普通輝石・紫鮮輝石などが含まれており, 淡色系のものには, 多量の軽石片に少量・微量の長石・石英・黒雲母・火山岩片などが含まれている。 新鮮な安山岩質岩片は, 多くがガラスの多い半晶質石基をもち, おもに複輝石安山岩質である。

これらの凝灰質砂岩の過半は, 鉱物組成上, GILBERT(1954)の Lithic arenite, PETTIJOHN(1957)の Sub-gray-wacke, 岡田(1971)の石質アレナイトに属する。 軽石片と黒雲母は同時期の火山抛出物から, 火山岩片の大部は, 音川期後半から室田累層堆積時までの期間の安山岩質火山噴出物から由来したと考えられ, ほかの砕屑物は, おもに, 船津花崗岩類・太美山層群・手取層群起源とみなされる。

凝灰岩と, 凝灰質物が非常に多い凝灰質砂岩とは, 粗粒砂から細粒砂までの諸粒度にわたっている。 たいてい, 淡色の繊維状構造の軽石片からできており, 微量の黒雲母と暗褐色ガラス片が混じっている。 軽石片は, 比較的硬質で, 少しの磨滅をうけている。 このうちの凝灰質砂岩には, 微量の火山岩片・長石・石英なども含まれている。 なお, 累層の最下部には, 軽石質凝灰岩と, 軽石片の多い凝灰質砂岩とからなりたった凝灰質層があり, よく連続している。 この凝灰質層の層厚は, 早月川以南では数 m 未満であるが, 早月川以北では 10 数 m に達している。 この層厚の変化は, これらの火山抛出物が北部に多く降下したことを示している。

凝灰質泥岩は, 極細粒砂・細粒砂を含んだシルト質泥岩で, 葉層理をおびており, 細粒砂岩と共通な種類の砂・シルト粒と, 炭質物や海綿骨針を含んでいる。

化石は, この部層には少ない。 貝類を認めていないし, まれに海綿骨針が含まれているが, 微化石もほとんど見出されない。

火山円礫岩層(Mc) は, 坪野周辺・大谷の奥と, 日尾 - 御影間から片貝川の東岸までとの2地区に分布しており, 魚津市 北山 - 坪野間の角川支谷で模式的に観察される。 層厚は, 坪野周辺で 100~100 数 10 m, 日尾 - 御影間では下限がわからないが 40 m 以上, 片貝川の東岸では 10 m 弱である。 両地区の地層は, それぞれ, レンズ状で側方へ含礫砂層に変わると思われる。

おもに, 安山岩礫を含んだ凝灰質の粗粒砂岩・中粒砂岩と, 安山岩の火山円礫岩とからなりたっている。 層理が明らかでない部分と, 礫の多少などによって厚さ数 10 cm~1 m の層理をおびた部分とがある。 礫を含まない凝灰質砂岩が, 少量はさまれており, その砂岩に薄層理が見られることがある。 礫岩の基質は, 一般に, 凝灰質の粗粒砂や中粒砂である。

礫は, ほとんどが安山岩の礫で, おもに亜角形・亜円形, 少数が角張った形を示している。 粒度は, 坪野周辺で中礫・大礫に最大径約 70 cm の巨礫混じり, 日尾 - 御影間で大礫・中礫に最大径約 1 m の巨礫混じり, 片貝川の東岸で細礫・中礫に大礫混じりである。

礫の安山岩は, 種々の組織を示すものにわたっているが, 黄色をおびた灰色のものが多く, おもに半晶質斑状の紫蘇輝石・普通輝石安山岩である。 石基に単斜輝石を含んだものがある。 この安山岩のほかに, 坪野周辺では花崗岩質岩石・片麻岩・珪質岩, 日尾 - 御影間では片麻岩, 片貝川の東岸では花崗岩質岩石・珪質岩・古期の安山岩の礫が少量見いだされる。 主要な安山岩礫は, その岩質と産状とから, 音川期後半から室田累層堆積時までの期間にできた火山噴出物の陸上削剥物と推定される。 古期の安山岩礫は岩稲累層あるいは福平凝灰角礫岩火山円礫岩層から, 花崗岩質岩石は船津花崗岩類から, 片麻岩は飛騨変成岩類から, 珪質岩は手取層群から由来したとみなされる。 また, これらの礫は, 河川から排出された後, ほとんど海汀の円磨を経ないで堆積している。

II.6 第四系

魚津図幅地域の第四系のおもな構成員は, 更新世前期に堆積したとみなされている呉羽山礫層, 開析扇状地や河岸段丘を作っている更新世中期・後期の堆積物, 現世扇状地に分布している冲積堆積物である。 呉羽山礫層は海成の新第三系に不整合に重なった非海成層で, 第四系の下半分を構成している。 開析扇状地堆積物は, 現在の河系と関連の深い砂礫質の堆積物で, 6時期の堆積物に分類される。 大きい河川の河岸には, 新期の開析扇状地に対応した河岸段丘堆積物が分布している。 冲積堆積物は, ウルム(Würm)氷期中の最大海面低下期以降, 低地地形を埋めて堆積してきたとみなされる堆積物である。 この地域では, 現在の扇状地などを形成しており, 主部が砂礫質の堆積物からなりたっている。

以上のほか, 山地・丘陵地などに崖錐堆積物が分布し, 海岸の一部に砂丘堆積物がある。 崖錐堆積物には, 現世にできた新期崖錐堆積物と, 更新世中にできたとみなされる古期崖錐堆積物とが識別される。 砂丘は比較的新しい砂丘である。 なお, 海浜堆積物と河床堆積物については地形の章に記述した。

扇状地成の礫質堆積物が多いこと, 呉羽山礫層が断層で乱されていること, 海成段丘がないことは, この地域の第四系の特色である。

II.6.1 呉羽山 くれはやま 礫層(Kp, Kg, Kt, Ks, Km)

地層名・模式地 : 呉羽山礫層という名称は, 今村(1932)に始まり, 藤田・中川(1948), 池辺(1949), 中世古(1954), 池辺・中世古(1955)などの呉羽山累層に受け継がれていた。 現在では, 藤井・坂本(1961)の再定義によって, 呉羽山丘陵に分布する礫層のうちの下位の礫層が呉羽山礫層と呼ばれている。 この模式地は, 富山図幅地域の呉羽山丘陵の 安養坊 あんようぼう から呉羽山公園の間である。

魚津図幅地域の呉羽山礫層は, 南隣の五百石図幅地域, さらにその西隣の八尾図幅地域の呉羽山礫層(野沢・坂本(1960); 坂本・野沢(1960))と連続しており, これらとともに, 再定義された呉羽山礫層と同時期の同様な性格の地層とみなされる。

分布・構造 : この地域の南端, [ 新川郡 立山町 ] 日中 にっちゅう [ 新川郡 上市町 ] 大松新 おおまつしん 付近から北北東へ延びて, 北端の布施川沿岸まで分布している。 開析扇状地堆積物・冲積堆積物の下にも広く潜在する。 地層は, ゆるく波曲して, 南半では西北西・西向き, 北半では北西・西北西向きに, 5~15°, 部分的に 20°前後傾斜している。

南部の日中と大松新とには地層の重複があり, 両者の間に走向断層が推定される。 北部の御影・釈迦堂付近には断層帯があり, 呉羽山礫層が新第三系とともに乱されている。 ここでは, 地層が断層によって重複しているほか, 小さい褶曲によって南東・東向きにも傾斜している。

層序関係 : 室田累層に, 一部で音川累層に不整合に重なっている。 呉羽山礫層の下の室田累層の層厚には, 角川流域の最高 300 数 10 m から, 大岩川流域と布施川沿岸の 20 m 未満(釈迦堂付近では欠如)までの差異がある (第 37 図参照)。 室田累層の残存量の分布と呉羽山の岩相とによって, この削剥には河川侵食が関連したと考えられる。 なお, 呉羽山礫層の下部には, 室田累層起源の礫・砂が多量に含まれており, 激しい岩相変化が見られる. 第 38 図参照。

第 38 図 魚津図幅地域 呉羽山礫層 基底部 地質状図 [ 凡例の記載は省略した ]

上位には, 種々の時期の開析扇状地堆積物が不整合に乗っている。

層厚 : 最も厚い片貝川の東岸では 300 数 10 m, 郷川沿いでは 200 数 10 m に達している。 上市川以南の地域と布施川沿岸では 200 m 前後, 角川流域では数 10 m である。 第 39 図参照。

第 39 図 魚津図幅地域 呉羽山礫層 岩相変化図 [ 凡例の記載は省略した ]

岩相 : 礫・砂・泥から構成され, おもに陸水域に堆積したと考えられる。 含礫砂層が最も多く, 砂層・礫層・泥層が伴って, 一部に凝灰岩層がはさまれている。

堆積物はわずかしか固結していない。 普通, 風化によって表層部が軟弱化している。 含まれている礫は本来は硬岩か中硬岩であるが, 地表では軟岩や中硬岩状となり, とくに風化が進んだ部分では, 花崗岩質の礫が砂または砂混じり泥のように, 安山岩質・酸性火山岩質の礫が泥のように変わっている。 この場合には, 礫質堆積物全体が土状となっている。 なお, 呉羽山礫層の分布地には, 谷壁・谷底に崩土が多い。

呉羽山礫層の模式地では厚さ数 10 m の地層しかなくて, 岩相が比較的単調であるが, この地域では地層が厚く, 岩相が種々に変化している。 地質図と第 39 図には, 岩相変化の大項を5種の岩相細区分によって表わし, 第 40 図には, 地質柱状図を示した。

第 40 図 魚津図幅地域 呉羽山礫層 地質柱状図 [ 凡例の記載は省略した ]

Kp(含礫砂層・砂層): 上市川 - 大岩川間の呉羽山礫層下部に, 20 m 弱から 30 m あまりの厚さで見られる。 細粒砂層と, 中粒砂混じりの細粒砂層とに, 中礫・粗粒砂混じりの細粒砂層, 中礫・大礫層などが伴っている。 砂層には, 比較的分級のよいものと, 粘土混じりの泥を含んで分級のわるいものとがある。 風化して, 黄褐色をおびた淡灰色や, 赤味をおびた淡黄褐色などの色調が見られる。 礫層は, 小型の中礫を主にした厚さ数 cm から, 大礫の多い厚さ数 10 cm までの層として砂層の間にはさまれている。 礫は, 最も多い斑状の珪長質火山岩のほか, 珪長岩・安山岩・花崗岩質岩石などの円礫である。 珪長質火山岩の礫が大きく, 最大 30 cm の径がある。 この地層には室田累層の削剥物が多く含まれていると思われる。

Kg(礫層・含礫砂層): 呉羽山礫層の主部を構成しているもので, 模式地の地層と共通性がある。 含礫砂層・礫層 次に砂層からなりたち [ 意味不明 ; 含礫砂層・礫層とそれに続く砂層からなりたち ? ] , わずかの泥層がはさまれている。 一般に, これらが, それぞれ厚さ数 10 cm~数 m の層となって互層しており, 地層には細かい層理が現われていない。 部分的には, 砂と礫層との厚さ数 10 cm~2 m ごとの互層が含まれている。 礫が風化されているので, 赤褐色・黄褐色の色調を示すことが多い。

含礫砂層は, 粗粒・極粗粒砂, 中粒・粗粒砂などに中礫・大礫が混じっているもので, 普通, 層理が明らかでない。 間に細粒砂層, 泥層がはさまっていることがある。 含礫砂層は, 北部地区と南部地区の Kg の中の下部分に多い。

礫層は, 含礫砂層の多い所では, 普通, 厚さ数 10 cm~1 m の層となっているが, 上市川以南の中部と, 郷川流域の凝灰岩層(Kt)より上位の部分とでは, 2~10 m の厚さの層となって含まれている。 基質は粗粒・中粒砂, ときに泥質の中粒・細粒砂で, その量が比較的多い。

含礫砂層や礫層中の礫は, 亜円形・円形に円磨された中礫・大礫・細礫である。 全般に亜円礫が優勢であるが, 比較的, 北部地区には亜角礫が多く, 南部地区の下部には円礫が多い。 礫径の最大値は, だいたい, 南部地区で 30 cm, 北部の片貝川沿岸で 20 cm, 布施川沿岸で 40 cm である。 礫の岩石は, 花崗岩質岩石・ 片麻岩・ 珪長質火山岩(斑状・無斑晶質, 流紋岩質・石英安山岩質)・ 珪質岩(チャート・結晶質チャート・変質した珪質の細粒堆積岩)・ 変質安山岩・ 新鮮な安山岩であって, それぞれ, 船津花崗岩類・ 飛騨変成岩類・ 太美山層群・ 手取層群礫質岩・ 岩稲累層・ 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層の岩石である。 なお, 布施川の西岸では, 基底礫岩中に室田累層由来の安山岩・凝灰岩の礫が含まれている。

砂層には, 粗粒砂・中粒砂の厚層と, 含礫砂層や礫層にはさまれた, 中粒砂・細粒砂・極細粒砂の中層とがある。

泥層は, 砂層に伴った薄層のほか, 北部地区の下部に厚さ数 m のものがある。 厚い泥層は層理の目立たないシルト質泥層で, 少しの粘土を含み, 極細粒砂の葉層をはさんでいる。 泥層の色は暗灰色から灰色で, 風化すると黄褐色をおびた淡灰色になる。

Kg の厚さは, 郷川沿岸・片貝川の東岸, ともに 200 数 10 m と見積られる。 このうち, 南部地区の凝灰岩層 Kt 以下の厚さは, 東福寺付近で約 30 m, 黒川付近で約 100 m, 須山の南で 100 数 10 m と, いちじるしく変化し, この部分が不均等な堆積をしたことを表わしている。 この層厚変化は, 下位の室田累層が薄くしか残っていない上市川以南で厚く, 室田累層が厚い東福寺付近で薄いという関係になっており(第 37 図参照), 基底の地形環境と堆積物質の河川排出との影響によると考えられる。

Kt(凝灰岩): 南部地区で Kg に属する地層中にはさまれており, 南隣の五百石図幅地域内へ数 km 続き, そこで 谷口 たにぐち 凝灰岩層(野沢・坂本, 1960)と呼ばれている。 走向断層によって, 日中付近にも露出している。

火山灰・軽石の砕屑(細粒砂・中粒砂粒度)からできた凝灰岩層で, 風化をうけて, 赤味をおびた淡黄褐色・橙色・肌色などの美しい色を示している。 白色の軽石と灰色のガラス質火山礫とが含まれ, 軽石は亜角形から円形, 火山礫は角形か亜角形で, どちらも径数 mm~3 cm, 最大 10 cm の大きさである。 軽石はもろい性質のもので, 黒雲母・石英・長石を含んでいる。

普通, はっきりした層理がないが, 一部に極細粒砂・シルト粒度の薄層などによって水成の層理が現われている。 層厚は, [ 図幅地域東西中央・南端付近の ] 日中・柿沢付近で 10 数 m, [ 郷川沿いの ] 黒川付近で 12~13 m, 東福寺付近で 7 m 前後である。

Ks(砂層・含礫砂層): [ 早月川の西の ] 東福寺付近と [ 角川沿いの ] 湯上 ゆのえ 升田 ますだ [ ← 舛田 ますだ ? ] 周辺の下部に, 30~40 m の厚さで分布しているもので, おもに細粒砂層・中粒砂層・含礫砂層・泥層から構成され, 間に礫層・粗粒砂層,薄い泥層がはさまれている。 一般に, 厚さ 1~数 m 間隔の層理が現われている。 東福寺付近では, 粗粒砂が多く, 中層理をおびた部分もあって層理が明瞭である。

砂層は, 極粗粒砂層から極細粒砂層にわたっている。 風化して赤味をおびた淡黄褐色, さらに黄褐色をおびた灰白色を示す。 細粒砂層には粘土混じりの泥が含まれていることが多く, 粗粒砂層には長石・石英の角張った砂粒が入っていることが多い。

含礫砂層・礫層は, 中粒砂・粗粒砂混じりの細粒砂層, 中粒砂層, 粗粒砂層に伴っている。 礫層は厚さ 30 cm~1 m, ときにレンズ状である。 湯上・升田周辺では, 中礫・大礫が含まれ, 一部で巨礫が混じっている。 礫の岩石は片麻岩・花崗岩質岩石・斑状の珪長質火山岩・珪質岩・安山岩などである。 東福寺付近では, おもに, 珪質岩・ 珪長質火山岩類(斑状・無斑晶状, 凝灰岩岩含む)・ 花崗岩質岩石などの中礫が含まれている。 升田の南西方の 下椿 しもつばき [ 位置不明 ; 金山谷の西方 1.5 km ? ] では, 下部の礫層中に室田累層の凝灰岩・凝灰質砂岩の小型中礫が認められる。

泥層は, 普通, 灰色から, 風化して黄褐色をおびた灰白色になっている。 粘土のかなり多いシルト質泥層が多く, 極細粒砂混じりのものもある。 このほか, 暗灰色の泥層があり, 炭化した樹枝・樹皮・樹葉の断片, 細かい炭質物が混じっている。 升田では, Quercus [ オーク( なら ) ] らしい樹葉などの炭化した破片が多量に含まれていて, 肥料原料に利用されている。

Km(泥層・泥質砂層): 片貝川東岸の 天神山 てんじんやま [ ← 貝田新の北北西方 2 km ] 付近, 郷川の北岸の 安田 - 黒川間 [ ← 開谷の北西方 4~1 km ] , 角川の東岸の宮津 [ ← 湯上の北北西方 1 km ] 付近に見られる。 天神山・郷川の北岸のものはこの地域の呉羽山礫層の上部にあたり, 宮津付近のものは中部にあたると思われる。 天神山付近と郷川の北岸の泥層とは一連の地層の可能性がある。 また, 宮津付近のものも下部の地層の厚さの膨縮を考えれば, 必ずしも別個の地層と断定できない。 厚さは, 天神山付近で 100 m あまり, 郷川の北岸・宮津付近で, どちらも 20 数 m である。

天神山付近では, 泥層に泥質細粒砂の薄層がはさまれ, あるいは泥質細粒砂層に泥の薄層がはさまれたものなどである。 ごく薄い層理・薄層理が現われている部分もあるが, 一般に層理が目立っていない。 泥層は, 極細粒砂を含んだシルト質泥から粘土勝ち泥までの粒度にわたっており, 微細な炭質物や炭化した樹木破片を含んでいることがある。 新鮮な部分は紫・青をおびた灰色であるが, 風化して赤褐色をおびた白色などに変わっている。 砂層は, 泥質の細粒砂・極細粒砂でなりたち, 風化して黄褐色をおびた, 淡灰色などになっている。

郷川の北岸では, 上半が天神山付近と同様なもの, 下半が, 厚さ 1~2 m 単位で, 粗粒砂 - 細粒砂 - 粘土混じり泥の級化成層をした砂泥互層である。 粗粒部には, 花崗岩質岩石・班状の珪長質火山岩・安山岩・珪質岩などの小型中礫 - 細礫が含まれている。

宮津付近では, 全体に, 天神山付近のものと大差ないが, その下部分に, 炭質物を多く含んだ褐色の粘土質泥層と亜炭層とがはさまれている (「III. 応用地質」の「亜炭」の項参照)。

II.6.2 開析扇状地堆積物 [ f 1~6 ] ・河岸段丘堆積物 [ t 1~6 ] および古期崖錐堆積物 [ d1 ]

開析扇状地堆積物・河岸段丘堆積物(f・t): 台地地域, 丘陵地帯の一部, 大きい河川の沿岸に分布している。 呉羽山礫層以下の地層と斜交し, だいたい, 南東寄りほど下位の地層に乗っている。 ほとんどが, 下流地帯に堆積した河川の砂礫質堆積物であって, 更新世の中期から末期までの間に断続的に形成されたとみなされる。 堆積物の表面は, 台地面あるいは, その名残りを表わしており, 高低さまざまの台地面が組み合った地形を作っている。

堆積物の連続, 堆積物の基底面の連続, 台地面の連続, 台地面の開析, 土壌の厚さ, 平面的分布位置などによって, 6時期の堆積物に区分付けた。 ただし, この区分は, 自然露出だけの観察から導いた結果であるから, 剥土・調査坑によるくわしい資料によって修正される余地がある。

堆積物は, どの期についても, 大部分が, 砂層・泥層を伴った河成の含礫砂層・礫層とみなされる。 含まれている礫は, 一般に, 中礫・大礫のほか, かなりの量の細礫と少量の巨礫とであって, おもに亜円形・亜角形となっている。 礫の岩石は, 角閃石片麻岩などの片麻岩(飛騨変成岩に属する), アダメロ岩・花崗閃緑岩・閃緑岩などの花崗岩質岩石(おもに船津花崗岩), 斑状・無斑晶状の, 石英安山岩・流紋岩・熔結凝灰岩などの珪長質火山岩(おもに太美山層群, 一部岩脈), チャート・結晶質チャート・珪質スレートなどの珪質岩(おもに手取層群の礫), 安山岩(新第三系), 玢岩, 珪長岩などである。 流系によって, 種類が多少違っている。

開析扇状地・河岸段丘の大半は, 灌漑によって田地として利用されている。 1期のうちの前期の扇状地と, 2期の扇状地の一部とは山林である。

第1期の開析扇状地堆積物・河岸段丘堆積物(f1・t1): 郷川以北の丘陵地・台地地帯に分布している。 現在の河川と直接の関係がない分布である。 褶曲・断層変位をうけた八尾累層上部から呉羽山礫層までの地層に不整合に乗っており, 大部分が台地地形を作っていたものである。 断層による変位は認められない。 ただし, 小規模の変位があるかもしれない。

堆積物の上の地形面は, おもに標高 100 数 10~400 m の間にあって, 全面的に開析をうけている。 東福寺野周辺では, 堆積の原面らしい面の名残りがあり, 台地地形が保たれているが, ほかの地域では原面が失われており, [ 早月川の東岸で上大浦の北北西方 1.5 km の ] 舛方 ますがた [ 角川の東岸の ] 観音堂・ [ 片貝川の東岸の ] 天神山などでは, 堆積物が孤立した高まりにわずかに残存している。 第 1 図の復元等高線によって推定すると, 堆積物の上の地形面の平均的勾配は 70~100 ‰ である。 堆積物の基底は, 復元等高線が, 第 41 図のようにまとめられ, 勾配が, 扇状地部分について 60~150 ‰, 河谷部分について 10~20 ‰ となる。 これらの勾配の変化は, おもに西北西向きの増傾斜変動を受けたことを物語る。 堆積物の厚さは, 一般に 20~30 m, 東福寺野周辺の厚い部分が約 40 m, 早月川以東の厚い部分が 60 m 前後である。 堆積時の厚さは, 東福寺野周辺で 50 m 前後, 早月川以東では数 10 m 以上, とくに大菅沼・大谷・東城周辺では, 堆積物が厚く集積して 100 m くらいであったと推定される。

第 41 図 魚津図幅地域 第1期開析扇状地 堆積物 基底面 高度分布図 [ 凡例の記載は省略した ]

堆積物は, 全般に風化をうけていて, 普通, 風化礫を含んだ, 赤褐色・淡赤褐色・黄褐色などの土砂となっており, 平坦地・緩傾斜地では土壌におおわれている。 東福寺付近では, 風化によって, 厚さ約 40 m のうちの上半が赤褐色, 下半が黄褐色となった状況が見られる。 土壌は赤味をおびた褐色, または淡赤褐色の細粒砂混じりの粘土質土壌(B 層), 厚さ 2~2.5 m と, 黒褐色などの A 層, 数 10 cm とが認められる。 しかし, 表層が削剥されて, 土壌や赤褐色風化部が失われている所が多い。

第1期の堆積物には, 礫の種類などについて, 次のような地域差がある。 東福寺周辺では, 花崗岩質岩石の礫が多く, ほかに安山岩・片麻岩・珪長質火山岩・珪質岩の礫が含まれ, 最大礫の径が 70 cm くらいである。 舛方の東方・ [ 舛方の北北西方 1.5 km 弱の ] 有山 ありやま の東方では, 礫の岩石種は前者と似ているが, 片麻岩が増し安山岩が減って, 最大礫の径が 50 cm 前後となっている。 坪野 - 宇都呂間では, 珪長質火山岩が最も多く, 次に安山岩・花崗岩質岩石となり, 最大礫の径が 50 cm あまりである。 ここでは, 乱流による葉層理や不規則な斜交層理をおびた砂層と, 粘土質泥層とが伴って, 河床堆積物の特徴が認められる。 坪野付近では, 礫の岩石種について珪長質火山岩が多い層のほかに, 安山岩が非常に多い層があり, 宇都呂との間にくらべて, 片麻岩が増し, 玢岩・流紋岩質熔結凝灰岩などが加わる。 大谷付近では, 安山岩が優勢で, 中に, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層由来とみなされる径数 m の安山岩巨礫が混じっている。 稗畠の北部では, 片麻岩・珪長質火山岩の礫が多いが, とくに礫種が片寄らないで, 花崗岩質岩石・安山岩・玢岩・珪質岩などもかなり含まれている。 最大礫の径は 1 m 前後である。 観音堂付近では, 室田累層火山円礫岩層由来の安山岩と, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層由来の安山岩・凝灰角礫岩が多く, 最大礫の径が 70 cm 前後である。 片貝川 - 御影間では, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層の安山岩, 室田累層の安山岩, 花崗岩質岩石, 珪長質火山岩, 珪長岩などの礫が認められ, 東城 - 御影間で最大礫径が 1.5 m である。 天神山では片麻岩が多く, 最大礫径 30 cm あまりである。 布施川寄りでは, 安山岩と片麻岩とが優勢である。

第1期開析扇状地堆積物が堆積する前の地形は, 更新世前期頃の地殻変動で, 呉羽山礫層以下の地層が 褶曲と断層変位とをうけた結果を原地形としてできた陸上の侵食地形にあたり, 堆積物は, 河川の排出力が低下した際, その低地部分を埋積したものと考えられる。 埋積された低地部の地形は, 地殻変動後の初生的凹地と, 室田累層凝灰質砂岩層に対する選択的侵食とによって形成されていたとみなされる。 第1期のうちの前期には, 早月川の下流が宇都呂から坪野へ向って流れていて, この時期の堆積物はおそらく海面上昇の環境のもとで堆積したと思われる。 角川以東に分布しているものが, この前期の堆積物にあたる。 [ 東福寺の西方 1 km の ] 東福寺野の周辺の堆積物は, 第1期の前期に河谷の埋積が進み, [ 東福寺の北北東方 1.5 km の ] 大日 だいにち の南方の尾根が失われて, 早月川の流路が北へ開いてから形成されたとみなされる。 舛方周辺の堆積物も, 第1期の後期に堆積したものであろう。

第2期の開析扇状地堆積物(f2): 上市川の両側, 早月川の西岸側, 片貝川の西岸側に分布している。 上市川の南側では標高 200~260 m の丘陵頂部にわずかに残留し, 北側ではかなり開析された標高 150~210 m の小さい台地面を保って残っている。 早月川系では, 西岸側の小鹿野 [ ← 東福寺の西北西方 2 km ] ・中野 [ 東福寺の北北西方 1.5 km 弱 ] を中心に, 高度 30~270 m, 裾の幅約 2 km で扇状地の外形を保って連なっている。 ただし, 表面には, 必従的な浅い谷が全面的に形成されかけていて, 堆積の原面は失われている。 片貝川の西岸側では, 大海寺新 だいかいじしん [ ← 貝田新の西方 1.5 km ] - 室田 [ ← 観音堂の北方 500 m ] 間の 150~200 m を中心とした高度に, 堆積物が分布し, かなり開析されている。 台地面・基底面の勾配は, どの地区でも 60~70 ‰ くらいである。

堆積物の厚さは, 大部分で 10~20 m, 厚い所で 30 m 程度である。 開析をうける前は, 一般に 40~50 m, 片貝川系では 50~60 m であったと思われる。 大部分の堆積物は, 風化されて, 礫が軟く, もろくなっており, 全体として赤味をおびた黄褐色を示している。 風化が進んだ部分は, 礫の風化残片が混じった土砂状に変わっている。 ほかの扇状地堆積物にくらべて, 砂層が多く含まれている。 おもな礫種は, 上市川系では安山岩と珪長質火山岩, 早月川系では片麻岩と花崗岩質岩石, 片貝川系では花崗岩質岩石・片麻岩と安山岩である。 どの流系も, おもに現在の中流にあたる地域から礫の供給をうけたと思われる。 上市川系に含まれている安山岩には, 南隣の五百石図幅内の 高峰山 たかみねやま 火山噴出物(野沢・坂本, 1960)が多いとみられる。 土壌は, 黒色などの A 層が厚さ 20~50 cm, 褐色・赤褐色などの B 層が 1 m 前後認められる。

第3期の開析扇状地堆積物(f3): 早月川・片貝川・布施川のそれぞれ西岸側に残存している。 台地面の高度が, だいたい早月川系は 200~240 m, 片貝川系は 100~240 m, 布施川系は 160~200 m で, 台地面の勾配が 50 ‰ 前後である。 台地面には, 開析が比較的進んでいる。 現存の堆積物は, 大部分で厚さ 10~20 m, 厚い所で 30 m くらいである。 早月川・片貝川系には片麻岩・花崗岩質岩石などの礫, 布施川系には片麻岩・安山岩などの礫が含まれている。 堆積物は全体にかなりの風化をうけている。 土壌は黄褐色, 所によっては褐色・赤褐色を示して, 厚さ 1~2 m で認められる。

第4期の開析扇状地堆積物・河岸段丘堆積物(f4・t4): 扇状地堆積物は, 上市川で北岸にわずか, 早月川・片貝川で両岸, 布施川で南岸に分布している。 片貝川系と布施川系は [ 図幅地域北端付近の ] 天神野新 てんじんのしん 付近で複合している。 相応する河岸段丘は早月川・布施川の沿岸で認められる。 扇状地部分の地形面は, およそ, 上市川系 140 m, 早月川系 130~180 m, 片貝川系 60~200 m, 布施川系 60~150 m の高度にあって, その勾配が, 上流部で 40~50 ‰, 下流部で 30~40 ‰ である。 早月川系の河川勾配は, 河岸段丘によって 20~30 ‰ と推定される。 この期の扇状地の表面は, 古期のものにくらべて, 滑らかで, あまり開析をうけていない。 堆積物の厚さは, 一般には 30~40 m で, 50 m を越えないとみなされるが, 天神野新の付近では 50 m 以上に達している。 堆積物の風化は, この期以前のものほどには進行していない。 基質が粘土質に変わって赤褐色を示しているが, 礫は土状にまでならないで, 軟岩級, 少数が中硬岩・硬岩級の堅さを保っている。 早月川・片貝川系では, 花崗岩質岩石・片麻岩の礫が多いが, 布施川系では安山岩礫が多く含まれている。 土壌は, 黒褐色などの A 層, 厚さ 30 cm 内外と, 褐色の B 層, 1 m 内外が認められる。

なお, 上市川の北岸( 眼目 さつか )で, この期に含めた地形面を作っている粘土質泥・細粒砂質の泥などの地層中から, 冷涼性の気候を指示する植物化石が発見されている(藤井, 1965b)。

第5期の開析扇状地堆積物・河岸段丘堆積物(f5・t5): 上市川・早月川では両岸に, 片貝川・布施川では南岸に分布している。 これらは扇状地と河谷の下流部とにあたる。 この地域の南端の [ 新川郡 立山町 ] 日中 にっちゅう [ 新川郡 上市町 ] たち の東側のものは常願寺川系の扇状地の一部である。 これらの表面は, わずかの開析しかうけていなくて, ほとんど原形を表わしている。 これらのおもな部分の高度は, 日中・館付近のものが 60 m 前後, 上市川系が 20~120 m, 早月川系が 40~120 m, 片貝川系が 20~160 m, 布施川系が 60~120 m で, 表面の勾配は, 大部分が 30~40 ‰ である。 河岸段丘によると, 河川勾配は, 早月川 20~30 ‰, 片貝川・布施川 15~20 ‰ となる。 堆積物の厚さは, 上市川・早月川系の扇状地と布施川南岸の河岸段丘については 20~30 m, 片貝川系の扇状地については 40 m 前後と見積られる。 常願寺川系扇状地の端部と幅の狭い河岸段丘では, 堆積物の厚さが数~10 数 m である。

この期の堆積物も, 少しの風化をうけていて, 黄褐色などになっている。 中に軟弱になった礫がかなり含まれており, ときには礫の過半数が軟弱になっている。 片麻岩の礫が, 叩くとばらばらに崩れるようにまでなっている。 なお, 新鮮な所でみると, 礫層は, 礫をとりはずしたとき, 泥質砂の基質が崩壊しないだけの固結をうけている。 土壌は, 黒色などの A 層, 厚さ 30~50 cm, 褐色の B 層, 50~80 cm が見られる。

第6期の開析扇状地堆積物・河岸段丘堆積物(f6・t6): この期の扇状地は, 開析扇状地群の末端で, 一番低い地形面の部分に分布している。 第5期の扇状地, 現世の扇状地とは, それぞれの扇形の不連続の境で分けてあるが, わずかな比高で接しており, とくに, この扇状地の末端と現世扇状地との境は明白でない。 おもな部分の高度は, 片貝川・早月川系で 10~80 m, 上市川系などで 40 m 前後であり, 勾配は 15~30 ‰ である。 早月川沿岸の中村・下田などにこの扇状地に対応した河岸段丘が認められ, 扇頂部までの河川勾配は平均 25 ‰ と見積られる。 表層には未熟な土壌が認められるが, 堆積物・土壌の内容をとらえてない。 現世の河川 氾濫 はんらん をうけたらしい所もある。

開析扇状地堆積物群の形成について, 渡辺(1929, 1932)は, 海岸線付近を軸にして, 立山山地の隆起と富山湾側の沈降という増傾斜運動が継続した状況を考えた。 地殻変動を要因とみる, この考え方はほかの研究者にも受け継がれており, 古期の扇状地ほど勾配が大きいこと, 新期のものほど低い段を作っていることと符合し, これらの堆積物の形成環境の解明上, 重要であると思う。

このほか, 更新世に幾回かの海水準変動があったことを前堤にすると, 海水面の昇降が扇状地堆積物におよぼした影響が, 堆積物の丘陵地帯への入り込み, 扇状地の扇頂部分の形状, 堆積物の厚さなどに反映されると考えられる。 このように考えると, 1期のうちの前期と, 4期, 5期の堆積物が海面上昇をよく反映した堆積物にあたり, 1・3・6の各期の後に, それぞれ規模の大きい海面低下が推定される。

なお, これらの開析扇状地堆積物は, 藤井(1965b)によって, 古いほうから, 東福寺面, 上段 うえだん 面(五百石図幅地域内の立山町 上段の上段面が模式), 下段 しただん 面(立山町 下段が模式)を作る堆積物として区分され, それぞれ, 東福寺累層・上段累層・下段累層と呼ばれている。 現在, 富山地方の第四系は, この区分方法で整理され, 東福寺累層は中部更新統, 上段累層は上部更新統下部(地形面 Ⅲ, 中位段丘を構成), 下段累層は上部更新統下部(地形面 Ⅱ, 低位段丘を構成)と解釈されている(富山県(1970); 北陸第四紀研究グループ(1969))。 この報告の6期の区分は, だいたい, 1期と2期の一部とが東福寺累層, 2期の一部と3期・4期とが上段累層, 5期・6期が下段累層に相当している。

古期崖錐堆積物(d1): 丘陵地帯の標高 250~300 m の緩傾斜地に分布している。 堆積物に風化が進行していること, 土壌におおわれた部分があること, 崖錐形成以後に周辺がかなり開析されていることなどによって, 開析扇状地形成の3期・4期くらいの時期の崖錐とみなした。 再崩壊を起している部分, 表層が侵食されている部分もあるが, 主部分は古い時期に集積されたものである。 場所によって, 堆積物の構成物質が違うが, どれについても, 後背地に, 多量の崩土を短期間に供給できる地質条件が備わっている。

上市川沿岸の 東種 ひがしだね [ ← 図幅地域南端で田蔵の西方 500 m ] の堆積物は, 角礫・岩塊を多量に含んだ土砂で, 厚さが, 少なくとも 30 m 以上, 多分数 10 m である。 土砂は, 風化をうけており, 表層に, 厚さ 1 m 前後の褐色の B 層と, 厚さ数 10 cm の A 層の土壌ができている。 表面は比較的平滑である。 堆積物中の角礫・岩塊は, 径数 cm~2 m(最大数 m)で不均質に混在している。 岩石はおもに安山石で, ほとんど東種の上流にある高峯山火山噴出物(野沢・坂本, 1960)から由来したものである。

角川流域の坪野周辺の古期崖錐堆積物は, 黄褐色などの泥質砂あるいは砂質泥に, 大礫・中礫, 径数 10 cm までの巨礫が無淘汰に含まれたものである。 礫はおもに周囲の第1期の開析扇状地堆積物から由来したとみなされる。 古期の谷頭地域に起った大規模な地すべり性の崩壊によって集積されたのであろう。 堆積物の厚さは, 大部分 10~20 m と思われる。 この東方, 大菅沼 おおすがぬま のものは, 坪野のものと堆積物も成因も似ているようである。 ここでは室田累層の泥質細粒砂岩の 2 m 大の岩塊が混入しており, 西側の尾根から, 開析扇状地堆積物が下位の室田累層とともに大きく崩壊したことがわかる。

東城の南側では, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層の山腹に少しの崖錐堆積物が認められる。 第3期あるいは第4期の河岸段丘の上に, 谷壁崩壊物が堆積したのであろう。

II.6.3 冲積堆積物 [ a ] ・新期崖錐堆積物 [ d2 ] および砂丘堆積物 [ s ]

沖積堆積物(a): 現在の扇状地, [ 白岩 しらいわ 川と上市川の河口の間にある ] 水橋 みずはし 周辺の低平地, 河川沿岸の平地, などに分布している。 表面は田地・市街地などとして利用されており, 地下の滞水層からは地下水が採られている。 堆積物の内容については, 試錐資料などによって知られる。 藤井(1965d), 森(1962)には, 地下水井の地質柱状図が集められている。 第 42 図に数カ所の柱状図を示す。

第 42 図 魚津図幅地域 冲積層 さく井 地質柱状図(藤井(1965b)によって編集) [ 凡例などの記載は省略した ]

このうち, どの深度までが冲積堆積物であるかについては, 層序学的に検討された柱状がないので判明しない。 この地域の冲積堆積物の基底を推定するには, 低地と台地・丘陵地との境と, 海底の 100 m 等深線とを結ぶ面を近似的に基底とみなす方法(藤井, 1966a)を使うのが適当であろう。 また, 島(1957)は常願寺川の扇状地を地震探査し, 常願寺川の西岸の大島 [ ← 図幅地域南西隅から東北東方へ 2.5 km ] 付近の測線について, 砂礫層の基底がだいたい深度 50~80 m にあると解析している。

以上のことから, この地域の冲積堆積物, すなわち, ウルム(Würm)氷期中の最大海面降下期(約 2 万年前, 更新世の末期にあたる)以降の堆積物は, 厚い所で数 10 m 以上, 100 m 未満の厚さがあり, 礫混じりの砂層, 砂層, 礫層と少しの泥層とからなりたつと推定される。 このうち, 現世(約 1 万年前以降)の堆積物は, 厚い所で, 上から 20 m くらいまでと考えられる。

冲積堆積物の上部分から, 魚津港海底と常願寺川河床とで樹株の群が発見されている。 前者は魚津埋没林と呼ばれ, 特別天然記念物である。 後者は柴草埋没林と名付けられている。

魚津 うおづ 埋没林 は昭和 5 年に魚津港 [ ← 日本カーバイト工場の南 ] の修築工事で発見され, 樹株や樹幹が発掘された。 埋没されている樹株が, 半海底式の保存館 [ = 魚津埋没林博物館 ? ] で観察できるようになっている。 埋没林に関連して, 種々の分野の記載的資料と, 汀線移動・地盤沈下・海水準変動・気候変化などの考察が発表されている。

地層については,石井・山家 [ 1934 ] の文献によれば, 中等潮位を基準として, -120 cm 以下に砂利混じり白砂, その上の -60 cm までが青色砂, -60~+40 cm では黒色腐植土, +40~+140 cm では粉土混じり白砂, +140~+195 cm では真土と重なっており, 樹株は直立して青色砂中に根の部分, 黒色腐植土から粉土混じり砂の中間にかけて幹の部分が埋まり, あるいは, 粉土混じり白砂の下半に根の部分, 真土の中間にかけて幹の部分が埋っていた。

保存館内では この黒色腐植土の間に厚さ約 10 cm・約 20 cm の細粒砂の2層がはさまれていて, 黒色腐植土の部分が厚くなっており, 石井(1955)に掲げられた柱状図とほぼ同じ柱状断面が見られる。 箇所ごとに少しづつ岩相が変化しているようである。 なお, 黒色腐植土は, 文献によっては, 黒色耕土・落葉の層・泥炭層とも呼ばれている。

樹株は, 堤防構築地などから 200 株くらい発掘された。 最も大きいものは, 株では直径 4 m, 樹令 1,000 年以上, 倒れた幹では長さ 10 m くらいであった(石井・山家(1934); 脇水(1934b); 藤本(1957))。 樹木の種類, 黒色腐植土中の植物遺体の種類は, おもに次のようで, 杉が多い(くわしくは原文献参照)。

樹木(SHIMAKURA, 1936)
Cryptomeria japonica [ 杉 ]
Zelkova serrata [ 欅 ]
Castanea crenata [ 栗 ]
Fraxinus mandshurica var. shioji [ ヤチダモ(シオジ) ]
木の果・種子(石井(1955), 鑑定 : 三木茂)
Cryptomeria japonica
Cephalotaxus drupacea
Fagus crenata [ ブナ ]
Prunus salicifolia
Aesculus turbinata [ トチノキ ]
Sapindus mukuroi
Stytrax japonica
Calystegia soldanella [ 浜昼顔 ]
泥炭層中の花粉・胞子(FUJI, 1971b)
Cryptomeria, Alnus [ ハンノキ ] , Pinus [ 松 ] , Lygodium

地層の時代に関しては, 黒色腐植土中から縄文後期の土器が採集されており(石井, 1955), 炭素同位体(C14)による絶対年代が, 樹令 1300~1500 年の杉の根の先端について 1,960 ± 70 年前, 上位の泥炭について 1,750 ± 90 年前と測定されている(木越・熊井, 1965)。

柴草 しばくさ 埋没林 は, 常願寺橋より 1 km 上流にあたる富山市 柴草の常願寺川の河床で発見された埋没林で, 砂礫などの下, 約 3 m に直立した株があり, 根が泥炭質の層に張っている(藤井, 1965b)。 この樹木の C14 年代は 610 ± 100 年前である(木越・藤井, 1965)。

冲積堆積物の表層の地質状況については, 藤井(1965b)の検土杖を使った調査で, 深さ 1 m くらいまで, 全域にわたって明らかにされている。 その結果によると, おおまかに云って, 常願寺川・早月川の沿岸地帯が砂, 常願寺川の扇状地前縁の低平地と布施川下流の沿岸の平地などが泥, ほかの地域が砂と泥である。

新期崖錐堆積物(d2): この地域には崖錐堆積物が非常に多く分布している。 地質図には, 規模の大きいものを記入の対象とし, そのうちから, 人家と離れた箇所や基盤の地質の重要部にあるものを省いて示した。

前述の古期崖錐堆積物 [ d1 ] の形成期以降, 種々の時期に崩壊したものがあると思われる。 長期にわたって崩壊を繰返しているものも多いようである。

船津花崗岩地域には, 新しい時期の谷頭侵食による崩壊物が多く, 現在でも岩塊を崩落させるような侵食が働いている。 手取層群分布地では, かなり古くから崩壊物が集積されてきたものが見られる。 おもに粗粒砂岩の丸味をおびた岩塊が多量に混じった砂質の土砂である。 太美山層群・岩稲累層・福平凝灰角礫岩火山円礫岩層地域には, 岩塊の多い崖錐が滞留している箇所が, 谷壁や山腹斜面にかなり多く認められる。 ところどころで, 比較的幅のある谷底に崖錐堆積物が集積されている。

古鹿熊砂岩層・折戸凝灰岩層・釈泉寺泥岩層・音川累層・室田累層などの軟岩地域の崖錐は, おもに地すべり崩土である。 谷沿いに細長く堆積したものがある。 呉羽山礫層は, 一般に風化をうけて, 崩壊しやすくなっており, この崖錐は, もろい礫を含んだ砂質の土砂となって, 斜面・枝谷に滞留している。

開析扇状堆積物を母材とした崖錐は, この地域の特徴的なものである. この1期・2期の堆積物は, 風化によって軟く, もろくなった礫を含んだ粘土質の土砂に変わっており, しかも, 崩壊に適した高度で丘陵の頂部にあるため, その周辺に多くの崖錐を作っている。 また, 低い扇状地が, 丘陵地や高い扇状地に接している所では, その斜面に沿って崖錐の帯が形成されている。 上市川沿岸の東種・角川流域の 坪池 [ 位置不明 ; 坪野 ? ] ・片貝川の西岸の大菅沼では, 古期の大規模な崖錐堆積物が, 新期の崖錐の母材あるいは増量材料となったため, 複合した広い崖錐地帯が形成されている。

砂丘堆積物(s): 白岩川河口以西の海岸で, ごく低い砂丘となっている。 白岩川 - 常願寺川間では, 微量の礫を含んだ中粒・粗粒砂が内陸へ 100 m 前後まで広がり, 2 m, 部分的に 3 m 弱までの高まりが見られる。 常願寺川以西では, 砂丘性の砂地が海岸から内陸へ 150~400 m の幅で東西に連なっている。 幅の広い部分では, 海側数 10~100 m の間に浜堤の成長したものらしい高さ 1~3 m の高まりがあり, 凹地形を隔てて, 内側に幅 100~200 m の砂丘主部がある。 砂丘の主部は, 3~5 m まで高まっており, 急斜あるいは緩斜して後背の低い砂地に移っている。

主部には, 水平または後背向き傾斜の風成縞が, 1~数 cm の厚さで見いだされ, また, 部分的に, 極粗粒砂・細礫, ときには小型中礫を含んだ風成砂の薄層がはさまれている。 これらの砂丘の砂は, おもに中粒砂である。

後背の砂地は畑地などとして利用されており, 砂丘の主部では松の植樹林によって遮風と固定がはかられている。 浜側では少しの砂丘成長があり, 全体にわずかの飛砂移動が認められる。

なお, この砂丘の成因について, 深井(1952)は, 「常願寺川の排出土砂の供給をうけて堆積したもので, これを助長させたのは, 神通川の河口流力と自然堤防洲である」と指摘している。 形成期については, 地形状況と, 北陸地方のほかの砂丘についての研究結果(藤, 1969・1971a)などによって, 約 2,000 年前以降と推測される。

III. 応用地質

魚津図幅地域では, 現在稼行中の瓦原料土のほかに, 藩制時代にかなりの産金があった金・銀・銅鉱床, 近年採掘された亜炭層, 天然ガス徴侯などの鉱産が知られている。 また, 温泉・鉱泉・地下水が利用され, 砂利などの土木材料, 田地の客土材料が採取されている。 他方, 砂防・治山・治水・海岸護岸などの工事, 山地・河川災害の復旧に努力が払われている。

応用地質に関しては, 専門的調査を加えていないが, それぞれ, 一般地質との関連を中心にして記述する。 なお, 藤井(1965b), 富山県(1970)には, 諸種の資料が集められている。

第 43 図 魚津図幅地域 金属鉱床 分布図 [ 凡例などの記載は省略した ]

金属鉱床(金・銀・銅): 第 43 図に示したように, 上市川流域の稲村・田蔵付近 [ ← 図幅地域の南端・東端から西方 6 km 強 ] , 早月川沿岸の 下田 げだ ・中村付近, 小早月川流域の虎谷周辺, 角川上流の松倉・河原波 [ ← 松倉の西方 1.5 km ] 付近に, 旧坑・試掘跡・鉱徴が分布している。 これらは, 筆者が現地で認めたもので, 旧坑・試掘跡は, おもに昭和時代に採鉱・試掘されたと思われるものである。

鉱床は, おもに脈状鉱床, 一部が鉱染鉱床で, 鉱脈は, 肉眼的に黄鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱などを含んだ粘土質や石英質の脈である。 このうち, 下田付近の鉱床は, 白萩 しらはぎ 鉱山あるいは 下田 げだ 金山と呼ばれて稼行されたことがある。 この鉱床は, 堀越(1952), 堀越・丸山(1952)によれば, 上部が金鉱, 下部が銅鉱となる, 浅熱水性の 裂罅充填 れっかじゅうてん , 含金石英・亜鉛銅脈であって, 加賀 前田藩によって鉱脈上部の酸化帯に近い部分が開発されたと考えられ, 近年では, 明治・大正時代と昭和 14・15 年に採鉱・試掘されたということである。 虎谷付近の鉱床は, 松倉鉱山と呼ばれて稼行された鉱床で, 薄井・北島(1954)の報告書によれば, おもに含金銀石英脈で網状の部分があり, 加賀藩の金山として採掘され, 明治以降にも数回稼行されている。

鉱脈は, 船津花崗岩類, 太美山層群, 岩稲累層, 八尾累層の最下部の折戸凝灰岩層の中に形成されており, 鉱化作用の影響は八尾累層の福平凝灰角礫岩火山円礫岩層の下部にまで表われている。 白萩鉱山の母岩は, 折戸凝灰岩層と, それを貫いた珪長質(酸性)の安山岩あるいは石英安山岩質の岩脈とであり, 松倉鉱山の母岩は, おもに太美山層群の, 石英安山岩熔結凝灰岩・石英安山岩凝灰角礫岩・石英安山岩熔岩である。 鉱床・鉱徴の分布範囲は, 概観すると, 中村・虎谷・白倉山周辺の船津花崗岩類と太美山層群の上昇地塊を中心とした地域にある。 このことから, 鉱床が基盤の構造と関連して形成されたと考えられる。 しかし, こまかくみると, 断層を境にして鉱化作用をうけた岩石とうけない岩石とが接した箇所があり, 鉱脈の走向と, 鉱床や鉱徴の分布模様(谷沿いで発見されやすいことを考慮しても)とが 現在の地層の構造や断層に調和していない。 したがって, これらの鉱床群は, 現在と幾分違った, 古い時期の基盤構造のもとで形成されたと考えられる。

鉱床の形成時期は, 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層の堆積期の後半から, 現在の地質構造がほぼ完成した更新世前期頃までの間ということになる。 鉱脈形成の深度や地殻変動期との関連から, とくに 福平凝灰角礫岩火山円礫岩層堆積の後半から 音川累層の堆積開始期までの間が有力に推定される。 個々の鉱床の形成期には, 多少のずれがあるかもしれない。

なお, 前に引用した文献のほか, 鉱床については, 藤井(1965)と富山県(1970)の文献があり, 鉱山誌資料としては, 富山県郷土史会(1958), 金沢市図書館保管の前田藩などの古資料(「文献」の項の末尾参照)があり, また, 魚津市 鉢 [ ← 虎谷の北西方 1.5 km ] の白倉小学校に金山の採鉱・製錬作業を描いた古い絵が保存されている。

石炭・亜炭・天然ガス : 石炭は, 中生代の手取層群の頁岩・砂岩などの間に, 普通, 厚さ 5~20 cm ではさまれている。 [ 図幅地域南東隅付近の ] 桑首 くわこび 谷の下流の北側谷壁に, 山丈数 10 cm の褐炭層が露出しているが, 質が悪く, 稼行の実績がない(「II.3.1 手取層群上部」の「岩相」の項参照)。

亜炭は, 地質図に示した [ 角川沿いの ] 魚津市 宮津 [ ← 角川の河口から南東方 2 km 弱 ] で, 第四系の呉羽山礫層 Km の地層中にはさまれている(第 40 図参照)旧坑のズリによると, 黒褐色や黒色で, 下盤が炭質物の多い褐色の粘土質泥層である。 富山県(1952・1970)によれは, 明治 30 年頃, 焼成して肥料用の粉炭灰(燐酸・加里分含有)が作られ, 昭和 9 年から浴場の燃料に使用された。 昭和 25 年からは宮津炭鉱で稼行され, おもに, 乾溜して肥料用の草木炭として利用されたということである。 その頃の状況では, 亜炭草炭の炭丈が 1 m で, その上盤は礫層であった。

[ 宮津の南南東方 2 km の ] 魚津市 升田(地質図参照)では, 呉羽山礫層の下部の Ks 岩相の泥層の中に, 炭化した樹葉片などを多量に含んだ部分がある(第 38 図参照)。 昭和 30 年頃から三和鉱産によって採掘され, 燻焼 くんしょう して肥料用の草炭灰(商品名 ; 珪酸・加里・燐酸・石灰分含有)として利用された。

天然ガスは, 金原・ほか(1958)によると, 滑川市街・富山市 水橋町付近の地表・井戸に徴侯があり, 冲積堆積物の中などに3層のガス層が認められている。

瓦用粘土 : 瓦原料などの粘土として採掘されているものは, 多くが, 開析扇状地堆積物(f1~f6)からできた土壌と, 堆積物のよく風化した部分, あるいはそれらの二次堆積物である (「II.6.2 開析扇状地堆積物・河岸段丘堆積物および古期崖錐堆積物」の項参照)。 中新川郡 上市町の たち [ ← 図幅地域南端・東西中央付近 ] ・柿沢 [ ← 館の北東方 1.5 km ] 眼目新 さっかしん [ ← 柿沢の北東方 2 km ] などの粘土は, おもに f5 開析扇状地堆積物からできたものであり, 滑川市の東福寺付近の粘土は f1 堆積物, 安田 [ ← 東福寺の西方 3.5 km ] ・下野 [ 位置不明 ; 東福寺の北方 1 km 強の中野の北西 ? ] 付近のものは f2 の堆積物によるものである。 魚津市の 下椿 しもつばき [ 早月川の月形橋の北東の ] 有山の東方)付近のものは, 呉羽山礫層 Ks 岩相の泥層・砂層の風化物と f1 堆積物とに由来した粘土であり, [ 有山の南南東方 1.5 km 弱の早月川沿いの ] 桝方 ますかた のものは 東側の f1 堆積物の風化物などから由来した崖錐堆積物と f5 堆積物とからできた粘土である。

石材 : 上市町の須山の奥と片地の奥 [ ← これらはそれぞれ釈泉寺の西南西方と北北西方 1.5 km 程度の位置にある ] で, 新第三系 八尾累層の大岩凝灰岩層中の軽石凝灰岩が, かまど・こたつ鉢・そのほかの石材として小規模に採掘されている。 利用されているのは, 径 3 cm 以下の軽石・軽石破片・火山灰からなりたった水中堆積の軽石凝灰岩の部分と, ほとんど軽石破片と火山灰とからなりたった凝灰質砂岩の部分とである。 石材は淡灰色などの軟岩でもろいが, 耐火性があって軽く, 整形しやすい利点がある(「II.5.3.4 大岩凝灰岩層」の項参照)。

土木材料 : 河川・海岸から, 砂利・砂・玉石などが採取されている。 とくに常願寺川を筆頭に片貝川・早月川など, 山地地域から流下した河川から莫大な量が採取されて, 国道建設などの盛土材料として利用されたほか, 破砕して骨材として使用されている (「I. 地形」の「河川および河床堆積物」・「海岸地および海浜堆積物」の項参照)。 なお, 今後の骨材資源として, 新第三系中の安山岩岩脈・安山岩熔岩, 太美山層群中の石英安山岩熔岩が対象に考えられる。

客土材料 : 田地への流水客土の材料として, 上市町 眼目 さっか の東方の音川累層の細粒砂岩の風化部分, 滑川市 千鳥 ちどり [ 位置不明 ; 東福寺の北方 500 m ] の開析扇状堆積物の風化物などが使われたことがある。

温泉・鉱泉 : 魚津図幅地域にでは, 第 5 表に掲げた温泉(低温)がある。 これらの温泉水には, 富山県衛生研究所の分析結果によれば, 第 5 表に示した成分が含まれている。 このほか, 古くから, 鉱泉として利用されているものが, 魚津市市街地や魚津市の丘陵地帯(大谷・北山・坪野)などにある。 低地地帯の温泉・鉱泉水は冲積堆積物の中から, 丘陵地帯の鉱泉水は付近の新第三紀層あるいは崖錐堆積物の中から採水されている。

第 5 表 温泉水の成分表(富山県 厚生部 環境衛生課(1967), 富山県 衛生研究所 分析試料によって摘要・編集)

試料 1 2 3
pH 6.4 8.3 6.8
K+ 6.07 216.7 3.988
Na+ 9.62 4432.0 13.798
NH4+ 22.0
Ca2+ 25.74 276.9 24.08
Mg2+ 5.01 588.8 4.76
Fe2+・Fe3+ 42.75 0.066 20.12
Mn2+ 2.02 0.465 0.16
Al3+ 0.90 0.750 1.69
Cl- 8.31 8,325.0 30.22
Br- 17.79
SO42- 痕跡 1,055.0 痕跡
HPO42- 3.642 痕跡
HCO3- 228.1 283.2 143.67
CO32- 1.673
HBO2 0.14 3.752
H2SiO3 50.90 22.62 23.19
CO2 219.4 6.809 37.84
[ 第 5 表の試料の詳細 ]
1 : 赤田鉱泉(単純炭酸鉄泉)
富山市 飯野 字殿田割,
昭和 41 年 2 月に富山県 衛生研究所の前田左門・入部美則技師が調査・分析
2 : 水橋温泉 玉の湯(純食塩泉)
富山市 水橋町 字中村町,
昭和 37 年 2 月に富山県 衛生研究所の中川文雄・城石和子技師が調査・分析
3 : 下田の湯(単純炭酸鉄泉)
魚津市 下新町 125,
昭和 30 年 2 月に富山県 衛生研究所の西野秀吉・市島昇技師が調査・分析

地下水 : 平野の地下水は, 典型的な扇状地型の地下水である。 そして地下水の涵養源は, 常願寺川・上市川・早月川・片貝川などの表流である。

帯水層は, さく井地質柱状図によると, 粗い物質からなっている。 魚津市内では, 約 30 m 以浅が玉石混じり砂礫(第1帯水層), 以深は赤粘土層をはさむ砂礫層である。 上市町内では, 10 m 前後までが玉石混じり砂礫(第1帯水層), 以深は粘土を多く含む赤色砂礫層となっている。 富山市の常盤橋付近では, 10~15 m 以浅が砂礫層(第1帯水層), 以深が粘土勝ちの地層, 45~65 m が粗い砂礫層(第2帯水層), 以深がふたたび粘土勝ちの地層である。 しかし, 常願寺川から隔った図幅の西端に近い北陸線沿線の地帯では, 深度 50 m 付近まで青~黒色粘土層があり, 下位に粗い砂礫層が存在する。

片貝川・早月川の扇状地は, 急勾配で海岸線にまで拡がっているために, 最上部の帯水層の下半に達している井戸は, 海岸付近で自噴井となり, かつ水質も地表水の性質に近い良質のものである。

上市川から常願寺川にかけての地帯では, 標高 15 m 付近に扇端泉があり, すくなくとも富山地方鉄道本線以北の低地に, 自噴井が存在する。 これらの自噴井は, 深度 30~50 m であって, 上述の第2帯水層に達している。 なお第2帯水層は, 河川の表流に近い水質を示しているが, 第1帯水層は, 臨海部においては鉄分・塩分にとんでいる。

第 44 図 魚津図幅地域 地下水 分布図(村下敏夫技官の原図による) [ 凡例などの記載は省略した ]

第 44 図は, 口径 300 mm の深井戸を例として 任意に定めた揚水量がえられるところを示したものである。 当地区の地下水は, 河川の表流を起源とするために, 水量および地下水位は, 表流流量と密接な関係におかれている。 そして, 自噴井は同一帯水層に達しているために, 他の揚水にともなう干渉度が一般に大きい(応用地質部の村下敏夫技官による)。

なお, 早月川の扇状地については, 菅野・岸・阿部(1968)によって, 地下水の供給・流動・排出・地球化学的性質などが明らかにされ, 扇状地全体の安全揚水量が 50,000 m3 / day と見積られている。

防災地質 : この地域には, ところどころ, 防災上 留意しなければならない地質・地形的要素をもった箇所がある。 山地の地域では, 崖錐の再崩壊など, 山崩れ性の崩壊が起りやすい箇所が多く, とくに船津花崗岩の分布地帯が荒廃しやすい。 丘陵地域・台地地域では, 固結が弱い新第三系上半の地層, 第四系の風化した礫質層が分布しているため, とくに谷壁, 枝谷の頭部に地すべり性の崩壊が起りやすい条件が備わっている。 これらの地形的背景については「I. 地形」, 岩石・地層の性状については「II. 地質」中の「岩相」・「岩質」の項, 河川・海岸については「I. 地形」に, 簡単に記述した。


第 45 図 魚津図幅地域 地質柱状図 作成地 一覧図 (冲積層については第 44 図・第 42 図参照) [ 地質柱状図作成路線の記載は省略した ]


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(無記名)(1910):
魚津の蜃気楼. 地質学雑誌,vol. 17,p. 150.

鉱山関係古資料(金沢市立図書館保管)

新川郡 加積組 虎谷村 絵図 1 枚(金銀銅山 八村分界精図 1 袋のうち).
新川郡 加積組 下田村領 絵図 1 枚(同上).
新川郡 加積組 河原波村 絵図 1 枚(同上).
新川郡 布施組 松倉村 絵図 1 枚(同上).
河原波金山ニ付 口上書写 2 冊
河原波金山 山師 居屋鋪 一件 1 冊.
金山方諸事留帳(商法局, 明治 3 年) 1 冊.
越中国 鉱砿調理記(明治 5 年) 1 冊.

魚津図幅 地質図 訂正

図で説明している訂正箇所(1 km 程度の広がり)

  1. 片貝川の東岸の東城の南部・島尻の東部 : 島尻の東方の領域が Yk の模様になっているが, Ykt である。
  2. 片貝川の西岸の大菅沼の南東部 : 大菅沼の南東方にある傾斜 30°の走向傾斜記号を 500 m 程度南西方に移動する。
  3. 片貝川と早月川の間の池谷の南部・小菅沼の北部 : 白抜きの領域は d1 である。
  4. 早月川の沿岸の 下田 げだ の東部 : 下田に東接している領域に Gk の模様が入っているが, Yo である [ ← その領域を下田の真北にある東西走向の断層(推定断層 ?)で北部の Gk から分離する ]

図の説明なしの訂正箇所

  1. 地質図中央部の郷川下流, 安田 - 黒川間の Km 中の傾斜値 16 は 6 の誤りである。
  2. 地質図南部の上市町 蓬沢 よもぎざわ 東方の黄緑色の部分(d2 に隣接)は Tu である。
  3. 地質断面図の B - C 断面の B から 7~8 cm の "?" マーク以外は Tu である [ ← この訂正内容は意味不明 ]

QUADRANGLE SERIES
SCALE 1 : 50,000

Kanazawa (10) No. 23

GEOLOGY OF THE
UOZU
DISTRICT

By Yasuo SUMI and Tamotsu NOZAWA (Written in 1973)


Abstract

GEOLOGY

The mapped area is situated in the central part of Toyama Prefecture, central Japan, and represented topographically by the land along the south coast of Toyama bay. The land comprises mountainous areas below 1,200 m high, hilly areas, Pleistocene fan fields, and some Recent fan fields. The mountains are the belongings of Tate-yama mountains, and are composed of Mesozoic granitic rocks, Cretaceous sedimentary rocks, Paleogene or Cretaceous volcanic rocks and Miocene pyroclastic rocks. In the hilly areas, the upper half of the Miocene system, the Pliocene strata, and the lower Pleistocene sediments are found.

The stratigraphic succession of these sediments and rocks is shown in Table 1.

Table 1


[ Legend on the geological map ]

Quaternary Recent Sand dune deposits s Sand
Younger talus deposits d2 Talus breccia, and and mud
Alluvial deposits a Gravel, sand and mud
Pleistocene Dessected fan and
river terrace deposits
6th stage f6 / t6 Gravel, sand and mud
5th stage f5 / t5 Gravel, sand and mud
4th stage f4 / t4 Gravel, sand and mud
Older talus deposts d1 Talus breccia, sand and mud
Dissected fan and
river terrace deposits
3rd stage f3 / t3 Gravel, sand and mud
2nd stage f2 / t2 Gravel, sand and mud
1st stage f1 / t1 Gravel, sand and mud
Kureha-yama gravel bed Km Mud and muddy sand (with lignite)
Ks Sand and pebbly sand
Kg + Kt Gravel, pebbly sand and tuff (Kt)
Kp Pebbly sand and sand
Neogene
Tertiary
Pliocene Muroda
formation
Tuffaceous sandstone
member
Ms Tuffaceous sandstone and tuff
Volcanic conglomerate
member
Mc Volcanic conglomerate and
tuffaceous pebbly sandstone
Oto-gawa
formation
Mudstone
member
Om Sandy mudstone and
alternation of
mudstone and sandstone
Miocene Sandstone
member
Os + Os' Sandstone and mudstone (Os')
Dikes A Andesite
D Dacitic rock
Yatsuo
formation
Shakusenji
mudstone
member
Uppermost
part
Ys' + Ys Sandy mudstone and sandstone (Ys')
Main
part
Ysm + Ysm' Mudstone and sandstone (Ysm')
Tsubono
tuffaceous sandstone
member
Yt' + Yt Tuffaceous sandstone and tuff (Yt')
Ōiwa tuff member Yi Tuff
Fukuhira
tuff-breccia and
volcanic conglomerate
member
Yk 1~5 Volcanic conglomerate and
tuffaceous sandstone
Ykt Tuff
Yka 1~6 Pyroxene andesite lava flow
Ykb Andesite tuff-breccia and tuff
Furu-kakuma
sandstone
member
Yfs Sandstone and sandy mudstone
Yf Conglomerate
Orido tuff member Yo Tuff,
tuffaceous standstone and
tuffaceous mudstone
Dikes P Porphyrite and andesite
Iwaine
formation
Matsukura
tuff-breccia
member
Im Andesite tuff-breccia
(with andesite lava flow)
Shirokura-yama
mudstone
member
Ir Tuffaceous mudstone,
tuff and tuffaceous sandstone
Shō-hayatsuki-gawa
conglomerate
member
Is Volcanic conglomerate and
andesite tuff-breccia
Nirehara
formation
Tazō
sandstone
member
Nt Sandstone and conglomerate
Dikes F Felsite
Early Paleogene or
late Cretaceous
Futomi-yama group Fr Rhyorite lava
Fw Hornblende biotite rhyolite
welded tuff and others
Fp Dacite welded tuff and others
Fd Hornblende dacite lava and others
Ft Tuff and dacite tuff-breccia
Fc Conglomerate and tuff
Cretaceous Tetori group (Upper part) Tu Sandstone,
alternation of
sandstone and mudstone and
conglomerate
Early Mesozoic Funatsu
granitic
rocks
Xenolithic dikes Gh Rhyolitic rock
Gd Andesitic - fine-grained dioritic rocks
Iori
granodiorite
Gi Fine-grained granodiorite,
adamellite and others
Katakai-gawa
granodiorite
Gk Granodiorite, adamellite and others
Gm Granite mylonite

Funatsu granitic rocks

Near the eastern periphery of the mapped area, there are exposed several granitic rocks covered by Tertiary and Mesozoic sediments. They are members of Funatsu granite which is the most prevailing granitic rock in the Hida metamorphic belt. They are divided into two types, as follows.

Katakai-gawa granodiorite
Iori granodiorite

Both granodiorites are correlated to Funatsu type of the Funatsu granite.

The Katakai-gawa granodiorite is mainly composed of pink-colored, medium or coarse-grained granodiorite, adamellite and their mylonitic facies. Porphyro-blastic crystals of microcline are widely disseminated throughout the rock except aplitic or strongly mylonitized parts. Micro-cline porphyro-blast in moderately or weakly mylonitized facies has lenticular form, giving appearance of "Augen gneiss".

The Iori granodiorite is mainly composed of fine-grained, reddish pink-colored granodiorite and adamellite and is aplitic in appearance. Though it is aplitic, but several points are peculiar, such as abundance of plagioclase, frequent occurrence of sphene, higher content of K2O than Na2O. Aplite, graphic granite and greisen are found as veins or lenses.

Both in the Katakai-gawa and Iori granodiorite, abundant dikes are found. Some of them are similar to those in the Tertiary formations nearby. And some others are of xenolithic character. These xenolithic dikes are reasonably supposed to be contemporaneous with the plutonism of the granodiorites.

Inclusions of dioritic composition are found abundantly, especially in the Katakai-gawa granodiorite.

The direct relation of the both granodiorites is not clear, because of the mylonitic border of the Katakai-gawa granodiorite. Probably the Iori granodiorite may be younger because of its aplitic characters but both granodiorites might have intruded successively without considerable time interval.

The age evidences, of the plutonism of these granodiorites are scarce in the area mapped. And in some other sites in the Hida moutains, the Funatsu granite is intruded into Carboniferous formation and covered by Jurassic conglomerates, and its radiometric age is nearly 180 m.y.

Tetori Group (Upper part)

In the mapped area this group, with a thickness of less than 200 m, unconformably overlies the Funatsu granitic rocks, and is mainly composed of non-marine sandstone. These strata including Xenoxylon latiporosum (CRAMER), correspond to the upper part of the Tetori Group in Ishi-kawa Prefecture.

Futomi-yama Group

Futomi-yama Group was named in the southwestern part of Toyama Prefecture. In this area, it lies unconformably on the Tetori Group and the Funatsu granitic rocks, and is covered unconformably by the Miocene formations. A radiometric age of the upper part of this group in the eastern part of Toyama Prefecture is reported as 59 m.y.

The lower part of the group, about 600 m in thickness, consists of sedimentary tuff, dacitic tuff-breccia and dacite lava, including auto-brecciated part. The middle part, about 500 m thick, is made of dacite welded pumice tuff. The upper is composed of hornblende-biotite rhyolite welded tuff, containing many phenocrysts of quartz, potash feldspar and plagioclase, with a thickness of about 500 m. The depositional environment of this group is supposed to be sub-aqueous, probably lacustrine, as for the lower part, and sub-aerial as for the middle and upper parts.

Neogene Tertiary

The Neogene Tertiary system, namely Hoku-riku Group and composed mainly of marine sediment, could be distinguished in to the five formations by the boundary relation of unconformity or disconformity.

The lowest formation of Neogene, namely Nirehara Formation, is one shallow-water sandstone member in this area. The member, about 10 m thich, overlies unconformably on the Fatomi-yama Group, and is composed of rounded gravel and sand.

Andesitic tuff-breccia is prevalent in the Iwaine Formation. Although, basal conglomerate, volcanic conglomerate and tuffaceous mudstone occur in the lower part of the formation. The thickness of the formation is several hundred meters.

The yatsuo Formation composed of several members occupies the main part of Hoku-riku Group. The lower part of this formation is unconformably underlied by the Iwaine Formation and the Futomiyama Group, and is formed a sedimentary tuff member, 100 to 400 m thick, and a sandstone member, 50 to 100 m thick. The relation between the upper part of the former member and the latter member is comtemporaneously heterotopic. The sandstone member includes some middle Miocene fossils, Turritella kadonosawaensis var. ikuridaniensis IDA, Acila submirabilis MAKIYAMA, Venerupis (Siratoria) siratoriensis (OTUKA), Pecten arakawai NOMURA etc.

The middle part of the Yatsuo Group, 400 to 900 m in thickness, consists of andesitic tuff-breccia, tuffaceous sandstone, volcanic conglomerate, tuff and andesite lava flow. It is considered that the contemporaneous submarine volcanic eruption supplies the most part of these strata and rocks with material. The mudstone member and the tuffaceous sandstone member covered with the former are comprised in the upper part of the Yatsuo Formation which lies disconformably on the middle part of the formation. The tuffaceous saudstone member yields Pectinidae fossils, and lithologically shows a nature of shallow-water environment. The depth of depositional environment of the mudstone member is rather deep as for the middle part, and shallow as for the upper part composed of sandstone and sandy mudstone. The total thickness of these members is 200 to 300 m.

In the southern part of the area, the Yatsuo Formation is disconformably covered with the Oto-gawa Formation. The Oto-gawa Formation, about 350 m in maximum thickness, consists of fine sandstone and sandy mudstone, and contains molluscan fossils such as, Anadara amicula YOKOYAMA, Dosinia (Kaneharaia) Kaneharai YOKOYAMA, Mya cuneiformis (BÖHM) etc.

The Muroda Formation may be correlated with the Pliocene members of the neighbour district from stratigraphical evidences that this formation is unconformably underlain by the Oto-gawa Formation and unconformably overlain by the Kureha-yama gravel bed. The formation, which probably represents a shallow marine enviroment, is composed mainly of tuffaceous sandstone and tuff. The thickness is less than about 300 m.

Quaternary

The Kurehayama gravel bed, 350 m in maximum thickness, is a group of sediments of fanglomeratic character which consists of gravel, sand and mud. After the depositional stage of this bed, an earth movement occurred, and the recent complicated geological structure had been formed in the area.

The group of the dissected fan and terrace deposits contains deposits of the 6th stages composed predominantly of cobbly river sediment. Each of the elevation, inclination and grade of dissection of these fan deposits increases as the stage of the fan is older.

The Recent deposits in the mapped area, are formed of mostly fan deposit after the period of the greatest lowering of sea level in the Würmian stage. The coastal sand dunes are made up in latest Recent epoch. In the coast of Uozu harbour and the river floor of Jōganji-gawa, buried forests are found. The ages that the forests were buricd are about 2,000 B.P. as for the former, and about 600 B.P. as for the latter.

ECONOMIC GEOLOGY

Some closed mines of ore deposit are found, in the southeastern part of this area. These deposits are mainly vein deposit containing gold, silver, copper and zinc in the Futomi-yama Group, the lower part of the Yatsuo Formation and the Funatsu granitic rocks. Lignite beds are intercalated in the Kureha-yama gravel bed of the two localities. Clays for roofing tile are contained in the soil and decomposed matter of the older fan deposits. Mineral water is used for bath in the several localities. Ground water is richly contained in the sand and gravel beds of Recent and late Pleistocene age.


昭和 48 年 8 月 1 日 印刷
昭和 48 年 8 月 7 日 発行
著作権所有 工業技術院 地質調査所

(C) 1973, Geological Survey of Japan