06035_1964

5萬分の1地質図幅説明書

大槌・ 霞露岳 かろだけ

(秋田 第 35 号・第 36 号)

通商産業技官 吉田尚
通商産業技官 片田正人

地質調査所

昭和 39 年


目次

I. 地形
II. 地質
II.1 概説
II.2 古生界
II.2.1 小川層
II.2.2 栗林層
II.2.3 釜石層
II.3 中生界
原地山層
II.4 火成岩類
II.4.1 超塩基性岩
II.4.2 脈岩類
II.4.3 大浦花崗岩類
II.4.4 宮古花崗岩類
II.4.5 遠野花崗岩類
II.5 変成帯
II.6 第四紀層
II.7 地質構造
III. 応用地質
III.1 概説
III.2 鉱床
文献

Abstract

1 : 50,000 地質図幅説明書(昭和 36 年稿)

大槌・ 霞露岳 かろだけ

(秋田 第 35 号・第 36 号)


大槌地質図幅は 1959 年から 1960 年までの間に野外調査が行なわれた。 古生層の地域は吉田が, 花崗岩および原地山層(中生代火山岩)の地域は片田が分担してまとめた。

霞露岳 かろだけ 地質図幅は 1960 年に片田が調査を行なった。

調査区域中の栗林層から産出する化石については, 元北海道大学助教授の武田裕幸氏の教示を得た。

なお, この地質図幅および説明書作成に当たって, 岩石薄片 366 枚・化石薄片 112 枚, 研磨片 6 枚, 計 484 枚を作製した。 製作は本所 技術部 村上正技官によるものである。

I. 地形

この図幅地域は, 北上山地の太平洋沿岸部に面する部分であって, 地域西部の山地には北上山地 隆起準平原を示す地形が残っている。 そして, この隆起準平原は海岸側が強く侵蝕されている。 侵蝕作用をはげしくうけている地域のうちで, おもに古生層からなる地域は壮年期の地形を示すことが多いが, 海岸に沿って南北に分布する宮古花崗岩類からなる地域は, 低くなだらかな山形をつくり, 古生層(変成岩)との境は, 地形に明瞭にあらわれている。 大槌図幅地域の東部から霞露岳図幅地域にかけて分布する 中生代の火山岩類(原地山層)からなる山地は, かなりけわしい地形を呈し, 海岸は絶壁をつくっており, 霞露岳東方の赤平付近では, 150 m に及ぶ断崖がみられる(図版 1)。

図版 1a 霞露岳東方の岩石海岸。 この地方では部落の付近をのぞき 150 m に達する絶壁が連続している(霞露岳図幅)

図版 1b 霞露岳東方海岸にみられる海蝕洞と滝

海岸線はかなり複雑に弯入し, いわゆる陸中海岸のリアス式海岸を形成している。 この地域の北方の, 宮古付近以北と比較すると, そこでは海岸段丘が著しく発達しているのに対し, この地域から南方では段丘が発達していないという対照的な特徴がみられる。 この地域でも, 船越湾沿岸にやゝ平らな面がわずかに発達しているが, はっきりした段丘堆積物を認めることができなかった。 おそらく崖錐砕屑崖物のみをのせているように思われる。 あるいは古い海蝕台の隆起したものかと考えられるが, 不明瞭なので地質図上には段丘として区別していない。

II. 地質

II.1 概説

大槌および霞露岳図幅地域の地質は, おもに, 古生層・原地山層・花崗岩類および第四系からなる。

第 1 表 地質総括表

地質時代 早池峰構造体 北上山地 北部型古生層
輝緑凝灰岩帯 千枚岩帯
後期二畳紀
中期二畳紀
釜石層
石灰岩
砂岩
輝緑凝灰岩薄層
粘板岩
チャート
前記二畳紀
栗林層
チャート小岩体
凝灰岩薄層
石灰岩礫岩
砂岩(一部凝灰質)
粘板岩
前期石炭紀
小川層
礫岩
砂岩
チャート小岩体
粘板岩
輝緑凝灰岩
特徴 輝緑凝灰岩相
超塩基性~塩基性岩の貫入帯となっている
チャート相

この地域は, 北上山地 南部型および北部型 古生層(湊正雄 11) )間の境界をつくる構造帯 -- 早池峯 はやちね 構造帯 [ 以下の [注] 参照 ] -- の東方に位置する。 この構造帯は図幅地域の西部をよぎり, 地域の大半は北上山地 北部型 古生層によって占められている。

[注]
従来, 早池峯 - 五葉山構造帯とよんでいたが, これから, 単に早池峯構造帯とよぶことにする。

第 1 図 北上山地 中部 地質概略図

早池峯構造帯の位置は第 1 図に示されるとおりである。 この構造帯に関して, 釜石地質図幅説明書 23) に述べたことに, さらにつけ加てなければならない事実が, この図幅調査においてでてきた。 第 1 図に示されるように, 構造帯は断層によってさらに2つに区分され, 西側に(南部古生層の分布区域寄りに) 輝緑凝灰岩を主とし粘板岩・石灰岩・礫岩を挾む地層が分布し, 東側の部分には粘板岩・凝灰質砂岩を主とし凝灰岩薄層・石灰岩礫岩をごくうすく挾み, ともに非常にまれにチャートを小さく含む地層が分布する。 この外側の部分は, 全体として千枚岩化している。 そして両者は断層で境している。 これらの特徴によって 早池峯構造帯を 内側の輝緑凝灰岩(小川層)帯と, 外側の千枚岩(栗林層)帯とに分けることにする。 釜石図幅地域では輝緑凝灰岩帯中には, 南部型古生層の分布区域よりに, 南部型古生層中の坂本沢統に当たる地層(前期二畳紀)が楔形に断層で挾まれる。 また輝緑凝灰岩に挾まれるレンズ状のかなり大きい石灰岩から, 前期石炭紀 鬼丸統に属する珊瑚・紡錘虫化石を産出している。 この輝緑凝灰岩帯中の輝緑凝灰岩を主とする厚い地層全体の層序・時代は, いままでの調査では不明であるが, いまのところ前期石炭紀に属すると考えることにする。 一方, 千枚岩帯を構成する栗林層には石灰岩礫岩がうすく挾まれていて, この礫からは石炭紀の珊瑚化石を産出するが, その基質からは二畳紀初期の紡錘虫化石を産出している。 この結果, 栗林層は前期二畳紀に属するものと考えられる。 早池峯構造帯のこの2つの区分は, 釜石地質図幅 23) 調査当時には不明のことであった。 つまり, 釜石地質図幅内で釜石層のなかで輝緑凝灰岩帯( 小川 こがわ 層)と断層で接する部分に, 砂岩を多く挾み, またチャートをほとんど含まず, 多少 千枚岩化した地層が分布しているが, これが早池峯構造帯中の千枚岩帯に当たるものである。 この2つの分帯は, 釜石図幅地域に発して大槌図幅地域内を通り, 早池峯山北方・盛岡市東方まで追跡することができる。

この構造帯は, 人首 ひとかべ 地質図幅で述べられた北上山地の超塩基性~塩基性岩体の配列のうちの 外側弧状体列(第 1 図参照)の貫入帯と一致するもので, 輝緑凝灰岩帯ばかりではなく千枚岩帯も超塩基性岩~塩基性岩体によって貫入されている。 この貫入は早池峯構造帯中だけに限られるようである。

釜石地質図幅説明書において, 山下昇 20) の意見と同様に早池峯構造帯が北上山地 南部型と北部型古生層との境界部に当たり, こゝに発達する輝緑凝灰岩の著しい発達は, 北上山地の古生層の岩相を, 2つに分ける地帯のはげしい海底火山活動を示すもので, 上部古生界当時からの構造的境界の存在を意味すると述べた。 けれども, 早池峯構造帯のなかの輝緑凝灰岩帯の地層についてみると, そのなかに挾まれる石灰岩は前期石炭紀(ヴィゼー世)の鬼丸統のものであり, 輝緑凝灰岩を主とする地層は 南部型古生層中の前期石炭紀の 日頃市 ひころいち 有住 ありす 大平 おおだいら 統に相当するかもしれない。 もしそうとすれば, この構造帯においては, 石炭紀前期には南部型古生層区域と共通の堆積状態を示していたが, 二畳紀に入ってから 南部型と北部型との古生層堆積相をはっきりと分けさせるような境界となり, それが構造帯に転化したということができる。

早池峯構造帯の東方の北上山地 北部型古生層は, 釜石地質図幅において釜石層としたものの延長であり, 粘板岩・チャートを主とする地層で, 砂岩が一部に発達し, まれに輝緑凝灰岩の薄層とレンズ状石灰岩とを挾んでいる。 散点するレンズ状石灰岩からは二畳紀 紡錘虫化石を産する。

中生代の 原地山 はらちやま は大槌図幅地域地部から, 霞露岳図幅地域にかけての海岸地域に分布するが, これは霞露岳に始まって陸中海岸沿いに, 北方の久慈付近まで分布する白堊紀初期の火山岩累層の一部である。 宮古市北方では この層にはやゝ深海性と思われる砂岩頁岩互層が挾まれるが, 他の区域では, 砕屑岩類はなく, ほとんど石英安山岩質の火山砕屑岩類のみからなる。 一方 北上山地南部では, これに相当する同時代の火山活動を示す地層として大島層(新月噴出岩類を含む) [ 以下の [注] 参照 ] ・大船渡層などがあるが, そこではこの区域と異なって安山岩(塩基性のものが多い)がほとんどである。

[注]
気仙沼地質図幅(神戸・島津, 1961) 7) では火山岩類からなる地層を大島層から分離して新月層・鼎浦層としている。

大浦花崗岩類 は, 原地山層の分布地帯だけに露出するもので, 名称はこの図幅地域で始めて用いたものである。 おそらく北方の田老岩体 4) に相当するものと思われる。 ここでは, 2つの岩相(Go1・Go2)に分類してある。 Go1 は深成岩質の組織で, 輝緑岩質の捕獲岩を多量に含むもの, Go2 はやゝ半深成岩質の組織を示すものである。

宮古花崗岩類 は, 半島部を除く海岸地帯に南北に長く分布しているもので, 全体は北隣の図幅地域内の宮古市近傍から, 南隣図幅地域にかけて露出している。 岩相は, 中粒・細粒という差で2分され(Gm1・Gm2), 細粒の岩相は岩体の縁辺部に限られている。 また, この花崗岩は, 宮古市で白堊紀高知世~有田世(?)の原地山層を貫き, 宮古世の宮古層群に覆われており, 日本では貫入時期がもっとも明瞭なものの一例である。

遠野花崗岩類 は, 大槌図幅地域の西方山地の一部に露出しており, その主体は, 西隣の土淵図幅地域, および, さらにその西方と南方とに拡がっている。 この図幅地域内では, 一般に中粒花崗岩(Gt1)であるが, 一部には細粒閃緑岩質の岩相(Gt2)が発達している。 この花崗岩の貫入時期は, 宮古花崗岩とほゞ同時期と推定される。

変成帶 は, 大槌図幅地域内の宮古および遠野花崗岩周辺の, 比較的変成度が高くて肉眼的に顕著な部分のみを, 地質図に示してある。 しかし, 実際には両図幅地域内の古生層と原地山層とはほゞ全体が変成作用をうけている。 この図示してない部分は, 再結晶作用がそれほど顕著でないため, 野外では非変成岩の外観とあまり変わらない。

第四紀層としては, 河川流域の段丘堆積層と冲積層とのほかに, 崖錐堆積物が認められる。 そのほか, 地形的に平坦な面が船越湾沿岸にあるが, その上に, はっきりした堆積層は調査範囲では認められなかった。

II.2 古生界

II.2.1 小川 こがわ

釜石図幅地域に広く分布する地層で, この地域でも南西部に分布している。 この地域では, 小川層はおもに輝緑凝灰岩(基性熔岩・凝灰岩)・粘板岩からなる。 そのほか砂岩があり, チャートを非常にまれに薄く挾んでいる。 釜石図幅地域にみられる, 前期石炭紀 ヴィゼー世を指示する珊瑚化石を産出する石灰岩は, 挾まれていない。 また, 礫岩もこの地域では見当たらない。 釜石図幅地域の北部に較べると, 同地域の南部と同様に輝緑凝灰岩の占める割合が減っており, 釜石図幅北部の地域がもっとも火山岩砕屑岩の量が多いことを示す。 また, この地域のものは, 全般的に熱変成作用をうけている。

輝緑凝灰岩としたものには, 熔岩起源のもの, 凝灰岩起源のもの, あるいは凝灰質泥岩起源のものがあるようであるが, 変成作用をうけているため, それらの区別が明らかではない。 色は緑色を呈する。

粘板岩は黒色板状で, 変成作用のため紫色を呈する塊状の部分もある。 また一部に千枚岩質となっているところがある。 とくに栗林層との断層に近接した部分にそれが認められる。

釜石図幅地域では, この小川層のなかに挾まれる石灰岩 [ 以下の [注] 参照 ] から珊瑚および紡錘虫化石を産出する 19), 22) 。 その結果, 石灰岩の時代は前期石炭紀 ヴィゼー世晩期である。 すなわち, 北上山地南部の鬼丸統石灰岩層に対比される。 石灰岩以外の輝緑凝灰岩および粘板岩からなる厚い地層は, 岩相だけからみれば北上山地 南部型古生層の下部石炭系に対比してよいであろう。

[注]
なお この石灰岩と小川層の輝緑凝灰岩層の部分との関係は断層の可能性があるが, 未解決であり, いまのところ小川層に一括しておく。

小川層の地質構造を概観すれば, 釜石図幅地域でみられる向斜構造の延長と目される向斜構造が, この地域でも認められる。

[ 小川層の ] 層厚は, 正確を欠くが, 釜石図幅地域では, 3,000 m を超えるものと推定してある。

II.2.2 栗林層

地質概説で述べたように, この層は早池峯構造帯のうちの千枚岩帯を構成するもので, この図幅地域では, おもに砂岩・凝灰質砂岩・粘板岩からなる。 うすい淡緑色凝灰岩を挾み, また, 数ヵ所において石灰岩礫岩およびそれに伴なう石灰質砂岩がみられる。 ごくまれにチャートの小レンズがある。

砂岩は, おもに中粒, 灰色~暗灰色で, 白色の斑点(長石 ?)をもつものがあり, 黒色粘板岩の微小破片をもつものもある。 塊状のものもあるが, 千枚岩質となってわずかに片理が発達するところもみられる。 粘板岩と縞状互層をつくるところもわずかにある。

粘板岩は, 黒色, 一般に千枚岩質ないし板状であって剥離に沿って割れ易い。 このなかには, うす墨色で剥理面(層理面と一致)にやゝ光沢を帯びるものがある。

凝灰質砂岩(一部 粘板岩)は, 淡緑色を呈し, あるいは白色斑点(長石 ?)が多くみられる。 上にのべた砂岩も多少 凝灰質なものがあり, やはり千枚岩質となっている。 この凝灰質砂岩は, 栗林層の見かけ上の下部にある。

チャートは数 m の非常に小さい塊状レンズであり, 白~灰白色を呈する。

図版 2 栗林層の石灰岩礫岩(標本)。
a : 石灰岩礫, b : チャートその他の礫, c : 基質部

石灰岩礫岩(釜石図幅説明書では礫状石灰岩とのべた)は, 厚さ 5~20 m で, 石灰岩・ 黒色粘板岩・ 輝緑凝灰岩・ チャート・ 淡緑色凝灰岩(?)あるいは玢岩からなる礫が, 石灰質あるいは泥質の膠結物でかためられたものである。 石灰岩の礫は, 扁平なもの, 亜楕円形のものが多く, 長径 20 cm に達するものがある。 礫種からいえば石灰岩礫がもっとも多数であり, それに較べるとごく少数のチャートの円礫がある。 粘板岩の礫は, 多く角礫である。 流紋岩の礫もあるが, 非常にまれである。 この石灰岩礫の一部から, 珊瑚・紡錘虫・海百合化石が発見された。

武田裕幸 19) によれば, 礫から産出する化石はつぎのようなものである。

1. 釜石市栗林町 沢田清水沢 (地質図 Loc. No. 1)
Endothyra sp.
Millerella sp.
Coral gen. et sp. indet.(大型)
2. 釜石市栗林町 上栗林 (Loc. No. 2)
Endothyra sp.
Millerella sp.
Lithostrotionella ? sp.
3. 釜石市 鵜住居 うのすまい 砂子畑 すなこばた [ 釜石図幅地域内 ] (こゝでは礫岩の厚さ約 120 m に達する)
Endothyra sp.
Millerella sp.

湊正雄によれば Endothyra, Millerella は南部北上山地では, 石炭紀 鬼丸統火石階から長岩統まで産し, Lithostrotionella は長岩統のみに産する。 したがって, これら石灰岩礫は少なくとも長岩統以前の地層に由来すると考えられる。

なお, 膠結している石灰質の部分は, 周辺部がはっきりせず, 形も不規則である。 また, 膠結部を顕微鏡でみると, 泥質あるいは凝灰質の部分および一部かなり石灰質なものからなっている。 そして, この石灰質の部分から, つぎの紡錘虫化石が発見された。

1. 釜石市栗林町 沢田清水沢 (Loc. No. 1)
Pseudofusulina sp.
2. 釜石分栗林町 上栗林 (Loc. No. 2)
Pseudofusulina sp.
Pseudoschwagerina ? sp.
3. 釜石市 鵜住居 うのすまい 砂子畑 すなこばた (釜石図幅地域内)
Pseudofusulina sp.

これらの化石によれば, 初期二畳紀のもので, この石灰岩礫岩を含む地層は, 南部北上山地の坂本沢統下部に相当すると考えられる。 石灰岩礫岩は以上の化石産出地に露出するほか, その転石が赤仁田森の北の沢, 種戸川目 たねどかわめ の西, 赤内森の東に認められる。 そこでは露出が確かめられないが, おそらく規模は小さく, また遠野花崗岩の影響をうけて結晶質となっている。

このような, 坂本沢統下部に対比される(しかし岩相は非常に違っている)栗林層は, この図幅の南の釜石地質図幅 21) では, 調査当時その存在を明らかにすることができなかった。 実際には石灰岩礫岩こそ含まないが, 砂岩・粘板岩からなり, チャートをほとんど挾まない地層が釜石層のなかに含まれている。 これは, 大槌図幅地域と同様に釜石層と小川層との間に断層で挾まれるもので, やはり, 部分的ではあるが千枚岩質となっている。

[ 栗林層の ] 層厚は, 確実ではないが, 約 1,500 m と推測される。

II.2.3 釜石層

釜石図幅地域に広く発達するものの延長で, 北上山地 北部型古生層の岩相の典型である。 釜石層は大部分が粘板岩とチャートからなり, 砂岩および輝緑凝灰岩の薄層があり, レンズ状で比較的小岩体の石灰岩が処々に挾まれている。

チャートは白色・灰白~灰色・淡褐灰色を呈している。 赤色のチャートは釜石図幅地域でもまったくといってよいほどなかったが, この地域でもまったくない。 塊状・板状を呈し, 粘板岩の薄い葉層を挾み縞状を示すものがある。 板状のものは, しばしば屈曲し, 微褶曲をしているのが露頭で認められる。 チャートのなかには, 放散虫化石が比較的少ない。 これはこの地域の古生層が広範囲に熱変質を強けているためでもあろう。 チャートには, しばしばマンガン鉱床を伴ない, 稼行対象となっているが, 豊間根川上流の大谷山鉱山を除いては, 小規模である。

粘板岩は黒色で, 多くは板状を呈するが, 一部に塊状のものがあり, これにはよく節理が発達している。 ところにより珪質となる。 砂岩とごく薄く互層し, 級化層理を示している部分も, 非常にまれであるが, みうけられる。

砂岩は, 一般に薄く, 粘板岩チャートに挾まって存在するにすぎないが(最大数 10 m の厚さ), 大槌図幅地域の北部中央付近, 豊間根川上流地域には, 砂岩が異常に発達するところがある。 この砂岩には, 薄く粘板岩・チャートが挾まっている。 この部分の砂岩は, 厚さ数 100 m 以上に達すると推定される。 砂岩は灰色~暗灰色で塊状であり, 級化層理を示さない。 粒度は中粒で, さほど粗粒または細粒のものがない。 粘板岩の小さな(約 0.5 mm 以下)砕片をもつものが多い。

輝緑凝灰岩は, 一般に薄い。 このなかで, 釜石図幅地域の 両石 りょういし 付近から北にのびる輝緑凝灰岩が, 大槌図幅地域にも延長し, 追跡することができる。 この層は厚さ 15~50 m, 角礫状をしている。 この角礫状を呈する輝緑凝灰岩はほかのものより連続性があり, 図幅地域南端の片岸から宮沢峠まで, あるいはその北方に断層に切られながら続いている。 ほかにも, 処々 輝緑凝灰岩層が薄く挾まっているが, これは連続性が少ない。

石灰岩はレンズ状, 塊状に発達し, 連続性が弱い。 色は白色~灰白色で, 花崗岩に近いものは, 結晶質となっているが, 遠いものでも相当 結晶質となっている。 石灰岩が少ないうえに, そのような状態で発見される化石はきわめて少ない。 化石の発見されたところと種名はつぎのとおりである。

1. 山田町 関口不動 (Loc. No. 3)
Fusulinidae gen. et sp. indet.(おそらく Pseudafusulina)
Algae
2. 山田町 豊間根 とよまね 川上流 ネコイ沢(大谷山マンガン鉱山稼行場付近)(Loc. No. 5)
Pseudofusulina vulgaris (SCHELLWIEN)
Pseudofusulina sp.
Textularia sp.
3. 山田町 豊間根川上流 オソノエラ沢(Loc. No. 4)
Pseudofusulina sp.
Pseudoschwagerina sp.
4. 山田町 白石西方の沢の転石
Codonofusiella sp.

これらのうち, 1~3 の箇所では, すでに小貫義男・工藤一 13) が二畳紀 紡錘虫化石を報告している。

以上の化石によってみると, この地域ではこれらの石灰岩とそれを挾む地層, 釜石層の大部分が, おそらく前期二畳紀のものであろう。 この図幅の北隣の宮古図幅地域内の, 山田町 豊間根 字福士に小さく分布する石灰岩から, Neoschwagerina を多産しているが, この中期二畳紀の地層の部分が, 大槌図幅地域の北東部にも延びるかもしれないが, この地域内ではその部分に紡錘虫を産する石灰岩がないため, 不明である。

[ 釜石層の ] 厚さは, 断層で地層が切られているため, 算出できない。 おおよその見当では約 5,000 m である。

II.3 中生界

原地山層

原地山層は, 山田湾をめぐって3ヵ所にわかれて分布し, 比較的急峻な山体を形成し, 崖となって露出している。 海岸にはきわめて良好な露頭が連続しているが, 現在, 陸路からはほとんど観察することができない。

岩質は, 石英安山岩質の火山砕屑岩類を主とし, 少量の頁岩などが挾まれる。

走向・傾斜には乱れが多い。 しかし, 大体の傾向からみると, 多くは走向が約 N 30°E, 傾斜が 30~60°である。

この地域の原地山層は, 岩相の相違から2大別することがてきる。

その第1は, この地域の大半を占めるものであって, 凝灰岩 > 疑灰角礫岩 ≫ 頁岩・砂岩・角礫岩などの累層である [ 以下の [注] 参照 ] 。 凝灰岩(ないしは火山礫凝灰岩)はもっとも多量に分布し, 灰色・淡緑色などの堅硬な岩石である。 凝灰角礫岩は凝灰岩に比較すると少量であり, その顕著なものは, 霞露岳北東方海岸の, 小根ガ崎付近に, 凝灰岩と互層して発達する(図版 3)。 頁岩は黒色で, 厚さ 2 m 以下の薄層である。 赤平付近では, 火山岩角礫を含む部分がある(角礫岩)。 砂岩は, たとえば大浦西方から小谷鳥西方にかけて見られる。 こゝではにぶい褐色を呈する。

[注]
≫, > および ≒ の記号は, 地層や鉱物の量の多少を表わすことにする。

図版 3 原地山層の凝灰角礫岩。 角礫は最大径約 30 cm(霞露岳図幅, 小根ガ崎)

第2の岩相は, 山田湾北部の分布岩のうち, 断層の北東側の岩体の大半がそうである。 頁岩や砂岩を含まず, 凝灰角礫岩も見られないのが特徴で, 層理も不明瞭な所が多く, 全体が massive(塊状)な感じを与える。 第1の岩相と接する露頭は, 大沢 東方海岸(断層の東側)で見られる。 そこでは, 第1の岩相に属する凝灰岩・頁岩などの互層の上位に第2の岩相の岩石が乗っている。 この付近の第2の岩相は特異であって, 厚さ 200~300 m にわたって, 優白色の岩石中に, 暗色のレンズ状体が無数に包有されている(図版 4)。 上記の部分を除けば, この岩相は比較的均質な外観を示す。

図版 4 原地山層で優白色部分のなかに暗色のレンズ状の部分が含まれている岩体 (大槌図幅, 山田町 大沢 東方海岸)

以上の火山岩類を鏡下で観察してみると, 霞露岳山頂付近からその北方海岸にかけてのものを除き, ほゞ全域にわたって変成作用をうけ, 少なくとも基質部は完全に再結晶している。 また, 変成作用をあまり蒙らない場合であっても, 変質作用のため, 本来の鉱物の諸性質は,かなり不明瞭になっている。

霞露岳山頂付近の非変成に近い火山岩を観察してみると, 斑晶は斜長 ≫ 石英 > 有色鉱物(角閃石 ?)からなり, 基質は細粒不定形の石英・長石などからなっている。 斜長石は累帯構造および双晶の発達が悪く, 全体が曹長石質である。 石英は融蝕形を呈している。 有色鉱物は, すべて緑泥石などの集同体になっている。

そのほかの地域のものは, 2次的の変成鉱物は多くなっているが, しかし原岩はこれとほゞ同質の岩石であるように思われる。 たゞし, 個々の露頭または標本では, 斑晶鉱物の量比に多少の差があり, 部分によって斑晶が斜長石のみであったり, 斜長石 ≒ 石英であったり, まれに, 石英 > 斜長石であったりする。 また基質部においても, 変成鉱物が黒雲母 > 白雲母の場合と, 白雲母 > 黒雲母の場合とがある。 しかし, 斑晶の有色鉱物が常に少量である事実や, 基質部の変成鉱物には, 石英がきわめて多く, 角閃石が少ないという事実などから考えると, 全体として石英安山岩質の岩石とみなし得よう。

II.4 火成岩類

II.4.1 超塩基性岩

この岩石は, 早池峯構造帯に沿って貫入している超塩基性岩体列の一部に属するもので, この図幅地域内では蛇紋岩の小岩体である。 深緑色~緑白色の砕けやすい岩石で大部分が蛇紋石および滑石からなる。

II.4.2 脈岩類

この地方の古生層および原地山層は, 数多くの脈岩によって貫かれている。 古生層を貫くものは, 斑晶の目立たない玢岩と, 斜長石斑晶が特徴的な長石玢岩であり, 原地山層を貫くものは細粒の玄武岩である。

玢岩 は, もっとも普通に認められるもので, 一般に細粒の緑色または緑褐色の岩石である。 結晶粒の大きさには多少の差がみられる。

鏡下で観察すると, ほとんどの岩体に, 花崗岩の影響で角閃石や黒雲母などが2次的に生じているため, 本来の鉱物組成などの詳細は知り難い(この点は以下の脈岩類の場合も同様である)。 おそらく, 大半は斜長石と褐色普通角閃石とを主とする岩石で, 岩体によっては, 少量の単斜輝石または石英を含んでいたらしい。 また, 組織から判断して, 玄武岩・粗粒玄武岩や細粒閃緑岩または細粒斑粝岩といってよい岩質のものもある。

長石玢岩(Feldspar porphyry) 4) は, 銭型の斜長石が散在していて, 俗に「ゼニポー」と呼ばれているものである。

外観は特異であって, 緑色または緑褐色の基質中に, 白色の卓状の斜長石の結晶が特徴的に発達している。 斜長石斑晶は長さ数 mm~10 数 mm で, ときに 20 mm を超している。 しかしその厚さは 5 mm 以下で, 一般には壁岩に対して平行に配列している。

鏡下で観察すると, 斑晶はほゞ中性長石であり, 基質部は, 斜長石・単斜輝石・角閃石(?)・黒雲母(?)などからなる。

玄武岩 は, 一般に幅数 m 以内の細粒緑色の脈岩で, 斑晶は目立たない。 鏡下でみるとオフィチック組織を示し, 斜長石・輝石あるいは角閃石などから構成強さている。 なお, この岩石は, とくに多量の変成鉱物が生じているため, 詳細は不明であるが, 上記の玢岩の一部と似ている点も少なくない。

II.4.3 大浦花崗岩類

この花崗岩類は, 輝緑岩質岩石などを多量に含む深成岩質の部分(Go1)と, それをほとんど含まない, やゝ半深成岩質の部分(Go2)とに便宜的に分けられる。

Go1 の岩体 : これは, 大浦から小谷鳥付近にかけての地域, および図幅地域北端の 川代 かわしろ 付近に分布する。

花崗岩の部分は, 中粒で, 一般に片理は発達しないが, まれには, 輝緑岩質岩石が一定方向に伸びて, 片理を形成していることがあり, その場合, 走向は原地山層のそれに似ている。 肉眼的にみて石英がやゝ黄褐色を帯びており, ときに長石は淡紅色を呈する。 また有色鉱物は細粒で集合している傾向がある。 原地山層との接触部付近を除き, アプライトやペグマタイトはまれである。

鏡下で観察すると, 一般に 斜長石 > 石英 > カリ長石 > 黒雲母 > 角閃石からなる。 斜長石はおもに灰曹長石であり, 累帯構造は甚だしくはない。 カリ長石にはペルト石構造がみられ, 格子状構造がみられる部分もある。 黒雲母は褐色~暗褐色である。

花崗岩中に含まれる輝緑岩質岩石および斑粝岩 : 輝緑岩質岩石は, 一般に細粒, 暗灰色~灰青色で, 花崗岩に較べて堅硬で, 風化に対する抵抗が強い。 風化されると, 表面は白っぽくなるが, 内部は新鮮である。 花崗岩のために変成作用(花崗岩化作用)をうけている。

産状をみると, 数 10 m の範囲にわたってほとんど輝緑岩質岩石だけが露出している場合もあり, それを脈状の花崗岩が貫いている場合もある。 あるいは, 輝緑岩質岩石の引きちぎられたような形の岩塊や, 丸味を帯びたり, シュリーレン様に長く伸びたりしている岩塊が, 花崗岩中に散在している場合もある(図版 5)。

図版 5a 大浦花崗岩中の輝緑岩質岩石(霞露岳図幅, 山田町大浦 北方海岸)

図版 5b 同上

鏡下でみると, 主として斜長石と角閃石とからなり, 少量の石英・黒雲母が随伴しており, 花崗岩化作用を強く受けた岩相ほど石英・黒雲母の量を増している。 斜長石は自形に近く, 累帯構造が甚だしい。角 閃石は緑色で, まれに輝石を包有している。 石英はポイキリチックである。

斑粝岩(Gab)は, 大浦の北方と, 川代の北東方に露出する中粒~粗粒の岩石であって, カスリ模様に似た露頭面を示している。 そして局部的に, 縞状構造を持った部分がある。

鏡下で観察すると, 大浦の北方のものは, おもに斜長石 > 橄欖石 > 輝石と, 少量の角閃石・蛇紋石・スピネルなどからなっている。

Go2 の岩体 : これは一見して Go1 の岩体(輝緑岩質岩石以外の部分)と区別し難い。 しかし風化面などでは, 前者と異なって, 斑晶と石基とが区別される。 その著しい例は, 霞露岳の南東方で原地山層に接した部分であって, そこでは径数 mm 以上の石英の斑晶が顕著である。 ペグマタイト・アプライト脈はほとんどみいだされない。 また, まれに, 上記の輝緑凝灰岩質岩石の小型(径 10 cm 以下)のものが点在することもある。

鏡下で観察すると斑晶は, 斜長石 > 石英 > カリ長石で, 石基は, 斜長石・石英・カリ長石・黒雲母および少量の角閃石からなる。

II.4.4 宮古花崗岩類

Gm1 の岩体 : 中粒, 白色の花崗岩であって, 相当広範囲に分布するにもかかわらず, 見かけは概して均質で, 古生層に近接した部分(たとえば関口の北方)を除けば, アプライト・ペグマタイト脈はまれであり, 捕獲岩もほとんどみられない。 片理は一般には見られないが, まれに(たとてば白石の付近)角閃石が定方向に並んで微弱な片理をつくっている。 壁岩に対しては 45°以下のゆるい傾斜で接している。

外見は, 黒雲母と角閃石との自形結晶が特徴的で, 部分によっては, 径数 mm 以上の黒雲母や, 長さ 1 cm に達する角閃石が斑点状に散在する(図版 6)。 岩質は角閃石 ≒ 黒雲母の花崗閃緑岩質の部分が多いが, ところによっては黒雲母 > 角閃石で優白色の岩質が発達する。

図版 6 宮古花崗岩(Gm1)。 自形に近い黒雲母・角閃石が斑状に発達している(大槌図幅, 山田町 田の浜)

鏡下で観察すると, おもに斜長石 > 石英 > カリ長石 ≒ 角閃石および黒雲母からなる。 斜長石は累帯構造が顕著である。 カリ長石は甚だしくポイキリチックである。 また副成分鉱物としてチタン石が比較的多く, 肉眼でもしばしば黄褐色の結晶が認められる。

Gm2 の岩体 : これは Gm1 の岩体の周辺部に発達する細粒の岩相で, その東縁には普遍的に存在し, 西縁では浪板の付近にみられる。

新鮮な面は幾分青味を帯びて見え, Gm1 の岩体と異なって, ほゞつねに小型の輝緑岩質岩石の捕獲岩を包有する。 しばしば, 弱い片理が発達し, 壁岩に接する部分には, ときに電気石などを含むペグマタイトやアプライトが存在する。

黒雲母や角閃石の外形や分布状態は, それほど斑状ではないが Gm1 の岩体のそれによく似ている。 また, 新鮮な露頭面では, 長さ 1 cm 以上のカリ長石(鏡下ではきわめてポイキりチック)が光ってみえることがある。 鏡下での事実も, 大体において Gm1 の岩体を細粒にした状態を示している。

II.4.5 遠野花崗岩類

Gt1 の岩体 : 中粒白色の岩体で, 外観は宮古花崗岩類中の Gm1 の岩体に似ている点が多い。 異なる点をあげると, 弱い片理が, よりしばしばみられること, 丸味を帯びたいわゆる塩基性捕獲岩をしばしば含むこと, および黒雲母や角閃石は宮古花崗岩の場合ほど斑状を示さないことなどである。

鏡下での事実も Gm1 の岩体の場合に割合よく似ており, 異なる点を挙げればカリ長石がそれほどポイキリチックでないこと, 黒雲母や角閃石は比較的小型で, 集合している傾向がみられること, チタン石はあまりみられないこと, などである。

なお, 大槌町 徳並の北方の小岩体は, 白雲母・黄鉄鉱および黄銅鉱を含むやゝ細粒の花崗閃緑岩である。

また, この花崗岩類には比較的瀕繁にペグマタイトを伴なっている。

Gt2 の岩体 : これは細粒の灰色~暗灰色の閃緑岩質岩で, 釜石市橋野付近に発達する。 結晶粒の大きさや黒っぽさは場所によって幾分異なる。

鏡下でみると, 主として斜長石と角閃石とからなる。 斜長石は自形性が強く, 累帯構造が顕著である。 角閃石は緑色・淡褐色または無色で, 往々にして輝石を包有している。 また, 部分的には少量の石英や黒雲母のみられることもある。

II.5 変成帯

変成帯は大きくみて成因的に3つのグループに分けられる。 第1は, 大浦花崗岩類周辺に発達する接触変成帯である。 第2は, すでに古生層の項で記述した栗林層に発達する千枚岩帯である。 第3は, 宮古・遠野両花崗岩の貫入の影響によると思われる変成帯で, これは前2者の分布が比較的局所的であるのに反し, 図幅のほゞ全域にわたっている。 そして, このもっとも変成はの高い部分(下記の Ⅳ~Ⅴ の帯)が, 地質図に「変成帯(高変成部)」として示した帯である。 以下ではその概要を述べる。

大浦花崗岩による接触変成帶

単純な熱変成帯であって, 花崗岩との接触部から 200~300 m 以内の原地山層はホルンフェルスになっている。 そして, 顕微鏡的には, より広範囲 -- 現在の分布岩のほゞ全域にわたって変成鉱物が生じている。 ホルンフェルスの部分は, 後述の宮古・遠野花崗岩体周辺の場合と異なって, 片理は生じておらず, 原岩の組織が大体保存されている。

変成鉱物としては, 石英・斜長石・カリ長石・白雲母・緑色~褐色の黒雲母などがみられる。

宮古・遠野両花崗岩による変成帶

この変成帯は, 第 2 図および第 2 表に示したように, 再結晶した鉱物の種類によって, 千枚岩帯地域も含めて増進的に5帯に分けられる。 たゞしこの分帯は, もっぱら顕微鏡観察による作業であるし, 限られた標本によったものであるから, 各帯の境界線には推定によらざるを得ない所もある。

第 2 図 変成分帯図。 Ⅰ~Ⅱ とした帯には千枚岩帯が発達する(第 1 図参照)。 この帯は北部ほど変成度が高い。 また変成帯の東縁(Ⅰ~Ⅲ とした帯の東縁)は接触変成帯と重なるため位置不明である。

第 2 表 各帯で晶出する特徴的な鉱物(括弧()で囲んだものは産出がまれな鉱物)

変成分帯 Ⅰ 帯 Ⅱ 帯 Ⅲ 帯 Ⅳ 帯 Ⅴ 帯
粘板岩
からの変成岩
絹雲母
石墨
黒雲母 (紅柱石) 菫青石
柘榴石
カリ長石
(カミング角閃石)
珪線石
輝緑凝灰岩および
玢岩・長石玢岩
からの変成岩
絹雲母
緑泥石
緑簾石
緑閃石
チタン石
方解石
黒雲母 青緑色普通角閃石 緑色~緑褐色普通角閃石
透輝石
(柘榴石)
(スピネル)
原地山層
からの変成岩
絹雲母
緑泥石
緑簾石
黒雲母
チタン石
カリ長石
(菫青石) 珪線石

各帯の性質を要約すると, 肉眼的にみて, Ⅰ~Ⅲ の帯は, 千枚岩帯地域を除き非変成古生層とあまり異なるところはない。 Ⅳ と Ⅴ の帯は, 片状ホルンフェルス・雲母片岩, ときによると片麻岩と称すべきもので, 片理や縞状構造が発達している(図版 7)。 たとえば, 遠野花崗岩に接する部分には, 電気石ペグマタイト細脈が層々迸入している片麻岩がみられる。 また, 往々にして菫青石そのほかの斑状変晶が顕著に生じている。

図版 7 片状ホルンフェルス(風化面)(大槌図幅, 大槌町 浪板 西方)

鉱物学的にみて, Ⅰ 帯は黒雲母を含まない帯で, 黒雲母は Ⅱ 帯から生じている。 Ⅲ 帯では緑閃石に伴なって(多くはとりまいて), 青緑色の普通角閃石が晶出を始めている。 Ⅳ 帯には, 柘榴石・菫青石・透輝石など, さまざまの鉱物がみられ, Ⅴ 帯には珪線石(おもに白雲母を交代したもの)が見いだされる。 たゞし, Ⅴ 帯は, 花崗岩に接して局部的に発達するだけであるから, 第 3 図では Ⅳ 帯といっしょにしてある。

第 3 図 北上山地中部 地質構造図

II.6 第四紀層

第四紀層としては, おもに各河川の上流部にみられる河岸段丘上の礫層と, おもに各河川の下流部の山間の谷を埋めている冲積層 および海浜の堆積物(おもに砂 -- 浪板では礫・砂)とがある。

II.7 地質構造

概説で述べたように, 大槌図幅地域の西部をかすめて, 早池峯構造帯が走っている。 この構造帯は輝緑凝灰岩帯と千枚岩帯とからなっている。 輝緑凝灰岩帯を構成する地層は, おそらく前期石炭紀と考えられる小川層であり, 千枚岩帯を構成するものは前期二畳紀の栗林層である。 これらを超塩基性岩が貫いており, それはほとんど蛇紋岩化している。 これら蛇紋岩はこの地域では小岩体である。 そして, これらはこの地域では早池峯構造帯のなかだけを貫いている。 釜石図幅・遠野図幅の地域では, この構造帯の西部にしばしば圧砕岩を伴なうが, この地域では認められない。

早池峯構造帯が北上山地古生層の南部型と北部型とを分ける意味をもつものであること, これは同時に 北上山地の超塩基性岩~塩基性岩の外側孤状体列と一致するものであることは, すでに人首・大迫・釜石図幅説明書に述べている。 すなわち, 古生代において堆積環境を分けた境界が, 後に構造帯に転化したことを示している。 このことは釜石地質図幅説明書 23) に述べたことであるが, その後得られた結果で補足できるだろうと思われることは, 小川層はおそらく北上山地 南部型古生層の下部石炭系とほぼ同様の岩相をもち, 石炭紀初期から同紀 鬼丸世頃までは, 北上山地 南部と北部の間に岩相変化はなかったように推定されることであり, また, 岩相変化は前期二畳紀からおこっているのではなかろうかということである。 後の点を少しくわしくいえば, 北上山地 南部の前期二畳紀の坂本沢統は, 基底礫岩・粘板岩・石灰岩(一部に砂岩・酸性凝灰岩)という岩相の組み合せであるが, 北部型の同時代の釜石層の一部・Pseudofusulina, Pseudoschwagerina を産する部分(大槌図幅地域のほとんど全部の釜石層)の岩相は, 粘板岩・チャート(一部に砂岩・石灰岩・輝緑凝灰岩薄層が加わる)である。 このように前期二畳紀には, 北上山地の南北部で著しい対照性がみられる。 一方, 早池峯構造帯のなかに分布する前期二畳紀の栗林層は, この坂本沢統と釜石層との漸移層である。 このことは, 構造帯が北上山地の南部と北部との境界であるという位置からばかりでなく, 砂岩(半ば凝灰質)・粘板岩(そのほか石灰岩礫岩・凝灰岩薄層, 非常にまれにチャートを挾む)という岩相からみても考えられることである。

構造帯の前身とみられる小川層, あるいはそれより新しい石炭系の地層からなる地背斜が, 前期二畳紀に存在していた。 そのことは この削剥をうけとめた栗林層中に 石炭紀 長岩統に属する化石を含む石灰岩礫がみいだされることによっても証明される。

輝緑凝灰岩帯(小川層)には, 1つの向斜構造が認められる。 千枚岩帯(栗林層)は, 西に 60~70°傾斜し, 赤内森地など処々に東に傾斜する部分がある。 この東傾する部分は地域としてまとまって, 地塊として存在するように思われる。 北上山地の北部型の典型的な地域に分布する釜石層の構造は, 地層の細分もできず, 鍵層となるものもほとんどないので, 正確には不明である。 しかし, ほとんどすべての傾斜は西に向いている。 そして, 処々で見られる級化層理をみれば, 地層は逆転していない。 早池峯構造帯に平行した走向断層が, 大槌図幅地域の北西端から大槌町市街の北側を NW - SE 方向に走っているが, これと同じ性質の断層がさらに小さい規模で釜石層を切り, 帯状構造によって釜石層は繰り返していると思われる。 さらに, 宮古図幅の南部の地域とあわせて考えると, 走向断層で帯状に切られている釜石層は, 東にいくほど若い層準の帯状部が分布するように推測できる。 これは西南日本外帯の地質構造の性質とほゞ同様である。 しかも こゝでは等斜褶曲をしている証拠はみられない。 それは前にあげたように, 西への単斜急傾構造をもち, 級化層理によって逆転の事実がないこと, および輝緑凝灰岩層で鍵層となるようなものが少しあるけれども, それが褶曲してふたたび露出して認められることがないこと, 背斜向斜部を示すような走向傾斜がまったくないこと [ 以下の [注] 参照 ] などによる。

[注]
たゞし, チャートの露出しているところではその現象がときに認められる。 しかし, これはチャート層の層内褶曲である。

原地山層がおそらくもつ構造は, 2~3 km の幅をもつ向斜と背斜とからなり, 古生層と同じく宮古層群(白堊紀 宮古世)堆積前の地殻変動をうけている。 しかし, 古生層のもつような複雑な活動をうけておらず, やゝ単純な構造をもっているようにみえる。 宮古花崗岩によって貫入された部分の変成帯に片麻岩状の変成岩を生ずるが, これは貫入前あるいは同時に破砕帯が存在したとする意見もある。 ともかく, 宮古花崗岩は 古生層と原地山層との境界(おそらく構造線)に貫入していることは確かである。 この構造線は加納博のいう北上外縁構造帯に当たる。

III. 応用地質

III.1 概説

釜石層中のチャートには, 処々にマンガン鉱を伴なっている。 宮古花崗岩に近いものは多少変質をうけている。 稼行した跡が方々でみられるが, いずれも小規模のものが多い。 そのなかで, 大谷山鉱山のマンガン鉱床がかなり長年にわたり採掘を続けている。 また金鉱床として, 現在は廃山となっているが光鉱山・金沢鉱山があり, その他, 大浦花崗岩中には, ごく小規模の鉄鉱脈が発達している所がある。 また, 花崗岩はしばしば石材として用いられている。

また, 釜石層のチャート自身も, セメント混入用として採掘されている。

そのほか, 花崗岩に伴なうペグマタイトも, 珪石あるいは長石を採る目的で, それぞれ大槌町 小槌 徳並, あるいは釜石市 橋野 北方で稼行されたことがあるが, 小規模で本格的に着手されなかった。

III.2 鉱床 [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
この項の記述は, 岩手県鉱山誌 6) によるところが多い。

III.2.1 大谷山鉱山

[ 鉱山に関する記載 ]
登録鉱種名 : マンガン
[ 場所 : ] 岩手県 下閉伊郡 山田町 豊間根
鉱業権者 : 東北砂鉄鋼業株式会社

前期二畳紀 釜石層のチャートに伴なうもので, 付近の地質はチャート・粘板岩・砂岩・石灰岩からなる。 石灰岩からは紡錘虫化石を産出する。 チャートは小褶曲ないし屈曲が甚だしく, マンガン鉱床もそれとともに屈曲が甚だしい。 そのためか, 鉱床自体の傾斜は非常にゆるいが, 鉱床およびチャートを挾む粘板岩は N 20~30°W, 西に 60~70°傾いた構造をもっている。

鉱石は, チョコレート・うす桃・灰・帯褐灰・緋色などを呈している。

高橋維一郎 18) によれば, 主要鉱物はテフロ石・バラ輝石・菱マンガン鉱であり, ブラウン鉱も発見されている。

[ 昭和 ] 35 年当時の月産約 500 t。

III.2.2 大槌(マンガン)鉱山(廃山)

[ 鉱山に関する記載 ]
鉱種 : マンガン
[ 場所 : ] 釜石市 鵜住居町 室ノ浜

釜石層中のチャートに存在する鉱床で, かなり長く採掘されていたが, 昭和 35 年に採掘をやめた。

III.2.3 金沢(マンガン)鉱山(廃山)

[ 鉱山に関する記載 ]
鉱種 : マンガン
[ 場所 : ] 岩手県 上閉伊郡 大槌町 金沢 字下屋敷

釜石層中のチャート中に存在する鉱床であるが, 戦後 採掘を中止した。

III.2.4 その他のマンガン鉱山(廃山)

そのほか廃山となって資料のつかめないマンガン鉱山として, つぎのようなものがあげられる。

鯨山鉱山 : 大槌町 浪板 西方, 小鯨山 南東
大ガ口 おおがくち 鉱山 : 大槌町 大ガ口
桃畑鉱山 : 大槌町 桃畑 小飛内 こびない
大塔鉱山(?): 山田町 織笠落合 西方
不動鉱山 : 山田町 関口 不動付近

III.2.5 金沢鉱山(廃山)

[ 鉱山に関する記載 ]
鉱種 : 金
[ 場所 : ] 岩手県 上閉伊郡 大槌町 金沢

栗林層中の粘板岩を貫く, 非常に小さい花崗岩脈岩体に伴なうもので, 数条の含金石英脈であるといわれている。 坑口は崩壊しているが, 廃石中の石英あるいは花崗岩には, 黄銅鉱・黄鉄鉱の微粒が付着している。 石英脈の走向は N 30°W, 傾斜は 40°W といわれており, 近くの粘板岩の走向傾斜に一致する。

III.2.6 光鉱山(廃山)

[ 鉱山に関する記載 ]
鉱種 : 金
[ 場所 : ] 岩手県 下閉伊郡 山田町 山家

宮古花崗岩との接触部付近の古生層中の石英脈中から金を採掘した。

III.2.7 大槌(珪石)鉱山

[ 鉱山に関する記載 ]
鉱種 : 珪石
[ 場所 : ] 岩手県 上閉伊郡 大槌町 市街北方

釜石層中のチャートを稼行しているもので, 船で大船渡市 小野田セメント工場に輸送され, セメント混入剤に使われている。 月産は [ 昭和 ] 35 年当時約 5,000 t。

III.2.8 その他の金属鉱産地

霞露岳図幅地域内の大浦花崗岩中の多々羅山近傍には, 何ヵ所かに鉄鉱脈が発達しており, 一部に試掘程度の採掘あとがみられる。 また, この付近の海岸の砂浜中には, 砂鉄を産するといわれている。

III.2.9 石材

宮古花崗岩および遠野花崗岩は, 石垣・基礎石・墓石などに利用されている。 宮古花崗岩中では, 必要に応じて数ヵ所から切り出されており, 遠野花崗岩の場合は河原や沢の転石がおもに利用されている。

また大浦花崗岩中では, 大浦北方から輝緑岩質岩が切り出されており, 大浦石と称されて, 主として墓石に利用されている。

III.2.10 鉱泉

霞露岳東方の海岸付近には, 鉱泉が湧出している。 しかし交通不便のため, 現在のところ利用されていない。

なお前記のように, 光鉱山廃坑の坑口から流石する水は, 鉱泉として近隣の人々の浴用に利用されている。

文献

1) 本間弘次 :
田老・中里産菫青石岩の成因について -- その1 概説, 地質学雑誌, Vol. 68,No. 796, 1962
2) 広川治・吉田尚 :
5万分の1地質図幅「人首」,および同説明書, 地質調査所, 1954
3) 広川治・吉田尚 :
5万分の1地質図幅「大迫」,および同説明書, 地質調査所, 1956
4) 石井清彦・千藤忠昌・植田良夫・島津光夫 :
岩手県の火成岩(岩手県地質説明書 Ⅱ), 岩手県, 1956
5) Ishii, Kiyohiko and Ueda, Yoshio :
On the Quartz-keratophyres from Otobe, Shiwa County and the Pacilic Coast, Shimohei County, Iwate Prefecture, Sci. Rep. Tohoku Univ., Ⅳ - 3, 1953
6) 岩手県鉱業会 :
「岩手県鉱山誌」, 1950
7) 神戸信和・島津光夫 :
5万分の1地質図幅「気仙沼」,および同説明書, 地質調査所, 1961
8) 金原信泰 :
20 万分の1地質図幅「釜石」,および同説明書, 地質調査所, 1903
9) 加蔵謙次郎 :
「岩手県の鉱産資源」, 岩手県, 1956
10) Minato, M. :
Phasenanalyse der Gebirgsbildungen der Palaeozoischen Area in Kitakami-Gebirge(Nordöstliches Honsyū, Japan), Jap. Jour. Geol. Geogr., Vol.19,Nos. 1~4, 1944
11) Minato, M. :
Zur Orogenese und zum Vulkanismus in Jüngeren Palaeozoikum des Kitakami-Gebirges, Honsyū, Japan, Jour. Fac. Sci. Hokkaido Univ., Ser. Ⅳ,Vol. 8,No.3, 1950
12) 湊正雄 :
「北上山地の地質」, 地学団体研究会専報,No.4, 1950
13) 小貫義男・工藤一 :
北部北上山地における二畳系の確認, 地質学雑誌,Vol.60, p.360, 1954
14) 小貫義男 :
北上山地の地質(岩手県地質説明書 Ⅱ), 岩手県, 1956
15) 大和栄次郎 :
5万分の1地質図幅「土淵」,および同説明書, 地質調査所, 1956
16) 島津光夫・寺岡易司 :
5万分の1地質図幅「陸中野田」,および同説明書, 地質調査所, 1962
17) 鈴木淑夫 :
北上山地の火成岩類, 鈴木醇教授還暦記念論文集, 1958
18) 高橋維一郎 :
岩手県大谷山鉱山の地質鉱床, 岩石鉱物鉱床学会誌,Vol.45,No. 4, 1961
19) 武田裕幸・吉田尚 :
釜石北方の鬼丸統, 地質学雑誌,Vol.68,No.796, 1962
20) 渡辺万次郎 :
「北上山地の火成活動」, 地学団体研究会専報,No.3, 1950
21) 山下昇 :
「中生代」, 地学団体研究会, 1956
22) Yoshida, T. and Kato, M. :
"Onimaru Type" Corals newly found in the northern Kitakami Mountain Region, Japan, Trans. Proc. Palaeont. Soc. Japan,N.S.,No.28, 1957.
23) 吉田尚 :
5万分の1地質図幅「釜石」,および同説明書, 地質調査所, 1961

EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN Scale 1 : 50,000

OTSUCHI & KARO-DAKE

Akita, Nos. 35, 36

By TAKASHI YOSHIDA & MASATO KATADA (Written in 1961)


Abstract

GEOLOGY

GENERAL REMARKS

The area of these sheet-maps is situated in the coastal part, facing to the Pacific Ocean, of the Kitakami mountainland.

Paleozoic rocks, granites and Mesozoic(possibly of early Cretaceous age) acidic volcanic rocks are predominantly distributed in the area. Paleozoic facies in the area belong to the so-called northern type of the Paleozoic strata of the Kitakami mountainland. Accordingly the Paleozoic strata in the area exclusive of the Hayachine tectonic belt are characteristic in abundant presence of cherty facies, which is absent in the southern type Paleozoic strata of the Kitakami mountainland. The boundary of the northern and southern type Paleozoic strata of the Kitakami mountainland is shown as the Hayachine tectonic belt (previously called the Hayachine - Goyōsan tectonic line), which is divided to the schalstein sub-belt and phyllite sub-belt. Both sub-belts are intruded by the basic rocks and serpentinized ultrabasic rocks. The granites are intruded into the Paleozoic strata and Mesozoic volcanic rocks and have wide contact metamorphic effect on them. Their intrusion is after the Kochian - Aritan of early Cretaceous and before the Miyakoan of early Cretaceous in age.

Table 1 Stratigraphic Summary

Hayachine tectonic belt Northern facies belt
of the Paleozoic
in the Kitakami mts.
Schalstein sub-belt Phyllite sub-belt
Late Permian
Middle Permian
Kamaishi formation
slate, chert,
limestone, sandstone,
schalstein
Early Permian
Kuribayashi formation
slate, sandstone, tuff,
limestone conglomerate
Early Carboniferous
Kogawa formation
slate, schalstein,
conglomerate,
sandstone, chert

PALEOZOIC

The Paleozoic strata in the area are subdivided to the Kogawa, Kuribayashi and Kamaishi formations, which are bordered by tectonic line each other. The Kogawa and Kuribayashi formations construct the Hayachine tectonic belt, which marks the boundary belt or transitional belt of the southern and northern facies of the Paleozoic strata in the Kitakami mountainland.

Kogawa formation : This formation is composed mainly of schalstein and black clayslate, intercalated with sandstone and thin layers of chert. Limestone, intercalated in this formation in the Kamaishi sheet-map area, yields the early Carboniferous (upper Viséan) coral, though it is not distributed in this Otsuchi geological sheet-map area. The geological age of this formation is assumed to indicate the early Carboniferous, considering from that upper Viséan fauna and the lithologic correlation with the Paleozoic strata of the southern part of the Kitakami mountainland. The thickness attains three thousand meters and more.

Kuribayashi formation : This formation is composed of black clays late and sandstone (tuffaceous), intercalated with thin layers of tuff and lenses of limestone Conglomerate. The greater part of this formation is changed largely to phyllite. The following fossils are produced as well from the matrix of limestone conglomerate as from its pebbles.

From matrix :
Pseudofusulina sp.
Pseudoschwagerina sp.
From pebbles :
Endothyra sp.
Millerella sp.
Lithostrotionella ? sp.

Judging from these fossils, this formation indicates the early Permian in age. The thickness attains 1,500 m or so.

Kamaishi formation : This formation has the typical facies of the northern part of the Paleozoic strata in the Kitakami mountainland, composed of thick accumulation of chert and clayslate. Furthermore, it is intercalated with sandstone, small lenses of limestone and thin layers of schalstein. From limestones, the following fossils occur not so abundantly.

Pseudofusulina sp.
Pseudoschwagerina ? sp.
Codonofusiella sp.
Algae

The geological age of this formation belongs to the early Permian in its greater part. The thickness attains 5,000 m and more.

MESOZOIC

Harachiyama formation : Lower Cretaceous (possibly) volcanic strata, called Harachiyama formation, develop in the coastal area of the northern Kitakami mountainland.

In this area the most part of the strata are the pile of dacitic tuff, tuff-breccia, shale and sandstone, but in the northeastern part of the area mapped (on the northeastern part of the fault to the east of Osawa) rocks is thick bed of tuff showing massive appearance generally. They are thermally metamorphosed and their detail mineralogical properties can not be known.

IGNEOUS ROCKS

Ultrabasic rock

These rocks are intruded within the Hayachine tectonic belt as small bodies. They are inverted into serpentine- or talc-rock in various grade.

Dyke rocks

Dyke rocks are classified into two groups. The first is porphyrit e and plagioclase porphyrite found in the Paleozoic sediments, and the second, basalt in the Harachiyama formation. Both groups were intruded before the intrusion of granites as they are metamorphosed.

Porphyrite is fine-grained and non-porphyritic rock composed mainly of plagioclase and brown hornblende.

Plagioclase porphyrite, so-called "Zeni" porphyrite, is characterized by the conspicuous porphyritic plagioclase in fine-grained matrix composed of plagioclase, clinopyroxene and others.

Basalt is non-porphyritic rock composed of plagioclase, clinopyroxene and hornblende and shows ophitic texture.

Granites

Granites are divided into three groups, that is the Oura granites, Miyako granites and Tōno granites, which distribute in the separated area each other. Among them the Miyako and Tōno granites show similar petrographical features, and the period of both intrusions may be identical approximately.

Oura granite : The western half of the granite body is medium-grained hornblende-biotite granite in cluding large amount of diabasic rocks as xenolith. The eastern half shows slightly hypabyssal texture and includes few xenolithic basic inclusion.

Miyako granites : It is surely ascertained by the field evidence at the Miyako city in the northern-adjacent sheet-map area that the period of intrusion of the granites are limited during the Kochian~Aritan epoch (Neocomian) and Miyakoan (Aptian~Albian) epoch of the early Cretaceous. The rock facies is medium-grained hornblende-biotite granodiorite with fine-grained marginal facies containing basic xenolith.

Tōno granites : The granites are also medium-grained hornblende-biotite granodiorite accompanied with fine-grained dioritic rocks.

METAMORPHIC ZONES

In the area mapped almost all Paleozoic rocks and the Harachiyama formation are more or less metamorphosed, though the minute distribution of the metamorphic rocks are not indicated in the map.

Three metamorphic zones are discriminated. The first is phyllite zone running in the Kuribayashi formation along the Hayachine tectonic belt.

The second is thermally metamorphosed zone around the Oura granite. In the zone, volcanic rocks of the Harachiyama formation are converted into non-schistose muscovite-biotite hornfels, etc.

The third is the most widely developing metamorphic zone around the Miyako and Tōno granites. In the map, the higher grade parts (zones Ⅳ and Ⅴ), in which the presence of mica schist or gneiss is remarkable, are only shown.

The five progressively metamorphosed zones are settled, and characteristic minerals in clayslate and basic rocks are as follows.

Zone Ⅰ : Muscovite, chlorite, actinolite
Zone Ⅱ : Biotite
Zone Ⅲ : Hornblende, andalusite.
Zone Ⅳ : Almandine, cordierite, cummingtonite, diopside
Zone Ⅴ : Sillimanite

QUATERNARY

The terrace deposits appear in the upper stream region of each river, consisting mainly of gravel beds. The a lluvial deposits, consisting of gravel, sand and clay, are distributed along rivers, streams, valleys and coastal beaches.

ECONOMIC GEOLOGY

Manganese

Manganiferous deposits are found in chert and cherty clayslate of the Kamaishi formation at many places, but few worked. Among them, Otaniyama mine is worked comparatively on a large scale.

Silica stone

Chert intercalated in the Kamaishi formation is worked as silica stone.


昭和 39 年 3 月 13 日 印刷
昭和 39 年 3 月 20 日 発行
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