01060_1962
5万分の1地質図幅説明書
(網走 第 60 号)
工業技術院 地質調査所 嘱託
北海道大学助教授 勝井義雄
北海道開発庁
昭和 37 年
目次 I. 地形 I.1 概説 I.2 火山地形および構造 I.2.1 屈斜路カルデラ I.2.2 アトサヌブリカルデラと熔岩円頂丘群 I.2.3 中島 I.2.4 摩周カルデラ I.3 新第三紀層および火山岩類の地形 II. 地質 II.1 概説 II.2 イクルシベ層 II.2.1 変朽安山岩(Ik1) II.2.2 緑色凝灰岩(Ik2) II.3 尾札部層(Os) II.4 サットモナイ火山岩(St) II.5 屈斜路外輪山熔岩(Ks) II.6 屈斜路熔結凝灰岩(Kw) II.7 古期段丘堆積物(Ot) II.8 アトサヌプリ古期火山群 II.8.1 アトサヌプリ外輪山熔岩(As) II.8.2 オヤコツ山円頂丘熔岩(Oy) II.8.3 252 m 山円頂丘熔岩(Ng) II.8.4 アトサヌプリ軽石(Ap) II.9 中島火山 II.9.1 古期円頂丘熔岩(No) II.9.2 中島軽石(Np) II.9.3 新期円頂丘熔岩(Ny) II.10 新期段丘堆積物(Yt) II.11 摩周外輪山熔岩(Ms) II.12 アトサヌプリ新期火山群Ⅰ II.12.1 九山円頂丘熔岩(Mr) II.12.2 ヌプリオンド山円頂丘熔岩(Nu) II.12.3 274 m 山円頂丘熔岩(Nn) II.12.4 ニフシオヤコツ山円頂丘熔岩(Ni) II.12.5 トサモシベ山円頂丘熔岩(Ts) II.12.6 オプタテシュケ山円頂丘熔岩(Op) II.13 摩周軽石(Mp) II.14 アトサヌプリ新期火山群Ⅱ II.14.1 リシリ山円頂丘熔岩(Rs) II.14.2 サワンチサプ山円頂丘熔岩(Sw) II.14.3 マクワンチサプ山円頂丘熔岩(Mc) II.14.4 アトサヌプリ山古期円頂丘熔岩(Ao)およびアトサヌプリ山新期円頂丘熔岩(Ay) II.15 カムイヌプリ火山灰(Ma-b) II.16 沖積層(a)・崖錐および扇状地堆積物(T) III. 応用地質 III.1 硫黄鉱床 III.2 温泉 III.3 石材 文献 Abstract
1 : 50,000 地質図幅説明書 (昭和 36 年稿)
(網走 第 60 号)
本図幅の調査は, 昭和 34 年 7 月 23 日から 9 月 19 日までの 59 日間にわたって野外作業が行なわれ, その後, 北海道大学理学部地質学鉱物学教室において室内作業が行なわれた。 また, この調査に先だち, 勝井は昭和 29 年から本図幅地方の火山研究に従事していた。 この図幅説明書は, 以上の成果をとりまとめたものである。
この図幅説明書の作成に当たっては, 北海道大学 石川俊夫教授・地質調査所 佐藤博之技官らから御教示を承わり, 北海道大学大学院生 大場与志男・岡部賢二氏らから御援助をうけた。 また, 野外作業においては, 帯広営林局・跡佐登鉱山および住友金属鉱山から御便宜をうけた。 以上の諸氏・機関ならびに会社に謝意を表したい。
この図幅のしめる地域は, 北緯 43°30'~43°40', 東経 144°15'~144°30' の範囲にある。
行政区画のうえからは, 大部分が釧路国(釧路支庁)川上郡弟子屈町に属し, わずかに北西隅が北見国(網走支庁)美幌町に, 北東隅が同じく上斜里村にそれぞれ属している。
交通は, 釧網本線が図幅の東側を南北に通じており, 国道が南東~北西に横断し, 道道が東側を南北に通じている。 また, 川湯および弟子屈から摩周湖への登山道路があり, 屈斜路湖東岸にも主要道路が通じているほか, 処々に林道および農道が伸びているが, その密度は少ない。 夏期には, 定期バスの便も良いが, 冬期間は, 国鉄本線を除けば, 交通は極めて不便である。
本図幅地域は, 大部分が火山地帯であって, 巨大な屈斜路カルデラ湖がその中央部を占め, 隣接する図幅地域の阿寒湖・摩周湖などとともに, その雄大な火山地形により, 昭和 9 年, 阿寒国立公園に指定された。
屈斜路カルデラ内には, 西北西から東南東に向って, 中島・アトサヌプリ・摩周などの新らしい火山が噴出しており, これらの火山と湖盆壁との間には, 屈斜路湖がたたえられている。 図幅の西南域には, これらの火山の基盤に当る新第三紀層および火山岩類が分布している (扉の写真・図版 1, 第 1 図参照)。
図幅の中央部を占める屈斜路カルデラは, ほぼ円型を呈し, 東西径 26 km, 南北径 20 km におよび, その大きさは阿蘇カルデラを凌ぐ。 カルデラ底には, 湖盆壁と後カルデラ火山との間に面積 77.5 km2, 湖岸線 56.5 km におよぶ日本有数の陸水湖である屈斜路湖をたたえている。 その湖面は海抜 121 m, 湖底はほぼ平坦で, 水深 40~50 m であるが, 南部に爆裂火口と考えられる潜窪があり, 水深 125 m に達している。 湖水は, 体積 2.22 km3 に及び, 水色 3~4(フオレル), 透明度 20 m(1917 年測定, 田中館 33) )を呈す。 水系は, カルデラ壁を刻み, 屈斜路湖に集められる短い河川しか発達しておらず, 湖水は南部から釧路川となって流出している。
屈斜路湖盆は, すでに岡村要蔵 20), 21), 22), 23) および田中館秀三 30), 31), 32), 33), 34), 35) らにより, 陥没によって生じたものであると考えられた。 湖盆の南部は, 新第三紀の地層および火山岩類からなる開析された山地で, この部分のカルデラ壁は明瞭でなく, 釧路川が屈斜路湖の水を排水している。 しかし, 湖盆の西部および北部は平均海抜 400~600 m の明瞭なカルデラ壁をなし, また東部には摩周火山に被覆されて海抜 400~500 m のカルデラ壁が続き, これによって囲まれたカルデラの体積はおよそ 50~80 km3 にも及ぶ。 カルデラ壁の内側は, 急斜面をなし, しばしば崖錐が発達しており, 外側には緩斜面をひろげている。 北部および西部のカルデラ壁には, 厚い熔岩流と集塊岩の互層が発達 している。 これらの屈斜路外輪山熔岩は, 単純に1コの中心噴火によって生じたものではない。 藻琴 山(海抜 1,000 m)をはじめ, サマッケヌプリ(海抜 895 m), コトニヌプリ(海抜 920 m)および サマッカリヌプリ(海抜 974 m)などのカルデラ壁上のピークは, かつていくつかの成層火山を作っていた山体の破壊された残体である。
屈斜路カルデラは, 洪積世後半 に断続的に行なわれた大規模な火山砕屑流の噴出に伴なって, 補償的に陥没していった巨大なクラカトア型カルデラである。 最近, 横山泉ら 46), 47), 48) は, 屈斜路湖盆の重力測定を湖氷上で行ない, 湖盆の周縁から中心に向って同心円的にブーゲー異常が, 46 milli-gals も小さくなっていることを見出した。 最小値を示す部分は, カルデラ中心とほぼ一致しており, この部分に軽石のような比重の小さなものが最も厚く存在していることを示している。 この中心こそは, 多量の軽石の噴出中心を示すものであり, また, 陥没の中心ともなったものであろう(第 2 図参照)。
屈斜路湖岸には, 低い湖岸段丘群がみられる(田中 29) ・田中館 31), 32), 33), 35), 36) ・津屋 39) ・堀江 4), 5) )。 この各段丘の旧汀線の高さ(海抜)は, 高位 154~145 m, 中位 142~137 m, 低位 133~127 m で, 一般に北岸では段丘の旧汀線高度が低く, 発達も悪い。 堀江 4), 5) によれば, これらの段丘は, 一時的侵蝕基準面であって, 各旧汀線ともほぼ一様の平面として北方へ向ってわずかに傾動しているという。
1938 年 5 月 25 日に起った屈斜路地震(石川 6) , 加藤 9) , 田中館 36) , 津屋 39) )では, 弟子屈 - 釧路川 - 和琴 - ビホロ峠 - 古梅の, 南東 - 北西方向につらなる小断層を生じ, カルデラ内では, 南西の山地側に対し湖水側が落下した。 このことは, 南東 - 北西方向の構造線があることを示すと同時に, 今日でもカルデラ中心部が, 南西部の山地に対し相対的に沈降しようとしていることを示すものと考えられる。
屈斜路カルデラ形成後, 洪積世末~冲積世の火山が, 西北西 - 東南東方向に噴出しているが, この方向は, 古い知床 - 阿寒火山列の北東 - 南西の方向に斜交する新しい構造線をしめすものであろう。
屈斜路湖盆の中央部には, アトサヌプリ火山が噴出し, その特異な熔岩円頂群は, すでに田中館 31) によって紹介されている。 しかし, これらの熔岩円頂丘群の噴出前に, 外輪山の存在が注意されており(野崎・篠田 19) ), 最近になって, 成層火山形成 - 軽石噴出・ カルデラ形成 - 熔岩円頂丘群の噴出という活動史が明確となった(勝井 12) )。 アトサヌプリ外輪山は, 海抜 350~450 m, 直径約 4 km, 深さ 150~250 m, 円形というよりは, むしろ方型に近く, 南部および北部は欠けている。
地形から判断すると, アトサヌプリ外輪山が作っていたかっての山体は, そう高いものではなく, 噴出物は中性の安山岩熔岩からなる。 カルデラ内は, 海抜約 200 m の平坦な地形を呈し, 厚い摩周軽石流堆積物やその後の降下軽石・火山灰などでおおわれている。 一部に比較的新しい断層崖が東西に走り, 北部側が約 20 m 陥没している。 また, リシリ山円頂丘熔岩の山麓には, 堰止められた浅い湯沼があり, 湯沼の北側には多数の硫気孔群がある。 この外輪山熔岩からややおくれて, 安山岩からなる熔岩円頂丘がふたつ噴出している。 一つは, 和琴半島のオヤコツ山熔岩円山頂丘で, これはもともと湖中の島であったものが, 尾札部川からの扇状地形成と湖岸湖流とによってつながり半島状となったものである。 山体周囲には, 湖成堆積物が覆っており, また多数の温泉が湧出し, 北岸には噴気孔群がある。 他の一つは, 釧網本線ビルワ - 川湯間東側にある平頂な 252 m 三角点を作っている熔岩円頂丘である。
これらの噴出後, 主に多量の石英安山岩質軽石流の噴出が行なわれ, この軽石流は, アトサヌプリ外輪山西部の山麓に, 海抜 160~240 m の火山砕屑岩台地を作っており, その末端部は, 屈斜路湖の湖岸段丘によって切られている。 しかし東部では, 摩周火山の噴出物が厚くしかも広く発達しているので, 地表では存在を確かめることはできない。
この軽石流の噴出後, カルデラ陥没が行なわれた。 以上の活動による火山体を総称してアトサヌプリ旧期火山群と呼ぶ。
カルデラ形成後, 10 個の石英安山岩の熔岩円頂丘が噴出した。 これをアトサヌプリ新期火山群と呼ぶ。 これらは, ごく短期間内に噴出したものではなく, 摩周カルデラ形成期に噴出した軽石流堆積物(Ma-f 層)を鍵層とすれば, その前後期のⅠおよびⅡ期に大別される。 一般にⅠ期の熔岩円頂丘群はやや解析をうけているが, Ⅱ期のものは, 殆ど解析されず, 塊状熔岩の表面には, 流理をしめす波紋状の溝(groove)を残している。
| 名称 | 海抜標高 m | 基底からの比高 m | 基底直径 m | 構造 | ||
|
Ⅰ期
熔岩円頂丘群 | 丸山 | 226 | 100 | 400 | 単一 | |
| ヌプリオンド山 | 245 | 45 | 250~400 | 単一 | ||
| 274 m 山 | 274 | 75 | 350 | 単一 | ||
| ニフシオヤコツ山 | 195 | 75 | 700 | 単一 | ||
| トサモシベ山 | 376 | 255~75 | 1,200 | 単一 | ||
| オプタテシケ山 | 504 | 300~200 | 2,400~1,800 | 二重 | ||
|
Ⅱ期
熔岩円頂丘群 | リシリ山 | 401 | 220 | 2,800~3,900 | 単一 | |
| サワンチサップ山 | 521 | 320 | 2,000 | 二重 | ||
| マクワンチサップ山 | 574 | 375 | 1,500 | 二重 | ||
| アトサヌプリ山 | 旧円頂丘 | 360 | 160 + | 2,300~1,600 | 二重 | |
| 新円頂丘 | 500 | 300 | 800~1,100 | |||
これらの円頂丘群の中では, しばしば, 二重円頂丘がみられ, また円頂丘の一部が破れて粘性の高い舌状の熔岩流が流出するなど, 興味ある地形が観察される。 最も新しく生じたアトサヌプリ熔岩円頂丘の周囲には, 噴気活動がはげしく続けられており, 硫黄鉱床を形成している。 この熔岩円頂丘はやはり二重構造をしめし, 最後に噴出した新期円頂丘の頂上には「熊落し火口」と呼ばれる爆裂火口が開かれ, その内壁には, REYER(1888)が実験的に示したような, 典型的な円頂丘熔岩の流理構造をみることができる(第 3 図および図版 2・3 参照)。
屈斜路湖のほぼ中央に浮かぶ扁平な中島(トーモシリまたはレプタンヌプリ)は, 直径約 3 km の円形というよりはむしろ, 北岸を一辺とする正三角形に近い形を示す。 この島の形は, 屈斜路湖岸に平行して起こる波浪の侵触と堆積によって生じたものであろう。 島の中央には, 直径 0.8 × 1.1 km, 海抜 355 m の扁平な熔岩円頂丘がある。 この円頂丘をめぐって, 直径約 1.5 km の外輪山があり, その周囲, つまり島の周辺には, 厚い軽石層が分布し, 低い湖岸段丘が発達している。
屈斜路カルデラの東壁には, 新しく, 摩周火山が形成されている。 屈斜路湖図幅の東部一帯は, ちょうど摩周火山外輪山の西斜面に相当しており, 外輪山壁近くでは, 熔岩流が露出しているが, 山腹から山麓にかけては, 摩周カルデラ形成期に噴出した多量の軽石流堆積物(Ma-f 層)によっておおわれ, 広大な火山砕屑岩台地を作っている。 この面の上をさらに新しい摩周火山の火山灰層(Ma-b 層)が被覆し, 広い火山灰地を作っている。
すでにのべたように, 本図幅の南西部は, 屈斜路カルデラ壁の一部に相当するのであるが, カルデラ壁としての形態は明瞭でなく, この部分には, 新第三紀層および火山岩類が広く露出している。 地形は一般に急峻で, 海抜 700~800 m の山地となっている。 河川系は, 尾札部川のように, 屈斜路湖に流入するものと, 東へ流れて直接 釧路川に合流するものとがあるが, 尾札部川を除けばいずれも流路が短かく, しばしば下流においては, 扇状地内に潜入することが多い。
1959 年 1 月 31 日, この図幅南西部のやや南(弟子屈図幅のペケレ山付近)を震央とする弟子屈強震が起こった。 この地震のため, 震央周囲の新第三紀層の山地には, 地割れ・地辷り等の被害が非常に多く発生した。 地辷りの多くは, 急斜面上の風化帯が辷り落ちたものである。
北海道の東部には, 阿寒・屈斜路から知床半島の突端にいたるまで, 一連の第四紀火山が半島の中軸に沿って分布している。 この火山列は, 千島火山帯の南西部に当り, 国後島と雁行する一つの弧状配列として扱われるもので, 阿寒知床帯(徳田 48) )とも呼ばれている。 これらの火山は, 大部分が成層火山で, 一般に初期に苦鉄質熔岩と砕屑物からなる比較的大きな山体を作っており, しばしば晩期に珪長質熔岩からなる円頂丘が出現する。 また, 阿寒・屈斜路地方では, 巨大なカルデラ形成が行なわれ, 周辺には広大な火山砕屑岩台地を作っている。 これらの第四紀火山の噴出物は, ほとんど大部分が玄武岩・輝石安山岩・輝石石英安山岩などであって, ピジオン輝石質岩系, あるいは紫蘇輝石質岩系に属するが, これらは一般にアルカリ・マグネシアに乏しく, 鉄・ライム [ 石灰 or 酸化カルシウム ] に富むことによって特徴づけられている 12), 14) 。
これら阿寒知床帯の第四紀火山の基盤をみると, 中新世の緑色凝灰岩・変朽安山岩・流紋岩などを主体とする厚い堆積物が, 半島の中軸に背斜軸を作って分布し, 頁岩・泥岩・凝灰岩・集塊岩などからなる中新世~鮮新世の地層が, その両翼にゆるい傾斜で発達している。 さらに, 第四紀層が, 半島のオホーツク海側および根室海峡側に広く発達している 12), 25), 26), 27), 40) 。
このように, 阿寒知床帯は, 中新世から第四紀まで, いちじるしい火山活動の舞台であった地域であり, その位置はちょうどオホーツク海沿岸のグリンタフ地域の南縁に当っている(湊 16) 。 この南方には, 釧路炭田地方の白堊系を基盤とする古第三系および新第三系が発達しており, 阿寒知床帯とは, 地史的にも地質区を異にしている。 その間には, 大きな構造線が考えられている(MINATO,et al 18) )。 つまり, この大きな構造線に沿って新第三紀の新しい地向斜が生まれ, その時代から第四紀に至るまで, ここが火山活動の舞台となり, 厚い火山噴出物を堆積したのである。
以上のごとき地質区の南西部を占める屈斜路湖図幅においては, 大部分が屈斜路カルデラ域に相当しているが, 南西部には, 変朽安山岩・緑色凝灰岩を基盤として, 集塊岩・凝灰質泥岩・安山岩熔岩などからなる新第三紀層が発達している。 変朽安山岩中には, 鉱化帯も認められる。 これらの新第三紀層を基盤として, 第四紀になって比較的苦鉄質の屈斜路外輪山熔岩が流出し, いくつかの巨大な成層火山を作ったあと, 洪積世中~末期にかけて, 多量の火山砕屑流の噴出が行なわれ, クラカトア型の屈斜路カルデラが陥没し, その後, アトサヌプリ・中島および摩周火山などがつぎつぎに形成されている。 洪積世末期にアトサヌプリ火山では, 再びカルデラ形成が行なわれ, その後 多数の熔岩円頂丘が出現している。 また冲積世に入って活動しはじめた摩周火山も, 約 5,500 年前にカルデラ陥没をおこし, その後 熔岩円頂丘と小成層火山を生じている。
以上の屈斜路地方の第四紀火山活動を, 噴出物の性質の上からみると, 初期には 主として苦鉄質~中性のピジオン輝石質岩系の 粘性の低い熔岩流の噴出を主とする比較的静穏な噴火によって, 成層火山が成長する。 次いで, 珪長質の紫蘇輝石質岩系の軽石流の噴出を主とするはげしい活動の結果, クラカトア型のカルデラ陥没が行なわれている。 しかし, こうした相似的な活動史を, 規模の上からみれば, 屈斜路カルデラ形成後, 次の世代では, 一段と縮小しており, アトサヌプリおよび摩周カルデラ形成後は, ピジオン輝石質岩系のマグマは現われず, 紫蘇輝石質岩系の粘性の高い珪長質マグマの小規模な活動によって, 熔岩円頂丘または舌状の熔岩を流出する小成層火山の形成に終わっている。 こうした一連の火山活動の歴史は, マグマの進化の上からも追究されている(勝井 10), 12), 13), 14) )。
屈斜路湖図幅域は, 冲積世の摩周火山からの軽石流および降下軽石堆積物が, 地表を厚くおおっているため, これらの火山砕屑物の下位の地質の露頭に乏しい。 この図幅地域の調査においては, 特にこうした火山砕屑物の層序・分布・噴出源を詳細に追跡してある。 従って, この資料によって, 各火山の活動が火山灰編年(tephro-chronology)の上から明らかにされ, また農業・林業その他の開発の上で重視される地表地質をも詳細に知ることができよう。
本図幅の南西部, イクルシベ山(海抜 728 m)を中心に発達する 変朽安山岩・緑色凝灰質角礫岩・緑色凝灰岩からなる累層に対して, イクルシベ層と命名した。 上部にくる尾札部層とは, 整合(一部不整合および断層)で接し, 主な構造は北東 - 南西の走向を示し, 阿寒知床帯の方向にほぼ平行している。 イクルシベ山の東方においては, 構造的に背斜構造を作って変朽安山岩が露出し, 背斜軸の方向に沿って鉱化作用が認められる。
イクルシベ層は, 上述の阿寒知床帯の一般層序からは, 忠類層に対比される可能性が強いけれども, 今のところ古生物学的資料がなく, その時代・対比については今後の問題として残される。
イクルシベ山およびその東方に, 大きな岩体を作って変朽安山岩が露出している。 この岩体は, しばしば緑色凝灰岩の薄層を挾有する大きな熔岩流の累層であって, 構造上イクルシベ層の背斜軸を形成している。 そのほか, イクルシベ層に熔岩流として挾在し, また小さな岩脈としてみられる。
イクルシベ山およびその東方の変朽安山岩体の北西および東南翼に接して, 緑色凝灰質角礫岩および緑色凝灰岩が発達している。 変朽安山岩体中に挾在する緑色凝灰岩類は, NE - SW の走向で 60°~70°SE または NW に急斜する。 しかし, この岩体をはなれると一般に傾斜はゆるくなり, 15°~20°を示し, 尾札部川上流域では水平層に近くなる。 上位は, 尾札部層の安山岩質集塊岩および熔岩に被覆され, その関係は一般に整合的であるが, 一部不整合および断層で接する。 層厚は最大の所では少なくとも 1,000 m に達する。
岩質は, 一般に層理に乏しく, 緑色化した凝灰質角礫岩・凝灰岩を主体とし, 部分的に緑泥石点紋が発達する。 化石はいまのところ Fagus sp. 及び炭化木のほかは発見されていない。
上述のイクルシベ層をおおい, 屈斜路外輪山熔岩におおわれる安山岩質集塊岩・安山岩熔岩を主体とし, 凝灰質角礫岩, 凝灰質砂岩, 凝灰岩および熔結凝灰岩などを伴なう累層が, 本図幅西部に発達している。 これを尾札部層と命名する。
一般に構造は水平に近く, 北西部では, 西に 35°~50°の傾斜をしめす。 層厚は, 最大 300 m に達する。 この地層は, イクルシベ層にみられるような変質をうけておらず, 僅かに弱い緑泥石化作用が認められる場合があるにすぎない。 化石に乏しく, 炭化木片以外には未だ発見されていない。 従って時代も未詳であるが, ここでは新第三系上部としておく。
本図幅の南部, 札友内付近に, 安山岩熔岩からなる小丘が発達している。 これらの小丘は, 南部に隣接する弟子屈図幅内の ビラオ山(海抜 554 m)および ペケレ山(海抜 732 m)を作っている熔岩の一部をなすものである。 オクルシベ層を不整合に被覆して噴出した古い火山体で, いちじるしく解析をうけている。 露頭に乏しく, その構造はよくわからない。 恐らく新第三紀末(または第四紀初頭 ?)に噴出したものと推定される。
屈斜路カルデラ壁を作って, 本図幅の周辺に広く分布する屈斜路外輪山熔岩は, すでにのべたように, 藻琴山・ サマッカリヌプリ・ コトニヌプリなどのいくつかの成層火山を作っていたものである。 カルデラ壁では, 一般に熔岩流にとみ, これと互層する砕屑物は少なく, 数~10 数度カルデラ壁に対し外側に傾斜している。 噴出物の厚さは, モコト山では数 100 m に達するが, 美幌峠で約 200 m, ニタトルシュケ山で約 250 m にすぎない。 これらの噴出時期は, 洪積世初期から中期にわたるもののようである。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 54.14 | 1.21 | 15.71 | 3.41 | 9.19 | 0.22 | 3.26 | 8.93 | 2.31 | 0.41 | 0.08 | 0.48 | 0.41 | 99.76 | 35.0 |
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 60.40 | 1.01 | 16.71 | 3.54 | 3.61 | 0.08 | 2.11 | 5.90 | 3.25 | 1.44 | 0.17 | 0.61 | 0.70 | 99.53 | 15.5 |
屈斜路外輪山熔岩の噴出後, 洪積世中~末期にかけて, 屈斜路火山は, はげしい珪長質マグマの軽石流の噴出を主としたカルデラ形成期に入る。 これらの堆積物は, 主にカルデラの北・東・南部に広大な火山砕屑岩台地を作って分布している [ 以下の [注] 参照 ] 。 本図幅内では, 初期に噴出した厚い灰白色の屈斜路熔結凝灰岩(古梅型)が, 摩周火山噴出物におおわれた屈斜路カルデラ東壁にみられるにすぎない。 美幌峠付近などには, 当然この堆積物が認められてもよさそうであるが, 恐らく始めからごくうすくしか堆積せず, その後侵蝕されてしまったのであろう。 峠の北西方では, かなり厚く堆積しており, 古梅では採石も行なわれている。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 71.25 | 0.50 | 14.31 | 1.22 | 1.48 | 0.10 | 0.89 | 3.13 | 4.06 | 1.91 | 0.11 | 0.68 | 0.16 | 99.80 | 6.5 |
本図幅の南東隅に, 摩周火山の軽石流堆積物(Ma-f 層)の台地面から約 40 m 高い 平坦な丘稜(海抜 253 m)がある。 Ma-f 層に厚く被覆され, 露頭はないが, 試掘により安山岩の亜角礫を主とする礫層の存在することを確かめた。 地形からも, この礫層が, 段丘礫層であろうと推定される。 恐らく, 屈斜路熔結凝灰岩堆積後の段丘堆積物であろう。
屈斜路カルデラの形成後, カルデラの中央に, アトサヌプリ火山が噴出している。 この火山は, カルデラ底を基底として, はじめ中性の安山岩熔岩・砕屑物からなる成層火山を形成した。 その活動におくれて, やや苦鉄質の安山岩熔岩からなるオヤコツ山熔岩円頂丘 および珪長質安山岩からなる 252 m 山熔岩円頂丘が噴出した。 その後, 成層火山の中心から, 珪長質マグマが主として軽石流となって大量に噴出し, その結果アトサヌプリカルデラが形成された。 これまでの活動によって生じた山体を, アトサヌプリ古期火山群と呼ぶ。 この時代は, これらの噴出物が新期段丘堆積物におおわれているところから, 洪積世末期と考えられる。
アトサヌプリ外輪山は, 中性の安山岩熔岩および砕屑物の互層によって構成され, これらの互層はカルデラの外側にむかって数度傾斜しており, カルデラ形成前には成層火山を作っていたものである。 カルデラ壁を除くと, 山麓斜面は厚い軽石流堆積物におおわれて露出に乏しい。 現在みられる外輪山熔岩の厚さは, 総計最厚 260 m + に達する。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 64.26 | 0.91 | 14.87 | 2.18 | 5.03 | 0.14 | 1.76 | 5.49 | 3.70 | 0.83 | 0.20 | 0.25 | 0.36 | 99.98 | 18.0 |
和琴半島は, オヤコツ山熔岩円頂丘が, 尾札部川の扇状地と接合して, 半島状になったものである。 円頂丘の周辺には, 円頂丘熔岩をおおって, ところどころに, 珪長質軽石・火山灰を主とする層理の明らかな湖成の新期段丘堆積物が発達し, その表層には摩周火山からの軽石流堆積物(Ma-f 層)が被覆している。 円頂丘の北端には噴気孔群があり, また周辺の処々には, 湖面と略同水準以下に温泉が湧出している。 この熔岩円頂丘は, かつて田中舘 31) によって, アトサヌプリ熔岩円頂丘群と同一にとり扱われたものであるが, その熔岩の性質は苦鉄質であり, しかも時代は新期段丘堆積物よりも古い。 したがって, アトサヌプリ外輪山熔岩の活動期のややあとに噴出したものであろう。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 57.82 | 0.91 | 17.65 | 2.90 | 4.94 | 0.12 | 2.75 | 7.86 | 2.89 | 1.01 | 0.14 | 0.32 | 0.29 | 99.60 | 21.5 |
ビルワ - 川湯間の釧網線の東側に, 平頂な熔岩円頂丘がある。 その東部および頂部は, Ma-f 層によって厚くおおわれており, 西部には多孔質で流理構造の発達した熔岩が露出している。 この熔岩円頂丘の活動時期については不明な点が多いけれども, 恐らくアトサヌプリカルデラの形成前のものであろう。
アトサヌプリ外輪山の西麓一帯および釧路川沿いに, 白色の石英安山岩質軽石流堆積物が分布している。 この堆積物は, 湖成の新期段丘堆積物に被われ, さらに表層は摩周火山の軽石流堆積物(Ma-f 層)におおわれているため, 極めて露出に乏しい。 また, 外輪山の東方にも分布していると考えられるが, 摩周火山の噴出物に厚くおおわれているため不明である。 この軽石流を主体としたアトサヌプリ軽石は, 直接アトサヌプリ外輪山熔岩をおおっており, 外輪山西麓では厚さ約 20 m の火山砕屑岩台地を作っている。 この軽石の噴出直後, アトサヌプリカルデラの陥没が行なわれた。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 60.81 | 0.58 | 13.23 | 2.07 | 1.79 | 0.07 | 0.94 | 3.31 | 3.79 | 1.49 | 0.09 | 2.73 | 0.33 | 100.23 | 8.0 |
屈斜路湖の中央にある中島は, 外輪山熔岩~軽石~円頂丘熔岩からなりたつ火山であって, 島の周辺にはこの火山の噴出物をおおって湖成の新期段丘堆積物が発達している。 この火山の熔岩・軽石は, いずれも石英安山岩であって, 外輪山も実は成層火山ではなく, やや規模の大きな石英安山岩の熔岩円頂丘で, その後の軽石噴火で中央に火口を生じ, 最後に小規模な新期熔岩円頂丘が中央火口丘として噴出したものである。 したがって, この火山の構造は, アトサヌプリ熔岩円頂丘群にしばしばみられる 二重式の円頂丘の規模の大きいものに類似する。 この火山は, アトサヌプリ火山群が, 石英安山岩質マグマの活動期に入ってから, 恐らく共通のマグマの一部が噴出したものであって, その時代はアトサヌプリカルデラの形成後, 熔岩円頂丘群の形成前 - 洪積世末期と考えられる。
中島の外輪山は, 厚い灰色の普通輝石紫蘇輝石石英安山岩(Ⅴd 型, 色指数 9.5)から構成されており, この中には砕屑物の挾在を認めない。 軽石噴火の前は, かなり大きな熔岩円頂丘を形成していたものである。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 67.51 | 0.69 | 15.23 | 1.94 | 2.43 | 0.09 | 1.23 | 4.49 | 3.63 | 1.34 | 0.18 | 0.53 | 0.38 | 99.67 | 9.5 |
古期円頂丘熔岩の周囲に, 直接熔岩をおおって, 白色の軽石層が分布している。 この軽石層は, 降下軽石と軽石流とからなるが, 噴出孔に近いため, 降下軽石も淘汰作用が悪い。 層厚は, 最大 18 m である。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 66.90 | 0.69 | 14.72 | 2.18 | 2.25 | 0.08 | 1.37 | 4.22 | 3.59 | 1.35 | 0.15 | 1.87 | 0.34 | 99.71 | 10.0 |
外輪山の中央より少し東に偏して噴出した新期円頂丘熔岩は, 灰色の普通輝石紫蘇輝石石英安山岩(Ⅴd~e 型, 色指数 9)からできている。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 69.65 | 0.59 | 13.91 | 2.46 | 1.92 | 0.07 | 1.16 | 3.63 | 3.55 | 1.45 | 0.14 | 0.77 | 0.42 | 99.72 | 9.0 |
屈斜路湖岸には, 低い段丘群が発達している 4), 5), 29), 31), 32), 33), 35), 36), 39) 。 この段丘の発達は, 湖の南岸において良好である。 堀江 4) は, 湖の旧汀線を追跡して, 高位(海抜 154~145 m)・ 中位(海抜 142~137 m)・ 低位(海抜 133~127 m)の三段が分布していることを確かめた。 これらの面のうち, 湖面(海抜 121 m)からの比高数 m 以下の面では, 摩周カルデラ形成期の軽石流堆積物(Ma-f 層)が二次堆積しており, それ以上の面では陸成の堆積物として被覆している。 最も高い面には, 段丘堆積物の上位に, 薄層ながら摩周外輪山熔岩噴出期の風化した火山灰が被覆することがある。 ここでは, Ma-f 層に被覆される段丘堆積物を, 新期段丘堆積物としてとり扱っている。 この新期段丘堆積物の時代は, 洪積世末~冲積世初頭にかけて形成されたものであろう。
以上の外, 尾札部川その他の河岸にも, この時期の河岸段丘堆積物が, 僅かに認められる。
屈斜路カルデラの東壁に噴出した摩周火山は, 初め主として苦鉄質~中性の無斑晶~斑状の輝石安山岩(Ⅰc, Ⅴc, Ⅴd→c 型)からなる熔岩および砕屑物を噴出し, 成層火山を形成した 10) 。 この活動に際して噴出したスコリア質火山灰(Ma-α~ζ 層)は, 摩周火山の東・北部において, 低位河岸段丘礫層を被覆しており, その時期は冲積世初頭とみられる 13) (第 4 図参照)。
この成層火山を作っている摩周外輪山熔岩は, 本図幅では, 東部の外輪山西斜面に僅かに露出しているにすぎない。 ここでは, 登山道路に普通輝石紫蘇輝石安山岩(Ⅴc 型, 色指数 30)が露出し, その北方では, これに少量の斑晶橄欖石を含むもの(Ⅴc 型, 色指数 25)が熔岩流地形を作って分布している。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 | |
| a | 55.08 | 1.19 | 15.92 | 3.83 | 8.16 | 0.22 | 3.19 | 9.02 | 2.48 | 0.44 | 0.21 | 0.25 | 0.14 | 100.13 | 32.0 |
| b | 52.78 | 0.77 | 19.01 | 2.48 | 7.15 | 0.18 | 3.78 | 11.08 | 2.21 | 0.30 | 0.25 | 0.19 | 0.18 | 100.36 | 30.5 |
| c | 60.05 | 0.51 | 17.07 | 2.25 | 6.18 | 0.14 | 2.33 | 7.90 | 2.66 | 0.50 | 0.25 | 0.28 | 0.10 | 100.22 | 21.5 |
アトサヌプリカルデラの形成後, 外輪山の外側および内側に, 10 個の石英安山岩の熔岩円頂丘が噴出しており, 特異な火山地形を作っている。 これらの円頂丘熔岩は, アトサヌプリカルデラ形成期の軽石・中島火山の熔岩と軽石などと共に, 共通の珪長質マグマの一連の活動によって生じたものである。 これらの活動を全体としてみれば, カルデラ形成期には多量の軽石として噴出し, ついで中島火山にみられるように軽石の量が少なくなり, 最後にほとんど軽石を拠出せず, 多数の円頂丘熔岩として次々に噴出するという過程がみられる。 これらの熔岩円頂丘群は, 同じ石英安山岩で作られているが, 熔岩の結晶度・鉱物組成などに多少の相異がみられ, また円頂丘の形態・構造などにも相異がある。 これらの円頂丘群は, 冲積世初頭から, 摩周火山の軽石流唯物(Ma-f 層)をはさんで, 比較的最近にいたるまで, 冲積世全般にわたって次々に形成されたものである(第 4 図参照)。 ここでは, Ma-f 層を鍵層として, これより古い円頂丘群をアトサヌプリ新期火山群Ⅰとし, 新しいものをアトサヌプリ新期火山群Ⅱとして記述する。 このように分類した場合, Ⅰの円頂丘は外輪山の外側に配置し, 既に多少の侵蝕をうけており, Ⅱの円頂丘は外輪山内部または壁上に噴出し, 形態も新しく, 火山体上またはその周縁に噴気活動が行なわれている。
釧路川の流出口近くにある丸山は, 小規模な熔岩円頂丘で, 単純な鐘状というよりは円錐状をなし, 山麓部は河床からの高さ数 m の礫層が被覆している。
丸山に近接して, ヌプリオンド山熔岩円頂丘がある。 やはり小規模な鐘状の熔岩円頂丘で, 下位に厚いアトサヌプリ軽石とこれを被覆する新期段丘埋積物および埋積土壌があり, 円頂丘熔岩の上位には, Ma-f 層が被覆している。
アトサヌプリ外輪山の東斜面上に, やはり小規模な鐘状の 274 m 山熔岩円頂丘がある。 山麓一帯は Ma-f 層に広く覆われている。
屈斜路湖東岸に, 扁平な饅頭状のニフシオヤコツ山の熔岩円頂丘が湖中に突きでている。 Ma-f 層に被覆され, 新期段丘堆積物との直接の関係はみられない。
外輪山の西方に, 鐘状のトサモシベ山の熔岩円頂丘が, アトサヌプリ外輪山熔岩および軽石の上に噴出している。 この円頂丘は, 単一のものであるが, 上述のよりやや規模が大きくなっている。
外輪山の西南斜面に, オプタテシュケ山熔岩円頂丘が, アトサヌプリ軽石をおおって噴出している。 この円頂丘は, 2重式であって, 規模も大きい。 はじめ, やや大きな熔岩円頂丘を形成したあと, その頂部を破って, 新しく, 現在の頂上を作る熔岩円頂丘が噴出している。
摩周火山は, 外輪山熔岩を噴出して成層火山を形成したあと, やや珪長質なマグマのはげしい噴出によって特徴づけられるカルデラ形成期に入る 13) 。 この時期には, 降下軽石(Ma-l 層)についで火山灰層(Ma-k 層)がまず散発的に噴出され, ついで破局的噴火を迎える。 この破局的噴火は, プリニアン式で, はじめ既存の山体を砕いて火山灰(Ma-j 層)として飛ばし, 次いでやや珪長質の発泡の良い Ma-i 層の降下軽石が噴出し, 次第に発泡の悪い Ma-h・Ma-g 層の軽石噴出に移り, 最後に恐らくガス圧の低下によって空中高く噴出せず, 軽石流の形で丸味をもった発泡の悪い軽石を含む Ma-f 層が流下堆積した。 これらの一連の噴出物は, 主として摩周火山の東側に扇状に堆積しており, 根釧原野の火山灰地を形成している 41), 42), 44) 。 しかし, 最後の軽石流(Ma-f 層)は, 四周に流下したため, 本図幅内にも広く分布している。 この軽石流の噴出後, 摩周火山はクラカトア型のカルデラ陥没を行なった。
軽石流堆積物(Ma-f 層)は, 本図幅東部の山麓地帯で層厚最大 20 m に達する火山砕屑岩台地を作っている。 また, 尾札部川をはじめ各河川に逆流して河岸に段丘状をなして厚く堆積している。 一般にその堆積状態は明らかに地形に支配され, 凹部に厚く, 凸部ではうすいかまたは存在しない。 堆積物は淘汰作用が悪く, 明らかに乱流状態で流下した軽石流堆積物であるが, 屈斜路カルデラ壁(美幌峠で比高 400 m)を越えて北西側にも分布しているところをみると, その流れの高さは地表すれすれではなく, かなり高いものであったろう。 この時代は, 泥炭層の形成状態から, 約 2,000 年前 42) と推定されているが, 和琴半島付近で Ma-f 層の二次堆積物の上の腐植中から, 北筒式土器(繩文中期)が発見されたので, 恐らく更に古く, 約 5,500 年前と推定されよう(II.16 参照)。 この年代は摩周カルデラの形成年代にも相当する。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 65.73 | 0.62 | 15.29 | 2.15 | 3.25 | 0.13 | 1.99 | 4.74 | 4.10 | 0.75 | 0.25 | 0.40 | 0.33 | 99.73 | 13.5 |
アトサヌプリカルデラの南半部を埋めて, 基底直径 2.8 × 3.9 km, 火山体自身の高さ 220 m という極めて扁平なリシリ山熔岩円頂丘が噴出している。 円頂丘の表面には, 塊状熔岩の起伏とは別に, 熔岩流の流動構造が微地形としてあらわれており, 最高点(海抜 401 m)附近を中心として四周に熔岩が流出したあとをとどめている。 基底面が僅かに南に傾斜しているため, 熔岩流は北方では湯沼を堰止め, 南方へは 2.5 km も伸びている。 円頂丘の南端からビルワ原野の冲積層上部に, 円頂丘熔岩の岩塊を含む扇状地堆積物が舌状に分布している。 これは単なる扇状地堆積物というよりは, 岩屑流によって運ばれたものであろう。 円頂丘熔岩は Ma-f 層を被覆しており, また東方では 恐らくリシリ山円頂丘の活動の初期に噴出したと考えられる 白色の石英安山岩質の降下軽石堆積物(At-c 層)が, Ma-f 層の上位, アトサヌプリ円頂丘熔岩の下位に挾在している。
アトサヌプリ外輪山の北部上に, 帽子状のサワンチサプ山熔岩円頂丘が噴出している。 この円頂丘は, 二重式熔岩円頂丘であって, 始め臼状に近い形をした円頂丘を形成したあと, その北西斜面を破って2枚の粘性の高い熔岩を舌状に押し出し, 次いで頂部に平頂な円頂丘を噴出している。
サワンチサプ山熔岩円頂丘の南部に, アトサヌブリ熔岩円頂丘と接して, 「かぶと」状をしたマクワンチサプ山熔岩円頂丘がある。 この熔岩円頂丘も単一ものではなく, はじめに海抜約 500 m の臼状の円頂丘を形成したあと, この頂部を破って熔岩流が舌状に南および北側に流れ, 最後に頂部に帽子状の円頂丘熔岩が噴出している。
マクワンチサプ山の東に接して, アトサヌブリ山 -- 別名「硫黄山」-- の熔岩円頂丘がある。 この円頂丘も, やはり二重式で, 外輪山をなす古期円頂丘と, 中央の新期円頂丘とからなっている。
古期円頂丘は, はじめ灰色・潜晶質の石英安山岩(または珪長質安山岩)からなる熔岩円頂丘を形成し, ついで南側へ白色ハリ質の石英安山岩の熔岩を舌状に流出した。 この熔岩は, Ma-f 層および At-c 層を被覆している。 その後, 頂部が爆発によって破壊され, 外輪山となった。 このときの噴出物は, At-b 層と呼んだ硫気変質をうけた岩片を特徴的に含む白色の火山灰となって, 東南方に降下している。
新期円頂丘は, 上記外輪山の中央に噴出した多孔質で白色ハリ質の石英安山岩からなる 単一の鐘状円頂丘である。 底面の地形に支配され, 北方に流出しており, 表面には噴出孔を中心とする同心円状の波紋(groove)が発達している。 この円頂丘上には, カムイヌプリの降下軽石・火山灰(Ma-b 層)が被覆している。 頂上には, 「熊落し火口」と呼ばれる爆裂火口が開いており, 周辺には爆発噴出物(At-a 層)が Ma-b 層を被覆して堆積しており, Ma-a 層にはおおわれているが, この爆発の年代は新しく 2~300 年前と推定される。 爆裂火口壁には, 円頂熔岩の流理構造が明瞭に観察できる。 この円頂丘には放射状に亀裂が入っており, この亀裂および円頂丘の周辺には, 多数の噴気孔があり, 硫黄鉱床が形成されている。
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 72.64 | 0.68 | 12.92 | 1.52 | 1.93 | 0.07 | 1.14 | 2.53 | 4.03 | 1.62 | 0.04 | 0.61 | 0.15 | 99.88 | 8.0 |
摩周火山では, カルデラ形成後, カルデラの中央にカムイシュ島の石英安山岩の熔岩円頂丘と, 南東部にカムイヌプリ(海抜 858 m)の珪長質安山岩からなる小成層火山を生じている。 このカムイヌプリは, 粘性の高い珪長質輝石安山岩(Ⅴd, Ⅰd 型, 色指数約 13)の熔岩を流出したあと, 最後に破局的噴火を行ない, 直径 1.5 × 1.2 km, 深さ最大約 500 m におよぶ大火口を生じている。 この噴火に際して抛出された一連の降下軽石・火山灰堆積物は, 主として火口の北方および西方に広く分布し, 火口近くでは熔結した降下軽石をみることができる 13) 。 この年代は, 泥炭形成の状態から, 350~500 年前と推定されている 42) 。 これら一連の噴出物は, 本図幅の東半部に広く分布しており, 冲積層の主要構成員をなしている(図版 15 参照)。
堆積物は, 5層に分けられ, それぞれの分布域は異なるが, この間に腐植その他の時間間隙を示す現象は認められない。 これらは, いずれも空中を飛行して堆積した降下軽石・火山灰であって, 淘汰作用がよく, 層厚・粒度・含まれている外来岩片の大きさと量などは, 火口から規則正しく逓減する(第 5, 6 図参照)。 これらのあるものは, アトサヌプリ火山起源と考えられていたが 41), 42), 43) , 第 5, 6 図の如き調査によって, カムイヌプリ起源であることが確かめられ, これらを一括して Ma-b 層と呼び, 次のように細分することにした。
| 堆積物 | 山田 42) の分帯 | 本図幅の分帯 |
| 黄灰白色降下軽石 | A・a 層 | Ma-b1 層 |
| 暗灰色粗粒火山灰 | Ma-b2 層 | |
| 黄灰白色降下軽石 | A・b 層 | Ma-b3 層 |
| 灰白火山灰 | M・b 層 | Ma-b4 層 |
| 黄灰白色降下軽石 | A・c 層 | Ma-b5 層 |
| SiO2 | TiO2 | Al2O3 | Fe2O3 | FeO | MnO | MgO | CaO | Na2O | K2O | P2O5 | H2O (+) | H2O (-) | Σ | 色指数 |
| 65.53 | 0.36 | 14.72 | 2.48 | 3.21 | 0.10 | 1.49 | 4.42 | 3.54 | 0.85 | 0.20 | 2.71 | 0.20 | 99.81 | 12.0 |
冲積層は, 釧路川流域の 美留和 原野および川湯北方の低地帯に広く分布し, 屈斜路湖岸その他にも狭小に発達している。 堆積物は, 軽石・礫・砂・火山灰・泥などからなり, 一般に表層部には, Ma-b および At-b などの火山灰層が被覆している [ 以下の [注] 参照 ] (第 4 図参照)。 美留和厚野および川湯北方では泥炭層が発達している 43) 。
また, 河床または湖面から 2~4 m の比高を有する段丘状地形が, しばしば屈斜路湖岸および釧路川河岸などにみられるが, この堆積物は Ma-f 層から由来した軽石・火山灰に富む。
崖錐堆積物は, 主として 急峻なカルデラ壁・ 熔岩円頂丘および南西部の新第三紀層の山地などにみられる。 また扇状地堆積物も, このようなところの下位に発達している。 やや古い扇状地堆積物の多くは, Ma-f 層に被覆されている。
この図幅の南西部に発達する新第三系の変朽安山岩中には, 緑泥石化および黄鉄鉱化作用などを伴なう鉱化帯が, かなりの面積にわたって存在する。 この鉱化帯中には, しばしば浅熱水性の石英脈が, 細脈としてみられる。 この鉱化帯は, これまでも, 各方面から探鉱されてきたが, みるべき鉱床は発見されていない [ 以下の [注] 参照 ] 。
従って, 本図幅内の有用地下資源としては, アトサヌプリ新期熔岩円頂丘の周辺に発達する硫黄鉱床と, 川湯その他にみられる温泉などが主なるものであって, その他には石材がある。
アトサヌプリ新期熔岩円頂丘およびその周縁には, 多数の硫気孔群があり, 昇華硫黄を主体とした鉱床が存在する。 この硫黄鉱床は, 既に 1879 年ごろから注目されており, 当時, 標茶まで鉄道を敷設して原鉱を輸送し, そこで製錬を行ない, 釧路川を利用して船で製品を搬出していた 20) 。 その後, 次々に経営者が代り, 1944 年までに, 総計 35,000 トンの精製硫黄を産出している。 現在では跡佐登硫黄鉱山株式会社によって稼行されている。
この鉱床については, 最近に調査公表されたものとして, 山口 45) ・早瀬 2), 3) ・矢島 44) 及び斎藤 24) らによる報告がある。 以下の記述はこれらに依るところが多い。
|
試料採取
現場 | 試料番号 |
試料採取
厚さ cm |
S
(%) |
SiO2
(%) |
Fe
(%) |
Al2O3
(%) |
CaO
(%) |
MgO
(%) | 備考 |
| U 現場 | 1 | 100 | 19.69 | - | - | - | - | - | 平均鉱 |
| V 〃 | 2 | 90 | 13.62 | 79.69 | - | - | - | - | 下部貧鉱部 |
| F 〃 | 3 | 80 | 24.80 | - | - | - | - | - | 下部硫化鉱 |
| F 〃 | 4 | 50 | 31.66 | - | - | - | - | - | 上部硫化鉱 |
| G 〃 | 5 | 70 | 21.21 | - | - | - | - | - | 含硫化鉄鉱硫黄鉱 |
| L 〃 | 6 | 56.04 | 39.09 | 0.53 | 1.08 | 0.16 | 2.58 | 上鉱 | |
| 第2(Ⅱ)〃 | 7 | 18.63 | - | - | - | - | - | 灰白色部平均鉱 |
本図幅内には, 川湯温泉をはじめ, 屈斜路湖東~南岸にかけて 仁伏・砂湯・池の湯・ポントおよび和琴半島などに多数の温泉が湧出しており, またアトサヌプリ新期熔岩円頂丘の 周縁・湯沼の北部・サワンチサプ西麓および和琴半島北岸などには, 多数の噴気孔がある(第 7 図参照)。
これらの温泉のうち, 川湯温泉はアトサヌプリ新期熔岩円頂丘の硫気孔活動に源をもつ強酸性の層状泉であるが, 他の屈斜路湖岸に湧出する温泉は, その静止水頭が湖面より僅かに高く, 水頭は湖面と共に昇降を示し, 泉温も大部分 40~50 ℃ で, 組成は単純泉に近く, pH 6.0~6.8 を示す。
この地方の温泉に関しては, 福富他 1) および鈴木他 28) の調査報告があり, 以下の記載はこれらによるところが多い。
本図幅内にみられる有用な石材としては, 安山岩熔岩・熔結凝灰岩および降下軽石堆積物があげられる。
EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN Scale 1 : 50,000
(Abashiri - 60)
By Yoshio KATSUI
The area of this sheet map, located between latitude 43°30'~43°40' N and longitude 144°15'~ 144°30' E, is occupied by the Kutcharo caldera in the southwestern part of the Shiretoko - Akan volcanic chain, an échelon belonging to the Kurile volcanic zone, in east Hokkaido.
The Kutcharo caldera, embracing Lake Kutcharo, is one of the largest Krakatoan calderas in the world, with diameters of 26 × 20 km. Lake Kutcharo, in the western half of the caldera, has an area of 77.5 km2 ; it is drained by the Kushiro river from the southern part. Lacustrine terraces are distributed along the shore, mainly in the southern part.
The somma of the Kutcharo caldera exhibits a nearly circular wall (500~1,000 m above sea level) constructed of thick piles of somma lavas and pyroclastic rocks, except for the southern part which is composed of Neogene volcanic and sedimentary rocks.
A gravity low, reaching -46 milligals, is found, with isoanomaly contour lines conforming to the caldera shape. Existence of a layer of coarse pumice and or some low density materials thickening toward the centre is required to account for the above anomalies.
Three post caldera volcanoes were formed in the bottom and on the wall of the caldera : Atosanupuri somma and lava dome group in the centre of the bottom, Nakajima double lava domes in the western bottom, and Mashû somma, a lava dome and a cone on the eastern wall, respectively.
Talus and fan deposits are accumulated at the foot of the caldera wall. Alluvial deposits, composed of gravel, sand, pumice, ash and peat, are distributed along the lake shore and the Kushiro rlver.
The geology of this area, as shown in Table 1, can be divided into two units : basement Neogene volcanic and sedimentary rocks, and Quaternary volcanoes.
Ikurushibe formation, composed of propylite, andesitic green tuffbreccia and green tuff, occupies the southwestern corner of this sheet map. Thick piles of the propylites, which have been subjected to weak mineralization, form an anticlinal axis trending in NE - SW direction which conforms to that of the Shiretoko peninsula.
Osappe formation, distributed in the western half of the area, consists of andesitic tuff, tuff-breccla, welded tuff and andesite lavas. This formation comformably overlies the Ikurushibe formation.
Sattomanai volcanic rocks, composed of intermediate and felsic andesites, constitutes the northern foots of Mt. Pekere and Mt. Birao in southern neighbour sheet map "Teshikaga". Owing to scantiness of outcrops, the structure and age of these andesite mountains are not yet clarified.
Kutcharo volcano : Somma lavas and fragments of the Kutcharo volcano are composed of olivine-basalt and pyroxene-andesite which were erupted in early to middle Pleistocene. In middle to late Pleistocene, some half score of pumice- and scoria-flows accompanied by pumice- and ash-falls were erupted, resulting in formation of a huge caldera of Krakatoan type. The pyroclastic deposits erupted at the time of these activities are widely distributed around the caldera, forming pyroclastic plateaux ; but only the first one of them, Kutcharo welded tuff, consisting of dacitic pumice and ash, is distributed in this sheet map.
Atosanupuri volcano : After the depression of the caldera, near the centre of its bottom, Atosanupuri volcano was formed. In the older stage of this volcano, a large stratocone of andesite and later two small andesite lava domes, named Oyakotsu-yama and "252 m"-yama, were formed. Then, a great deal of dacite pumice and ash were erupted, mainly in a form of pumice flow causlng a caldera depression. Atosanupuri pumlce, erupted in this activity, is deposited around the Atosanupuri caldera, and cut by lacustrine terraces.
Following the above activities, from late Pleistocene to Holocene, intermittent eruptions of viscous dacite magma took place around and in the Atosanupuri caldera. At first, Nakajima volcano, composed of double lava domes, was formed in the centre of Lake Kutcharo. Then, in early to middle Holocene, six lava domes apeared around the Atosanupuri caldera : Maru-yama, Nupuriondo-yama, "274 m"-yama, Nifushioyakotsu-yama, Tosamoshibe-yama and Oputateshuke-yama, respectively. Finally, after the eruption of the pumice-flow of Mashû volcano, the four lava domes Rishiri-yama, Sawanchisapu-yama, Makuwanchisapu-yama and Atosanupuri-yama (Older and younger), were extruded. Among of them, the younger lava dome of Atosanupuri-yama, the latest one, is now in active solfataric state.
Mashû volcano : In early Holocene, on the eastern wall of the Kutcharo caldera, Mashû volcano was being constructed by alternative eruptions of mafic andesite lavas and scoria. After the effusion of the somma lavas, the activity of the Mashû volcano was converted into explosive eruptions of felsic pumice and ash. In the culminant phase, about 5,500 years ago, pumice- and ash-falls (Ma-j, i, h and g) and a great deal of pumice-flow (Ma-f) were erupted successively, resulting in the formation of the Mashû caldera (7.5 × 5.5 km in diameter). This pumice-flow is widely deposited in this sheet map, forming a pyroclastic plateau in the southeast corner. This deposit is composed of felsic pyroxene-andesite pumice, ash, somma lava blocks and basement rock fragments. Human remains of Middle Jûmon age (about 4,500 ys. B.P.) are found in a humus soil layer between the pumice-flow deposit (Ma-f) and younger ash bed.
After the depression of the caldera, a small dacite lava dome (Kamuishu) and a steep-sided cone (Kamuinupuri) of felsic andesite and dacite lava and fragment, were erupted. About 350~500 years ago, successive pumice- and ash-falls (Ma-b1~5) from Kamuinupuri covered the surface of the eastern half of thls area.
No workable metal deposits have been discovered in the mineralized zone of propylite. Sulphur deposits, hot springs and certain materials of economic importance are found in the area of this sheet map.
Sulphur deposits : A number of solfataric gas jets are emitted from the margin and fissures of the younger lava dome of Atosanupuri-yama, forming sublimation sulphur deposits. The ores are composed mainly of sublimation sulphur, pyrite, opal, alunite and clay minerals, and they range about 25~10 % in S content. Refined sulphur amounting to 600 tons or more per month, are produced by the Atosanupuri Sulphur Mine (in 1959).
Hot springs : Many hot springs are welling out from six districts around the Atosanupuri volcano. Namely, at Kawayu there are found today some 60 orifices of hot springs (pH 0.8~1.2, 65゚C in max. temp.) which are derived from a shallow layer of underground hot spring water originated from near the Atosanupuri-yama lava dome. The quantity of heat discharged as Kawayu hot springs is estimated as 46.0 × 107 cal. / min.
Others : Kutcharo welded tuff and other andesite lavas are used for building and road-stones, and Kamuinupuri pumice-fall deposits (Ma-b) could be used for making ash blocks.
昭和 37 年 3 月 13 日 印刷 昭和 37 年 3 月 17 日 発行 著作権所有 北海道開発庁