06013_1958
5万分の1地質図幅説明書
(秋田 第 13 号)
通商産業技官 大沢穠
通商産業技官 角清愛
地質調査所
昭和 33 年
目次 I. 地形 II. 地質 II.1 概説 II.2 花崗閃緑岩類 II.3 大又層 II.3.1 変朽安山岩質の部分 II.3.2 流紋岩質の部分 II.4 花崗岩 II.5 国見層 II.6 阿仁合層 II.7 鎧畑層 II.7.1 凝灰岩層 II.7.2 玄武岩類 II.8 宮田層 II.8.1 凝灰岩砂岩層 II.8.2 安山岩類 II.8.3 岩脈 II.9 田沢酸性火山岩類 II.9.1 石英安山岩類 II.9.2 岩脈 II.10 大仏火山 II.11 荷葉火山 II.11.1 大黒熔岩 II.11.2 前郷熔岩 II.11.3 烏帽子熔岩 II.11.4 安森熔岩 II.11.5 尻高熔岩 II.11.6 櫃森熔岩 II.11.7 荷葉熔岩 II.12 秋田駒ガ岳火山 II.13 段丘堆積層 II.14 冲積層 III. 応用地質 文献 Abstract
1 : 50,000 地質図幅説明書 (昭和 32 年稿)
(秋田 第 13 号)
本図幅調査に当っては昭和 29 年 8 月から昭和 30 年 8 月の間において, 大沢は 40 日間, 主として仙北郡西木村および同郡田沢湖町玉川本流以西地域の, 角は 18 日間, 主として田沢湖町玉川本流以東地域の野外調査を行った。 踏査路は第 1 図の通りである。 なお, 田沢湖町地域の野外調査に際して, 15 日間東北大学の河野義礼教授の指導を受けた。 化石の鑑定には北海道大学棚井敏雅助教授をわづらわし, また秋田大学の藤岡一男教授・井上武教授からは, この地方の新第三系の層序に関し, 懇切な御教示を受けることができた。 本調査には建設省地理調査所から借用した空中写真を利用した。 なお, 本図幅地域の南半部は, 本所から7万5千分の1「角館」図幅として出版されているので, それを参照されたい。
本図幅地域は東北裏日本の出羽丘陵地域と脊梁山脈地域との中間に位置し, 図幅地域の西部に大仏火山(海抜 1,166.8 m), 東部に荷葉火山(海抜 1,254.0 m)が東西に相対し, その間を檜木内川および玉川が支流を合わせつゝ南流している。 これらの河川に沿って冲積層および段丘堆積層が発達している。
基盤をなす花崗閃緑岩類は図幅地域南西部から中央部に分布し, 峻瞼な壮年期地形をなしている。
新第三系は図幅地域西部から中部にかけて広く分布し, 宮田層をのぞくほかの地域では, 一般にやゝ峻瞼な壮年期地形を呈している。 宮田層は軟弱な岩石のみで構成されているので, 起伏の少ない低平な丘陵性地形をなしている。 これを貫ぬく二神山の岩脈は突兀とそびえており, 好対照をなしている。
田沢石英安山岩類は図幅地域東部に分布し, 主として凝結度の低い凝灰岩からなるので, 一般に丘陵性の地形をなしている所が多い。
荷葉火山は図幅地域東部に位置し, 山頂に直径約 1.5 km のカルデラおよび中央火口丘を有し, 複式火山の形態が残されている。 本火山の火山体の西部および南部では侵蝕がかなり進んでいるが, 北部ではよく熔岩流の地形をとゞめている。 図幅地域西部に位置している大仏火山では侵蝕が進み, 火山特有の地形はほとんど認められない。
この地域の地質は東北裏日本に分布する新第三系およびその基盤岩類と, これらを被覆している火山岩類(新第三紀末から第四紀にかけて噴出)とからなる。 本図幅地域の地質を総括して第 1 表に示す。 なお, 本図幅地域と隣接地域との対比表を第 2 表に示す。
花崗閃緑岩類は, この地方の新第三系の基盤をなしている。 新第三紀の岩層は, 下位から大又層・国見層・阿仁合層・鎧畑層・宮田層および田沢酸性火山岩類に区分される。
大又層は変朽安山岩質の火山噴出物を主要な構成物とするものであって, 中新世の初期に激烈な火山活動が行われたことを示している。 本層中には処々に砂岩および頁岩を挾有している。
阿仁合層は大又層とほとんど時代の間隙なく引続き堆積したものであって, 主として中性~塩基性の火山噴出物を含んだ堆積岩類からなる。 本図幅地域内には模式地域における本層のうち, 最上部層の頁岩凝灰岩層が分布しているのみで, ほかの各層は欠除している。
国見層 6) は本図幅地域の東部および南部に分布するが, さらに隣接雫石図幅地域にかけてよく発達し, 主として流紋岩質の火山噴出物を含んだ堆積岩からなる。 本層は岩石の特徴および台島型植物化石群を産することなどから 阿仁合層の砂岩凝灰岩層および頁岩凝灰岩層に対比することができる。
国見層の下位には整合関係をもって生保内層 6) と称せられる地層が来る。 生保内層の層準は上述の国見層の層準およびそれとの関係から推せば, 大又層から阿仁合層の下部層までに相当する。 しかし生保内層と大又層とは分布が連続しており, またほとんど同様の変朽安山岩質の火山噴出物を主とする岩相を有するため, 両者を区別することが困難であるので, 本図幅地域では生保内層全体を大又層として一括してある。 図幅地域南端部で国見層の下位に当る地域, すなわち大又層のうち阿仁合層下部に対比される部分のあることが予想される地域では, 大又層のなかに 阿仁合層中のものに酷似した凝灰岩・砂岩・安山岩類等を挾在するのが観察される。
鎧畑層は流紋岩質火山砕屑岩類を主要構成物としており, 本層堆積の末期に玄武岩類を噴出した。 その後, 湖成層と考えられる宮田層が堆積し, 末期に安山岩類を噴出した。
田沢酸性火山岩類は本図幅地域内では主として石英安山岩質火山砕屑岩類からなり, それ以前の新第三系を被覆している。
第四系は上記の諸岩層を被覆しており, 大仏火山・荷葉火山および秋田駒ガ岳火山の噴出物と, 段丘堆積層および冲積層の堆積岩類とからなる。 上記の諸火山の噴出物は, 橄欖石輝石安山岩ないし輝石安山岩の熔岩および火山砕屑岩からなる。 火山原形の侵蝕程度から推して, 荷葉火山および秋田駒ガ岳火山は, 大仏火山より後期まで活動を続けたもののようで, 特に後者は昭和 7 年 7 月に爆裂の起った休火山である。
本図幅地域内に広く分布している大又層の地質構造は, 副次的に断層を伴なう褶曲によって特徴づけられている。 すなわち, 図幅地域中央部には, 基盤をなす花崗閃緑岩類の小岩体が数箇所に露出しており, これを被覆している大又層は, 部分的には小断層により岩層の転移がみられるが, 大局的にみると, 花崗閃緑岩類の岩体に対し外側に向かい 20~40°をもって傾斜し, 向斜構造および背斜構造をなしている。 これら褶曲構造は, 遅くとも鎧畑層堆積時頃までに完成したと考えられる。 図幅地域中央部黒沢附近の酸性貫入岩類は, 黒沢と鷲ガ台とを結ぶほゞ NW ‒ SE 方向の向斜軸のある部分に貫入したものである。 その後, 図幅地域北西部には 10~20°の緩傾斜の盆地状構造をなす宮田層(北半部は北隣森吉山図幅地域内)が, また図幅地域南東部には 20°内外の角度で SE 方向に傾斜している鎧畑層が堆積した。 図幅地域中央部にみられる相内沢に沿う断層は, 走向 N 10°W~N 10°E, 傾斜 70~90°の小断層群からなり, 延長 8 km 以上である。 この断層は田沢湖の陥没時に生じたと考えられるが, その生じた時期は, 同時期に生成したと考えられる田沢湖北岸の走向 N 80°W 方向の断層が, 明らかに鎧畑層を切っており, またおそらく宮田層をも切っていること (現在湖畔では未凝湖成堆積物により被覆されていて確認できない), 断層地形を明瞭にとどめていることなどから推定して, 鮮新世末期以後と考えられる。
本岩類は図幅地域西部から中部に広く分布する。 代表的なものは黒雲母角閃石花崗閃緑岩であって中粒~粗粒, 全体として淡灰色~灰白色を呈し, 淡紅色のカリ長石が点在している。 図幅地域南西部小波内沢地域に分布している本岩類は, 一般に非常に不均質であって, 場所によってカリ長石および有色鉱物の増減が著しく, 花崗岩から閃緑岩にいたる種々の岩相を現わし, 多数の捕獲岩ないしシュリーレンを含んでいる。 特に部分的には著しい珪化作用・緑泥石化作用・炭酸塩化作用などの変質を受けている。 しかし, 図幅地域中部楢森地域に分布しているものは, 比較的均質で有色鉱物の増減は著しくない。 径 3~5 cm, 時には 25 cm 以上に達するやゝ塩基性岩石を多量に捕獲している。 一般に変質作用も著しくない。
本岩類と後述する大又層との関係は, 図幅地域東部の鎧畑ダム附近でよくみられる。 第 2 図はダムの約 300 m 下流地点の露頭を示す。 本岩類は大又層に被覆されていて, 両者は癒着しているか, または暗赤色粘土およびアプライトの角礫部(厚さ約 10 cm)を挾んでいる。 両者の間には接触変質帯は全く認められない。 第 3 図はダムの約 400 m 上流の地点の露頭を示す。 こゝでは両者は癒着しており, 部分的には本岩類が大又層中に入り込んだような形態を示している。 しかし図から分るように, この場合本岩類は明らかに一つの巨礫であり, 大又層との間には接触変質帯は全く認められない。
本層は新第三系の最下部を占めて, 図幅地域中央部に広く分布している。 おもに中性ないし塩基性, 一部は酸性の熔岩および火山砕屑岩によって構成され, まれに頁岩および砂岩の薄層を挾有している。 熔岩および火山砕屑岩は広く変質作用を蒙って, 変朽安山岩および緑色凝灰岩とよばれるものになっている。 本層の標式地は本図幅地域中南部の小波内沢附近である。
熔岩および火山砕屑岩は錯雑して露出し, かつ変質作用を蒙って互に区別し難いことが多いので, 大又層の精確な地質構造は容易に判定できない。 しかし本層の凝灰岩には層理の明らかなものがあり, また凝灰角礫岩および火山礫凝灰岩の角礫の配列状態, およびまれに介在されている頁岩・砂岩などから, 概略の構造が推定できる。
この部分は本層の大部分を占め, 安山岩質, 一部玄武岩質の熔岩および火山砕屑岩などからなる。 熔岩は変朽安山岩化し, 火山砕屑岩は緑色凝灰岩の岩相を呈している。 岩石は濃緑青色~淡緑青灰色, 緻密, 堅硬, 斑状構造の著しいものと, そうでないものとがある。
この部分は本層の中部に多く, 岩石は暗灰色~淡緑灰色, 緻密, 堅硬, 流状構造を有し, 石英斑晶は一般に大型, 少量である。
本岩は大又層を貫ぬく岩株として, 図幅地域西部の西木村黒沢附近に僅かに露出している。 岩石は角閃石黒雲母花崗岩であって, 紅灰白色, 堅硬, 細粒, 変質作用を受けている。 節理の発達が著しい。 本岩と大又層との関係は, 黒沢附近で観察できる。 すなわち, 本岩は変朽安山岩類の層理に斜交するほとんど垂直に近い岩脈状をなし, 変朽安山岩類は珪化作用を受けて, 堅硬になっている。
本層は大又層を被覆して, 図幅地域内に僅かに露出しているのみである。 主として流紋岩類を伴なう砂岩・凝灰岩および頁岩から構成されていて, 厚さ 200 m 以上である。
砂岩は青緑灰色~淡緑青灰色, 細粒~粗粒, 塊状, やゝ堅硬, 凝灰質である。 ときに不規則な炭質物, 緑色の点紋および小さな円礫を含有している。 凝灰岩は青緑灰色ないし淡緑青灰色, やゝ軟弱, 砂質, 一般に塊状であり, 緑色の点紋を含有している。 頁岩は暗灰色, 比較的軟弱であり, 図幅地域東部に多い。 流紋岩類は同質の凝灰角礫岩を伴なっており, 淡青灰色~灰白色, 無斑晶, 緻密なものとやゝ斑状のものとあり, まれに石英斑晶が認められる。 珪化作用を受けているものが多い。
本図幅地域内には阿仁合層最上部の頁岩凝灰岩層が僅かに分布している [ 以下の [注] 参照 ] 。 主として頁岩・凝灰岩および砂岩からなり, 安山岩の岩脈により貫ぬかれている。 頁岩は暗灰色~灰色, 珪質, 堅硬, 緻密なものが多く, ときにやゝ軟弱, 泥質のものがある。 凝灰岩は淡緑灰色~青灰色,軟弱(ときにやゝ堅硬)である。 砂岩は淡緑青灰色ないし青灰色, 細粒~中粒, 塊状, やゝ堅硬, 凝灰質である。
本層は大又層を不整合に被覆し, 図幅地域南東部に分布していて, 主として流紋岩質凝灰岩およびこれを貫ぬいて噴出した玄武岩類からなる。 本層の標式地は高鉢山附近である。
本層は大又層を不整合に被覆し, 厚さ 180~230 m であって, ほとんど凝灰岩のみからなる。 凝灰岩は流紋岩質, 灰白色, 粗粒, 無層理, 大きさ 2~25 mm の軽石を含有している。 大又層に属する流紋岩・変朽安山岩および各種の堆積岩類, ときに花崗閃緑岩類の小豆大(ときに人頭大)の円礫および角礫を含んでいる。 本層の下部には青灰色, 軟弱な泥岩の薄層を介在しており, 本層の構造を推定する鍵層となる。 凝灰岩中には 1~2.5 mm の融蝕された石英を多数含有しており, 風化すると石英が残留するので, これによって本層の分布を知ることができる。
本岩類は前記の凝灰岩層を貫ぬいて噴出したものであって, 主として玄武岩の熔岩からなり, やゝ安山岩質のものを挾んでいる。 熔岩の厚さは 80~150 m である。 黒青色~青灰色, 緻密, 堅硬, ときにやゝ多孔質, 斑状のものがある。 処々に灰白色, 軟弱な凝灰岩を挾んでいる。
本層は花崗閃緑岩類・大又層および鎧畑層を被覆して図幅地域西部に広く分布しており, 凝灰岩砂岩層および安山岩類からなっている。
本層は凝灰岩・砂岩・泥岩および礫岩からなり, ときに厚さ数 cm 以下の不良の亜炭層を介在している。 厚さは 100~150 m である。 凝灰岩は灰白色, 軟弱, 中粒~細粒, やゝ砂質のものが多い。 しばしば軽石を含有しており, ときに角礫を有しているものがある。 砂岩は淡緑灰白色~青灰白色, 軟弱, 粗粒~中粒, やゝ凝灰質である。 泥岩は灰白色~淡灰色, 軟弱, 中粒, 美しい縞状模様をなすものがある。 礫岩は 主として堆積岩類(ときに火山岩類)の 小豆大~人頭大の円礫(まれに角礫も混っている)を, 砂質ないし凝灰質の物質が凝結しているものであるが, 凝結度は低い。
本層と下位の鎧畑層との関係は, 図幅地域中南部の高鉢山附近でみられ, 本層は同山を構成している鎧畑層の玄武岩類を不整合に被覆している。
本層から下記の化石を採集した (産地 : 西木村宮田附近, 北大 棚井敏雅 助教授鑑定)。
本岩類は凝灰岩砂岩層の堆積の末期に噴出したものであって, 熔岩流および火山砕屑岩類で構成されている。 岩石は暗灰色~緑青灰色, 緻密, 堅硬, 斑状を呈している。 一般に変質しており, 変質度の高いものは, 濃緑色を帯び大又層中のものと区別がつかない。
宮田層を貫ぬく角閃石含有紫蘇輝石普通輝石安山岩の岩脈であって, 二神山を構成している。 岩石は淡青色, やゝ多孔質, 堅硬であって, 斑状を呈する。
本岩類は新第三系を被覆して図幅地域東部に分布し, 主として石英安山岩質火山砕屑岩からなる。 小野草沢下流附近では白色軽石の配列によって, 層理の認められる降下軽石堆積物の岩相を, 田沢湖沿岸では凝灰角礫岩の岩相を呈する。 荷葉岳南麓地域では多くの場合白色軽石を含む凝灰岩であるが, しばしば軽石を含まず著しい流理様の構造を有し, またこの流理に沿って外来岩片が配列し, 熔岩ないし熔結凝灰岩の岩相を呈する。 本岩類の代表的なものは, 淡桃灰白色, 粗鬆, 脆弱であって, 風化すると指頭で容易に破砕できる。 斑状で, 石英斑晶を多量に点在しており, 径 8 mm 以上に達するものがある。 一般に外来岩片および軽石を含有していることが多い。 本岩類は北隣の森吉山図幅地域南西部西木村の檜木内又沢で, 宮田層を不整合に被覆している。
本岩類が模式的に発達する森吉山図幅地域内の打当川支流立又沢上流において, 採取した岩石を次に記載する。
石英安山岩類を貫ぬく紫蘇輝石含有普通輝石安山岩の岩脈であって, 淡青灰色, 緻密, 堅硬である。
本火山は図幅地域西部に位置し, 侵蝕作用が進み, ほとんど火山特有の地形をとどめていない。 岩石は紫蘇輝石普通輝石安山岩であって, 一般にやゝ変質作用を蒙っている。
本火山の噴出物は南北 10 km, 東西 8 km にわたって分布する。 火山活動は, 1) 先カルデラ成層火山(大黒熔岩および前郷熔岩)の形成, 2) 寄生火山(安森熔岩および烏帽子熔岩)の噴出, 3) 粘性に富む後カルデラ熔岩(尻高熔岩・櫃森熔岩および荷葉熔岩)の噴出, の順序で行われた。 1) と 3) との間にはかなりの侵蝕期間があったようで, 先カルデラ成層火山は著しく侵蝕を受けて山頂から放射状の谷が発達しているが, 後カルデラ熔岩はもとの地形をかなり明瞭に残している。
本熔岩は先カルデラ成層火山の下部を構成するものであって, 大黒沢に標式的に発達している。 本熔岩は凝灰角礫岩・凝灰岩などの火山砕屑岩と熔岩とが交互に累積したものであって, 前郷熔岩に較べて, 火山砕屑岩の量が多いことを特徴とする(第 4 図参照)。 火山砕屑岩はほとんど例外なく 1~2 cm 大の(しばしば 4 cm に達する) 灰長石の結晶火山礫を含む。 熔岩は大黒沢では少なくとも 12 枚みられ, おのおの厚さは 10~50 m である。 本熔岩は主として 普通輝石含有橄欖石玄武岩および灰長石含有紫蘇輝石安山岩であるが, 時に斑晶のまれな安山岩を伴なうことがある。
本熔岩は先カルデラ成層火山の上部を構成し, 主として熔岩からなり, 凝灰角礫岩・凝灰岩などの火山砕屑岩を伴なう。 本熔岩は前郷沢に標式的に発達し, こゝでは少なくとも6枚の熔岩流がみられる。 一般に 斑晶のまれな 熔岩(紫蘇輝石普通輝石含有安山岩)と 斑状熔岩(紫蘇輝石普通輝石安山岩)とがほゞ交互に重なっている(第 4 図参照)。
寄生火山を構成し, ほとんど熔岩(石英含有普通輝石紫蘇輝石安山岩)のみからなる。
本熔岩は寄生火山を構成し, 熔岩(紫蘇輝石普通輝石安山岩)のみからなる。
本熔岩は 荷葉岳頂上と椈森との間の 小さな山頂から噴出した熔岩(紫蘇輝石普通輝石含有安山岩)であって, 安森熔岩より新期の噴出によるものであることは空中写真によってよくうかゞわれる。
本熔岩は荷葉岳北方の椈森附近から噴出した熔岩(普通輝石紫蘇輝石安山岩)である。 岩ノ目沢においては2枚の熔岩がみられる。 空中写真によれば, 寄生火山および尻高熔岩の間を埋めて流れた地形がよくうかゞわれる。
本熔岩は荷葉岳頂上のカルデラ中に噴出した熔岩円頂丘を構成するものである。
秋田駒ガ岳火山の主体は東隣の雫石図幅地域内にあって, 本図幅地域内には僅かに先達川に沿って, その外輪山熔岩が分布するのみである。
段丘堆積層は主として砂および礫からなり, 粘土を伴なう。 主要河川に沿う低位の段丘, またこれより一段と高い新第三系からなる台地上に分布している。
冲積層は礫・砂および粘土から構成され, 玉川および檜木内川などの河岸に沿って発達している。
この地域には東北裏日本新第三系の下部の火山噴出物に富む岩層が分布しているので, この種の地域に特有な金属鉱床が, また荷葉火山山頂附近には硫黄鉱床が知られており, 過去において稼行された。 これらのうち, おもなものを第 3 表に示す。
| 鉱山名 | 鉱種 | 位置・交通 | 地質・鉱床 | 現況その他 |
| 小和沢 | 金 | 西木村小和沢鷲ガ台北東方。 浦子内部落から山道がある | 花崗閃緑岩類中に含金石英鉱脈, 朝日坑・大切坑・釜下坑などあり。 走向 N 45~60°E, 傾斜 N 70°内外 | 昭和 29 年数名で探鉱。 休山中 |
| 宮田 | 金 | 西木村浦子内沢上流。 浦子内部落から山道がある | 宮田層中の安山岩質火山砕屑岩類中の含金石英鉱脈 | 昭和 11~16 年頃中外鉱業株式会社により探鉱。 休山中 |
| 高柴 | 金 | 西木村相内沢および同支流。 相内部落から途中まで自動車道路がある | 大叉層に属する流紋岩・変朽安山岩および同質の火山砕屑岩類からなり 主として流紋岩類中の含金石英鉱脈 | 昭和 13~16 年頃北海道板谷某により探鉱。 休山中 |
| 小波内 | 銅 | 西木村小波内沢支流。 相内部落から途中まで自動車道路がある | 大叉層に属する変朽安山岩および同火山砕屑岩類中の鉱脈(走向 N 40°E)。 黄銅鉱・黄鉄鉱・方鉛鉱・閃亜鉛鉱 | 休山中 |
| 硫黄 | 荷葉岳山頂東方。 銅屋部落から山稜沿いの山道がある | 大黒熔岩の変質帯(珪化作用・黄鉄鉱化作用)中にあり。 品位良好, 鉱量少量 | 休山中 |
EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN Scale 1 : 50,000
Akita, No. 13
By ATSUSHI OZAWA & KIYOSHI SUMI (Written in 1957)
The mapped area is in the central part of Akita prefecture, Northeast Japan. Volcanics and sediments belonging to the Neogene, and Quaternary volcanics widely develop in this area. A summary of the stratigraphic sequence is given in Table 1.
Granodiorites underlying the Neogene Tertiary are located in the southwestern corner of the mapped area. The most typical rock is biotite hornblende granodiorite.
The Omata formation, the lowermost of the Neogene in the mapped area, is a volcanic complex consisting mainly of thick layers of propylite, rhyolite and their pyroclastics. This formation, without exception, has been more or less subjected to propylitization and alteration forming the so-called "green tuff".
The Aniai formation conformably overlies the Omata formation. In the mapped area, its constituents are shale, tuff and sandstone.
The Kunimi formation conformably overlies the Omata formation, and consists of sandstone, shale, rhyolite and pyroclastics.
The Yoroibata formation unconformably overlies the Omata formation, and consists chiefly of rhyolitic tuff and basalt.
The Miyata formation conformably overlies the Yoroibata formation, and consists of loose tuff, sandstone, mudstone, conglomerate, andesite and pyroclastics.
The rocks erupted probably in late Pliocene consist chiefly of dacitic tuff, which is welded somewhere.
Quaternary rocks in the mapped area comprise Daibutsu volcano, Kayō volcano, Akita-Komagadake volcano, the terrace deposits, and the Alluvium.
Daibutsu volcano is a stratovolcano which has been remarkably dissected. The rocks of this volcano consist of andesite lavas and pyroclastics.
Kayō volcano is a composite volcano, having a summit caldera and comprising pre-caldera stratovolcano and post-caldera of alternations of basalt or andesite lavas and pyroclastics. The latter comprises lavas. The former consist an andesite lava dome and two andesite lavas which flowed down on the piano. At the foot of the volcano, two andesitic parasitic volcanoes exist.
Akita-Komagadake volcano, of which andesite lavas are distributed locally in the mapped area, has continued its activity until recent. The last activity was an explosion in 1932.
Several metallic ore deposits such as gold and copper veins are found in the Tertiary. Some of them were worked in the past as the Kowazawa mine, the Miyata mine, the Takashiba mine and Kominai mine.
In the caldera of Kayō volcano, there are sulphur deposits, which were worked in the past on small scale.
昭和 33 年 3 月 25 日印刷 昭和 33 年 3 月 31 日発行 著作権所有 工業技術院 地質調査所