02006_1964
5万分の1地質図幅説明書
(釧路 第 6 号)
北海道立地下資源調査所
技術吏員 三谷勝利
技術吏員 藤原哲夫
技術吏員 石山昭三
北海道開発庁
昭和 39 年 3 月
この調査は, 北海道総合開発の一環である, 地下資源開発のための基本調査として, 北海道に調査を委託し, 道立地下資源調査所において, 実施したものである。
目次 はしがき I. 位置および交通 II. 地形 III. 地質概説 IV. 日高累層群 IV.1 小利別層 V. 根室層群 V.1 活平累層 V.2 川流布累層 VI. 古第三紀層 VI.1 浦幌層群 VI.1.1 留真層 VI.1.2 雄別層 VI.2 音別層群 VI.2.1 大曲層 VI.2.2 茶路層 VII. 第三紀層(時代未詳) VII.1 陸別層 VIII. 新第三紀層 VIII.1 川上層群 VIII.1.1 本別沢層 a) 火山砕屑岩層 b) 泥岩・砂岩層 c) 板状頁岩層 VIII.1.2 仁生層 a) 硬質頁岩・凝灰岩層 b) 砂岩層 c) 硬質頁岩・泥岩層 VIII.1.3 貴老路層 a) 砂岩層 b) 泥岩層 IX. 新第三紀の火成岩類 IX.1 イユダニヌプリ山熔岩 IX.2 安山岩(岩脈) X. 第四紀層 X.1 洪積世地層および同時期火山噴出物 X.1.1 阿寒火山噴出物 a) 外輪山熔岩 b) 熔結凝灰岩 c) 軽石流堆積物 X.1.2 段丘堆積物 a) 第1段丘堆積物 b) 第2段丘堆積物 X.1.3 置戸火山灰層 X.2 冲積世地層および同時期火山噴出物 X.2.1 湖沼堆積物 X.2.2 フップシ火山噴出物 X.2.3 雌阿寒火山噴出物 a) 中マチネシリ噴出物 b) 西山噴出物 c) 北山噴出物 d) ボンマチネシリ噴出物 e) 阿寒富士噴出物 X.2.4 崖錐堆積物 X.2.5 冲積層 XI. 地質構造 1. 褶曲構造 a) 陸別向斜状地域 b) 上螺湾向斜地域 c) 中央地塁構造帯地域 2. 断層 a) 浦幌断層 b) NE - SW 性の断層群 c) NW - SE 性の断層群 XII. 応用地質 XII.1 石炭 XII.2 石油および可燃性天然ガス XII.3 石灰石 XII.4 褐鉄鉱 XII.5 マンガン XII.6 硫化鉄鉱 XII.7 温泉 XII.8 石材 参考文献 Résumé (in English)
5万分の1地質図幅説明書
(釧路 第 6 号)
この図幅説明書は, 昭和 34 年 8 月から昭和 36 年 9 月にいたる間の野外調査の結果を取まとめたものである。
この図幅地域には, 日高累層群に属する古期時代の地層をはじめとして, 上部白堊紀, 古第三紀, 新第三紀にそれぞれ相当する堆積岩および第四紀の火山岩類などの, 多くの地層が発達している。 したがって, これらの地層および火山岩類に関係した, 多岐にわたる鉱産資源が, その規模の大小はあるにせよ賦存されている。 とくに, 南東部地域のオンネトー湖で, 構造性天然ガスの大きな徴候が発見されたことから, 新第三紀堆積岩の分布する地域が, 天然ガス用として, 注目されるにいたった。
野外調査は, 堆積岩の分布地域を三谷と石山が, 火山岩類を藤原が主としておこなった。 そのほか, 先白堊紀の小利別層および陸別層の分布地域の調査を, 北海道立地下資源調査所石炭科長 小山内熙氏に, オンネトー湖の天然ガス調査を, 同所燃料地質部長 長尾捨一, 研究職員 斎藤尚志, 同 松下勝秀の諸氏に, 火山岩類の調査を, 主任研究員 鈴木守, 北海道大学理学部地質学鉱物学教育 相馬恒雄の諸氏に, 古生物学的な観察は, 北海道学芸大学釧路分校 岡崎由夫, 山形大学教育学部地学教室 吉田三郎, 岩石学的な観察は, 地質調査所北海道支所 佐藤博之の諸氏に御援助をうけた。
また, 現地調査に際しては, 足寄町役場, 足寄営林署, 陸別町役場, 阿寒硫黄鉱業株式会社などから御協力を賜わった。
報告にはいるまえに, 明記して, 深謝の意を表する。
この図幅のしめる位置は, 北緯 43°20'~43°30', 東径 143°45'~144°00' の範囲である。
行政上は, その大半が, 十勝支庁管内の足寄町および陸別町に属し, そのほか北東隅が網走支庁の津別町, 南東隅が釧路支庁の白糠町にそれぞれ属している。
交通は, 茂足寄 川にそって, 2級国道が, 陸別川にそって道道が通じているほか, 螺湾 川, 足寄川, 白水 川, フータツアショロ川, ペンケクンベツ川などの主要河川にそって, 町村道および営林署林道が開さくされている。
バス交通は, 足寄市街から上足寄, 茂足寄を通って阿寒湖畔にいたる定期バスが運行しているだけである。
この図幅地域の地形は, 大きくみると, つぎの三つの地形区に区分できる。
これらの地形区は, ほぼ, NNE の延長方向をしめし, また, 北西から南東にむかって, a - b - c - b - a - b - c の順序で配列している。
これらの地形区は, 基盤をつくる地質状態をよく反映している。 すなわち,
a の地形区は, おもに, 2段の河岸段丘堆積物, 置戸 火山灰層および冲積層の発達した地域であって, 新しい平坦化作用による地形状態を残している。
これに対して, b の地形区は, 新第三紀の川上層群, 第三紀の陸別層および日高累層群に属する 小利別 層などをつくる地域である。 この地域では, 長い間にわたって, 削剥や侵蝕を主体にした平坦化作用をこうむってきており, この図幅地域内においては, もっとも古い地形形態を残している。
c の地形区は, ⅰ) 基盤の地質構成は b 区とほとんどかわらないが, 河川の上流地域そのほかの条件から, b 区にくらべて削剥の進行ていどの遅かった地域, ⅱ) 新第三紀末のイコダニヌプリ山熔岩, 第四紀の阿寒火山噴出物, 雌阿寒火山噴出物などの火山岩ないし火山砕屑岩類の発達した地域などである。 とくに, 後者の地域では, 熔岩の流走面をしめす傾斜面をもった火山地形をはっきりと残している。
また, これらの火山地形の末端部付近には, 火山噴出物によって, 河川流路が堰止められてできた湖沼が, ところどころにみられる。
とくに, オンネトー湖は, ポンマチネシリ火山噴出物によって, 螺湾川上流が堰止められた, 周囲約 2.5 km の堰止湖であって, 背後にそびえる, 雌阿寒岳および阿寒富士の勇姿を水面にたたえて, 景勝の地となっている。
この図幅に分布している地層は, 第 3 図にしめしたようなものである。
図幅地域の地質状態は, 大きくみると, その西部と南東部地域に, 第三紀層の基盤をなすジュラ紀~下部白堊紀に属する小利別層と 上部白堊紀に属する根室層群などの先第三紀の地層が相対峙して, それぞれ発達しており, 中央地域にむかって, 順次, 第三紀の上位の地層が分布する, 大きな盆地状形態をなしている。
小利別層は, ほとんど輝緑凝灰岩から構成されており, ときに, 輝緑岩および石灰岩を介在している。
根室層群は, 全層を通じて, 泥岩ないし砂質泥岩の卓越した岩相から構成されている。
この根室層群を不整合におおって, 古第三紀の浦幌層群および音別層群が発達している。
浦幌層群は, 釧路炭田中央地域にくらべて, 地層の発達がいちじるしく貧化しており, さらに, 中央地域における標準柱状 1) の上半部の地層 -- 舌辛層および尺別層 -- を欠如している。
また, 雄別層も, 地域的な薄い累層として発達しているていどである。
音別層群は, 浦幌層群の上に, 不整合に累重しているほか, 後者の発達地域を北西方向に越えて, 小利別層と直接 不整合に重なっている。 この地層は, 砂岩と泥岩から構成された海成堆積層である。
陸別層は, 礫質岩を主構成岩相にした陸成堆積層であって, ときに, 石炭層を介在している。 この地層は, まえにのべた浦幌層群および音別層群の積成盆とは, 基盤地層, 形態および広がりのちがった内陸成 積成盆地内の堆積層である。
中新世の川上層群は, 下部は硬質頁岩と泥岩の互層, 中部は硬質頁岩, 泥岩, 凝灰岩などの互層, 上部は泥質岩相からそれぞれ構成された累層である。 とくに, 中・下部には凝灰質岩相の発達が顕著である。 なお, 西翼側における川上層群の最下部には, 全般的に緑泥化した含角閃石玄武岩質安山岩の熔岩や集塊岩などの岩相が発達している。 この層群は, 全層を通じて, 海棲介化石や有孔虫化石を産出する海成堆積層である。
これら中新世, およびそれより古期の堆積岩相をおおって, 図幅の北部および東部地域に, 火山岩類が広く発達している。 新第三紀鮮新世と思われるイユダニヌプリ山熔岩, 第四紀洪積世前期の火成活動による阿寒火山噴出物, 冲積世のフップシ火山噴出物, 雌阿寒火山噴出物などである。
岩石的には, イユダニヌプリ山熔岩は, 褐色角閃石の斑晶を多くふくむ特徴のある紫蘇輝石普通輝石安山岩であり, 阿寒火山噴出物は, 玄武岩質安山岩, 普通輝石紫蘇輝石安山岩質, 熔結凝灰岩および軽石流であり, 冲積世の火山噴出物は, たまたま, 石英の斑晶をふくむ中性安山岩から, かんらん石をふくむ塩基性安山岩まで, 多種多様である。
このほか, 図幅地域の主要河川の流域にそって, 2段の段丘堆積物が, また, 北西部で第1段丘堆積物をおおって, 置戸火山灰層が, 厚く発達している。
この図幅地域には, 日高累層群上部の空知層群の一部にほぼ対比される, 小利別層が発達している。
模式地 : ペンケクンベツ川流域
分布 : 図幅の西部地域をしめて分布しており, ホルンナイ沢, ペンケクンベツ川, 宇遠別 の沢上流などの地域によく発達している。
構造 : ほぼ, N 30~80°E・20~40°NW の走向・傾斜をしめしており, 土井の沢では, 小規模な波状褶曲をしている。
岩相 : 全層を通じて, 塊状の輝緑凝灰岩から構成されているが, わずかに塩基性火成岩類を介在している。 なお, ホルンナイ沢下流地域では,石灰岩をはさんでいる。
輝緑凝灰岩は, 粗粒から細粒までの凝灰岩, 角礫凝灰岩, 珪質凝灰岩などの岩相をしめしている。
石灰岩は, 暗灰色ないし紅灰色の, 珪酸分にとむもので, ところによっては, 珪質岩と縞状や網目状に互層している。
塩基性火成岩類は, 輝緑凝灰岩中に岩床状や熔岩状に迸入しているが, いずれも小さな岩体である。 岩質上では, スピライト質岩, 曹長石輝緑岩およびかんらん石輝緑岩などがみられる。
化石 : ホルンナイ沢に分布する石灰岩の転石から, つぎの化石が産出した。
層厚 : 断層で寸断されているので, はっきりした層厚はわからないが, 模式地付近では, おおよそ, 800 m 以上の厚さをもっている。
図幅の南東地域に発達している。
この地層は, 隣接図幅地域 2), 4) のこの層群相当層から産出した古生物学上の資料から, 上部白堊紀ヘトナイ世のものと考えられている。
岩相上から, 活平累層, 川流布累層に区分される。
螺湾川支流の6の沢にわずかに分布している。
暗灰色または黒色の泥岩で, 岩質が軟らかく, 風化すると細かく砕けやすい。 円形や扁平状の泥灰質団球をふくんでいる。
化石は産出しなかった。
層厚は, 下限が不明であるが, 400 m 以上に達している。
分布 : 螺湾川支流の8, 9, 10, 11 の各沢, コイカタショロ川支流などに発達している。
構造 : 断層によってかなり転移しているが, 大局的には, 螺湾川支流域では, N 10~40°E・30~50°SE, コイカタショロ川地域では, N 70~80°E・10~20°NW の走向傾斜をもった, 向斜構造 [ 以下の [注] 参照 ] をなしている。
下位層との関係 : 下位の活平累層とは, 泥岩に細粒砂岩をはさんでくる部分で境しており, 地層は整合で累重している。
層相 : 主に, 暗灰色の泥岩から構成されており, 中粒~細粒砂岩層をところどころにはさんでいる。 そして, 砂岩の一部は, 80~100 m の厚層に発達している。
泥岩は, 活平累層を構成するものにくらべて, いく分砂質を帯び, 硬質である。 板状層理が発達している。
泥岩相中には, 灰白色の細粒凝岩の薄層をはさんでいる。
層厚 : 螺湾川支流地域で, 700 m 以上に達している。
この図幅の南東部に, 小規模に分布している。
古第三紀は, 下部の浦幌層群と上部の音別層群とに2分される。
浦幌層群は, 根室層群を微傾斜不整合におおっている含炭古第三紀層であって, 釧路炭田における重要な含炭層をなしている 1) 。 しかし, この図幅地域では, 炭田中央部にくらべて, 地層の発達がいちじるしく貧化しており, その上, 同層群の標準柱状の上半部の地層に当る 舌辛 層および 尺別 層に相当する地層は, まったくみとめられない。
図幅地域は, 浦幌層に相当する地層の発達地域の最北端に当っているが, 地層の発達状態からみて, 釧路炭田の北限の周縁地域であったことが推察される。
音別層群は, 漸新世を示準する海棲介類化石や, 有孔虫化石を産出する海成堆積層である。
この図幅地域には, 浦幌層群の下半部に当る留真層と雄別層の2累層が発達している。
留真層は「赤玉礫岩」と俗称された特徴のある礫岩を主構成岩相にした厚い淡水堆積層である。
雄別層は, 釧路炭田のほぼ全域に広がった重要な來炭層である。 しかし, この図幅地域では, せまい範囲に薄く発達しているにすぎず, 石炭層も一層 介在されているだけである。
分布 : コイボクショコツ川から螺湾川支流の 10 沢の上流にかけて発達している。
構造 : コイボクショコツ川流域では, N 30~70°E・10~30°NW, 螺湾川地域では, N 20~30°W・20~45°NE の走向傾斜をもった向斜状構造をしめしているが, 軸は断層で切られている。
下位層との関係 : 根室層群・川流布累層の上位に不整合で累重しているが, 不整合面は観察できなかった。
岩相 : 全層を通じて, 暗赤色ないし雑色を呈する礫岩や礫質砂岩の卓越した岩相で構成されており, わずかに, 砂岩や泥岩を介在している。
礫岩は, 大礫質から細礫質までの岩相の不規則互層であって, 偽層層理が発達している。
構成礫は, 赤色チャートと黒色粘板岩が多く, ほかに, 緑色や淡飴色の珪質岩, 輝緑凝灰岩, 輝緑岩, 硬質粘板岩, 黒色泥岩, 砂岩などがみられる。 礫は, やや円磨されており, 円磨度は, 4~6 ていど [ 以下の [注] 参照 ] で 5 の範囲にふくまれるものが大部分である。
泥岩は, 紫赤色の色調をもった特徴的な外観をしめしている。
層厚 : コイボクショコツ川で, 220 m 以上の厚さをしめしている。
分布 : コイボクショコツ川最上流で, まえにのべた向斜状構造の東翼側に小さな範囲にかぎられて発達している。
構造 : N 75°E・30°NW の走向傾斜をしめしている。
下位層との関係 : 留真層とは, 厚い礫岩相の上限で境しており, 地層は漸移している。
岩相 : 灰緑色の色調をもった細粒ないし中粒砂岩と暗灰色の泥岩の互層であって, 基低部付近に石炭および炭質頁岩を1枚介在している。 石炭層は, 山丈 80 cm 前後である。
この地層は, コイボクショコツ川で, 700 m の延長範囲にかぎって発達しているもので, そのほかの地域では, 留真層の上位には, 音別層群の地層が重なっている。
この雄別層の貧化および発達の局地化は, 音別層群堆積前の削剥にも, いく分起因しているであろうが, この地層中の石炭層の発達状態にもしめされているように [ 以下の [注] 参照 ] , この地域が浦幌層群の堆積盆地内の周縁部に位置していて, 地層全体の発達状態が不安定であったことが主因であろうと考えられる。
層厚 : 20 m 前後である。
浦幌層群と不整合関係に累重した海成堆積層であって, 粗粒から細粒と岩相の変化する一つの堆積輪廻をしめして累積している。
岩相上から, 下位の大曲層と上位の茶路層に2分される。
この図幅地域では, 音別層群は, 浦幌断層を境して, その東側と西側で基盤地層がまったくちがっている。 すなわち, 前者地域では, 浦幌層群を不整合におおっているが, これに対して, 西側地域では, 日高累層群の小利別層と斜交不整合関係 [ 以下の [注] 参照 ] で接している。
この音別層群の基盤地層の変化は, 音別層群と浦幌層群の堆積当時の両積成盆地の広がりの相違をしめしており, 前者の積成盆地は, 浦幌層群のそれよりも, 北西方向に広がっていたようである。
この図幅で小利別層の上に分布している音別層群は, 隣接する図幅 2) で奥本別層とよんできた地層に相当している。
しかし, この図幅内では, 構成岩相, 産出化石群などが 浦幌層群を不整合におおって発達する音別層群の地層とほぼ一致していることから, 同時期の地層として一括して取扱った。
この地層は, 岩相上から, 大曲層と茶路層とに区分できる。
模式地 : 螺湾川支流6の沢およびコボイクショコツ川上流。
分布 : 螺湾川支流6の沢から3の沢上流にかけた地域および コイボクショコツ川上流地域に発達している。
構造 : 螺湾川地域では, N 10~50°W の走向をもった波状褶曲構造をしめており, また, コイボクショコツ川地域では, N 20~30°E 方向の向斜構造が発達している。
層相 : 全層を通じて, 粗粒から細粒の砂岩が卓越しており, わずかに, 砂質泥岩を介在している。
砂岩は, 灰緑色ないし暗緑色を呈して, やや軟らかい岩相をしめしている。 円磨された細礫や団球をふくんでいる。
螺湾川地域では, 安山岩の小角礫をともなった凝灰質砂岩が部分的にはさまっている。
コイボクショコツ川地域におけるこの地層の基底岩相は, 含礫質の中粒ないし細粒砂岩である。
また, 全地域を通じて, 最上部付近に, 細礫をふくんだ粗粒ないし中粒砂岩を介在している。
化石 : コイボクショコツ川地域では, 全層にわたって化石を産出する。 保存は比較的良い。 産出化石は, つぎのようである。
螺湾川6の沢では, 砂岩および泥岩中から, つぎの化石を産出した。
層厚 : コイボクショコツ川地域では, 100 m 前後, 螺湾川地域では, 下限が断層できられているが, 200 m 以上の厚さをそれぞれしめしている。
模式地 : 螺湾川支流3の沢およびコイボクショコツ川上流。
分布 : 螺湾川3の沢上流およびコイボクショコツ川上流地域に発達している。
構造 : コイボクショコツ川地域では, N 20~30°E 方向の向斜構造をなしており, その西翼では 20~30°, 東翼では 40~50°の傾斜をしめしている。 また, 螺湾川地域では, N 60~70°E・50~55°NW の走向傾斜をしめしている。
下位層との関係 : 下位の大曲層とは, 礫質砂岩から厚い泥岩に岩相の変る部分で境している。
層相 : 全層を通じて泥岩から構成されており, ところどころに砂岩の薄層をはさんでいる。
泥岩は, 暗灰色を呈し, かなり堅硬である。 風化すると, 赤褐色になり, 玉葱状構造を形成している。 ときに, 団球をふくんでいる。
砂岩は, 淡灰色ないし淡緑色の色調をもった中粒から細粒の岩相をしめしている。 やや堅硬で, 板状層理が発達している。
この地層は, 下半部は泥岩が卓越し, 上半部はむしろ砂質泥岩にとむ岩相で構成されている。 そして, 上半部で, 砂岩の薄層をひんぱんにはさんでいる。
化石 : コイボクショコツ川流域から, つぎの化石を産出する。
層厚 : コイボクショコツ川地域で, 440 m 以上の厚さをしめしている。
模式地 : ホルンナイ川流域
分布 : 足寄川から西方の地域に, 広い範囲を占めて発達している。
構造 : 断層によって, いく分乱されているが, ほぼ南北方向の軸の盆状構造をしめしている。 なお, 宇遠別地域では, 小規模な背斜および向斜構造が発達している。 地層は, 10~30°の緩い傾斜をしめしている。
下位層との関係 : 日高累層群の小利別層の上に不整合に累重している。 不整合面は1~2の地点で観察できるが, いずれも, 基底部分には, その下位に直接する基盤岩と同質の, 亜角礫から構成された大礫質礫岩相が発達している。
層相 : 礫岩, 礫質砂岩を主構成岩相として, 粗粒から中粒までの砂岩, 泥岩, 凝灰岩などを介在している。 また, 地域によって, 石炭層を介在している。
礫岩は, 暗緑色から暗紅色の色調をもった軟弱な岩相をしめしている。 一般に, 拳大から小豆大ていどの大きさの角礫や亜角礫から構成されている。 礫の分級は悪く, また, 円磨度は, 3~4 [ 前出 ] のものが大半である。
礫種は, 輝緑岩と赤色チャートがもっとも多く, ほかに, 輝緑凝灰岩, 硬質粘板岩, 粘板岩などをともなっている。 また, ときに石灰岩礫をふくんでいる。
泥岩は, チョコレート色をもった特徴的な岩相をしめしている。 植物化石や炭質物をふくんでいる。
石炭層は, 泥岩と砂岩の互層岩相中に地域によって1枚介在されている。 炭質は, やや粗悪である。
この地層は, 全層を通じて, 礫岩や礫質砂岩がいちじるしく卓越しており, ときどき, 砂岩や砂岩・泥岩互層をはさんでいる。 しかし, 全般的に不均質な累積状態をしめしているので, 地域による岩相変化がいちじるしく, 全域にわたって追跡できるような鍵層はみとめられない。 また, 全層を通じて, 偽層層理が発達している。
石炭層は, 鳥取付近の小沢に露頭がみられるが, 連続性には乏しいようである。
化石 : 石炭の花粉分析の結果は, つぎのようである(岡崎由夫氏による)。 なお, 百分比は, 産出全花粉胞子に対するものである。
| Picea | 13.2 % | |
| Pinus | 11.3 % | |
| Tsuga | 1.2 % | |
| Larix ? | 0.6 % | |
| Taxodiaceae | 4.4 % | |
| Taxodium | 2.5 % | |
| Betula | 10.1 % | |
| Fagus | 4.4 % | |
| Quercus | 22.6 % | |
| Ulmus ? | 0.6 % | |
| Alnus | 0.1 % | |
| Tilia ? | 0.6 % | |
| Zelkora | 0.6 % | |
| Juglans | 3.7 % | |
| Pterocarya | 3.7 % | |
| Carya | 8.0 % | |
| Carpinus | 0.6 % | |
| Miriophyllum | ||
| Umbeluferae | ||
| Equisetum | ||
| Osmunda | ||
| Polypodium | ||
| そのほか種属不明 8 種 | ||
岡崎によると, 陸別層の石炭中の花粉胞子群は, Juglandaceae(クルミ科)で特徴されるものであって, 釧路炭田内に発達する浦幌層群および音別層群の地層の花粉胞子群 5) とは, かなり構成要素がちがっている [ 以下の [注] 参照 ] 。
層厚 : 800 m 以上の厚さをしめしている。
図幅地域に発達する新第三紀の地層としては, 中新世の川上層群がある。
この図幅の中央部および東部地域に広く発達している。
この地層は, 下半部は, 硬質頁岩および凝灰岩を, また, 上半部は, 泥岩を主構成岩相とする海成堆積層である。 全層厚は, 1,500~2,000 m 以上に達している。
なお, 全層を通じて, 火山砕層岩類をひんぱんにはさんでいるが, とくに, 下部の地層中には, 角閃石の斑晶をふくむ基性安山岩が特徴的に発達している。
この地層は, 図幅内では, 北東方向に広がった一つの向斜状構造をとって分布している。 そして, 下位の地層とは, 断層で接しているが, 向斜構造の両翼で, 接する地層がまったくちがっている。 西翼では, 小利別層およびこれに上位する陸別層に接しており, また, 東翼では, 根室層群および音別層群の地層に接している。 このことは, 川上層群の堆積盆地が, これよりも古い時代にあって消滅した性格のちがった二つの積成盆にまたがって, その両積成盆の間に形成されたものであろうことをしめしている。
この地層は, 構成岩相のちがいから, 本別沢層, 仁生層および貴老路層の三つの累層に区分される。
この地層は, まえにのべた向斜状構造の両翼で, 地層の累重状態がちがっている。 東翼では, 下部の泥岩砂岩層と上部の板状頁岩層との累層であるが, 西翼では, 下部には, 火山砕屑岩層が厚く発達し, この上位に板状頁岩層が累重している。 しかも, 西翼側の南部地域では, 板状頁岩層の発達はみられず, 火山砕屑岩層に仁生層が直接重なってきている。
なお, 両翼とも, 最下部の地層は観察できない。
構成岩相上から, 三つの部層に区分される。
模式地 : 宮城付近の足寄川右側支流流域。
分布 : 向斜状構造の西翼部にのみ発達しており, 足寄川およびフータツアショロ川の右側支流の各流域に分布している。
構造 : N 20~50°E・20~40°SE の走向傾斜をもった単斜構造をしめしている。
層相 : 熔岩, 集塊岩, 角礫凝灰岩, 凝灰岩などの火山砕屑岩相を主構成岩とし, 凝灰質砂岩, 泥岩, 硬質頁岩および礫岩などをともなっている。
熔岩は, 淡緑色を呈して, 堅硬である。 いちじるしく緑泥石化をうけている。 がいして, 斑晶は少なく, 完晶質のものが多い。 また, 地域によって岩相に変化がみとめられる。 岩質は, 含角閃石玄武岩~玄武岩質安山岩である。
顕微鏡下の観察では, つぎのようである。
凝灰岩は, 淡灰色の粗しょうな岩相をしめしている。 一般的に浮石礫や安山岩角礫をふくんでいる。
凝灰質砂岩は, 粗粒から中粒の砂岩であって, 塊状の岩相をしめしている。 浮石や安山岩小岩片を多くふくんでおり, その一部は, 緑泥石化して, 暗緑色にかわっている。 また, 緑泥石化された火山岩礫や岩片を多量にふくんだ暗緑色の特徴的な砂岩相がみとめられる。
礫岩は, 拳大以下の亜円礫を凝灰質砂岩で充填した軟弱な岩相をしめしている。 礫は, 輝緑岩, 輝緑凝灰岩, 赤色チャートなどが多いが, 安山岩質の亜円礫もまじえている。
この地層の下部は, 火山砕屑岩類が卓越し, 連続性に乏しい礫岩や浮石質凝灰岩を介在する累層であり, 上部は, 浮石質凝灰岩にとむ凝灰質砂岩, 泥岩, 硬質頁岩などとの互層岩相から構成されている。
なお, 下部層に介在される熔岩は, おもに, 宮城付近から南の地域で発達しており, 北の地域では, 集塊岩や角礫凝灰岩などの岩相に変化している。
化石 : 浮石質凝灰岩から, つぎの化石を産出した。
層厚 : 宮城付近で 260 m 以上の厚さをしめしている。
模式地 : 螺湾川本流上流。
分布 : 向斜状構造の東翼地域に発達しており, 螺湾川上流からオンネトー湖南西岸付近にかけて分布している。
構造 : N 50~60°E・30°± NW の走向傾斜をもった単斜構造をしめしている。
下位層との関係 : 東翼地域では, 下位の地層と断層で接しているので, 直接の累重状態は観察できない。
火山砕屑岩層とは, 分布地域が向斜状構造の両翼でへだたっているので, 直接の関係は明らかでない。 ただ, これらの地層は, 両翼における本別沢層の下部岩相をしめているところから, 同時期の異相であるとも察せられる。 なお, 東翼側では, 火山砕屑岩層に相当するような岩相は, みとめられなかった。
層相 : 暗灰色の泥岩, 硬い板状頁岩, 砂岩, 礫質砂岩, 礫岩などの不規則な互層岩相から構成されている。
砂岩は, 暗緑色の粗粒から中粒の岩相であって, 一部に, 白色の火山性細片を多くふくんだ凝灰質岩相をともなっている。
礫岩は, 黒色粘板岩, 赤色チャート, 輝緑岩などの亜円礫から構成された, やや硬い岩相をもっている。 礫量は割合に少ない。
この地層は, 全般的には, 泥質岩にとんだ砂岩との互層である。 そして, 泥岩中に, 砂粒や砂岩の不規則塊をふくんでいて, かなり不安定な累積状態をしめしている。
板状頁岩は, 上部にわずかに介在している。
化石 : 粗粒砂岩から, Macoma sp. を数個体産出した。
層厚 : 500 m 以上の厚さをしめしている。
模式地 : 螺湾川支流3の沢流域。
分布 : 下位の地層とちがって向斜状構造の両翼にわたって発達しており, 螺湾川上流からポンモアショロ川上流にかけた地域および 足寄川やフータツアショロ川流域に分布している。
なお, 西翼部の鳥取から南の地域では, この地層に相当する岩相はみられず, 火山砕屑岩層の上位には, 仁生層が直接重なっている。
構造 : 東翼の螺湾川地域では, N 50~70°E・20~30°NW, 西翼の足寄川地域では, N 10~40°E・10~30°SE の走向傾斜をしめした大きな向斜状構造をなしている。 そして, フータツアショロ川口付近には, 緩い波状褶曲構造が発達している。
下位層との関係 : 螺湾川流域では, 泥岩・砂岩層に, 足寄川地域では, 火山砕屑岩層にそれぞれ整合に累重している。
層相 : 硬質頁岩の卓越した砂質泥岩との互層であって, 珪質頁岩, 黒色凝灰質砂岩および粗粒ないし中粒砂岩を介在している。
珪質頁岩は, 暗飴色をしめした堅硬な岩相であって, 厚い板状層理が発達している。 この岩相には, 白色の火山性微片をかなりふくんでいる。
黒色凝灰質砂岩は, 粗しょうな塊状の岩相をしめしている。 輝石や角閃石の鉱物片を多くふくみ, また, ところによって, 角礫凝灰岩状の岩相になっている。
この地層は, 東翼の螺湾川地域と西翼の足寄川地域とで, 構成岩相がいく分ちがっている。
螺湾川地域では, 全層を通じて, 板状の硬質頁岩がいちじるしく卓越しており, 下半部に黒色凝灰質砂岩を数枚はさんでいる。
一方, 足寄川流域では, やや硬い砂質泥岩と硬質頁岩の互層累層であって, 堅硬な珪質頁岩や厚さ 10~20 cm ていどの泥質凝灰岩などを, ところどころに介在している。 また, 後者の地域は, 全層を通じて, 凝灰質な岩相をしめしている。
この地層は, 全地域を通じて, 中・上部の地層中に団球をふくんでいる。
化石 : 硬質頁岩や砂質泥岩には, 介類および有孔虫化石をわずかにふくんでいるが, 保存の悪いものが多い。 種属の決定できた化石はつぎのものである。
層厚 : この地層は, 螺湾川地域と足寄川地域とで, 地層の発達がいちじるしくちがっている。
前者の地域は, 下限が断層で切られているが, 盃沢で 350 m 以上, ポンモアショロ川で 600 m 以上の厚さをしめしている。
また, 足寄川地域は, 北部から南部にむかって, 地層の発達は貧化し, 鳥取付近の南の地域では, この地層に相当する岩相はみられない。 層厚は, フータツアショロ川で 200 m, ホルンアショロ川で 160 m 前後をしめしている。
この図幅内で, もっとも広い範囲をしめて発達している。
全層を通じて, 凝灰岩ないし凝灰質岩相を多く介在する地層であって, 中部に特徴のある凝灰質砂岩をはさんでいる。
下位の本別沢層とは, 凝灰岩および堅硬な珪質頁岩をひんぱんにはさんでくるところで境している。 したがって, 仁生層の下限は,かならずしも同時面をしめさない。
岩相のちがいから, 硬質頁岩・凝灰岩互層, 砂岩層, 硬質頁岩・泥岩層の三つの部層に区分できる。
模式地 : 螺湾川支流盃沢流域および足寄川支流 613 点沢流域。
分布 : 螺湾川, 茂足寄川, 足寄川, ホルンアショロ川, 白水川, フータツアショロ川, 陸別川などの本流および支流流域に発達している。
構造 : ホルンアショロ川以南の地域では, N 30~60°E, 以北の地域では, NS~N 20°E の褶曲軸をもった波状褶曲構造をもち, 30°以下の緩い傾斜をしめしている。 なお, 浦幌断層に近いところでは, 50~60°の急傾斜をしめしている。
層相 : 硬質頁岩, 泥岩, 凝灰岩, 珪質頁岩などの岩相から構成されており, ときに, 砂岩を介在している。
凝灰岩には, 浮石にとむ粗しような岩相と, 灰白色をしめしてやや硬い細粒凝灰岩がみとめられる。 前者は, 一般に 2~5 m の厚さで発達しているが, 後者の岩相は, 珪質頁岩と薄く互層しているものが多い。 また, 粗粒岩相の一部に, 緑泥石化をうけて緑色凝灰岩に似た岩相にかわっているものがみとめられる。
岩質は, 石英安山岩質である。
硬質頁岩や泥岩は, 下位の本別沢層の構成岩にくらべて, かなり凝灰質である。
この地層は, 地域によって, 地層の累重状態にかなりのちがいがみとめられる。
模式的に発達する螺湾川支流の盃沢では, 最下部の厚さ 100 m 前後の部分は, 珪質頁岩の卓越した硬質凝灰岩, 硬質頁岩, 泥岩などの互層である。 そして, この上位に, 厚さ 70 m 前後の含浮石凝灰質粗粒砂岩にとむ砂質泥岩との互層岩相が, さらに, 上位には, 浮石質粗粒凝灰岩をひんぱんにはさんだ硬質頁岩, 硬質細粒凝灰岩, 泥岩などの互層岩相が厚く累重している。
これに対して, この北東方のポンモアショロ川地域では, 中部の粗粒砂岩にとむ岩相や珪質頁岩相はほとんど発達しておらず, 全層を通じて, 砂質泥岩や泥岩にとむ硬質頁岩との互層累層をなしている。 そして, 浮石質や細粒質の凝灰岩薄層を多くはさんできている。
また, さらに東方のワッカピリカ川地域では, 凝灰質岩を特徴的にはさんでいるこの部層は, 発達していないようである。
一方, 西翼部のこの地層は, 硬質頁岩, 泥岩, 硬質細粒凝灰岩などの厚薄互層から構成されており, とくに, 下部には珪質頁岩, 上部に浮石質凝灰岩をかなり多くはさんでいる。 この地層は, 全域を通じて, 凝灰質岩相が顕著である。 とくに, 中下部には, 硬質細粒凝灰岩を, 上部には, 浮石質粗粒凝灰岩を, それぞれ特徴的にはさんでいる。
また, 全層にわたって, 団球をふくんでいる。
化石 : 泥岩および硬質頁岩から, わずかに介類および有孔虫化石を産出した。 おもなものはつぎのようである。
層厚 : 東翼では, 盃沢で 680 m 前後の厚さの地層が東方にむかって薄化し, ワッカピリカ川では, 尖減している。
一方, 西翼部では, 足寄川上流で, 550 m の厚さをしめしている。
模式地 : 足寄川支流 475 点沢。
分布 : 茂足寄川から南側の地域に発達している。
下位層との関係 : 硬質頁岩・凝灰岩層の上位に整合して累重している。
層相 : 暗灰色ないし暗緑色の色調をもった, 礫質や粗粒質の砂岩から構成されている。
この砂岩は, やや硬く, 分級の悪い塊状の岩相をしめしている。 浮石, 赤色チャート, 輝緑岩, 粘板岩, 頁岩などの細礫をふくむほか, 硬質頁岩, 珪質頁岩, 凝灰岩などの岩相をレンズ状にはさんでいる。
また, ところによって, 硬質頁岩や浮石質凝灰岩の薄層を介在している。 模式地付近には, 石英, 黒雲母, 角閃石などの鉱物を多くふくんだ特徴のある粗粒砂岩を, 1~2枚はさんでいるが, ほかの地域には追跡できない。
この砂岩層は, 岩相の地域差がほとんどみとめられない。
化石 : 砂岩中に, 介類化石の破片を多くふくんでいる。
層厚 : 模式地から盃沢口までの地域で, 300~360 m ともっとも厚く発達しているが, ここから東方にむかって, ポンモアショロ川で 100 m 前後, 慶円沢で 50 m, 上白愛で 15 m と発達が貧化している。 なお, 茂足寄川から北の地域では, この地層は発達していないようである。
模式地 : 茨城付近の茂足寄川流域。
分布 : 上足寄から茂足寄にいたる間, および上白愛付近の茂足寄川本流支流流域に発達するほか, 白水川, 足寄川およびフータツアショロ川などの中・上流域にも分布している。
構造 : 茂足寄川流域では, N 10~30°E 方向の褶曲軸をもった波状褶曲構造をしており, 20~30°の傾斜をしめしている。 また, 上白愛地域では, 断層で寸断されているが, 10~20°と緩く傾斜した盆地状構造をしている。
下位層との関係 : 砂岩層の発達する地域では, この砂岩相の上限でこの地層と境し, ほかの地域では, 浮石質凝灰岩を多く介在する累層の上限で地層を境している。 いずれも, 下位層とは,整合に重なっている。
層相 : おもに, 泥岩, 砂質泥岩, 硬質頁岩などから構成され, 凝灰質砂岩, 細粒凝灰岩などを介在している。
この地層は, 模式地付近では, 硬質頁岩にとむ泥岩など砂質泥岩との互層であって, ときに, 厚さ 20~30 cm の中粒ないし細粒の砂岩をはさんでいる。 そして, この東方の上白愛付近では, 砂質泥岩および泥岩の卓越した硬質頁岩との互層累層にかわっている。
また, 白水川や足寄川地域では, 硬質頁岩と泥岩との板状互層をなしている。
化石 : 茨城付近の段丘崖の泥岩から, つぎの化石を産出した。
また, 泥岩中には, Cyclamina ezoensis ASANO を各所でふくんでいる。
層厚 : 模式地でもっとも厚く, 360 m 以上に達しているが, ここから東方のワッカピリカ川で 140 m, 上白愛で 80 m と東方にむかって発達がわるくなっている。 なお, 北方の白水川流域では, 50 m 以上の厚さをしめしている。
この地層は, 川上層群最上部の地層である。 泥岩および砂質泥岩で構成されており, 下部に, 特徴のある凝灰質粗粒砂岩層が発達している。
下位の仁生層とは, 粗粒砂岩層の下限で境しており, 地層は整合している。
岩相のちがいから, 砂岩層と泥岩層の二つの部層に区分できる。
模式地 : ワッカピリカ川口付近。
分布 : 貴老路層の下部層として, ほぼ全域にわたって発達している。
層相 : 凝灰質の含礫粗粒砂岩で構成されており, 浮石質凝灰岩, 角礫凝灰岩などをともなっている。
この砂岩は, 淡緑色ないし淡灰色をしめした, 塊状で粗しょうな岩相である。 分級は, かなり悪いようである。 浮石礫, 細粒凝灰岩の岩塊, 暗緑色の鉱物片や岩片などをふくみ, また, 介類化石の破片をかなりふくんでいる。 下位の仁生層中部の砂岩層のものにくらべて, より凝灰質である。
この砂岩層は, 模式地および茂足寄付近では, 浮石質凝灰岩や細粒凝灰岩などを多くはさんだ, 含礫粗粒砂岩相であるが, 北方の白水川やフータツアショロ川地域では, 凝灰質岩を岩塊や礫としてふくんだ粗粒砂岩相になっている。
化石 : 砂岩中に, 介類化石の破片をかなりふくんでいる。
層層 : 模式地付近では, 15~20 m であるが, 北方のフータツアショロ川では, 10 m 以下に薄くなっている。
模式地 : 下白愛付近の茂足寄川流域。
分布 : 模式地付近では, 盆状構造の底部に発達している。 また, 北部では, 白水川, 足寄川, フータツアショロ川などの上流から, 網走川支流のイユ谷にかけた地域に広く発達している。
構造 : 模式地付近では, 断層で寸断されているが, ほぼ 10°以下の緩い傾斜の盆状構造をしている。 また, 北部地域では, N 10~30°E・10~20°SE の走向傾斜をしめしている。
層相 : 全層を通じて, 暗灰色の泥岩ないし砂質泥岩から構成されており, わずかに, 凝灰岩や凝灰質砂岩を介在している。
泥岩は, やや軟質で, 層理に乏しい岩相である。 風化すると, 灰白色ないし淡灰色の細かい岩片に砕けやすくなる。 また, 玉葱状構造が発達している。
この泥岩には, 細礫, 白色の火山性微片, 珪藻類, 炭化木片などをふくんでいる。 また, 団球をわずかにふくんでいる。
全域を通じて, 岩相の変化はあまりみとめられない。
化石 : 泥岩中から, つぎの化石を産出した。
層厚 : この地層は, 上限が不明であるが, フータツアショロ川流域では, 400 m 以上の厚さをしめしている。
この図幅内に発達する新第三系火成岩類は, 鮮新世に属すると考えられるイユダニヌプリ山熔岩, および川上層群の地層に迸入している安山岩の岩脈である。
この図幅の北東地域にあるイユダニヌプリ山を構成する熔岩である。
この熔岩は, イユダニヌプリ山の西方および南方地域に分布しているもので, 川上層群の地層を不整合におおっている。
暗灰色の外観をしめす堅硬な岩石であって, 板状節理が発達している。
岩質は, 含角閃石紫蘇輝石普通輝石安山岩であって, オパサイト縁をもった褐色角閃石を特徴的にふくんでいる。
顕微鏡下で観察すると, つぎのようである。
この熔岩の岩質は, 川上層群下部の本別沢層に介在される火山砕屑岩の岩質と, かなりにている。 また, 分布状態も, かなり解析された山地形をしめしている。
これらの点から, 鮮新世末期の火成活動に由来するものと考えられる。
茨城付近や宮城付近で, 川上層群の地層を貫ぬいて, 岩脈状の安山岩が発達している [ 以下の [注] 参照 ] 。
岩質は, 含角閃石玄武岩質安山岩であって, 緑泥石化を特徴的にうけている。
顕微鏡下で観察すると, つぎのようである。
斜長石と緑泥石が多く, わずかに, ガラスや磁鉄鉱をふくんでいる。
このほか, 足寄川の最上流付近に, 珪化のいちじるしい含角閃石紫蘇輝石普通輝石安山岩の岩脈 [ 以下の [注] 参照 ] が, 川上層群上部の貴老路層に貫入している。
この安山岩は, 部分的にかなり剪断をうけている。 その部分で, とくに珪化を強くうけている。 紫蘇輝石の巨晶を特徴的にふくんでおり, ときに, 角閃石もみとめられる。
これらの安山岩岩脈は, 中新世の川上層群中に貫入しているものであって, 岩質上では, かなり緑泥石化作用をうけている。 これらの点からみて, その迸入時期は, 中新世末期ないし鮮新世初期であろうと思われる。
この図幅地域に発達する第四紀層は, 洪積世の阿寒火山噴出物, 段丘堆積物, 置戸火山灰層, 冲積世の湖沼堆積物, フップシ火山噴出物, 雌阿寒火山噴出物, 崖錐堆積物および冲積堆積物である。
第四紀の火山岩類は, 洪積世と冲積世で, 岩質がいちじるしくちがっている。 すなわち, 阿寒カルデラ形成前の阿寒火山噴出物は, ピジョン輝石質岩系に属する安山岩であり, 冲積世の火山噴出物は, 紫蘇輝石質岩系に属する安山岩を特徴としている。
この図幅の北部地域で, 新第三紀中新世の川上層群の地層をおおおって広く分布している。
この阿寒火山噴出物は, 先カルデラと後カルデラの噴出物にわけられる。
前者は, 外輪山熔岩で, 後者は, 熔結凝灰岩および軽石流堆積物である。
この火山噴出物のうちで, 後カルデラの火山噴出物の噴出時期は, 勝井 7), 8) は, はじめ洪積世前期としていたが, その後洪積世後期と訂正しているようである。 また, 水野・百石 9) は, この噴出物が標高 230~300 m の古期段丘堆積物をおおっている事実から, 洪積世後期のトッタベツ氷期 Ⅱ の時期の活動に由来しているとのべている。
この図幅内では, この火山噴出物である熔結凝灰岩の上位に, 第1段丘堆積物(比高 10~20 m)が累重している。 また, 熔結凝灰岩の上面は, かなり解析された地形状態をしめしており, さらに, その分布は, 現河川とは, ほとんど無関係に点在している。
このような点から, その噴出時期は, 洪積世であることは, ほぼ推察される。
この熔岩は, 東に隣接する阿寒湖図幅地域 12) で模式的に発達しており, この図幅内では, 北東隅にわずかに発達している。 そして, 新第三紀の川上層群およびイユダニヌプリ熔岩をおおっている。
黒色の堅硬な岩相であって, 厚い板状節理が発達している。
岩質は, 玄武岩質安山岩ないし玄武岩である。 ひじょうに完晶質で, インターサータル組織が特徴的である。
顕微鏡下の観察は, つぎのようである。
足寄川支流の 637 点沢から北の地域に分布しているほか, 茂足寄川流域の伊奈, 下白愛および螺湾川 10 の沢口付近などに, 小規模に分布している。 そして, フータツアショロ川支流の 741 点沢に模式的に発達している。
新第三紀の川上層群, 陸別層, 小利別層などの地層を広くおおっている。
この熔結凝灰岩は, 模式的に発達しているフータツアショロ川の西側では, いわゆる火山岩地形をつくって分布しているが, そのほかの地域では, 河川の緩斜面や屋根の部分に, 点在して分布しているところが多い。 また, かなり解析された地形をつくっている。
一般には, 薄い板状節理をもった, やや硬い岩相をしめしているが, 風化部分や岩体の薄いところでは, 板状に岩塊化している。
岩相は, 流理構造をしめし, いちじるしく熔結作用をうけている。 そして, 外来岩片や黒曜石のパッチをふくんでいる。
岩質は, 普通輝石紫蘇輝石安山岩質のものである。
顕微鏡下で観察すると, つぎのようである。
図幅の北東地域で, 熔結凝灰岩をおおって, わずかに発達している。
灰白色をしめし, 珪長質な軽石を多量にふくんだ粗しょうな岩相をしめしている。
図幅内に発達する段丘堆積物は, それぞれの地層のしめている位置の高度や, 平坦面の解析のていどを基準にすると, 二つの段丘群に区分できる。
おもな河川の流域にそって, 発達している。 現在の河床面からの比高は, 陸別川流域や上足寄付近では, 8~15 m 以上であるが, 河川の上流地域では, 2~5 m 以下になっている。
堆積物は, おもに, 砂礫相であるが, ときに, 粘土相をはさんでいる。
上足寄付近の足寄川流域および陸別町付近の陸別川流域に発達している。 現河床面からの比高は, 3~5 m ていどである。
砂礫層の厚さは, 2~3 m 前後である。
陸別川の東側に発達する第1段丘堆積物をおおって分布している。
灰白色の粗しょうな火山灰相であって, 火山灰質砂層をはさんでいる。 また, 浮石, 細礫, 炭化木片などをふくんでいる。 ところによって, 偽層層理が発達している。
層厚は, 4~8 m 前後である。
阿寒国立公園内の濁川流域および観光道路ぞいに, 局部的に発達している。
上部は, フップシ火山噴出物および中マチネシリ噴出物におおわれている。
この堆積物は, 下部は, 木炭化した木片をふくむ褐色の粘土層, 上部は, 礫や軽石をふくんだ灰色の砂層から構成されている。 層厚は, 1 m 前後である。
この図幅の東端の白水川最上流の地域に分布している。 模式的には, 隣接の阿寒湖図幅 12) 地域のフップシ岳(海抜 1,225.5 m)付近に発達している。
この火山噴出物は, 含かんらん石普通輝石安山岩の, 熔岩流および砕片的抛出物から構成されている。
熔岩は, やや赤褐色をおびた黒色の多孔質な岩相をしめしている。 紫蘇輝石が, ひじょうに少ない特徴をもっている。
顕微鏡下で観察すると, つぎのようである。
砕片的抛出物は, 赤褐色をしめし, やや凝固した集塊岩状の岩相をもっている。 そして, 火山岩塊や火山礫などを, 火山灰で膠結している。
フップシ火山は, 阿寒湖図幅 12) 内のフップシ岳を中心とする。 やや解析された成層火山であって, 阿寒カルデラの形成後, その西縁部の反動噴火によって生成したものである。
勝井 8) によれば, このフップシ岳の山頂や北麓の地域は, おもに, 含かんらん石普通輝石安山岩の, 熔岩流および砕片的抛出物から構成されているが, 北東麓には, 灰長石の大晶をふくんだ, かんらん石紫蘇輝石普通輝石安山岩の熔岩流が発達しているようである。
雌阿寒火山は, 東に隣接する阿寒湖図幅内の中マチネシリ(海抜 1,280 m)を中心とした複成火山である。 そして, 早期の活動による南岳(海抜 1,240 m), 1,042 m 山, 東岳(海抜 1,140 m), 主要噴出期活動のコブ山(海抜 1,100 m), 剣ヶ峯(海抜 1,320 m), 中マチネシリ, 晩期の寄生的活動の西山(海抜 1,300 m), 北山(海抜 1,400 m), ポンマチネシリ(海抜 1,503 m)および 最晩期の寄生火山である阿寒富士(海抜 1,476 m)などから構成されている。
この雌阿寒火山は, 阿寒カルデラ形成後, その南西縁に噴出した火山群である。 現在なお活動しており, 中マチネシリの中央大火口(旧爆裂火口)内の大噴, ポンマチネシリの火口内, および 1,042 m 山の南の山腹にある硫気孔などでは, 今日もさかんに, 硫気活動がおこなわれている。
この火山噴出物は, 全般的には, 紫蘇輝石質岩系に属する安山岩で特徴づけられている。 そして, 早期から中期までのものは, しばしば, 石英やかんらん石の斑晶をふくむ中性の安山岩(Ⅴd 型)からなり, 晩期の寄生火山は, 石英の斑晶をふくまない基性の安山岩(Ⅴc 型)から構成されている。
このような火山岩の岩質は, まえにのべた洪積世の阿寒カルデラ形成前の阿寒火山噴出物(外輪山熔岩)と いちじるしく異なっているものであって, 成因的にとくに混成作用の影響を大きくうけた結果であろうと, 考えなければならない。
雌阿寒火山については, 勝井のくわしい研究 7), 8) がある。 同氏による阿寒火山群の大要は, つぎの表のようである。
| 冲積世 | 雌阿寒火山 | 阿寒富士(成層火山, Ⅴc 型) |
| ポンマチネシリ(成層火山, Ⅴd 型) | ||
| 西山(成層火山, Ⅴc → Ⅴd 型)・北山(成層火山・ドーム, Ⅴc 型) | ||
| 中マチネシリ(成層火山の上にドーム, Ⅴd 型) | ||
| 剣ヶ峯(成層火山, Ⅴc・Ⅴd 型)・コブ山(ドーム, Ⅴd 型) | ||
| 南岳(成層火山, Ⅴd 型)・1,042 m 山(ドーム, Ⅴd 型)・東岳(成層火山, Ⅴd 型) | ||
| 雄阿寒火山(成層火山・頂上にドーム, Ⅴd→c・Ⅴd・Ⅰd 型) | ||
| フップシ火山(成層火山, Ⅳc・Ⅱc・Ⅴd→c 型) | ||
| フレベツ火山(3つの成層火山, Ⅴd 型) | ||
| 洪積世 | 阿寒火山 | -- 阿寒カルデラ形成 -- |
| 軽石流堆積物(Ⅴ 型) | ||
| 外輪山(木禽岳ほか)(成層火山, Ⅲc・ Ⅳc・c・Ⅴd・Ⅴe 型) | ||
この図幅内では, 雌阿寒火山のうちの, 中マチネシリから以後の噴出物が発達している。
雌阿寒火山の主体をなしている。 そして, 中央に, 径 1.1 km におよぶ大きな火口と火口丘をもっている。
図幅の東部地域に, 広い範囲をしめて分布している。
この地域では, おもに, 火山岩塊・火山礫・火山灰・軽石などを多くふくんだ 未凝固な火山砕屑物岩相から構成されている。
熔岩流は, 隣接の阿寒湖図幅 12) 内に発達しており, とくに, 中マチネシリの中央大火口付近では, 含かんらん石石英紫蘇輝石普通輝石安山岩・ 含かんらん石紫蘇輝石普通輝石安山岩・ 紫蘇輝石普通輝石安山岩などの岩質をもった多くの熔岩流が発達し, さらに, この上位には, 頁岩や緑色凝灰岩などの外来抛出物をふくむ厚い火山砕屑物岩相が重なっている。
西山は, 中マチネシリの寄生火山として, その西斜面に形成されたものと考えられている。
この噴出物は, 図幅内では, 雌阿寒温泉の東方に, その一部をのぞかせているにすぎない。 それで, その分布状態や火口位置は明らかでない。
含かんらん石紫蘇輝石普通輝石安山岩の, 熔岩流と砕片的抛出物から構成されている。
顕微鏡下で観察すると, つぎのようである。
抛出物には, ときに, 普通輝石の結晶弾をふくんでいる。
北山は, 中マチネシリの中央大火口と西山との間にできた寄生火山であって, 頂上は, トロイデ状のドームを作っている。
雌阿寒温泉の北東方に, 急傾斜の末端地形を作って発達している。
この噴出物は, 含かんらん石普通輝石紫蘇輝石安山岩の熔岩流と砕片的抛出物の互層岩相から構成されている。
熔岩は, 暗灰色ないし黒色でやや多孔質の外観をしめしており, 紫蘇輝石の斑晶がとくに目立っている。
顕微鏡下で観察すると, つぎのようである。
抛出物は, 径数 cm から 5 cm 以下の大きさをもった黒色火山礫を主体にして, 構成されている。
ポンマチネシリは, 中マチネシリの南にできた大きな寄生火山であって, 雌阿寒火山の最高峰をなしている。 山頂には, 接合した二つの大きな爆裂火口がある。 西側の深い火口には赤沼, 東側の浅い火口には青沼とよばれる沼がある。 このほか, 小赤沼, 古溝, 北溝, 南溝などの裂隙, 第1火口などがみられる。
この山頂の爆裂火口内では, 1955 年, 1956 年, 1957 年, 1959 年と爆発がおこり, 現在も, はげしい硫気活動をつづけている。
この噴出物は, 雌阿寒温泉からコイボクショコツ川上流にかけた地域に分布しており, オンネトー湖から湯の滝にいたる道路のわきによく露出している。
紫蘇輝石普通輝石安山岩(Ⅴd 型)の熔岩流と砕片的抛出物との互層岩相から構成されている。 熔岩は, 黒色で多孔質な外観をしめしている。
顕微鏡で観察すると, つぎのようである。
抛出物は, 火山岩塊, 火山岩滓, パン殻状火山弾, 火山礫, 軽石, 粗粒から細粒の火山灰などから構成されており, そのほかに, 頁岩起源と思われるホルンフェルスや石灰質岩などの外来抛出物をふくんでいる。
この噴出物は, 各所で, 山麓部の河川を堰止めており, 分布地域内には, オンネトー湖, 錦沼, 小沼などの湖沼や湿地帯が形成されている。 また, この末端部では, 温泉活動がさかんであって, 野中温泉, 湯の滝温泉そのほかの温泉徴候地がみられる。 さらに, この噴出物に関係した褐鉄鉱や泥状マンガンの沈澱性鉱床が生成されている。
雌阿寒火山群の最末期の活動によって生成された, コニーデ状の寄生火山である。 山頂の南と東に, 爆裂火口があるが, 現在は活動を休止している。
この噴出物は, 南方に広い裾野をつくって発達しており, この図幅では, 湯の滝温泉の東方に分布している。
かんらん石普通輝石安山岩(Ⅴc 型)の熔岩流と砕片的抛出物から構成されているが, 図幅地域内には, 後者の岩相だけが発達している。
この砕片的抛出物は, 火山岩塊, 扁豆状火山弾, 火山岩滓, 火山礫, 粗粒火山灰などから構成されている。 火山弾中には, 灰長石の大晶がみとめられる。
この抛出物中には, 軽石やパン殻状火山弾がほとんどみとめられない。 このことは, 阿寒富士の活動が, 割合おだやかな爆発であったことを物語るものである [ 以下の [注] 参照 ] 。
下白愛付近の茂足寄川の南岸および, イユダニヌプリ山の北東方から東方の緩斜面に発達している。
この堆積物は, その背後山地から供給された岩塊から構成されている。
下白愛付近では, 硬質頁岩, 砂岩, 泥岩などの岩塊や礫を砂で充填している。
イユダニヌプリ山付近では, この山を構成する安山岩の岩塊が, 累累としている。
おもな河川や湖沼の流域に, 帯状に発達している。 砂利と砂から構成されており, 粘土や火山灰質粘土などをともなっている。
この図幅地域の地質構造は, 浦幌断層と上足寄断層との2大断層によって構造形態をいくぶん異にした, 三つの構造区に区分できる。 すなわち, 以下のような構造単元である。
図幅の西部地域に形成された, ほぼ N - S ないし NNE - SSW 方向の軸をもった向斜状構造帯である。
この向斜の両翼には, 小利別層が発達し, 軸部は, 陸別層が広く分布している。
地層は, 両翼側とも, 12~20°の緩い傾斜をしめしており, 地域的には, 30~40°になっている。 なお, 宇遠別沢付近には, 局地的に, 背斜および向斜構造が発達している。
図幅のほぼ中央から東部にかけて, NE - SW の軸方向をもって発達した向斜構造帯である。
この構造帯は, 西限が上足寄断層, 東限を浦幌断層で規定され, それぞれ隣接の構造帯と接している。
この地域は, 中新世の川上層群が, ほとんどの部分をしめており, 東限の浦幌断層にそって, 漸新世の音別層群の地層が発達している。
この向斜構造帯には, 1~2の背斜および向斜軸が形成されていて, いわゆる複向斜構造をなしている。 これらの褶曲軸は, フータツアショロ川口付近とワッカピリカ川合流点付近を結ぶ線を境にして, その南では, NE - SW, 北では, N - S の走向をもっている。
地層は, 一般に, 10~25°の緩傾斜をしめしているが, 浦幌断層に近づくにつれて, 50°以上に急斜するようになっている。
この構造帯の基盤岩は, a) で述べた構造帯と同様に, 日高累層群の小利別層であると考えられる。
図幅の南東部に発達しており, 釧路炭田地域内の, 一つの構造単元の北東方の延長部に当っている。
この構造帯の基盤は, まえの二つと異なり, 上部白堊統の根室層群の地層である。
この地域には, NEE - SWW の走向をもって, 北東にむかって沈んだ, クッチャロシベツ向斜軸が発達しており, 沈下した軸部には, 音別層群上部の茶路層が発達している。
地層の傾斜は, 20~30°程度である。
うえにのべた各褶曲構造単元をきって, 多くの断層が発達しており, これらの断層によって地質構造はいっそう複雑化している。
断層は, その走向傾斜および形態から, つぎの三つの系統に総括できる。
この断層は, 南西方に隣接する足寄大, 本別, 常室などの各図幅を横切って, 活平付近から, この図幅の南東部まで, 延々 50 km 以上にわたって追跡できるような, 大規模なものである。
この図幅では, 螺湾川6の沢二股付近から, ポンニップ川ぞいを通って, 中マチネシリ噴出物の下にかくされてしまった, N 50~60°E の走向をしめしている。
断層面は, よく観察できなかったが, 隣接図幅内では, ほとんどの地域で, 衝上性の逆断層をしめしている。
この断層は, 図幅内における基盤岩である, 小利別層と根室層群との地層境付近 [ 以下の [注] 参照 ] に形成されたものであって, そのうえ, 古第三系の浦幌層群の積成盆および 新第三系中新世の川上層群の積成盆の広がりや形成にも, 影響を与えているようである。
この系統の断層は, 上螺湾向斜構造および中央地塁構造帯において, 褶曲構造に平行ないしやや斜交した走向をもって発達している。 おおむね, 断層面が, 50~70°以上の急傾斜をもった正断層である。 地層の転移は, あまり大きくない。
この断層群には, 分岐した小断層がかなり附随している。
この系統の断層は, まえにのべた各構造単元を通じて, これを胴切る断層であって, 地層の分布状態にかなり大きな擾乱を与えている。 そして, これによる地層の水平転移はいちじるしく大きい。
断層面が, 60°以上の急傾斜をもった正断層である。
この群は, b) の断層群よりも早期に形成されており, 後者によって寸断されている。
この図幅地域は, ジュラ紀~下部白堊紀の小利別層から 新第三紀中新世の川上層群の地層にいたるまでの長い地質時代にわたって累積した, 海成から淡水成の多くの堆積層が発達している。 また, 新期火山の活動の場でもあったところから, かなり多様な鉱産資源が埋蔵している。 すなわち, 小利別層に賦存する硫化鉄鉱床と石灰石, 浦幌層群および陸別層に賦存する石炭, 川上層群中の石油および可燃性天然ガス, 雌阿寒火山の後火山作用としての温泉活動に関係する沈澱性の褐鉄鉱とマンガン, および温泉, 川上層群の地層に迸入した安山岩岩脈を利用した石材などがそれである。
これらの鉱産資源の一部は, すでに採掘されたり, 現在採掘をおこなっているものである。
全般的に, 鉱床の規模は, あまり大きくなく, 鉱徴ていどのものも2~3あるようである。 なお, 図幅の東南地域のオンネトー湖を中心として賦存する可燃性天然ガスは, 数年以前に知られたものであるが, 今後を期待される資源である。
石炭は, 古第三紀・漸新世の浦幌層群・雄別層と, 第三紀の陸別層とにふくまれている。
いずれも, 炭層は, 薄くしかも連続せず, 稼行の対象としては, あまり適当ではない。
雄別層の基底近くに1枚はさまっており, コイボクショコツ川上流の南の小沢に露頭がみられる。
この石炭層は, 山丈 78 cm, 炭丈 55 cm であるが, その大部分が, 粗悪炭ないし炭質頁岩である。 また, この付近には, 露頭が1地点でみられるだけであって, 雄別層の発達するほかの地区では, その徴候さえ, みられないようである。
炭質は, 日本工業規格規準によれば, 堊歴青炭の E 級に属する 13) 。
この石炭の分析結果は, 第 2 表のとおりである 13) 。
| 水分(%) | 灰分(%) | 揮発分(%) | 固定炭素(%) | 発熱量(Cal) | 硫黄(%) | 純炭に対する | 灰の色 | 粘結性 | 比重 | |
| 固定炭素(%) | 発熱量(Cal) | |||||||||
| 11.10 | 29.05 | 29.68 | 30.17 | 4,230 | 0.32 | 52.44 | 7,350 | 濃橙 | 非粘結 | 1.53 |
この図幅地域は, まえにのべたように, 釧路炭田の北方の周縁部地域に相当しており, 同炭田の含炭古第三紀層全体の発達は, いちじるしく貧化している。 そして, 來炭層は, 雄別層がひじょうに薄化して発達しているにすぎない。 このような点からみて, 雄別層の石炭は, 稼行対象にはならない。
陸別層中には, 連続性に乏しい, 薄層の石炭層をはさんでいる。 一般的に, 礫岩ないし礫質砂岩に介在する砂岩, 泥岩の互層岩相にはさまっており, その層準は, 一定していないようである。
おもな露頭は, 613 点沢の対岸の足寄川小支流の奥, 陸別市街北東方の陸別川両岸の小支流などでみられる。
いずれの地区においても, 露頭に, 小さな坑口をつけて, 乱掘してあるために, 炭層を観察することができないところが多い。
炭層の厚さは, ほぼ, 20~40 cm 前後であるが, 膨縮がはげしいようである。
このほかに, ペンケクンベツ川や宇遠別川流域に分布する陸別層中に, 数 cm から 10 cm 以下の薄い炭層を, ときにはさんでいる。
炭質は, 褐炭の F~F1 級に属する。
この図幅地域には, 北海道東部地域における石油および天然ガスの胚胎地層をなす 新第三系・中新世の地層が広く発達している。
そして, 足寄川本流最上流に石油徴候がかってあり, また, オンネトー湖に天然ガス徴候が露頭している。 前者の地点では, イユダニヌプリ山熔岩が, 河岸および河床に分布している。 そして, この熔岩の下位には, 中新世の川上層群・貴老路層の泥岩層が発達していることが予想される。
石油は, 岡村要蔵によると 15) , 第三紀層中に胚胎し, 上部の熔岩の裂罅または空隙を透過して, 河床の砂礫層中に滲出していたようである。 今調査の際には, 油徴はみられなかった。
この石油は, 褐色半透明で稀薄な油質である。 比重は, 0.645 である。
石油徴候は, このほかに, 阿寒国立公園内の観光道路のわきの沢の中にもあって, かつて, 採油されたらしいが, 現在は, その地点もわからなくなっている。
可燃性天然ガス徴候は, オンネトー湖のなかに, 数多く噴出している 19) 。
オンネトー湖は, ポンマチネシリ噴出物によって, 螺湾川上流が堰止められて形成されたものであって, 湖の北岸および西岸には, 中新世の川上層群の地層が分布している。 また, 東岸と南岸側には, ポンマチネシリ噴出物の熔岩流が広く分布している。
湖付近の川上層群の地質状態は, 湖の中心から南西寄りのところを, ほぼ N 50~60°W の断層が横切っていて, この断層の南西側では, N 60~70°E・30~40°NW の走向傾斜をもった本別沢層・砂岩泥岩層の地層が発達している。 また, その北東側では, N 40°± W・20~30°NE の走向傾斜をもって累重した, 本別沢層・板状頁岩層が発達している。 すなわち, この断層によって, 北東側の地層は大きく転移している。
オンネトー湖は, 水深が平均 10~12 m であって, 湖底には, 火山性砂層が厚く埋積しているようである。 なお, 南岸でおこなった温泉試験井では, 深度 53 m まで, 火山性堆積物および熔岩流が発達しており, これ以深は, 本別沢層・砂岩泥岩層の地層であった。
天然ガス徴候は, 第 13 図のように, ほぼ断層が横切ると推定される地帯にそって, 噴出している。 噴出地点は, 大小あわせて, 30~40 点前後あるが, これらが, ほぼ四つの群集を形成している。 各群集の間には, 小さな噴出点が数個所みとめられる。
そして, 現在湖内に噴出しているガス量だけでも, 300 m3 / day を降らないであろうと思われる。
この天然ガスの分析結果は, つぎのようである。
| CH4 (Vol %) | C2H6 (Vol %) | C3H8 (Vol %) | CO2 (Vol %) | O2 (Vol %) | N2 etc. (Vol %) | 発熱量 (kcal / m3) |
| 88.0 | 0.94 | 1.55 | 3.32 | 0.33 | 5.86 | 8,212 |
この分析結果からみると, この天然ガスが, 第三紀の石油系ガスであることは明らかである。
そして, 川上層群本別沢層に介在する有機質泥岩をガス根源岩とし, また, 同層中に貯溜されているものと推察される。 なお, 本別沢層・板状頁岩層を構成する硬質頁岩の一部から, ベンゼン - アセトン - エタノール混合溶液を用いて, 有機物の抽出をおこなった結果では, 抽出有機物量は, 0.06 % 前後の値をしめている。
この地域の天然ガス鉱床の型体については, 深部探鉱をおこなっていない現段階では, 明確にはわからない。
しかし, 周辺地域の川上層群の地質構造および湖内のガス徴候の配列状態からみて, 断層閉塞型に属するものではないかと推察される。
図幅内では, 日高累層群・小利別層に介在しており, ホルンナイ沢の沢口付近に露出している。
この石灰石は, 暗灰色で, やや硬い岩相をしめしている。 そして一部に, 紅灰色の色調をもった岩相をはさんでいる。
また, 珪酸分にとみ, ところによって, 珪質岩との縞状の互層部や網目状に迸入された部分などをかなりふくんでいる。
この石灰石の分析結果は, つぎのようである。
|
成分(%)→
試料 ↓ | SiO2 | CaO | MgO | Fe2O3 | Al2O3 | Ig. loss |
| A | 4.88 | 52.27 | 0.40 | 0.43 | 0.44 | 41.58 |
| B | 2.11 | 54.11 | 0.20 | 0.56 | 0.36 | 42.66 |
この分析試料は, 岩体のやや良質な部分であるが, やや珪酸分にとんでいるようである。
この鉱体は, 走向延長が 350~400 m, 幅が 150~170 m ていどの範囲で賦存が確認できる。 鉱量は, ほぼ 130 万トンていどと思われる。
ホルンナイ沢では, この鉱体のすぐ上流と, 500 m 前後上流の地域にも, 石灰石の露頭がみとめられる。 賦存範囲および鉱量, 品質などについては, 確認していない。
図幅の南東部地域では, ポンマチネシリ噴出物に関係した沈澱性の褐鉄鉱鉱床が点在して賦存している。 とくに, 野中鉱床と錦沼鉱床は, 規模がやや大きいようであって, かつて採掘されていたものである。
雌阿寒温泉(野中温泉)の北方約 1 km の地点にある。 この鉱床は, 昭和 26 年に発見され, 同 32 年から 33 年まで採掘され, 2,000 トンていどを出鉱したといわれている。
この付近は, 北山噴出物の未端部にあたっている。
鉱床は, たがいに 200 m の距離をへだてて, ほぼ N - S の方向に配列する3個の褐鉄鉱層群から構成されている。 そして, 南から, それぞれ1号, 2号, 3号鉱床と名づけられている。
この鉱床は, いずれも, ヨシ・アシなどを交代して褐鉄鉱化した, 「モス・タイプ」の生物化学的沈澱性鉱層であって, 沼沢地に賦存している。
褐鉄鉱の賦存範囲は, 1号下部鉱床が約 900 m2, 1号上部鉱床約 300 m2, 2号鉱床が約 500 m2 である。 また, 3号鉱床には, まとまったものはみられなかった。
鉱層の厚さは, 各鉱床とも, 平均 1 m ていどである。
品質は, ところによって, Fe : 54 % ていどのものがあるが, 平均して, Fe : 50 % 前後である。 硫黄分は, S : 0.9~2.2 % と高い値をしめており, 鉱石としては, やや検討を要する。
雌阿寒温泉(野中温泉)の南西方約 500 m の錦沼にある。
昭和 35 年に, 北光鉱山株式会社によって採掘されたが, 現在は休山中である。
新第三紀・中新世の川上層群の地層およびポンマチネシリ噴出物を基盤に発達している。 この鉱床も, 野中鉱床と同じくモス・タイプの沈澱性鉱層であって, 延長約 70 m, 幅約 40 m, 厚さ 2 m の範囲で賦存している。 そして, ヨシ・アシなどの植物をひじょうに多くふくんでいる。
品位は, Fe : 54~55 % で, 良好であるが, 硫黄分が 1.3~1.7 % と多く, 鉱石上の難点になっている。
オンネトー湖の南方約 3 km の阿寒の富士山麓に, 沈澱性の黒色泥マンガン鉱層が賦存している。
昭和 26 年から同 29 年にかけて, 北邦興産株式会社によって, 阿寒マンガン鉱山とよばれて断続的に稼行されたが, 現在は休山中である。
鉱床は, ポンマチネシリ噴出物の熔岩流を基盤にして発達している。 東西約 70 m, 南北約 150 m の範囲で賦存しており, 間に 2~3 m の厚さの石灰華をはさんで, その上下に, それぞれ 1 m 前後の厚さの鉱層を形成している。 品位は, Mn : 18~50 % である。
現在, 山元には, Mn : 48~54 % の鉱石が, 約 50 トン位貯鉱されているが, 鉱床の方は, ほとんど採掘されつくしている。
この付近では, 現在でも, 山腹から, 含マンガン温泉(MnO : 0.05 mg / l)が湧出している。
この鉱床とは別に, オンネトー湖の東方の山腹緩斜面には, 沈澱性の泥マンガンが賦存しているようであるが, その発達の状態は, 未調査である。
ペンケクンベツ川中流の小沢に露頭している。
鉱床は, 小利別層の輝緑凝灰岩とスピライト質岩との間の N 40°W 方向の剪断帯にそって, 硫化鉄鉱がいちじるしく鉱染したものである。
母岩の変質は, 炭酸塩鉱物化が主体であって, 少量の緑泥石化もともなわれ, ところによっては, 石英や曹長石もみられる。
この図幅の東部地域には, 二つの泉質のちがった温泉がしられている。 すなわち, 雌阿寒温泉と阿寒マンガン鉱山跡付近の湯の滝である。
両者とも, ポンチネシリ噴出物の熔岩流の亀裂をつたって湧出している。
この温泉は, 大正 2 年に発見され, 大正 8 年から温泉経営がおこなわれている。 現在は, 2軒の温泉宿がある。
泉温は, 野中温泉の湯元でもっとも熱く, 43 ℃ であるが, 隣家の湯元は 40 ℃ 前後である。 また, この付近の山腹を掘ると, 何処でも, 37~38 ℃ の温泉が湧出するようである。
泉質は, 無色透明, 苦味, きわめて硫化水素臭の強い含食塩含石膏硫化水素泉である。 湧出後は, 灰黄色にかわり, 湯華を沈澱する。 湧出量は, 550 l / min 程度である。
水質分析結果は, つぎのようである(北海道衛生研究所, 昭和 33 年 10 月分析)。
| pH | 蒸発残渣(mg / l) |
| 6.4 | 3970.5 |
| 成分 | K+ | Na+ | Ca++ | Mg++ | Fe++ | Mn++ | Al+++ |
| 含有量(mg / l) | 29.0 | 324.9 | 728.1 | 59.9 | 0.13 | 9.75 | 12.6 |
| 成分 | Cl- | SO4-- | H3AsO4-- | H2SiO3 | HBO2 | Free CO2 | H2S |
| 含有量(mg / l) | 685.1 | 1,736.1 | 0.83 | 234.6 | 17.9 | 502.2 | 32.4 |
ポンマチネシリ噴出物の熔岩流の亀裂から湧出し, この熔岩の末端崖から, 滝をなして流出している。 湧出口は, 5~6ヵ所あって, 湧出量はきわめて豊富である。
泉温は, 最高で, 43.5 ℃ であるが, 40 ℃ や 30 ℃ ていどの湧水もある。
水質分析結果は, つぎのようである(北海道立地下資源調査所, 昭和 35 年 10 月分析)
| pH | 蒸発残渣(mg / l) |
| 8.3 | 1740.0 |
| 成分 | HCO3- | Free CO2 | Cl- | Total Fe | NH4+ | SO4-- | Ca++ | Mg++ |
| 含有量(mg / l) | 215.9 | 2.2 | 224.0 | trace | None | 57.5 | 194.4 | 117.5 |
なお, 北海道大学理学部 西村雅吉博士の分析によれば, MnO を微量(0.05 mg / l)ふくんでいる。
この温泉は, 湧出地点が, かなり奥地になるために, これまでまったく利用されずに放置されてきた。 最近, オンネトー湖を中心として, 観光地造成計画が立案されるにおよんで, 湯の滝から湖畔まで温泉を導いて利用するようである。
中新世の川上層群の地層に迸入した安山岩岩脈を, 一部の地域で石材として利用している。 現在は, 茨城付近で, 道路用の割石として採石している。
この安山岩が, 黒色の堅硬な岩相をもっており, 石材としては, 良質である。
このほか, 石材に利用できるものとして, 宮城の北方にある安山岩岩脈, および, まえにのべたホルンナイ沢の石灰石がある。 とくに, 後者は, 岩体も大きく, 採掘条件にも恵まれていて, 稼行する価値があるように思われる。
EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN (Scale 1 : 50,000)
(Kushiro - 6)
By Katsutoshi Mitani, Tetsuo Fujiwara and Shōzo Ishiyama (Geological Survey of Hokkaidō)
The map area of the Kamiashoro sheet is located in the eastern part of Hokkaidō, between Lat. 43°20'~43°30' N and Long. 143°45'~144°0' E.
The map area is classified topographically into the three areas ; the area of flat terrace and alluvial deposits below 350 meters height, the area of dissected landform from 350 to 500 meters, and the mountainous volcano area above 500 meters.
In this area are developed the Jurassic-Lower Cretaceous, the Upper Cretaceous, the Palaeogene and Tertiary formations, as well as the sedimentary and volcanic effusive deposits of Neogene and Quaternary ages. Geologic succession of these formations is shown in the following table.
| Age | Geological order | Thickness (m) | ||
| Quaternary | Holocene | Alluvial deposits | ||
| Talus deposits | ||||
| Meakan volcanics | ||||
| Fuppushi volcanics | ||||
| Lake deposits | ||||
| Pleistocene | Oketo volcanic ash | |||
| Terrace deposits | ||||
| Akan volcanics | ||||
| Neogene Tertiary | Pliocene | Iyudaninupuri-yama lavas | ||
| Miocene | Kawakami group | Kiroro formation | 420 + | |
| Nishō formation | 1200 - | |||
| Honbetsuzawa formation | 1360 +~960 + | |||
| Tertiary | Rikubetsu formation | 800 + | ||
| Paleogene Tertiary | Oligocene | Onbetsu group | Charo formation | 440 + |
| Ōmagari formation | 100~200 | |||
| Urahoro group | Yūbetsu formation | 20 | ||
| Rushin formation | 220 + | |||
| Upper Cretaceous | Nemuro group | Kawaruppu formation | 700 + | |
| Katsuhira formation | 400 + | |||
| Jurassic-Lower Cretaceous | Hidaka super-group | Shotoshibetsu formation | 800 + | |
The Shotoshibetsu formation that can be correlated roughly to a part of the Sorachi group, the upper part of the Hidaka super-group, is developed in th ewestern part of the mapped area. It is composed mainly of schalstein, and has some basic igneous rocks and limestone. The thickness is more than 800 meters.
A series of sediments belonging to the Nemuro group are distributed in the southeastern part of the map area, and are divided lithologically into the Katsuhira and the Kawaruppu formations.
The Katsuhira formation , more than 400 meters thick, consists mainly of dark grey mudstone.
The Kawaruppu formation , more than 700 meters in thickness, is characterized by mudstone facies including medium-fine grained sandstone in some parts. The sandstone beds attain a thickness of 80 - 100 meters locally.
The Palaeogene formations are found in the southeastern part, where they cover the formations of the Nemuro group unconformably.
The Palaeogene formations are divided into the Urahoro and the Onbetsu groups, which are unconformable with each other. Both groups yield fosslis of marine fauna indicating Oligocene Epoch.
The Urahoro group is the important coal bearing formation in the Kushiro coal field of eastern Hokkaidō, and is divided into the four formations in the central part of that coal field.
In this map area, the lower two formations of the four, the Rushin and the Yūbetsu formations, are exposed, but they are poorly developed as a whole, when compared with those in the central area.
The Rushin formation is composed, throughout the whole succession, of conglomerate and conglomeratic sandstone, and rarely intercalates sandstone and mudstone. The thickness is more than 220 meters.
The Yūbetsu formation is represented only by a narrow strip above the Rushin formation stretching for 700 meters. Except this, it is absent from the rest of this map area. It is a series of sandstone and mudstone in alternation, and is about 20 meters thick. A coal seam (80 cm) is intercalated in the lowermost part.
The Onbetsu group consists of marine sediments containing fossils of Poronai-type fauna. Two parts are distinguished lithologically in this group. The lower part, being characterized by rich sandstone facies, is called the Ōmagari formation (200 meters thick), and the upper part of mudstone facies the Charo formation (more than 400 meters).
Distribution of the Onbetsu group is far more extensive than that of the Urahoro group, and it extends farther northwest where it lies unconformably on the Shōtoshibetsu formation. It shows that there was migration of sedimentary basin between the two periods.
The Rikubetsu formation rests unconformably upon the Shōtoshibetsu formation, and is developed extensively in the western area. It is a series of terrestrial deposits being composed mainly of conglomerate and conglomeratic sandstone. Several layers of coal seam (less than 40 cm in thickness), considerably varying in thickness, are intercalated.
The Kawakami group of Miocene Epoch and the Iyudaninupuri lavas, the products of Pliocene igneous activity, are developed in this area.
The Kawakami group is thick, marine sediments which yield marine fauna indicating Middle-Late Miocene Epoch. It is found extensively from the central part to the eastern part of the map area, and exhibits a large synclinal structure. Relation to the subjacent formations is represented by fault contact everywhere. Along the western wing of the syncline, it contacts with the Rikubetsu formation while it contacts with the Onbetsu and the Nemuro groups along the eastern wing. Namely, the basement rocks are different on both sides of the syncline. The group is divided lithologically into the Honbetsuzawa, the Nishō and the Kiroro formations in ascending order.The Honbetsuzawa formation shows a remarkable difference in lithology between the two wings of the syncline. On the eastern wing, the upper part consists of hard shale and sandy mudstone - mudstone in alternation, and the lower part of mudstone, hard shale, sandstone and conglomerate. Contrary to this, the lower part on the western wing exhibits a wholely different lithology of pyroclastic rocks composed mainly of lavas and agglomerates of hornblende bearing basaltic andesite. The upper part is similar to that on the eastern wing. The thickness of this group is 960 - 1,360 meters or more.
The Nishō formation is a series of hard shale and mudstone in alternation, comprising many beds of tuffaceous rocks throughout the whole successlon. Tuffaceous rocks are remarkable especially in the lower part, while tuffaceous coarse sandstone beds, characteristic and less than 100 meters in thickness, are found in the middle part. In addition to this, the formation varies considerably in thickness and lithology from place to place. It is less than 1,200 meters thick.
The Kiroro formation is a thick series of mudstone and sandy mudstone. Tuffaceous, pebble bearing coarse sandstone beds, 10 - 20 meters thick, are found developed in the lower part. The total thickness exceeds 420 meters.
The Iyudaninupuri lavas are distributed around Mt. Iyudaninupuri in the northeastern part of the map area. They are composed of hornblende bearing hypersthene-augite andesite.
The Pleistocene comprises the Akan volcanic ejecta, terrace deposits and the Oketo volcanic ash formation, while the Alluvium is represented by such formations as lake and swamp deposits, the Fuppushi volcanic ejecta, the Meakan volcanic ejecta, talus deposits and alluvial deposits.
The Akan volcanic ejecta comprise the somma lavas of basaltic andesite characteristically including pigeonite, welded tuff of augite-hypersthene andesite and pumice flow deposits.
The Oketo volcanic ash formation is found in the northwestern part of the map area, where it covers the 1st terrace deposits. It consists of coarse volcanic ash, and contains sand layers, pebbles and pumice. Thickness ranges from 4 to 8 meters.
The Fuppushi volcanic ejecta , in the eastern corner of the map area, are distributed around Mt. Fuppushi, which is a strato-volcano erupted on the western rim of the Akan caldera after its formation. They comprise porous lavas and fragmental ejecta of olivine bearing augite andesite.
The Meakan volcanic ejecta are the products of the volcanoes constructed after the formation of Akan caldera on its south-western margin. They are characterized as a whole by andesite belonging to hypersthenic rock series. From the early to middle stages of volcanic activity lavas and fragmental ejecta of intermediate andesite containing quartz and olivine phenocrysts were poured out, while those andesite were ejected in the late stage.
Such mineral resources as follows are found present in this area ; iron sulphide ore deposits and limestone in the Shōtoshibetsu formation, coal in the Urahoro group and in the Rikubetsu formation, petroleum and natural gas in the Kawakami group, manganese and limonite ore deposits precipitated through solfataric action of the Meakan volcanoes, and hot springs related to the mentioned volcanoes. Except one or two instances, they are not very large.
The limestone is dark grey in colour, and is rather hard. It includes siliceous rocks in forms of band and network, and is rather rich in silica. The ore body amounts to 1,300,000 tons or so.
The natural gas is related to the Tertiary petroleum, and contains 88.00 % CH4, 0.94 % C2H6, 1.55 % C3H8, 3.32 % CO2, 0.33 % O2 and 5.86 % N2 etc. Many signs of natural gas are shown in Lake Onnetō. The alignment of these signs and the geologic structure of this area suggest the gas reservoir entrapped by a fault.
The limonite is scattered in the Ponmachineshiri ejecta in form of small ore bed, 1 - 2 meters thick. It is rich in sulpher, and contains 50 - 54 % Fe and 0.9 - 2.2 % S.
The manganese ore is found resting on the basement of lava flow belonging to the Ponmachineshiri ejecta. The ore bed is 1 meter or so in thickness, and extends for 70 meters from east to west and for 150 meters from north to south. It contains 18 - 50 % Mn.
Most of the manganese ore deposits as well as of the limonite ore deposits are being exploited.
昭和 39 年 3 月 5 日 印刷 昭和 39 年 3 月 10 日 発行 著作権所有 北海道開発庁