01053_1970
5万分の1地質図幅説明書
(網走 第 53 号)
北海道立地下資源調査所
技術吏員 松井公平
北海道嘱託 浅井宏
[
北海道教育大学 札幌分校
]
北海道嘱託 野地正保
[
北海道開発局土木試験場(北海道大学在籍中に実施)
]
北海道開発庁
昭和 43 年 3 月
この調査は, 北海道総合開発の一環である, 地下資源開発のための基本調査として, 北海道に調査を委託し, 道立地下資源調査所において, 実施したものである。
目次 はしがき I. 位置および交通 II. 地形 III. 地質概要 IV. 新第三紀中新世の火山噴出物類 IV.1 カウンナイプロピライト IV.2 俵真布層 IV.3 流紋岩岩脈 V. 新第三紀鮮新世の火山岩類 V.1 米飯山熔岩 V.2 丸山熔岩 VI. 鮮新世ないし更新世の熔結凝灰岩類 VI.1 雨月沢熔結凝灰岩 VI.2 十勝熔結凝灰岩 VII. 第四系 VII.1 黄ヶ金原熔岩 VII.2 層雲峡熔結凝灰岩 VII.3 第1段丘堆積物 VII.4 第2段丘堆積物 VII.5 旭岳第3熔岩 VII.6 崖錐堆積物 VII.7 氾濫原堆積物 VIII. 応用地質 VIII.1 白土 VIII.2 鉱泉 文献 Résumé(in English)
5万分の1地質図幅説明書
(網走 第 53 号)
この図幅説明書は, 昭和 39 年から昭和 40 年にわたる 2 年間の野外調査をもとにして, とりまとめたものである。
野外調査にあたっては, 地域を分担しておこなった。 上俵開拓 [ ≡ 上俵真布 ] 以東を浅井宏, 忠別川以北を野地正保, 忠別川, 上俵開拓以西を松井が, それぞれ担当し, 全般のとりまとめを松井がおこなった。 調査結果の整理にあたっては, 道立地下資源調査所の鈴木守氏から多くの御教示を頂いた。
また, 野外調査に際して, 美瑛 町役場および美瑛営林署の方々からいろいろ御世話を頂いた。
明記して厚く御礼申し上げる。
志比内図幅は, 北緯 43°30'~43°40', 東径 142°30'~142°45' の範囲で, 北海道の中央部に位置している。 行政区画は, 上川郡 美瑛町, 神楽町, 東川町, 空知郡 上富良野町にそれぞれ属している。
交通は, 西に隣接する美瑛図幅内をとおる国鉄 富良野線があり, 図幅の最寄駅は美瑛駅となっている。 また, バス路線としては, 美瑛駅 - 白金 温泉, 美瑛 - 俵真布 , 旭川 - 天人峡 温泉, 旭川 - 湧駒別 温泉間が運行されている。
このほか, 辺別 川, 宇莫別 川, 置杵牛 [ or 置杵牛 ] 川沿い, ならびに, 西部地域の台地上に自動車道路が施設されており, 道路の発達は良好である。
この図幅の地形は, 大別して, 1) 山地, 2) 台地, 3) 平地の3つの地形区にわけられる。
これは, 図幅の東部をしめ, 新第三紀および第四紀の火山岩類で構成される地域である。 構成岩によって, 地形の特徴に, ややちがいがある。 第三紀の火山岩地域は, いちじるしく解析をうけ, 深い谷が多く, かなり急峻な地形をつくっている。
第四紀の火山岩地域は, 前者ほど解析は受けておらず, 熔岩台地状の地形を形成している。
これは, 十勝熔結凝灰岩の分布する地域で, 図幅の大半をしめている。 この台地は, ほぼ南東から北西方向の流路をもつ河川によってきざまれ, いくつかの台地にわけられている。 それそれの台地は, かなり解析されているが, 南東から北西にゆるく傾斜した比較的平坦な地形面が連続している。 これらの面上には, 標高 500~600 m のまるみをもった山地が残丘状に突出している。
これは, 各河川沿いに細長く発達する冲積氾濫原および段丘面である。 段丘面は, 比高 15 m および 5~6 m の2段がみとめられる。
水系は, ほぼ北東から北西, 南東から北西に流れている。 いずれも大きな河川で水量も豊富である。 これらは, 北から忠別川, 辺別川, 宇莫別川, 置杵牛川, 美瑛川の河川である。 また, 忠別川は, [ 本図幅地域の北隣の ] 当麻 図幅から北流して石狩川に合流し, 他の河川は, [ 本図幅地域の西隣の ] 美瑛図幅に入って美瑛川に合流している。
この地域の地質系統は, 第 1 表にしめしたように, ほとんどが新第三紀および第四紀に属する火山噴出物から構成され, 正常堆積岩はみとめられない。 そのため, 各岩石類の地質時代については, これら相互の上・下関係, 岩質, 隣接地域の岩層との関連などから推定した。
| 時代 | 地層 | 岩相 | 備考 | |
|
第
四 紀 | 現世 | 氾濫原堆積物 | 砂, 泥, 粘土 | |
| 崖錐堆積物 | 砂, 礫 | |||
| 旭岳第3熔岩 | 含かんらん石普通輝石しそ輝石安山岩 | 旭岳 | ||
| 更新世 | 第2段丘堆積物 | 砂, 礫 | ||
| 第1段丘堆積物 | 砂, 礫 | |||
| 層雲峡熔結凝灰岩 | 角閃石石英安山岩質熔結凝灰岩 | 新大雪 | ||
| 黄ヶ金原熔岩 | 普通輝石しそ輝石安山岩 | |||
|
更新世
~ 鮮新世 | 十勝熔結凝灰岩 | 黒雲母流紋岩質熔結凝灰岩 | ||
| 雨月沢熔結凝灰岩 | 石英安山岩質熔結凝灰岩 | |||
|
新
第 三 紀 | 鮮新世 | 丸山熔岩 | 普通輝石しそ輝石安山岩 | |
| 米飯山熔岩 | 普通輝石しそ輝石安山岩 | |||
| 中新世 | 流紋岩岩脈 | |||
| 俵真布層 | 凝灰岩, 凝灰質砂岩 | 白土層 | ||
| カウンナイプロピライト | 安山岩質プロピライト | |||
新第三紀の火山噴出物は, 中新世のカウンナイプロピライト, 俵真布 層, 流紋岩岩脈, および鮮新世の 米飯山 熔岩, 丸山 熔岩に区分される。 これらは, すべて図幅の東部地域に分布し, [ 東に ] 隣接している旭岳図幅地域内に拡がっている。
カウンナイ [ or クワウンナイ ] プロピライトは, この地域の最下部を構成するもので, 大部分が安山岩質プロピライトからなっているが, 若干の緑色凝灰岩を介在している。
俵真布層は, カウンナイプロピライトをおおっているとおもわれるが, その直接の関係は明らかでない。 この地層は, 凝灰岩, 凝灰質砂岩からなりたっているが, 層理の発達は不良である。
流紋岩岩脈は, カウンナイプロピライト中の緑色凝灰岩を貫ぬいている。 この岩石は, いちじるしく鉱化変質をうけており, この変質の状態から, いちおう中新世にふくめた。
米飯山熔岩と丸山熔岩は, かなり解析されてはいるが, なお熔岩台地状の地形をつくりやや広く分布している。 ともに板状節理の発達した, 普通輝石しそ輝石安山岩である。
これらの火山噴出物をおおって熔結凝灰岩類が広く発達している。 これらの噴出時期が鮮新世か更新世かについては, まだ明らかでない。 熔結凝灰岩類のうち, 下位をしめるとおもわれるものは, 石英安山岩質の 雨月沢 熔結凝灰岩で, 小範囲に分布する。 これにたいし, 上位のものは, 流紋岩質の十勝熔結凝灰岩で, 図幅地域の半分以上をしめている。
第四系は, 更新世の 黄ヶ金原 熔岩, 層雲峡熔結凝灰岩および段丘堆積物と, 現世の, 旭岳第3熔岩および崖錐堆積物, 氾濫原堆積物に区分される。
黄ヶ金原熔岩は, 南東部に分布する。 普通輝石しそ輝石安山岩熔岩である。 層雲峡熔結凝灰岩は, 湧駒別 , 天人峡 周辺に分布する。 これは, [ 本図幅地域の北東隣の ] 大雪山図幅によると, 新大雪火山の爆裂火口の形成にともなう火砕流と考えられている。 岩質は, 角閃石石英安山岩質熔結凝灰岩である。
段丘堆積物は, 2段の段丘面をそれぞれ構成する堆積物が, 美瑛川をのぞく各河川流域に発達している。
現世の旭岳第3熔岩は, ユコマンベツ川 [ ← 図幅地域北東隅 ; 地質図では「ユコマンベツ沢」となっている ] 沿いに発達する。 岩質は, 含かんらん石普通輝石しそ輝石安山岩である。 崖堆積積物は, おもに忠別, 上俵開拓 [ ≡ 上俵真布 ] , 宇莫別 川の上流に発達している。 氾濫原堆積物は, 各河川の流域にみられるが, とくに美瑛川には広く発達している。
新第三紀中新世に属するものとしては, カウンナイプロピライト, 俵真布層, および流紋岩岩脈がある。
このプロピライトは, 江卸 発電所周辺 [ ← 図幅地域東西中央の忠別川沿い ; 現在の江卸発電所は忠別ダム湖の北岸にある ] , ノカナン沢 [ ← 江卸発電所の東北東方 5 km ] , 辺別 川の上流および図幅南東隅付近に断片的に分布しているにすぎない。
カウンナイプロピライトとして取扱ったものは, 大部分が, しそ輝石普通輝石安山岩質プロピライトから構成されているが, 一部に緑色凝灰岩をはさんでいる。
プロピライトは, 暗灰色~淡灰緑色を呈し, 柱状あるいは板状の節理が発達している。 また, 一部のものは, 珪化, 粘土化, 黄鉄鉱化などの鉱化変質をうけている。
緑泥石化の弱い新鮮なものを鏡下で観察すれば, つぎのようである。
斑晶として, しそ輝石, 普通輝石, 斜長石がみとめられ, これらの鉱物は, 部分的に緑泥石によって置換されている。
石基は, ハイアロピリチック組織をしめし, フェルト状の斜長石の間に粒状の普通輝石が多数散点している。 石基には, 部分的に弱い緑泥石化がみとめられる。
一方, かなり変質の進んだ岩相では, 斑晶の多くは, 緑泥石あるいは方解石に置換されており, ときには, ぶどう石化をうけている。 また, 石基は微珪長質組織をしめすようになり, これらの間に微細な白チタン石や緑泥石が成生され, 輝石粒はみとめられない。
緑色凝灰岩は, 暗緑色を呈し, 角礫凝灰岩相と細粒の凝灰岩相とがみとめられる。 しかし露出がよくないため, 地層の走向・傾斜や岩相層序などは不明である。
辺別川の上流, 上俵真布および宇莫別川上流にかけての地域に小範囲に分布する。
大部分が十勝熔結凝灰岩や丸山熔岩におおわれているため, 断片的な露出しかみられず, 下位の地層との関係は明らかでない。
この地層は, おもに流紋岩質凝灰岩から構成されており, 全般に層理の発達がわるい。 わずかに雨月沢 [ ← 図幅地域東端・南北中央付近 ; 上俵真布の東南東方 3.5 km ] で, N 30°E・60°NW の走向・傾斜がみとめられる。
上俵真布付近のこの地層中には, 酸性白土によくにた白土が夾在している。 これについてはあとでのべるが, 藤原哲夫によってすでに調査が行なわれており, 岩相の点から中新世とされている。 したがってこの図幅でも, いちおう中新世として取扱った。
図幅の北東部地域に分布する力ウンナイプロピライトを, 岩脈状に貫ぬいているものと, 周囲を十勝熔結凝灰岩, 層雲峡熔結凝灰岩におおわれて残丘様の地形をつくって分布しているものとがある。 両岩とも, 立方状の節理が発達しており, 全体にかなり多孔質で, 空げきは, しばしば, 粘土によって充塡されている。 ノカナン温泉付近 [ 位置不明 ; ノカナン沢の西方 1 km ? ] のものは, 鉱化作用による珪化を受けている。
この時期の岩石は, 米飯山熔岩および丸山熔岩である。 いずれもいわゆる板状熔岩とよばれているタイプの熔岩である。
この熔岩は, [ 本図幅地域の北隣の ] 当麻図幅内に広く分布する熔岩の南端部に当たるもので, この図幅地域の北東部付近に分布する。
カウンナイプロピライトをおおい, 十勝熔結凝灰岩におおわれている。 ノカナン沢の下流部の西側には, 十勝熔結凝灰岩にとりかこまれて, 残丘様の地形をとっている。
最下部に, 不規則な厚さの集塊岩相をともなっているが, 大部分は, 板状熔岩からなっている。
この熔岩は, 暗灰色~黒色のち密堅硬な普通輝石しそ輝石安山岩で, 3~10 cm ほどの板状節理が発達している。
斑晶として, 斜長石, しそ輝石, 普通輝石がみられる。
石基は, ハイアロピリチック組織をしめし, 細粒の斜長石, 輝石, 磁鉄鉱とガラスからなっている。
この熔岩は, 図幅南東隅の丸山から俵真布の地域にかけて, ほぼ南北の方向に分布している。
カウンナイプロピライト, 俵真布層をおおい, 十勝熔結凝灰岩, 黄ヶ金原熔岩におおわれている。
暗灰色を呈するち密 堅硬な普通輝石しそ輝石安山岩で, いちじるしい流理構造がみとめられ, これに平行な板状節理が発達している。
斑晶として, 斜長石, しそ輝石, 普通輝石がみられる。 石基は, ハイアロピリチック組織をしめし, 方向配列をしめす長柱状の斜長石の間に, 普通輝石, しそ輝石, 鉄鉱粒が散在している。
鮮新世ないし更新世と考えられる熔結凝灰岩として, 雨月沢熔結凝灰岩および十勝熔結凝灰岩がある。
この熔結凝灰岩は, 雨月沢地域にわずかに分布する。 まえにのべたカウンナイプロピライトや俵真布層をおおい, 十勝熔結凝灰岩, 層雲峡熔結凝灰岩におおわれているが, これらとの直接の関係は不明である。
この熔結凝灰岩は, 赤褐色を呈し, ち密 堅硬で, やや不規則な細い板状の節理が発達し, 熔岩状の岩相をしめす。
岩質は, 流紋岩質熔結凝灰岩で, ハリ質な基質の中に多数の卓状の斜長石斑晶がみとめられる。 一見 斜長石流紋岩をおもわせる。
斑晶として, 多量の斜長石のほかに, ごく少量の石英, しそ輝石および普通輝石などがみとめられる。
石基は, 全体にハリ質であるが, 部分的に微珪長質組織が発達しており, 多数の球顆を生成している。 また, 捕獲岩片として, 粘板岩, 千板岩, 安山岩などがふくまれている。
この図幅地域に隣接する美瑛 [ ← 西隣 ] および当麻 [ ← 北隣 ] 図幅内で流紋岩として取扱われているものを検討した結果, この熔結凝灰岩とまったく同質であることが判明した。
したがって, 雨月沢熔結凝灰岩に相当するものが, 十勝熔結凝灰岩の噴出以前に, かなり広い地域に流出した可能性が大きい。 なお噴出時期についてはまだ明らかではないが, 第三紀末と推定される。
図幅の大半をしめ, ややなだらかな台地を構成して発達している。
新第三紀の火山噴出物をおおい, 層雲峡熔結凝灰岩, 旭岳第3熔岩などにおおわれている。
この熔結凝灰岩の噴出時代については, 第三紀末か, 第四紀かという問題を中心に現在までいろいろと論議されてきている。 従来, 十勝熔結凝灰岩とよばれてきたものは, ほぼ 1 枚のものとしてあつかわれていたが, [ 本図幅地域の南東隣の ] 十勝川上流図幅や, [ その南隣の ] 佐幌岳図幅地域の調査によって, 岩質上から, 少なくとも 3~4 枚に区分できることが明らかにされた。 しかし, その時代については, なお鮮新世~更新世とされているだけで, 明確になっていない。 ただ上部のものについては更新世の可能性が強い。 この図幅に分布する熔結凝灰岩は いまのところ 3~4 枚に区分されたうちのどれに相当するかは明らかでない。 したがってこの図幅ではいちおう鮮新世~更新世の噴出物としてあつかっておく。
この熔結凝灰岩は, 灰色~灰白色を呈し, 一般に, 熔結の進んだ部分では, 幅約 60 cm の柱状節理が発達しており, またこの間にレンズ状の黒曜石がみとめられる。 西部は, 熔結作用の進んだ岩相が分布し, 東部にはあまり熔結の進んでいない岩相がみとめられる。
岩質は, 黒雲母流紋岩質熔結凝灰岩で, 2~3 mm 内外の大型の石英粒と, 黒雲母を多量にふくんでいることで特徴づけられる。
鏡下では, 斑晶として, 多量の石英, 斜長石, 黒雲母がみられる。 石基は, おもに褐色~無色の火山ガラスからなり, 流理面に平行な球顆構造が発達している。
第四系に属するものは, 大雪火山噴出物, 段丘堆積物および, 現世の旭岳第3熔岩, 崖錐堆積物, 氾濫原堆積物に区別できる。
この熔岩は, 図幅の南東部に分布しているが, [ 東に ] 隣接の旭岳図幅の黄ヶ金原を中心に発達していることから, この名称があたえられた。 図幅地域では, カウンナイプロピライト, 丸山熔岩をおおっており, 旭岳図幅での調査結果によれば, 更新世と考えられている。
暗灰色のち密な岩石で, 同質の集塊岩部をともなう, 普通輝石しそ輝石安山岩である。
図幅では, [ 北東隅付近の ] 忠別川からユコマンベツ沢上流にかけ, 河川の侵蝕した低地をうめて発達するとともに, その末端では, 雨月沢まで分布している。 天人峡温泉付近に発達する断崖 [ ← 峡関壁 や 長城壁 ? ] はこの熔結凝灰岩で構成され, 景勝地となっている。
カウンナイプロピライト, 十勝熔結凝灰岩, 流紋岩岩脈などをおおい, 旭岳第3熔岩, 第1段丘堆積物におおわれている。
[ 大雪山図幅によると ] この熔結凝灰岩は新大雪火山の形成にともなって噴出したものと考えられている。
一般に暗灰色~灰色を呈し, 多量にスコリアや浮石をふくんでいる。 忠別川沿いのものは, けん著な柱状節理が発達し, いちじるしく熔結作用の造んだ岩相からなっている。 このほかの地域のものは, 熔結のていどが弱く, 凝灰岩様の岩相を示している。
岩質は, 緑色角閃石を特徴的に含む石英安山岩質熔結凝灰岩である。
鏡下では, 斑晶として角閃石のほか, 斜長石, 石英がみられる。
石基には, 全般にけんちょな熔結構造が発達している。 捕獲岩として千枚岩の岩片がみられる。
この堆積物は, 忠別川のノカナン周辺に発達する。 現河床からの比高は 15 m で, 十勝熔結凝灰岩, 層雲峡熔結凝灰岩をおおっている, 砂・礫層から構成されている。 砂層部は, 厚さ約 2 m で, 粗粒砂からなっているが, この中には, 白色の腐った浮石が若干まじっている。 礫層部は, 厚さ約 3 m で, 安山岩およびプロピライトの礫が多い。 礫の大きさは, 拳大~40 cm 大のものが多い。
この堆積物は, 美瑛川をのぞく各河川に発達する。 現河床からの比高 5~6 m で, 十勝熔結凝灰岩および層雲峡熔結凝灰岩をおおっている。
砂・礫層から構成されている。 砂層部は, 厚さ約 1 m で, 粗~中粒砂からなり, このなかには, 熔結凝灰岩の風化したもの, これの粘土化したものがふくまれている。 礫層部は, 厚さ約 60 cm + で安山岩類の礫が多い。 礫の大きさは, 40~50 cm 大のものが多い。
この熔岩は, [ 図幅地域北東隅の ] ユコマンベツ沢に沿って細長く帯状に分布している。 この状態は, 空中写真によっても明瞭に読みとることができる。
カウンナイプロピライト, 流紋岩および, 十勝・層雲峡の両熔結凝灰岩をおおっている。 この熔岩は, 旭岳火山の活動によってもたらされたものである。 火山砕屑岩状のものを主体とするが一部に熔岩状のところもある。
火山砕屑岩状のものは, 大小さまざまの安山岩塊をふくみ, 大きいものは数 m の大きさをもっている。
黒色を呈し, 多孔質な, 含かんらん石普通輝石しそ輝石安山岩である。
鏡下では, 斑晶として, 斜長石, 普通輝石をふくんでいる。 基質はハイアロピリチック組織である。
この堆積物は, 十勝熔結凝灰岩や俵真布層の分布する周辺に発達し, それぞれ背後の山地を形成している岩石から供給されたものである。 いろいろの大きさの角礫と, 細礫をまじえた粗粒砂からなりたっている。
この堆積物は, 各河川沿いの冲積氾濫原を構成するもので, 粘土, 砂質粘土, 礫からなりたっている。 粘土はおもに熔結凝灰岩の風化したものである。 礫は火山岩が多い。
図幅内の資源としては, 俵真布層の中に胚胎する白土層がある。 また, 流紋岩, カウンナイプロピライトには, 鉱化作用がみられるが, 現在では開発の可能性は少ない。 このほか, ノカナン沢に鉱泉が湧出しており, 現在も利用されている。
白土は, 俵真布層の凝灰岩部に夾在している。 昭和 25 年~26 年頃に, 菓子の増量剤として, 試験的に採掘されたことがあるが, その後はほとんど手がつけられていなかった。 昭和 39 年, 藤原哲夫によって調査され, その概略が報告されている [ 以下の [注] 参照 ] 。 この報告によると, 比較的均質な, 非晶質微粒の火山灰物質からなり, 酸性白土に類似しているとされている。
この白土は, 農薬や各種粉末の増量剤として利用価値があるので, 品質試験をおこなって白土の性質を明らかにする必要がある。
鉱量的には問題がないので, 品質の点を充分検討することによって, 開発の可能性も考えられる。
この鉱泉は, ノカナン沢の入口から約 1.5 km のところにあって, ノカナン温泉と呼ばれている。 ここに分布する, カウンナイプロピライトの割目に沿って湧出しているものと考えられる。
泉質は, 含緑ばん酸性泉で, pH 2.6, 温度 20 ℃ である。 温度が低いため, わかして使用している。
EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN (Scale 1 : 50,000)
(Abashiri - 53)
By Kōhei Matsui, Hiroshi Asai and Masayasu Nochi (Geological Survey of Hokkaidō)
The area of Shibinai sheet map is situated in latitude 43°30' - 40' N. and longitude 142°30' - 45' E. in the central part of Hokkaidō.
The topography of this area is divided into the following three groups.
The rivers running from north-east to north-west, and from south-east to north-west, are large and rich in water.
The constituents of the geological succession of this area is shown in Table 1.
Most of them are composed of volcanic rocks or their pyroclastics, Neogene and Quaternary in age.
The Neogene volcanics comprise Kaunnai propylite, Tawara-mappu Formation and rhyolite dykes of the Miocene, and Pei-pan-yama lava and Maru-yama lava of the Pliocene.
Kaunnai prorylite, the lowermost formation of this area, is composed mostly of andesitic propylite, intercalating small amounts of green tuffs.
Tawara-mappu Formation is regarded to lie above the Kauunai propylite, though their direct relation has not been observed. This formation is composed of rhyolitic tuff with poorly developed stratification. At Ugetsu-zawa its strike and dip is N 30°E and 60°NW, respectively. Phyolite dykes are found, cutting through the Kaunnai propylite. Both Pei-pan-yama lava and Maru-yama lava belonging to the so-called "Flat lava" are augite - hypersthene andesites. The welded tuffs are developed, covering all the above mentioned formation, being probably uppermost Pliocene or lowermost Pliestocene in age. Of these, the ugetsu-zawa welded tuff, which forms the lower formation, is rhyolitic welded tuff, whereas the Tokachi welded tuff of the upper formations is biotite rhyolitic welded tuff.
The Quaternary formations comprise the Kogane-ga-hara lavas, Sōun-kyo welded tuffs, and terrace deposits, of the Pleistocene. and the Asahi-dake third lava, talus deposits and fluvial deposits of the Recent.
The Kogane-ga-hara lava is augite hypersthene andesite with well-developed columnar joints. The Sōun-kyo welded tuff represents the pyroclastic flow deposits of hornblende dacite, associated genetically with the formation of Daisetsu volcano.
The terraces developed along the rivers, except the Biei river, are grouped as the first terraces and the second terraces, composed of sand and gravel beds.
The Asahi-dake third lava, composed of irregular aggregates of lava flows and pyroclastic formations, is olivine-bearing augite hypersthene andesite. The talus deposits are composed of angular blocks or coarse sands, derived from the neighboring mountains.
The fluvial deposits developed along the rivers are composed of sand, gravels and clayey beds.
The resources of this area include white earth beds and mineral springs. The white earth beds are intercaled between the Tawara-mappu Formation, exposed in the vicinity of Kami-tawara Kaitaku. They are relatively homogeneous, non-crystalline, fine-grained volcanic ashes, resembling to the acidic white earth. Though their amounts are very large, their quality and nature have not yet been completely studied. If they can be used, there is a possibility for thier exploitation. Mineral spring which issues at a point, about 1.5 km from the entrance of Nokanan-zawa, has pH 2.6 and temperature of 26 ℃, and is used for bathing after heating.
昭和 45 年 3 月 25 日 印刷 昭和 45 年 3 月 30 日 発行 著作権所有 北海道開発庁