04006_1953

5万分の1地質図幅説明書

上芦別

(札幌 第6号)

工業技術院地質調査所

通商産業技官
清水勇
田中啓策
今井巧

北海道開発庁 昭和28年


目次

緒言
I 地形および交通
II 地質概説
III 白亜系
1. 概説
2. 中部蝦夷層群
3. 上部蝦夷層群
4. 極淵層群
5. 地質構造
IV 古第三系
1. 石狩層群
2. 幌内層
V 新第三系
川端層群
VI 第四系
1. 河岸段丘
2. 現地層
VII 火成岩
VIII 応用地質
1. 概説
2. 各説
三井鉱山株式曾社芦別鉱業所
三菱鉱業株式會社芦別鉱業所
明治鉱業株式曾社上芦別鉱業所
雄別炭鉱鉄道株式曾社茂尻鉱業所
住友石炭鉱業株式曾社赤平鉱業所新歌志内鉱
北海道炭鉱汽船株式曾社空知鉱業所神威鉱
三井鉱山株式會社砂川鉱業所
三菱鉱業株式曾社美唄鉱業所
文献

Resume (in English)

付表
付図
踏査図

5万分の1地質図幅説明書

上芦別

(札幌 第6号)

工業後術院地質調査所

通商産業技官
清水勇
田中啓策
今井功

緒言

本図幅は北海道開発庁の委託によって作或されたもので, 野外調査は昭和26年7月から10月にわたって行い, 図幅中の白亜紀層分布地域は田中啓策・今井功が, 第三紀層分布地域は清水勇が担当した。

図幅内の石狩層群分布地或の地質図は 現地にある炭鉱によって調査作成された地質資料に基き, すなわち芦別町以南は三井鉱山芦別鉱業所・三菱鉱業芦別鉱業所ならびに 明治鉱業上芦別鉱業所の資料から, 歌志内町神威以東は 北海道炭鉱汽船株式曾社空知鉱業所・住友石炭鉱業赤平鉱業所ならびに 雄別炭鉱茂尻鉱業所の資料から, また神威以南は 三井鉱山砂川鉱業所・三菱鉱業美唄鉱業所の資料からそれぞれ編集したものである。

また芦別町高根川流域は地質調査所の三田正一・小島光夫両技官 [ 文献 32 ] の, また芦別町野花南以南の川端層・幌内層分布地域については 澤田秀穂・小島光夫両技官 [ 文献 34 ] の調査結果を利用した。 また本図幅地城内およびその周縁部の地質に関しては 北海道大学の進級論文や卒業論文を利用した。 ことに芦別町野花南の武田炭鉱稼行地附近の地質は武田裕幸 [ 文献 31 ] の踏査図を参照した。 なおこの調査には米軍から貸与された空中写真を利用することが出来た。

I 地形及び交通

本図幅は北海道脊梁山脈の支脈である夕張山脈の西側を占める山岳地帯にある。 そのやや東寄りには芦別川が北流し, また北東隅には芦別川の本流である空知川が北西に流れている。 この山岳地帯を侵蝕している水系は複雑に蛇行している。 図幅地域の中央からやや西に寄って 美唄 びばい 山 (886.3 m)・ 辺毛 べんけ 山 (811.2 m) などの主峰を連ねてほぼ山脈があり, 他方図幅の東部にも金剛岳 (701.0 m)・烏帽子岳 (758.4 m) などを連ねる山脈があって, いずれも南北に走り, 本地域の2大分水嶺となっている。 したがって, これらの分水嶺に挟まれた地域内の水流は東流あるいは西流して芦別川に注ぎ, 美唄山・辺毛山を連ねる分水嶺の西側を流れる水流は それぞれ歌志内川・奈江川・奈井江川・美唄川・奔別川に注ぎ, いずれも本流の石狩川に合流する。 また金剛岳・烏帽子岳を連ねる分水嶺の東側の水流は 集まって野花南川や金剛澤などの流れとなり, いずれも北流して空知川に注いでいる。

図幅にはきわめて異常な山形や水系がみとめられるが, これは風化や侵蝕によくたえる岩石とそうでないものとが互いに重なり合い, しかもこれらが断層によって変位しているためであることが多い。 断層の通過する場所では, 断層の両側の地形がケスタ地形を示しているにもかかわらず, 断層を境にその両側で陵線の方向が平行にずれたり, ジグザグな形を示したりすることが普通である。 この場合, 水系の流路の方向も直角に折れ曲ったり, 上流に向って分岐したりすることが常である。 水系の流路は風化や侵蝕に対して強靭な地層をさけて, 脆弱な岩質の地層中をえらぶことが多いので, 地層の走向とほぼ平行して洗れることがある。 地層の走向に交って流れる河川では, 比較的軟弱な地層中に深くて巾の狭い枝澤をつくりやすいが, 風化や侵蝕によくたえる地層中では枝澤の数も増し, しかもそれらはあまり深くない。 また断層によって擾乱された地域は風化や河川の侵蝕に対して弱くなっているため, 番ノ澤のように断層とほぼ平行した流路をとることがある。

これらの水系によって侵蝕されて複雑な地形を示すに到った山岳地帯には 700 m 以上の高峰が 10 指をもって数えることが出来る。 函淵層群や石狩層群の高根夾炭層 (砂岩帯), その他の砂岩からなる地層はよくケスタ地形を形成している。

空知川や芦別川の流域には4段の河岸段丘が発達しており, 芦別川中流のベンケリヤウシ川 (青木澤) 附近では1段みられる。

本図幅内の鉄道には, 芦別川に沿ってその東岸を南北に通ずる森林鉄道と, 根室本線下芦別駅から芦別川沿いに頼城に到る三井鉱山芦別鉱業所の炭鉱鉄道ならびに 図幅地内の北東隅を空知川沿いに通ずる根室本線がある。 また道路の主なものは, 上芦別から野花南南方の丸山 (標高 433 m の三角点) 山麓までの道路, 砂川より歌志内町西山に通ずる道路のほかに, 根室本線に平行する国道などで, いずれも自動車の通行が可認である。 しかしながら図幅地域の中央部には, 造材用の軌道が時宜に応じて敷設される以外に, 輸送機関としてみるべきものがない。

II 地質概説

本図幅地域内に分布する地層は白亜系, 古第三紀の石狩層群, 幌内層, 新第三紀の川端層群ならびに第四紀の段丘堆積層と沖積層である。 火成岩としては芦別町丸山を構成し, 上部白亜系を貫いている玢岩がみられるにすぎない (第1表参照)。

第1表 地質総括表

白亜系は, この地域の主要構造である空知背斜の中核をなして, 図幅の中央部に広く分布しているほか, 図幅東辺部の南北方向の野花南断層の東側に分布している。 空知背斜は北に沈んでいるので, 白亜系上に平行不整合にのっている石狩層群は同背斜の両翼をなすだけでなく, 白亜系の北側にも分布している。 空知背斜の東翼においては 石狩層群の上位に幌内層と川端層群がそれぞれ不整合関係をもって重なり, 金剛岳と烏帽子岳を結ぶ分水嶺附近を軸とする上芦別向斜 [ 芦別向斜とも呼ばれる ] を形成している。 この向斜の東側は野花南断層で白亜系と接している。

空知背斜の中核に分布する白亜系は, 南方幾春別附近の白亜系の連続で, 後者は古く矢部長克によって下位から下部菊石層, 三角介砂岩層および上部菊石層に区分された。 その後今井半次郎によって白亜系の最上部として函淵砂岩層が追加され, さらに幾春別川流械の白亜系中に於けるイノセラムスの層序的産出順序が長尾巧, 斎藤林次, 松本達郎によって研究された。 他方, 野花南川流域の白亜系は東方富良野盆地の白亜系の連続で, 後者においては橋本亘によって下部菊石層と三角介砂岩との間に不整合が発見された。 その後松本達郎は北海道および樺太の白亜系の総括的研究を行い, 従来の下部菊石層を下部菊石層群と中部菊石層群とに区分した。 この区分は富良野盆地にも通用され, また本図幅内の下部菊石層も中部菊石層群であることがわかった。

他方, 函淵層群と石狩層群との境界については今井半次郎の研究以来種々の問題があって, 函淵層群の一部は石狩層群に, また石狩層群の一部は函淵層群に含められたこともあったが, 最近では歌志内附近において両者の境界が須貝貫二らによって朗らかにされつつある。

本図幅の石狩層群は奔別断層以北の空知地区(従来の空知炭田)に属するもので, 同断層以南の夕張地区(従来の夕張炭田)のものに比較して地層全體の厚さが厚く, 地質構造も夕張地区ほど著しい褶曲はうけていない。

石狩層群は本邦におけるもっとも重要な夾炭層の一つであるため, 地質調査も早くから多くの人々によって行われた。 今井半次郎が石狩層群をはじめて地層区分してから今日に至るまでに その層序や地質構造は一応明らかとなった。 ことに大多数の稼行炭層が同層群の下半部に多いため, 美唄層以下の地層については詳細な調査が行われ, 地層の区分, 層序, 対比についても炭田全域にわたって統ーされた體系がほぼ出来たといってよい。

しかし, 赤平層から上位の地層については, 限られた地域をのぞいては未だ充分調査が行なわれていない。 そのため, 地層区分の境界も調査者によってかなりまちまちで, 層序や地層区分にも未だ充分にわかつてない点がある。

幌内層は石狩層群を不整合に覆っている漸新世末期の海成層で, 本地域での全層厚は約 700 m におよんでいる。

新第三紀の堆積層として川端層群がある。 幌内層と川端層群の層位関係は 模式地の夕張地区においても研究者によってそれぞれ意見が異っている。 古くは今井半次郎が幌内層と川端層群の中間に中間層と呼ぶ漸移層を区分した。 その後の研究者によって, この中間層は下位から紅葉山層と瀧ノ上層とに細分され, それぞれ不整合関係にあるものと訂正された。

最近松井愈は 紅葉山層と瀧ノ上層はそれらが包蔵している化石からも 川端層群や幌内層と時代的に区別すべきであるとし, さらに紅葉山層は夕張地区北部の朝日炭鉱附近ではすでに尖滅しており, 小さな堆積盆地に堆積したものであると述べている。

本図幅内で川端層群とした地層には大きくみて2つの型がある。 その1つは野花南断層以西に分布して 幌内層上に基底礫岩をもってのっている地層で, その基底に近く Liquidamber formosa HANCE その他の植物化石や粗悪な炭層を挟有している。 他の1つは, 野花南断層以東に分布し, 本図幅ではその北東隅にきわめて小区域に分布しているもので, その基底には蛇紋岩礫や蛇紋岩塊をとりこんだ泥岩があり, その上位に砂岩・泥岩の互層があって, 模式地の瀧ノ上層および川端層群に同定してよいものと思われる。

III 白亜系

1. 概説

本図幅地内の白亜系は主部のいわゆる空知背斜をつくる地域と東方の 野花南 ぬかなん 川流域とに分れて分布する。

白亜系は古第三系石狩層群に平行不整合に覆われ, 下位から中部蝦夷層群(これは更に主部と上部の三笠亜層群および佐久層とに区分される)・ 上部蝦夷層群および函淵層群に区分され, 各々の関係は整合である。

白亜系を構成する堆積岩には頁岩ないし砂質頁岩, 泥岩ないし砂質泥岩, シルト岩, 細砂質シルト岩ないしシルト質細砂岩, 種々の粒度の砂岩, 礫岩および凝灰岩等がある。 その外稀には炭質頁岩がある。

頁岩ないし砂質頁岩は層理がよく発達し黒色を呈し, 風化すると稜角状の細片に破砕することが多い。 砂岩の薄層 (layer) あるいは葉層 (lamina) を挟むものは 黒色泥質のものと淡緑色砂質のものとの縞をつくる。 泥岩ないし砂質泥岩は黒色ないし暗灰色を呈し 比較的均質かつ塊伏であって時には頁岩質となることがあり, 風化すると梢々丸味を帯びる細片に破砕することが多い。 シルト岩は一般に塊状であり稀に層理を示し, かつ暗灰色ないし黒灰色を呈し, 風化の状態は泥岩のそれに似る。 細砂質シルト岩ないしシルト質細砂岩も一般に塊状であるが, 稀に層理を示しかつ暗灰色を呈し, また多少帯青色となることがあり, 風化すると梢々丸味を帯びた小塊に割れることが多い。 以上の堆積岩中には一般に泥灰岩団塊が含まれることが多い。 砂岩には細粒から粗粒に至る種々の粒度のものがあり, 塊伏ないし成層を示し, 黝青色, 青灰色, 緑灰色, 灰色, 灰白色および時には暗灰色を呈するが, 暗灰色のものは泥質である。 砂岩中には極めて稀に泥灰岩団塊が含まれることがある。 砂岩頁岩互層のうち, 細交互層とはその互層を構成する砂岩および頁岩の1単位の厚さが各々 10 糎内外のものである。 凝灰岩は一般に白色を呈し酸性であるが, 緻密かつ堅硬のものとベントナイト質かつ柔軟なものとがある。

本図幅地の白亜系の層序は第2表の通りである。

第2表 上芦別図幅の白亜系

白亜系の構造は第三系石狩層群のそれと平行的であり, 両者はともに同ーの造構造運動を蒙っている。 白亜系は複背斜構造および複向斜構造をつくり, それらの軸は, いづれも北方に向って沈下している。 各層群については地域別に, すなわち空知背斜の東翼(サキペンペツ川下流部を含む), 西翼, サキペンペツ川流域(同川下流部を除く)および野花南川流域に分けて既述する。 東翼および西翼には前述の各層群が分布し, サキペンペツ川流域には主として上部蝦夷層群が分布し, 野花南川流域には中部蝦夷層群のみが分布する。

2. 中部蝦夷層群

本層群は空知背斜の軸部および野花南川流域に分布する。 前者では本層群主部とその上位の三笠亜層群とに, 後者では本層群主部とその上位の佐久層とに区分される。

A) 空知背斜軸部

[1] 中部蝦夷層群主部

(1) 概説

本層群主部は上位の三笠亜層群と整合であるが, 両者間の岩層変化は急激である。 下限は背斜構造をなすために不明であるが, 厚さは少なくとも 1,300 米以上と推定される。

フリツシユ型の堆積物で, 主に縞状砂質頁岩から成り, 砂岩, 砂岩頁岩細交互層及び泥岩を伴い, また稀に白色ベントナイト質凝灰岩の薄層を挟む。 縞状砂質頁岩は 砂質頁岩中に淡緑色細粒砂岩の薄層または葉層を少量ではあるが頻繁に挟み, 黒灰ないし暗灰色と淡緑色との縞を呈する。 風化すると長方形の大小のブロックに破砕し 更に泥岩のように丸味を帯びた稜角状の細片に破砕するが, 頁岩のように著しい稜角状の細片に破砕しない。 これに類似する岩相は 上部蝦夷層群中の頁岩および砂質頁岩にも時々みられるが 縞状をなす程度は低い。 泥灰岩団塊は稀に含まれるが, 局部的には多量に含まれることがある。 化石はこれらの団塊中から発見されないが, 母岩中から若干産出する。

(2) 東翼

本層群主部は 八月 はちがつ 澤及び 幌子芦別 ぽろこあしべつ 川のみに露出し, 断層及び褶曲のために下限は不明であるが 厚さは少なくとも 500 米以上と推定される。 岩相によって層序は下位から ME1 から ME3 まで区分され, 各々の関係は整合であり 岩層変化はむしろ緩慢である。

ME1
主に縞状砂質頁岩から成り, 所々砂岩頁岩互層および砂岩頁岩細交互層を挟む。 泥灰岩団塊は稀に含まれるが 局部的には多く含まれることがあり, 化石は未発見である。 厚さは 300 米以上である。
ME2
縞状砂質頁岩, 砂岩頁岩細交互層および砂岩の交互層から成る。 泥灰岩団塊および化石は稀に含まれるが [ 下記の [注] 参照 ] , 前者は局部的に多いことがある。 厚さ約 130 米以上。
[注]
露頭においては泥灰炭団塊は容易に発見されるのに反して 化石は発見されないこともある。 以下化石の産出頒度を「多い」, 「少ない」等の言葉でいい表わすが, この場合はむしろ「多く」または「少なく」発見されたというべきであろう。 しかし化石は粗粒岩中から発見されるものを除くと 泥質岩自體の中から後見されることがあるが, 一般には泥灰岩団塊中に発見される場合が多い。 従って化石の産出頻度を化石の発見された量をもって概念的にいい表わすことは 余り不都合ではなかろう。 勿論化石の産状を立體的に調査するのではなくて, 数本の路線調査の結果を帰納して 地層中における化石の産出頻度を表現することは危険であるかも知れない。 また一細分層の化石産出頻度は踏査した各路線毎に, すなわち南北方向に変化するが, ここでは一細分層の化石産出頻度をその最大量でもって表現する。 この場合, その細分層の化石産出頻度は 変化しでもなお産出頻度については その細分層としての上位または下位の細分層のそれと異なった傾向を示す。
八月澤における ME2 の上部に挟在する青灰色中粒アルコーズ砂岩からは Cladophlebis SP. が産出し(LOC.50, [ 下記の [注] 参照 ] ), また幌子芦別川における LOC.67 から保存不完全な二枚介が産出する。
[注]
化石産地については白亜系踏査図を参照せよ。 以下これに準ずる。
ME3
砂質頁岩および縞状砂質頁岩から成る。 泥灰岩団塊は稀であり, 化石は未発見である。 厚さ 90~50 米。

(3) 西翼

本層群主部は 下歌志内 しもうたしない 川, 美唄 びばい 川および 奔別 ぽんべつ 川によく露出し, 背斜をなすために下限は不明であるが 厚さは 1,300 米以上と推定される。 岩相によって層序は下位から MW1 から MW5 まで区分され, 各々の関係は整合であり, かつ岩相変化は一般に緩慢ではあるが一部に比較的急激なことがある。

MW1
奔別川のみに露出し, 下限は不明であるが厚さは 640 米以上に達する。 縞状砂質頁岩に富む砂岩頁岩細交互層から成る。 泥灰岩団塊は稀に含まれ化石は未発見である。
MW2
淡青灰ないし灰緑色, 成層あるいは塊状の中粒砂岩を主とし 時々縞状砂質頁岩を挟む。 泥灰岩団塊および化石は未発見である。 厚さ約 140~100 米。
MW3
縞状砂賀頁岩を主とし時々砂岩および泥岩を挟み, また白色ベントナイト質疑灰岩薄層 (layer) を少なくとも一層挟む。 泥灰岩団塊を稀に含み化石は未発見である。 厚さ約 300 米。
MW4
主に砂岩頁岩細交互層から成り縞状砂質頁岩および中粒砂岩を挑み, また下部には白色ベントナイト質凝灰岩(黒雲母流紋岩質凝灰岩)の 薄層 (bed) が少くとも一層挟在する。 泥灰岩団塊は稀に含まれ, 化石は未発見である。 厚さ約 150 米。
MW5
主に泥岩から成り時々頁岩質となり縞状砂質頁岩を挟む。 最上部は局部的にシルト質細砂岩となる。 泥灰岩団塊は稀に含まれ 化石は未発見である。 厚さ約 80~70 米。

(4) 対比及び年代

東西両翼における本層群種部の各層を岩相によって対比すると第3表のようになる。

第3表 岩相的層序区分及び「堆積小輪廻」による対比

そして MW2 および ME2~MW4 は他の部層よりも粗粒であり, 従つて本層群中に3つの「堆積小輪廻」 [ 下記の [注] 参照 ] がみとめられる。

[注]
ここにいう堆積小輪廻は 北海道~樺太地向斜内の空知層群から函淵層群に至る 一つの大きな堆積輪廻に対して小さい単位のものであり, 厳密には堆積輪廻を表わしていないかも知れない。 なぜなら本図幅地の白亜系も上記地向斜内の一区域における堆積物であり, これに対して陸棚海の堆積物におけるような 一律な海進海退を考えることは妥當でないかも知れない。 しかしここでは粗粒なものから細粒なものに至る周期性あるいは律動性を 堆積小輪廻に似たものとして以後「堆積小輪廻」という言葉を用いる。

すなわちそれらは東翼では ME1 と ME2~ME3, 西翼では MW1, MW2~MW3 と MW4~MW5 に示される(第3表参照)。

第4表 年代的層序区分による対比

本層群主部中から年代決定に有効な化石が発見されていない。 しかし本図幅地の南方, 幾春別附近における空知背斜西翼の本層群から Pervinquieria imaii (YABE & SHIMIZU) が産出し, その産出地層 [ 下記の [注] 参照 ] は岩相上本図幅地の MW5 に対比される。

[注]
この化石の産出地層は神戸信和によると中部蝦夷層群主部の最上部である。

Pervinquieria imaii の層序的産出範囲は 従来宮古統上部階から最上部亜階に亘るとされている。 しかし後述するように 本図幅地西翼の三笠亜層群の年代は大部分ギリヤーク世古期であり, その最下部のそれは不明である。

またこの三笠亜層群の年代が 幾春別附近における西翼の三笠亜層群の年代と必ずしも一致するとは限らない。 従って本図幅地の MW5 が岩相上は幾春別附近の Pervinquieria imaii を 産出する地層に対比されると考えても両者の年代は必ずしも同一であるとはいえない。 しかし本図幅内では西翼における本層群主部の最上部の年代は恐らく宮古世末亜期であり, かつ本層群主部の年代は恐らく大部分宮古世新期であろう。 また東翼における本層群の主部の年代は 後述するように三笠亜層群下部の年代が宮古世末亜期であるから 恐らく宮古世新期であろう [ 下記の [注] 参照 ] (第4表参照)。

[注]
松本達郎 (1943) によると中部蝦夷層群の年代は宮古世新期より古くない。

[2] 三笠亜層群

(1) 概説

本亜層群は中部蝦夷層群上部の局地的岩相層序単位である。 その下位の中部蝦夷層群主部および上位の上部蝦夷層群との闘係は整合であるが 岩相変化は急激である。 厚さは約 200~300 米であるが 東翼の方が西翼よりも厚い。

主に浅海性, 一部瀕海性の堆積物であり, 種々の粒度の砂岩を主とし 礫岩およひシルト質細砂岩から泥岩に至る細粒岩を伴い, また炭質頁岩および凝灰岩を挟む。 砂岩は一般に青灰色, 緑灰色および灰白色を呈するが時には 黝青色, 灰色および暗灰色を呈する。 しかし構成鉱物が磨滅されており, かつ明らかに火山岩の組織を示す破片が含まれない点において 後述の函淵層群の砂岩と異なる。 礫岩の礫は普通拳大以下であり, チャート・砂岩, 頁岩等から成る。 凝灰岩には白色堅硬流紋岩質のものと白色柔軟ベントナイト質のものとがある。 化石としては砂質岩から主に三角貝その他の瀕海, 沿岸性貝化石が産出し, 泥質岩中に含まれる泥灰岩団塊中から, また時には泥質岩自體の中から 主にアンモナイトおよびイノセラムスが産出する。

なお東西両翼における本亜層群を比較すると第5表の通りとなる。

第5表 東西両翼における三笠亜層群の比校

(2) 東翼

本亜層群の厚さは一般に約 240~300 米である。 すなわち八月澤では約 240~290 米。 幌子芦別川では約 300 米である。

主に成層~塊状, 粗粒~細粒砂岩から成り これらの砂岩は時には泥質となる。 礫岩, シル卜質砂岩, 細砂質シル卜岩, シルト岩, 泥岩および白色堅硬流紋岩質凝灰岩を挟む。

岩相によって暦序は下位から TE1 から TE3 まで区分され, 各々の関係は整合であり岩相変化は一般に急激であるが漸移的な場合もある。 TE2 は TE1 および TE3 に比べて細粒である。

TE1
主として成層~塊状粗~中粒砂岩から成るが 局部的には細粒砂岩となる。 時々礫岩, シルト質細砂岩, 細砂質シルト岩, シルト岩, 泥岩を, また下部には局部的に白色堅硬流紋岩質凝灰岩を少なくとも1層 (bed) 挟む。
泥灰岩団塊は一般に少ないが局部的には多く, また化石は団塊および砂岩中から普通に産出する。 厚さ約 140~90 米。
八月澤にみられる厚さ約 10 米の白色流紋岩質凝灰岩は細粒の基地の中に大形の石英, 斜長石および黒雲母の結晶を少量含む。
産出化石 化石産地
幌子芦別川 八月澤
上部 下部 上部
64 65 66 62 52 54 49
Phylloceras velledae (MICHELIN)? ×
Desmoceras kossmati MATSUMOTO ×
Sharpericeras aff. laticlavium var. indica ×
Desmoceras (Pseudouhligella) japonia YABE × × ×
Desmoceras (Pseudouhligella) ezoana MATSUMOTO ×
Acanthoceras orientale MATSUMOTO ×
Forbesiceras SP. ×
Inoceramus contcentricus var. nipponicus NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus yabei NAGAO & MATSUMOTO ×
Trigonia longiloba JIMBO ×
Trigonia dilapsa YEHARA ×
Trigonia SP. × ×
Thetironia affinis (WHITEAVES) var. japonica YABE & NAGAO × × ×
Anthonia japonica MATSUMOTO ×
Trochus vistuloides YABE & NAGAO ×
Margarites sachalinensis NAGAO ×
Gastropoda ×
TE2
泥岩またはシルト岩から成り 上部には局都的にシルト質細砂岩, 細砂質シルト岩を伴い, また細交互層を挟むことがある。 泥灰岩団塊は少なく, 化石も一般に少ないが局部的には母岩中から普通に産出する。 厚さ約 80~50 米。
産出化石 化石産地
幌子芦別川
46 45
Calycoceras ? SP. ×
Cucullaea ezoensis YABE & NAGAO ×
Trigonia hokkaidoana YEHARA ×
Trigonia longiloba JIMBO ×
Lucina (Myrtea) ezoensis NAGAO ×
Grammatodon sachalinensis (SCHMIDT) ×
Spisula (Cymbophora) ezoensis YABE & NAGAO ×
Trochus vistuloides YABE & NAGAO ×
TE3
成層~塊状, 粗~細粒砂岩を主とし, 少しの礫岩, また下限には局部的にシル卜質細砂岩ないし細砂質シルト岩を伴うことがある。 泥灰岩団塊および化石は稀に含まれる。 化石は一般に母岩中から産出する。 厚さ約 80~40 米。
産出化石 化石産地
幌子芦別川
40 36 L3 61
Desmoceras (Pseudouhligella) japonica YABE × ×
Inoceramus concentricus Group ×
Inoceramus SP. (Group of I. concentricus) ×
Grammatodon sachalinensis (SCHMIDT) ×

(3) 西翼

本亜層群の厚さは約 220~230 米である。 すなわち下歌志内川では約 230 米, 美唄川では約 220 米である。

主に種々の粒度の砂岩から成り, これらの砂岩は塊状時に成層を示し, 下部では一般に青色, 緑色を帯び上部では一般に白色を帯びることが多い。 シルト質細砂岩を伴い, また礫岩, 細砂質シルト岩, シルト岩, 泥岩, 炭質頁岩および白色ベンナイト質凝灰岩を挟み, そのうち礫岩は上部に多い。

岩相によって層序は下位:から TW1 から TW3 まで区分され, 各々の関係は整合であるが 岩相変化は急激な場合もあれば漸移的な場合もある。 TW3 は礫岩に富み, TW2 は TW1 および TW3 に比べて細粒であり, かつ化石を多く産出する。

TW1
主に粗~細粒砂岩またはシルト質細砂岩から成るが, 北方は南方に比べて細粒となる。 下限には局部的に海緑石賀砂岩および凝灰岩薄層 (layer) がある。 泥灰岩団塊は稀であり, 化石は最上部から団塊および砂岩中に若干産出する。 厚さ約 7O~60 米。
下歌志内川においては細粒砂岩, シルト質細砂岩, 細砂質シルト岩が発達し, 美唄川においては塊状粗~細粒砂岩が優勢であり, 下限には厚さ約 0.3 米の海緑石質粗~中粒砂岩があり, その上位に厚さ約 0.1 米の白色ベントナイト質凝灰岩がある。 化石としては下歌志内川 LOC. 278 から Pecten (Propeamussium) cooperi var. yubarensis YABE & NAGAO を産出する。
TW2
主にシルト質細砂岩, 細砂質シルト岩, シルト岩および泥岩から成るが, 下部は上部に比べて粗粒である。 泥灰岩団塊は普通に含まれ, 化石は団塊中からも, また母岩中からも普通に産出する。 厚さ約 40~50 米。
産出化石 化石産地
美唄川 下歌志内川
198 197 273 276 265 272 277
Desmoceras (Pseudouhligella) japonica YABE × ×
Desmoceras (Pseudouhligella) ezoana MATSUMOTO ×
Puzosia SP. ×
Inoceramus concentricus var. nipponicus NAGAO & MATSUMOTO × × ×
Inoceramus concentricus var. costatus NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus yabei NAGAO & MATSUMOTO × × ×
Inoceramus SP. × ×
Granmmatodon sachalinensis (SCHMIDT) × ×
Cucullaea SP. ×
Lima SP. ×
Callista SP. ×
Exogyra SP. ×
Trigonia SP. × ×
Tessalorax japonca NAGAO
Natica (Lunatia) denselineata NAGAO × ×
Echinoid ×
◎ 印は豊富 (abundant) に産出することを示す
TW3
主に粗~中粒砂岩から成り, 下部には著しい礫岩を伴い, 細粒砂岩, シルト質細砂岩およびシルト岩を挟む。 また最下部に白色流紋岩質凝灰岩薄層 (bed), 中部には局部的に炭質頁岩および白色ベントナイト質凝灰岩薄層 (bed) が 各々少なくとも一層挟在する。 泥灰岩団塊および化石は一般に少ないが, 最上部においては局部的に普通に含まれる。 化石は団塊のみならず母岩からも産出する。 厚さ約 120~110 米。
下歌志内川においては特に厚い礫岩が最上部と中部とに挟在し, 前者では厚さ約 10 米, 後者では約 30 米である。 また後者の礫岩の少し上位に厚さ約 0.3 米の白色ベントナイト質凝灰岩および その上位の厚さ約 1 米の炭質頁岩が挟在する。 また上部には厚さ約 10 米の団塊および化石に富む塊状シルト質細砂岩を挟む。 美唄川においては下部では厚さ約 10 米の礫岩が挟在し, それより下位に厚さ約 2 米の白色凝灰岩がある。
産出化石 化石産地
奈井江川 下歌志内川
248 271 274
Prionotropis teshioensis YABE & SHIMIZU ×
Ammonite ×
Inoceramus concentricus var. nipponicus NAGAO & MATSUMOTO × ×
Inoceramus SP. ×
Cucullaea SP. ×
Thetironia SP. ×

(4) 対比及び年代

東西両翼の本亜層群を岩相的層序区分および「堆積小輪廻」によって対比すると 第3表のようになる。 そして TE2 および TW2 は各々の上下の地層に比絞すると細粒であるが, TE2 は東翼における本亜層群中の可成り上部を占めるのに対して TW2 は西翼における本亜層群中の中部を占める。 かつ T1~T2 および T3 の2つの「堆積小輪廻」がみとめられるが, そのうち後期の小論廻は上部蝦夷層群につづく。

次に本亜層群の年代について述べる(第4表・付表 I および II 参照)。 東翼の TE1 下部は Desmoceras kossmati 帯であり, その年代は宮古世末亜期である。 TE1 上部~ TE3 は Inoceramus concentricus var. nipponicus 帯特であり, その年代はギリヤーク世古期である [ 下記の [注] 参照 ]

[注]
TE2 及び TE3 からは I.concentricus nipponicus が産出しないが, I. concentricus nipponicus 対に特有の Desmoceras (Pseudouhligella) japonica が TE3 から産出するために TE2 及び TE3 はこの化石帯に属する。

西翼については TW1 は年代不明であるが 恐らくギリヤーク世古期であろう [ 下記の [注] 参照 ]

[注]
以下一つの細分層から年代決定に有効な化石を産出しない時, その細分層の年代を推定するためには その細分層の上下の地層の年代, その細分層の厚さ, 「地層小輪廻」の相互関係を考慮する。

TW2~TW3 は Inoceramus concentricus var. nipponicus である [ 下記の [注] 参照 ]

[注]
TW3 最上部においては従来ギリヤーク世新期を指示するとされている Prionotropis teshioensis が産出する。 I. concentricus nipponicus は 従来からギリヤーク統上部階にも産出する可能性をもっていたが, この場合では I. concentricus nipponics と Prionotropis teshioensis とが共存する。 従って TW3 最上部は I. hobetsensis 帯である可能性が考えられるが, ここでは I. concentricus nipponicus 帯としておく。

従って TW2~TW3 の年代はギリヤーク世古期であり, TW1 のそれも恐らくギリヤーク世古期であろう。

なお後述するように東翼の上部蝦夷層群の最下部の年代はギリヤーク世古期であるが, 西翼の上部蝦夷層群の最下部のそれはギリヤーク世新期である。 従って本図幅地内では明らかに 本亜層群の岩相的層序区分とその年代的層序区分とが互いに斜交する(第3および4表参照)。 従来では本亜層群と上部蝦夷群との界は年代的にいうとギリヤーク世古期に及ばなかったが, 本図幅地の東翼ではそれがギリヤーク世古期に及ぶことが判明した。

なお三角貝の産出は T1 および T2 に限られる。

B) 野花南川流域

本地域に分布する中部蝦夷層群は東方の富良野盆地における白亜系に連なるもので, 略南北方向の野花南断層によって西側の第三系に接する。 本層群は主部とその上位の佐久層とに区分される。

[1] 中部蝦夷層群主部

上位の佐久層との関係は整合であるが, 岩相変化は漸移的である。 主に頁岩, 砂質頁岩, 泥岩および砂質泥岩から成り, 縞状砂質頁岩, 砂岩頁岩細交互層および白色ベントナイト質凝灰岩薄層を挟む。 泥灰岩団塊および化石は一般に少ないが 局部的には普通に含まれることがある。 丸山南方を通る北西西~南東東方向の断層以北においては化石は普通に産出するが, 同断層以南では稀である。

上記の断層以北において産出する化石には次のようなものがある。

Anagaudryceras sacya (FOBBES)
Desmoceras (Pseudouhligella) japonica YABE
D. (P.) ezoana MATSUMOTO
Pachydesmoceras denisoi (STOLICZKA) ?
Inocerarmus yabei NAGAO & MATSUMOTO
I. concentricus var. nipponicus NAG. & MAT.

この地域の本層群主部は岩相およひ層位上空知背斜軸部のそれ, 及び富良野盆地の馬内川頁岩層(橋本亘 1936)に対比される。 しかし空知背斜軸部におけるように詳細な岩相的層序区分は判明しない。 この地域の本層群主部の年代は前記の産出化石からみてもわかるように ギリヤーク世古期であるが, 空知背斜軸部におけるそれの年代はギリヤーク世古期よりも古い。 従ってこの場合岩相的層序区分と年代的層序区分とが斜交する。

[2] 佐久層

本層は丸山の南方を通る北西西~南東東方向の断層以南に分布し, 本層とその下位の中部蝦夷層群主部との関係は整合であるが, 両者間の岩相変化は漸移的である。 上限は断層のために不明であるが厚さは約 200 米以上であり, 主として成層細粒砂岩, 砂岩頁岩細交互層, 縞状砂質頁岩, 砂質頁岩および砂質泥岩の交互層から成る。 泥灰岩団塊及び化石の産出は稀である。 本層の下部から Desmoceras (Pseudouhligella) japonica YABE を産出する。 またこの化石は転石として最上部からも産出する。

本層は岩相および層位上富良野盆地の近藤山砂岩層(橋本亘 1936)に対比され, また恐らく空知背斜軸部の三笠亜層群に対比されるであろう。 本層の年代はその産出化石によってギリヤーク世古期である。 ちなみにアベシナイ川流域の佐久層はギリヤーク統上部階に対比されるが, 主夕張地方の佐久層は大部分ギリヤーク統上部階に, 下部はギリヤーク統下部階に対比される(松本達郎 1942)。

3. 上部蝦夷層群

[1] 概説

本層群は空知背斜に広く分布し, 本層群と下位の三笠亜層群および上位の函淵層群との関係は整合であるが, 岩相変化は急激である。 しかし函淵層群とは局部的には漸移する場合がある。 本層群の厚さは約 1,120~360 米である。 すなわち東翼では約 1,100 米内外, 西翼では 350 米内外である。

主に比較的単調均質な泥岩および頁岩から成り, シルト岩, 細砂質シルト岩ないしシルト質細砂岩を伴う一般に深海性の堆積物である。 礫岩, 砂岩および酸性凝灰岩を挟み, 稀には石灰質砂岩をも挟む。 細粒砂岩は一般に泥灰岩団塊に富み, 時には石灰質団塊をも含み, それらの中からアンモナイトおよびイノセラムスを多く産出する。 東西両翼とも団塊および化石は南方から北方に向って少なくなる。

本層群は主に単調均質な細粒堆積岩から成るために 本層群を岩相によって幾つかの地層に区分するためにあたっては次のような方法をとった。

(1) 水平的に連続する同一粒度の岩相を1つの細分層として扱う。
(2) 岩相特に細粒岩相が水平的及び垂直的に変化する場合は 粗粒岩を1つの細分層の下限とする。
(3) 泥灰岩団塊および化石の産出頻度によって同ーの岩相から成る地層をも更に細分する [ 下記の [注] 参照 ]
[注]
泥灰岩団塊は2次的に生成されたものであるから その産出頻度は地層区分の基準としては不適富のようであるが, しかしこれは堆積當時の地層中における生成条件の有無, 良, 不良を示すので, この点からみて地層区分の基準に使用しでも不都合ではない。 化石産出頻度は化石帯とは無関係に 地層を構成する堆積物の一員としての化石に富むか或いは乏しいかを意味する。
(4) 海緑石質砂岩を鍵層に利用し, これを1つの細分層の下限とする [ 下記の [注] 参照 ]
[注]
海緑石質砂岩を鍵層に利用することにはある程度の地域的限界があると考えられる。 また海緑石質砂岩は一般に浅海性堆積物と考えられているので, 上述の (2) にあたる粗粒岩と同様に扱って1つの細分層の下限とする。

なお東西両翼における本層群を比較すると第6表のようになる。

第6表 東西両翼における上部蝦夷層群の比較

[2] 空知背斜東翼

本層群は厚さ約 1,120 米で, 岩相によって層序は下位から UE1 から UE11 まで区分され, 各々の関係は整合であり 岩相変化は一般に緩慢であるが急激な場合もある。 本層群には中部に梢厚く粗粒岩が発達する部分があり, この部分から下位では上位に比べて粗粒岩を幾分多く挟み, また岩相の水平的変化も幾分多い。 団塊および化石の産出は南方から北方に向って減ずる。

UE1
下部は頁岩から成り, 中・上部は砂岩頁岩細交互層から成る。 また岩相は水平的に変化してシルト岩となる所がある。 最上部に泥岩を伴う。 白色ベントナイト質凝灰岩薄層 (layer) または 帯緑色凝灰岩ないし凝灰質砂岩薄層 (bed) が稀に挟在する。 泥灰岩団塊および化石に富む [ 以下本層群において化石の産出頻度を述べる時に, 特に記さない場合は化石はすベて団塊中から産出する ] 。 厚さ約 180~110 米。
月見澤においては下部にベントナイト質凝灰岩薄層が挟在し, 幌子芦別川における下部の頁岩および砂質頁岩は砂岩の薄層または葉層をかなり挟み, また上部に厚さ約 1 米の凝灰質粗粒砂岩を挟む。
産出化石 化石産地
幌子芦別川 月見澤
下部 上部 中部 上部
35 38 34 33 39 41 42 4 5 3
Anagudryceras sacya (FOPBBES) ×
Gaudryceras denseplicatum (JIMBO) ×
Zelandites SP. ×
Desmoceras (Pseudouhligella) japonica YABE × ×
Desmoceras (Pseudouhligella) ezoana MATSUMOTO ×
Tragodesmoceroides subcastatus MATSUMOTO ×
Scaphites SP. ×
Inoceramus concentricus var. nipponicus NAGAO & MATSUMOTO × × ×
Inoceramus concentricus var. costatus NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus yabei NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus hobetsensis NAGAO & MATSUMOTO ? ×
? 印は種の同定不確実なるものの産出を示す
UE2
泥岩ないし砂質泥岩まではシルト岩から成り 前者は時々頁岩質となり後者は若干の砂岩礫を含むことがある。 砂岩頁岩細交互層を屢々挟み下限に粗~中粒砂岩を有する。 泥灰岩団塊は少なく化石も稀である。 厚さ約 110~70 米。
炭山川においては断層のために欠除する。 化石としては月見澤 LOC. 2 から単體珊瑚を産出する。
UE3
下限に礫岩があり, 主に頁岩または泥岩から或る。 泥岩中には砂岩礫が多く含まれる。 最下部には砂岩頁岩細交互層が発達する所があり, 上部には礫岩がレンズ状に挟在する。 泥灰岩団塊および化石は稀である。 厚さ約 110 米。
炭山川においては断層のために欠徐する。 化石としては幌子芦別川 LOC. 30 から Scaphites (Yezoites) planlls YABE が産出する。
UE4
頁岩および砂質頁岩を主とし時々砂岩頁岩細交層を挟み, 下部には泥岩または砂岩頁岩細交互層を伴い泥岩は時々頁岩質となる。 また下限には礫岩ないし砂岩をもつ。 石灰質および泥灰岩団塊に富み化石も豊富である。 厚さ約 150 米。
炭山川および八月澤においては断層のために欠除する。 幌子芦別川では下限に厚さ約 3 米の礫岩ないし成層粗~中粒砂岩がある。
産出化石 化石産地
幌子芦別川 月見澤
30 28 23 22 26 27 25 21 24 1
Neophylloceras subramosum SHIMIZU ×
Epigonicerass glabrum (JIMBO) ×
Gaudryceras denseplicatum (JIMBO) ×
Puzosia gaudama (FOBBES) ×
Mesopuzosia indopacifica (KOSSMAT) ×
Mesopuzosia yubarense (JIMBO) ? ×
Jimboceras plaulatiforme (JIMBO) ×
Romaniceras pseudodeverianum (JIMBO) ? × ×
Scalarites SP. ×
Baculites orientalis MATSUMOTO × ×
Inoceramus concentricus var. costatus NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus hobetsensis NAGAO & MATSUMOTO × × ×
Inoceramus pedalionoides NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus teshioensis NAGAO & MATSUMOTO
Incecramus incertas JIMBO × ×
Pecten (Fropeamusium) cooperi var. yubarensis YABE & NAGAO ×
Coral ×
UE5
泥岩および砂質泥岩を主とし時々頁岩質となり, また砂岩礫を多量に含むことがある。 時々砂岩頁岩細交互層, 礫岩および中~細粒砂岩を含む。 泥岩団塊および化石は稀である。 厚さ約 120~80 米。
炭山川および八月澤では断層のために欠除する。 月見澤においては下限には礫質砂岩があり, また中部には厚さ約 2.5 米以上の礫岩が挟在する。
UE6 及び UE7 (月見層)
両者は上部蝦夷層群中Oの顕著な粗粒岩層で, これらを局地的岩相層序単位として月見層と称する。 月見澤または芦別川および幌子芦別川に標式的に露出する。 水平的に特に東西方向に岩相変化が著しい。
東方では下部の成層~塊状細粒砂岩, 砂岩頁岩細交互層および砂質頁岩を主とする地層 (UE6) と 白色流紋岩質凝灰岩および白色成層~塊状粗~中粒凝灰質砂岩を 主とする上部層 (UE7) とに区分される。 UE6 の細粒砂岩および砂岩頁岩細交互層を構成する細粒砂岩は 緑灰~灰色を呈し石英安山岩質結晶凝灰岩質砂岩である。
UE7の凝灰岩およひ凝灰質砂岩は白色を呈し, 堅硬塊状ないし成層, かつ粗粒~中粒である。 凝灰岩は隠微晶質の基地の中に斜長石, 石英および黒雲母の大形かつ新鮮な結晶が多量に含まれる黒雲母斜長流紋岩質凝灰岩である。 また UE7 の地層中には有機物質がかなり多量に含まれることがあり, また海緑石質砂岩および礫岩がレンズ状として挟在することがある。 西方では砂岩, 礫岩および頁岩の不規則な堆積状態 [ 同時侵蝕および地層の急激な膨張がみられる ] を示す交互層となり一般に下部は礫岩に上部は砂岩に富む。
礫岩は淘汰不良であり, その礫は普通半拳大以下の砂岩, チャー卜, 頁岩, 泥灰岩, 酸性火成岩等であり, 泥によって膠される。
東方では UE6、UE7 両層は区別されるが西方では区別され難い。 厚さは両層を合わせて 170 米以上に達する場合があり, そのうち UE7 は一般に約 100 米内外と推定される。 泥灰岩団塊 (前述の礫としての泥灰岩ではなくて母岩中に含まれるもの) および 化石に乏しいが, UE7 からは砂岩中に瀕海性貝化石を若干産出する。
産出化石 化石産地
幌子芦別川 芦別川
UE6~7 UE7 UE7
20 6 7' 6'
Scaphites ? SP. ×
Inoceramus uwajimensis YEHARA ×
Acila sp, ×
Ostrea SP. ×
Echinoid ×
UE8
主に頁岩および砂質頁岩より成り下部に砂岩頁岩細交互層を伴う。 また泥岩を主とする場合があり, 泥岩は時々頁岩質となる。 なお頁岩および砂質頁岩中には砂岩薄層あるいは葉層が頻繁に挟在することがある。 泥灰岩団塊および化石は普湿に含まれる。 なお Inoceramus uwajimensis は母岩から産出することが多い。 厚さ約 120~90 米。
産出化石 化石産地
幌子芦別川 月見澤
19 18 17 55
Mesopuzosia yubarense (JIMBO) ? × ×
Polyptycheceras SP. ×
Inoceramus uwajimensis YEHARA × ×
UE9
主に塊状泥岩および砂質泥岩から成り, 粗~細粒砂岩を少しく挟む。 泥灰岩団塊および化石は少ない。 厚さ約 1OO~80 米。
産出化石は次の通りである。
八月澤 LOC. 53 Echinoid
月見澤 LOC. 129 Inoceramus cf. japonicus NAGAO & MATSUMOTO
芦別川 LOC. 139 Inoceramus japonicus N. & M.
UE10
主に泥岩から成り時々頁岩質となる。 時々粗~中粒砂岩, 石灰質砂岩, 砂岩頁岩互層および海緑石質砂岩を挟み, また下限には砂岩が発達する。 泥灰岩団塊および化石は多量に含まれる。 厚さ約 120~80 米。
炭山川においては最上部に厚さ約 4 米の海緑石質粗粒砂岩があり, 八月澤における中部には厚さ約 15 米の白色粗~中粒砂岩が挟在する。 芦別川においては断層によって他の細分層と接し, また振幅の小さい褶曲をなし, 暗灰色石灰質中粒砂岩を所々挟む。
産出化石 化石産地
芦別川 サキペンペツ川 月見澤 八月澤
7 8 9 157 68 128 48 51
Gaudryceras tenuiliratum YABE × ×
Polyptychoceras haradanum (YOKOYAMA) ×
Polyptychoceras pseudogaulitinum (YOKOYAMA) ×
Polypthychoceras SP. × ×
Texanites SP. ×
Inoceramus ezoensis YOKOYAMA ×
Inoceramus japonicus NAGAO & MATSUMOTO × × ×
Inocerumus amakusensis NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceromus naumanni YOKOYAMA × ×
Pelecypoda ×
Scyrrua cassidaria (YOKOYAMA) ×
UE11
泥岩, 砂質泥岩またはシlレト岩を主とし時々頁岩質となり, 上部には局部的に海緑石質砂岩を挟む。 また下限には砂岩が発達することが多く, 最上部は局部的にジルト質細砂岩となる。 泥灰岩団塊および化石は多量に含まれる。 厚さ約 80~40 米。
なお多聞岳西方および二股山西方を通る 南北に近い方向の2本の断層に挟まれた区域の最南部は 更に北東~南西方向の断層によって2つの区域に分れるが, そのうち東方の区域では浦河統下部階に対比される地層が分布し, 西方の区域では UE8 に対比される地層が分布する。
産出化石 化石産地
芦別川 サキペンペツ川 月見澤 炭山川
136 138 10 133 134 132 118 158 126 125 127 47
Gaudryceras denseplicatum (JIMBO) ×
Gaudryceras tenuiliatum YABE × ×
Hauericeras gardeni YABE ×
Polyptychoceras SP. ×
Inoceramus ezoensis YOKOYAMA × ×
Inoceramus japonicus NAGAO & MATSUMOTO ? × ×
Inoceramus naumanni YOKOYAMA × × ×
Inoceramus orientalis SOKOLOW × ×
Scurria cassidaria (YOKOYAMA) × ×

[3] 空知背斜西翼

本層群は約 320~370 米の厚さを有する。 すなわち下歌志内川では約 370 米, 奈江川では約 330 米, 奈井江川では約 360 米及び美唄川では約 320 米ないし 350 米以上である。

層序は岩相によって下位から UW1 から UW7 まで区分され, 各々の関係は整合であり, 岩相変化は緩漫である。 本層群の下半分は上半分に比べて幾分粗粒であり, また各層特に下半分における各層の岩相は水平的に, すなわち東西および南北方向に変化することは東翼における場合よりも著しい。 海緑石質砂岩は可成り連続性をもち鍵層として利用される。 なお美唄川における本層群上部中には砂岩脈が2~3條認められる。 粒度は西方から東方に向って細かくなり, また北方から南方に向って粗くなる。 泥灰岩団塊および化石の産出は北方から南方に向って多くなる。

UW1
主要岩相であるシルト質細砂岩, 細砂質シルト岩は水平方向に変化してシルト岩あるいは砂質泥岩および泥岩となる。 中部に細粒砂岩を挟む場合がある。 泥灰岩団塊は普通に含まれ, 化石に富み殊に下部および上部は中部よりも多く含む。 厚さ約 90~60 米。
産出化石 化石産地
美唄川 奈井江川 下歌志内川
下部 中部 上部 下部 上部 下部
220 218 223 224 217 213 216 246 253 252 244 245 267 266
Anagaudryceras limatum (YABE) × × ×
Tragodesmoceroides subcostatus MATSUMOTO ? ×
Scaphites (Yezoites) planus YABE ×
Scaphites (YezoItes) puer ulus JIMBO ? ×
"Barroisiceras" (Reesidites) minimum YABE
Baculites SP. ×
Inoceramus concentricus var. costatus NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus hobetsensis NAGAO & MATSUMOTO × ×
Inoceramus hobetsensis var. nonsulcatus NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus tenuistriatus NAGAO & MATUMOTO × × × ×
Inoceramus pedalionoides NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus teshioensis NAGAO & MATSUMOTO × × × ×
Inoceramus incertus JIMBO × × × × ×
Nuculana SP. ×
Grammatodon sachalinensis (SCHMIDT) ×
UW2
細砂質シルト岩, シルト岩, 砂質泥岩および泥岩から成るが, 粒度は南方から北方に向って細くなり, 下限に厚さ 2~3 米の海緑石質砂岩がある。 泥岩団塊は普通に含まれるが化石は少ない。 厚さ約 60~50 米。
産出化石 化石産地
美唄川 下歌志内川
205 212 270 269
Gaudryceras tenuiliratum YABE ? ×
Polyptychoceras obstrictum (JIMBO) ×
Baculites SP. × ×
Inoceramus uwajimensis YEHARA × × ×
Inoceramus naumanni YOKOYAMA ×
UW3
シル卜質細砂岩, 細砂質シルト岩から成るが, 岩相は水平方向に変化して下部はシルト岩, 上部は泥岩となり, 泥岩は時々頁岩質となる。 すなわち粒度は南方から北方に向って細かくなる。 下限には局部的に海緑石質砂岩が発達する。 本層は本層群中最も粗粒である。 泥灰岩団塊は普通に含まれ, 化石は団塊中からも母岩中からも豊富に産出し, 殊に Inoceramus uwajimensis は母岩中から産する。 厚さ約 50~40 米。
産出化石 化石産地
美唄川 奈井江川 下歌志内川
196 228 177 226 227 4の澤 255 257 254 261 262 263
Puzosia SP. ×
Scaphites yokoyamai JIMBO ? ×
Scaphites (Yezoites) puerculus JIMBO × ×
Polyptyrhoceras pseudogaultinum (YOKOYAMA) ? ×
Polyptyrchoceras SP. ×
Inoceramus naumanni YOKOYAMA ×
Inoceramus uwajimensis YEHARA × × × ×
Inoceramus yokoyamai NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus pilvoensis SOKOLOW ? ×
Inoceramus SP. ×
Acila SP. ×
Dentalium SP. × ×
UW4
水平方向に岩相変化がみられ シルト質細砂岩, 細砂質シルト岩はシルト岩に, または砂質頁岩および頁岩に移化する。 一般に粒度は南方から北方に向って細かくなる。 下部には局部的に泥岩を挟み, 下限には厚さ 5 米以下の海緑石質砂岩ないし同質礫岩が発達する。 泥灰岩団塊および化石に富む。 厚さ約 40~30 米。
産出化石 化石産地
美唄川 奈井江川
176 194 225 180 226' 4の澤 235 251 256 232 233
Neophylloceras subramosum SHIMIZU × ×
Anagaudryceras yokoyamai (YABE) ×
Anagaudryceras SP. × ×
Gaudryceras tenuiliratum YABE ×
Damesites damesi (JIMBO) × ×
Neoplizosia ishikawai (JIMBO) ×
Bostrychoceras otsukai (YABE) ? ×
Polyptychoceras haradinum (YOKOYAMA) ×
Polyptychoceras pseudogaultinum (YOKOYAMA) ×
Inoceramus ezoensis YOKOYAMA ×
Inoceramus amakusensis NAGAO & MATSUMOTO × ×
Inoceramus naumanni YOKOYAMA × × × × × ×
Inoceramus yokoyamai NAGAO & MATSUMOTO ? ×
Inoceramus SP. ×
Grammatcdon sachalinensis (SCHMIDT) ×
Lucina (Myrtea) ezoensis NAGAO ×
Gastropoda ×
UW5
泥岩および砂質泥岩を主とし時々頁岩質となり, 南方では下部は局部的にシルト岩となる。 泥灰岩団塊および化石は少ない。 厚さ約 50~20 米。
化石としては美唄川 LOC. 178 から Anagaudryceras yokoyamai (YABE) 及び 同 LOC. 181 から Inoceramus naumanni YOKOYAMA が産出する。
UW6
泥岩および砂質泥岩を主とし時々頁岩質となる。 南方では下部に局部的にジルト岩を伴う。 下限には厚さ約 2~3 米の海緑石質砂岩がある。 泥灰岩団塊に富みまた化石も極めて多い。 厚さ約 40~20 米。
産出化石 化石産地
美唄川 奈井江川 下歌志内川
175 193 183 229 191 192 3の澤 4の澤 243 250 258 235 242 259 260 268
Neophylloceras SP. ×
Gaudryceras tenuiliratum YABE × ×
Gaudryceras denseplicatum (JIMBO) ×
Damesites sugatus (FOBBES) ×
Hauericeras gardeni YABE ×
Eupa hydiscus haradai (JIMBO) ×
Neocrioceras spinigerum (JIMBO) ×
Polyptychoceras obstrictum (JIMBO) ×
Polyptychoceras haradanum (YOKOYAMA) × × × × × ×
Polyptychoceras pseudogaultinum (YOKOYAMA) × × × × ×
Polyptychoceras SP. ×
Inoceramus ezoensis YOKOYAMA ×
Inoceramus japonicus NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus naumanni YOKOYAMA × × × × × × × × × ×
Acila SP. ×
Pecten (Propeamusium) cooperi var. yubarensis YABE & NAGAO ×
Scurria SP. ×
Echinoid ×
UW7
主に頁岩および砂質頁岩から成り時々帯緑色細粒砂岩の薄層および葉層を挟む。 下限には局部的に凝灰質砂岩が発達することがあり, また下部には凝灰岩ないし凝灰質砂岩, 砂岩頁岩細交互層, シルト岩および泥岩を挟む。 上部は南方では局部的にシルト岩, 砂質泥岩および泥岩となる。 泥灰岩団塊および化石に富むが上部では化石は未発見である。 厚さは約 50 米から 90 米以上に達することがある。
下歌志内においては下限に厚さ約 3 米以上の帯青緑色凝灰質粗粒砂岩があり, また下部には厚さ約 3 米以上の青白色凝灰質粗粒砂岩が挟在する。
奈井江川における下部には厚さ約 1 米の青白色粗~中粒凝灰岩が挟在する。
産出化石 化石産地
美唄川 奈井江川
190 206 237 238 241
Neophylloceras subramosum SHIMIZU ×
Polyptychoceras SP. × ×
"Hamites" subquadratus YOKOYAMA ×
Inoceramus ezoensis YOKOYAMA ×
Inoceramus japonicus NAGAO & MATSUMOTO ×
Inoceramus naumanni YOKOYAMA × ×
Pecten (Propemusium) cooperi var. yubarenis YABE & NAGAO ×
Lucina (Myrtea) ezoensis NAGAO ×
Natica (Lunatia) denselineata NAGAO ×
Echinoid ×

[4] サキベンベツ川流域(本流下流部を除く)

上部蝦夷層群はサキペンペツ川本流の上流および支流の 多聞澤・ーの澤・二の澤に分布する。 この地域に分布する本層群は 北北西~南南東ないし北西西~南東東方向に走る断層によって北東側の第三系と接し, 西側は サキペンペツ川々口附近を通る略南北方向の断層によって空知背斜東翼の本層群と接する。

サキペンペツ川本流上流部では北西西~南東東方向の断層によって2つの区域に分たれる。 そのうち北側の区域では泥岩を主とする地層と その上位の砂岩に富む砂岩頁岩互層から成る地層とが分布する。 前者は泥灰岩団塊に乏しく Inoceramus uwajimensis YEHAHA を輩出し, 岩相および化石上から東翼の UE5 に対比される。 後者は泥灰岩団塊を稀に含み岩相上 UE6 に対比され, 向斜構造をなしている。 南側の区域では主に頁岩および砂質頁岩から成り, 泥灰岩団塊を普通に含み Gaudryceras denseplicatum (JIMBO) を産出し, 岩相および化石上 UE4 ないし UE3 に対比される。

二の澤では 3本の北西西~南東東または北西~南東方向の断層によって3つの区域に分たれる。 最も北側の区域では砂岩に富む砂岩頁岩互層を主とし, その中部に厚さ約 20 米の白色凝灰岩及び凝灰質砂岩を挟む地層が分布し, これは岩相上 UE6~UE7 に対比される。 この地層の下位に泥岩を主とする地層が少し発達するが, これは UE5 に対比される。 この南側の区域に分布する地層は泥岩から成り, 泥灰岩団塊を多く含み Anagaudryceras limatum (YABE) を産出し, 岩相および化石上 UE4 中・上部に対比される。 最も南側の区域では砂岩頁岩細交互層が発達するが, この地層は東翼の UE4 下部に対比されるであろう。

多聞澤では最北部に UE11 に対比される地層が分布するが, 主に UE10 に対比される地層が分布し, これは主として泥岩から成り時々頁岩質となる。 泥灰岩団塊は普通に含まれ, 化石も普通に産出し, 次のようなものがある。

Neophylloceras subramosum SHIMIZU
Gaudryceras tenuiliratum YABE
Haueiceras gardeni YABE
Anapachydiscus sutneri (YOKOYAMA)
Inoceramus ezoensis YOKOYAMA
I. japponicus NAGAO & MATSUMOTO
I. naumanni YOKOYAMA
Lucina (Myrtea) ezoensis NAGO

[5] 対比及び年代

本層群は比較的単調均質な岩相から成り, 東翼の厚さは西翼のそれの約3倍であり, かつ東翼では海緑石質砂岩が追跡されないのに反して, 西翼ではこれが数帯追跡されて岩相的層序区分の一基準として用いることができる。 また凝灰質岩は東翼ではよく追跡される梢厚いものがあるのに反して 西翼では連続性に乏しい(第6表参照)。 従って両翼の岩相的区分による層序の対比は困難である。 然し岩相特に粒度, 団塊の産出頻度, 「堆積小輪廻」および化石帯によって対比することができる。

(1) 岩相特に粒度による対比

東西両翼における本層群の岩相的区分による層序を粒度によって大局的に対比すると, 東翼では UE1~UE7 は UE8~UE11 よりも全體として粒度が粗く, なお前者には礫岩が幾つかの層準に挟在するが後者には殆んど存在しない。 また西翼では UW1~UW4 は UW5~UW7 に比べて全體として粒度が組い。 なお東翼では UE6~UE7 が最も粗く, 西翼では UW3 が最も粗い。 従って大局的にみると UE1~UE5 は UW1~UW2 に, UE6~UE7 は UW3 に, また UE8~UE11 は UW4~UW7 に対比される。 然し UE7 におけるような顕著な白色凝灰質岩は UW3 にはみとめられない(第3表参照)。

(2) 団塊の産出頻度による対比

本層群の最上部, すなわち東翼の UE11, UE10 および西翼の UW7, UW6 はいづれも団塊に富む。 その下位の UE9 および UW5 は団塊に乏しいが, UE8 および UW4 は団塊に富む。 本層群中の最も粗粒の層準である E5~UE7 は団塊に乏しく, それに反して UW3 が多少団塊に富むのは UE5~UE7 に比べて細粒岩から成るためであるが, とにかく UE6~UE7 および UW3 は それらの上位の UE8 および UW4 に比べて園塊を含むことがより少ないという特徴をもつ。 また UE6~UE7 および UW3 の下位の UE5 およひ UW2 は団塊に乏しく, 更に UE4 およひ UW1 は団塊に富む。 しかし UE3 から UE1 にかけて団塊の産出頻度の変化がみとめられるが, それと同じ傾向の変化は UW1 にはみとめられなかった。 以上のように団塊の産出頻度から UE10~UE11 は UW6~UW7 に, UE9 は UW5 に, UE8 は UW4 に, UE6~UE7 は UW3 に, 更に UE5 は UW2 に対比される。

(3) 「堆積小輪廻」による対比

東西両翼の本層群にはいづれも4回の「堆積小輪廻」がみとめられる。 すなわち東翼では TE3~UE2 の第1小輪廻, UE3~UE5 の第2小輪廻, UE5~UE9 の第3小輪廻および UE10~UE11 の第4小輪廻がみとめられる。 また西翼では TW3~UW1 中部の第1小輪廻, UW1 上部~UW2 の第2小輪廻, UW3~UW5 の第3小輪廻および UW6~UW7 の第4小輪廻がみとめられる。 このように4回の「堆積小輪廻」によって東西両翼の本層群を対比することができるが, この対比は前述の粒度による大局的な対比および 団塊の産出頻度による対比が妥當であることを示す。 すなわち第1~第2小輪廻の地層は第3小輪廻~第4小輪廻の地層よりも粗粒であり, かつ最も粗粒である UE6~UE7 およひ UW3 は第3小輪組の下部に属する(第3表参照)。 また団塊の産出頻度は第2小輪廻の上部および第3小輪廻の下部では小であるが, 第3小輪廻の中部では大となり, また第3小輪廻の上部では再び小となる。 第4小輪廻は全體にわたって団塊に富む。

(4) 化石帯および年代による対比

東翼では5化石帯がみとめられるが, 西翼では3化石帯しかみとめられない。 すなわち UE1 下部および中部は Inoceramus concentricus nipponicus 帯, UE1 上部~UE4 および UW1 は Inoceramus hobetsensis 帯, UE5~UE8 [ 下記の [注1] 参照 ] および UW2~UW3 は Inoceramus uwajimensis 帯, UE9~UE11 および UW4~UW7 [ 下記の [注2] 参照 ] は Inoceramus japonicus 帯である。 なお UE11 の上部は一部分 Inoceramus orientalis 帯であり, UW7 上部は化石を産出していないが 一部分 Inoceramus orientalis 帯である可能性が考えられる [ 下記の [注3] 参照 ] 。 以上の5化石帯において Inoceramus concentricus nipponicus 帯はギリヤーク世古期, Inoceramus hobetsensis 帯はギリヤーク世新期, Inoceramus uwajimensis 帯は浦河世古期, Inoceramus japonicus 帯は浦河世新期および Inoceramus orientalis 帯は浦河世末亜期を指示する。 以上によって東西両翼を年代的層序区分によって対比すると第4表のようになる。 この年代的区分は前述の岩相的層序区分と斜交する。 例えば本層群の最下部については UE1(最上部を除く)はギリヤーク世古期であるのに反して UW1 のそれはギリヤーク世新期である。 また前述のように岩相上 UE6~UE7 は UW3 に対比されるから, これら両者のすぐ上位の地層のうち UE8 の年代は浦河世古期であるのに反して UW4 のそれは浦河世新期である(第4表・付表 I および II 参照)。

[注1]
前述のように空知背斜東翼の UE5 からは Inoceramus uwajimensis が産出していないが, サキペンペツ川流域において UE5 に対比される地層から産出する。
[注2]
前述のように Inoceramus japonicus は UW4~UW6 から産出していないが, 本種と共存しかつ Inoceramus japonicus 帯より下位の化石帯には産出しない I. amakusensis 及び I. ezoensis が UW4~UW6 から産出する。
[注3]
UE11 において Inoceramus orientalis 帯は I. japonicus 帯に比べて粗粒であるように, UW7 においても上部の一部は I. japonicus 帯よりも組粒である。 また後述するように HE1 は I. orientalis 帯であるように, HW1 もまた I. orentalis 帯である。 従ってこの可能性が考えられる。

次に Inoceramus の若干種およびその他の化石の層序的産出状態について述べる。 I. teshioensis は東翼の UE4 および西翼の UW1 上部に多産する。 I. uwajimansis は東翼の UE5 から UE8 まで産出しそのうち UE8 に多産するが, 他方西翼の UW2 および UW3 に産出しそのうち UW3 に多産し, かつ UE8 および UW3 では一般に母岩中から産出する。 さらに I. naumanni は東翼では UE8 から UE11 まで産出しそのうち UE11 に多産し, また西翼では UW2 から UW1 まで産出しそのうち UW6 から UW7 下部にかけて多産する。

以上のことから, 本図幅地に関する限りでは, I. teshioensis は I. hnbetsensis 帯上部に多産するようであり, I. uwajimensis は同帯上部に, I. naumannl は I. japonicus 帯上部に多産することがいえる (付表 I および II 参照)。

なお Scurria cassidaria あるいは Scurria SP. は 東翼では UE10 の上部から UE11 にかけて産出し, 西翼では UW6 上部に産出する。 すなわちこれらは本図幅地に関する限りでは, 層序的産出範囲が比較的に限られ I. japonIcus 帯の上部から I. orientalis 帯にかけて産出するようである。

4. 函淵層群

[1] 概説

本層群と下位の上部蝦夷層群との関係は整合であるが, 岩相変化は急激である場合と漸移的である場合とがある。 また上位の古第三系石狩層群とは平行不整合関係にある [ 下記の [注] 参照 ] 。 厚さは約 100~300 米であり, 東翼は西翼よりも厚さが大である。

[注]
後述するように, 東翼の本層群には4回の堆積小輪廻がみとめられるのに反して, 西翼では3回であり, しかも西翼南部では2回みとめられるにすぎない。 すなわち石狩層群は函淵厨群の異なった層準の上に重なる。 また函淵層群と石狩層群とは構造的に並行であり同ーの造構造運動を蒙っている。 従って両者の関係は並行不整合である。

上部蝦夷層群の場合と異なって垂直方向の岩相変化が著しい。 主に種々の粒度の砂岩から成り, 礫岩, シルト質細砂岩, 細砂質シルト岩, シルト岩, 泥岩, 頁岩および凝灰岩を挟み, また石炭ないし炭質頁岩を挟む。 一般に浅海性, 一部瀕海性の堆積物で動物化石の外に植物化石をも産出する。 泥灰岩団塊は一般に稀であるが細粒岩には普通に含まれることがある。 砂岩は一般に緑友色, 青灰色, 灰白色時には灰色, 暗灰色を呈するが, 緑色を帯びるものが最も多い。 また砂岩には全體にわたって火山岩物質(斜長流紋岩, 流紋岩時には石英安山岩の破片)の供給が多く, かつ構成鉱物が殆んど磨滅されておらない点において三笠亜層群の砂岩と異なる。 礫岩の礫にはチャート, 石英岩, 砂岩, 頁岩, 流紋岩等が多い。 凝灰岩は一般に厚さ約 3~5 米であり, 白色ないし青灰色を呈し緻密・堅硬かつ流紋岩質である。 時には粗鬆柔軟なものもある。

層序は岩相によって下位から漸移部 H1・下部 H2 および上部 H3 に区分され, 各々の関係は整合であり岩相変化は比較的急激である。 また各々の基底部は一般に礫岩である場合が多い。 H1 は下位の上部蝦夷層群との漸移層であり, 場所によっては欠除することがあり, 動物化石は普通に含まれる。 H2 は本層群中最も粗粒であり炭質頁岩を挟み, また植物化石を含む海退性堆積物である。 H3 は H2 よりも細粒岩を多く伴うようになる海進性堆積物である。 H2 および H3 は一般に化石に乏しい。

なお空知背斜東西両翼における本層群を比較すると第7表のようになる。

第7表 東西両翼における函淵層群の比較

[2] 空知背斜東翼

本層群は厚さ約 150~270 米である。 すなわち炭山川および八月澤では約 150 米, 月見澤では少なくとも 150 米以上, 芦別川では約 270 米である。 厚さは一般に北方から南方に向って厚くなる。 岩相によって層序は下位から HE1 から HE3 まで区分され, 各々の関係は整合である。 本層群に挟在する白色堅硬かつ緻密な流紋岩質凝灰岩においては 隠微晶質ないしガラス質の墓地の中に小さい石英, 斜長石および黒雲母の結晶の小破片が散在している。

HE1
主に細粒砂岩およびシルト質細砂岩から成り 時には中粒砂岩を伴い下限には礫質岩が発達する。 泥灰岩団塊および化石は普通に含まれる。 厚さ約 30~0 米。
炭山川および八月澤においては欠除し, 月見澤では下限には著しく粗粒な砂岩がある。 芦別川では下限には礫質砂岩ないし粗粒砂岩があり, サキペンペツ川支流多聞澤口では下限には厚さ約 0.3 米の礫岩があり, そのすぐ上位に厚さ約 1 米の凝灰質粗粒砂岩がある。
産出化石 化石産地
サキペンペツ川 月見澤
70 160 159 11
Gaudryceras denseplicatum (JIMBO) ×
Gaudryceras tenuiliratum YABE ×
Polyptychoceras pseudogaultinum (YOKOYAMA) ×
Inoceramus orientalis SOKOLOW × × × ×
Inoceramus pseudosulcatus NAGAO & MATSUMOTO ×
HE2
成層~塊状, 粗~中粒砂岩を主とし, 礫岩, 細粒砂岩, 頁岩および凝灰岩を挟む。 上限近くには石炭ないし炭質頁岩があることが多い。 泥灰岩団塊および動物化石は極めて稀であるが, 前者は局部的に多く含まれることがある。 また植物化石は若干産出する。 下部および中部の砂岩は一般に黝青色を是し, 上部のそれは一般に緑色および緑灰色を呈する。 厚さ約 120~60 米。
炭山川においては上部に厚さ約 3 米の凝灰岩が挟在し, また最上部には植物の破片が夥しく含まれる。 八月澤における上限は厚さ約 0.3 米の石炭である。 月見澤においては最上部は頁岩から成り, 厚さ約 1 米の炭質頁岩を挟み, Cfr. Aneimia fremonti KNOWLTON, Trochodendroides arctica (HEER) 等の植物化石を産出する。 芦別川では下部および中部の砂岩は一般に黝青色を呈し, 炭化木を含むことがあり, 上部の砂岩は主に緑色一部青灰色ないし青白色を呈する。 また最上部は厚さ約 15 米の泥岩およびシルド岩から成り, 厚さ約 1 米の炭質頁岩を扶み泥灰岩団塊を含み, なお泥岩中から Nilssonia SP. を産出する。
HE3
上限は侵蝕のために不明であるが, 厚さは約 130~80 米である。 中~斑l粒砂岩, シルト質細砂岩およひ細砂質シル卜岩の交互層から成り, 屡々礫岩および凝灰岩を狭む。 最下部には一般に礫岩ないし礫質岩があり, また海緑石質砂岩がくる場合がある。 本層は更に岩相によって下位から a(礫岩ないし礫質粗~中粒砂岩), b(粗~中粒砂岩), c(細粒砂岩または泥岩), d(礫岩, 礫質粗~中粒砂岩および粗~中粒砂岩), e(細粒砂岩またはシルト質細砂岩および細砂質シルト岩), f(中粒砂岩), g(細粒砂岩)に細分される。 すなわち a, b, d および f が粗粒であり c, e および g は細粒である。 泥灰岩団塊は一般に稀であり, 化石も団塊中には未発見であるが母岩中から稀に産出する。
炭山川では最下部に厚さ約 I0 米の礫岩があり, 厚さ約 1~3 米の凝灰岩2層を挟む。
八月澤における下部には礫岩1層が扶在する。
芦別川では下位から次の通りに区分される。
(1) 灰白色, 厚成層~塊状, 粗~中粒, 海緑石質砂岩
約 20 米。 (a, b)
(2) 暗灰色泥岩
泥灰岩団塊を含む。 約 5 米。 (c)
(3) 礫岩
約 3 米。 (d)
(4) 青灰色堅硬塊状中粒砂岩
約 15 米。 (d)
(5) 白色流紋岩質凝灰岩
(d)
(6) 緑灰色柔軟塊状中粒砂岩
約 10 米。 (d)
(7) 灰色シルト質細砂岩ないし細砂質シルト岩
風化すると玉葱状構造に破砕する。 白色流紋岩質凝灰岩1層を挟む。 約 10 米。 (e)
(8) 白色流紋岩質凝灰岩
約 5 米。 (e)
(9) 暗灰色細成層泥質細粒砂岩
所々中粒砂岩薄層を挟む。 約 15 米。 (e)
(10) 緑灰~灰色塊状~厚成層普通~泥質中粒砂岩
約 30 米。 (f)
化石としては芦別川 LOC. 114 (7) から Grammatodon SP. ? を産出するに過ぎない。

[3] 空知背斜西翼

本層群の厚さは約 40~130 米である。 すなわち下歌志内川では約 130 米, 奈江川では約 70 米, 奈井江川では約 80 米, 美唄川では約 40~100 米である。 上部蝦夷層群との漸移部を除くと一般に北方から南方に向って厚さは薄くなる。 岩相によって層序は HW1 から HW3 まで区分される。

HW1
厚さは一般に約 50 米以下であるが, 時には欠除し, また約 60 米以上に達することもある。 主に細粒砂岩およびシルト質細砂岩から成る。 泥灰岩団塊および化石は少ないが局部的には普通に含まれる。 奈江川では欠除する。
産出化石 化石産地
美唄川 奈井江川
173 172 171 230 231
Phyllopachyceras ezoense (YOKOYAMA) ×
Anagaudryceras SP. ×
Polyptychoceras haradanum (YOKOYAMA) ×
Polyptychoceras pseudogaultinum (YOKOYAMA) ×
Inoceramus naumanni YOKOYAMA × × ×
Inoceramus orientalis SOKOLOW × ×
HW2
下部から上部に向って粒度は小さくなる。 礫岩に初まり, 主部は粗~中粒砂岩であり上部は細粒砂岩ないしシルト岩となる。 基底の礫岩は南方では薄いが北方に向う程顕著に発達する。 また海緑石質砂岩および流紋岩質凝灰岩が局部的に挟在する。 厚さ約 60~20 米。
下歌志内川および奈江川における下部の礫岩は約 20 米以上の厚さに達し, 奈井江川では下部の礫岩は 10 米以上の厚さに達し, 下限には厚さ約 0.5 米の海緑石質砂岩がある。 美唄川においては下部の礫岩は薄くなり下限に厚さ約 0.3 米のものがみられるにすぎず, また下部には厚さ約 1 米の青灰色堅硬緻密流紋岩質凝灰岩がある。
化石としては奈井江 LOC. 229' から Inoceramus orientalis SOKOLOW が産出する。
HW3
上限は侵蝕のために不明であるが厚さは約 30~20 米であり, シルト岩, 細砂質シルト岩, シルト質細砂岩および細粒砂岩を主とし中~粗粒砂岩を伴う。 下限には局部的に薄い礫岩が発達する。 本層は岩相によって更に下位から a(下限に局部的な礫岩薄層をもつ中~細粒砂岩), b(細粒砂岩, シルト質細砂岩ないし細砂質シルト岩またはシルト岩), c(シルト岩)および d(粗~細粒砂岩〉に区分される。 すなわち a, b および d は粗粒であり c は細粒である。 泥灰岩団塊は稀に含まれるが局部的には普通に含まれることがある。 化石は未発見である。
下歌志内川では, 下限に厚さ約 0.3 米の礫岩があり, 奈江川における下限の磯岩は約 0.15 米の厚さを有する。 化石としては奈井江川 LOC. 229 から Inoceramus schmidti MICHAEL を産出する。

[4] 対比及び年代

東翼の HE1 から HE3 まで, 西翼の HW1 から HW3 までの岩相による3分は 両翼の各々がそれぞれに対比され(第3表参照), そのうち H1 は上部蝦夷層群との漸移暦で 両翼とも場所によって欠除することがあるので, H2 及び H3 においては「堆積小輪廻」が 東翼では4つ認められるのに反して西翼では3つ認められる。 この「堆積小輪廻」と岩相的層序区分との関係を述べると, 東翼では HE2 は第1小輪廻, HE3a~c は第2小輪廻, HE3d~e は第3小輪廻, HE3f~g は第4小輪廻に属し, 他方西翼では HW2 は第1小輪廻, HW3a~c は第2小輪廻, HW3d は第3小輪廻に属する(第3表, 附図 III 参照)。

なおへトナイ地方の函淵層群 [ 下記の [注1] 参照 ] にも基底層(または漸移層)III~IVa を除くと lVa, IVb, lVc~d 及び IVe [ 下記の [注2] 参照 ] の4つの「堆積小輪廻」がみとめられる。 そこで本図幅地における東西両翼の函淵層群と へトナイ地方の同層群とを「堆積小輪廻」および岩相によって対比すると HE3d は深牛砂岩(IVc)に, HE3f はサヌシベ砂岩(IVe)にあたる。

[注1]
松本達郎 1942 による。
[注2]
へトナイ地方では IVe(サヌシベ砂岩)は缺除する。

次に本層群の年代について述べる。 HE1 は Inoceramus orientalis を産出し, I. orientalis は浦河世末亜期からへトナイ世古期に産出するが, HE1 は岩相的層序からへトナイ地方の III~IVa に対比され, かつ後者の年代は浦河世末亜期である。 従って HE1 は I. orientalis 帯であり, その年代もまた浦河世末亜期であろう。 HE2 および HE3 は年代決定に有効な化石を産出しないために両者の年代は不明である。 しかしへトナイ地方では 深牛砂岩およびサヌシベ砂岩の年代はいづれもへトナイ世新期であるので HE3d~g の年代もまた略へトナイ世新期であろう。 「堆積小輪廻」および岩相によって HE2 は IVa に, HE3a~c は IVb に対比され, かつ lVa の年代はへトナイ世古期であり, IVb のそれはへ卜ナイ世新期である。 従って HE2 の年代は略々へトナイ世古期であり, HE3 の年代は略々へトナイ世新期であろうと推定される。 厳密には HE2 および HE3 は 年代決定に有効な化石を産出しないために 両者における「堆積小輪廻」が へトナイ地方のそれと全く同時に行われたとは断言できないので, 上記の年代論は推定に過ぎない。 また東翼の本層群中には凝灰岩が3層扶在し, これらの凝灰岩は必ずしも同一地層 (例えば HE3a 等のような細分層) 中に挟在しない(附図 III 参照)。 凝灰岩は時間面を表わすから HE2 および HE3 における各細分層は必ずしも同時代のものではない。 HE3 の年代を全部へトナイ世新期であると考えた場合, HE3 に挟在する凝灰岩と同層準のものが HE2 にも挟在するので HE2 のその部分の年代はへトナイ世新期となる。 それと同様に HE2 の年代を全部へトナイ世古期であると考えた場合 HE3 の一部(その凝灰岩を挟む部分)の年代はへトナイ世古期となる。 従って HE2 の年代は主としてへトナイ世古期であり, 他方 HE3 のそれは主としてへトナイ世新期であるとする方が妥當である (第4表および付表 I 参照)。

西翼では HW1 および HW2 は Inoceramus orientalis を, HW3 下部は Inoceramus schmidti を産出する。 この両種はへトナイ世古期に共存するとされている。 このことと「堆積小輪廻」との関係から HW1 は I. orielltalis 帯, HW2 および HW3 下部は I. schmidti 帯であり, それらの年代はそれぞれ浦河世末亜期およびへトナイ世古期であり, また HW3 は大部分へトナイ世新期となる (第4表および付表 II 参照)。

5. 地質構造

[1] 概説

本図幅地の白亜系の構造は大局的にみると その被覆地層の古第三系石狩層群の構造と平行的であり, 白亜系は石狩層群と共に新第三系川端層群堆積後, すなわち鮮新世頃の造構造運動を蒙っている。 白亜系は1複背斜および1複向斜構造をつくり, いづれもその軸は北方に向って沈下する。 複背斜構造は本図幅地の中部および西部の広般な地域を占め, いわゆる空知背斜にあたり, 他方複向斜構造は本図幅地の東部にあって, いわゆる芦別向斜にあたり その西翼は主としてサキペンペツ川流城を占め, 東翼は主に野花南川流域を占める。 なお複向斜軸はサキペンペツ川上流付近を走る。

空知背斜に分布する白亜系を構成する地層のうち, 細粒准積岩から成る中部蝦夷層群主部, 上部蝦夷層群両者は 粗粒堆積岩から成る三笠亜層群及び函淵層群に比べて 造構造運動を蒙り易いために, 前2者には後2者iこ比べて褶曲およひ地層の走向に略々平行な断層がよく発達する。 従ってこの白亜系は全體として大規模な不調和褶曲を行っている。

白亜系の地質構造については便宜上空知背斜および野花南川流域に分けて記述する [ サキペンペツ川流域は主として複向斜の西翼にあたるが, これはまた空知背斜の東翼にもあたるので, ここではサキペンペツ川流域を空知背斜東翼に含める ]

[2] 空知背斜

空知背斜は非対称背斜の形態を示す。 背斜軸は単なる1本の背斜軸ではなくて幾つかの褶曲軸の集合からなり, かつ地層の走向に略々平行な断層を伴う。 地層の傾斜は軸部に近い程(下位の地層程)一般に急となるのに反して 辺縁部に近い程(上位の地層程)一般に緩やかとなる。

東西両翼は可成り異なった構造形態を示す。 すなわち東翼は西翼に比べて一般に地層の傾斜が緩やかであり, 所々極めて緩やかな抑揚単斜構造もみられるが, それに反して西翼では地層の傾斜が一般に急な場合が東翼に比べて比較的に多い。 また東翼では褶曲軸 [ 下記の [注1] 参照 ] が比較的長く, かつ空知背斜の主軸に略々平行な断層が発達して地層の欠除または繰り返しがみとめられるが, 西翼では褶曲軸は比較的短くドームおよびベーズンに近い構造が発達し, また空知背斜の主軸に斜交する北西~南東方向の断層が多い。 このように東西両翼の構造が著しく異なることは 造構造運動を起した横圧力の見掛上の方向に由来するのであろう [ 下記の [注2] 参照 ]

[注1]
ここにいう褶曲とは 空知背斜を形成するような大規模の褶曲に随伴して行われる副次的の摺曲を意味する。
[注2]
以上のように東西雨翼の構造が著しく異なることの原因には, 造構造運動を起した横圧力の見掛上の方向, 両翼における白亜系の層厚, 岩相, および被覆地層(川端層群より下位の第三系)の層厚, 岩相等における差異が考えられるが, そのうち最も大きな原因は横圧力の見掛上の方向であろう。 さて空知背斜およびそれに伴う構造の方向は大局的にみると略々南北に近いので, この地域の白亜系は東西方向の横圧力を受けたと考えられる。 しかし西翼では東翼に比べて南北方向の横圧力をもより多く蒙った。 このことについては後述する。 なお一般には空知背斜およびそれに伴う構造の形成には 東方および南東方から横圧力が加ったとされている。

空知背斜の構造については軸部, 東翼および西翼に分けて記述する。

(1) 軸部

軸部は大部分中部夷屠群主部によって占められるが, 複背斜軸が北方に向って沈下するために北部では上位の地層が順次に, すなわち南から北に向って三笠亜層群, 上部蝦夷層群下部および同層群上部が順次に軸部に現出する。 一般に軸部の西側の部分は地層の傾斜が急であり普通 70°内外またはそれ以上であり, かつ転倒することも多いのに反して, 東側の部分は前者に比べて地層の傾斜はより緩やかであり普通 60°以下であるが, また所々転倒することもある。 軸部には複背斜軸の方向に少なくとも2背斜および1向斜, その外に局部的な摺曲もあり, 褶曲軸は断層に移化することがある。 また地層の走向あるいは褶曲軸の方向に略々平行な断層を多く伴う。 これらの傾向は特に中部蝦夷層群主部が分布する軸部において著しい。

炭山川上流には2背斜および1向斜があるが, 2背斜のうち東方の背斜は北方に向って沈下し消滅するが, 西方の背斜はむしろ複背斜の主背斜軸をなすものである。 また褶曲軸の方向に略々平行な断層があるが, ここでは地層が欠除され附近の地層の傾斜は一般よりも急となり, かつ厚さ約 5 米の擾乱帯がみとめられる。

辺毛山以南においては2背斜および1向斜が存在する。 そのうち2背斜の軸部に露出する地層を東西方向の断面において比較すると次の通りとなる。

東西方向の断面 背斜軸部西側 背斜軸部東側
下歌志内川~八月澤右股澤 MW3 (ME1) ME1
八月澤上流 ME1 ME3
幌子芦別川上流 ME1 ME3
美唄川~幌子芦別川奥幌子澤 MW2~MW3 ME2 (MW4)~ME1 (MW3)
奔別川~幌子芦別川奔別澤 MW1 ME1 (MW3)

上掲の表から 軸部の西側に露出する地層は 軸部の東側に分布する地層よりも下位であることがわかる。 そして地形の高度による軸部の侵蝕量を考慮すると 同一高度の場合にも軸部の西側の地層は軸部の東側の地層よりも下位である。 従って西側の背斜軸は主背斜軸である。

向斜は八月澤上流にみられ, そこには ME2 が分布する。 地層の走向に略々平行な断層が屡々存在し, そのうち八月澤上流に2本の断層があるが, それらは合して1本となって幌子芦別川上流に延びる。 2本の断層の各々の東側が西側に比べて相対的に落下するが, それらのうち西側の断層は断層の西側の地層が可成りの幅にわたって転倒するので 逆断層であろう。 なお美唄川上流では MW4 が小背斜をなし, その東側に断層があるが 断層の両側の地層は部分的に可成りの幅にわたって転倒する。

(2) 東翼

南方程褶曲および断層がよく発達し, 褶曲軸は断層に移化することがある。 断層には次の5つの型式がある。

(1) 褶曲 [ 下記の [注] 参照 ] に伴って生じ褶曲軸あるいは地層の走向に略々平行な見掛上圧縮性の断層
(2) 主として地層の見掛上の垂直転位を伴い 前者と略々同じ方向をとる見掛上展張性の断層
(3) 主として地層の見掛上の垂直転位を伴うが 前2者とは斜交して略々北東~南西または北西~南東方向をとる見掛上展張性の断層
(4) 主として地層の見掛上の水平屈曲に伴って生じ 北西西~南東東方向をとる見掛上展張性の断層
(5) 主として地層の見掛上の側方転位を伴い 北西~南東または東西方向をとる見かけ上展張性の断層
[注]
ここにいう褶曲とは 空知背斜を形成するような大規模の褶曲に随伴して行われる副次的の摺曲を意味する。

以上のうち (1) は小規模な断層であり, これによる地層の繰返し及び欠除は僅かである。 (2) は東翼において最も卓越する断層であり, 地層の繰返しまたは欠除を生ずる。 (3) は複向斜部に発達する。 (5) は西翼に顕著に発達する同系統の断層と密接な関係があり, (4) もまた西翼の同系統の断層に関係があるようである。

東翼は構造上, 番ノ澤岳屈曲部, 月見澤褶曲帯、 幌子芦別川地塊, 芦別川地溝帯及びサキペンペツ川地塊(いづれも仮称)の5構造単元に区分され, 各単元は互いに異なった構造上の特徴をもつ。 そしてこれらの単元を界する重要な断層には 辺毛 べんげ 山北断層, 幌子芦別川断層, 月見澤断層, 二段山断層及び多聞岳西断層 [ 下記の [注] 参照 ] (いづれも仮称)がある。

[注]
仮称断層については白亜系踏査図を参照せよ。 以下これに準ずる。

次にこれらの断層について述べる。

辺毛山北断層:
西翼における北四断層の延長であり 北西西~南東東方向をとる (4) 型式の断層である。 断層の北側が相対的に落下する。 またこの断層によって東翼の三笠亜層群の分布が著しくずれる。
幌子芦別川断層:
西翼における北西~南東方向の空知断層またはその分岐したものの延長であり, 北西西~南東東方向をとる (5) 型式の断層である。 この断層は東方では断層の北東側, 西方では南西側が相対的に落下する蝶番断層である。 すなわち幌子芦別川中流では北東側の ME3 と南西側の UE2 とを界し 三笠亜層群の分布は著しくずれる。 同川下流付近の北に向う枝澤では この断層の南側の UE4 は 断層に近い約 50~60 米の間にわたって 一般走向から著しく偏倚して略々東西の走向をとり, かつほとんど直立し断層の所に擾乱帯がみられる。
なお同川下流ではこの断層を界として 北東側の UE6~7 と南西側の UE4 とが接し UE1 の走向は約 100 米の幅にわたって東西方向に近くなる。
月見澤断層:
地層の走向または褶曲軸の方向に略々平行であり, 八月澤中流から幌子芦別川々口西方に延びる (2) 型式の断層である。 この断層は前述の幌子芦別川断層の北側を走り それと同系統の略々東西方向の断層に切られて東方にずれるが, 後者の断層以北のうち北部では月見澤断層の東側が相対的に落下し 断層以南では西側が落下する。 すなわち本断層は蝶番断層である。 八月澤中流では東側の UE9 と西側の UE3 とを界として地層の欠除が行われ 断層附近では地層が擾乱する。 月見澤では UE4 中を通り東側の UE4 最上部と 西側の UE4 下部とが接して地層の欠除がみられ, なお断層付近では地層の傾斜が急となり多少擾乱している。 幌子芦別川下流では東側の UE7 と西側の UE8 とが接して地層が繰返して現出する。
二股山断層:
月見澤下流から二股山西方に至る略々南北方向をとる (2) 型式の断層である。 そしてこの断層の東側が相対的に落下する。 すなわち月見澤下流では断層付近に約 10 米の擾乱帯がみとめられ, かつ地層は急傾斜ないし直立し 東側の UE9 最上部と西側の UE8 上部とが接して地層が欠除する。 芦別川では東側の UE10 と西側の UE6 とが接して地層が欠除し, かつ UE10 は断層付近において擾乱され傾斜が急となる。 なお南隣図幅「幾春別」の惣顔真布川下流では この断層を界として東側 UE8 と西側の UE7 とが接する。
多聞岳西断層:
サキペンペツ川々口付近から多聞岳西方を通る略々南北方向の (2) 型式の断層である。 そしてこの断層の西側が相対的に落下する。 サキペンペツ川々口付近では東側の UE10 と西側の UE3 とを界し UE10 は断層附近で擾乱されている。

次に前述の5構造単元について述べる。

番ノ澤岳屈曲部:
地層の走向は炭山川では一般に南北ないし北 10°方向であるが, 番ノ澤では可成り方向を転じて北 40~45°西(略々北西~南東)方向となる。 然しこの傾向は南に行くにつれて次第にもとの方向に近づき 八月澤では略々北 10~20°西の方向をとる。 このように番ノ澤岳付近において地層の走向の著しい変化 すなわち地層の著しい見掛上の水平屈曲がみられる。 そしてこの水平屈曲に伴って生じた断層((4) 型式の断層)として 北側に番ノ澤断層及び辺毛山北断層の北方約 2,000 米の所を通る 北西西~南東東方向の断層があり(この両断層は相連なるものかもしれない), また南側には辺毛山北断層がある。
月見澤褶曲帯:
西限は月見澤断層, 東限は二股山断層である。 ここには1背斜および1向斜が存在し, 月見層の分布状態は複雑となる。 そのうち背斜は八月澤北方において沈下し, 向斜もまた北方に向って沈下するが, 月見澤北方では断層に移化し更にこの断層は八月澤に延びる。 この断層は八月澤では2本の断層によって示され, いずれも断層の西側が相対的に落下して地層が繰返して現出する。 芦別川では略々月見澤断層に沿う向斜軸が存在し, 主として向斜の東翼が分布するが 西翼は月見澤断層のために大部分欠除する。 また地層の走向に比較的平行な北西~南東方向をとる見掛上展張性の断層があり, その西側が相対的に落下して地層が欠i徐され, なおこの断層に沿うて地層が擾乱する。
幌子芦別川地塊:
北限の幌子芦別川断層, 南限の東西方向に近い断層 [ 下記の [注1] 参照 ] , 東限の月見澤断層およひ西限の幌子芦別川における 最西の北北西~南南東方向の見掛上展張性の断層によって囲まれた部分である。 そのうち西限の断層には擾乱帯が存在し 断層の東側が相対的に落下するが, むしろ逆断層の性質を帯びて地層が欠除される。 この地塊中には更に2本の北北西~南南東方向をとり 主として地層の見掛上の垂直転位を伴う展張性の断層があり, いづれも西側が相対的に落下して地層が繰返し現出する。 またその外に北東~南西方向の見掛上展張性の断層もある。
芦別川地溝帯:
西限は芦別川断層, 東限は多聞岳断層である。 前者の断層の東側は西側に対して相対的に落下し 後者の断層の西側は東側に対して相羽的に落下するので, この両断層に挟まれた部分は地溝となる。 この部分に分布する地層は大部分上部蝦夷層群上部であって, 芦別川においては地層の傾斜は一般に緩く 20~10°内外で所々緩やかな抑揚単斜構造が発達する。 また地層は小さい振幅をもって褶曲し, かつ褶曲に伴って生じた地層の走向または褶曲軸に 略々平行な断層((1) 型式の断層)を幾つか伴う。 これらの断層の両側のうち地層の傾斜方向の側が相対的に落下する。 なお最南部には 地層の走向または褶曲軸と可成り斜交する北東~南西方向の見掛上展張性の断層があり, 北西側の上部蝦夷層群上部と南東側の同層群下部とを界し北西側が相対的に落下する。 この断層は後述のサキペンペツ川地塊における北東~南西方向の断層の延長である。 この地溝帯は元来東翼における著しい褶曲帯であり, かつ褶曲と共に生じた断層を伴ったが, その後東翼における2本の見掛上最も後生の南北方向をとる断層 (多間岳断層および二股山断層) によって外側に対して相対的に落下して地溝となったのである。
サキペンペツ川地塊:
複向斜部を占め, 西限は多聞岳断層, 東限は野花南断層の延長, 北限はサキペンペツ断層群(仮称)のうちの最北の断層, 南限は南隣図幅「幾春別」の惣顔真布川付近を通る東西方向の断層 [ 下記の [注2] 参照 ] である。 サキペンペツ断層群とは北北西~南南東方向から 南方では北西西~南東東方向に移る (3) 型式に属する2~3本の断層のことであり, その北方の延長は石狩層群中を通る。 本断層群に属する断層の北側はいづれも相対的に落下する。 すなわち階段的に北方に向って落下する。 この断層群は更に2本の見掛上後生の北東~南西方向をとる断層((3) 型式の断層) によって切られ断層の西側では相対的に南方にずれ, かつ西方に向って階段的に相対的に落下する。 従ってサキペンペツ川地塊では見掛上展張性のサキペンペツ断層群と 北東~南西方向の断層群によって多数の小地塊に断裂し, 地塊運動の結果各小地塊は北方および西方に向って階段的に相対的に落下した。 なおこの地塊の東部に向斜軸があるが, これは複向斜の主向斜軸にあたる。
[注1]
南隣図幅「幾春別」における吉田向・神戸信和両者の調査による。
[注2]
吉田尚・神戸信和両者の調査による。

(3) 西翼

空知背斜に対して副次的な褶曲が発達し, 副次的背斜部および向斜部が略々南北方向に配列する。 更に小規模の褶曲が背斜部に発達するが向斜部には発達しない。 なおこれらの背斜部及び向斜部の主軸の方向は一般に北西~南東である。 背斜部では地層の傾斜は一般に緩やかであり 40 度以下が普通であり, かつドームまたはベーズシに近い構造が発達するが, 向斜部では前者に比較して一般に傾斜はより急であり, 45 度以上が普通であるが 60 度以上となることが多い。

断層には次のような型式のものがある。

(1) 褶曲に伴って生じ褶曲軸または地層の走向に略々平行な見掛上圧縮性の断層
(2) 主として地層の見掛上の垂直転位を伴い 地層の走向に略々平行な見掛上展張性の断層
(3) 主として地層の見掛上の垂直転位を伴い 一般に地層の走向あるいは褶曲軸に斜交する見掛上展張性の断層
(4) 推し被せ転位を伴う断層, すなわち衝上断層

以上のうち, (1) およひ (2) は 一般に地層の僅かな繰返しまたは欠除を生ずる比較的小規模の断層であるが, 前者は背斜部に後者は一般に向斜部に発達する。 (3) には北西~南東方向をとるもの [ 下記の [注1] 参照 ] と, さうでないものとがあるが, そのうち前者は西翼における最も特徴的な断層であり西翼全體にわたって顕著に発達する。 この北西~南東方向の断層系は一般に空知背斜軸部に近づくにつれて, また南方に行く程次第に北西部~南東東方向に近づいてくる。 北西~南東方向の断層が南方では東西方向に近くなる傾向は 東翼の南部の場合にもみとめられる (例えば幌子芦別川断層及びその北側の略々東西方向の断層) [ 下記の [注2] 参照 ] 。 (4) は稀にみられるものである。

[注1]
この北西~南東方向の断層系は従来水平移動の大きい断層とされてきた。 しかしこれらの断層のうち, 地層の見掛上大きい水平的ずれを生じている断層は いづれも背斜部と向斜部との界にあたる。 すなわちこれらの断層によって背斜部における背斜または向科構造は切断され, その片翼が消失しているので, 地層の見掛上水平的ずれが大きくなっているようにみえるが, これは断層による主として地層の水平移動によると考えるよりは 主として垂直運動によると考えてもよい。 また地層の水平移動がかなり行われた場合には, 東翼の幌子芦別川断層についてみられるように 地層の走向が断層付近において断層の走向に略々平行となることが多いであろう。 しかしこの北西~南東方向の断層の場合にかかることがみられない。 以上によってこれらの断層系は地層の見掛上の水平移動よりもむしろ 垂直運動を伴ったと考えてもよい場合が多いであろう。
[注2]
以上のように西翼において 略々南北方向に配列する背斜部および向斜部の主軸の方向が一般に北西~南東であり, 褶曲軸が短縮されてドームまたはペーズンに近い構造が発達し, かつ空知背斜の方向にかなり斜交する多数の北西~南東方向の断層群が顕著に発達し, しかもこの種の断層の走向が南方程東西方向に近くなるので, 両翼は主として東西方向の圧縮運動を蒙ったが, しかも西翼は東翼よりも南北方向の圧縮運動をより多く蒙り, かつ南部程南北方向の圧縮運動が著しかったと推察される。

西翼は構造的に北から歌志内向斜部, 下歌志内川背斜部, 奈江川向斜部, 奈井江川~美唄川背斜部及ひ奔別川西向斜部(いづれも仮称)の5構造単元に区分され, 各単元は互いに異なった構造的特徴をもつ。 これらの単元を界する重要な断層には北から辺毛山断層(仮称), 奈江衝上断層, 美唄山西断層(仮称)及び清水断層があり, これらの断層はすべて (3) 型式の断層である [ 下記の [注] 参照 ]

[注]
これらの断層のうち, 奈江衝上断層は少なくとも (4) 形式の断層であるが, また (3) 型式の断層と同じ性質をもち, この断層によって地層が見掛上垂直転位を行ったと考えられる部分もあろう。

次にこれらの断層について述べる。

辺毛山断層:
辺毛山を通り北西~南東方向に走る断層であり, 辺毛山北断層と共に北四断層の延長またはそれの分岐したものであり, かつ断層の南側が相対的に落下する。
奈江衝上断層:
御料山の南方から奈江川上流東部を通り北西~南東方向をとる。
美唄山西断層:
奈江川から奈井江川を通り美唄山南西に至る北西~南東方向をとり, 空知断層の分岐したものであって, 断層の南側が相対的に落下する。
清水断層:
美唄川上流を通って北西西~南東東方向に走る断層であり, その南側が相対的に落下する。 美唄川(西隣図幅「砂川」)において走向北 60°西, 傾斜北へ 50°の逆断層がみられ, そこでは函淵層群の HW1 が石狩層群登川夾炭層の炭質頁岩の上に衝き上げ, その界に厚さ約 50 糎の断層粘土が存在する。

次に前述の区分された5構造単元について述べる。

歌志内向斜部:
南限は辺毛山断層であり, 地層の傾斜は一般に急であり西へ 60°内外またはそれ以上が普通である。 北西~南東, 北西西~南東東または北北東~南南西方向の断層が発達する。 これらの (3) 型式の断層のほかに (2) 型式の断層もあって地層が繰返して現出する。
下歌志内川背斜部:
北限は辺毛山断層, 南限は奈江衝上断層である。 この背斜部は砂川断層によって2つの部分に区分される。 この砂川断層は石狩層群分布地域内では北北西~南南東方向をとるが 白亜系分布地域内に入ると北西~南東方向に転じ, 更に八月澤上流にまで延びるようである。 西翼では蝶番断層であるが 八月澤上流では逆断層となり, そこでは走向北 40°西, 傾斜東へ 60°, 厚さ約 5 米の擾乱帯がみられる。 また下歌志内川水源地澤の西向きの枝澤では この断層の所に北 30°西の方向と南へ 70°の傾斜をもつ擾乱帯があり, そこでは東側の UW4 と西側の UW1 とが接する。 この背斜部のうち砂川断層北側の部分では上部蝦夷層群は振幅が小さく, かつ単軸の褶曲をなし, その上 (1) 型式の断層あるいは擾乱帯を伴う。 南側の部分も北側程ではないが矢張り褶曲し その軸は南方に沈下する。 その軸部には三笠亜層群が分布する。
奈江川向斜部:
北限は奈江衝上断層, 南限は美唄山西断層である。 (2 )型式の断層によって地層の繰返しが行われ, これらの断層を切る北西~南東方向の断層群および東西方向の断層が発達し, そのうち北西~南東方向の断層では南西側が相対的に落下する。
奈井江川~美唄川背斜部:
北限は美唄山西断層, 南限は清水断層である。 地層は短軸褶曲を行い, そのためにドームおよびベーズンに近い構造が発達して地層の分布状態は複雑となる。 すなわち本背斜部の北部においては1背斜および1向斜が存在する。 前者はドーム構造をなすが, その南部は狐澤断層に切られるために現出しない。 向斜は北方に向って沈下するが, その南部は元来ベーズン構造をなすが晩成澤断層に切られて消滅する。 この背斜部の南部においては東側にベーズン構造, 西側にドーム構造が不明瞭に発達し, そのうち前者は前述の向斜に連なるものであり, 境断層は部分的にはこのドーム構造の軸部に沿うて生成されたものである。 従ってこの背斜部の中部にはベーズン構造が発達することになる。 また北部における略々北西~南東方向の異人, 狐澤, 晩成澤諸断層および空知断層の延長ないし分岐した断層によって切られた各地塊は 階段的に南西方向へ相対的に落下するが, 南部における略々同方向の境断層およびその南西側の断層によって切られた各地塊は 階段的に北東方向へ相対的に落下する。 要するにこの背斜部は 略々北西~南東方向の見掛上展張性の断層群に切られて幾つかの地塊群に断裂し 各地塊は中部におけるベーズン構造の略々底部に向って階段的に相対的に落下する。
奔別川西向斜部:
北限は清水断層である。 地層の傾斜は一般に急であり西へ 60°以上である。 函淵層群と石狩層群との界は断層であり [ 下記の [注] 参照 ] , 三ノ澤において厚さ約 1.5 米の断層破砕帯がみとめられ, その走向は略々南北僅かに東へ偏倚し傾斜は西であるが殆んど垂直に近い。 従ってここでは正断層であり HW2 の上部および HW3 が欠除する。 この断層を切る北西~南東方向の断層群があるが, そのうち茶志内断層(石狩層群分布地域内では北落ちの正断層である)は その南側が相対的に落下するために蝶番断層である。
[注]
函淵層群と石狩層群の境界は, 棚井敏雅によると 断層関係ではなく平行不整合関係であることがわかった。

[3] 野花南川流域

西限は當地減の中部蝦夷層群と西側の第三系とを界する野花南断層である。 丸山南方を通る北西西~南東東方向の断層によって北部と南部とに区分される。 そのうち北部の中部蝦夷層群主部では褶曲, 褶曲軸の方向に略々平行な断層及び褶曲と前記の断層を切る略々東西方向の断層が発達するが, 南部では北部に比へて構造は簡単であり1背斜と略々南北方向の断層を伴い, またこれらよりも見掛上後生と思われる東西に近い方向の断層が存在する。 なお野花南断層は上記の褶曲構造, 褶曲軸に略々平行な断層及びこれらを切る東西に近い方向の断層 (例えば丸山南方を通る断層)を切る見掛上後生の断層である。

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以上の白亜系における地質構造の諸形態は略々同時に相前後して成生されたのであるが, それらの成生順序の見掛上古いものから記すと次の通りとなる。

(1) 東西方向の圧縮運動(見掛上東方から横圧力が加った)によって 南北方向の非対称複背斜栴造(空知背斜)および複向斜構造(芦別向斜にあたる)が形成され, 同時に地層の走向または褶曲軸に略々平行な見掛上圧縮性および展張性の断層が成生した。 また空知背斜西翼においては南北方向の随伴的圧縮運動も行われ, それによって北西~南東方向の主軸をもつ副次的背斜部および向斜部とが形成された。

(2) 空知背斜(芦別向斜西翼をも含む)においては見掛上展張性の断層 (地層の走向または褶曲軸の方向に略々平行な方向あるいは斜交する方向をとる)が成生し, 一般に地層の垂直転位, 時には側方転位および押し被せ転位が行われた。 その結果空知背斜は幾つかの構造単元に分化した。

IV 古第三系

本図幅内に分布する古第三系は下位の石狩層群と上位の幌内層である。

石狩層群は主として淡水成の地層で, 瀕海成の地層を挟有する。 幌内層はまったく海成の堆積物で, 石狩層群に対して見掛上その上位に重なっている。 最近, 矢部長克は幌内層は石狩層群の堆積期における海成層であろうと預言した [ 文献 29 ] 。 すなわち石狩層群中に挟有されている海成層は, 幌内層を堆積させ海の分布が拡がって 石狩層群の分布地域にまで侵入して堆積したものであろうと述べ, 若鍋層と幌内層の化石の共通性について強調している。 このように広い意味での堆積相として考慮する場合の幌内層は, 石狩層群堆積期全般における広域にわたる地質資料の考慮を必要とする。 ここでは図幅内だけに分布して 石狩層群上に見掛上不整合にのる狭義の幌内層として取扱うこととする。

1. 石狩層群

石狩層群の層序は今井半次郎によってはじめてうちたてられたが, 近年北海道炭鉱技術会地質部会が中心となって 今井の地層名のうち化石名をつけて呼んだものを地名を附した地層名に改めた。 また田代修ーはその近著 [ 文献 28 ] の中で, 2, 3の地層名については再び化石名だけを附したもので呼んでいる(第8表参照)。 今井の地層区分についてもっとも議論の中心となったものは 幾春別夾炭層の名称についてであった。 北海道炭鉱技術会が主體となって決めた地層名によると, 幾春別夾炭層を羊歯砂岩層の同時異相とみなし, 幾春別以南のものには幾春別層なる名称を与え, また空知地区のものを高根夾炭層と呼んだ。 しかるに田代は 幾春別層なる地層は芦別層と上部介殻層ならびに羊歯層の一部を表わすものであるとして, 幾春別層の名称を抹殺している。 田代は幾春別層を芦別層や上部介殻層をも含む地層とした根拠として, (1) 幾春別層中の一部の岩相が芦別層のそれに近似している点, (2) Sequoia, Taxodium, Equistern などの植物化石を介在する点, (3) 淡水棲の化石を含んでいる点, (4) 幾春別層が幌内層によって見かけ上平行不整合に覆われる点などをあげている。 しかし田代も述べているように, 幾春別夾炭層中にはほぼ4層準に凝灰質の地層が存在しよい鍵層となっている。 もしこの凝灰質岩の層準が地質学的時間の尺度となりうるものとすれば, 空知地区の他の地区に存在する芦別層と対比することは困難で, むしろ羊歯砂岩層と呼ぶ地層により近縁関係があるものと思われる。 芦別町の高根炭鉱附近では, 赤平含化石層と平岸含化石層とのほぼ中間に2夾炭層が存在し, 三田正ーはそれぞれ高根夾炭層, 熊ノ澤夾炭層と命名した。 後者は三井芦別鉱業所において頼城夾炭層と呼ばれるもので, 前者は炭山川附近では砂岩を主體とする地層にうつり変わっているものと思われる。 今井が空知地区の地層を羊歯砂岩層と幾春別夾炭層とに2分したことは 芦別町附廷の層序区分にもあてはまり, 適切なものと思われる。 しかし 今井が地層名に化石名だけをつけて呼んだ点は命名規約からみても思わしくないので, 模式地の名称をとったものを本書では用いた。 今井が夕張夾炭層, 幌加別層ならびに登川夾炭層と名付けた地層名は, 模式地としては地層の発達が薄く不適當であるとして, 歌志内夾炭層, 神威泥岩層, 砂川夾炭層と呼ばれることもあるが, 今井のきめた模式地による名称の方が一般に慣用されているし, 命名者の創意を尊重してそのまま用いることにした。

第8表 石狩層群地層名一覧表

石狩層群を構成する地層は主として中粒ないし細粒砂岩と泥岩とからなる厚い瓦層で, 礫岩はごく限られた地層中にわずかに介在するにすぎない。 空知炭田においては石狩層群は全層厚 4,000 m にも達し, 地層の下限から上限にわたって数 10 層の稼行炭層を挟有している。 稼行炭層を挟有する主なる地層は下位から登川層, 夕張層, 茂尻夾炭層, 美唄層および芦別層で, 高根層と頼城層中には限られた地域内で稼行可能炭層が挟有されている。

石狩層群の堆積相をその賦存する化石から推定すると, 主として淡水相を示しているが, 数層準に瀕海成叉は海成の地層が挟有されている。

炭田探査審議会においては石狩層群を次の4階 10 層に区分した。

1. 下階 登川層・幌加別層・夕張層
2. 中階 若鍋層・美唄層
3. 上階 赤平層・高根層・頼城層 [ 下記の [注] 参照 ]
4. 最上階 平岸層・芦別層
[注]
頼城層を上階と最上階のいずれに属させるベきかについては未解決の点が多いが, この図幅では岩相上高根層により近似していることから上階に属させた。

この区分は堆積の輪廻によってわけたもので, 各階に属する地層は堆積相を考慮して4つの階に分けている。

以下各階ごとに地層の層序, 岩相ならびに分布について述べる。

[1] 下階

この階に属する地層は登川層, 幌加別層および夕張層で, 淡水棲の介化石や植物化石を包蔵し, 炭層を挟有している。 これらの地層は模式地である夕張地区の登川, 夕張附近よりもむしろ空知地区においてよく発達し, 最大層厚 1,000 m 達している(付図 lV 参照)。

この図幅では空知背斜の東西両翼にこれらの地層が分布する。 東翼は地層の傾斜が急な上, 単斜構造であるため, 図幅の中央部を占めて NW-SE に細長く分布しているにすぎない。 これに反して西翼のものは緩傾斜で, しかも褶曲と断層によって擾乱されているので, 図幅の西部を占めて広範囲に分布している。 石狩層群と白亜系との関係は本図幅内では平行不整合である。 ただ美唄附近では白亜系最上部の函淵層群が石狩層群と断層をもって接しているため 両者の関係がわからない。

最近須貝寅二ら [ 文献 33, 35 ] は歌志内附近において石狩層群最下位炭層のほぼ直下にある 耐火粘土質岩(層厚約 4 m, 耐火度 SK 28±)を同層群の基底とすべきであると提唱している。

本階に属する地層の区分は, 夕張地区を摸式地として行われたため この区分を空知地区にそのまま適用することがむずかしいこともあって, 地層の境界のきめ方について調査者相互間に必ずしも見解の一致をみていない。 夕張地区においては登川層と夕張層の中間に層理に乏しい泥岩層からなる幌加別唐があって, その中には Unio が多く含まれ, 炭層を挟まないために本層をへだてて上下の両夾炭層を区別する上に合理的であった。 しかし夕張地区にあっても角田鉱以北ではこの階の地層は衣第に薄くなり ついには尖滅するので, 登川層, 幌加別層, 夕張層の3層に分けることが実用的にはむづかしくなる。 空知地区においては北部に位置する茂尻, 三井芦別両鉱附近ではこの階の中部に層理に乏しい暗灰色の泥岩層があり, その中に Unio を含み, 炭層を挟んでいない。 この地層は上下の夾炭層を区別させ, 幌加別層に相當するものと考えられる。 しかし砂川以南においては この泥岩層は次第に砂岩に富んだ互層にうつり変り, 美唄では砂岩中にわずかに幌加別層に特有な泥岩を互層状に挟む程度で, 全體としては砂岩に富んだ砂岩泥岩互層となり, 上下の夾炭層と類似した岩相となっているため, この階の地層を3分することがきわめて人為的となり, 実用上はこれを区分する必要がほとんどなくなっている。 しかしながらこの階の地層は下部と上部にそれぞれ多数の炭層を挟有しており, 美唄地区においても中部は炭層に乏しくて, Unio や Viviparus などの淡水棲介化石を多産する地層で, 従来の慣習によって登川層, 幌加別層, 夕張層の3層にわけることにした。 現地の炭鉱で用いている区分をそのまま用いると, 幌加別層の下限は三菱美唄炭鉱の VI 層, 三井砂川鉱の新 VII 層, 神威鉱の I 番上層, 茂尻鉱の II 上層, 三井芦別鉱の VI 層で, 上限は三菱美唄炭鉱の V 層, 三井砂川鉱の VII 下層, 茂尻鉱の I 層, 三井芦別鉱の VII 層である(付図 IV 参照)。

石狩炭田全般としてみるとき, 登川層は空知地区では良好な炭層を挟有しているが, 夕張地区では地層の発達も悪く, 炭層も見るべきものが少ない。 しかるに夕張層は夕張地区では良好な炭層を挟有するが, 空知地区ではその発達が悪く, わずかに歌志内地域に限って比較的よく発達してしてるにすぎない。

(1) 登川層

登川層は主として砂岩からなり砂質泥岩, 泥岩および礫岩を混へ, 10 数枚の稼行炭層を挟有する。 砂岩は一般に中粒ないし粗粒で, 灰白色を呈するものが多い。 登川層のもっとも厚く発達する奈井江澤上流付近では, 下部はほとんど砂岩で代表され, 上部は暗灰色の泥岩を主とし, 最上部には堅硬な珪質の中粒砂岩を挟む。

付図 IV に示すように登川層は奈井江澤では 600 m に蓬し, これから南の美唄常盤台付近では 400 m 程度で, さらに南方の峰延山地ではついに尖滅する。 また奈井江澤から北方に向って次第に薄くなり, 上砂川では 500 m, 茂尻では 200 m, 炭山川では 230 m となっている。 空知背斜の東側では炭山川から南に向って次第に薄くなり, 八月澤では 100 m, 咲辺別では尖滅する。

登川層の下部には1~2枚の凝灰質の粘土層が挟有され, よい鍵層となっている。 炭層は下部には密に集っているが, 上部には疎らで, 良好な炭層も少ない。 これらの炭層の各稼行地において炭層の呼称がそれぞれ異なっているので, その呼び名ならびに対比を付図 IV に示した。

(2) 幌加別層

本層は上述の登川層の上に整合に重なる地層で, 主として泥質岩からなり, Unio や Viviparus などの淡水棲介化石を多産し, 炭層を挟まない。 空知炭田の北部に位する茂尻・赤平附近では塊状無層理の暗灰色泥岩からなり, わずかに細粒砂岩層を挟むが, 砂川以南においては南部ほど次第に灰白色砂岩を互層状に挟むようになり, 三菱美唄通洞附近では砂岩を主とした砂岩泥岩の互層にうつり変る。 また空知背斜東翼の炭山川以南では衣第に層厚を減じ, その岩質も砂質になり, 葉理状に層面のよく発達した砂質頁岩となるとともに薄い炭層を挟有し, 上下の地層との区分が不明瞭となる。 幌加別暦の厚さは 200 m 以下である。

(3) 夕張層

夕張層は砂岩を主とし, 泥岩や泥質砂岩を挟む地層で, 無数の薄い炭層または炭質頁岩を挟有する。 しかし稼行出来る炭層はきわめて少なく, 砂川以南においてはわずかに1~2層であるが, 砂川以北の神威・歌志内・茂尻・炭山川付近では4~5枚の稼行炭層を狭有する。 夕張層には全般に凝灰質の地層を挟む。 砂岩は青灰色または灰白色の中粒砂岩で, 堅硬かつ塊状を呈することが多く, 泥岩は暗灰色である。 炭層の上盤または下盤となる砂岩や泥岩は, しばしば薄層で互層しかつ層面が波状を呈して, 一見美唄層のいわゆる縞砂岩に類似した岩相を呈する。 地層は一般に連続性にとぼしく, 炭層もまた同様の傾向を示す。 登川層や幌加別層に比較して植物化石を多産する。 炭層は夕張層の比較的上部に密集しており, 砂岩にとむ下部には少ない。

[2] 中階

この階に属する地層は若鍋層(茂尻夾炭層を含む)と美唄層である。 下階の堆積物が淡水性の堆積相を示すのに対して, この階のものは海成または汽水沈積相を示し, ことに若鍋層は空知炭田のみならず石狩炭田全域にわたって分布する海成層で, 石狩層群堆積期を通じてこの時期に最大の海進を行っている。 美唄層は空知地区の奈井江川以北にのみ分布するが, 美唄層の中部にも汽水性相を示す化石が存在する。

夕張地区の若鍋層は今井半次郎によって 若鍋頁岩層(下位)と若鍋介殻化石層(上位)とに2分された。 また今井は空知炭田における若鍋層には下位の若鍋頁岩層がないとのべた。 しかし空知炭田においては若鍋層の下部に良好な炭層を挟む地層があり, さらにこの炭層の上位には泥岩層が発達し, 夕張炭田の層序と一致しない。 この炭層の下位には瀕海性を示す化石をともなうため, 若鍋層下部の夾炭層を茂尻夾炭層として夕張層と区別している。 また歌志内以北においては この茂尻夾炭層の上位の泥岩層中には海棲介化石や泥灰岩を含有するので 若鍋含化石層と呼んでいる。

若鍋亜層に引きつづいた美唄亜層は浅海化された時期で, 空知地区でもっとも良好な炭層群を挟有している。 美唄層は上位の赤平層とともに空知地区に限って賦存する。 夕張地区ではこれらの地層はみられず, 若鍋層の上位に高根層(夕張地区では幾春別層)が不整合に覆っている。

この階の地層区分の境界や主要炭層の対比を付図 V に示す。

この図巾では, 若鍋層は空知背斜の両翼に比較的急傾斜にて分布するため, せまい帯状の分布を示すにすぎない。

(4) 茂尻夾炭層

夕張夾炭層の上位には Geloina hokkaidoensis や Corbicula tokudai (YOK) などの 半淡半䶢性の化石を基底に産する一群の夾炭層が存在し, これを茂尻夾炭層と呼ぶ。 茂尻夾炭層の上位は海棲化石を産する泥岩叉は細砂岩からなる若鍋含化石層である。 若鍋含化石層との地質の堺は炭層でわけているが, 通常茂尻夾炭層の上から2番目の炭層には白磐を挟み, よい鍵層となっている。 茂尻夾炭層がよく発達するのは歌志内以北であって, 砂川以南および炭山川以南では 茂尻夾炭層最下部の海棲化石を含む地層の特徴が次第になくなるため, 夕張層と若鍋層の間に茂尻夾炭層を区別することは困難である。 茂尻夾炭層は青白色の細粒砂岩と灰色泥岩の瓦層からなり, 砂岩には砂管が含まれることがある。 砂岩には塊状のものや板状または縞状層理を示すものがあり, 夕張層の砂岩と同様の岩相を呈する。 泥岩は一般に塊状で, 泥灰質の団球をもつことがある。 茂尻夾炭層の層厚は北部に厚く, 赤平・茂尻付近でもっともよく発達し, 炭層の数も増している。

(5) 若鍋含化石層

本層は石狩層群中もっとも特徴のある海成層である。 空知地区の南部では砂管を伴う細粒砂岩からなり, 泥岩層を挟むが, 北部に向って次第に黒色泥岩を増し, 空知川付近ではほとんどそれだけからなり, 泥灰岩の団球をほぼその中部に含有するようになる。 層厚はあまり変化がなく, 三菱美唄で 190 m, 砂川では 160 m, 赤平で 120 m, 炭山川 で 80 m であるが, 炭山川以南では次第に薄くなる。 介化石を多産する。 三井芦別鉱の資斜によると次の化石がある。

Corbicula tokudai (YOKOYAMA)
Corbicula sunagawaensis NAGAO et CTATUME
Corbicula takaoi NAGAO et CTATUME
Geloina tokudai NAGAO
Geloina takaoi NAGAO
Geloina hokkaidoensis NAGAO
Viviparus jimboi SUZUKI
Macrocallista cfr. maturaensis NAGAO
M. hanzawai NAGAO
Margatifera perdahurica (YOKOYAMA)
Anodonta SP.
Crassatellites ezoensis NAGAO et OTATUME
Spisula simiausawaensis NAGAO
Dentallium SP.
Mya SP.

(6) 美唄層

美唄層は石狩炭田においては空知地区に限られて発達する夾炭層である。 半淡半䶢性の化石を挟有する砂岩・泥岩の互層で, 炭層を挟有している。 砂岩は中粒ないし細粒で, まれに細礫を含むことがある。

泥岩は灰白色ないし暗灰色で, 層理はよく発達している。 細粒砂岩と泥岩の薄い互層は通常層面が波状を呈するため美しい縞状層理を示し, 美唄層のもっとも特徴的な岩相となっている。 また粗粒砂岩中には泥岩や菱鉄鉱質泥岩の円礫を含むことがある。 美唄層の下限には若鍋層との界に海緑石粒を多量にふくんだ砂岩層が発達することがある。 この砂岩を若鍋層の上限とした。 美唄層の比較的下部に4~5枚の稼行炭層が挟有されていて, 炭層のあるものは松岩を含くんで, 小地域では鍵層となっている。 美唄層の最上部の炭層は細粒砂岩ないし泥岩からなる白色の夾みと炭層が互層し, 黒色の美しい縞模様を呈するので, これを虎ノ皮層と呼んでいる。 この特徴的な虎ノ皮層は空知地区全域にわたって分布し, よい鍵層となっている。 本図幅地域では虎ノ皮層は稼行対象にはならないが, 赤平・茂尻方面ではよく発達していて稼行されている。

美唄層の上限は虎ノ皮層とした。 美唄層の下部の夾炭層と虎ノ皮層の中間は砂岩にとみ, 少数ではあるが瀕海性化石を産出する。 美唄層の厚さは 200 m 以下である。

[3] 上階

この階に属する地層は赤平層, 高根層および頼城層である。 赤平層はその層序からみて海進期の堆積相であり, 高根層はその後の海退に伴う地層である。 頼城層はこの図幅においては特に1層として区分したが, 今井半次郎の幾春別夾炭層に相當するものであろう。 頼城層の堆積初期に, 再び海面が上昇し, それに引き続いた浅海化に伴って炭層が堆積した。 本層は芦別地域では良好に発達して居るが, 砂川方面では発達が悪く, 本図幅では空知背斜の東翼にだけ分布している。

(7) 赤平層

赤平層は赤平町上赤平と赤平町赤間澤を結ぶ空知川沿岸を摸式地にとって名ずけられた。 しかしながら この摸式地は断層による地層の操り返しや欠除が多いため 赤平層の層序を正確につかみ難い点で不都合である。 この図幅地域内の炭山川においては赤平層がもっともよく露出し, 地質構造も単斜構造で地層の擾乱も少く全層がよく観察される。 三井芦別鉱業所においては 炭山川の赤平層の調査によって この層を下位から次の4部層に区分した。

厚さ(茨山川)
(a) 無化石下部泥岩部層 100 m
(b) 蜆介・カキ砂岩部層 190 m
(c) 泥岩部層(ボール帯) 80 m
(d) 上部夾炭部層 150 m

この地質区分は炭山川のみならず, この図幅地域の赤平層全般にわたって広くあてはまり, 赤平層の地質構造や堆積機構を考える上に重要な区分である。

次にこの4部層について述る。

(a) 無化石下部泥岩部層

この地層は美唄層最上部の虎ノ皮層の上位にあって, 薄い葉状層理をもった泥岩・炭質頁岩・細粒砂岩の薄層からなる互層である。 この地層を遠望するときは, 千枚岩や片岩の風化面に似た相ぼうを示し, 近接してみるときは, 層理面を正確に測ることが出来ないほどで, くずれ易く, 不規則な風化面を呈する。 色は一般に黒色ないし暗灰色である。 炭質頁岩は薄い互層状をなし, 時には縞状炭に近い岩相を呈することがあるが, 有望炭層は発達していない。 本層中からは未だ化石が知られていない。

(b) 蜆介・カキ砂岩部層

本層は暗灰色泥岩と細粒ないし中粒の砂岩の互層からなる地層で, 砂岩中には Corbicula または Ostrea の密集したレンズを挟んでいる。 多くの場合下位から無炭層, Corbicula 帯, Ostrea 帯の層序を周期的にくりかえすことが多い。 巨視的に層序をみると, カキ砂岩帯は Corbicula 砂岩帯の上位に位するのが普通であり, そのため局地的には蜆介部層とカキ砂岩部層に区分出来ることもある。 Corbicula の産出は肉眼でみる範囲では層をなして連続し, 地層の追跡が出来る程度であるが, Ostrea 砂岩はせいぜい 4~5 m 以下のレンズをなし, あまり連続しないのが普通である。 砂岩は一般に淘汰がよく板状の層理をもつ。 また泥岩は灰色ないし黒色で, 塊状を呈し, 風化すれば不規則な小片に砕けやすい。

(c) 泥岩部層

本層は主として黒色ないし灰黒色の無層理な泥岩からなり, 細粒砂岩を挟む。 泥岩中には泥灰質の薄層または直径 22 cm 以下の団球を含むことがある。 この団球を含む泥岩中には Thyasira, Yoldia, Linthia yessoensis MINATO その他の海棲化石が含まれ, 少くともこの部層が海成層であることは明らかである。

(d) 上部夾炭部層

この地層は蜆介化石を含む砂岩と炭層とが互層している地層で, 前に述べた (c) 泥岩部層から浅海化した際の堆積物である。 炭山川においては層厚が 150 m, 赤平町小百戸澤では 120 m に達している。 本層中の炭層は茨山川では4層あって稼行の対象となっている。

赤平層を海進期の堆積物とすれば この上部夾炭部層の堆積期には海退を初めているとみられるから, 本層はむしろ高根層に入れるへきであろう。 しかし海進のもっとも進んだ時期をきめることは調査にも時間を要するので, この図幅においては, 上部夾炭部層をも赤平層の中に一括している三井芦別鉱の層序をそのまま用いて, Corbicula の出現が了って, 炭層のみをふくむ地層にうつる層位をもって赤平層の上限として これを地質図上に表わした。

赤平層は空知背斜の東翼と西翼の奈井江川以北にのみ分布する地層で, 炭山川でもっとも厚く 370 m に達する。 空知背斜西翼の砂川付近においても炭山川においてみられる層序がなりたつが 赤平層の上部は概ね砂岩が多くなり, 砂管が発達する点で炭山川付近の赤平層と異っている。

著者は 砂管の産出する層位が常に海成層またはその層位の側方延長にあたることからも, 砂管は浅海性の地層の示準相と考えている。

(8) 高根層

高根層は芦別町高根ノ澤を模式地とする砂岩・泥岩の互層からなる淡水成の地層である。 高根層は夕張地区や空知地区の空知背斜西翼において Woodwardia(コモチシダ) その他の植物化石を多産するために従来羊歯砂岩層と呼ばれていた。 しかし空知背斜東翼においては, 高根層中に植物化石は多く産するが, 現在まで Woodwardia だけは未だ発見されていない。 高根層は主として細粒ないし中粒灰緑色の砂岩を主とし, これに灰色ないし暗灰色の泥炭を挟む地層で, 植物化石の他に Unio や Viviparus などの淡水棲の動物化石を含み, 炭層または炭質頁岩の薄層を挟有する。

砂岩は灰色または淡灰色の細粒ないし中粒砂岩で, 板状に層面にそって割れやすいものと塊状を呈するものとがある。 また砂岩には淡緑色ないし淡青灰色で粗粒のものがある。 泥岩には灰白色, 青灰色, 淡緑色または暗灰色や黒色を呈するものがあり, 堅硬緻密である。 風化色が灰褐色を呈する燧石質な頁岩には植物化石の破片が多数含まれている。 炭層には薄いものはきわめて多いが, 稼行出来るものはほとんどない。

(9) 頼城層

頼城層はこの図幅において特に1層として区分したが, 従来は平岸層の下部もしくは高根層の上部として取扱われたものである。 高根層の特徴的な緑色砂岩の上に泥灰岩の団球を含む黒色泥岩層があり, その上位には Corbicula を含有する砂岩と炭層とが瓦層していることによって 特徴づけられる地層がある。 これを頼城層と名づける。 頼城層の岩相は高根層の岩相にほとんど一致し, 岩質的には区別出来ないが, 頼城層の最下部に泥灰岩の団球をもった泥岩と Corbicula を含有する砂岩があることは, 高根層よりも海面が上昇したときの堆積であることを示しており, それに引き続いて堆積した炭層は この図幅地域の芦別以南においてきはめて良く発達している。 この海進は堆積盆地の局地的な沈降によって生じたものか, それとも広域にわたる海進であったか今のところわからない。 泥灰岩の団球は赤平層のものより円味が不規則で, 黄鉄鉱または化石の破片が結核となっている。

付図 V に赤平層の柱状図を, 付図 VI には高根層以上(赤平層の第四部層を入れた)の柱状図を示した。

[4] 最上階

この階に属する地層は下位から平岸層, 芦別層である。 平岸層は頼城層の堆積に引き続いた海進期の堆積で Corbicula 化石を多産することによって特徴づけられる。

平岸層の上位は再び炭層と Corbicula を含む砂岩との互層をへて, その上位はほとんど Corbicula を含まず炭層だけ挟有することによって, 特徴づけられる地層(芦別層)に漸移する。 この図巾では本階の地層の分布は上階の地層同様に空知背斜の東翼に限られている。

(10) 平岩層

模式地の赤平町平岸では平岸層は砂岩のやや多い砂岩・泥岩の互層である。 赤平層同様に Corbicula や Ostrea 化石によって特徴づけられているが, 赤平層に比べて層面がよりよく発達している。 摸式地の平岸では本層中に Corbicula はみられないが, この図幅の十五線澤では平岸層の中に Corbicula がきわめて多く含まれている。 また地層そのものも厚く発達し, 平岸よりも模式地として適當と思われる。 三井芦別鉱ではこの Corbicula を含む地層を十五線層と呼んでいる。

十五線澤においては砂岩は灰色で細粒のものが多く, 中粒ないし粗粒の砂岩には漣痕 [ 漣痕 = リップルマーク ] がよく発達している。 泥岩は暗灰色ないし黒灰色で砂岩と互層するが, 互層の周期は 1~10 m で, 多くの場合赤平層に比べてやや厚い。 泥岩は游泥ないし微細粒砂岩程度の粒度をもち, 淘汰もよく, 風化するとやや立方體に近い稜角のとがった小塊に割れる。

平岸層の上位は汽水性の介化石を含む砂岩と炭層または炭質頁岩の瓦層をへて, まったく化石をふくまない夾炭砂岩泥岩互層である芦別層にうつりを変わり, その関係は漸移的であるが, Corbicula 化石が含まれなくなる所までを平岸層とした。

平岸層の厚さは十五線澤で約 450 m, 小百戸澤で約 200 m, 砂川では約 350 m である。

平岸層と赤平層との堆積相の差異は, 後者の時代における海進が漸準的で, 巨視的にみれば上部の地層程䶢度 [ 䶢度 = 海水の塩分濃度 ] の高い化石を産するが, 平岸層は, 基底に近く突然䶢度の高い化石を産し, 上位程次第に䶢度の低い化石を産する地層にうつってゆく点である。

(11) 芦別層

芦別町十五線澤を模式地とする。 厚さ約 450 m の砂岩と泥岩の互層で, その中部と上部に優良な稼行炭層が挟有されて居る。

砂岩は多くの場合明るい灰白色または淡緑色を呈する中粒ないし粗粒の厚い砂岩で, 塊状堅硬である。

泥岩は暗灰色ないし黒色で, 葉状の層理を示す。 砂岩と互層するときはその上下に炭層を伴い, 灰褐色の風化面をもった菱鉄鉱質の泥質岩を帯状に挟むことが多い。 黒色で無層理の泥岩中からは Unio や Viviparus が産する。

本図幅中の芦別層は上芦別向斜の両翼をなして分布する。 この向斜の西翼についてみると, 芦別層は上芦別と炭山川の川口との間の芦別川流域では 走向 N 30°E で南東に 1O~20°傾斜するが, 六線澤以南では 60~70°の急傾斜で東に傾き, 送辺別まで延びている。 根室本線が芦別川を横切る鍛橋以東では 芦別層は走向 NW-SE ないし EW で南に 1O~20°に傾き, 鍛橋以西の芦別層とともに概ね南東に沈む向斜構造をなしている。 この向斜は上芦別向斜と一連のものであろう。

上芦別向斜の東翼においては, 野花南断層の西側で, 野花南断層とこれと平行する断層との間にはさまれてせまく芦別層が分布する。 この芦別層の炭層は, 調査當時武田炭鉱によって稼行されていた。

2. 幌内層

本層は野花南断層の西側に狭長な面積を占めて, 北は空知川の野花南ダム附近から, 南は咲辺別川に到る南北 15 km にわたって分布し, 上位の川端層群や下位の石狩層群とともに, 上芦別向斜の両翼を形成している。 咲辺別では, 向斜の西翼に當る部分(層厚 700 m 以下)がみられ, Yoldia, Acila などのほかに魚鱗の化石が含まれている。 咲辺別では, 向斜の東翼は断層で切られるため, 幌内層は露出しない。 また空知川流域の野花南ダムの西側では, 上芦別向斜は, 走向 NNE-SSW で, SE に傾いた同斜状向斜となり, その東翼が空知川にそってよく露出している。 ここでは, 幌内層の基底は海緑石にとんだ砂質泥岩で, その上位約 200 m に Acila, Yoldia, 魚鱗の化石などにとんだ泥岩が発達する点では咲辺別と一致するが, さらに上位に泥灰岩の団球を多産する比較的介化石の少い泥岩が重なっており, 川端層の侵蝕が南側程著しかったため, 咲辺別ではこの上部がけずり去られたものと思われる。

芦別層と幌内層との関係が侵蝕不整合であることは田代修一 [ 文献 28 ] によって明らかにされた。

V 新第三系

川端層群

本層群は幌内層を不整合に覆って, 上芦別向斜の中央部に狭く分布している。 砂岩と礫岩の瓦層からなる堅硬で風化によく耐える地層を侠有するため, 金剛岳や烏帽子岳などを主峰とする高い山岳を形成している。

幌内層に接する基底部には, 主として拳大の礫からなっている厚さ数 10 cm の礫岩層があり, これから上位 120 m までは砂岩と泥岩の互層で, 炭層を挟有し, 植物化石を包蔵している。 その上位約 60 m は巨大な礫からなる礫岩と砂岩の互層で, さらにその上位は砂岩と泥岩の互層である。

礫岩を構成している礫は大部分珪岩で, 蛇紋岩の礫を含んでいない。

咲辺別の植物化石には次表に示すようなものが知られている。

サキペンペツ化石表
Glyptostrobus europaeus (BRONGNIART)
Metasequoia japonica (ENDO)
Salix SP.
Alnus SP.
Betula SP.
Carpinus miocordata HU et CHANEY
Fagus Antipofi HEER
Ulmus appendiculata HEER
Zelkova Ungeri (ETTINGSHAUSEN)
Acer ezoanum OISHI et HUZIOKA
Acer subpictum SAPORTA
Hemitrapa borealis (HEER)
Marlea ae ualifolia (GOEPPEHT)

又図巾の北東隅をしめて, 小地域に分布する川端層の最下部には その基底に蛇紋岩礫を多量に挟有する地層があり, 澤田秀穂によって広瀬澤層と呼ばれた。 この広瀬澤層の地質時代は紅葉山層に対比されるものと思われる。

VI 第四系

1. 河岸段丘

空知川および芦別川流域には数段の河岸段丘が発達している。 芦別川の南岸では次の4段がみとめられる。

第1段丘 標高 160~140 m
第2段丘 標高 120 m
第3段丘 標高 100 m 最も広い
第4段丘 標高 90 m

芦別川流域ではこの第1段丘が広く分布するだけで, これより低位の段丘はみられない。

2. 現世層

現在の河の流路に沿って砂礫層が分布する。

VII 火成岩

本図幅地内の火成岩としては野花南川流域の丸山に 石英閃緑玢岩が中部蝦夷層群主部中に岩脈として露出するにすぎない。

この石英閃緑玢岩は完晶質斑状構造を呈し, その斑晶には斜長石, 石英及び角閃石があり, 角閃石は緑泥石に変っている。 石基は完晶質微粒状であり, 石英, アルカリ長石および斜長石の集合から成る。 全般に変質が強く 斑晶をなす斜長石は曹長石化作用および絹雲母化作用を受け, また角閃石は緑泥石化作用を受けている。

この岩石の貫入時期については中部蝦夷層群主部堆積後, すなわちギリヤーク世古期以後であること以外には不明である [ 下記の [注] 参照 ]

[注]
この岩石は性質および産状において 空知郡茂尻岸馬内御料地および 雨龍群多度志村幌成に存在するトロンニエム岩に近似しているように思われる。 ちなみにこれらのトロンニエム岩の貫入時期は 三笠亜層群堆積後(恐らくギリヤーク世古期以後) 新第三紀以前であるとされている。

VIII 応用地質

1. 概説

石狩層群中には上位から芦別層, 頼城層, 高根層, 美唄層, 茂尻夾炭層, 夕張層および登川層の7層位にわたって炭層が挟有され, この図巾地域においては, 高根層以外の上記各層中にはよく発達している。 現在三井, 三菱, 北炭, 住友石炭, 雄別, 明治の大手筋6社が企業をいとなんでいるが, 地理的条件が悪くて未だ開発されていない炭層もかなりある。

登川層の炭層は空知背斜東側では西側に比較してその発達が悪く, また八月澤以南でも発達が悪く, 図巾の北部を占める茂尻鉱や三井芦別鉱では4枚の稼行炭層を挟有する。 茂尻夾炭層には1~2層あって全域にわたって広く分布する。 美唄層は石狩層群中もっとも重要な夾炭層で, 空知地区全域にわたって炭層がよく発達するが, この図巾では北西隅の砂川鉱第五坑区域に分布するほか, 空知背斜の東翼には, 高根川から炭山川八月澤をへて咲辺別に到るまで, 稼行炭層を挟有している。 咲辺別澤の澤口近くから 多聞 たもん 岳に向って南にさかのぼる支流にも美唄層のものらしい炭層が存在する。

高根澤の炭層は本図幅内では薄いが, 頼城層には芦別川流域で良好な炭層が挟有され, これを稼行している三井芦別鉱山の飯田坑では炭丈 6 m に達する厚層が存在する。 芦別層中には2~4枚の可採炭層が挟有されている。 本図巾の南半部では芦別川の東側を占めて比較的急傾斜をなして分布するが, 炭山川以北では, 地層の傾斜もゆるくなるとともに 上芦別付近を軸とするゆるい複向斜構造をなすため, 芦別層の詳細な地質構造には未知の点が多い。 この図幅内にある炭鉱で夜行している炭層の属する地層名を第9表に示した。

第9表 稼行炭鉱および稼行夾炭層一覧表

2. 各説

三井鉱山株式会社芦別鉱業所

位置および交通 -- 根室本線下芦別駅から芦別川に沿って南下する三井芦別鉄道(延長 10 km) の西芦別駅と頼城駅がこの炭鉱の主要積出地となっている。 この炭鉱は現在, 芦別川以西の北部区域のー坑と, 南部区域の二坑ならびに芦別川以東の飯田坑で稼行している。

現況 -- 一坑は茨山川上流の美唄層, 若鍋層, 夕張層中の炭層を稼行し, 坑口から茨山川の川口の選炭場までは軌道で積出している。 二坑は番ノ澤上流の美唄層と若鍋層中の炭層を稼行し, 坑口から頼城の選炭場まで延長 1.5 km の軌道によって運搬し, 精炭をここから積出している。

飯田坑は頼城駅の東方 0.5 km に位置し, 頼城層の炭層を採掘しているが, 積出しは最寄の頼城駅から行っている。

現在二坑々内で南向きの坑道の延びはほぼ八月澤まで達しているが, 八月澤以南はまだ稼行されていない。

地質および炭層 -- 一抗, 二抗の重要夾炭層である美唄層以下の地層は, この炭鉱地域では比較的急傾斜で東に傾き, 走向方向によく連続する。 その厚さは炭山川附近では厚いが, それ以南では次第に薄くなって, 八月澤では茨山川の約半分となり, 咲辺別ではさらに薄くなっている。

一坑においては, 美唄層, 若鍋層および夕張層中にいずれも6枚の可採炭層を扶有するが, 二坑では美唄層中に3枚, 夕張層中に1~2枚の可採炭層を扶有するにすぎず, 全般的にみて南部に向って炭層の発達は悪くなる。 炭質は純炭 Cal. で 8,000~8,200 である。

石炭は灰分 3~15 %, 発熱量 4,900~8,000 Cal. で, 瀝青炭に属し, 粘結しない。

三菱鉱業株式会社芦別鉱業所

この炭鉱は上芦別を中心としてその周縁のペンケ川, 下芦別, ならびに六線澤にわたって大小8つの坑口を開いている。 そのうち, 本図幅地域には芦別層中の炭層を稼行している新一坑と西山坑があるだけで, そのほかは歌志内図幅に属している。 西山坑は六線澤までは局部的に稼行しているが, 六線澤以南は未開発である。 新一抗および西山一坑では芦別層の最上部の炭層群(4枚)を稼行しており, 西山二坑では芦別層の中部以下に挟有されている2~3枚の炭層を稼行している。 これらの石炭は発熱量 7,200 Cal., 灰分 6~7 % で, 粘結しない。

明治鉱業株式会社上芦別鉱業所

位置および交通 -- 本鉱業所は空知川を狭んで根室本線上芦別駅の対岸約 1 km の地点にあって, 交通至便である。

地質および稼行状況 -- 稼行炭層は芦別層の最上部の炭層で, 三菱新一坑の稼行炭層と同一層を採掘している。 その走向ほぼ EW, 傾斜 S 10~20°である。 現稼行炭層は4枚で, 上から三番層(* 一番層), 五番層(* 三番層), 十五番層(* 四番上層), 十六番層(* 四番下層)である [ 呼称(* ...)は古く慣用された名称であるが, 最近炭層の番号をあらためた ] 。 このうち三番層, 十五番層および十六番層は炭丈 8 m に達することがある。

石炭は灰分 6~12 %, 発熱量 7,700 Cal.で粘結する。

雄別炭鉱鉄道株式会社茂尻鉱業所

本図幅の北部の一画が茂尻鉱の鉱区範囲に入っているが, この図幅地域内までは未だ開発されていない。 この炭鉱の稼行可能炭層は三井芦別炭鉱ー坑で稼行している炭層の北の延長部にあたり, 一般走向 NS, 傾斜 E 70~80°である。 炭層は夕張層, 茂尻夾炭層, 美唄層のものがよく発達する。 茂尻鉱で稼行している炭層の詳細については歌志内図幅にゆずることとする。

住友石炭鉱業株式会社赤平鉱業所新歌志内炭鉱

木鉱は歌志内線神威駅から南東約 3.2 km にあたる瀧ノ澤下歌志内川の支流の谷間にある。 坑口から神威駅まで空中索道が架設され, 石炭および一般資材を運搬している。

本鉱においては, もつばら登川層中の炭層を稼行している。 現在までに稼行した炭層の数は 11 層にのぼるが, 炭丈の消長がかなりはげしい。 この地域の地層は大落差の傾斜断層によって切られているため, 各地塊毎に掘削計画を樹てている。

石炭は灰分 10~20 %, 発熱量 7,400~6,500 Cal. で粘結する。

北海道炭鉱汽船株式会社空知鉱業所神威鉱

本鉱は歌志内線神威駅の南方 0.5 km にあって交通至便である。

空知背斜は本図幅の北部地域において 東に位置する茂尻背斜と西の神威背斜とにわかれており, 後者の冠部を占める登川層分布地域が, 神威鉱の稼行対象となっている。 上記両背斜の間にあって北に沈降する赤平向斜には茂尻夾炭層と美唄層が発達し, それらの中に多数の稼行炭層が挟有されているが, 本図幅地域には 同向斜の南端をしめて茂尻夾炭層と夕張層とがわずかに分布しているにすぎない。 後者の炭層は空知鉱業所において中層群と呼んでいる。 同鉱業所によって下層群と呼ばれている登川層中の炭層には 9枚以上の稼行炭層が数えられ, いづれも灰分 7~20 %, 発熱量 7,800~6,500 Cal.で, 強粘結性を示す。

三井鉱山株式会社砂川鉱業所

位置及び交通 -- 本鉱は函館本線砂川駅から分岐している上砂川鉄道の終駅 上砂川(砂川・上砂川間 6 km)にある。

本鉱の稼行地域は本図幅の北西部を占めている。 すなわち, 辺毛山・美唄山を結ぶ分水嶺の西側にあって, 晩壮年期の急峻な山間をぬいながらいずれも西流している 上歌志内川, 下歌志内川, 奈江川, 奈井江川, 美唄川の山間部の流域にあたる NS 14 km, EW 4 km の区域である。

現在, 本鉱の運搬および交通に利用されている鉄道および道路は, 上記の上砂川鉄道とこれにほぼ平行している自動車道路であるが, 本図幅内ではもっぱら運搬坑道および軌道が利用され, 道路としてみるべきものがない。 近年函館本線奈井江駅から, 東方奈江川に沿って白山坑まで布設された鉄道は, その後狐澤まで延長されているので, これがさらに東方に向って増設されるならば, その附近は大いに開発が進むことであろう。

現況 -- 本鉱は空知背斜西翼の石狩層群中の炭層を稼行の対象としており, 現在の9ケ坑から出炭しているが, 本図幅にあるものは北から五坑, 三坑, 東山坑, ー坑, 六坑, 二坑および四坑の7ケ坑である。 これらの各坑から出炭された石炭はすべて 運搬坑道または軌道によって上砂川鉄道の終点の上砂川にある選炭場に集められている。

現在稼行しているこれらの坑道は主として晩成澤断層以北の地域に限られ, 同断層以南は未だほとんど稼行されていない(第9表参照)。

地質及び炭層 -- 本鉱では登川層と美唄層の炭層がよく発達している。 夕張層と茂尻夾炭層は歌志内地域に比べてやや発達が悪い。

稼行炭層は登川層中に 11 層, 夕張層中に1層, 茂尻夾炭層中に2層, 美唄層中に7層, 合計 21 層に達する。

しかしながら, 本鉱の美唄層と茂尻層は急傾斜している上 NW-SE 方向の多数の断層によって切断されているため, 各地塊毎に採掘計画をたてている。

この方向の断層は空知地域では普遍的であるが, 空知背斜の西翼では断層が地層の走向と斜交するため, 大落差の傾斜断層となって表われている。 断層の主なるものを北から列記すると, 砂川断層, 空知断層, 晩成澤断層, 狐澤断層, 異人澤断層, 境断層, 清水断層などである。

登川層は一般に緩傾斜であるが, 上記の諸断層に挟まれた各地塊毎にはげしい褶曲をうけて 小規模の背斜と向斜を形成している。 上砂川南東 4 km の御料山付近では, 白要系が登川層上に衝上していることが田代修ーによって明らかにされている [ 文献 28 ] 。 茂尻・新歌志内両鉱の中間にもこれと同様な衝上断層があり, 狐澤断層が奈井江川を横切る付近でもこれと同様な褶曲の傾向を示しているものと思われる。

主要夾炭層中の石炭の灰分・発熱量および粘結性は次のとおりである。

灰分 % 発熱量 Cal. 粘結性
登川層 7~20 6,300~8,000 粘結
夕張層・茂尻夾炭層 8~15 7,500~9,000 粘結
美唄層 5~20 6,800~7,800 粘結

三菱鉱業株式会社美唄鉱業所

本鉱のごく小区域が図幅の南西隅に含まれているにすぎない。 炭層は登川層のものであるが, 本図幅内では末だ稼行されていない。

文献

[A] 白亜系に関する文献

1) M, YOKOYAMA :
Versteinerungen aus der japanischen Kreide. Palaeontogr., Vol. XXXVI, 1890.
2) K. JIMBO :
Beitrage zur Kenntniss der Fauna der Kreideformation von Hokkaido. Pal. Abhand., N. Ser. III, Nr. 3, 1894.
3) H. YABE :
Cretaceous Cephalopoda from the Hokkaido. Jour. Coll. Sci. Imp. Univ. Tokyo, Vol. XVIII. Art. 2, 1902. Vol. XX, Art. 2, 1904.
4) H. YABE :
Ein neuer Ammonitenfund aus der Trigoniasandstein-Gruppe von Provinz Tosa. Sci. Rep. Tohoku Imp. Univ., Ser. 2, Bd. 1, Ht. 5, 1914.
5) 今井半次郎 :
石狩炭田における白亜紀層と夾炭第三紀層(石狩統)との層位的関係 (1)~(5). 地質学雑誌 第 31 巻, 第 364~370 号, 1924.
6) H. YABE :
Cretaceous Stratigraphy of the Japanese Islands. Sci. Rep. Tohoku Imp. Univ., Ser. 2, Vol. II. No. 1, 1927.
7) H. YABE and T. NAGAO :
Cretaceous Fossils from Hokkaido, Annelida. Gastropoda and Lamellibranchiata. Sci. Rep. Tohoku Imp. Univ., Ser. 2, Vol. IX, No. 3, 1928.
8) T. NAGAO :
Sorre Cretaceous Mollusca from Japaneoe Saghalin and Hokkaido (Larrellibranchiata and Gastropoda). Jour. Fac. Sci. Hokkaido Imp. Univ., Ser. IV, Vol. II, No. 1, 1932.
9) 鈴木醇 :
北海道雨龍産トロンニエム岩(Trondhjemite)に就いて. 岩石鉱物鉱床学 第 14 巻, 第 4 号, 1935.
10) 橋本互 :
石狩国空知郡富良野盆地西部山地の地質. 地質学雑誌 第 43 巻, 第 514 号, 1936
11) 長尾巧, 斎藤林次, 松本達郎 :
北海道幾春別川筋白亜系層序の予察(特に Inoceramus の産出順序に就いて). 地質学雑誌, 第 45 巻, 第 533 号, 1938.
12) T. NAGAO :
Sorre Molluscan Fossils from the Cretaceous Deposits of Hokkaido and Japanese Saghalin. Part I, Larrelibranchiata and Scaphopoda. Jour. Fac. Sci. Hokkaido Imp. Univ., Ser. IV, Vol. IV, Nos. 1~2, 1938. Part II, Gastropoda. Ibid. Ser. IV, Vol. IV, Nos. 3~4, 1939.
13) T. NAGA0 and T. MATSUMOTO :
A Monograph of the Cretaceous Inoceramus of Japan. Part I~II. Jour. Fac. Sci. Hokkaido Imp. Univ., Ser. IV. Vol. IV. Nos. 3~4. 1939. Ser. IV, Vol. VI, No. 1, 1940.
14) S. OISHI :
The Mesozoic Floras of Japan. Jour. Fac. Sci. Hokkaido 1mp. Univ., Ser. 1V, Vol. V, Nos. 2~4, 1940.
15) T. MATSUMOTO :
A Note on the Japanese Ammonites belonging to the Subfamily Desmoceratinae. Proc. Imp. Acad. Tokyo, Vol XVII1, No. 1, 1942.
16) T. MATSUMOTO :
A Note on the Japanese Ammonites belonging to the Gaudryceratidae. Proc. 1mp. Acad. Tokyo, Vol. XV1II, No. 10, 1942.
17) T. MATSUMOTO :
A Short Note on the Japanese Cretaceous Phylloceratidae. Proc. Imp. Acad. Tokyo, Vol. XVIII, No. 10, 1942.
18) T. MATSUMOTO :
Fundamentals in the Cretaceous Stratigraphy of Japan. Part I, Mem. Fac. Sci. Kyusyu Imp. Univ., Ser. D, Vol. I. No. 3, 1942. Parts II~III, ibid. Ser. D, Vol. II, No. 1, 1943.
19) 松本達郎 :
日本産 Pachydiscinae の概要(A Note on the Japanese Pachydiscinae). 九州大学理学部研究報告 地質学之部 第 2 巻, 第 1 号, 1947.
20) 坂倉勝彦 :
北海道石狩炭田の地質構造に就いて. 地質学雑誌 第 55 巻, 第 655 号, 1950.
21) 田中啓策, 今井功 :
北海道空知郡芦別川流域の白亜系. 地質学雑誌 第 58 巻, 第 682 号, 1952.

[B] 第三系に関する文献

22) 今井半次郎 :
石狩炭田における夾炭第三紀層の層位地質学的研究. 地学雑誌 第 36, 37 巻, 1924.
23) 長尾巧, 大立目謙一郎 :
Diastrophism からみた石狩炭田. 地質学雑誌 第 45 巻, 第 534~535 号, 1938.
24) 藤岡一男 :
石狩炭田紅葉山付近の所謂中間層について. 矢部教授還暦記念論文 第 2 巻, 1941.
25) 松井愈 :
紅葉山層について. 新生代の研究 第 4 号, 195O.
26) 湊正雄 :
石狩統若鍋層の相について. 新生代の研究 第 6 号, 195O.
27) 松井愈, 高橋進 :
紅葉山階ならびに瀧ノ上階の火山活動. 新生代の研究 第 9 号, 1951.
28) 田代修一 :
石狩炭田の地質構造に関する一考祭. 石炭地質研究 第 1 集, 1951.
29) H. YABE :
Stratigraphical Relation of the Poronai and Ishikari Groups in the Ishikari Coal Field. Hokkaido Proc. Imp. Acad. Tokyo 1951.
30) 高尾彰平 :
石狩炭田における幌内層の層序と地質構造に関する研究. 石炭地質研究 第 2 集, 1952.
31) 武田裕幸 :
芦別町野花南附近の地質. 北海道地質要報 第 15 号, 1950.
32) 三田正一, 小島光夫 :
石狩炭田芦別区高根川流域地質調査の概報. 地質調査所月報 第 1 巻, 第 3 号, 1950.
33) 須貝貫二, 細野實, 久保恭輔 :
空知炭田新歌志内鉱附近調査報告(未公表).
34) 澤田秀穂, 小島光夫 :
北海道石狩炭田空知地区, ノカナン地域地質調査第一次報告. 地質調査所月報 第 3 巻, 第 2 号, 1952.
35) 須貝貫二 :
石狩炭田空知地区(空知炭田) 井華新歌志内鉱における石狩層群基底の耐火粘土層について(未公表)

〔完〕


EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN Scale, 1 : 50,000

KAMI-ASHIBETSU

(Sapporo-6)

By ISAMU SHIMIZU,KEISAKU TANAKA AND ISAO IMAI

(Geological Survey of Japan)


Resume

GEOLOGY

The sheet map area is located at the west side of Yubari Mountain Range in the central Hokkaido, and occupies a mountaineous district, south of Sorachi-gawa.

The area is covered by the Cretaceous, Tertiary and Quaternary sediments. The stratigraphical classification of the sedimentary rocks in this area is summarized on Table 1.

Table 1

I. Cretaceous

[1] General remarks

The Cretaceous strata are widely exposed in the axial part of the Sorachi anticline and occur also in the Nukanan district of the eastern part of the map.

The Cretaceous formation is disconformably overlain by the Palaeogene Ishikari group and is divided into three conformable groups, namely the Middle Yezo group, the Upper Yezo group and the Hakobuchi group in ascending order. The main part of the Middie and Upper Yezo groups are thick series of comparatively fine-grained sediments, whereas the Hakobuchi group and the upper part of the Middle Yezo group are coarse-grained deposits. As to the geologic age, the main part of the Middle Yezo group may be nearly Neomiyakoan (Albian), the upper part of theg roup is almost Palaeogyliakian (Cenomanian), the Upper Yezo group is mainly Neogyliakian-Urakawan (Turoniai1-Senonian (s.s.)), and the Hakobuchi group is chiefly Hetonaian (late Senonian (s.1.)) in the japanese chronologic classification.

Table 2 : Cretaceous Formation in the Kami-ashibetsu Geological Sheet Map

[2] Middle Yezo Group

In the Sorachi anticlinal area, the group is divided by a conformity into the main part and the superjacent Mikasa subgroup. In the Nukanan district it is divided by a conformity into the main part and the superjacent Saku formation.

(1) The main part of the Middle Yezo group in the Sorachi anticlinal area

(a) Stratigraphy

The main part of the group is a flysch-type deposit as a whole and is composed largely of varved sandy shale which usually carries thin layers or laminae of greenish fine sandstone. Considerably thick beds of sandstone, mudstone and thin-bedded alternation of sandstone and shale are present in subordinate amounts, and particularly medium-grained sandstone which is 100-140 meters thick occurs in the middle of this main part. Thin layers of tuff are rarely interbedded. Marly nodules are contained sporadically, and are abundant in some places.

In the eastern wing of the anticline, the exposed part may exceed 500 meters in thickness, although true thickness is unknown on account of folding and faulting. In the western wing, it is over 1300 meters thick, although the lower limit of the group is not exposed in the present field.

(b) Fossil contents and correlation

Mariy nodules are barren of fossils few fossils of ill-preserved bivalves and Cladophlebis sp. are found in country-rocks, but no available fossils for age determination are included. However, Pervinquiera imaii which characterizes Neomiyakoan-Infragyliakian age has been obtained in the Ikusyunbetsu district from the strata which is correlated stratigraphically to the top of the main part of the Middle Yezo group in the present field. Therefore, the main part of the Middie Yezo group in the Sorachi anticlinal area is thought to be nearly Neomiyakoan and may partly range up to Infragyliakian, refering the age of the Mikasa subgroup.

(2) The main part of the Middle Yezo group in the Nukanan district

The thickness is hardly estimated because of the uncertainty of its detailed stratigraphic sequence in this district. Shale, sandy shale, mudstone and sandy mudstone are main constituents. In some places, varved sandy shale and thin-bedded alternation of sandstone and shale are intercalated and rarely thin layers of white bentonitic tuff are present. Marly nodules and fossils are poor, except in some parts. Characteristic Palaeogyliakian fossils such as Desmoceras (Pseudouhligella) japonica, D. (Pseudouhligella) ezoctna, Pachydesmoceas denisni ?, Inoceramus yabe and I. concentricus var. nippnicus are collected from the nodules of marl. Consequently the main part of the Middle Yezo group in this district is younger in age than that of the Sorachi anticlinal area.

(3) Mikasa Subgroup in the Sorachi anticlinal area

(a) Stratigraphy

This subgroup is conformable and shows rapid changes of rock-facies to the under1ying main part of the Miadle Yezo group. It is nearly 200-300 meters thick and is composed mainly of neritic and partly of littoral deposits. Sandstone with various grades of coarseness are predominant, and conglomerate, siltstone and mudstone are subordinate; thin layers of carbonaceous shale and white liparitic tuff arelocally intercalated. Marly nodules are contained in fine sediments. Sandstone is general1y bluish gray, greenish gray, grayish white or partly dark blue, gray and dark gray in colour. It is coarse-grained in the lower and upper parts of the subgroup, whereas fine-graIlied in the middle part.

The thickness of the subgroup exposing in the western wing of the anticline is 220-230 meters, while that in the eartern wing is larger and measures 240-300 meters. Rocks are coarser-grained and changes of facies are more remarkable in the western wing than in the eastern wing. Sandstone is massive and less muddy in the western wing, whereas it is rather stratified and more muddy in the eastern wing. Conglomerate is more predominant in the western wing particularly in its upper part.

(b) Fossil contents and correlation

Sandstone yields Trigonia and some other shallow sea shell fossils, while fine sediments contain ammonites and Inoceramus. The important species from the subgroup are listed in Table (I) and (II) of the end of the report. From these tables, the zone of Desmoceras kossmati and that of Inoceramus concentrics var. nipponicus in ascending order are discriminated in the eastern wing of the anticline while the zone of I. concentrics var. nipponicus in the western wing. The subgroup is almost Palaeogyliakian in age, but the lower-most part in the eastern wing ranges down to Infragyliakian. So the subgroup of the eastern wing is older than that of the western wing.

(4) Saku Formation

This formation is conformable and shows a transitional change of rock-facies to the main part of the Middle Yezo group. The thickness of exposed part is more than 200 meters, although the upper limit of the formation is not observable owing to a great fault. The formation consists chiefly of stratified fine-grained sandstone, thin-bedded aiternation of sandstone and shale, varved sandy shale and sandy mudstone. Marly nodules and fossi1s are sporadic. This formation is Palaeogyliakian in age because of the occurrence of Desmoceras (Pseudouhligella) japonica and has some comparable character of rock-facies to the Mikasa subgroup.

[3] Upper Yezo Group

(1) Stratigraphy

This group is conformable and rapidiy changes in rock-facies to the underlying Mikasa subgroup. It is composed essential1y of comparatively monotonous and dark gray to black mudstone and shale. Siltstone are present in subordinate amounts. Conglomerate, sandstone, tuff and a little calcareous sandstone are included in some places. Fine-grained rocks are rich in mar1y or, in some places, calcareous nodules. Nodules very frequently contain ammonites and Inoceramus. Noduies and fossils decrease in amount from south to north.

There are some differences of rocks between the eastern and western wings of the Sorachi anticline. The thickness of strata is about 1100 meters in the eastern wing, while it is much thinner and is about 350 meters in the western wing. The rocks in the western wing are, as a whoie, coarser-grai!1ed, whereas conglomerate occurs more frequently in the eastern wing. Changes of rock-facies are more remarkable in the western wing than in the other. Glauconitic sandstone is frequently met with in the western wing, whi1e it is scarce in the eastern wing. Taffaceous rock is predominant in the eastern wing, but it is subordinate in the western wing.

In the eastern wing, the middle part of the group is represented by a coarse-grained deposits which is called the Tsukimi formation. This formation bears a remarkable lateral change of rock-facies. It is subdivided into the lower and upper parts. The lower part is composed of fine-grained sandstone or thin-bedded alternation of sandstone and shale. The upper part consists of liparitic tuff and tufaceous sandstone. The equivalent part is also represented by alternation of sandstone, conglomerate and shale. In the group of the western wing, the grades of coarseness becomes greater towards the south. Furthermore the lower part of the group in the both wings are more or less coarser than the upper.

(2) Fossil contents and correlation

The important species of fossiis from the group are shown in the preceding tables. In the group exposed in the eastern wing, five zones respectively of Inoceramus concentricus var. nipponicus, I. hobetsensis, I. uwajimensis and I. japonicus are discriminated in ascending order and, in some part, at the top of the group there is the zone of I. orientalis. The Tsukimi formation in this group is represented by zone of I. uwajimensis. In the group of the western wing, three zones of I. hobetsensis, I. uwajimensis and I. japonics, respectively, are discriminated, and the top of the group in some part is thought to have the zone of I. orientalis. Because of these fossil zones the Upper Yezo group is Neogyliakian to Neourakawan in age on the whole; it ranges down to Palaegyliakian in the eastern wing and the top of the group partly ranges up to Infrahetonian.

[4] Hakobuchi Group

(1) Stratigraphy

This group is conformable and shows a rapid or transitional change of rock-facies with the underlying Upper Yezo group, and is overlain by the Palaeogene Ishikari group with a parallel unconformity.

The group is a deposits of largely neritic and partly littoral origin, and presents a remarkable vertical change of rock-facies. It is composed mainly of saildstone with varing coarseness and is accompanied by cmlglomelate, siltstone, mudstone, shale, liparitic tuff, carbonaceous shale and coal. Sandstone is various, but generally greenish gray in colour. The greenish colour and the rich volcanic (mainly liparitic) materials are characteristic in this sandstone as compared with that of the Mikasa subgroup. Plant fossils are contained in addition to animal remains. Marly nodules are contained sporadically in fine-grained rocks.

The group is subdivided into three parts, namely, the transitional part, the lower formation and the upper formation in ascending order. They are conformable and show rapid changes of rock-facies to each other. The transitional part consists of fine-gained rocks and contains molluscan fossils. This part is locally wanting. The lower formation is a regressive deposit consisting of coarse to medium grained sediments which intercalate coal or carbonaceous shale and contain Nilssonia sp. and other plant fossils. The upper formation is a transgressive sediment and is richer in fine-grained rocks than the lower formation. Both of the lower formation and the upper formation are, as a whole, poor in molluscan fossils.

Although the total thickness of the group is unknown because of the erosion, the exposed part in the eastern wing is 150-270 meters thick, while that in the western wing is smaller and 40-130 meters in thickness. From north to south, the thickness is increasing in the eastern wing, while it is decreasing in the western wing. The rocks are coarser-grained. Conglomerate is more predominant and change of facies is more remarkable in the western wing than the eastern wing. Coal or carbonaceous shale occurs in the eastern wing.

(2) Fossil contents and correlation

The important species collected from the group are given in the preceding tables. The zone of lnoceramus orientalis is present in the transitional part of both wings and the zone of I. schmidti in the lower formation of the western wing. In addition to the molluscan remains, such plant fossils as Cfr. Aneimia femonti KNOWLTON ?, Trochodendroides aretica (HEER) and Nilsonia sp. occur from the upper-most part of the lower formation. The Hakobuchi group is Hetonaian in age as a whole; the transitional part is Infrahetonaian, the lower formation may be Palaeohetonaian and the upper formation may be Neohetonaian.

[5] Geological Structure

The Cretaceous strata together with the Palaeogene Ishikari group suffered tectonic movements in late Tertiary after the deposition of the Miocene Kawabata group. The Cretaceous rocks present, generally speaking, an anticIinorium and a synclinorium pitching to the north. The anticlinorium structure covers a broad area of the central and western part of the present sheet map. The sync1inorium structure occupies the eastern part, its western wing occurring in the Sakipenpetsu-gawa district and its eastern wing in the Nukanan distsict. The Cretaceous domain in here conventionally divided into the Sorachi anticlinal area including the Sakipenpetsu-gawa district, and the Nukanan district.

(1) Sorachi anticlinal area

The Cretaceous rocks present an asymmetrical anticline, two wings of which have different structural features. The inclination of strata is generally steeper in the western wing than to the eastern wing. In the eastern wing, folds with long axes and faults with vertical displacements which result in the omissions or repetitions of strata are predominant. While, in the western wing dome and basin structures due to the folds with short axes are predominant, and faults generally indicate apparent horizontal displacements of strata. The axis of the Sorachi anticline is not single but multiple, and is accompanied by a number of strike faults.

(a) Axial part

The axial part is largely occupied by the main part of the Middle Yezo group, but going northwards younger formations are successively exposed owing to the north-ward pitching of the axis. In the western wing, the strata ordinally incline steeply, i.e. 70°or so, and are frequently overturned, but in the eastern wing the inclination is rather moderate, i.e. less than 60°and the overturnings are less frequent. In the axial part two anticlines and one syncline, at least, are present and moreover local minor folds and strike faults are frequent.

(b) Eastern wing inciuding the Sakipenpetsu-gawa district

Folds and faults are more predominat in the south and some of them change to each other. Some faults have the trends which are nearly parallel to the strikes of strata or the direction of folding axes and others are NW-SE, NE-SW or E-W trends.

The eastern wing is subdivided into five structural units, namely the Ban-no-sawa bending part, the Tsukimi-zawa folding zone, the Porokoashibetsu-gawa block, Ashibetsu-gawa "graben" and the Sakipenpetsu-gawa block. Structural differences are present unit by unit. In the Ban-no-sawa bending part, a remarkable deviation of the strike of strata is shown near the Ban-no-sawa-dake and it is associated with faults of NWW- SEE trend which are originated from the horizontal f1exure of strata. The Tsukimi-zawa folding zone is indicated by a complicated distribution of the Tsukimi formation on account of folding structure. The Porokoashibetsu-gawa block affords two strike faults resulting in the repetition of strata. The Ashibetsu-gawa graben which is bounded by two faults of N-S trends between the Tsukimi-zawa folding zone and the Sakipenpetsu-gawa block is characterized by gentle inclination of strata, local fluted structures, a number of minor folds and strike faults. The Sakipenpetsu-gawa block is subdivided by faults with the trends of NW-SE and NE-SW into several blocks which fall down step by step northwards and westwards. The synclinal axis which runs in the eastern part of this structural unit probably coincides with the axis of synclinorium.

(c) Western wing

In the western wing accessory anticlinal parts and synclinal ones appear alternately, so the distribution of strata is more complicated than in the eastern wing. Dips are general1y of low angles in the anticlinal parts, and rather high angles in the synclinal parts and minor folds are predominant in the former. Besides strike faults, a number of faults with the trend of NW-SE are remarkable. The former faults afford the omission or repetition of strata and the latter faults result in the apparent horizontal displacements of strata. Going to the axial part or to the south, the trends of the latter faults frequently change to NWW-SEE. A local overthrust is present. The western wing includes five structural units, that is, the Utashinai synclinal part, the Shimoutashinai-gawa anticlinal part, the Nae-gawa synclinal part, the Naie-gawa~Bibai-gawa anticlinal part and the west Ponbetsu-gawa synclinl part from north to south.

In the Utashinai synclinal part, a strike fault and several faults with the trends of NW-SE, NWW-SEE and NNE-SSW are present. In the Shimoutashinai-gawa anticlinal part, the strata show the folds of small scales, in the northern area of this part the foldings are intense, and faults with the trend of NW-SE and strike faults are present. The Nae-gawa synclinal part has strike faults and faults with the direction of NW-SE and E-W. The Naie-gawa~Bibai-gawa anticlnal part is characterized by the predominance of dome and basin structures as well as faults with NW-SE trend. In the west Ponbetsu-gawa synciinal part, a normal fault bordering the Hakobuchi group and the Ishikari group is cut by two faults with the direction of NW-SE.

(2) Nukanan district

The Cretaceous rocks in this district which occupies the eastern wing of the synclinorium presents folds, strike faults and faults which intersect the folds and the strike faults. The western border of the district is a remarkable fault.

II Tertiary

[1] Ishikari group

The stratigraphy of the Ishikari group was studied early by H. Imai in 1924, and the group was subdivided into ten formations. Since the study of Imai, many field geologists and palaeontologists engaged in the survey of this coal field.

The Ishikari group is composed mainly of an alternation of sandstone and shale, and it is about 4000 meters in thickness in the Sorachi Coal field. The group contain about three dozen of workable coal seams, and is mainly of the fresh-water deposit, interbedding the brackish-water deposit and marine deposit.

From the standpoint of cycle of sedimentation, the group was subdivided into four substages, and each substage includes two or three formations.

(1) Lower stage

The lower stage consists mainly of sandstone, mudstone and coal seams, and it is about 1000 meters in thickness in the Sorachi coal field.

In the Yubari district, the Horokabetsu formation of the middle part in this stage is mainly composed of massive sandstone which contains fresh water fossils such as Unio sp. and Viviparus sp.

The upper part of the stage is the Yubari formation, and the lower part of the stage is the Noborikawa formation. They intercalate workable coal seams respectively.

In the Utashinai area, the northern part of this sheet map, the Horokabetsu formation is mainly composed of mudstone.

But in the Sunagawa and the Bibai area, it is represented by an alternation of mudstone and sandstone, and it resembles in rock facies to the upper and lower coal-bearing formations.

(a) Noborikawa formation

The formation is constituted of sandstone, sandy shale, mudstone and conglomerate; it intercalates about ten workable coal seams. Sandstone is medium or coarse grained, and is grayish in color, mudstone and sandy shale are dark gray in color. The thickness of the formation is thicker at the west wing of the Sorachi anticline, namely it is 400 meters along the river of Uenshirian-Bibai-gawa, 600 meters along the river of Naie-gawa and 500 meters at Kami-sunagawa. While it is thinner at the east wing of the Sorachi antic1ine, viz. 200 meters at Moshiri, 230 meters at Tanzan-gawa, 100 meters at Hachigatsu-zawa and it abates at Sakipenpetsu.

The lower part of the formation is mainly composed of sandstone and it intercalates workable coal seams. The middle part of the formation is mainly composed of mudstone and the upper part composed of siliceous hard sandstone, and it contains two or three workabie coal seams.

(b) Horokabetsu formation

The formation is mainly composed of siltstone, mudstone and interbedding fine sandstone.

It contains no workable coal seams. The thickness of the formation is about 200 meters or less.

The formation is a fresh water deposit and it contains fossiis such as Unio and plant.

(c) Yubari formation

The formation is an arenaceous depoit and it intercalates sandy mudstone, mudstone and coal seams.

Sandstone is medium or coarse grained, bluish gray or pale gray in color, and massive and compact. Mudstone is dark gray in color, and usually alternates with sandstone, and shows the laminated strata.

The coal seams in this formation are very thin and few seams are workable in this area.

The formation is interbedded by the sandstone containing a rich fossil flora. The description on the fossil flora was made respectively by Dr. S. Endo and Dr. N. Fujioka.

The thickness of the formation is less than 300 meters.

(2) Middle stage

The formations in this stage are brackish and marine deposits. The lower part of this stage is the Wakkanabe formation which contains many marine fossils.

The transgression in this stage is the largest one in the Ishikari epoch.

The upper part of this stage is the Bibai formation. It is the most important coal measure in this coal field and is distributed within the Sorachi Coal Field district.

The lower-most part of the Wakkanabe formation intercalates one or two workable coal seams. And the Wakkanabe formation is divided into two members. The upper half which is a marine deposit is called the Wakkanabe mudstone formation and the lower half is named the Moshiri coal-bearing formation.

(d) Moshiri Coal-bearing formation (lower part of the Wakkanabe formation)

The formation is a coal measure which has marine fossils at the base. The rock facies of the formation shows an intermediate character between the Yubari formation and the Wakkanabe mudstone formation. Sand pipes and fossils such as Corbicula and Geloina are contained in the sandstone. The mudstone shows a striated strata.

Two coal seams are workable in this area.

The thickness of the formation is 60 meters or less.

(e) Wakkanabe Mudstone formation (upper part of the Wakkanabe formation)

The formation is composed of fine sandstone and black mudstone, the latter being dominant.

Mudstone is massive, and black or dark gray in color. It contains marly beds and nodules, enriched of marine fossils.

Sandstone is fine or medium grained, and contains the sand pipes and many glauconite grains.

The thickness of the formation is less than 200 meters.

(f) Bibai formation

The formation is mainly composed of an alternation of sandstone and shale and intercalates many workable coal seams. It is a fresh water deposit and intercalates a brackish deposit.

Sandstone is medium or fine and is pale bluish in color. It has the pebbles of sideritic mudstone.

Mudstone is massive and is pale grayish or dark grayish in color.

In this formation, the laminae of sandstone and siltstone show a striped pattern, which is a characteristic rock facies of this formation.

The coal seam at the top of the formation intercalates many white tuffaceous partings, so the coal seam is a good key bed.

The thickness of the Bibai formation is less than 200 meters.

(3) Upper stage

The deposits of this stage are subdivided to the Akabira, Takane and Raijo formations in ascending order. The Akabira formation is the deposit when the sea transgressed; the Takane formation is the deposit when the sea receded, succeeding to the deposition of the Akabira formation; and the Raijo formation is the deposit when a local transgression occured.

(g) Akabira formation (Lower Corbicula Formaion of Dr. H. Imai)

The formation was lately subdivided by M. Tsutsumi to the following four members in descending order:

(d) Coal-bearing sandstone member
(c) Upper mudstone member (marly deposit) with marly nodules
(b) Shell (Ostrea and Corbicula)-bearing sandstone member
(a) Lower mudstone member (fresh-wafer deposit)

The coal-bearing sandstone member is a deposit of a regressive stage, but as it intercalates sandstones containing fossil Corbicula and coal seams, it is included in the present sheet map in the Akabira formation from the view of rock facies for field use.

The Akabira formation is distributed within the Sorachi coal field. The thickness of the formation is less than 400 meters.

(h) Takane formation

The formation is composed of sandstone and shale in fine alternation, and it contain fossil flora.

Sandstone is hard and is fine or medium grained. It is gray or greenish blue in color and shows ripple marks.

Shale is pale gray or dark gray. It is hard and compact with flinty siltstone.

The formation intercalates coal seams. The thickness of the formation is less than 450 meters.

(i) Raijo formation

The formation is the coal measure. The black mudstone which contains marly nodules at the base.

The formation contains many fossils of Corbicula in sandstone which intercalates workable coal seams. The formation will be correlated to the Ikushunbetsu fomation named by H. Imai. It is 300 meters or less in thickness.

(4) Uppermost stage

The Hiragishi formation, which is lower part of this stage is an arenaceous depodit and it contains many fossils of Corbicula. Sand-pipe beds are rarely interbedded, too.

The upper part of the stage is the Ashibetsu formation. It is composed of an alternation of sandstone and mudstone and it intercalates workable coal seams.

(j) Hiragishi formation (Upper Corbicula Formaticn of H. Imai)

The formation is mainly composed of a alternation of sandstone and mudstone.

Sandstone is gray or dark gray in color, fine grained and bears ripple marks. Mudstone is loose, massive and dark gray in color. The formation contains such fossils as Ostrea and Corbicula in mudstone. The fossil Ostrea generally contained at the lower horizon and the fossil Corbicula is found at the upper horizon of the fomation. The thickness of the formation is less than 500 meters.

(k) Ashibetsu formation

The formation is one of the important coal measures in the Sorachi coal field. It is composed of sandstone, mudstone and coal seams.

Sandstone is pale gray or pale green in color, medium or coarse grained, massive and compact.

Mudstone is dark gray or black, has a laminated stratification, and is always associated with sideritic mudstone.

The fossils of Unio and Viviparus and plant are yielded. The workable coal seams are intercalated at the middle and upper horizon of the formation. The thickness of the formation is less than 450 meters.

[2] Poronai group

The Poronai group in this area is distributed at the east side of the river of the Ashibetsu-gawa and it overlies unconformably on the Ashibetsu formation.

The Poronai group is a marine deposit and it is mainly composed of black mudstone with the so-caIled "green base", glauconitic sandstone, at the base; it contains marly nodules and fossils of shell and foraminifera. The thickness of the group in this area is about 700 meters.

The Poronai group shows a synclinal structure, and it shows an isoclinal folding which dips to southeast at the Kamiashibetsu district along the river of Sorachi-gawa.

The coal-bearing mudstone, the Hirosezawa mudstone by H. Sawata at northeast corner of this sheet will be perhaps correlated to the Momijiyama formation.

[3] Kawabata group

The Kawabata group overlies unconformably on the Poronai group and is distributed on the high-land at the west side of the river of Ashibetsu-gawa. The group is a thick complex of shale, sandstone and conglomerate in alternation.

The basal part of the group is a conglomerate about 1 meter in thickness. The basal conglomerate is overlain by an arenaceous rock of about 50 meters in thickness, containing thin coal seams and fossil plant. The upper-most part of the group is an aIternation of sandstone and conglomerate with huge boulders of oIder rocks.

III Quaternary

[1] Terrace deposit

Along the river of Sorachi-gawa and Ashibetsu-gawa, terrace deposits are distributed.

At the south side of the river of Sorachi-gawa, four river terraces develope, while along the river of Ashibetsu-gawa, only one river terrace is observed.

[2] Flood plain deposit

Along the river of Sorachi-gawa, Ashibetsu-gawa and others, alluvial deposits develope. They are composed of sand and gravel.

IV Igneous Rocks

A small dyke of quartz-diorite-porphyrite cuts the main part of the Middle Yezo group of the Nukanan district. The age of intrusion may be post-Palaeogyliakian and pre-Neogene.

V Economic geology

Coal

The coal is the most important mineral resource in this sheet map area. The Ishikari group intercalates a large number of coal seams which belong to seven coal measures.

Table 3 shows the name of the coal mines and the coal measures.

In this area seven coal mines are working. The exploitation of coal is now being held in rather limited part of the area which have economically favourable conditions; the unfavourable parts for transportation are remained for future exploitation.

Table 3


付表

付表 I 空知背斜東翼におけるアンモナイトおよびイノセラムスの層序的産出
付表 II 空知背斜西翼におけるアンモナイトおよびイノセラムスの層序的産出

付図

付図 I 空知背斜東翼における白亜系の層序総括表
付図 II 空知背斜西翼における白亜系の層序総括表
付図 III 函淵層群柱状対比図
付図 IV 登川層~夕張層対比図
付図 V 若鍋層~赤平層対比図
付図 VI 高根層~芦別層対比図

踏査図

踏査図 I 炭山川流域
踏査図 II 八月澤流域
踏査図 III 月見澤流域
踏査図 VI 芦別川~幌子別川流域
踏査図 V サキペンペツ川流域
踏査図 VI 下歌志内川~奈江川流域
踏査図 VII 奈井江川流域
踏査図 VIII 美唄川流域

昭和28年3月5日印刷
昭和28年3月10日発行
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