01057_1963

5万分の1地質図幅説明書

小利別 しょうとしべつ

(網走 第 57 号)

北海道立地下資源調査所
北海道技師 鈴木守
北海道嘱託 浅井宏

北海道開発庁

昭和 38 年 3 月


この調査は, 北海道総合開発の一環である, 地下資源開発のための基本調査として, 北海道に調査を委託し, 道立地下資源調査所において, 実施したものである。


目次

はしがき
I. 位置および交通
II. 地形
III. 地質
III.1 地質概説
III.2 地質各説
III.2.1 ジュラ系
III.2.1.1 小利別層
III.2.1.2 輝緑岩
III.2.2 第三系
III.2.2.1 陸別層
III.2.3 新第三系
III.2.3.1 プロピライト
III.2.3.2 十勝層群
III.2.3.2.1 ラワン礫岩砂岩層
III.2.3.2.2 文線層
III.2.3.3 鮮新世火山岩類
III.2.3.3.1 勲禰別熔岩
III.2.3.3.2 トマム川熔岩類
III.2.3.3.3 釧北火山岩類
III.2.3.3.4 石英粗面岩
III.2.3.3.5 かんらん石玄武岩
III.2.3.4 ニイトマム川層
III.2.4 第四系
III.2.4.1 1,050 m 山熔岩
III.2.4.2 第1段丘堆積物
III.2.4.3 勝山熔結凝灰岩
III.2.4.4 第2段丘堆積物
III.2.4.5 第3段丘堆積物
III.2.4.6 置戸火山灰層
III.2.4.7 崖錐堆積物
III.2.4.8 冲積層
IV. 地史
V. 応用地質
V.1 マンガン鉱床
V.2 大理石鉱床
V.3 石材
文献

Résumé (in English)

5万分の1地質図幅説明書

小利別 しょうとしべつ

(網走 第 57 号)


はしがき

小利別地質図幅および同説明書は, 昭和 35 年から昭和 36 年にかけての2年間にわたり, 延約 180 日間で行なった野外調査の結果をとりまとめたものである。

野外調査にあたっては, つぎの各氏に協力していただいた。 それぞれの分担地域を明記して, 厚く謝意を表する。

安藤久男   [ 北海道開発局
(北海道大学在籍中に協力) ]
  士居常呂川および仁居常呂川流域
太田昌秀 [ 北海道大学 ] 小利別部落東方から訓子府町にかけての地域
春日井昭 [ 北海道学芸大学 ] ニイトマム川および太辛川流域
橋本誠二 [ 北海道大学 ] 勲禰別川およびポントマム川流域
武田裕幸 [ 国際航業株式会社
(北海道大学在職中に協力) ]
図幅東南部地域

また, この説明書のとりまとめにあたっては, 隣接図幅の担当者である, 工業技術院 地質調査所 北海道支所の沢村孝之肋, 山口昇一の両氏, および, 北海道立地下資源調査所の長谷川潔, 三谷勝利, 藤原哲夫の各氏から, 多くの有益な対論および助言を頂いた。 とくに, 長谷川潔氏からは, 末公表の資料を一部借用させて頂いた。

また, 現地では, 陸別町 工藤稲吉町長, 千葉俊一助役, 加藤友吉商工係長, および, 陸別営林署の各位から, 一方ならぬ御世話になった。 これらの方々に, 厚く御礼を申しあげる。

I. 位置および交通

この図幅は, 北緯 43°30'~43°40', 東経 143°30'~136°45' の範囲にあり, 釧路国と北見国の北西端境界部付近に位置している。 行政区画のうえでは, 北部の北見国側の西部地域は置戸町に, 東部地域は訓子府町に, また南部釧路国側は陸別町に, それぞれ属している。

図幅地域内には, 多くの交通網が発達している。 とくに重要なものは, 図幅地域の北西から南東にかけて, この図幅地域を斜めに横断して通っている国鉄 池北線と, これにほぼ平行に走っている自動車道路である。 これらはともに, 北見と十勝とを結ぶ幹線として重要な役割を果している。 このほか, ほとんどの河川ぞいには, 自動車道路あるいは歩道が通じている。 さらに, 図幅地域南部のニイトマム川ぞいには, 陸別市街から陸別営林署の森林軌道が, また北西部の 士居常呂川 しいところがわ および 仁居常呂川 にいところがわ ぞいには, 置戸市街から営林署の森林軌道が, それぞれ敷設されている。

II. 地形

この図幅地域は, すでにのべたように, 北見国と釧路国の西北端境界部にあたり, その国境稜線がほぼ NE - SW 方向に走っている。 しかし, 高度の点からみれば, それほど高くはなく, 最高で 867 m ほどである。 一方, 最も低いところでも 236 m ほどであり, 高低差が 630 m ていどにすぎない。 そのために, 全般に, 割合なだらかな地形になっている。 それでも, この図幅地域の地形を検討してみると, いろいろ興味ある事実がみとめられる。

まずこの図幅地域の現地形をみると, 大体二つのそれぞれちがった特徴をもった地形区のようなものがみとめられる。 すなわち,

1) 図幅地域の基盤を構成している小利別層の分布地域の地形
2) 新第三紀および第四紀の堆積岩や火山岩の分布している地域の地形

これらの特徴を, 簡単に説明するとつぎのようである。

1) は, V 字状のかなり切り立った谷地形をしめし, 尾根の幅がせまい。 また, 谷密度が高く, しかも, かなり直線的な配置をしめす。

2) は, 緩やかな凹地状の谷地形をつくっており, 尾根幅は広い。 また, 谷密度は低く, 不規則な形をしめしている。

このような地形上のちがいは, 明らかに, 地質内容(地質時代, 地質構造, 岩質)の差によるものである。 とくに, 1) の谷地形は, 地質図には表現できないような 小断層や剪断帯の影響によって形成された断層谷とみることができる。

一方, 地形断面図 [ 第 1 図 ] からみて, おおよその標高にして, 250 m, 300 m, 500 m, および 600 m の平坦面ないしは高度のそろう点の存在することがしられる。 これらのうち, 600 m 面は, 地形復元図 [ 第 2 図 ] から明らかなように, 熔岩の流走面であると推定される。

第 1 図 地形断面図

第 2 図 地形復元図(1 km の幅で谷をうめてある)

その他の面については, 段丘面であるか準平原であるか問題はあるが, ここではいちおう段丘面として取扱うことにする。 これらのうち, もっとも広い平坦面をつくっているのは, 400 m 面であり, ついで500 m 面である。 これに対して, 250 m および 350 m の各面は, 現河川の流域にそって発達しているだけである

III. 地質

III.1 地質概説

小利別図幅地域の地質構成は, 第 3 図にしめしたとおりである。

第 3 図 模式柱状図

最下部の基盤を形成しているのは, 先白堊紀の小利別層で, 図幅地域の東側に分布している。 おそらく, 日高累層群上部の空知層群中の山部層に対比されるものとおもわれる。 おもに, スピライト質岩類とその砕屑岩類, および赤色チャートなどからなりたっている。 この地層は, 構造的には, この図幅地域から東隣接 本岐 ほんき 図幅地域にかけて幅 10 数 km で, 南北に帯状に分布している常呂帯にふくまれる。

小利別層をおおって発達している第三紀の堆積岩層は, 陸別層と十勝層群に属するものがある。

陸別層は陸成堆積物から構成されており, 地質時代は明らかでない。

この地域に分布する十勝層群は, 最下位のラワン礫岩砂岩層と, 中位に相当すると考えられる文線層だけである。

これらの堆積岩層は, この図幅地域内では, ともに小範囲に分布しているにすぎない。

この図幅地域でもっとも広範囲に分布しているのは, 鮮新世の一連の火山活動によるとみられる膨大な火山岩類である。 最下位は 勲禰別 くんねべつ 熔岩とよんでいる玄武岩熔岩である。 その上に, 基性安山岩類から構成されているトマム熔岩類, さらに集塊岩および安山岩の複合体からなりたつ 釧北 せんぽく 火山岩類が発達している。 また, 釧北火山岩類を貫ぬいている石英粗面岩やかんらん石玄武岩の小迸入体がみられる。

なお, これらの火山岩類の間に, 中新世に属するとおもわれるプロピライトが, ごくわずかではあるが顔をだしている。

第四系は, 新第三系をおおって分布している含かんらん石安山岩の 1050 m 山熔岩と, 士居常呂川や仁居常呂川ぞいにそって分布している熔結凝灰岩, および各河川にそって発達する段丘堆積層, あるいは, この間に介在している火山灰層, などから構成されている。

III.2 地質各説

III.2.1 ジュラ系

III.2.1.1 小利別 しょうとしべつ

小利別層はまえにのべたように, 図幅地域の東側に, 図幅の約4分の1ほどの範囲をしめて, 南北方向に分布している。

この地層は, 地質図にもしめしてあるように, 大きく, 赤色チャート 輝緑岩質凝灰岩 , および スピライト質岩類 の3つに岩相区分をすることができる。 これら各岩相間の層序関係は, 上下関係の明らかなところもあるが, 指交関係をしめすとみられるところもある。 しかし, 擾乱されていることに加えて, 露出が不良であるために, 層序関係はまだ確立されてはいない。 しかし, 大まかに地質構造をみると, 小利別部落付近を NE - SW 方向に走る断層線を境いにして, 二つの構造単位のようなものにわけることができる。 断層線から北西側は, 北方に開いた緩い向斜状構造を形成しているのに対し, 南東側では, 東側に 45 度内外の傾斜をしめす単斜構造を形成している。 このような地質構造からみて, 今後の詳細なそして広範な調査によって, 割合容易に層序の組立てができるものと考えられる。

つぎに, 各岩相について説明する。

赤色チャート(Sc)

この岩石は小利別部落の北東地域に広く分布しているが, そのほかの地域にも, 各所に層状に分布している。

岩質的には全体がいわゆる赤色チャートではなくて, 間にかなり赤色の凝灰質岩をはさんでいる。 一般に, 層理面が明瞭であり, これに平行な節理あるいは割目の発達もいちじるしい。

典型的な赤色チャートは, 明るい赤色あるいは濃い暗赤色をしている。 このような岩質のものを顕微鏡下で観察すればつぎのようである。

全体が赤色味をおびた微細な不定形の石英集合体からなりたっている。 この間には, 多数のラジオラリヤが散点している。 また, これらを貫ぬいて, 多数の石英細脈が発達している。

このような点から, 北海道の中軸帯のほかの地域のものと同様に, いわゆるラジオラリヤチャートであることがわかる。

輝緑岩質凝灰岩類(St)

輝緑岩質凝灰岩類として取扱ったものには, いろいろの岩相をふくめてある。 すなわち, 集塊質, 角礫凝灰質, 粗粒あるいは細粒凝灰質, および, 珪質などの岩相があり, 一部に緑色頁岩質岩相をはさんでいる。 また, レンズ状の石灰岩が介在している。

図幅地域の北東端付近に分布しているものは, 集塊質ないしは角礫質凝灰岩相が大半をしめている(第 4 図)。 しかし, ふくまれている角礫が減少すると, 層理の明らかないわゆる層灰岩といわれるような岩相を形成している。 また, 珪質岩相でも明らかな層理面が発達しており, 一部では緑色チャートになっている。 一方, 中央地域から南部地域にかけては 粗粒の砂質凝灰岩とよべるような岩相が大半をしめており, この間に, 細粒の凝灰岩や暗緑色の頁岩質岩相が, 各所にみとめられる。 一般に, 層理の発達が悪く, 層理面はこの中にふくまれている石灰岩の層理から推察できるだけにすぎない。

第 4 図 輝緑岩質凝灰岩(角礫凝灰岩相)

輝緑岩質凝灰類にふくまれている角礫にはいろいろの種類がある。 その大部分は, スピライト質岩類である。 このほかに, 図幅地域の北東付近に, 絹雲母石英片岩や閃緑岩などの岩片がみとめられた。 このような岩片の意味することについては, なお今後検討することが必要である。

スピライト質岩類(Ss)

ここでスピライト質岩類として取扱う岩石は, つぎのような性質を備えているものについて使用している。 本来の性質は玄武岩質あるいは輝緑岩質であったが, 現在ある性質は, 曹長石化および緑泥石化という二つの作用 -- これは同時であるが -- によってもたらされたものである。 したがって, ソーダ含有率が普通の玄武岩や輝緑岩に比較してひじょうに高く, 4 % 内外から 6 % 内外をしめしている。

この地域のスピライト質岩類には, 二つの型が識別される。 一つは, 細粒の輝緑岩質岩 であり, 他の一つは, 典型的なスピライト である。 量的には, 圧倒的に前者が多い。

細粒輝緑岩質岩相

この岩石は, 利別川ぞいに崖をつくって露出しているほか, 各所に, 大きな岩体をつくって分布している。 緑色の緻密な非顕晶質岩である。 剪断運動の影響をうけているために, 割目がいちじるしく発達し, とくに強く剪断運動の働いたような部分は, 片状化している。 常呂帯のほかの地域には, この岩石の枕状熔岩がしられているようであるが, この図幅地域では明らかでない。

顕微鏡下での観察によれば, つぎのようである。

ひじょうに細粒の斜長石と普通輝石が, サブオフィックあるいはインターサータル組織をしめしている。 また, これらの間には斜長石斑晶が散点している。 この斑晶は, 一般に長径 0.4 mm 内外の大きさのものであるが, 0.6 × 2.0 mm ほどのものもみとめられる。 割目の発達がいちじるしく, ひじょうに汚れた感じで, 外縁のこわれているものが多い。 石基の斜長石は, 長軸 0.1 mm ほどの長さの柱状結晶で, 斑晶と同様にひじょうに汚れている。 そのため, これらの An 成分は明らかでないが, 曹長石質であろうと推定される。 普通輝石は無色の 0.02 mm の大きさの粒状結晶である。 これも, チリ状物質に置換されていたり, 緑泥石化されているものがある。 これら全体を貫ぬいて, 多数の緑泥石脈が発達しており, 一部には方解石脈もみとめられる。

第 5 図 スピライト質岩(細粒輝緑岩相)

この型の岩石は, ソーダの含量が 4 % 内外の値をしめしている。

典型的なスピライト

この岩石は, 輝緑岩質凝灰岩中にレンズ状に介在している。 図幅地域の東端部には, この岩石の見事な枕状構造をしめすものがみとめられる(第 6 図)。 暗赤褐色を呈する緻密で硬質な非顕晶質岩である。 ときには, 杏仁状構造の発達しているものがある。

第 6 図 枕状構造をしめすスピライト

顕微鏡下で観察すればつぎのようである。

ハイアロオフィティックあるいはバリオリティック組織をしめしている。 これらの斜長石は, 0.2 mm 内外の長さをもった長柱状結晶で, いちじるしい撓曲形をしめしている。 大部分の斜長石は, 微細な緑泥石に置換されており, 汚れがいちじるしい。 一般に, 多少の斜長石斑晶がみとめられる。 これも, ほとんどが緑泥石化しており, わずかに汚れた斜長石が残されているといった状態である。 杏仁をふくむものでは, 杏仁は微細な緑泥石集合や方解石によってうずめられている。 これらの各鉱物や杏仁の間は, 土状の赤鉄鉱や緑泥石によってしめられており, ガラスの有無は明らかでない。

第 7 図 典型的なスピライト

この種の岩石のソーダ含量は, 6 % 内外のかなり高い値をしめすようであるが, 一般化できるかどうかについては, なお今後の検討が必要である。

III.2.1.2 輝緑岩 [ 以下の [注] 参照 ] (Db)

ここで輝緑岩としてあげた岩石は, まえにのべたスピライト質岩類とは性質のちがう, 迸入型輝緑岩である。 この岩石の迸入時期がジュラ紀であるか白堊紀であるかは明らかでない [ 以下の [注] 参照 ]

[注]
この岩石は, 岩質の点で神居古潭構造帯の中粒輝緑岩ににている。

この岩石は, 小利別を貫ぬく幅数 m の岩床状の小迸入体として分布している。 スピライト質岩類が非顕晶質であるのに対し, 優黒色のやや粗粒な顕晶質岩である。

この岩石は, 典型的なサブオフィティック組織をしめしている。 普通輝石は 0.5 mm 内外の大きさで, 多くの割目が発達しており, そのためにブロック化がいちじるしい。 周辺部がやや紫がかった, チタン質のものが多い。 また, 周辺や割目にそって緑泥石化しているものがあり, 一部のものは分解してチリ状物質に置換されている。 斜長石は長径 0.4~0.6 mm ほどの長柱状結晶であるが, ほとんどがチリ状物質を放出して汚れている。 これらの間には, 緑泥石脈や石英脈が発達している。

第 8 図 輝緑岩

この型の輝緑岩では, ソーダ含量が一般に 2 % 内外である。

小利別層からは, 現在のところ, ラジオラリヤ以外の化石はみとめられていない。

層厚は, ±2,000 m ほどでないかとおもわれるが, 確かでない。

III.2.2 第三系

III.2.2.1 陸別層(Rk)

陸別層は, この図幅地域の東端部に分布しており, 隣接 本岐図幅地域内に拡っている。

露出が不良なために, 構造は明らかでないが, 小利別層を直接不整合におおっていることは確かである。 この地域に分布している陸別層は, 礫岩だけであり, 化石はみとめられない。 礫種は基盤からのものだけであり, スピライト質岩類, チャート, 石灰岩, 粘板岩, および硬砂岩などがある。

この地層の地質時代については, その中にふくまれている植物化石から古第三紀であるということがいわれているようである [ 以下の [注] 参照 ] 。 しかし, この図幅では, この点を明らかにすることができなかった。

[注]
北海道大学理学部棚井敏雅助教授による。

層厚は, 大体 200 m ほどである。

III.2.3 新第三系

この図幅地域に発達している新第三系は, ほとんど大部分が鮮新世のものとみられる堆積岩類や火山岩類である。 中新世と考えられるものは, すでにのべたように, 局所的にあらわれているプロピライトだけである。 一般に露出に乏しく, 正確に地質関係を把握することが困難である。

III.2.3.1 プロピライト(Pr)

プロピライトは, 勲禰別川上流部と図幅北端の士居常呂川ぞいに分布している。 ともに, 断片的な露出しかみられないために, まわりとの地質関係は明らかでない。

勲禰別川のものは, 暗緑色ないしは緑黒色で, 汚れた斜長石斑晶の目立つ硬質岩である。 これに対し, 士居常呂川ぞいのものは, 暗褐色, かなり新鮮な感じの岩石である。

これらを顕微鏡下で観察すれば, つぎのようである。

勲禰別川のもの

斑晶としては, 斜長石にしそ輝石とがあるが, ほとんど大部分は斜長石である。 斜長石は 1.0~2.0 mm ほどの大きさで, 割合新鮮であるが, 割目の発達がいちじるしい。 しかし, 部分的ではあるが, 緑泥石や方解石によって置換されている。 しそ輝石は, ごくわずかしかふくまれておらず, 0.4 mm の大きさで, 割目や劈開にそって緑泥石化している。
石基はハイアロピリティック組織をしめしている。 長径 0.1~0.2 mm ほどの柱状斜長石の間には, 不規則な形をした曹長石や微細な緑泥石集合物が発達している。 また, これらの間には, 不透明鉱物が多数散点している。 石基中には緑泥石以外の有色鉱物はみとめられない。

士居常呂川のもの

斑晶として, 多数の普通輝石と斜長石のほか, 少量のしそ輝石をふくんでいる。 普通輝石は, 0.6 mm ほどの大きさをもち, まわりの方が緑色角閃石化しているものがある。 また, 斜長石や不透明鉱物を包かしているものがある。 斜長石は, 長軸 0.7~2.4 mm 内外の板状結晶で, 内部が汚れており, まだら状に曹長石によって置換されている。
石基はハイアロピリティック組織をしめしている。 そして, 勲禰別川のものと同様に, 不規則な形をした曹長石が間をうずめている。 しかし, 緑泥石はあまりみとめられない。 これらの間には, 粒状の普通輝石や不透明鉱物が散点している。

ここでのべたプロピライトのうち, 士居常呂川のものは, 緑泥石があまりみとめられず, したがって, いわゆるプロピライトとして取扱うことは妥当でないかもしれない。 しかし, 石基中にみられる曹長石の生成が, 勲禰別川のものとよくにているので, いちおうプロピライトとしておきたい。

III.2.3.2 十勝層群

十勝層群は, 1958 年に三谷勝利らによって名命された鮮新世の累層である。 その標式地は, この図幅地域南方 足寄町の利別川および足寄川流域である。

この図幅地域内に分布している十勝層群に属する地層は, ごく一部にすぎない。 また, その分布範囲もひじょうにせまい。

III.2.3.2.1 ラワン礫岩砂岩層(Hr)

この地層は, 十勝層群の下部層である本別層の最下位の部層である。 つまり, この地域の鮮新世の基底を構成する地層である。 標式地では, 本別層は四つの部層に区分されているが, この地域では, この部層しか分布していない。

この地層は, 図幅南部の勲禰別川下流およびポントマム川の流域に発達している [ 以下の [注] 参照 ] 。 全般に露出が悪く, 走向傾斜は不明である。 したがって, その地質内容もあまり明らかでないが, 野外で観察できるかぎりでは, 礫岩だけからなりたっているようである。

[注]
陸別図幅によれば, 勲禰別川下流地域はフクロ沢層という中新世の地層になっている。 しかし, この図幅調査の結果や 地質調査所支所の山口昇一氏によるフクロ沢層から採取された化石内容などによれば, むしろ, ラワン礫岩砂岩層の一部と考えた方が妥当であるという結論をえた。 したがって, この図幅では, フクロ沢層という名称をやめ, ラワン礫岩砂岩層として取扱った。

礫岩はやや硬質の部分もあるが, この地域のものは, 一般にハンマーで容易に掘りくずすことができるていどのものである。

礫の大きさは, 米粒大から拳大ていどで, よく円磨されている。

礫の種類は, 80~90 % ほどまでが基盤岩礫である。 すなわち, 花崗岩, 斑糲岩, 輝緑岩, スピライト, ホルンフェルス, チャート, 粘板岩などである。 このほかに, 10 % 内外ではあるが, プロピライト, 安山岩, 石英粗面岩などがみとめられる。 また, 礫の間をうずめている砂粒として, 多量の石英がみとめられる。

このような礫岩の性質は, この地層全体をつうじみられるもののようである。

III.2.3.2.1 文線 ぶんせん

この地層は, 図幅東南部の文線 [ 分線 ? ] 部落付近に分布している。 利別川ぞいには, 第 9 図にしめしたように, 切り立った崖をつくって露出している。 しかし, 露出がこの付近だけしかないために, まわりの地層とその関係はほとんどわからない。 西側のラワン礫岩砂岩層との関係は, おそらく断層であると推定される。

第 9 図 文線層の露出。 上部には, 第3段丘堆積物と置戸火山火層がのっている

文線層は, 凝灰岩, 粗粒砂岩および細粒礫岩などの互層からなりたっており, ほぼ水平に近い重なりをしめしている(第 10 図)。 その層厚は, 部分的な露出しかみられないために明らかでない。

第 10 図 文線層, 第3段丘堆積物, 置戸火山灰層

この地層の層準ははっきりしないが, 岩質の点からみて, 足寄層の主部層の一部に相当するのでないかと考えられる。

III.2.3.3 鮮新世火山岩類

鮮新世の火山活動によるとみられる火山岩類は, この図幅地域でもっとも広範囲に分布している。 これは, 下位より, 勲禰別熔岩, トマム川熔岩類, および釧北火山岩類の三つに分類することができる。

III.2.3.3.1 勲禰別 くんねべつ 熔岩(Kb)

この熔岩は玄武岩熔岩であり, 勲禰別川下流地域から日宗にかけての地域の稜線上に分布している。 また, その一部は釧北信号所の東南付近にもみとめられる。 全般にひじょに露出が悪く, この分布も, 大半は転石によって押えたものである。 そのために, 地質関係を明らかにできるところはない。 しかし, おそらくラワン礫岩砂岩層を直接におおい, トマム川熔岩類によっておおわれているものとおもわれる。

斑晶に乏しい褐色あるい濃灰色を呈する緻密な硬質岩である。 一般に板状の節理が発達しているが, あとにのべる安山岩にくらべて, 間隔が広くまた規則正しいものではないようである。

顕微鏡下で観察すればつぎのようである(第 11 図)。

斑晶として, 少量の普通輝石や斜長石がみとめられる。 普通輝石には, 波動消光をしめすものが多い。
石基はインターグラニュラー組織をしめしている。 斜長石は針状, 柱状, 長柱状で, ひじょうに新鮮である。 中には, 普通輝石粒を包かしているものがある。 輝石は不規則な形をした粒状結晶で, 分解して汚れているものが多い。 これらの間には, 磁鉄鉱粒が散点している。

第 11 図 勲禰別熔岩

III.2.3.3.2 トマム川熔岩類(Tv)

トマム川熔岩類は, まえに説明したラワン礫岩砂岩層や勲禰別熔岩をおおって広く分布している。

この熔岩類は, 大まかにみれば, 2種類ほどの岩相から構成されている。 しかし, これらがそれぞれ, どのような関係にあるかは明らかでない。

もっとも広く分布しているのは, 勲禰別川上流地域から北西の士居常呂川地域にかけて分布している岩相である。 この岩相には, 鉄平石 てっぺいせき 様の板状節理が発達している。 板状節理の発達の仕方には, 3~5 cm ほどの間隔のものと, 数 mm ほどの間隔のものとがある。 前者は, 暗褐色, 暗灰色, 暗緑褐色などで, 斜長石の斑晶が多数みとめられるが, 後者は, 黒色で, 斜長石斑晶がわずかしかふくまれていない。 しかし, この二つを顕微鏡下で観察すればあまり差異がない(第 12 図)。

斑晶としては, 多数の斜長石と, 少量の普通輝石やしそ輝石をふくんでいる。 斜長石斑晶は, 0.2 × 0.4~0.8 × 1.0 mm ほどの大きさの板状結晶で, ときには, 集斑晶をつくっているのがある。 また, 内部に, 粒状の普通輝石を包かしているのもある。

第 12 図 トマム川熔岩類(鉄平石様の岩相)

石基には, 節理面に平行な流理構造が発達している。 すなわち, 多量のフェルト状斜長石が方向配列しており, この間を粒状の普通輝石がうずめている。 ガラスはごく少量しかみとめられない。 また, これらの間には, 磁鉄鉱粒が散在している。

これまで説明してきた岩相よりは分布がせまいけれども, ちがう岩相が 太辛川 ふとからがわ 流域から東側にかけてみられる。 この岩相にも, いくぶん板状節理に近いものが発達している。

真黒の石基中に, 多数の斜長石斑晶が不規則に散点しているのが, 肉眼でも明らかにみとめられる。

斑晶として, 0.4 × 0.8 mm 内外の斜長石を多数ふくんでいる。 この斜長石は, 集斑晶を形成しているものが多い。 このほかに, 0.2 mm ほどの普通輝石斑晶が, ごくわずかであるがみとめられる。
石基は, 0.1 mm 内外の大きさの針状あるいは短柱状斜長石が方向配列しており, この間に, 粒状の普通輝石が多量にみとめられる。 これらの間を褐色のガラスがうずめており, さらに, この中には多数の磁鉄鉱粒がみとめられる。

第 13 図 トマム川熔岩類(斜長石の集斑晶を多数含む岩相)

これまでのべた岩相のほかに, 陸別図幅地域でしられていると同質とおもわれる, 多孔質の含かんらん石しそ輝石普通輝石安山岩が一部でみとめられる。 しかし, その産状やまわりとの関係は不明である。

トマム川熔岩類は, すでにのべてきたように, あまり変質していない新鮮な岩石類からなりたっている。 しかし, 局所的には, 赤鉄鉱によって汚染されて赤色化していることがある。 この赤色化は, 節理面に平行に行なわれていることが多い。

陸別図幅で中新世のトマム川熔岩とされたものを, この図幅では鮮新世のトマム川熔岩類として取扱った。 とくに問題になるのは, その地質時代である。 これは, 具体的には, ラワン礫岩砂岩層の下位にあるか, それとも, 上位にあるか, によって決定できる。 しかし, 野外でこれらの関係の観察できる所はない。 しかし, もし, ラワン礫岩砂岩層がこの熔岩(類)を直接おおって発達していると仮定した場合, この地層を構成している礫に, この熔岩に由来すると考えられるものがないのはなぜか, という疑問が生れてくる。 すでに説明したように, ラワン礫岩砂岩層の礫の内容は, ほとんどが, 基盤岩に由来するものから構成されている。 また, 陸別図幅での説明によれば, トマム川熔岩には緑泥石化や珪化などのみとめられる部分がある, とされている。 しかし, この図幅地域のトマム川熔岩類には, すでにのべたように, 赤鉄鉱の汚染による赤色化以外に, この種の変質はみとめられない。 したがって, あるいは, 陸別図幅地域でみられた, 緑泥石化や珪化などをうけている岩石は, トマム川熔岩とは別ものである, という可能性もあるのではなかろうか。 現段階では, 若干の問題点もあるが, トマム川熔岩類をラワン礫岩砂岩層より上位の鮮新世の火山岩として取扱う方が, 妥当であると考えられる。

III.2.3.3.3 釧北 せんぽく 火山岩類(Sv)

釧北火山岩類は, 図幅地域の中央部付近から北方へかけて拡がり, さらに, 北隣接 留辺蘂 るべしべ 図幅地域にまで分布している。 この火山岩類は, 集塊岩部と熔岩部の複合体を形成している。 大まかにみれば, 下部には集塊岩部が多く, 上部はおもに安山岩熔岩からなりたっている。 この火山岩類の最下部付近には, まえにのべたトマム川熔岩類のうちの細かな板状節理の発達している岩相が, 何枚か介在している。 このことは, この火山岩類が, トマム川熔岩類の噴出と一連の火山活動によってもたらされたものであることをしめしている。 したがって, 両者の境界は明確に定めることは困難であるが, いちおう集塊岩相の下限を境いにした。

ここで集塊岩として取扱っているのは, 集塊凝灰岩が主体であり, 一部には集塊熔岩がみとめられる。 これを構成している角礫には, いろいろの種類のものがある。 もっとも多いのは, 上部の熔岩を構成している岩質に類似のもので, 斜長石斑晶の多い黒色の安山岩である。 このほかに, 石英安山岩などもみとめられる。 これらの角礫の間をうずめている基質は, 黄色ないしは黄褐色の粗粒凝灰岩である。

この火山岩類を構成している安山岩熔岩は, 多数の斜長石斑晶をふくんでおり, また, 10 cm 内外の幅で板状節理が発達している。

この安山岩熔岩を顕微鏡下で観察すればつぎのようである。

1~2 mm ほどの大きさの板状あるいは柱状の斜長石を多数ふくんでいる。 そのほかに, 長径 0.4 mm 内外のしそ輝石の斑晶を少量ふくんでいる。 このしそ輝石は, まわりが細かな普通輝石粒によって包まれており, この両結晶で1斑晶を形成しているようになっている。
石基はハイアロピリティック組織をしめしている。 すなわち, 短冊状の斜長石がやや方向性をしめして配列しており, その間に, 粒状の普通輝石や磁鉄鉱が散点している。 これらの各鉱物間は, 灰色味をおびた褐色のガラスによって充填されている。

釧北火山岩類も, まえに説明したトマム川熔岩類にみられたように, 部分的にいちじるしく赤色化している。

III.2.3.3.4 石英粗面岩(Lp)

石英粗面岩は, 図幅地域の北端, 池北線の東側付近に1ヵ所だけしられている。 この岩石は, おそらく, トマム川熔岩類と釧北火山岩類との境界部付近に迸入した岩床体であると推定される。 しかし, 露出が不良のために, あまり明らかではない。

この岩石は, 桃色がかった灰色あるいは褐色, および白色あるいは黄色などの色が入り混っている。 しかも, これらの間には, 流理構造とみられる縞模様がみとめられる。 この岩石はかなり多孔質であり, 孔のまわりには, 孔をふちどるように, 黄灰色あるいは白色の部分がみられる。

顕微鏡下での観察によれば, つぎのようである。

多くの斜長石斑晶をふくむ斑状構造をしめしている。 斜長石斑晶は, 1.5 mm ほどの大きさの自形柱状ないしは板状結晶である。 石英はごく少量みとめられるていどである。 有色鉱物はみとめられない。
石基は, 微珪長質組織をしめし, 全般に淡い褐色味をおびている。 その中に, 多少の色のちがいと粒度のちがいによる流理線がみとめられる。 また, まえにのべた孔のまわりの部分は, 無色鉱物(斜長石, カリ長石, およびガラスなどとおもわれる)の スフェルライト様の組織をしめす集合体から構成されている。 一部には, 斜長石を中心に放射状に拡がった, 直径 3 mm ほどの大きさのスフェルライトがみとめられる。 不透明鉱物はあまり多くないが, これらの間に散点している。

III.2.3.3.5 かんらん石玄武岩(Ob)

この岩石は, 釧北信号所北西方の釧北火山岩類中にみられる。 小規模の岩脈と推定されるもので, この1ヵ所でみとめられるだけである。

黒色を呈する硬質の顕晶質岩である。

0.7~1.0 mm ほどの大きさのかんらん石斑晶を多数ふくんでいる。 そのほかに, 斑晶状の 0.4 mm 内外の淡緑色を呈する普通輝石, および 1.0 mm 内外の斜長石なども多数みとめられる。 かんらん石はかなり新鮮であるが, 部分的には分解してチリ状物質の集合に変っているものもある。
石基はインターグラニュラー組織をしめしている。 斜長石は曹灰長石で, 0.1~1.0 mm ほどの長さの長柱状あるいは柱状結晶である。 この間を, 0.1 mm 内外の大きさの不規則な形をした普通輝石粒がうずめている。 また, これらの各鉱物間には, 多数の磁鉄鉱が散点している。

III.2.3.4 ニイトマム川層(Nt)

ニイトマム川層は, ニイトマム川中流からポントマム川上流, さらに勲禰別川上流にかけての地域に分布している。 この地層は, トマム川熔岩類をおおっているものと考えられるが, 直接の接触部はみられない。 また, ニイトマム川ぞいの森林軌道の東側にある切割では, 明らかに 1,050 m 山熔岩におおわれているのが観察される。

第 14 図 ニイトマム川層と 1,500 m 山熔岩。
a : 角礫岩, b : 黄色角礫凝灰岩, c : 浮石混り砂岩, d : 青色砂, e : 浮石混り青色砂, f : 赤色岩砕・赤色粘土, g : 1,050 m 山熔岩

この地層のもっともよく観察できるところは, まえにあげた切割で, そのスケッチを第 14 図にしめしてある。 ここでは, 下部から, 黒っぽい角礫岩, 黄色の角礫凝灰岩, 浮石混り砂岩, 青砂, 赤砂, 赤色岩砕混り粘土の順で, 水平に近い傾斜の互層がみられる。 上部が赤味をおび下部が黒っぽいので, かなり対照的な色合いをしている。 黒っぽい下部の地層にふくまれている角礫には, 黒色の安山岩が多い。 これに対し, 上部には, 安山岩の赤色化したものが多くふくまれている。 この赤色化した安山岩片は, まえにのべたトマム川熔岩類や釧北火山岩類の赤色化したものと同質である。 この切割以外の地域では, 露出が断片的であり, 角礫凝灰岩だけ, あるいは, 砂岩だけしかみとめられない。 勲禰別川には, おそらく上部の赤色層に由来するとおもわれる赤色岩砕と赤色粘土が, 谷に向って多量に押しだされているところがある。 この地層は, 固結度の低い岩相から構成されているが, 一般的には, ハンマーでたたいて手ごたえを感じるていどの固さをもっている。 層厚は, およそ ±50 m である。

この地層の時代については, まだ, 充分に明らかにできない状態である。 これまで説明してきた事実からみて, トマム川熔岩類や釧北火山岩類などの赤色化岩片は, この地層の堆積の末期に供給されていると考えられる。

このような赤色化は, おそらく, 火山活動に伴う後火成作用によるものとみた方が妥当であろう。 一方において, 第四紀初頭とみられる 1,050 m 山熔岩が, この地層をおおっている。 これらから判断すれば, この地層の堆積は, 鮮新世末とみた方がよいと考えられる。

III.2.4 第四系

この図幅地域には, 更新世のものとしては, 段丘堆積層のほかに, 安山岩熔岩, 熔結凝灰岩, 火山灰層, および崖錐堆積物などが分布している。 現世とみられるものは, 現河川にそって発達している沖積層だけである。 これらの相互の地質関係は, 段丘堆積層や冲積層との関係から組立てることができる。

III.2.4.1 1,050 m 山熔岩(Oa)

1,050 m 山熔岩は, 図幅地域の南西端部に分布しており, さらに隣接図幅地域内に拡がっている。 陸別図幅では, この熔岩が十勝層群を不整合におおっていることが明らかにされている。

この熔岩には, 一般に流理構造が発達しており, それに平行な板状節理が形成されている。 この節理は 5~20 cm ほどの間隔をしめしており, トマム川熔岩類でみられたものにくらべて, 間隔が大きい。 場所によっては, 角柱状の節理の発達していることがある。 灰色で, ざらざらした感じをもった硬質の岩石である。 肉眼でも, 容易にわかる多数のかんらん石斑晶をふくんでいることが大きな特徴である。

顕微鏡下で観察するとつぎのようである。

斑晶として, 多数の斜長石, かんらん石, および普通輝石をふくみ, そのほかに, 少量のしそ輝石がみとめられる。 かんらん石は 1~2.6 mm ほどの大きさで, 部分的にイデングス石化している。 普通輝石は 0.4~2 mm ほどのいろいろの大きさのものがあり, 柱状あるいは板状形をしめしている。 斜長石は一般に長軸 1~2 mm ほどのものであるが, ときには, 集斑晶をつくって 5 mm にもおよぶものがある。
石基は, おもに, 長軸が 0.1~0.2 mm ほどの短柵状斜長石と細粒の普通輝石とから構成され, インターサータル状の組織をしめしている。 これらの間には, 磁鉱粒が散点している。 各鉱物間隙は, 無色のガラスによってうずめられているが, 量はあまり多くない。

第 15 図 1,050 m 山熔岩。
O : かんらん石, A : 普通輝石

III.2.4.2 第1段丘堆積物(T1)

この段丘は, 標高 400 m から 500 m ほどの間に分布している。 この図幅地域では, 南端部に1ヵ所しられているだけである。 しかし, 陸別図幅地域では, 1,050 m 山熔岩と同時代とおもわれる奥塩幌火山噴出物の上に, かなり広く発達している。 この点からみて, この段丘堆積物は 1,050 m 山熔岩の噴出後と考えるのが妥当である。

この段丘の堆積物は, ほとんどが, 拳大から人頭大の安山岩礫からなりたっている。 ところで, 地形の項でのべた 400 と 500 m の平坦面と, この第1段丘との関係はどうであろうか。 おそらく現在みられる平坦面は, 第1段丘堆積層として形成されたものであり, 後に削剥されてしまい, その堆積基盤が平坦面として残されたものではなかろうか。 もし, このように考えられるとすれば, 地形断面図や地形復元図から明らかなように, 400 m 内外と 500 m 内外の二つの段丘面があるとみられるのである。

将来, くわしい調査によって, これらの面上から, 段丘堆積物の残存物が探がしだされることを期待したい。

III.2.4.3 勝山熔結凝灰岩(Wt)

勝山熔結凝灰岩は, 石英安山岩質のものであり, 図幅北西部の士居常呂川および仁居常呂川の谷にそって, 点々と分布している。 しかも, このような分布状態は, 隣接 常元図幅地域内でもみとめられている。 したがって, この熔結凝灰岩は, 谷をうずめて流れたものが, その後に削剥されて現在のようになったと考えられる。 第2段丘堆積物との関係は, この図幅地域では明らかでない。 しかし, 常元図幅地域での調査資料によれば, 第2段丘堆積物によっておおわれる, といわれている。

勝山付近では, 標高 280~420 m の間に位置し, ±140 m ほどの厚さをしめしている。

この熔結凝灰岩は, 岩質がちがう上下2相にわけることができる。

下部相は 50 m ほどの厚さをもち, 垂直に近い節理が不規則に発達している。 暗褐色の堅硬な岩質のもので, 中に, 黒色の黒曜石のパッチをふくんでいる。

上部相は 90 m ほどの厚さで, 黄褐色あるいは灰白色を呈し, 多孔質で多量の浮石をふくみ, 固結度の低い岩質である。

この両岩相の境界部はあまり明らかでないが, ところによっては, 拳大の安山岩礫が介在している。

これらのうち, 下部相を顕微鏡下で観察すると, つぎのようである。

鉱物片として, 多数の大小様々の大きさの斜長石をふくみ, そのほかに, しそ輝石や普通輝石を少量ふくんでいる。 石英はほとんどみとめられない。 岩石片としては, ハイアロピリティック組織をしめす安山岩が若干みとめられる。 これらの間は, 褐色および無色のガラスがうずめている。 このガラスは, 不規則な縞模様によって特徴づけられる, 典型的な熔結組織をしめしている。

III.2.4.4 第2段丘堆積物(T2)

標高 300~380 m ほどで, 河川からの比高が 100 m ほどの付近に, 平坦面をつくって各所に分布している。 かなり解析されているが, 堆積物はよく残されている。 堆積物には, 拳大から人頭大までの大小様々の大きさの礫がみとめられる。 この礫の大きさや種類は, 場所によって変化している。 一般に, よく円磨されている。 礫の間には, 砂や粘土などがみとめられる。

III.2.4.5 第3段丘堆積物(T3)

現河川にそって, 10 m 内外の比高をもって発達している。 砂, 礫, 粘土から構成されており, きれいな成層をしめしていることがある。 礫はよく円磨されており, 親指大から人頭大までの大きさをもっている。

層厚は, 4 m 内外である。

III.2.4.6 置戸 おけと 火山灰層(Ov)

この火山灰層は, 図幅地域の各所に, 割合広く分布している。 置戸町南部や文線西部では, 10 m 内外の厚さをもっているが, 釧北信号所付近では 20 m 近くの厚さがあるのではないかと推察される。 また, 所によっては 4 m ほどのこともある。

この火山灰層は, 一般に, 灰白色のひじょうに細かな火山灰と浮石から構成されている。 しかし, 浮石には, 水によって円磨されたとみられる丸味をおびたものが多数みとめられる。 ときには, 間に薄い砂層が介在していることがある。 また, 炭化木が一定の層準に横たわっているのがみとめられる。 このような現象は, この火山灰層が初生的な降灰によるものではなくて, 2次的に水に流されて堆積したことをしめすものであろう。 しかし, おそらくは, 遠くから運ばれてきたものではなくて, その近くからの供給によるものと考えられる。 中には, 初生状態を保っているものもある可能性がある。 したがって, 各地に分布している火山灰層を同一層準におくことは, 妥当でないかもしれない。 この点に関しては, なお今後の調査によって, 明らかにされることを期待したい。

なお, この火山灰層は, 冲積面によって切られていることから, 更新世末期と考えられる。

III.2.4.7 崖錐堆積物(Ta)

崖錐堆積物は, 勝山の南東部に斜面を形成して分布している。 この堆積物は, すべて背後地の安山岩類の角礫から構成されている。 これも冲積面によって切られているが, 置戸火山灰層との関係は, 明らかでない。

III.2.4.8 冲積層(Al)

これは, 現河川にそって発達している氾濫原堆積物を主体にする地層である。 この図幅地域では, 士居常呂川流域にとくに広く発達している。 この図幅地域内で, 農耕地として利用されているのは, この地層の上に限られている。

なお, 1962 年(昭和 37 年)6月の十勝岳噴火の際の降灰は, この地域にもおよび, 農作物にかなりの被害をもたらしている。

IV. 地史

この図幅地域の地史は, 大体つぎのように考えることができる。

日高地向斜の後期から末期にかけての塩基性火成活動の結果, スピライト - 輝緑岩系岩類, それらの砕屑岩類, および赤色チャートなどから構成される小利別層が形成された。 その時代は, おそらく, 上部ジュラ紀であろうと推定される。 その後, 各地質時代にわたって, いろいろの構造運動を行ない, 上昇や沈降をくり返したものとおもわれる。

白堊紀から古第三紀にかけての時期に, どのような地史をたどったかは, この地域に白堊系や古第三系が分布していないので明らかでない。 しかし, 陸別層が, もしも古第三紀・漸新世の地層であることが確かであれば, 漸新世には, 小利別層をおおって, 釧路炭田の堆積盆がこの地域にまで拡っていたと考えられるかもしれない。

中新世については, プロピライトが小部分にみられるだけなのでよくわからない。

鮮新世になると十勝層群の堆積が行なわれ, また膨大な火山岩類の噴出が行なわれた。 十勝層群の堆積は, ラワン礫岩層でしめされる浅海成の堆積物からはじまるわけである。 しかし, その後の堆積物としては, この層群の中位に相当するとみられる陸成の文線層が局所的に分布しているだけで, その他のものは, この図幅地域内にはみとめられない。 しかし, この図幅より南方の地域においては, 連続的な厚い堆積がみとめられている。 このようないちじるしいちがいは, ラワン礫岩砂岩層より上位の部分が削剥されたということもあろうが, この地域が十勝層群の堆積盆の北限にあたっていたことによるものであろう。 十勝層群の堆積盆は, 中新世末期のはげしい断裂運動によってひきおこされた, 急激な沈降作用によって形成されたと考えられる。 そのために, 初期に内陸深くまで海水が浸入することになった。 この場合に, 堆積盆の形を決定したものは, 当然中新世の地形である。 東側は, 小利別層とそれに連なる地層が, 南北性の山稜をつくっていて, 海浸を防いだであろう。 北部では, 上支湧別構造線に関係して形成された, N 60°E 方向の山稜が存在していたのではなかろうか。 西側は, その後の火山活動によって, 西から東へ向って, 多量の火山岩類を流出したために, よくわからない。

鮮新世の火山活動は, 初期には塩基性熔岩を流出し, 後ほど次第に, 酸性のものを流しだしている。

鮮新世の火山岩類の上に形成された小さな湖盆上に, ニイトマム川層が堆積したものであろう。 その時代は鮮新世の最末期であろう。

第四紀にはいると, それ以前の諸岩類を不整合におおって, 1,050 m 山熔岩とよばれる基性安山岩の噴出が行なわれた。 この後, 各段丘堆積物が, 順次に形成されていった。 堆丘堆積物は, 古いものではほとんど削剥されてしまい, 平坦面としてだけ残されるようになる。 第1段丘堆積後のある時期に, 熔結凝灰岩の噴出があり, また, 第3段丘堆積物の生成後には, 多量の火山灰が降った。

その後も永続的に, 削剥と堆積をくり返し, 現在の河川のまわりに冲積層を発達させている。

V. 応用地質

この図幅地域に賦存している鉱床としては, マンガン鉱床と大理石鉱床がある。 そのほかに, 多量の石材が分布している。

V.1 マンガン鉱床

マンガン鉱床は, 小利別層を構成している赤色チャート中に胚胎しており, 諸所に露頭がある。 しかし, 大部分のものは, 若干探鉱されたていどで終り, 稼行されたものは興隆鉱山ただ一つである。

興隆 こうりゅう 鉱山

興降鉱山についての地質調査は, すでに土居繁雄によって実施され, 報告されている 1) 。 したがって, ここではその概要について説明しておく。

この鉱山は, 小利別部落の北方, 約 3 km の林内の東部に位置している。 小利別から林内までは, 自動車道路がつうじている。

第 16 図 興隆鉱山第2常盤坑付近地質鉱床図。
1 : マンガン鉱床と赤色チャート, 2 : 赤褐色輝緑岩質凝灰岩, 3 : 緑色スピライト質岩, 4 : 断層および粘土代部, 5 : 破砕帯, 6 : くずれ

地質および鉱床

マンガン鉱床の賦存している地域の地質は, 大部分が赤色チャートであるが, そのほかに, スピライト質岩や赤褐色輝緑岩質凝灰岩がかなりみとめられる。

赤色チャートの走向・傾斜は, かなり変化するが, 大体 N 5~38°E, 45~75°SE ほどである。

鉱床は, 赤色チャートの層理に平行に胚胎しており, 数 mm から数 cm ほどの赤と黒の縞状構造をつくっている。 このような形態は, 赤色チャートの堆積と同時に形成されたものと考えられるが, その後に2次的富鉱化が行なわれている。 このことは, チャートの割目にそって, マンガン鉱の細脈がフイルム状にはいりこんでおり, さらには, チャートの層理を斜めに切って幅 20 cm ほどの鉱脈が発達していることから理解される。

第 17 図 第2常盤坑口付近のマンガン鉱床の露頭

鉱石

鉱石は, 珪酸分の高い, いわゆる珪酸マンガン鉱である。 鉱石鉱物としては, 酸化マンガン鉱(ブラウン鉱)がおもで, ほかにごく微量の二酸化マンガン鉱がふくまれている。 ときには, 硫化鉄鉱がみとめられることがある。

鉱石の品位は, チャートとマンガン鉱が縞状になっているために, 縞の大小によって, 品位に差がある。 したがって, マンガン鉱の黒縞の部分だけをとりだせば, 45~52 % ほどで, かなり高品位である。

今後の問題

この鉱床のばあい, 珪酸分の除去が容易に行なわれ, 鉱石の品位を高めることができるならば, 開発の可能性がある。 また, さらに周辺の詳細な調査を行ない, 新鉱体の発見を行なうことが必要である。

V.2 大理石鉱床

小利別層を構成している輝緑岩質凝灰岩中には, 各所にレンズ状の石灰石が胚胎している。 これらはどれも, 品位の点では問題ないが, 鉱量が少ないために利用されないでいる。 ところが, これらのうちで, 図幅南東部の東側には, 大理石として利用できるものが賦存している。 これは, 川上石という名でよばれており, 古くから, この地域の人達によってしられてきたもののようである。 筆者の1人の鈴木は, これについての調査を実施し, すでに報告した 1) 。 その際にものべたことであるが, 川上石とよばれる大理石は, ひじょうに美しい模様をもっており, 工芸品用原料としては充分に利用できるものである。 鉱量があまり多くない点は問題でもあるが, この種の大理石がまだ周辺に賦存する可能性があるので, 具体的な利用計画をたてる必要があると考えられる。

V.3 石材

この図幅に分布している石材は, 砕石として利用価値のあるものである。 すでに, 陸別営林署では, 森林軌道用あるいは道路用の敷石として利用している。 釧路や北見地域で, この種の石材があまり豊富でないことからみても, 将来大いに利用することができよう。

なお, トマム川熔岩類にみられる鉄平石様の安山岩は, 建築用石材として利用できる可能性がある。 この点について, さらに具体的な調査が望まれる。

文献

1) 藤原哲夫・鈴木守・土居繁雄 :
陸別地域の地質と鉱床, 北地資料,第 78 号, 1962
2) 長谷川潔・高橋俊正・松井公平 :
5万分の1地質図幅「上支湧別」, 北海道開発庁, 1961
3) 長谷川潔 他 :
5万分の1地質図幅「常元」, 未公表
4) 三谷勝利・小山内煕・橋本亘 :
5万分の1地質図幅「足寄太」, 北海道開発庁, 1958
5) 三谷勝利・藤原哲夫・石山昭三 :
5万分の1地質図幅「陸別」, 北海道開発庁, 1960
6) 沢村孝之助・山口昇一 :
5万分1の地質図幅「本岐」, 未公表
7) 鈴木守・小山内煕・松井公平・渡辺順 :
5万分の1地質図幅「イドンナップ岳」, 北海道開発庁, 1961

EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN (Scale 1 : 50,000)

SHŌTOSHIBETSU

(Abashiri - 57)

By Mamoru Suzuki and Hiroshi Asai (Geological Survey of Hokkaidō)


Résumé

The map area of the Shōtoshibetsu sheet is situated in the eastern part of Hokkaido between Lat. 43°30'~43°40' N and Long. 143°30'~143°45' E.

On the whole, the map area shows a smooth landform, but the topographic features are considerably different between the western area where volcanic rocks are distributed and the eastern area where the Pre-Cretaceous Shōtoshibetsu formation is distributed. The area of the Shōtoshibetsu formation is marked with an intricate pattern of steep valleys. On the other hand, the area of volcanic rocks is characterized by a gentle and monotonous valley topography with few tributaries. In this area five level planes unrelated to the valley topography are found at the approximate altitudes of 250 m, 300 m, 400 m, 500 m and 600m above sea level. The 600 m plane is assumed to be a lava flow plane (lava plateau) but the other four are probably the terrace surfaces.

Geology

Various kinds of volcanic and sedimentary rocks belonging to Jurassic, Tertiary and Quaternary systems are distributed in the map area.

Jurassic system

The Jurassic system of the map area is represented only by the Shōtoshibetsu formation which trends north-south in the eastern part of the area. The formation consists of red chert, diabasic tuff and spilitic rocks. The red chert is a radiolarian chert characterized by dark-red tint, and is intercalated with several beds of red tuffaceous rock. The diabasic tuff comprises agglomerate-tuff, coarse tuff and fine tuffite. Angular pebbles contained in this diabasic tuff are mostly spilitic rocks. The spilitic rocks are classified into normal spilite and fine diabasic rock. The normal spilite presents pillow structure, and its distribution is limited. It is a reddish-brown rock, having amygdaloidal structure and containing about 6 % soda. The fine diabasic rock occupies the greater portion of the splitic rocks. It is a fine-grained green rock ; microscopic observation reveals subophitic texture, consisting of colorless augite and dirty albitic plagioclase. The soda content is about 4 % which is lower than that of the normal spilite.

The Shōtoshibetsu formation composed of these rocks is a product of the basic volcanic activity in the Hidaka geosynclinal stage. Stratigraphically the formation can be correlated with the Yamabe formation of the Sorachi group.

Tertiary system

The Rikubetsu formation is distributed in the eastern margin of the map area. It consists entirely of terrigenous conglomerate, and its age has not been determined yet.

Propylite, which is probably Miocene in age, crops out like a window surrounded by the Pliocene volcanics. Its relation to the surrounding rocks is unknown. This rock is characterized by chloritization and albitization of different nature from those of the above-mentioned spilitic rocks.

The Tokachi group is Pliocene in age, and is supposedly resting on the Miocene and older beds with a clino-unconformable relation, although such a relation is not observed in the map area. The Tokachi group of this area is represented by two members, the Rawan conglomerate-sandstone member in the lowermost horizon and the Bunsen member in the middle horizon. The Rawan conglomerate-sandstone member consists of conglomerate which contains well-rounded pebbles of finger tip to fist size. The pebbles are sandstone, slate, chert, spilitic rock and hornfels, which were probably derived from the pre-Cretaceous Hidaka supergroup ; pebbles of granite and diorite presumably intruding the Hidaka supergroup are also found. In this area no fossils have been collected from this member, but in the area to the south the Patinopecten (Fortipecten) takahashii (Yokoyama) assemblage fauna is known. The Bunsen member is a terrigenous formation consisting of alternating tuff, coarse sandstone and fine conglomerate.

The Pliocene volcanic rocks show the widest distribution in the map area. In ascending order, they are called the Kunnebetsu lava, the Tomamu-gawa lavas and the Sempoku volcanic rocks.

The Kunnebetsu lava covers the Rawan conglomerate-sandstone member and the Shōtoshibetsu formation. It is a fine-grained basalt with platy joints.

The Tomamu-gawa lavas are widely distributed covering the Rawan conglomerate-sandstone member and the Kunnebetsu lava. The greater portion is occupied by augite andesite and hypersthene augite andesite, marked with platy joints at intervals of several millimeters to several centimeters. The joint plane is parallel to the flow plane. Containing small quantities of plagioclase, augite and hypersthene phenocrysts, the lavas show porphyritic texture ; the groundmass is hyalopilitic in texture. The lavas partially show a different facies where augite phenocrysts are almost non-existent but glomeroporphyritic phenocrysts of plagioclase are abundant.

The Sempoku volcanic rocks are in a transitional relation with the Tomamu-gawa lavas. The lower part consists chiefly of agglomerate-tuff, whereas the upper part is predominantly andesite lava. Angular pebbles in the agglomerate are, for the most part, hypersthene augite andesite which contains large phenocrysts of plagioclase and has the same character as the andesite constituting the lava. Dacite pebbles are locally found.

There are also small masses of liparite and olivine basalt that were presumably intruded into the Pliocene volcanic rocks.

The Niitomamu-gawa member is developed in the border area between the Pliocene volcanics and the 1,050 m-yama lava which is an Early Quaternary volcanic rock. The member consists of breccia, tnff breccia and sandstone. Although details are unknown because of sporadic outcrops, the formation is considered to have been deposited in a lake basin at the end of the Pliocene Period.

Quatarnary system

The Quaternary system of the map area comprises Pleistocene volcanic rocks, welded tuff, volcanic ashes, terrace deposits and alluvial deposits ; they are described in ascending order as follows :

The 1,050 m-yama lava is distributed in the southwestern corner of the map area. The lava, unconformably covering the Pliocene sedimentary and volcanic rocks, is a hypersthene augite andesite containing many large olivine phenocrysts, and is mared with widely-spaced platy joints.

The first terrace deposits form a level plane at an altitude of slightly higher than 400 m. In general, the deposits are poorly preserved.

The Katsuyama welded tuff is distributed along the Shiitokoro-gawa and the Niitokoro-gawa in the northwestern part of the map area. The tuff, ±140 m thick, is supposed to have flowed over the old valley topography. The rock comprises two facies, hard lower facies containing many obsidian patches and somewhat loose upper facies, both being dacitic.

The second terrace deposits, occurring at an altitude between 300 m and 400 m, form a level plane of about 100 m in relative height from the present river-bed. In spite of fairly advanced dissection, the deposits are well preserved.

The third terrace deposits are distributed along the present rivers, with a relative height of about 10 m.

The Oketo volcanic ash bed is distributed in various places, covering the third terraces. This bed may have been formed by a secondary sedimentation rather than by a primary ash-fall.

In addition to the above, talus deposits of probably Late Pleistocene are locally found.

Econmic Geology

Ore deposits of economic value are very few in the map area. Manganese ore and marble are the only deposits presently known, both occurring in the Shōtoshibetsu formation.

The manganese ore deposit occurs parallel to the bedding plane of red chert, presenting a banded structure with the chert. This deposit was synchronous with sedimentation of the chert and was secondary enriched. The ore is mainly manganese oxide (braunite), accompanied by a very small quantity of manganese dioxide (pyrolusite). On rare occasions, pyrite occurs by itself.

The marble is found in diabasic tuff. It occurs as small lenticular bodies, and is characterized by a beautiful mosaic of colors.


昭和 38 年 3 月 15 日 印刷
昭和 38 年 3 月 20 日 発行
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