04060_1955
5万分の1地質図幅説明書
(札幌 第 60 号)
工業技術院 地質調査所
通商産業技官 村山正郎
通商産業技官 上村不二雄
北海道開発庁
昭和 30 年
目次 緒言 I. 地形 II. 地質 II.1 概説 II.2 新第三系 II.2.1 幌別層 II.2.2 室蘭層 II.2.3 関内沢石英安山岩 II.2.4 岩脈 II.3 第四系 II.3.1 鷲別砂礫層 II.3.2 室蘭岳火山群 II.3.3 洞爺浮石流 II.3.4 段丘礫層 II.3.5 有珠岳泥流 II.3.6 有珠岳火山灰層 II.3.7 崖錐堆積物 II.3.8 砂丘層 II.3.9 扇状地堆積層 II.3.10 氾濫原堆積層 III. 応用地質 III.1 鉱床 III.2 石材 文献 Resume
1 : 50,000 地質図幅説明書
(札幌 第 60 号)
工業技術院 地質調査所
通商産業技官 村山正郎
通商産業技官 上村不二雄
本図幅調査は北海道開発庁の昭和 28 年度事業として行われたもので, 地質調査所はその委託をうけて調査を実施した。 筆者等は昭和 28 年 6 月より 8 月まで約 45 日間野外調査に従事し, 引続いて室内作業を行った。 本調査は5万分の1地形図「西紋鼈」全域に亘るものであるが, 図幅の南東部に位置する室蘭半島の一部は, 最近北海道庁地下資源調査所において調査を行い, 5万分の1地質図幅「室蘭」のうちに含められてすでに発表されている。 したがって本図幅では, その地域については 調査者小山内熙・酒勾純俊両氏の好意によりこれより転載し, 説明書においては, この区域について特に重複をさけて記載を絡した。 また化石の鑑定は室蘭工業大学助教授沢田義男氏に依頼し, 北海道大学理学部教授原田準平, 室蘭工業犬学教授佐藤文男の両氏よりは参考資料の提供を受けた。 また現地作業に際しては, 北海道硫黄株式会社幌別鉱業所および 有珠郡伊達町田所篤三郎氏より調査の遂行上各種の便宜をうけた。
なお, 本図幅内の地名等のうち, 5万分の1地形図に記載されてある名称と, この地方において現在用いられている名称とが異なる場合が若干認められる。 これらについては説明書中には現名称を用いて記載を行い, 地質図上には両名称を併記した。
本図幅に包含される地域は西南北海道のうち, 内浦湾(噴火湾)に面し, その開口部に当る室蘭半島の北方に続く地域である。 海岸線に沿って室蘭本線, また伊達町より長流川沿いに胆振線が通じ, 海岸線沿いの国道にはバスが通じるなど, 交通は比較的便利である。
図幅内で, 海岸線は室関市本輪附近より千舞鼈川河口附近までは, 西北西の方向に, 幾分凸凹があるが, ほゞ直線に近い形状と急崖をもって室蘭湾に接しているが, 千舞鼈川河口からは北北西方向に転じ伊達町より虻田方面に延びて, ほゞ弧状に近い形状をもっており, 海浜の良好な発達がみられる。
本地域の主要部は, 室蘭岳(図幅外) [ 以下の [注] 参照 ] より続く標高 700 m 内外の山苓を中心とする山地によって その大部を占められている。 この山地の地形は図幅内で最も広く分布している 第四紀旧期に生成した室蘭岳火山群の火山岩類の分布と, その基盤をなしている第三系の構造とにより影響を受けている。 すなわち室蘭岳より三角点 662.6 m と三角点 765.2 m とを結び, さらに北に延びる有珠郡と幌別郡との郡境をなす山稜を境として, 北東側は概して急な斜面をなしているのに対し, 南西側は緩やかな斜面をもって内浦湾にのぞんでいる。 このような北東側と南西側との斜面が非対称的な地形を示すことは, 新第三系が全体としては NW - SE の走向で, 南に緩く傾斜していることとよく一致している。 室蘭岳火山群中の火山岩はこの南西側の斜面に広く分布し, 個々の熔岩流あるいは集塊岩がそれぞれ独立した地形を形成して分布しているが, 開析が進んでいるため火口地形はほとんど残されていない。 しかし例えば室蘭岳の南西方に拡がる緩い斜面は, 山頂部は堅硬な溶岩流からなっているため侵蝕が遅れているが, 山頂部は粗鬆な集塊岩を主体とするので比較的深い谷がきざまれており, 晩幼年期の火山の裾野の地形を示している。 また稀府 - 伊達町間の東側に稀府岳・紋鼈岳の2峰が突出しているが, 谷藤川中流の天狗岩附近で望まれるような懸崖を処々に形成し, 集塊岩特有の地形を呈している。
室蘭岳火山群の南西側斜面の北西方には, 長流川流域の沖積平野をはさんで 50 m 内外の低い丘陵が発達している。 長流川の東側の丘陵は厚い浮石流からなり, その両側は急崖でかこまれた台地状の地形を呈し, 西側の丘陵は浮石流を覆って 有珠岳(虻田図幅内)の山麓部に拡がる泥流によって形成されており, 泥流に特有な凹凸に富む緩やかな起伏をなしている。
本地域の水系は, 長流川をのぞいては 前に述べた山稜を境として南西側斜面の内浦湾にそゝぐものと, 北東側斜面の幌別川にそゝぐものとに分けられる。 前者には元室蘭川・千舞鼈川・牛舎川・谷藤川・関内沢等があり, 後者には白水沢・温泉川・旭坑ノ沢等がある。 これらはいずれも流量は少なく, 流域面積も狭い。 しかし伊達町西方に河口を開く長流川は, 図幅内に属する部分は河口よりわずか数 km の間であるが, 流量は犬きく, その源は遠く白老岳に発し, 流域面積も前に述べた諸河川よりはるかに広大である。
本地域の地質はこれを大別すると, 図幅の北東隅と南方の室蘭湾に面した海岸線に分布する 新第三紀の火山砕屑岩類を主体とする地層と, これを被覆して広く分布する 第四紀の各種の火山岩類および堆積層によって構成されている。
これらのうちには, 化石によって正確な時代を決定できる地層はなく, また特に新第三紀の地層は分布も限られるために, 精確な層序区分を図幅内のみで確立することはかなり困難であるが, 本地域近傍の従来の調査資料を参考にして, 分布状態と岩質とによって第1図に示すような層序区分を行った。
新第三紀の幌別層は, 西南北海道の地質において, 標式的層序とされている中新世下部ないし中部の訓縫統に対比され, 室蘭層は鮮新世下部の黒松内統に対比される地層である。 両層はともに, 火山岩と火山砕屑岩とを主体としている。 すなわち腕別居は地域内では, いわゆる緑色凝灰岩を含む酸性と塩基性の両火山砕屑岩と火山岩とが, 互に同時異相の関係で交錯しており, 室蘭層中には安山岩の角礫を含む浮石質凝灰岩や砂質凝灰岩が発達している。 両層の間には 訓縫統の上に来るべき中新世上部の八雲統に相当する地層はこれを欠き, また隣接「登別温泉」図幅内の幌別川流域において, 室蘭層は幌別層を不整合に覆っていることが認められている。 両層は全体として NW - SE の走向で南に緩く傾斜して, 第四紀の火山岩の下位に拡がっているものと考えられる。
室蘭層の堆積後は, 標式地における瀬棚統(鮮新世上部)に相当する地層の発達は認められず, ただ地域の北部に おそらく第三紀末の火山活動により生成せられたと考えられる 石英安山岩の小露出が見られるに過ぎない。
第四紀更新世初期に至り, 室蘭層を不整合に覆う鷲別砂礫層が堆積し, その後はこの地域一帯は著しい火山活動期に入ったことが認められる。 すなわち地域内には室蘭岳火山群があり, 図幅外には洞爺火山・倶多楽火山その他の大小の火山が多数散在し, 本地域内に最も広く分布する室蘭岳火山群の諸火山の噴出物 および洞爺浮石流の生成は, この時期の活動によるものと思われる。 これらの火山活動は, 室蘭岳の南西方に分布している段丘礫層の堆積後, 現世に入ってからもさらに引続いて行われ, 有珠岳(虻田図幅内)の火山活動によって木地域北西部に泥流を流し, また地質図上には示していないが, 図幅地域全体に亘り火山灰を堆積させている。 この火山灰の少なくとも一部は有史時代の活動によることが明らかにされている。
本地域は新第三紀層の堆積後は, 火山作用に起因すると思われる局部的なものをのぞいては, 褶曲・断層運動はほとんど受けていないが, 新第三紀層中には褶曲構造がみとめられ, これはおそらく室蘭層の堆積後, いわゆる瀬棚地変の時期にほゞ完成したものであろう。
本層は地域の北東部, すなわち関内沢・谷藤川・牛舎川等の上流と, 温泉川・カマウンペツ沢・旭坑ノ沢・滝ノ沢等の上流とを含む地域に, 本図幅地域の基盤をなして分布している。 本層が標式的に発達する地域は, 本図幅に東隣する「登別温泉」図幅の北西部, 幌別鉱山附近であり, 本図隔地内に分布するものはその上部層に相当する。
本層は火山岩および同砕屑岩を主体とする地層で, 酸性よりやや塩基性までの火山岩類が交錯して発達しており, 旭坑ノ沢附近とカマウンベツ沢附近とは, 断層を境としてやゝ異なった層序を示している。 すなわち旭坑ノ沢あるいは滝ノ沢附近では 下部より旭砂岩頁岩凝灰岩層・滝ノ沢緑色凝灰岩層・谷藤川変朽安山岩が ほゞ整合的に累重しているが, カマウンベツ沢附近では滝ノ沢緑色凝灰岩層の下部には, カマウンベツ流紋岩質凝灰岩層が分布している。 これらの各層間の関係は本地域内では不明であるが, 図幅外のカマウンベツ沢下流に, 旭砂岩頁岩凝灰岩層に相当すると思われる頁岩が露出しており, 本頁岩はこの地域のー般的な構造に従えば, カマウンベツ流紋岩質凝灰岩層の下に位すると考えられることと, カマウンベツ流紋岩質凝灰岩層中に, 滝ノ沢緑色凝灰岩層中の緩灰岩とほとんど異ならない 安山岩買の凝灰岩を多く挟むことなどからみて, カマウンベツ流紋岩質凝灰岩層と滝ノ沢緑色凝灰岩層とは, 同時異相の関係にあるものと考えられる。
また流ノ沢緑色凝灰岩層中には変朽安山岩の熔岩を挟んでおり, 上部の谷藤川変朽安山岩と分布の上からは不整合的に見られる部分もあるが, これら両者もまた同時異相をなしているものと思われる。
このような状態を火山活動の上から見ると, 本地域内では, 下部層が堆積した時期には酸性の火山活動と, それよりやゝ塩基性の火山活動とが地域を異にしてほとんど同時に活動しており, 谷藤川変朽安山岩が生成した時代には, 酸性の火山活動はほとんど終焉していたものと恩われる。
本層の構造は全体としては N 50~60°W の走向と, 10~25°SW の傾斜をもって単斜構造をなしているが, 一部は断層をもって切られ, その附近では部分的に擾乱されている。
谷藤川変朽安山岩は全体として変朽安山岩化して緑色を呈しているほか, 部分的に著しく鉱化作用を受けて珪化または粘土化し, 黄鉄鉱等が鉱染している。 その結果, ほとんど原岩を判定し得ない場合が多く, また地形的には珪化作用を受けた部分が侵蝕からとり残されて, 小ドーム状の形態を示している場合や, 粘土化した部分に崩壊地形が認められることがある。
本層はきわめて化石に乏しいが, 下部の頁岩中に Sagalites sp. を産する。
本層は地域内での分布はきわめて狭く, 旭坑ノ沢の下流の小地域にわずかに分布しているに過ぎない。 暗灰色ないし灰褐色の砂岩および頁岩と, 淡緑色または緑色の安山岩質の凝灰岩ないし凝灰角礫岩との互層からなっており, 層理は凝灰岩中においても比較的明瞭である。
本層はカマウンベツ沢中流の滝附近に分布し, 流紋岩質の凝灰岩ないし凝灰角礫岩を主体とする地層で, 安山岩質の凝灰岩をそのうちに挟んでおり, 層理は余り明瞭ではない。
流紋岩質凝灰岩は外観はいわゆる大谷石に良く似た粗鬆な岩石で, 比較的多量の石英粒を有する灰緑色の基地中に 緑色あるいは褐色の犬小の岩片および 淡緑色ないし黄色の浮石を相当多量に含有している。 鏡下では石英粒・斜長石・角閃石等の鉱物がみられ, 小岩片は, 浮石・流紋岩・安山岩・頁岩等の岩片であることが知られ, また全体として 緑泥石化・炭酸塩化・絹雲母化等の変質作用を著しく受けているのが認められる。
本層は旭坑ノ沢・滝ノ沢・カマウンベツ沢上流などに厚く堆積する地層で, 一部に変朽安山岩を挟んでいる。 層理は余り明らかではなく, また先に述べたように他の岩層と同時異相の関係にあるので, 層厚は所により著しく異なるが, 最も厚い部分では 600 m 以上に達する。
一般に濃緑色ないし灰緑色の粗鬆な安山岩質の凝灰岩, あるいは凝灰角礫岩からなっており, 鏡下においては変朽安山岩の角礫のほか, 斜長石の結晶片や頁岩等の岩片を含み. 2次的には緑泥石化・炭酸塩化・絹雲母化等をうけ, 特に有色鉱物はほとんど緑泥石に変っていることがみられる。
本岩は地域東北部の山稜を中心とした区域に, 幌別層のなかで最も広い分布を示している。 その大部分は著しく変朽安山岩化しているが, 原岩はすべて輝石安山岩であるらしい。
肉眼的には普通は緑色であるが, 変質の余り著しくないものは幾分緑がかった黒灰色を呈し, 斑状構造を示し一般に緻密である。
鏡下では, 斑晶は斜長石・普通輝石および紫蘇輝石よりなり, 稀に少量の石英を含んでいる。 斜長石は2次的に汚染せられ, 一部は曹長石化し, 方解石によって交代されていることがある。 普通輝石および紫蘇輝石は, ともに一部または全部が緑泥石によって交代されていることが多い。
石基は硝子基流晶質または硝子質で, 折木状または針状の斜長石を残すほか, 有色鉱物はほとんど2次的に緑泥石等によって交代され, また少量の黄鉄鉱が鉱染している。
本層は図幅地域南東部の室蘭湾および内浦湾に面する海岸地域のうち, 本輸西より黄金にかけて分布し, その上部を鷲別砂礫層・室蘭岳火山群噴出物によって覆われている (図版1)。
本層の東方への連続は, 「登別温泉」図幅内の幌別川・富岸川・鷲別川・知利別川方面 および室蘭市内に標式的に発達し, 最近の調査結果によれば [ 以下の [注] 参照 ] , 本地域内に分布する地層は 「登別温泉」図幅地域に発達する地層の中部ないし上部に当る。 ちなみに下部は「登別温泉」図幅内の鷲別川より幌別川にかけて分布し, 前述のように幌別鉱山の南部地域において, 下部の幌別層との不整合関係が認められるという。
岩質は砂質凝灰岩および浮石質凝灰岩を主体として, 砂岩・泥岩・頁岩などの薄層を挟んでいる。 凝灰質砂岩は中粒ないし細粒で比較的くだけ易く, 風化面では灰白色で層理は余り明らかではない。 しばしば炭化木片・植物破片などを多量に含むが, その炭化の程度は余り著しくはない。
浮石質凝灰岩は灰白色で経 5~6 mm より 50~60 mm 位までの浮石礫のほか, 10 mm 位までの黒色ないし灰色の安山岩質岩礫や, 自形を呈する石英粒および長石粒を含む。 一般に粗鬆で層理は不明瞭な場合が多い。
砂質凝灰岩と浮石質凝灰岩とは互に漸移している場合があり, 岩相変化は著しく, また上下層間にそれほど著しい岩質の変化が認められないにもかゝわらず, 局部的に堆債の小間隙を示すような侵蝕面がみられることがあり, 細粒な砂質凝灰岩中に粗粒の砂質凝灰岩が, 不規則な形で取込まれたように存在する異常堆積の現象が認められる。
室蘭港防波堤の東側の鉄道線路の切割において, 植物化石のほか貝化石も産出するが, 保存状態は概して良好でない。 植物化石は次のものである [ 以下の [注] 参照 ] 。
本屑は先に述べたように比較的層理に乏しいが, 介在する泥岩あるいは頁岩で知られるところでは, 本地域内ではほとんど水平に近く, ところにより 10°内外で緩く南に傾斜しているが, 犬きな断層や構造線等は認められない。
本層は岩質と化石とより黒松内統に対比される。
本岩は関内沢中流および北側の沢の2カ所に 関内岳下部熔岩・関内岳熔岩等に被覆されて小部分露出している。
本岩と他の第三系各層とはまったくその関係が不明のため, その生成時期は明らかではないが, 今回の調査およびこの地域周辺の従来の調査資料によれば, 幌別層および室蘭層中には本岩と類似するものは見られず, また上部の室蘭岳火山群中の火山岩とも著しく岩質を異にすることから, おそらく 第三紀末期の局部的な火山活動により生じたものではあるまいかと考えられる。
岩質は多斑晶質の普通輝石石英安山岩で, 灰黒色と灰色の, わずかに流理様の構造をもった石基中に, 2 mm 程度の石英および長石の斑晶を多量に含有するものである。
鏡下では斑晶は石英・斜長石・普通輝石からなる。 石英は自形を呈するものと, 多少融蝕され円味を帯びたものとがあり, 包有物はほとんどなく清澄である。 斜長石は中性長石に属し, 短柱状をなし累帯構造の著しいものが見られる。 包有物は少なく, おおむね清澄である。 普通輝石の量は比較的少なく, 短柱状をなし多色性はほとんどない。
石基は硝子質でやゝ流理構造を示し, 部分的に脱硝子作用を受けている。 また本岩中には安山岩質の小捕獲岩片を少量含むことがある。
新第三紀中には岩脈はほとんどなく, わずかに幌別層中の変朽安山岩を貫ぬいて, 粗粒玄武岩の岩脈が認められるのみである。
鏡下では輝緑岩組織をなす無斑晶質の岩石であるが, 時に少量の斜長石の大形斑晶を含むことがある。
石基は短冊状の 0.3 mm ないし 0.6 mm の斜長石と, その間隙を填める普通輝石と紫蘇輝石とからなり, 少量の磁鉄鉱を含んでいる。 斑晶の斜長石は亜灰長石に属し, 4 mm に達する大形のものがあり, おゝむね清澄で包有物はほとんどない。
本岩は変質作用を受けており, 炭酸塩化や絹雲母化が進んでおり, 一部に石英を伴なう方解石の細脈が発達している。
本岩は西南北海道の他の地域の同質の岩脈と同様に, おそらく新第三紀中新世後期の貫入によるものと思われる。
本層は地域南部の本輪西 - 黄金間の国道沿いの崖に, 室蘭層を覆って露出しているが, 上部を黄金泥流や室蘭岳集塊岩に覆われているために, その分布範囲は朗らかでない。 本層は主として拳大またはそれ以下の円礫を含む礫層からなっているが, 時には褐色の粗粒な砂層を挟み, 礫は幌別層あるいは室蘭層よりもたらされたと考えられる 安山岩・流紋岩・変朽安山岩などを含み, ほとんど水平に近い層理を示している。 前記の露頭で認められる限りでは, 層厚は約 5~6 m である。
本層中には化石を含まないためにその堆積時代は明らかではないが, 礫質や膠結度等から見ておそらく第四紀初期の生成になるものであろう。
本図幅地域全域に亘って, 室蘭岳をはじめ稀府岳・紋鼈岳など, 主として輝石安山岩質の噴出物によって特徴づけられる火山が分布している。 これらの火山は地形的には相当開析された山形を示しており, 北隣の「虻田」図幅内の有珠岳火山などのように, 火山地形を良く残している新規の火山と区別して, 図幅内における第四紀旧期の火山として一括し, 仮に室蘭岳火山群と命名した。
本火山群の各火山を構成する噴出物のうち, 主体をなすものは室蘭岳熔岩および集塊岩であり, 図幅全域の約半分近い地域を占めて広く分布している。 また本火山群に属する稀府岳・紋鼈岳なども, それぞれ岩質をやゝ異にはするが, いずれも集塊岩を主体とするものであり, 熔岩流に比較して集塊岩が量的に優勢である。 本火山群の生成時期は鷲別砂礫層を覆い, 洞爺浮石流・段丘礫層によって覆われることから, 更新世中期ないし後期の火山活動によるものであろう。
なお, 本火山群中に含めた火山岩中, 関内岳下部熔岩・関内岳熔岩・幌別岳熔岩については, その主体が図幅外の「虻田」図幅南方にあり, 同図幅を最近調査した本所太田技官によれば, 主として地形的見地から判断して, これら火山岩は第三紀末期の生成になるものとしている。 これらについては鷲別砂礫層との関係が不明であり, 本地域内では分布も狭いために 時代決定を行うに足る事実が得られなかったため, 岩質の近似する本火山群中に含めたが, あるいは第三紀末期の生成になるかとも考えられる。
本火山群の噴出物について, その特徴を記せば次の通りである。
幌別岳熔岩 : 本熔岩は地域の北東隅にわずかに分布するのみであるが, 隣接の「虻田」図幅内では比較的広く分布し, 長流川沿岸におよんでいる。
肉眼的には斑状組織を示す両輝石安山岩で, 青黒色の石基中に長さ 0.7~2.5 mm の斜長石の白色斑晶, および長さ 0.8~1.5 mm の輝石斑晶が比較的密に散在している。 鏡下には斑晶は斜長石と, ほゞ等量の紫蘇輝石および普通輝石とからなる。 斜長石は曹灰長石に属し, おおむね柱状を呈し清澄であるが, 時にその中核に塵状包有物を含み, 通常累帯構造が見られる。 紫蘇輝石はおおむね柱状で多色性は著しくなく淡黄緑色ないし淡緑色を示す。 普通輝石は柱状で淡緑色を示し, 両輝石とも包有物には乏しい。 またしばしば斜長石および両輝石からなる聚斑状集合がみいだされる。
石基は毛氈伏組織を示し, 微細な斜長石,単斜・斜方両輝石および磁鉄鉱等からなる。
関内岳下部熔岩 : 本岩は関内沢の中流附近の沢底に露出し, 関内岳熔岩あるいは紋鼈岳集塊岩に被覆されている。 岩質はきわめて特徴的な両輝石橄欖石安山岩で, 灰褐色ないし赤褐色の石基中に 10 mm ないし 15 mm に達する斜長石の大晶を多量に有し, これに次いで 4 mm 程度までの橄欖石斑晶が多い。
鏡下では斑晶は斜長石と橄欖石, 比較的少量の紫蘇輝石と普通輝石とからなる。 斜長石はさきにあげた大晶のほか 1.5~3 mm 程度のものを多量に含み, 大晶は灰長石に近いものが多く, 小型のものは曹灰長石である。 橄欖石は多くイジング石化し, ほとんどのものが周辺に磁鉄鉱を伴なっている。 紫蘇輝石および普通輝石は柱状のものが少量含まれているのみである。
石基は毛氈状組識を示し, 短冊状の斜長石と単斜輝石とのほか, 少量の磁鉄鉱と硝子とからなっている。
関内岳熔岩 : 本岩の主体は北隣する「虻田」図幅内に分布しており, 本地域内には北縁に分布しているのみである。
本岩は両輝石安山岩であって, 肉眼的には灰褐色の石基中に 2 mm 程度の斜長石と紫蘇輝石とが認められ, そのうち紫蘇輝石は少量である。 鏡下では斜長石は曹灰長石に属し柱状で, 塁帯構造は結晶の外縁部に僅かにみいだされる程度である。 また清澄で包有物に乏しい。 紫蘇輝石は柱状を呈し, 縁辺は単斜輝石の微粒よりなる反応縁によって常に包囲されており, 淡黄緑色ないし淡緑色を呈し多色性がある。 石基は毛氈状組織を示し, 構成鉱物は犬きく, 折木状の斜長石および柱状または粒状の単斜輝石からなり, 無数の磁鉄鉱の微粒を伴なっている。
黄金泥流 : 本泥流は本輸西の西方, 崎守附近から黄金までの海岸地帯に分布する。 本泥流が下部の鷲別砂礫層を被覆することは, 元室蘭附近においてよく観察される。 部分的にかすかに流理を示すことがあり, 一般に不均質で淡紅色ないし黄褐色を呈し, きわめて粗鬆である。 本岩はそのなかに石英を多量に含有することと, 安山岩質岩石の角礫や岩塊あるいは 同質の集塊岩塊等を多量に含む場合があることが特徴である。 安山岩質岩石の角礫や岩塊には, 灰色の石英含有両輝石安山岩と 黒色の橄欖石含有両輝石安山岩との2種がある。 前者は普通拳大以下, 稀に長径 70 cm 前後の角礫として含まれているが, 後者はその大なるものは径数 m, 時としてはそれ以上の熔岩塊あるいは集塊岩塊が多量に含まれており, 両者は混在している場合が多いが, 前者のみが多量に含まれている場合もある。 黄金より元室蘭に至る国道沿いの露頭における観察によると, 黄金附近においては, 径約 5 m 程度を最大とする後者の岩塊が泥岩中に散在しているが, 元室蘭との中間附近では, ほとんど同じ安山岩塊あるいは集塊岩塊のみからなる地域があり, あたかもそれらの割目に沿って泥流が迸入したかのように, 両者が不規則な関係で入り混っている。
本泥流は上位の室蘭岳集塊岩に覆われて露出も限られているために, その生成機構を明らかにすることは困難ではあるが, 野外における以上の観察から推定すれば, 本泥流の生成は室蘭岳火山群の火山活動の初期に, 橄欖石含有両輝石安山岩を生成させた火山活動に引続いて行われたものであって, その活動の中心は, そのなかに含まれる岩塊の多量かつ大なる点よりみて, 現在の分布箇所よりそれほどへだたらないものと考えられる。 なお石英含有両輝石安山岩の岩質は, 室蘭層中の浮石質凝灰岩に含まれている安山岩角礫と近似している。
紋鼈岳下部集塊岩 : 本岩は紋鼈岳の東, 三角点 765.2 m 附近に分布し, 関内沢上流南側の沢においてよく観察される。 集塊岩を主体とし稀に熔岩流を挟んでいる。 一見粗面岩様の見掛けをもった特徴のある安山岩で, 肉眼的には暗灰色緻密で斑晶の目立たない普通輝石安山岩である。
鏡下には斑晶として斜長石と, ごく少量の普通輝石とが認められる。 斜長石は曹灰長石に属し, 柱状ないし長柱状を呈し清澄である。 普通輝石は微斑晶状で多形を呈し, 多色性は余り著しくはない。 石基は毛氈状組織を示し, 短冊状の斜長石・磁鉄鉱, および2次的に有色鉱物を置換したと考えられる少量の緑泥石が認められる。
稀府岳集塊岩 : 本岩は谷藤川の中流にあたる天狗岩附近に, 集塊岩独特の懸崖を形成して露出しており, 集塊岩を主体とし熔岩流を挟有する橄欖石含有両輝石安山岩である。
肉眼的には灰青色ないし灰黒色で, 斑晶が比較的多く, 1~3 mm 程度の斜長石と 1~-2 mm 程度の輝石とが認められる。
鏡下においては, 斑晶は斜長石・橄欖石・紫蘇輝石および普通輝石からなる。 斜長石は曹灰長石に属し, 累帯構造が著しく包有物は少ない。 橄欖石は少量含まれているか, あるいはまったく含まれていないが, 多形で外縁部や割目に沿ってイジング石化し, 時に輝石の反応縁が見られる。 紫蘇輝石は柱状をなし淡褐色で多色性は弱い。 普通輝石は小形で柱状をなし, 紫蘇輝石に比べ少量である。 石基は硝子基流晶質で, 短冊状の斜長石と柱状あるいは粒状の単斜輝石・斜方輝石とからなり, 少量の磁鉄鉱と硝子とを伴なう。
紋鼈岳集塊岩 : 稀府岳の北側, 紋鼈岳を形成する集塊岩で, 関内沢をのぞいてはきわめて露出に乏しいが, 山頂に近い西側の斜面には小牛大に達する安山岩塊が多数散在している。
両輝石安山岩に属し, 肉眼的には灰黒色の石基中に 2 mm 程度の斜長石斑晶が比較的密に散在し, 有色鉱物は余り目立たない。
鏡下では斑晶は斜長石・普通輝石および紫蘇輝石からなり, 斜長石に比較して輝石は少ない。 斜長石は曹灰長石に属し, 柱状を呈し不定形の硝子を包有する場合もあるが概して清澄で, 累帯構造は余り著しくはない。 普通輝石は短柱状で淡緑色を示し多色性はほとんどない。 紫蘇輝石は柱状で淡褐色ないし淡緑色を皇し, やゝ多色性を有し, 普通輝石と平行連晶をなしていることがある。 石基は硝子基流晶質で, 柱状の斜長石と柱状の単斜輝石のほか少量の硝子および磁鉄鉱からなる。
室蘭岳集塊岩 : 本岩は地域内の室蘭岳の火山噴出物の主体をなして, 最も広く分布している。 集塊岩を主とし, 少量の熔岩および凝灰角礫岩を挟んでいる。
集塊岩は普通拳大ないし人頭大の礫を有し, 充填物は灰褐色の粗粒な凝灰質物からなる。 礫は普通は黒色の輝石安山岩である。
熔岩は肉眼的には大部分黒色ないし灰黒色を呈する両輝石安山岩であるが, 上部には処によって少量の橄欖石を含むものがある。 比較的多斑晶質で, 部分的には多孔質の部分もみられ, 普通 2 mm 程度の斜長石と 1~2 mm 程度の輝石が散在している。
鏡下では斑晶は斜長石・普通輝石および紫蘇輝石からなっている。 斜長石は曹灰長石に属し比較的清澄であるが, 時に不定形の硝子を包有し累帯構造は余り見られない。 普通輝石は短柱状を呈することが多く, まれに粒状をなし, 淡緑色で多色性はほとんどない。 紫蘇輝石は柱状をなし, しばしば普通輝石と平行連晶をなしており, 淡褐色であるが多色性は余り著しくはない。 石基は硝子基流晶質で, 短冊状の斜長石, 粒状ないし柱状の単斜輝石と斜方輝石, および少量の磁鉄鉱と硝子とを含む。
室蘭岳熔岩 : 本岩は地域の東方, 室蘭岳から連なる標高約 500 m 以高の地域に分布し, その末端部は比較的急な斜面を形成している。 そのために地形においても, 下部の室蘭岳集塊岩とは遠望して明らかに識別することができる(図版2)。
本岩は熔岩流を主体としているが, その間に集塊岩そ挟み, 千舞鼈川および元室蘭川の最上流や, 室蘭岳頂上より本輸西に通ずる山道附近に好露出が見られる。
肉眼的には灰色ないし灰黒色を呈する比較的緻密な両輝石安山岩で, 2 mm より 4 mm までの斜長石と 3 mm 内外の輝石斑晶とが散在している。
鏡下では斑晶は斜長石・普通輝石および紫蘇揮石からなる。 斜長石は比較的清澄で累帯構造は余り著しくはないが, 時にやゝ累帯構造を示し, 外縁に沿って塵状の包有物を多く含むことがある。 普通輝石は柱状で多色性は弱い。 紫蘇輝石は長柱状をなし多色性を有し, 淡褐色ないし淡緑色を示し, 時に単斜輝石の反応縁が発達することがある。 石基は微晶質で, 針状の斜長石, 輝石の微粒, 少量の磁鉄鉱および硝子からなっている。
本浮石流は地域の北西部, 長流川|下流の両岸に露出するが, 本図幅の北方地域では長流川流域のみでなく, 洞爺湖の周辺部にも露出し, 下部の第三紀層などの凹所をうずめて広く分布している。
地域内では層厚は 80 m 以上あり, 全体として米粒大ないし小豆大の浮石粒を多量に含む 淡紅色の粗鬆な火山灰様物質からなり, その間に 胡桃大ないし拳大位までの各種岩石の岩片および浮石をもった火山灰層や, 時には4斗樽大にまでおよぶ巨大な安山岩塊をもった泥流様の部分を挟み, 稀に腐蝕土層や礫層を挟むことがある。
一般にほとんど層理を示さないが, 前記の腐蝕土層を挟む時はほとんど水平な堆積状態を示している。 また本層中に含まれる角礫は安山岩買の岩石が最も多く, その他に基盤の第三系の構成物と思われる 斜長流紋岩・斜長流紋岩質凝灰角礫岩・緑色凝灰岩・黒曜石などがみいだされる。
本浮石流の露頭はその岩質のために, 断崖を形成する場合が多いが, 特に 伊達町より長流を経て虻田に至る国道において最もよく観察することができる。 こゝでは本層中に腐蝕土層の薄層を挟み, そのなかに木片等を含んでいるが, その種を決定できる化石は発見できなかった。
本層は伊達町の北西, 気門別川の右岸において低位の段丘礫層に覆われている。
本浮石流は留寿都地方を中心として分布し, 洪積期砂層 1) , 留寿都層 2), 3) あるいは虻田統 C 火山灰層 4) と呼ばれる地層のうちに従来含められてきた。 標式地におけるそれらの地層のうち, どの部分に相当するかはなお明らかではないが, おそらく 本浮石流は洞爺カルデラの生成と密接な関係を有するものと考えられる。 その生成の時期はおそらく更新世後期であろう。
室蘭湾および内浦湾に面した海岸線に近い, 標高 100 m より 130 m の附近に, 室蘭岳集塊岩や黄金泥流を覆ってほとんど水平な面を以て礫層が載っている。 本層は主として拳大の円礫および砂からなり, 礫はおもに室蘭岳火山群の噴出物より由来している。
本泥流は地域北西隅の長流川右岸の小地域に分布するが, 「虻田」図幅内では有珠岳の南方地域一帯に広く分布し, 洞爺浮石流を覆って特徴ある起伏をもつ 大小の丘陵をなして連続している(図版3)。
木岩は灰褐色の火山灰質物中に, 時に小屋大にも達する安山岩の巨岩を不規則に多量に含み, 海岸に臨んでは複雑な彎入を示す海岸線を形成している。
泥流中に含まれる安山岩はすべて輝石安山岩で, 隣接「虻田」図幅内における本所太田技官の調査によれば 有珠岳外輪山熔岩と同種の岩石であり, おそらく有珠火山カルデラ生成の際の爆裂作用によって, 山腹を破壊奔流し生成したものであろう。
有珠岳火山の泥流には本岩のほか, 文政年聞に生成したと伝えられる石英安山岩質の泥流があるが, これは本地域内には分布せず, 本輝石安山岩質泥流の生成時期は, 有珠善光寺創建(慶長年間)以前であることは明らかであるが, その記録は残っていない。
有史時代の石英安山岩質の泥流と識別するため, 泥流中に含まれる輝石安山岩塊の特徴を挙げれば次の通りである。
外観は場所によって多少の差異があるが, 比較的孔隙に富み黒色または灰黒色の石基中に, 長さ 1~5 mm, 稀に 12 mm に達する斜長石の白色斑晶が多量に散在し, 有色鉱物の斑晶は長さ 1.5 mm 以下で, 肉眼的には余り顕著ではない。
鏡下では斑晶は斜長石・紫蘇輝石および普通輝石からなり, 両輝石はほゞ等量にみいだされる。 斑晶斜長石の大部を占める小形の斜長石は曹灰長石に属し, 柱状まれに卓状を示し, 一般に清澄であるが, 不定形の硝子を多く包有している。 累帯構造は余り著しくない。 斜長石の大晶は亜灰長石に属し, 最外部の薄層のみが 小形斑晶をなす斜長石とほゞ同じ組成の曹灰長石よりなっている。 紫蘇輝石は長柱状をなし, 淡褐色ないし淡緑色長柱状のものが多い。 まれに単斜輝石の反応縁で包まれた橄欖石がみいだされる。
石基は毛氈状組織を示し, やゝ粗粒の短冊状の斜長石および柱状または粒状の単斜輝石からなり, また磁鉄鉱の微粒が一面に散点している。
本層は図幅の大半を広く被覆し, その層厚は部分によっては 50 cm 以上に達することがあるが, 下部の諸岩層のすべてを被覆するので, 地質図上には図示しなかった。
本層は従来の資料 4), 8) によれば, その生成時期の古いものより 有珠統 C 火山灰層・有珠統 B 火山灰層および有珠統 A 火山灰層に分類されている。 本地域の大半を被覆しているものは有珠統 A 火山灰層に当り, 有史時代(記録によれば寛文 3 年以降)の 有珠岳火山の活動により生成されたものとされている(第2図参照)。
本層は暗灰色の火山灰中に普通指頭大までの浮石粒, あるいはスコリアを多量に含んでおり, 層間に腐蝕土の薄層を挟むことがある。
また本地域南部の奥輪西附近には, 淡褐色の浮石質の火山灰が薄く堆積しているが, これは駒ヶ岳火山の噴出によりもたらされたものではないかとされている。
稀府岳および紋鼈岳の西側山麓には崖錐が発達し, 特有な地形を示している。 主として稀府岳・紋鼈岳を構成する火山岩の岩塊・礫の堆積物である。
砂丘は地域内の海岸地帯のうち, 黄金より稀府に至る間や, ワッカオイ西南方に発達している。
本層は稀府岳・紋鼈岳の西側の崖錐の下方に広く発達しており, 主として砂・礫・粘土・火山灰等からなる。
本屑は長流川流域に発達する平野のほか, 千舞鼈川下流部などに狭い範囲に分布し, 砂・礫・粘土および火山灰からなっている。
本地域内には現在稼行の対象となっている鉱床はないが, 過去において稼行あるいは探鉱された鉱床としては, 硫化鉄鉱鉱床1, 褐鉄鉱鉱床3が認められた。
硫化鉄鉱は, 牛舎川上流の支流において, 幌別層中の変朽安山岩中の粘土化した部分に低品位の硫化鉄が鉱染し, そこに坑道1本が認められたが, すでに埋没し細部に渉つては調査することはできなかった。
褐鉄鉱鉱床は谷藤川および関内沢上流に, 谷をうずめて胚胎する沈殿鉱床である。 これらの鉱床の生成には, 上流に発達する変朽安山岩中の粘土化帯の硫化鉄の存在が, 最も密接な関係をもつものと考えられる。 各鉱床とも過去に露天掘によって採掘した跡を残しているが, 現在はその施設を残しておらず, 採掘当時の状況は不明である。
このほか伊達町南方の海岸沿いに海浜砂鉄が認められ, かつて報告されたことがあるが鉱量は僅少である 5) 。
地域の北東部にあたるワッカオイ部落附近において, 国道沿いに露出する有珠岳泥流中の安山岩塊は, 昭和新山石材工業所(有珠郡壮鼈村)によって割石として利用され, 苫小牧港の修築用として積み出されている。
EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN Scale, 1 : 50,000
Sapporo - 60
By MASARO MURAYAMA & FUJIO UEMURA (Geological Survey of Japan)
The area of the Nishimombetsu sheet map is located at the northern side of the head of Uchiura bay. Muroran is situated at the southeastern corner of the area mapped.
The Muroran sheet map were published in 1953 by the Geological Survey of Hokkaido, comprising Shukuzushi district, Muroran. Then the explanation of the geology of this district is abridged in this text.
The main geological formations occurring in the area mapped are Neogene sediments and Quaternary volcanics. Their geological sequence is summarized in Table 1.
Excepting a part of the volcanics of Muroran-dake volcanic group, the main parts of the groups listed in this Table are developed in the adjacent area, namely in the area of Abuta and Noboribetsu-Onsen sheet maps.
The Horobetsu formation of early-Neogene age, on which the Muroran formation of principal late Neogene age and Quaternary volcanics rest, is the basement of the area mapped. Though the relationship between the Horobetsu and the Muroran formations is not seen in the area mapped, it has been ascertained in the area of Noboribetsu-Onsen sheet map. In this area the latter covers unconfom1ably the former. The geological age of these two formations is uncertain, but according chiefly to their rock facies and sequence of each other, the Horobetsu formation may be correlated with the Kunnui formation, and the Muroran formation with the Kuromatsunai formation. These two formations, Kunnui and Kuromatsunai are well known in the southwestern Hokkaido.
The Horobetsu formation is distributed in the northeastern part of the area mapped. It is divided into four members from lower to upper according to their rock facies, namely (1) Asahi sandstone, shale, tuff member, (2) Kamaumbetsu rhyolitic tuff member, (3) Takino-sawa green tuff member, and (4) Tanifujigawa propylite. Excepting the Asahi sandstone, shale, tuff member, the others change their rock facies laterally.
The structure of the formation is partly complicated by several faults. However, in most places, the strikes of the formation can be determined chiefly in the lower members, having the general strike of N 50 - 60°W and the dip of 10 - 25°S. Two dolerite dykes are intruded into the formation.
The Muroran formation is developed in the area along the southeastern coast, from Jinya-machi to the eastern boundary of the sheet map. It consists mainly of sandy tuff and pumiceous tuff intercalating thin layers of sandstone, mudstone and shale. These rocks are often changed to each other. The formation shows almost a horizontal structure, and is not disturbed by any crustal movement.
The Sekinai-zawa dacite, lithologically pyroxene dacite, which is covered with the volcanics of Muroran-dake volcanic group, crops out partly in the northern area of Sekinai-zawa. The geological age of the dacite member is uncertain, because of no direct connection with the Neogene formations above-mentioned in the area mapped. However, judging from the relationship between the dacite member and the Neogene formations or Quaternary volcanics, it may be infered that the Sekinai-zawa dacite was erupted as a result of the local volcanism in the area in early Pliocene age.
The Washibetsu sand and gravel deposits cover the Muroran formation horizontally. The deposits, several meters in thickness, are covered directly with Muroran-dake volcanics. Quaternary volcanic rocks are developed wide spread in the area mapped. They are divided into three groups according to their geological age, namely (1) volcanics of Muroran-dake volcanic group and (2) Toya pumice flow of Pleistocene age, and (3) Usu-dake volcanics of Recent age. Of these, the first occupies the most wide area.
The rocks distributed at Muroran-dake, Mareppu-dake, Mombetsu-dake, Sekinai-dake and Horobeitsu-dake forming volcanic bodies are lumped together as the Muroran-dake volcanic group in this text. But the main parts of Sekinai-dake and Horobetsudake are located in the area of Abuta sheet map, then Murorandake, Mareppu-dake and Mombetsu-dake are the main volcanoes of the group in the mapped area. As shoWn in the geological map and profiles, it is a characteristic feature that the volcanics, chiefly agglomerate, of these volcanoes are distributed widely in the southern side of these volcanic bodies making a gentle slope. This distinctive feature may suggest that the basement had inclined to the southwest when these volcanoes was born.
Tbe volcanics of Muroran-dake volcanic group are characterized by the existence of pyroxene andesite, predominance of agglomeratic facies and local occurrence of mud flow. The volcanoes are dissected and their original forms are not preserved. However, judging from the relationship with the Washibetsu sand and gravel deposits which are assigned to be upper Pliocene or lower Pleistocene in age, it is infered that the volcanism may be probably of younger Pleistocene age.
The Toya-pumice flow and the Usu-dake volcanics are observed partially in the northwestern part of the area mapped but their main part is developed in the area of the Abuta sheet map. The origin of the former may be closely related with the occurrence of Toya caldera. The latter consisting of mud flow and volcanic ash is distributed widely in the area mapped.
In the area mapped, there are no variable ore deposits.
昭和 30 年 1 月 29 日印刷 昭和 30 年 1 月 30 日発行 著作権所有 北海道開発庁