03009_1968

5万分の1地質図幅説明書

沼川 ぬまかわ

(旭川 第 9 号)

北海道立地下資源調査所
技術吏員 高橋功二
技術吏員 石山昭三

北海道開発庁

昭和 43 年 3 月


この調査は、 北海道総合開発の一環である、 地下資源開発のための基本調査として、 北海道に調査を委託し、 道立地下資源調査所において、 実施したものである。


目次

はしがき
I. 位置および交通
II. 地形
III. 地質
III.1 地質概説
III.2 地質各説
III.2.1 白堊系
III.2.1.1 上部エゾ層群
i. メナシベツ川層
ii. 九線沢層
iii. 尾蘭内層
III.2.1.2 函渕層群
i. イチャンナイ層
III.2.1.3 白堊系の地質時代と他図幅地域との対比
III.2.2 新第三系
III.2.2.1 曲渕層
III.2.2.2 宗谷夾炭層
III.2.2.3 鬼志別層
III.2.2.4 増幌層
III.2.2.5 稚内層
III.2.2.6 声問層
III.2.2.7 勇知層
III.2.2.8 更別層
III.2.3 第四系
III.2.3.1 恵北層
III.2.3.2 湖成堆積物
III.2.3.3 低位段丘堆積物
III.2.3.4 冲積層
III.3 地質構造
III.3.1 幌延断層より東側の地質構造
III.3.2 幌延断層より西側の地質構造
IV. 鉱産資源
IV.1 石炭
IV.2 石油および構造性天然ガス
引用文献

Résumé (in English)

5万分の1地質図幅説明書

沼川 ぬまかわ

(旭川 第 9 号)


はしがき

沼川図幅および説明書は, 昭和 39 年から同 41 年にいたる 延約 180 日の野外調査の結果を取りまとめたものである。

調査は, 白堊系分布地域は主として高橋が, 第三系・第四系の分布地域は石山・高橋が協力して行なった。

野外調査および取りまとめに当たっては, 北海道立地下資源調査所 長尾捨一博士, 小山内煕 地質科長をはじめ, 多くの方々の御指導, 御協力を賜わった。 特に, 新第三系については, 当所の三谷勝利 燃料科長の調査資料に, 第四系についてはサロベツグループの方々との協同作業におうところが多い。 また新第三系の油田構造について, 石油開発公団 事業本部 札幌出張所の吾妻穣 所長から有益な助言を賜わり, 一部資料の呈供を受けた。

ここに心から感謝の意を表する。

I. 位置および交通

この図幅は, 北緯 45°10'~45°20', 東経 141°45'~142°0' の範囲をしめている。

行政区画では宗谷支庁管内にあり, 大部分は稚内市に属しているが, 南部のメナシベツ川流域は天塩郡 豊富 とよとみ 町に, 東部の小部分は宗谷郡 猿払 さるふつ 村にそれぞれ属している。

この地域の交通網は比較的よく発達している。 すなわち, 鉄道は, 国鉄 天北線が稚内方面より 幕別 まくべつ [ or 声問 こえとい 川 ] にそって南下し, 図幅中央部の沼川付近から東進して脊稜山脈を越えて 鬼志別 おにしべつ 浜頓別 はまとんべつ へ通じている。 道路網は, 道々が沼川市街を中心として, 稚内・鬼志別・豊富の3方面へそれぞれ発達しているほか, 低地, 丘陵地域に農道が, 山地域には林道が発達している。

第 1 図 位置図

II. 地形

図幅地域の地形は, 地質および地質構造を反映して, 大きくみると, (1) 東部地域の山地帯, (2) 西部地域の丘陵および平坦地帯に大別することができる。 なお, 東西両地帯は図幅の中央地域を南北に縦断する 幌延 ほろのべ 断層で境される。

(1) 東部の山地帯

東部の山地帯は脊稜山脈を含み, 標高は低いが, 100~300 m の一般に起伏に富んだ山地形を呈する地帯である。

山地帯は, 図幅の東端にある脊稜山脈と, 山地帯の西部を占め幌延断層にそう山稜とで特徴づけられている。

脊稜山脈は標高が 200 m 以上の山稜が南北に連なり, 250 m を越える山頂が点在している。 最高峰は 295 m である。 この山地は図幅地域の基盤岩層の白堊系からなりたっており, 高い山稜はおもに砂岩層(イチヤンナイ層)で構成されている。 なお脊稜山脈は北方延長へは低く, 南方延長へは高くなる傾向がある。

幌延断層にそう山稜は, 脊稜山脈と同様に標高が 200 m を越え, 南北に連なっている。 最高峰は 259 m である。 この山稜は増幌層の堅い砂岩・礫岩で構成され, 地層の走向とほぼ一致している。

上記の2つの山稜の間には標高 200 m 以下の比較的低い地域がみられる。 地形復元図によると, 標高 150~170 m 以下の凹地が南北にならんで認められる。 この地域は, 白堊系および第三系の比較的軟かい地層(泥岩など)からなりたっている。

(2) 西部の丘陵および平坦地帯

この地帯は一般にゆるやかな丘陵性の地形を呈しているが, 地形的特ちょうから, さらに3つの地域に区分することができる。 すなわち, 丘陵性の山地, 平坦な丘陵性の台地, 主要河川の流路にそう低地の3地域である。

丘陵性山地 : この山地は, 基盤の地質構造を反映し, 油田背斜を形成している, 標高が 200 m 内外の丘陵性山地である。 増幌山地(最高 223.8 m) [ ← 図幅北端の中央やや西の 上声問 かみこえとい 付近 ? ] , サラキトマナイ山地(最高 175 m) [ ← 図幅西端の中央やや北 ? ] , 目梨山地(最高 194.1 m) [ ← 図幅南端の中央やや西 ? ] などがあり, いずれも山稜の方向が北々西 - 南々東を示し, 背斜軸の方向と一致している。 このほか, 西南隅には, 山稜の方向が上にのべた各山地とほぼ同じであるが, 標高が 100 m 内外のやや低い丘陵性の山地がみられる。 この山地は油田背斜を反映するものではなく, 新第三系の硬い砂岩・礫岩層(更別層)で構成されている。

第 2 図 目梨 めなし 山地 [ ← 図幅南端の中央やや西 ? ]

第 3 図 開源 かいげん [ ← 図幅西端の南北中央やや南 ] の西方からサラキトマナイ [ 更喜苫内 ? ] 山地を望む

丘陵性台地 : 東部の山地帯の西側や, 前にのべた丘陵性山地のまわりには, 標高が 30~80 m の比較的平坦な丘陵性の台地が発達している。 これらの台地は, 一見, 平坦面を形成しているようにみえるが, よく観察するとかなり開析されており, 冲積面にむかってゆるやかに傾斜している洪積世の 恵北 けいほく [ Kh ] で構成されている。

河川の流路に沿う低地 : 主要河川の流域には, 比高 10~15 m のよく保存された低位段丘面が発達しており, 段丘砂礫層をともなっている。 幕別川やサロベツ川の流域には, 冲積地が幅広く発達している。 粘土・泥炭からなるもので, 標高が 5~15 m の平坦な面を形成している。 まえにのべた丘陵性台地との境は, ところにより急崖を形成している場合がある。

図幅地域のほとんどの河川は脊稜山脈に源を発し, 西方に流路をとって東部地域の山地を横断し, 西部地域で幕別川, サロベツ川の両河川に統合されている。

それぞれの河川は, 山地では一般に東西性の流路を取って, 南北に連なる山地を横断しているが, 源流地域の小沢には, 基盤の地質構造とほぼ等しい南北性の流路を取るものが多い。

III. 地質

III.1 地質概説

図幅地域の地質系統は第 4 図に要約される。 すなわち, 下位から白堊系・新第三系・第四系である。

第 4 図 模式柱状図

白堊系は, 図幅の東部地域に複背斜構造をつくって分布し, 上部エゾ層群と 函渕 はこぶち 層群とに大別される。

上部エゾ層群は, 岩相および産出化石から, 下位より泥岩を主とするメナシベツ [ 目梨別 ? ] 川層, 砂岩を主とする 九線沢 きゅうせんざわ 層, シルト岩~細粒砂岩を主とする 尾蘭内 おらんない 層に3区分される。 メナシベツ川層は, さらに上中下の三部層に細分される。 産出化石は浦河世からへトナイ世 古期をしめしている。

函渕層群は, 細分することができなかったのでイチャンナイ層として一括した。 主として粗粒砂岩で構成され, 産出化石はヘトナイ世 新期をしめしている。

新第三系は, 白堊系を不整合におおって脊稜背斜の両翼に分布している。 東翼のものは図幅の東北隅にわずか分布しているだけである。 西翼のものは, ほぼ図幅の全域にわたって広い分布をしめしている。 この地域の新第三系は, 幌延断層を境として, 東側のものは, 下位の白堊系とともに複雑な褶曲構造を形成している。 西側のものは, NNW - SSE 方向の雁行した3つの油田背斜 -- 増幌背斜・サラキトマナイ背斜・目梨背斜 -- で特ちょうづけられる。

新第三系は, 岩相および産出化石から, 8層に区分される。 下位より, 砂岩・泥岩で構成され海棲介化石を産する 曲渕 まがりぶち 層, 天北炭田の石炭層を介在する陸成層の宗谷夾炭層, 細粒砂岩を主とし海棲介化石を多産する 鬼志別 おにしべつ 層, 天北油田地域の主要な含油層で砂岩・礫岩・泥岩からなり乱堆積の層相を示す 増幌 ますぽろ 層, いわゆる硬質頁岩で特ちょうづけられる稚内層, シルト岩からなる 声問 こえとい 層, 細粒砂岩を主とする 勇知 ゆうち 層, 礫質の粗粒砂岩からなる 更別 さらべつ 層の8層である。 このうち幌延断層より東に分布する地層は, 曲渕層から増幌層までの地層である。 また幌延断層以西の地域は, 増幌層より上位の地層が分布している。 なお, 地質時代は, 曲渕層から声問層までは中新世をしめし, 勇知層・更別層は鮮新世をしめしている。

第四系は, 洪積層と冲積層とに分けられる。 洪積層は標高 30~80 m の丘陵性台地を構成し, 砂・礫・粘土を主として, 亜炭をはさむ 恵北 けいほく 層, および 河川の流域に比高 10~15 m の平坦面を作って発達している低位段丘礫層とがある。 冲積層は, 現在の冲積面を作っている

III.2 地質各説

III.2.1 白堊系

白堊系は, 図幅の東部地域に複背斜構造を形成して分布している。 上部エゾ層群・函渕層群に大きく2分される。 上部エゾ層群は3層に細分されるが, 函渕層群については細分できなかった。

第 5 図 白堊系柱状図。
a : 砂岩, b : 砂質シルト岩, c : シルト岩, d : 泥岩, e : 凝灰岩, f : 断層

III.2.1.1 上部エゾ層群

上部エゾ層群は, 岩相および産出化石により, 下位からメナシベツ川層・九線沢層・尾蘭内層の3層に区分される。

i. メナシベツ [ 目梨別 ? ] 川層(新称)

模式地 : メナシベツ川の上流

この地層は, 図幅地域の最下部層で, 脊稜山脈の西側にそって南北につらなる脊稜背斜の軸部を構成し, 北は タツニウシナイ川 [ タツニウシュナイ川 ? ] の上流から南はメナシベツ [ 目梨別 ? ] 川の上流地域に分布し, 南接する豊富図幅地域につらなっている。 岩相および産出化石から下部層, 中部層, 上部層に3区分できる。

i.1 下部層 [ Mn1 ]

この部層は, 図幅の東南隅のメナシベツ川の上流地域に, 北に沈む背斜の軸部を構成して分布している。 背斜軸は断層により複雑に転移しているが, ほぼ N - S の方向を有している。 下限は不明である。

この部層は, ほとんど暗灰色, 無層理の泥岩からなっている。 石灰質団球は比較的少ない。 層厚は 450 m + である。

化石は, 図幅内から採集できなかったが, この部層の南方延長にあたる豊富図幅の Cu-a 層から, Inoceramus uwajimensis YEHARA の産出が報告されている [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
このほか Gaudryceras cfr. tenuiliratum YABE, Damesites sp., Polyptychoceras sp. などの報告がある。

i.2 中部層 [ Mn2 ]

この部層は, 図幅東南隅の地域にだけ下部層をとりまいて分布している。 砂質シルト岩と灰白色の砂質凝灰岩との互層からなり, 砂質凝灰岩は, ときに厚さが 20 m にも達することがある。 この部層全体の厚さは 50 m 内外である。 この部層を南方の豊富図幅地域に追跡すると 砂岩・シルト岩からなる Cu-b 層につらなっている。 化石は産出しなかった。

i.3 上部層 [ Mn3 ]

この部層は, 東南隅のメナシベツ川の上流地域では下部層および中部層をとりまいて分布し, また, それより北方の地域では脊稜背斜の軸部を構成して細長く分布している。 タツニウシナイ川上流地域では背斜軸が北に沈降しているため, これより以北の地域ではこの地層が発達していない。 なお, 中部層とは, 灰白色凝灰質砂岩の上限で境した。

この部層は, 全体的に, 暗灰色・無層理のシルト岩で構成され, 白色凝灰岩の薄層をひんぱんにはさんでいる。 時に緑色凝灰岩の薄層もはさむことがある。 石灰質団球は比較的多く, 化石を含むことが多い。 層厚は 700 m 内外である。

化石は, 石灰質団球中のほか, 地層中にも含まれている場合が多い。 特に Inoceramus naumanni YOKOYAMA を多産する。

産出化石は次のとおりである。

Gaudryceras tenuiliratum YABE
Damesites sugata (FORBES)
Tetragonites sp.
Eupachydiscus haradai JIMBO
Inoceramus naumanni YOKOYAMA
I. ezoensis YOKOYAMA
I. cfr. amakusensis NAGAO & MATSUMOTO

ⅱ. 九線沢 きゅうせんざわ 層(新称) [ Ks ]

模式地 : 九線沢の上流

この地層は, 模式地のほか幕別川の上流地域や [ 国鉄 北見線沿いの ] 宇流谷 うるや 川の上流地域に分布しており, メナシベツ川層を軸部とする背斜の両翼にみられる。 下位のメナシベツ川層との関係は整合で, 急激に砂岩が多くなるところから, この地層にふくめた。

この地層は, 緑色の凝灰質砂岩・泥岩・シルト岩および凝灰岩からなりたっているが, 地域により, その層相が異なっており, 水平方向への変化がいちぢるしい。

模式地の九線沢の上流では, この地層は上・下の2つの層相に分けることができる。 すなわち, 下部は, 細礫質の部分をレンズ状にはさむ中~粗粒の板状砂岩と 泥岩・シルト岩のリズミカルな互層である。 上部は, 凝灰質の細粒砂岩とシルト岩からなりたっており, 薄い灰白色の凝灰岩をはさんでいるが, 下部のようにはっきりした互層をしめしてはいない。

このような層相を北方へ追跡すると, この地層は次のように変化している。 天北線の峠付近では, 模式地でみられるような上下の層相に区別することができず, 泥岩・シルト岩の部分が多い板状砂岩との大まかな互層で構成されている。 タツニウシナイ川の上流では, 板状砂岩はみとめられず, 特ちょう的な互層部分が失われ, シルト岩中に砂質の部分が多くなっているだけである。

なお, この地層は, 上にのべた岩相的な特ちょうのほか, 一定層準に Inoceramus schmidti MIC. を産出する特ちょうをもっている。

層厚は, 模式地では 200 m 内外であるが, 天北線の峠付近では 80 m である。

産出化石は次のとおりである。

Canadoceras cfr. kossmati (YABE)
Gaudryceras cfr. tenuiliratum YABE
Inoceramus schmidti MIC.
Petera gigantea (SCHMIDT)

ⅲ. 尾蘭内 おらんない [ Or ]

1951 : 衛藤俊治, 尾蘭内累層
1957 : 小山内煕ほか, 尾蘭内層
1959 : 小山内煕ほか, 尾蘭内層

模式地 : タツニウシナイ川 [ タツニウシュナイ川 ? ] の上流 [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
[ 本図幅の北隣の ] 宗谷図幅内の尾蘭内を模式地として命名されたものであるが, ここにあげた地域は図幅内での模式地である。

この地層は模式地のほかに, 天北線の沿線, 幕別川の上流, 九線沢の上流などに, 下位層を軸部とする背斜構造の両翼に分布している。 模式地のタツニウシナイ川の上流では, いくつもの背斜・向斜をくり返し, ゆるやかな褶曲構造を呈している。

下位の九線沢層との関係は整合で, 九線沢層の砂岩部がシルト質砂岩または 砂質シルト岩(いわゆる「泥クイ砂岩」)に変わるところで境した。

この地層はシルト岩質砂岩を主体とし, シルト岩をはさむ場合がある。 九線沢の上流のこの地層は, 一般に泥質である。 シルト質砂岩は, 風化した場合, 黄褐色を呈し, 玉ネギ状にはげる性質を持つが, 新鮮なものは灰緑色~青灰色をしめしている。 一般に軟質細粒で, 凝灰質である。

石灰質団球は全層準を通じて多くはないが, 時に人頭大以下のものが密集している場合がある。

化石は乏しく, また保存が不良である。 わずかに Metaplacenticeras subtristriatum (JIMBO) らしい 保存不良のアンモナイトと二枚介・巻介の破片を見出しただけである。

層厚は, 450~600 m 内外である。

III.2.1.2 函淵 はこぶち 層群

i. イチャンナイ層 [ Ic ]

1959 : 小山内煕ほか, イチャンナイ層 [ 以下の [注] 参照 ]
[注]
宗谷図幅内のイチャンナイを模式地として命名されたものであるが, ここにあげたのは図幅内での模式地である。

模式地 : タツニウシナイ川 [ タツニウシュナイ川 ? ] の中流

分布は, 大きくみると, 下位の上部エゾ層群を軸部とする背斜構造 -- 脊稜背斜 -- の両翼に分布している。 西翼のものは, 増幌川から幕別川の中流付近まで分布している。 模式地のタツニウシナイ川地域では, 西に傾斜する単斜構造をしめしているが, 宇流谷川の中流地域では, 上位の新第三系とともに向斜構造 -- マクンベツ向斜 [ 以下の [注] 参照 ] -- を形成し, 東西2列の分布が認められる。 東翼のものは, 知来別 ちらいべつ 川の上流地域および鬼志別川の上流地域に発達している [ ← 知来別川と鬼志別川は図幅の北東および東の地域外にあるので, 位置を確認できない ] 。 知来別川の上流のものは, 下位の尾蘭内層を軸部とする背斜構造を形成しているのに対し, 鬼志別川の上流のものは向斜構造を形成している。

[注]
根本・山屋の命名による。

第 6 図 イチャンナイ層の露頭(天北線沿線)

この地層は, 全層を通じ灰緑色の凝灰質砂岩であるが, その岩相から上・中・下部の3つに区別することができる。 下部は板状の灰緑色の中粒砂岩と, やや泥質な中粒~細粒砂岩の互層である。 中部は青灰色の細粒砂岩を主とし, ときにシルト質砂岩(泥クイ砂岩)になる場合がある。 上部は塊状の中粒~粗粒砂岩で, ところにより細礫質になっている。 また灰白色凝灰岩をはさむことがある。

化石は, 下部の互層部と中部の細粒砂岩から Inoceramus shikotanensis NAGAO & MATSUMOTO を産出するほか, 保存の悪い二枚介・巻介などを産出する。

層厚はタツニウシナイ川では 560 m, 鬼志別川上流では 400 m + と算定される。

III.2.1.3 白堊系の地質時代と他図幅地域との対比

図幅内の白堊系の各地層から, 上部白堊系の時代決定・対比に有効な アンモナイト・イノセラムスの化石を採集することができた。 特にイノセラムスは重要な示準化石になり, 従来 白堊系として一括されてきたこの地域の白堊系の細分, 地質時代の決定および周辺地域との対比が可能になった。

白堊系の標準層序では Inoceramus uwajimensis は浦河統 下部階に, Inoceramus naumanni は浦河統 上部階に, Inoceramus schmidti はへトナイ統 下部階に, Inoceramus shikotanensis はヘトナイ統 上部階の下部に多産する。 このことから, 図幅内の白堊系の地質時代は, メナシベツ川層下部層は浦河世 古期に, 同 上部層は浦河世 新期に, 九線沢層および尾蘭内層はへトナイ世 古期に, イチャンナイ層はヘトナイ世 新期にそれぞれ相当する。

周辺の図幅地域の白堊系との対比は, 岩相および化石の産出状況から第 1 表のように考えた。

第 1 表 周辺図幅地域の白堊系対比表

東接する鬼志別図幅との対比は, 同図幅内で化石の産出が乏しく, まだ問題が残されるが, 鬼志別図幅の南ノ沢層を, その産出化石 Eupachydiscus haradai (JIMBO), Inoceramus ezoensis (YOK) からメナシベツ川層の上部層に対比し, またエタンパック層はイチャンナイ層と連続していることにより, 表のように対比した。

III.2.2 新第三系

新第三系は, 白堊系を不整合におおって図幅地域に広大な分布をしめし, 下位より 曲渕層・宗谷夾炭層・鬼志別層・増幌層・稚内層・声問層・勇知層・更別層 の8層に区分される。

III.2.2.1 曲淵 まがりぶち [ Mg ; 以下の [注] 参照 ]

[注]
この地層名は, 最初, 大村一蔵(1928)によって増幌層以下の地層に対し与えられたが, 佐々(1948)により再定義されたものである。
[ 以下は本文 ]
1948 : 佐々保雄, 曲渕層
1966 : 根本隆文・山屋政美, 曲渕層

模式地 : 宇流谷 うるや 川の中流流域

この地層の分布は, 脊稜背斜の東翼では, 知来別川・鬼志別川の各上流に狭長な分布がみとめられる。 西翼では, 増幌川からタツニウシナイ川・宇流谷川の流域にかけて細長く帯状に分布している。 増幌川・タツニウシナイ川では, ほぼ北北西の走向で西に傾く単斜構造で一列であるが, ニタトロマナイ川・宇流谷川の地域では, 上位層・下位層とともに背斜構造・向斜構造を形成し, 3列の帯状分布がみとめられる。 宇流谷川から南方の地域では, 下位の白堊系と上位の宗谷夾炭層が断層で接しているため, 分布がみとめられない。

第 7 図 曲渕層の露頭(ニタトロマナイ川の上流)

曲渕層と白堊系との関係は傾斜不整合で, 白堊系の最上部層のイチャンナイ層の上に基底礫岩をともなって接しているが, ニタトロマナイ川の上流の向斜構造の東翼では, イチャンナイ層を欠除し, 尾蘭内層と接している。 曲渕層とイチャンナイ層とが接している場合には, 両者とも帯緑色の砂岩であるため, 一見 区別しがたいといわれているが, 基底礫岩の発達する地域では, 基底礫岩の下底に波状面がみられ, 両者が比較的 容易に識別できる。 特にタツニウシナイ川流域や宇流谷川流域の国鉄天北線の露頭で明瞭に観察される。

この地層は, 基底礫岩・粗~中粒砂岩・砂質シルト岩・シルト岩・凝灰岩からなっている。

基底礫岩は, 層相の変化がはげしい。 タツニウシナイ川流域およびニタトロマナイ川の中流付近では, 帯緑色の厚さ 30~50 cm ていどの細礫質砂岩であるが, 南方延長の宇流谷川の鉄橋付近では, 厚さが 2 m になり, 礫もやや大きくなっている。 ニタトロマナイ川の上流の, まえにのべた尾蘭内層と接するところでは, 厚さも 10 m に達し, 拳大の亜円礫を持つ顕著な礫岩になっている。 この礫岩は, 脊稜背斜の東翼の鬼志別川流域にもみられる。 礫質は珪岩・砂岩・粘板岩などが多い。

砂岩は, この地層の下部と上部にみとめられる。 下部の砂岩は, 塊状の粗粒~中粒砂岩で, 海緑石をふくみ暗緑色を呈している。 一般に, 凝灰質で浮石片をふくむことが特ちょうである。 ところにより植物の破片をふくんでいる。 上部の砂岩は, 青灰色の中~細粒砂岩で, 層理の発達が比較的 良好である。 ニタトロマナイ川の南方では, この砂岩はみとめられない。

砂質シルト岩およびシルト岩は, この地層の中部をしめている。 暗灰色または灰色で, 一般に凝灰質である。

凝灰岩は, 厚さ 5 m 前後の灰白色・細粒・浮石質の凝灰岩で, まえにのべた砂質シルト岩およびシルト岩中にはさまれている。

層厚は, 西翼の北部地域のタツニウシナイ川で, 最も厚く 350 m であるが, 南方へ漸次 厚さを減じ, ニタトロマナイ川で 140 m, 宇流谷川では 90 m と薄くなっている。 東翼の知来別川では 80 m である。

化石は, タツニウシナイ川流域の基底礫岩および宇流谷川流域の砂質シルト岩中から 保存の悪い二枚介・巻介類を採集したが, 種属を決定することはできなかった。 しかし, 根本・山屋は図幅内の砂質シルト岩中から次のものを報告している。

Portlandia sp.
Venericardia sp.
Orectospia wadana (YOKOYAMA)
Dentalium sp.
Macoma sp.
Yoldia sp.
Periploma sp.

なお, 有孔虫化石については土田定次郎(1957)の研究があり, 図幅内から次のものを報告している。

Haplophragmoidea sp.
Cyclammina incis (OTACHE)
C. japonica ASANO

しかし, 曲渕層の地質時代・対比について, 決め手となる化石の産出がとぼしく, まだ問題が残されている [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
[ 本図幅の北東隣接の ] 知来別 ちらいべつ 図幅の曲渕層から産出した介化石群が [ 留萌市の北方の羽幌町の東部の ] 羽幌炭田地域の 三毛別 さんけべつ 層の介化石群と類似することから, 両者が対比されている(服部(1967))。 最近の石油開発公団の資料によると, 図幅内から産出した介化石のうちに石狩炭田地域の古第三系の 紅葉山 もみじやま 層の化石を含むといわれ, 対比・地質時代について問題が提出されている。

第 8 図 曲渕層・宗谷夾炭層・鬼志別層の柱状対比図。
A : タツニウシナイ川の北支流, B : タツニウシナイ川の南支流, C : ニタトロマナイ川(旧 宗谷炭鉱附近), D : 宇流谷川の北支流, E : 宇流谷川, F : 知来別川の上流,
a : 礫岩, b : 砂岩, c : 泥岩, d : 浮石片, e : 凝灰岩, f : 石炭,
Cr : 白堊紀層, Mg : 曲渕層, Sc : 宗谷夾炭層, On : 鬼志別層, Mr : 増幌層

III.2.2.2 宗谷 そうや 夾炭層 [ Sc ; 以下の [注] 参照 ]

[注]
岡村要蔵(1912)の宗谷炭田夾炭層・ 渡辺久吉(1918)の宗谷層・ 飯塚保五郎(1936)の宗谷夾炭層にほぼ相当するが, 三者とも曲渕層をもふくめている。
[ 以下は本文 ]
1948 : 佐々保雄, 宗谷夾炭層
1966 : 根本・山屋, 宗谷夾炭層

模式地 : 曲渕市街の東方の宇流谷川流域

宗谷夾炭層は図幅の東部地域に南北性の褶曲構造によってくりかえし出現し, 帯状に分布している。

下位の曲渕層との関係は, 基底礫岩をともなって, 不整合関係で接している。 この関係は, [ 国鉄 ] 天北線ぞいに通ずる宇流谷川 林道の切割りやニタトロマナイ川の中流で観察されるが, 両者の間に構造差はほとんどみとめられない。 しかし, 前にのべたように, タツニウシナイ川でみとめられた曲渕層の上部の砂岩を南方へ追跡すると その発達をみなくなること, 曲渕層全体の層厚が南方へ薄くなること, 基底礫岩には曲渕層から由来した砂岩やシルト岩などの礫をふくんでいること, などから不整合による曲渕層の削剥を考えることができる。

宗谷夾炭層は, 主として泥岩および中~細粒砂岩からなりたっており, 礫岩・凝灰岩および石炭をはさんでいる。

泥岩は, 灰色~暗灰色で凝灰岩質である。 風化すると赤褐色の角板状の細片に破砕しやすい。 しばしば菱鉄鉱 [ siderite ] の団塊をふくみ, 植物化石を多産する。

砂岩は, 一般に青灰色の細粒~中粒の凝灰質砂岩で, 下部には細礫質の部分をふくんでいる。 浮石にとんだ軟弱なものである。 しばしば斜層理が発達している。 中部に発達する粗粒中粒砂岩のなかには, かなり堅硬なものもある。

礫岩は, 基底部と下半部に多い。 小豆大から拳大以下の大きさの不揃いな砂岩や泥岩の亜円礫からなっている。 一般にもろく, 風化すると赤褐色の軟質の砂礫層になる。

凝灰岩は, 炭層の上・下盤や泥岩中に発達している。 白色 緻密で, 風化するとベントナイト状になる。

石炭層は, 脊稜背斜西翼では ニタトロマナイ川の旧 宗谷炭鉱より南の地域で 6~10 層の炭層を有するが, 北部では発達が悪い。 東翼の知来別川の上流では 3 層みとめられる。 炭層の厚さは, 厚いもので数 m におよぶものもあるが, 普通 1 m 内外のものが多い。 石炭は, 暗褐色・黒色の褐炭で, 風化すると角板状に剥離しやすい。

宗谷夾炭層の層厚は, 脊稜背斜の西翼では南部に厚く北部に薄い。 すなわち, エメナシオコナイ川 [ ← 図幅地域の南端やや東部の 稲星 いなほし 山の北北西方 1~2 km ] では 300 m であるが, 宇流谷川で 250 m, タツニウシナイ川・増幌川では 140 m 内外, さらに北方の宗谷図幅内のケナシポロ川では 70 m になり, それより北の地域には宗谷夾炭層は発達しない。 また東翼の知来別川の上流では 120 m 内外である。 宗谷夾炭層の層厚変化から考察すると, この地層堆積時の堆積の中心部が南の方向にあったことがうかがわれる。

化石は, 全層を通じて植物化石を多産する。 これらの植物化石については, 大石・藤岡(1941)の研究があるが, 棚井敏雄(1961)は旧 宗谷炭鉱の坑内から 阿仁合 あにあい 型化石植物群の特徴種である次の種を報告している [ 以下の [注] 参照 ]

Glyptstrobus europaus (BRONG)
Alnus kefersteini (GOEP)
Aesulus majus (NAIHORST)
[注]
棚井(1961)は, 阿仁合型(寒冷な気候条件)化石植物群をふくむこの地層を 台島 だいじま 型(温暖な気候条件)化石植物群をふくむ羽幌炭田地域の羽幌夾炭層より 下位の層準としている。 佐藤誠司(1962)は, 花粉化石の研究から, 羽幌夾炭層よりもむしろ上位の層準である築別層の下部含炭層の花粉 (寒冷な気候条件をしめす)と類似しており, 服部による曲渕層・三毛別層の対比から両者の対比が妥当であるとしている。

III.2.2.3 鬼志別 おにしべつ [ On ]

1918 : 渡辺久吉, 鬼志別層
1936 : 飯塚保五郎, 鬼志別 [ 層 ]
1948 : 佐々保雄, 鬼志別層
1966 : 根本・山屋, 鬼志別層

模式地 : 九線沢の中流地域 [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
ここにあげた模式地は, 図幅内に模式的に発達する地域である。

この地層は, 宗谷夾炭層と同様に図幅の東部地域に分布している。

宗谷夾炭層とは不整合関係をしめしている。 不整合面は不規則な波状面を持つことが多く, 基底礫岩が発達している。 しかし構造差はみとめられない。

基底礫岩は, 厚さ数 cm~50 cm ていどで, 北部で厚く, 南部で薄くなる傾向がある。 礫は珪岩・粘板岩などの古期岩類のほか, 下位の夾炭層から由来した砂岩・泥岩の礫や炭礫などである。 指頭大から拳大以下の亜円礫である。

基底礫岩の上部は, 全体として, 青灰色の細粒砂岩からなりたっているが, 暗緑色の中~粗粒砂岩や泥岩をはさむこともある。 下半部の砂岩層には, 海緑石を多量にふくんでいる。

層厚は 80~100 m である。

化石は, 全層にわたって, 二枚介・巻介のほか, 腕足類・単体珊瑚・ウニ・鮫の歯などの化石を比較的豊富にふくんでいる [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
羽幌炭田地域の築別層の化石群に類似している。

産出する主要な介化石は次のとおりである。

Periploma besshoensis (YOKO.)
Portlandia scapha (YOK.)
P. japonica (ADAMS & REEVE)
Macoma optiva (YOK.)
M. tokyoensis (YOK.)
Venercardia sp.
Nuculana sp.
Seripes sp.
Malletia sp.
Turritella sp.

なお, 有孔虫化石について土田定次郎の研究がある。

III.2.2.4 増幌 ますぽろ [ Mp ← 地質図幅の凡例の表記は「Mk」となっていた ]

1928 : 大村一蔵, 増幌層 + 幕別層
1936 : 飯塚保五郎, 増幌層 + 幕別頁岩層
1948 : 佐々保雄, 増幌層
1962・1963 : 三谷勝利ほか, 増幌層
1966 : 根本・山屋, 増幌層

模式地 : 曲渕市街の東方の宇流谷川流域

増幌層の分布は, 大きくみて, 次の3地域がある。 つまり, (a) 脊稜背斜の東翼で, 図幅東北隅の知来別川の上流地域, (b) 脊稜背斜の西翼で, 幌延断層以東の, 北は増幌川から南はメナシベツ川にいたる地域, (c) 幌延断層の西側の増幌山地地域, の3地域である。

(a) の地域は, 下位層とともに半舟底型の知来別向斜を形成し, その軸部に分布している。

(b) の地域は, 図幅内で最も広い分布を占めているが, 構造的にさらに次のように3区分できる。 すなわち, [ b.1 ] 宇流谷川より北の地域で, 下位層とともに西に傾斜する単斜構造を呈しているもの, [ b.2 ] 幕別川から南の地域で, 全体的に向斜構造を呈しているもの, [ b.3 ] 前二者の東側に位置し, マクンベツ向斜の軸部を形成しているものなどである。

(c) の地域は, 南に沈む増幌背斜の軸部を構成している。 なお, (b) の宇流谷川より北の地域および (c) の地域については, 三谷勝利ら(1962 および 1963)の詳細な研究がある。

下位の鬼志別層とは整合関係をしめしている。

第 9 図 宇流谷川流域の曲渕層~増幌層の柱状図(下位より A・B・C 連続柱状)。
a : 砂岩, b : 礫岩, c : 乱堆積相, d : シルト岩, e : 泥岩, f : 凝灰岩, g : 石炭, h : 露頭なし

増幌層は, 泥岩・砂岩・礫岩の互層で構成されており, 間には, しばしば偽層や層間褶曲などの異常堆積物をはさんでいる。 また, (b) の地域の宇流谷川より北の地域, および増幌山地に分布する増幌層は, 上部に暗灰色の泥岩が卓越している。 これは幕別相と呼ばれている。

増幌層は, 水平・垂直方向の岩相の変化がはげしく, 岩相による層序の細分は困なんである。 大まかに, (i) 礫質粗粒砂岩~礫岩の卓越した岩相, (ii) 砂岩・礫岩の互層, (iii) 砂質泥岩・泥岩を主とした岩相, (iv) 泥岩や砂岩の同時礫を持つ乱堆積の岩相 -- この岩相は (b) の地域に特に顕著である -- の4つの岩相に区分することができる。 しかし, それぞれの岩相は, 規則的に累重してはいない。

第 10 図 増幌層の砂岩泥岩互層 [ 上記の岩相 (iii) ? ]

第 11 図 増幌層の乱堆積の層相 [ 上記の岩相 (iv) ]

礫岩は, 一般に指頭大の円礫~亜円礫が多いが, 時に拳大以上の礫もみとめられる。 礫種は, 珪岩・粘板岩・輝緑凝灰岩などの古期岩類が多いが, 白堊系や下位の新第三系からもたらされた泥岩・砂岩・凝灰岩の礫もある。

砂岩は, 粗粒・中粒・細粒と種々の粒度から構成され, 一般に硬いが, 風化面では比較的軟弱になる。 粗粒砂岩は淡灰色を呈し塊状であるが, なかに, いわゆるアルコーズ砂岩状のものや, 浮石をふくむ凝灰岩質のものもある。 中~細粒砂岩は灰青色~暗灰色を呈し, 板状層理が発達する。 細粒砂岩のなかには, 偽層状葉理の発達するものもある。 また, 礫岩・砂岩のなかには, しばしば炭塊や炭片をふくんでいる。

泥岩は, 暗灰色を呈する塊状の砂質泥岩で, 玉葱状構造をしめしていることが多い。

層厚は, 背斜構造・向斜構造および断層により, 全層厚を計測することができない。 しかし, 上部の幕別相の一部をふくめ, ほぼ全層が露出する宇流谷川では, 1,500 m に達している。

化石は, 介化石はほとんど産出しないが, 有孔虫は, 土田によると全層準にわたって産出するといわれている。

III.2.2.5 稚内 わっかない [ Wk ]

1918 : 渡辺久吉, 稚内層
1936 : 飯塚保五郎, 稚内頁岩層
1948 : 佐々保雄, 稚内層
1962・1963 : 三谷勝利ほか, 稚内層

模式地 : 九線沢の下流, 目梨背斜地域 [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
ここにあげた模式地は図幅内で模式的に発達する地域である。

第 12 図 稚内層の露頭(奥目梨背斜)

この地層は, 幌延断層の以西に背斜構造を形成して分布している。 すなわち, (a) 増幌山地の増幌層がつくる増幌背斜の両翼, (b) サラキトマナイ山地のサラキトマナイ背斜, (c) 目梨山地の目梨背斜, (d) 目梨背斜と幌延断層の中間に位置する奥目梨背斜, である。

下位の増幌層との関係は, 図幅内では増幌層を背斜の軸部とする増幌背斜地域にだけみとめられる。 この地域では, 増幌層の泥岩相 -- 幕別相 -- との境は明瞭に区別されるが, 構造差はなく, 整合的である。 しかし, 両者の関係を, 南方の豊富図幅地域に追跡すると, いちじるしい傾斜不整合がみとめられている [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
石田義雄(1930)が主として [ 豊富図幅地域内の ] 幌延の東方(松尾沢付近 [ 位置不明 ] )で, この不整合を指摘している。

稚内層は, 全層を通じ, いわゆる硬質頁岩と呼ばれるものであるが, そのなかに, 灰白色の堅硬な凝灰岩や暗緑色の凝灰質細粒砂岩をはさむ場合がある。

硬質頁岩は, その岩相的特ちょうから堅硬な珪質泥岩で, 割ると小さいやじり状の細片になるもの, 暗灰色のやや砂質または凝灰岩質の硬質頁岩で厚い板状層理をしめすもの, 風化すると淡黄色の年輪状縞模様のできる暗灰色のやや硬い泥岩で, 珪藻類や有孔虫化石をふくみ, 泥灰質団球をともなうもの, などがみとめられる。 稚内層は, これらの岩相が互層したり, 単独で塊状を呈したりするが, 岩相の水平方向への変化がはげしく, その累重関係に規則性がない。

層厚は, 増幌背斜地域の西翼で 420~600 m, 東翼では 380~400 m であるが, そのほかの地域では下限が不明のため計測できない。

化石は, 二枚介・巻介などの介化石や有孔虫化石を産出するといわれるが, 今回の調査では採集できなかった。 三谷らは, 増幌山地のこの地層から次のものを報告している。

Lucinoma acutilineata (CONRAD)
Conchocela bisecta (CONRAD)
Linthia sp.
Cyclammina japonica ASANO

なお, 有孔虫化石については土田の研究がある。

III.2.2.6 声問 こえとい [ Kt ]

1936 : 飯塚保五郎, 声問頁岩層
1948 : 佐々保雄, 声問層
1962・1963 : 三谷勝利ほか, 声問層
1966 : 根本・山屋, 声問層

模式地 : 沼川市街地周辺

この地層は, 幌延断層の西側に広く分布している。

下位の稚内層とは, 増幌背斜地域では, 硬質頁岩の上限を地層の境とするが, サラキトマナイ背斜地域では, 声問層の基底に白色凝灰岩や細礫をともなっている。 また, 奥目梨背斜地域では, 薄い緑色砂岩からこの地層とした。 いずれの地域でも両者の関係は整合である。

声問層は, 全層を通じて灰色・塊状の砂質泥岩からなっている。 まれに, 凝灰質砂岩や浮石質凝灰岩の薄層をはさむことがある。 また, 珪岩や粘板岩などの古期岩類の礫をふくむこともある。

一般に, 声問層の下部はやや硬質の泥岩で構成されているが, 上部になると凝灰質で珪藻類化石をふくみ, 塊状で軟質な砂質泥岩にかわっている。 砂質泥岩は, 風化すると淡灰色になり, 水酸化鉄の浸潤によって黄褐色の年輪状模様ができている。

層厚は 500 m 内外である。

化石は, 珪藻類のほか, 海棲介化石を産出する。 介化石のリストは佐々により報告されているが, 根本・山屋は奥目梨背斜の東翼で次のものを報告している。

Turritella sp.
Acila Kurodai KANEHARA
A. sp.
Thyasira bisecta (CONR)
Macoma tokyoensis MAK.
M. sp.

なお, 有孔虫化石の産出は比較的少ないといわれている。

III.2.2.7 勇知 ゆうち [ Yc ]

1918 : 渡辺久吉, 勇知層
1936 : 飯塚保五郎, 勇知砂岩層
1948 : 佐々保雄, 勇知層
1965 : 三谷勝利・魚住悟・藤江力, 勇知層

模式地 : [ 本図幅地域の西隣の ] 抜海 ばっかい 図幅内の勇知付近

この地層は, 幌延断層の西側にそって, 上声問 かみこととい から 上豊別 かみとよべつ までの地域に, ゆるい舟底型の向斜構造を形成して分布している。 また, 図幅の西南隅には, 北北西の走向で西へ傾斜した帯状の分布がみとめられる。

下位層の声問層とは整合漸移している。 声問層の上部で砂岩の卓越するようになるところから勇知層にふくめた。

この地層は, 青灰色~暗青色・塊状の泥質砂岩および細粒砂岩からなりたっており, 漸次 上位へ粗粒化する傾向がある。 まれに礫質砂岩をレンズ状にはさむ場合がある。

層厚は, 200~250 m である。

化石は, 図幅内では採集できなかった [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
抜海図幅の模式地付近で, 三谷らは次の種を報告している。
Acila sp., Venericardia sp., Mactra sp., Mercenaria stimpsoni (GOULD), Macoma optiva YOK., Turritella fortilirata SOW.

III.2.2.8 更別 さらべつ [ Sb ; 以下の [注] 参照 ]

[注]
「更別層」の地層名は, 渡辺久吉(1918)がサラペツ(砂礫)層としたものに対し, 佐々(1948)が模式地を豊富町 芦川 [ ← 本図幅の西隣の抜海図幅地域の兜沼の南東 2 km ] の東方に指定して 新第三系の最上部層として命名したものである。 しかし, この地層の記載を読むと, むしろあとからのべる恵北層に相当するものである。 三谷らの抜海図幅(1965)で使用した更別層は模式地を抜海の海岸に指定し, 佐々が勇知層とした地層の礫質砂岩の顕著な部分に対しあたえたもので, 模式地の抜海の海岸からは滝川化石動物群に属する海棲介化石を産出し, 佐々の更別層とは明らかにことなっている。 この図幅で更別層とした地層は, 分布が抜海図幅地域から連続しているので, 三谷らにしたがった。
[ 以下は本文 ]
1965 : 三谷勝利ほか, 更別層

模式地 : 抜海図幅内の稚内市 抜海 海岸

この地層は, 図幅の西南隅に, 南西に傾斜した単斜構造で分布している。

下位の勇知層とは整合漸移であり, 含礫砂岩の卓越したところから更別層にふくめた。

更別層は, 茶褐色の礫岩~含礫砂岩と中~粗粒砂岩との互層で, 細粒砂岩の卓越したところもみとめられる。 礫岩~含礫砂岩の礫は, 指頭大の円礫~亜円礫で, ときに挙大のものもある。 礫は, 珪岩や硬砂岩・粘板岩などの古期岩類や白堊系・新第三系から由来した堆積岩類もある。 砂岩は, 偽層層理の発達した軟質のもので, 時に泥岩の薄層を介在することがある。

層厚は 150 m 内外である。

三谷らは, 抜海図幅で, この地層を上下の2部層に区分しているが, この図幅内では区分できなかった。 図幅内の更別層は, 抜海図幅の下部層に相当するものと思われる。

化石は図幅内から, やや西へはずれた, 開源西方の国道のカッティングから保存の悪い二枚介を採集したが, 種属を決定することはできなかった。 なお, 三谷らは, 模式地で多くの化石を採集し, この地層の地質時代について下位の勇知層とともに鮮新世をしめすものとしている [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
三谷らは模式地の抜海 海岸から Mytilus sp., Patinopecten cf. nakatonbetsuensis AKIYAMA, P. spp., Serripes groenlandica (BRUG), Dosinia tatsunokutiensis NOMURA, Dosinia sp., Soletellina (Nuttallia) commonda (YOK.), Panope japonica ADAMS, Spisula voyii (GABB), Mactra sp., Mya cunaieformis BÖHM などを報告し, 北海道主部地域の代表的な鮮新世の化石動物群である 「滝川 - 本別化石動物群」に類似するとのべている。

III.2.3 第四系

図幅内の第四系は, 洪積世の恵北層・湖成堆積物および低位段丘堆積物, 冲積世の冲積層などである。 また, 地質図にはしめさなかったが, 利尻火山の噴出物と考えられる火山灰層も分布している。

III.2.3.1 恵北 けいほく [ Kh ]

1936 : 飯塚保五郎, 沼川層 [ 以下の [注1] 参照 ]
1948 : 佐々保雄, 更別層 + 沼川層 [ 以下の [注2] 参照 ]
1965 : 三谷勝利ほか, 兜沼層
1965 : サロベツグループ, 恵北層 [ 以下の [注3] 参照 ]
[注1]
飯塚の沼川層は, 新第三系の最上部層とし, 従来はサロペツ層(渡辺久吉, 1918)とされた地層に対比している。 地質時代は別にして, 分布や層相はこの図幅の恵北層とほぼ一致している。
[注2]
佐々は, 更別層と沼川層との間に不整合をおき, 前者を鮮新世, 後者を更新世としたが, 両者の直接の関係を記載していない。 なお, 沼川層の模式地とした沼川駅付近の崖には声問層が分布し, 更別層の模式地とした豊富町 芦川の東方地域は, サロベツグループによると恵北層の準模式地として指定されている。
[注3]
サロベツグループの恵北層は, 図幅地域周辺の, 従来の沼川層を再定義したものであり, この図幅中央部の沼川の付近を中心に広く分布する地層については, あまり言及していない。

模式地 : 国鉄 天北線 恵北駅の前の崖(宗谷図幅内)

この地層は, 図幅の中央部地域から西部地域に, 標高 20~80 m の位置に, やや平坦なゆるやかな丘陵地形をつくりながら分布している。

第 13 図 更別層と恵北層との不整合の露頭( 関源 [ 開源 かいげん ? ] の西方 [ 図幅地域外 ? ] )。
Sb : 更別層, Kh : 恵北層

一般に層理の発達が悪いが, ほぼ水平か, それに近い傾斜をもって, 下位のいろいろな地層の構造とは全く無関係にかさなっている。

この地層は, その層相および分布から, 大きく A 相・B 相に2分することができる。

(1) A 相 [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
飯塚・佐々の沼川層に相当するものであろう。

A 相は, 地形の項でのべた東部地域山地帯や, 増幌山地・目梨山地などのやや急峻な山腹が, やや平坦な台地域に移りかわるところに, 標高がほぼ 50~80 m の平坦な緩斜面を構成して発達している。

A 相は, ほとんど礫層からなりたっている。 とくに, 西部山地の タツニウシナイ川 [ タツニウシュナイ川 ? ] からニタトロマナイ川までの山麓部にいちじるしく, この地域では, 人頭大以上の巨礫の発達がみられる。 これらの礫は, 低地にむかって漸次 小さくなる傾向がある。 それと同時に砂層や粘土層をはさむようになり, 次にのべる B 相に連続している。 また偽層層理の発達した砂礫層もみられる。

礫は, 基盤の地質を反映して, 増幌層で構成される東部の山地帯の山麓部では, ほとんど増幌層の礫岩から由来した礫で構成されている。 サラキトマナイ山地や目梨山地の山麓部では, 稚内層や声問層などから由来した硬質頁岩や泥岩の偏平な礫が多い。

厚さは 40 m 内外である。

化石は見出されなかった。

第 15 図 恵北層の柱状図

第 14 図 恵北層 B 相の露頭( 関源 [ 開源 ? ] の西方)

(2) B 相 [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
サロベツグループの恵北層は主としてこの層相を対象としている。

B 相は, 標高がほぼ 40 m 以下の地域にみられる。 この相が良好に発達する地域は, 図幅地域よりもむしろ西隣の抜海図幅地域や北隣の宗谷図幅地域であるが, この図幅地域でも, 樺岡周辺や開源の西方地域によく発達している。

B 相は, 未凝固の砂礫の部分を主体とし, 粘土層・泥炭などをはさんでいる。

砂礫の部分は, 礫層と砂層の互層するもの, 単に砂礫層からなるもの, 偽層をしめすものなどがみられ, 地域により層相はことなっている。 礫層は, 一般に指頭大の礫を主体としているが, 挙大以上の礫をふくむ場合もある。 礫種は, A 相と同じく, 増幌層に由来するもの, 稚内層, 声問層に由来するものなどである。

粘土層は, 一般に青灰色の粘土からなりたっているが, 指頭大から挙大までの礫をふくみ, 礫交り粘土が比較的多い。

泥炭層は, 多くの場合, 粘土の部分に介在している。 大部分がヨシの茎や葉からなり, まれにヤナギ・シラカバの樹枝をふくむ場合もある。 なお, 泥炭層のなかには Meniantes(ミツガシワの種子)や昆虫類(タマムシ, ハサミムシ)の化石をふくんでいる。

層厚は 40~50 m である。

第 16 図 恵北層の層相変化図。
Mp : 増幌層, Kt : 声問層, Yc : 勇知層, Al : 冲積層

恵北層の A・B 両相の相互関係は, 第 16 図にしめしたように側方変化であり, それぞれ次にのべるような堆積環境を表現していると考えられる。 すなわち, A 相は扇状地堆積物など河成堆積物であり, また B 相は湖沼の周辺や湿原の堆積物と考えられる。

地質時代については, サロベツグループが, 泥炭からの化石以外に, 泥炭の花粉分析を行なっている。 この結果, 明確な地質時代を決めていないが, 中位段丘形成期よりも古い古期洪積世の地層であろうと推定している。

第 17 図 地形復元図と恵北層・湖成堆積物の分布との関係図。
a : 恵北層 A 相, b : 恵北層 B 相, c : 湖成堆積物

III.2.3.2 湖成堆積物 [ Lk ]

地形の項でのべた山地帯に, すなわち, 宇流谷川や九線沢の上流地域で, 白堊系や第三系の曲渕層などの地層をおおって, ほぼ水平な軟弱な地層が分布している。 この地層の分布を, 確実に追跡して, 地質図上に表現することはできなかったが, 一応 標高 150~170 m の凹地を埋積した形で発達しているものと考えられる。

この地層は, 未凝固の暗灰色~青灰色のシルト質粘土と, 指頭大の礫をふくむ砂礫層およびレンズ状の礫層とからなりたっており, リズミカルな互層を形成している。 化石はまだ見出されていないが, その層相から湖成堆積物と考えられる。

恵北層との関係は, 今のところ不明であるが, 一応 同時期の堆積物と考えられる。

層厚は 25 m 内外である。

第 18 図 湖成堆積物柱状図(宇流谷川の上流)

III.2.3.3 低位段丘堆積物 [ Dl ]

幕別川の本流および支流(タツニウシナイ川・ニタトロマナイ川・宇流谷川), メナシベツ川の本流・支流(九線沢)などの川岸に段丘を形成して, 段丘礫層が分布している。

段丘礫層は, 増幌層・稚内層・声問層などから由来した礫で構成されている。 礫層の厚さは 5 m 内外である。

III.2.3.4 冲積層 [ Al ]

図幅の西部地域の主要河川, 幕別川やサロベツ川の流域には, 比較的幅広く冲積面を発達させて冲積層が分布している。 冲積層は湿地帯を形成している場合が多く, 主として粘土・泥炭からなりたっている。

第 19 図 幕別川 [ or 声問川 ] 流域の泥炭地

III.3 地質構造

図幅地域の地質構造は, 幌延断層を境いにして, その東側と西側に大きな差異がみられる。 東側のものは, 白堊系および新第三系が褶曲および断層によって複雑な地質構造を呈しているのに対し, 西側のものは, 新第三系の雁行状に配列しているドーム状の3つの油田背斜によって 特ちょうづけられている。

第 20 図 地質構造図。
A : 声問層より上位の地層, B : 稚内層, C : 増幌層, D : 曲渕層・宗谷夾炭層・鬼志別層, E : 白堊系, F : 背斜軸, G : 向斜軸, H : 断層
1 : 幌延断層, 2 : 脊稜背斜, 3 : ウペタン背斜, 4 : 有明背斜, 5 : 知来別向斜, 6 : マクンベツ向斜, 7 : 増幌背斜, 8 : サラキトマナイ背斜, 9 : 目梨背斜

III.3.1 幌延断層より東側の地質構造

(1) 褶曲構造

褶曲構造は, 大局的にみると, 軸部に白堊系が分布している脊稜背斜を中心として, 東側および西側へ, 背斜・向斜をくり返しながらより上位の地層を発達させている。

脊稜背斜は, 脊稜山脈にそって認められる。 一般に北へ沈降する形態をとるため, 南には下位の地層が, 北には上位の地層が順次軸部を構成している。 背斜軸は, 南部では NNE - SSW, 中部から北部では N - S~NNW - SSE の方向で, 断層に切られながらも一応 追跡できる。

脊稜背斜の東側の背斜としては, 知来別川の最上流部地域と幕別川の最上流部地域にみられる背斜が顕著である。 いずれも白堊系が軸部を構成するもので, 背斜軸は脊稜背斜とほぼ平行であるが, 逆に南へ沈降している。

脊稜背斜の西側の背斜構造としては, ウペタン背斜と有明背斜が顕著である。 ウペタン背斜は, 白堊系の最上部層(イチャンナイ層)が軸部を構成し, その両翼に新第三系を分布させている。 明瞭に背斜構造が認められるのは宇流谷川の流域で, ニタトロマナイ川より北方では, 西へ傾斜する単斜構造にかわり, 幕別川より南の地域では, 断層によりはっきりと追跡できない。

有明背斜は, 図幅の南部地域にあり, 宗谷夾炭層が背斜の軸部に分布している。 背斜軸の方向は, ほぼ N - S で, 北へ沈む半ドーム状の形態がみとめられる。 なお, この背斜の西翼部は, 背斜軸とほぼ平行な幌延断層により切られている。

向斜構造として顕著なものには, 知来別向斜・マクンベツ向斜などがある。

知来別向斜は, 脊稜背斜の東側に位置し, 図幅北東隅に認められる。 軸部には新第三系の増幌層までの地層が分布し, ゆるやかな北に開く盆状構造を形成している。

クマンベツ向斜は, 脊稜背斜とウペタン背斜にはさまれた地域にみとめられ, 軸部には新第三系の曲渕層から増幌層までの地層が分布している。 この向斜は, ニタトロマナイ川流域からエメナシオコイ川流域までの地域に, 比較的ゆるやかな, 南北に細長い舟底型の形態をしめしている。

上記の知来別・マクンベツ両向斜のほかに比較的顕著な向斜構造として, [ 国鉄 ] 天北線沿線の脊稜背斜の両翼に認められるものがある。 これらの向斜は, 東翼のものはイチャンナイ層, 西翼のものは尾蘭内層と, いずれも白堊系の分布する地域である。 また幕別川以南の地域で, 幌延断層の東側に分布する増幌層は, 断層によりかなり乱されてはいるが, 全体として一つの向斜構造を形成している。

(2) 断層構造

この地域の断層は非常に複雑である。 しかし, 全体的にみると, 以上の3つの断層群に大きく区分することができる。

(a) 地層の走向と斜交するもの
(b) 地層の走向とほぼ平行なもの
(c) 地層の走向とほぼ直交するもの

(a) の地層の走向に斜交する断層は, さらに NW - SE 方向, NE - SW 方向の2つの断層群に区別することができる。

前者の NW - SE 方向の断層は, 脊稜背斜地域で白堊系の各地層を切り, 後者の NE - SW 方向の断層により切られている場合が多い。 このような断層系統は, 新第三系の曲渕層の堆積前にすでに形成されていたと考えられる。

後者の NE - SW 方向の断層は, 新第三系を切る場合が多い。 特に幕別川 - 宇流谷川流域で ウペタン背斜 - マクンベツ向斜などを切るものが顕著であり, 北部地域と南部地域の新第三系の構造に大きな差異を与えている。 この系統の断層は, 白堊系の分布地域では, 脊稜背斜などの褶曲構造を切り, この地域の地質構造をより複雑なものにしている。

(b) の地層の走向とほぼ平行な断層は, ところにより, 前記の (a) の断層系統と区別しにくい場合もあるが, (a) の2つの断層系統を切っている。 全体的に, ほぼ N - S~NNW - SSE の方向である。 なお, 幌延断層はこの系統の断層で, 洪積世の恵北層におおわれている。

(c) の地層とほぼ直交する断層は, 小規模な胴切り断層で, 落差も小さい。 この系統の断層は, 北部の幌延断層の東側に沿う増幌層や, 南部の有明背斜地域などに顕著にみられる。

III.3.2 幌延断層より西側の地質構造

この地域の地質構造は, 複雑な褶曲や断層により表現されている東側の地域に比べ, 比較的簡単な地質構造を示している。 すなわち, この地域は NNW - SSE の方向に雁行状に配列している 増幌背斜・サラキトマナイ背斜・目梨背斜などの ドーム状の背斜構造で特ちょうづけられている。

これらの背斜構造は, 天北地域の油田構造を形成するもので, その詳細は別項の石油の項 [ IV.2 石油および構造性天然ガス ] で述べるが, その概要は次のとおりである。

図幅の中央北部地域を占める増幌背斜は, 軸部に増幌層が, その両翼に稚内層が分布している。 両翼の傾斜は 50°内外で, ほぼ対称な背斜である。 増幌背斜の西側にあるサラキトマナイ背斜は, 軸部が稚内層からなりたっているもので, 両翼の傾斜が 15°内外のゆるやかな2つの背斜がみとめられる。 図幅の中央部から南部地域に拡がる目梨背斜も軸部が稚内層からなりたっている。 両翼の傾斜は東翼が 30~35°, 西翼が 10~15°の非対称の背斜である。 また, メナシベツ川流域には, 目梨背斜と幌延断層の間に奥目梨背斜がある。 この背斜も軸部が稚内層からなりたっているもので, 背斜の主体は南の豊富図幅内に分布しているが, この図幅内では, 稚内層が北に沈降する背斜の北端がみとめられるにすぎない。

向斜構造は, 上記の各背斜にはさまれた低地域に推定される。 しかし, この低地域は第四系の恵北層や冲積層におおわれ, 向斜構造の確実な形態をとらえることはできない。 特に顕著なものとして, 増幌背斜と幌延断層との間にゆるい舟底型の盆状構造が認められ, 声問層・勇知層が分布している。 この向斜構造は南部地域の奥目梨背斜の東翼まで追跡できる。

西部地域の断層としては, 上にのべた背斜の地域に, 背斜軸にほぼ直交する NE - SW 方向や E - W 方向の小規模な胴切り断層が顕著である。 この断層は, 東側の地域の (c) の系統と同様な断層と考えられる。 このほか顕著な断層としては, サラキトマナイ背斜の西翼に, 背斜軸とほぼ平行な断層が存在する。 この断層の南方延長は冲積層下に埋没され追跡できないが, 東側の (b) の断層系統, すなわち幌延断層と同じ性格を持つものと考えられる。

IV. 鉱産資源

IV.1 石炭

図幅地域は, 古くから天北炭田または宗谷炭田とよばれた産炭地域の一部である。

かつて宗谷炭鉱(ニタトロマナイ川流域)・稚内炭鉱(曲渕)などが盛業していたが, 業界の不振によって閉山, 調査時には, 赤松炭鉱(幕別川流域)・ 有明炭鉱(有明)などが小規模ながら採掘を続けていただけである。

炭層を挾有する宗谷夾炭層は, 幌延断層の東側で脊稜背斜の東翼地域(知来別川の上流), 西翼地域, および有明背斜地域に分布している。 なかでも, 主要な分布は西翼および有明背斜地域である。 なお, この地域については, 根本・山屋の詳細な研究報告がある。

西翼地域

北は増幌川から南はメナシベツ川まで図幅地域を南北に縦断して分布している。

炭層は, 上位から1番層~10 番層までの 10 層が知られているが, 稼行炭層は 5~6 層である。

炭層の発達が最も厚く発達する地域は, 南部の九線沢からエメナシオコナイ川 [ ← 九線沢の南方 1.5 km ] の地域である。 とくに, 7番層(山丈 505 cm, 炭丈 363 cm)・8番層(山丈 520 cm, 炭丈 465 cm)が最も厚い。 しかし, このような炭層条件にもかかわらず, 立地条件が劣悪なため, まだ開発にはいたっていない。

ニタトロマナイ川 [ ← 曲渕の北方 2 km ] から幕別川 [ ← 曲渕の南方 2 km ] にいたる地域では, 7番層より上位の炭層が良好な発達をみせ, 1番層~7番層が, 宗谷炭鉱・稚内炭鉱・赤松炭鉱などで稼行の対象となっている。 稼行炭層は, 一般に山丈 100~300 cm, 炭丈 100~150 cm である。

第 21 図 赤松炭鉱

炭質は, 日本工業規格(JIS M1002)による炭質区分で褐炭に属し, 発熱量は 4,000~5,700 cal., 水分 12~18 %, 灰分 9~20 %(時に 40 % に達するものもある)ていどである。

有明背斜地域

この地域では, 背斜構造を形成しているため, 夾炭層の下限が不明である。 根本・山屋の, 西翼地域との炭層対比によると, 7番層より上位の炭層が発達している。 現在, 有明炭鉱で小規模な採掘を行なっているが, 稼行炭層は, 4番層(山丈 314 cm, 炭丈 225 cm)・5番層(山丈 305 cm, 炭丈 170 cm)・6番層(山丈 338 cm, 炭丈 148 cm)の3層といわれている。

知来別川の上流地域

知来別川の上流地域では, 炭層が3層みとめられる。 西翼地域との炭層対比はまだ確立されていない。 炭層の厚さは, 山丈 108~352 cm, 炭丈 80~250 cm で比較的厚いが, まだ開発にはいたっていない。

IV.2 石油および構造性天然ガス

図幅地域は宗谷油田とよばれ, 増幌背斜・目梨背斜・サラキトマナイ背斜の3つの油田背斜が, それぞれ NNE - SSW 方向の延長性をもって雁行状に配列している。

増幌背斜

増幌層を軸核とする背斜で, 延長は約 9 km, 幅約 4 km で, 傾斜は東翼が 40~50°, 西翼が 50~60°である。 図幅地域にはその南半部が分布し, 背斜軸は南方に沈降している。

この背斜は, 大正 12 年, 村井鉱業(株)により試掘され, 成功をおさめている。 31 の坑井があり, 現在までの総産油量が約 8,000 kl に達する。 現在は廃坑になっている。

産油層は, 深度 200~400 m の増幌層のもので, 深部については日本石油(株)が 1,340 m の試掘を行なったが, 650 m 以下には油層がみとみられなかった。

目梨背斜

この背斜は, 延長約 10 km, 幅約 2 km で, 傾斜は, 東翼が 30~35°, 西翼が 10~15°の非対称の背斜である。 図幅地域は, その北半分が分布している。

増幌背斜と同様, 大正 4 年, 村井鉱業(株)により試掘され成功した。 19 の坑井があって, 現在までの総産油量は 3,000 kl である。 現在では廃坑となっている。

坑井資料によると, 稚内層は深度 200~300 m までで, その下部は増幌層の砂岩・泥岩の互層となっている。 深度 450~550 m の間に含油層がある。 昭和 10 年, 日本石油(株)により 1,419 m の試掘を行ない, 増幌層の深部の探査を行なったが成功していない。

サラキトマナイ背斜

この背斜は, 延長約 12 km, 幅約 8 km の2つの背斜軸を持つ二重背斜で, 両翼の傾斜は 20°前後である。 なお, 西翼には, 走向方向とほぼ同じ方向の断層によって切られている。

この背斜に対する試掘は, 昭和 26 年・27 年, 帝国石油(株)によって, R1 号(1,200.15 m), R2 号(1,208.50 m)の2本が掘さくされたが, いずれもガス徴をみただけで産油にはいたらなかった。

試掘により確められた稚内層は深度 880 m までで, それより以深は増幌層となっている。

なお, 増幌・目梨両背斜の油田水・原油の性状は第 2 表および第 3 表にしめした。

第 2 表 油田水分析表(「北海道石油鉱業の現状と将来」より)

P.H SiO2
(g / l)
Fe2O3
Al2O3
(g / l)
Ca
(g / l)
Na
(g / l)
K HNO3
(g / l)
Cl
(g / l)
I
(g / l)
Br
(g / l)
SO2
(g / l)
CO3
(g / l)
Mg
(g / l)
固形
総量
(g / l)
増幌 8.27 0.024 0.001 0.043 4.7837 - 0.020 6.7574 0.013 0.043 0.012 1.096 0.016 12.892
目梨 7.79 0.044 0.006 0.064 5.5100 - 0.029 6.8325 0.033 0.021 0.006 2.536 0.104 14.568

第 3 表 原油性状表(「北海道石油鉱業の現状と将来」より)

比重 粘度 凝固点
(℃)
硫黄分
(%)
パラフィン分
(%)
残留炭素
(%)
タール分
(%)
泥水分
(%)
色相
30 ℃ 50 ℃
増幌 0.881 56.0 42.4 +5 0.11 4.18 0.118 5.0 0.5 暗青色
目梨 0.895 32.0 30.4 -30 以下 0.179 0.31 0.44 18.8 0.2 濃緑色

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EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN Scale 1 : 50,000

NUMA-KAWA

(Asahigawa - 9)

By Kōji Takahashi and Shōzō Ishiyama (Geological Survey of Hokkaidō)


Résumé

The area of Numakawa sheet map is situated in latitude 45°10' - 45°20' N, and longitude 141°45' - 142°0' E, and is located in the central part of the so-called "Tempoku district" in the northern Hokkaidō.

Topography

The topography of the area is divided into the mountaineous zone in the east, and the hilly and lowland zone in the west. The former includes the backbone range of the Tempoku district, showing relatively low mountains, about 100~300 m above the sea level. The hilly and lowland zone includes low mountains about 200 m in altitude, forming the anticline in the oil fields, and relatively flat hilly plateaus and lowlands about 20~80 m above sea level.

Geology

The geologic succession of this area consists of the Cretaceous, Neogene, and Quaternary formations as shown in Table 1 .

Table 1

Quaternary Alluvium Alluvial Deposits
Diluvium Lower Terrace Deposits
Keihoku Formation / Lake Deposits
Neogene
Tertiry
Pliocene Sarabetsu Formation
Yūchi Formation
Miocene Koetoi Formation
Wakkanai Formation
Masuporo Formation
Onishibetsu Formation
Sōya coal bearing Formation
Magaribuchi Formation
Cretaceous Hakobuchi
Group
Ichannai Formation
Upper
Yezo
Group
Orannai Formation
Kyūsen-zawa Formation
Menashibetsu-
gawa
Formation
Upper member
Middle member
Lower member

1. Cretaceous

The Cretaceous formations form an anticlinal structure in the eastern part, and is divided into the Upper Yezo Group and Hakobuchi Group.

Upper Yezoo Group

Menashibetsu-gawa Formation : This is the lowermost formation in this area, and consists of the lower member chiefly composed of mudstone, the middle member composed of alternation of sandy tuff and sandy siltstone, and the upper member composed mainly of siltstone. Inoceramus uwajimensis found in the lower member indicates the early Urakawan, whereas the upper member has Inoceramus naumanni, and I. ezoensis, showing the late Urakawan.

Kyusen-zawa Formation : This is composed of the alternation of sandstone and siltstone with marked facies changes. Inoceramus schmidti is found.

Orannai Formation : This is composed of sandy siltstone and siltstone. Ill-preserved fossils, probably Metaplacenticeras subtristriatum ? were found. The age is early Hetonaian, same as the Kyusen-zawa Formation.

Hakobuchi Group

Since the Hakobuchi Group in this area cannot be divided into the smaller units, it is called Ichannai Formation as a whole. This formation is mainly composed of medium-coarse-grained sandstone, sometimes intercalating conglomeratic parts. From the presence of Inoceramus sikotanensis the formation is determined as the late Hetonaian.

2. Neogene Tertiary

The Neogene formations are distributed on the both sides of the backbone range, covering unconformably the Cretaceous formations. Those in the eastern side are limited in distribution, whereas those in the western side are well developed in wider area.

Magaribuchi Formation : This is the lowermost Neogene formation in this area, and is composed of the basal conglomerate, medium- to coarse-grained sandstone, and siltstone in ascending order, and many marine mollusca fossils are found in them.

Soya Coal-bearing Formation : This is the only coal-bearing formation in the Tempoku coal-feild and covers unconformably the Magaribuchi Formation with intervening basal conglomerate. The formation is composed mainly of the mudstone and the medium- to coarse-grained sandstone, intercalating tuff beds and coal-seams. Plant fossils are abundant.

Onishibetsu Formation : This lies unconformably on the Soya coal-bearing formation and is composed of fine-grained sandstone, with abundant mollusca fossils.

Masuporo Formation : This is the most extensive formation among the Neogene formations, lying conformably on the Onishibetsu Formation, and is composed of mudstone, sandstone and conglomerate. The formation is characterized by the abnormal sedimentary facies such as false bedding or intraformational folding.

Wakkanai Formation : The formation is composed of the so-called "hard shale". Though this formation has generally a conformable relation to the underlying Masuporo Formation throughout this area, a distinct clino-unconformity is noticed in the southern part of the area. The formation is composed of hard, slighly tuffaceous, siliceous mudstone, and sandy mudstone, with abundant marine mollusca fossils.

Koetoi Formation : This lies conformably on the Wakkanai Formation, and is compored of soft, massive, diatomaceous sandy mudstone. Marine mollusca fossils as well as diatom fosslis are found in this formation.

Yūchi Formation : This lies conformably on the Koetoi Formation and consist s mainly of fine-grained sandstone.

Sarabetsu Formation : This is t h e uppermost Neogene formation, and has only narrow distribution in this area. This lies on the Yuchi Formation with conformity, and consists mainly of conglomeratic sandstone.

The geologic age of the Neogene formations are determined from the fossils in the formations as follows : all formations from the Magaribuchi Formation up to the Koetoi formation are Miocene, and the Yūchi and Sarabetsu Formations are Pliocene in age.

3. Quaternary

Keihoku Formation : This formation is distributed in the relatively flat, hilly lands, about 20~ 80 m above the sea level in the western half of the area mapped, and is divided to A and B facies. The A facies, distributed in the area about 40~80 m in height, is composed of gravel beds with large boulders, whereas the B facies, distributed in the area less than 40 m in height, consists of alternation of sand, gravel and clay beds, sometimes intercalating peat layers. From the Meniantes and insect fossils enclosed in the peats the formation is regarded as older Dilivium in age.

Lake Deposits : They are distributed in the mountaineous land, about 150~170 m above the sea level, in the eastern part of the area. They are composed of rhythimcal alternation of unconsolidated silty clay and fine gravel-bearing sand layers, and are interpreted as the sediments of the same age as the Keihoku Formation mentioned above.

Lower Terrace Deposits : Rivers terraces, about 10 m in elevation are developed along the Makubetsu and Menashibetsu rivers and their tributaries. They are composed of gravel beds and belong to the lower terraces.

Alluvial Deposts : It is distributed along the main streams in the area mapped, sometimes forming swampy land. It consists of clay, peat and recent fluvial deposits.

Geologic structure

The geologic structure of the area mapped is divided into two parts by the Horonobe fault running from north to south in the central part of this area. The eastern part shows a folded structure composed of the Cretaceous and Neogene formations around the backbone anticline. The folded structure is much complicated by many faults, running obliquely, or parallel to, or at right angle with the strikes of the strata. The Horonobe fault, the largest one in this area, runs nearly parallel to the strike, and is covered by the Keihoku Formation of the Diluvium. The western part is characterized by the three oil field anticlines, i.e., Masuporo, Sarakitomanai and Menashi anticlines, arranged in echelon in NNW - SSE direction.

Mineral resources

1. Coal

The area comprises a part of the so-called Tempoku coal field, in which the Soya and Wakkanai coal mines were once operated on large scale. At present only Akamatsu and Ariake coal mines are worked on small scale.

Though the Soya Coal-bearing Formation is distributed on both sides of the Backbone Anticline to the east of the Horonobe fault, the major coal seams are found on its western side.

These are five or six workable seams, about 1~2 m in average thickness, attaining 5 m in maximum. The quality of coal is 5,000 Calories, water content 10~20 % and ash content 5~40 %.

2. Petroleum and Natural Gas

The area mapped belongs to the so-called Soya oil field, and comprises Masuhoro, Menashi and Sarakitomanai Oil field anticlines. Of these the first two anticlines produced oil at one time ; i.e. about 8,000 kl since 1923 at Masuporo anticline, and about 3,000 kl since 1915 at Menashi anticline, but both anticlines produce none at present. Exploration wells were made at Sarakitomanai anticline in 1951~1952, but no oil was obtained.


昭和 43 年 3 月 25 日 印刷
昭和 43 年 3 月 30 日 発行
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