01043_1966
5万分の1地質図幅説明書
(網走 第 43 号)
北海道立地下資源調査所
技術吏員 国府谷盛明
技術吏員 松井公平
嘱託 河内晋平
嘱託 小林武彦
北海道開発庁
昭和 41 年 3 月
この調査は, 北海道総合開発の一環である, 地下資源開発のための基本調査として, 北海道に調査を委託し, 道立地下資源調査所において実施したものである。
目次 はしがき I. 位置および交通 II. 地形 III. 地質概要 IV. 先第三紀の地層および岩石 IV.1 粘板岩 IV.2 閃緑岩 V. 新第三紀中新世の地層および岩石 V.1 流紋岩 V.2 プロピライト V.3 ヤンベタップ層 V.3.1 変質火山岩類 V.3.2 堆積岩相 VI. 新第三紀鮮新世の地層および岩石 VI.1 チカルベツ熔結凝灰岩 VI.2 米飯山熔岩 VI.3 朝陽山集塊岩 VI.4 ニセイカウシュペ熔岩および脈岩 VI.5 ユニ石狩熔岩 VII. 第四紀更新世の地層および岩石 VII.1 安足間熔結凝灰岩 VII.2 テンマク熔岩 VII.3 松仙熔岩 VII.4 沼ノ平熔岩 VII.5 火山円礫層 VII.6 ヤンベタップ集塊岩層 VII.7 古大雪熔岩 VII.8 斜面堆積物 VII.9 新大雪熔岩 VII.10 層雲峡熔結凝灰岩 VII.11 熊ヶ岳熔岩 VII.12 段丘堆積物 VIII. 第四紀現世の地層と岩石 VIII.1 お鉢平火口堆積物 VIII.2 熊ヶ岳火口堆積物 VIII.3 ミクラ沢熔岩 VIII.4 旭岳第1および第2熔岩 VIII.5 旭岳火山岩屑 VIII.6 新期火山弾および火山灰 VIII.7 崖錐堆積物 VIII.8 現河床堆積物 IX. 大雪火山発達史 X. 氷蝕地形および周氷河地形 X.1 カール X.2 表層地形 X.2.1 多角形土 X.2.2 条線砂礫 X.2.3 流土階段 X.2.4 小塚土 X.2.5 砕石原その他 X.3 斜面地形 XI. 応用地質 XI.1 金属・非金属鉱床 XI.1.1 愛山渓鉱山 XI.1.2 その他の鉱床 XI.2 温泉 XI.2.1 層雲峡温泉 XI.2.2 愛山渓温泉 XI.2.3 その他の温泉 参考文献 Résumé(in English)
5万分の1地質図幅説明書
(網走 第 43 号)
この図幅および説明書は昭和 36 年から 38 年にかけて実施した, 野外調査の結果を整理したものである。 この地域は, 北海道の屋根ともいわれ, 山岳地域が大部分を占めている。 近年, 大雪国立公園として, 層雲峡および大雪山を中心に, 脚光を浴び, 交通の便もよくなった。 しかし, 大部分が急峻な山岳地帯であるため, 地質調査もテントを使用しなければならないところが多い。 そのために, 火山としても, 観光地としても有名でありながら, 地質凋査はあまり進んでおらず, 現在まで, 部分的な報告や, 概要の報告があるだけである。
大雪火山群は, 大雪山から十勝岳に至る, 広大な山体を形成しており, 平坦な山稜を形成する熔岩流, ドーム状の火山, 成層火山などが複合して, 複雑な形態を取っている。 これらの火山群の多くの山体は, 隣接する旭岳図幅に含まれているので, 大雪火山群全体の問題を総括するためには, この図幅と旭岳図幅の刊行を待たなければならない。 したがって, この説明書では, 図幅内の火山の概要にとどめ, 旭岳図幅の説明書で, 全体の問題を総括的に扱う予定である。
この地域は, ほとんどが火山岩類であるため, その時代を確定することは, ひじょうに困難であり, また, 相互の関係も分布が限られているものが多いので, 部分的には, 時代, 層序に問題が残っている。 また, 火山体を中心に調査を進めたため, 基盤の諸問題については, 不備な点も多い。 これらの点も, 旭岳図幅で, できるだけおぎなう予定である。
調査にあたっては, 図幅の西部およびニセイカウシュペ山周辺は, 河内が, 東部は 小林が, 赤岳付近は松井がそれぞれ分担し, 国府谷が大雪火山を中心に, 全域にわたって調査した。
報告にさき立ち, 野外調査に際し, いろいろと便宜をはかっていただいた, 上川町役場の石田企画課長, 鈴木係長をはじめ, 多くの方々に謝意を表する。
この図幅は, 北緯 43°40'~43°50', 東径 142°45'~143°00' に位置し, 北海道のほぼ中央部にあたっている。 行政的には, 上川郡上川町に大部分が属し, 図幅の西南部が上川郡東川町に属している。
大部分が, 山岳地帯であり, 石狩川に沿って, 僅かに人家がみられるだけであるが, 近年 大雪山国立公園として, 脚光をあびるとともに, 上川町から石北峠を経て 留辺蘂 町に至る国道 39 号線が開通し, 上川からイトムカ - 留辺蘂に至るバスが運行している。 他の交通機関としては, 上川から愛山渓に至るバスが夏期だけ運行している。 層雲峡温泉と愛山渓温泉は, 大雪山登山の基点になっている。 なお 15 号台風による, 風倒木処理のため, 各所に林道が開らかれたが, 現在では, 風倒木処理も終わり, 通行できない林道が多い。
地形を概括的にみれば, 大雪山を中心とする火山地形 , ニセイカウシュペ山を中心とする山岳地帯の侵蝕地形 , 石狩川に沿って発達する平坦な地形 の三つに大別することができる。 これらの地形をのべるにあたって, この地域では, いずれの地形も火山活動ときりはなすことができないので, ここでは, 概括的にのべ, 個々の地形については, 地質の項で詳しくのべる。
大雪山 は, 図幅の南部に位置している。 大雪山は, 一般的には, トムラウシ岳をも含めて呼ばれているが, 図幅地域に入るものは, 一般的に表大雪と称されている地域で, 白雲岳より北部の山体である。 主な山は, 旭岳(2,290 m), 熊ヶ岳(2,210 m), 愛別岳(2,112.4 m), 北鎮岳(2,246 m), 凌雲岳(2,125 m), 黒岳(1,984 m), 赤岳(2,078 m), 白雲岳(2,229 m), 北海岳(2,140 m)などの諸峰である。 旭岳, 白雲岳は図幅外になるが, これらを含めて, 大きくみると, 山頂部は, 標高 2,000 m 前後の高さでそろい, 比較的平坦な, 大きな截頭円錐形である。
この [ 大雪山を中心とする ] 山体は地形上, 大きく次の三つの山体群に分けられる。 第1は, 永山岳, 比布岳, 愛別岳, 北鎮岳, 凌雲岳, 黒岳, 烏帽子岳, 赤岳, 白雲岳などの, 西南方向に大きく口を開いた, 馬蹄形に連らなる諸山( 古大雪火山 ), 第2は, お鉢平火口 [ 地質図上に記名なし ; 有毒温泉を中心とするお鉢平火口湖堆積物の分布地 ] をとりまく, 北海岳, 間宮岳 [ 地質図上に記名なし ] , 中岳 [ 地質図上に記名なし ] の諸山( 新大雪火山 ), 第3は, 旭岳 の三つである。
第1の諸峰 [ 古大雪火山 ] は, 一つ一つが独立した, ドーム状の火山体として従来 記載されていたものであるが, 今回の調査により, これらの諸峰は全く同じ熔岩流で構成されており, 古大雪火山とした単一の火山から侵蝕によって分離形成されたものであることが 明らかになった。 この古大雪火山は, 大雪山全体の截頭円錐形の火山地形の骨格をなしているものである。 地質でのべるように, この火山の形成時は古く, 河川の侵蝕作用をいちじるしく受けている。 とくに, 放射状谷の谷頭侵蝕はいちじるしく, 深い峡谷を形成するとともに, 各所にヤセ尾根を作っている。 たとえば, 愛別岳, 上川岳 [ 地質図上に記名なし ; 凌雲岳の北方 1 km ] などは, 一見独立峰のようにみえるが, ごく幅のせまい稜線で連らなっており, 谷頭侵蝕により, 山体から分離されたものである。 また, 古大雪火山の主要部を形成する, 北鎮岳, 凌雲岳, 黒岳, 烏帽子岳など, 同じ熔岩流で, 構成されていながら, 一見, ドーム状の地形を呈している。 このドーム状の地形も, 谷頭侵蝕によりそれぞれ分離されたものと考えられる。 しかし, これらの侵蝕作用は, 愛別岳, 上川岳などの分離をもたらした侵蝕作用とは, 時期的に異なっている。 つまり, 主要部の侵蝕はより古いものであり, 北部の愛別岳, 上川岳は氷期以降の新しい河川の侵蝕によるものと考えられる。 このような, 放射状谷の侵蝕をまぬがれた地域は, 熔岩台地の地形を保持し, 沼ノ平 [ ← 愛山渓温泉の南方 2 km or 永山岳の西方 2 km ] などにみられるように, 高山性湿原を形成している。
古大雪火山は, すでにのべたように, 西南方向に口を開いた馬蹄形に配列している。 この取り囲まれた内側は, 現在は, 新大雪火山および層雲峡熔結凝灰岩で埋められているため, 地形上では明瞭な凹地は形成していない。 しかし, これらの諸堆積物を除けば, 内側は, 外側にくらべいちじるしく急傾斜な壁になり, 馬蹄形の壁にとりまかれた凹地になる。 このような凹地は, カルデラと考えられる。 古大雪火山のカルデラ形成後, 侵蝕作用により, これらの諸山が, 一見 独立山体のような形に分離されたものである。 したがって, 新大雪火山の形成時には, すでにカルデラは, いちじるしく侵蝕されてしまい, さらに, 新しい火山や火砕流で埋められているため, 地形上では, 明瞭なカルデラの形態を示してはいない。 そのため, 独立山体があたかも, 馬蹄形状に配列しているようにみられるわけである。
第2の新大雪火山 は, 古大雪火山のカルデラ中にできた成層火山である。 北側は, 古大雪火山に接しているため, 山麓の発達は悪い。 西側および東南には広く発達するが, 脚部は層雲峡熔結凝灰岩におおわれている。 このため, 成層火山の山麓の原形はみられず, 北海平 [ ← 北海岳と赤岳の間 ? ] , 雲の平 [ 北鎮岳と黒岳の間 ? ] などの層雲峡熔結凝灰岩の堆積面にあたる, 平坦な地形が発達している。 山頂には, 直径約 2 km の, ほぼ円形の火口を形成している。 火口壁の東側は, 赤石川により破壊され, 火口瀬を形成している。 また, 北海岳の山腹から流下するミクラ沢 [ 御蔵沢 ? ] 熔岩は, 熔岩流の原形をよく残している。
第3の旭岳 は, 新大雪火山の西南に位置している成層火山である。 東側は, 熊ヶ岳, 後旭岳などにさえぎられているが, 西側には, 広く成層火山特有の山麓が発達している。 山腹には, 浅い放射状谷が発達している。
ニセイカウシュペを中心とした地域 は, 図幅の北東部の山岳地帯である。 石狩川に面しては急崖を形成しているが, これに対し, 稜線部は, 比較的傾斜はゆるく, とくに隣接する上支湧別図幅の平山 [ ← 1771 m の山 ? ] 付近では, 一種の熔岩台地が広く発達している。 そして荒井川上流やニセイシキオマップ上流などが, 急崖を形成しており, また, ニセイカウシュペと朝陽山の稜線など, 細いヤセ尾根を形成している点などはいちじるしい河川の侵蝕作用によるものである。 なお, ニセイカウシュッペの西北の山稜や, 愛山渓付近に, 他の地域にみられない特徴的な緩斜面地形が発達しているが, この点については別にのべる。
石狩川に沿う平坦な地形 としては, 石狩川の北側に標高 900 m から 700 m までの平坦な面と, 主として, 石狩川の南側に, 標高 1,000 m から 500 m の高さで発達する面である。 前者はチカルベツ熔結凝灰岩で構成されており, 後者は層雲峡熔結凝灰岩の堆積面である。 他に, 発達する面は, 河岸段丘と石狩川に沿う現河床氾濫原である。 これらは, リクマンベツ [ 三等三角点「陸満別」? or リクマンベツ川 ? ; 万景壁 付近 ? ] より下流部に発達している。 いずれも, 地質の項で詳述する。
この地域を構成しているものは, 先第三紀の粘板岩, 閃緑岩類と, 新第三紀の地層, 火山岩類が基盤となり, それをおおって大雪火山群の火山岩類が広く発達している。
先第三紀の地層は, 粘板岩およびこれを貫く閃緑岩類である。 粘板岩は, 日高累層群に属するものであるが, 大雪火山の各種の火山岩類におおわれ, 石狩川に沿う地域にわずかに分布するだけで, 基盤の構造は十分に明らかにされていない。 閃緑岩類は, 粘板岩を貫き, 南北性の岩体を形成し, いちじるしい岩相の変化をしめている。 これは日高変成帯の延長部を構成するものである。
新第三紀の地層として, 正常堆積物はほとんどなく, 大半が火山岩類であるために, それぞれの時代を明確に区分することができない。 したがって, 岩質, 分布, 変質の様式, 隣接地域との関連などから類推する以外にない。
新第三紀 中新世に属すると考えられる地層および火山岩は, 図幅西部に広く発達するプロピライトと, 東部に分布する, いちじるしく珪化作用を受けた熔結凝灰岩, およびプロピライトを主体とし, わずかに泥岩層や砂礫層をはさむヤンベタップ層である。 これらは, 隣接する上支湧別図幅の東高地層にほぼ対比できるものである。
新第三紀鮮新世に属すると考えられる火山岩は, チカルベツ熔結凝灰岩, 米飯山 熔岩, 朝陽山集塊岩, ニセイカウシュペ熔岩, ユニ石狩熔岩, および脈岩である。
チカルベツ熔結凝灰岩は, 図幅北部に広く発達しているもので, 岩相の変化が激しいが, 岩質上 北見地方に広く発達しているものに類似している。 米飯山熔岩, 朝陽山集塊岩, ユニ石狩熔岩, ニセイカウシュペ熔岩は, いずれも しそ輝石普通輝石安山岩で, 一般に板状節理の発達した熔岩である。 脈岩は, 朝陽山集塊岩を貫いて発達している。
第四紀に属する地層および火山岩は, 大部分が大雪火山群の形成に直接関与しているものである。 これらの火山岩類は, 大雪火山の活動史に合わせて, 大きく次の3期に分けることができる。
これらの3期のうち, 第3期以降が現世に属する。
第1期に関連するものとしては, テンマク熔岩, 松仙 熔岩, 沼ノ平熔岩, ヤンベタップ集塊岩, 古大雪熔岩で, ほかに この時期のものとして 安足間 熔結凝灰岩, 火山円礫層, 斜面堆積物などの堆積物がある。 テンマク熔岩, 松仙熔岩, 沼ノ平熔岩は, いずれも粗粒な安山岩で, 角閃石をもち, 岩質は古大雪熔岩に類似する。 ヤンベタップ集塊岩は, 古大雪熔岩の前駆的な活動のもので, 岩質は古大雪熔岩と同じである。 安足間熔結凝灰岩は, 粗粒な石英をともなう熔結凝灰岩で, 岩質は, 十勝熔結凝灰岩に類似している。 しかし, 分布その他から, これらと完全に対比できるものか, あるいは大雪火山の活動に直接関連するものかは, まだ不明である。 火山円礫層は, 主として火山円礫および砂で構成されている。 この火山円礫は, 同層の上部をおおう, 古大雪熔岩と全く同じ岩質であり, 古大雪熔岩の前駆的な活動と結びつくものと考えられる。 しかし, このような火山円礫層と, 火山活動との関係はまだ十分に解明されていない。 古大雪熔岩は赤岳, 黒岳, 凌雲岳, 北鎮岳などを構成しているものである。 これらの諸峰は, 従来はそれぞれ独立したドームとして分けられ, 活動の時期も違ったものにされていた。 これらの諸峰の岩質は全く同じである。 一見ドーム状の地形を呈しているが, 明らかに熔岩流であり, 各露頭では, 何枚かの熔岩流に分けることができるところもあるが, 各熔岩流を対比し, 上下関係を明らかにして, 全体的に分けることはできないので, 一括して古大雪熔岩とした。 岩質は, ひじょうに粗粒な角閃石しそ輝石普通輝石安山岩である。 古大雪熔岩により, 山体の主要部分が形成され, その後, 赤岳, 黒岳, 北鎮岳などでとりかこまれた馬蹄形の凹地が形成された。 この凹地は, 一種のカルデラと考えられる。 古大雪山の形成後, 山腹斜面の一部は, 周氷河的気候条件のもとに形成されたと考えられる斜面の形成と, 斜面堆積物をもたらした。
第2期に関連するものとしては, 新大雪熔岩の活動に代表される, 新大雪火山の形成と新大雪火山の爆裂火口の形成, これにともなう火砕流としての層雲峡熔結凝灰岩および熊ヶ岳の活動があげられる。 新大雪火山は, 古大雪山にとりまかれた凹地のほぼ中央部に位置する成層火山である。 熔岩は, しそ輝石普通輝石安山岩である。 層雲峡熔結凝灰岩は, 新大雪火山から流出したもので, この火砕流の流出にともない, 新大雪火山の山頂部に直径約 2 km の火口を形成した。 新大雪火山から流出した火砕流は, 火口原を埋め, 古大雪山の低いところから3方向に分かれて流下した。 その一つは, 東側の赤石川に沿う山腹斜面を流下し, 石狩川に至り, 石狩川に沿う低地を上流および下流部に流れた。 南側のものは, 白雲岳付近から忠別川沿いに流下し, 他の一つは, 西部の山腹斜面を流下し ピウケナイ川に至っている。 層雲峡熔結凝灰岩は, 上川町市街地付近で, 比高約 10 m の河岸段丘によって不整合にきられている。 この河岸段丘は, 白滝地域の無土器文化で代表される面に対比できるものであり, 新大雪火山は, 第四紀更新世の末にはすでに形成されていたことが確認される。 熊ヶ岳は, 新大雪火山の西側に位置し, 直径約 500 m の円形の火口をもっている。 層雲峡熔結凝灰岩にはおおわれていないので, 新大雪火山より新しい活動のものであるが, 熊ヶ岳熔岩の岩質はむしろ, 古大雪熔岩に類似し, 角閃石しそ輝石普通輝石安山岩である。
第3期の活動は, 層雲峡熔結凝灰岩との関係から, ほぼ第四紀 現世に属するものである。 火山活動としては, 旭岳火山およびミクラ沢 [ 御蔵沢 ? ] 熔岩の活動がある。 旭岳火山の主要部分は, 隣接する旭岳図幅にはいる。 この地域では, 旭岳第1熔岩, 第2熔岩, 火山岩屑, 新期火山弾および火山灰などで, いずれも, しそ輝石普通輝石安山岩である。 ミクラ沢熔岩は, 大雪山の最後の活動で, 北海岳の山腹に生じた割目から流出しているもので, 熔岩流の地形をよく残している。 岩質は, 含角閃石しそ輝石普通輝石安山岩である。 このような活動と同時に一方では, 火山体の崩壊が進み, 新大雪火山の火口, 熊ヶ岳火口は埋積され, それぞれ, お鉢平火口堆積物, 熊ヶ岳火口堆積物を形成した。
火山活動と関係しない第四紀の地層としては, 段丘堆積物, 崖錐堆積物および現河床堆積物がある。
この地域に発達している先第三紀の地層は, 日高累層群に属する粘板岩類およびこれをつらぬく閃緑岩類である。 新しい火山岩類に広くおおわれているので, その構造については十分に解明されていない。
石狩川に沿う地域に主として分布している。 日高累層群に属する地層であるが, 大部分が新期の火山岩類でおおわれているため, 十分に構造の解析がおこなわれていないので, 他の地域の地層に直接対比することはできない。 したがって, 地層名をつけず, 粘板岩以外の岩相の部分も一部には含まれるが, 粘板岩として記載する。
分布は, 石狩川沿いの河岸, および支流の地域である。 石狩川の北方では, ニセイカウシュペ山の基盤岩として発達している。 この付近では, ニセイシキオマップ川右俣, ニセイノシキオマップ川, チカルベツ川 [ 芽刈別川 ] なとでいずれも標高 1,000 m 付近の高さまで分布している。 石狩川の南部では, 黒岳沢, 白水川 , 白川 などに比較的広く分布しているが, 他の沢では, 新しい火山岩類におおわれて, 河岸に, 窓状に小さな露出がみられるにすぎない。 黒岳沢, テンマク沢では, 標高 1,000 m まで露出がみられる [ 地質図上のテンマク沢には粘板岩(Sl)は図示されていない ? ] 。
岩相は, おもに, 剥理の発達した黒色の粘板岩で, ところにより, 灰~黒色砂岩の薄層を挾在しているが, 全体の岩相はきわめて単調である。 この地層の一般的な走向は N - S 方向で, 傾斜は急角度である。 しかし, 構造は, 全般的にいちじるしく乱れており, 全貌はつかみがたい。 たとえば, ニセイシキオマップ川における走向は, N 45°W~N 40°E, 傾斜は 20~90°で, 各方向に傾斜している。 チカルベツ川では, 走向は NS~N 70°W, 傾斜は 90~60°SW である。 このように, いちじるしく乱れているとともに, 複雑な褶曲や構造運動を受けている。 双雲別川の南方における, 石狩川支流では, N 60°E 方向の破砕帯がいちじるしく発達している。 その一部に輝緑岩質岩脈が貫入している。 また, 層雲峡温泉の入口付近では, ほぼ E - W 方向の破砕帯が発達しており, 圧砕作用を受けるとともに, 片状構造が発達している。
この粘板岩の時代を, この地域で明確にすることはできない。 しかし, 北海道の中軸帯に発達する日高累層群に属するものであるから, 中生代の三畳紀~ジュラ紀と推定される。
閃緑岩は, 真水川 流域, 白川, リクマンベツ川の川口などに露出している。 粘板岩を貫ぬき, 新第三紀の各岩石におおわれている。 もっとも広ろく分布しているのは, 真水川の流域と白川付近のものであるが, いずれも層雲峡熔結凝灰岩におおわれているので, 川床あるいは, 急崖にだけ露出している。 岩相は, いちじるしく変化し, 斑れい岩質のものから閃緑岩質のものまである。 真水川の場合は西部では, 中粒の斑れい岩質であるが, 東側に向うにしたがって優白化し, 閃緑岩質になっている。 ところにより, いちじるしく細粒化し, まるで, 変質輝緑岩というような状態を呈する部分もある。 いずれも変質している。 周辺の粘板岩は, わずかにホルンヘルス化している。
この地域に発達している新第三紀 中新世と考えられる地層のうち, 正常堆積岩は, 図幅南東部のヤンベタップ層の一部だけである。 他はすべて火山岩類である。 ヤンベタップ層の正常堆積岩相のなかからも, 化石はみつかっていないので, これらの地層や岩石の正確な時代をきめることはできない。 これらの岩石のうち, プロピライトあるいは, ヤンベタップ層の一部は, 灰緑色を呈し, いわゆるグリンタフの岩相である。 したがって, 隣接する上支湧別図幅の東高地層にほぼ対比できるので, ここでは, いちおう中新世の地層とした。
真水川上流およびテンマク川上流に発達している。 他の地層との関係は, テンマク沢の上流で, 粘板岩を貫ぬいているのがみられるだけである。 真水川では, 層雲峡熔結凝灰岩におおわれ, 窓状に川床に分布しているので, 他の中新世の各地層との関係は不明である。
岩質は, 優白色で緻密なリソイダイト質のものから, 多孔質なものまであり, いずれも流理構造が発達している。
鏡下では, 斑晶は, 石英だけである。 基質も, 細粒の石英よりなっている。
図幅西部の安足間川に広く分布し, 標高 500~1,000 m の山地をつくって発達している。
下位の粘板岩をおおい, 米飯山 熔岩, 松仙 熔岩, 斜面堆積物, 層雲峡熔結凝灰岩に不整合におおわれている。
愛山渓鉱山付近のものは, かつて稼行された愛山渓鉱山の水銀鉱床の母岩に当るものである。 ここでは, 比較的新鮮で, 堅硬な部分と, 変質がいちじるしく進んで, ほとんど源岩の構造を残さない部分とがある。
新鮮な部分は, 板状あるいは, 柱状節理の発達した堅硬緻密な, 黒色のプロピライトで, 一般には, 輝石安山岩質である。 しかし, 一部には, かなり角閃石の多い部分がみとめられる。 この地域には, 鉱床形体に関連する大小の剪断帯が発達しており, 変質がみとめられる。 黄鉄鉱の鉱染が, 普遍的であるが, とくに, 鉱山付近から下流の地域で変質がいちじるしい。
ポンアンタロマ川北岸のものは, 黒色, 緻密な, 角閃石を含むプロピライトで, 方状の節理が発達している。 白川上流など, 温泉作用をうけて, 粘土化している部分も多い。 これらの場所では, 源岩の構造はまったくわからない。
鏡下では, 斜長石は, 板状~柱状, 自形で, 微細な包有物で一面によごれたものがあり, 累帯構造は弱い。 一部では, 緑泥石化している。 普通輝石は, 板状で自形~半自形を呈し, しばしば, しそ輝石と平行連晶をなす。 しそ輝石は, 自形を呈し, 多色性はほとんどない。 かんらん石は完全に緑泥石化し, 形態から, わずかに推定できるだけで, ごくわずかである。 基質は, 細柱状の斜長石, 細粒な普通輝石で, やや不均質である。 塡間構造をしめす。
この地層は, 白水川流域, 図幅南東部の大雪山をとりまく放射状谷の河床付近に, 露出している。 隣接する旭岳図幅のヤンベタップ川流域に標式的に発達している。
大部分が変質した熔結凝灰岩で, 上部は, 細い葉理をしめす凝灰質砂岩泥岩の互層に漸移する。 また, 熔結凝灰岩の下部には, はっきりした境で, 凝灰質砂岩泥岩互層およびプロピライトが接する場合があるが, 一部の地域だけであるため, ヤンベタップ層として一括した。
変質火山岩類の大部分は, 熔結凝灰岩である。 ホロカ石狩川 [ 位置不明 ; 図幅地域南東隅 ? ] , 白水川などに発達している。 熔結凝灰岩は全体に弱い緑色を呈しているが, 下部ほど濃緑色を呈し, いわゆるグリーンタフの岩相を呈する。 白水川およびリクマンベツのものは, いちじるしく珪化作用を受け, 白色, 緻密で, 源岩の構造がほとんど不明なものが多い。 またところによっては, 温泉作用のため, 青灰白色に粘土化され, 小規模な硫黄鉱床が形成されている。 これらの所も, 源岩の構造はまったくわからない。 これらの熔結凝灰岩は, 石英安山岩質の熔結凝灰岩であるが, 下部と上部では, やや異なっている。 下部では, 緑色を呈し, つぶされて横にのびた軽石片や気泡は, ほとんどみとめられず, ひじょうに緻密である。 これに対し, 上部になるほど, 淡褐灰色を呈し, 斑状に緑色部がみとめらる。 軽石粒も, 余りひきのばされていないものが多くみとめられるようになり, 粗しょうになる。 このような岩相をしめす部分では, あらい柱状節理が発達する。 プロピライトは, 白水川中流域にわずかに分布するもので, 珪化作用をいちじるしく受けているため, 源岩の構造は不明なものが多い。 熔結凝灰岩との関係もわかっていないが, ヤンベタップ層の下部層と考えられる。 熔結凝灰岩と同様に, 石英安山岩質プロピライトである。
すでにのべたように, ヤンベタップ層は, 上部および下部に, 正常堆積岩相を伴っている。 下部は, 凝灰質砂岩泥炭互層であり, ホロカ石狩川にわずかに分布するだけである。 上部のものも, 凝灰質砂岩泥岩互層である。 銀泉台付近 [ 位置不明 ] のものでは, 全体に粗粒になり, 砂岩ないし細粒角礫岩相が卓越する。 白水川および, 黒岳沢ではわずかに分布するだけであるので, 地質図には, 表わさなかったが, 灰黒色の泥岩相が卓越している。 この付近では, いちじるしく温泉作用により粘土化している。
ヤンベタップ層は, 白水川, 黒岳沢などで, 粘板岩をおおっているが, 他の地層との関係は不明である。 上位は, ユニ石狩熔岩に不整合におおわれている。 また, 本層が緑色変質作用を受けていることなどから, 隣接図幅 [ 東に隣接する上支湧別図幅 ? ] の東高地層に, 対比できるもので, 中新世のものと考えられる。 全体にゆるく南へ傾く構造をとっている。
鏡下では, 熔結凝灰岩は, いちじるしく珪化しているため, 斑晶として石英斑晶がみられるだけである。 基質も, 細粒の石英に変っているが, 源岩の熔結構造, 球顆構造をとどめている。
新第三紀 鮮新世に属すると考えられる岩石は, チカルベツ熔結凝灰岩, 米飯山 熔岩, 朝陽山集塊岩, ニセイカウシュペ熔岩, ユニ石狩熔岩, および脈岩である。 いずれも火山岩であり, 時代を直接きめることはできない。
これらのうち, 米飯山熔岩, ユニ石狩熔岩は, いわゆる Flat lava あるいは platy lava 型の熔岩であるので, 鮮新世とし, ユニ石狩熔岩との関係で, 朝陽山集塊岩およびニセイカウシュペ熔岩も, いちおう鮮新世に属するものとした。
ニセイノシキオマップ川中流部から北西方向にのび, 標高 700~1,000 m のきわめて平坦な, 広い台地をつくって分布している。 またチカルベツ [ 芽刈別 ] 川流域でも, 標高約 1,000 m の尾根をつくって分布している。 さらに, この延長部と考えられるものが, 荒井川 [ ← 朝陽山の南東方 2 km ] 川口付近にわずかに分布している。
岩相はきわめて変化にとみ, 岩質は流紋岩質の熔結凝灰岩である。 ニセイケシュオマップ川では [ ← 地質図上にはチカルベツ熔結凝灰岩(Cw)が図示されていない ? ] , 下位から, 層の厚い流紋岩質火山灰層 → 薄い腐植層 → 降下軽石層(約 2 m)→ 厚い熔結凝灰岩層の順序で重なっている。 この全体を一括してチカルベツ熔結凝灰岩とした。
最下位の流紋岩質火山灰層は, 黒雲母を含む白色の軽石を伴い, 塊状である。 その上位の降下軽石層は, 1 cm 大の軽石からなっており, 上位の熔結凝灰岩とは, 見かけ上漸移している。
熔結相は, いちじるしい岩相変化をしめし, 下部から [ 以下に記す ] A~F に至る岩相に分けられる。
以上のように, この熔結凝灰岩は, いちじるしく岩相が変化する。 しかし, 熔結度と厚さ, 無色, 褐色ガラス, 同源捕獲岩の有無などに一定の規則性がみられる。
ニセイノシキオマップ川では, 標高 1,100 m 付近に分布し, 粘板岩など外来石質岩片が多い。 ここでも, 熔結構造をしめすが, 露頭が貧弱で, 岩相変化は観察できない。 双雲別川の源流部では, もめた粘板岩の上に, 厚さ 1.5 m の赤褐色の風化した火山灰があり, さらに上位に軽石流がのっている。 この軽石流は, 黒雲母・石英を伴う 1~15 cm 大の白色軽石片と, その細粉からなり, 熔結作用はみられない。 全体の厚さは 80 m をこえる。 この軽石流の上位に, 流紋岩質の熔岩状を呈する, 熔結凝灰岩がのっている。
チカルベツ川では, 標高 900 m 付近で粘板岩をおおって発達している。 下位に, 外来岩片の多い凝灰岩層があり, その上位に柱状節理の発達した流紋岩質の, 熔岩状を呈する熔結凝灰岩がのる。 これには, 多量の粘板岩片が含まれている。
分布の西縁部では, 粘板岩との接触部に, 厚さ 1 m のガラス質の部分と, 厚さ 2 m のパーライト質の岩相があり, このさらに上位ですでにのべた厚い部分の岩相に変っている。
以上の諸地点では, 粘板岩の分布地域を重複しているので, 野外では, ほとんどの場合に粘板岩に直接不整合にのっている。
全体的に, 垂直方向にも, 水平方向にも岩相の変化ははげしい。 岩相は, 北見地方に広く発達しているものに類似している。
図幅西部の標高 1,142.1 m 山 [ ← 本安足山 ? ] 付近に発達する。 隣接図幅 [ 西隣の当麻図幅 ] の米飯山をつくる熔岩の延長部に当るもので, 地域内では, 露出がきわめて悪いため, 詳細は不明である。
愛山渓鉱山の南方では, 厚さ 10 cm 前後の板状節理と柱状節理の発達したおよそ 20 m の厚さの熔岩流と, これに伴う同質の集塊岩からなっている。 集塊岩中の岩塊は 5~40 cm 大で, やや多量の基質が埋めている。
1,142.1 m 山 [ ← 本安足山 ? ] 付近では, 大ざっぱな節理が発達し, 中粒, 灰色の熔岩である。
下位岩層との関係は, 直接観察できる露頭がみつかっていないので不明である。 しかし, 地形的には, 下位のプロピライトとは違っており, また, プロピライトにくらべると新鮮で, 剪断帯をともなわないこと, および熔岩流であることで区別することができる。
ニセイカウシュペ山の周辺に分布するもので, 層雲峡温泉の北方にある朝陽山を構成している。 北部では, チカルベツ川源流付近にもみとめられるが [ 地質図上には朝陽山集塊岩(Ca)は図示されていない ? ] , 図幅域では, 厚さの割合に分布は局部的である。
朝陽山南面の断崖をつくるものは, 黒~暗褐色の火山灰と火山砂を基質とし, 大きさ 10~50 cm のしそ輝石普通輝石安山岩塊を多量にともなう集塊岩層である。 中に, 厚さ 2~3 m のうすい熔岩流を多数挾在している。 集塊岩層はごく大ざっぱに成層しており, 全体としてゆるく南へ傾いている。 チカルベツ川源流のものも同質の集塊岩と熔岩流の互層からなっている。
この集塊岩層については, 地質図では, ニセイカウシュペ熔岩の下位として記載したが, 両者の関係は, 荒井川上流で観察されるように, 集塊岩質の部分から, 次第に熔岩流の枚数がふえ, ニセイカウシュペ熔岩へと漸移しており, この集塊岩層は, ニセイカウシュペ熔岩と同時異相の関係にあり, 比較的下位部層になるものと考えられる。
ニセイカウシュペ山を中心に, そのまわりおよそ 3 km の範囲に分布している。
一般に上部ほど熔岩流の枚数が多く, 下部ほど集塊岩の量が多い。 下部の熔岩は, 板状節理が発達した, 灰色緻密な熔岩であり, 上部は厚さ数 m から 10 数 m の板状節理のある, 黒色, 緻密でガラス質安山岩からなる。 熔岩流の枚数は全体として数 10 層を数え, 間には同質の集塊岩と, 一部では黒色火砂層 [ 意味不明 ] を伴っている。
荒井川の上流部では, 走向は N 50°W, 傾斜は 25°NW, ニセイノシキオマップ川上流では, 走向 N 40°W, 傾斜は 30°NE をしめしている。
チカルベツ川本流では, チカルベツ熔結凝灰岩を不整合におおい, 全体として, ゆるく北に傾斜している。 熔岩流の構造は複雑であるが, 地形上には, 直接反映されていない。 とくに南部では, 流理面と斜交して, 深く谷が刻まれており, 侵蝕の進んだ地形をしめしている。
脈岩は, 荒井川の源流部で, 集塊岩層を貫くものが確認されている。 下流のものは, 走向 N 50°W で, 上流のものは, N 30°E である。 ともに集塊岩と同質の黒色を呈する, 緻密な, しそ輝石普通輝石安山岩である。
ユニ石狩熔岩は, 図幅の東南部にわずかに発達するもので, [ 南東に ] 隣接の石狩岳図幅に広く発達している。 灰褐色~暗灰色の緻密な安山岩である。 一般に, 数 cm の厚さの板状節理がいちじるしく発達しているが, ところによっては, 数 cm の柱状節理もよく発達している。 下部には集塊岩層をともなう。 岩質は, しそ輝石普通輝石安山岩である。
更新世に属すると考えられるものは, 安足間熔結凝灰岩, テンマク熔岩, 松仙熔岩, 沼ノ平熔岩, 火山円礫層, ヤンベタップ集塊岩, 古大雪熔岩, 斜面堆積物, 新大雪熔岩, 層雲峡熔結凝灰岩, 段丘堆積物 [ 以下の [注] 参照 ] , 熊ヶ岳熔岩などである。 大部分が火山岩であり, それぞれの時代を確定することはできない。 このうち, 時代を最も推定できるものは, 段丘堆積物である。 この段丘堆積物と直接関連する層雲峡熔結凝灰岩との関連で, 山体の各熔岩の時代をほぼ推定し設定することができた。 熊ヶ岳熔岩は, 現世にはいる可能性もあるが, 明らかでないので, この項に含めた。
愛山渓鉱山付近, ペイトル川流域とパンケフェマナイ川流域 [ ← これらは図幅地域西北隅から南東に延びる河川 ] などに分布している。 これらの地域では, 層雲峡熔結凝灰岩におおわれているが, 下位の岩層との直接の関係はわかっていない。
柱状節理が顕著な, 石英, 黒雲母斑晶を多量に含む, 流紋岩質熔結凝灰岩である。 レンズ状に黒曜石が発達し, 熔結度は高い。 このような岩相上の特徴は, 十勝熔結凝灰岩によくにている。 しかし, 安足間熔結凝灰岩は, 下位の地層との関係がよくわかっていないので, 噴出源も明らかでない。 分布は, 安足間川沿い, および隣接する当麻図幅に広く分布している。 分布の様子をみると, 安足間川沿いに流下し, さらに石狩川に沿って, 当麻地域に至ったようである。 この場合, 十勝に噴出源を求めると, 米飯山 [ ← 西隣の当麻図幅地域内 ; 919.9 m ] など標高 1,000 m 台の山稜を乗りこえて, 安足間川流域に分布したことになる。 しかし, これらの稜線部には, 安足間熔結凝灰岩はまったく分布していない。 また, [ 南西に隣接する ] 志比内図幅においても, 忠別川の北岸の山体を登って分布している証拠はない。 松仙 熔岩などの活動期以前のものと仮定した場合にも, これらの熔岩をはいだ古地形は, [ 地質 ] 図幅の A - B 断面図にしめされるように, 米飯山などの稜線とほぼ同じ標高 1,000 m 台の尾根が東西方向で存在している。 したがって, 安足間熔結凝灰岩が, これらの稜線を南部からこえて, 分布したことになるが, この点の証拠もなく, 十勝岳が噴出源であることに疑問が残る。 このようにみると, 大雪山が噴出源の可能性もあるが, まだよくわかっていない。 なお時代についても, 他の岩石との相互関係がよくわかっていないので, 確定できない。
テンマク川 [ ← 地質図上では「テンマク沢」 ] , リクマンベツ川, 白水川などに発達している。 粘板岩を直接おおい, 層雲峡熔結凝灰岩に不整合におおわれている。 一般に, あらい板状節理が発達している。 白水川の川口付近では, 放射状の見事な節理が発達している。
暗灰色を呈し, 斑晶は数 mm におよぶ粗粒な安山岩で古大雪熔岩に類似しているが, 基質がややガラス質の, 角閃石しそ輝石普通輝石安山岩である。
松仙ヒュッテ付近の, 標高 1,100~1,300 m の幅広い尾根をつくって発達している。 灰黒色~灰色, 多孔質, 粗粒な角閃石しそ輝石普通輝石安山岩で, 多量の捕獲岩をもっている。 岩質は, 古大雪熔岩ときわめて類似していて, 区別しにくい。
愛山渓温泉の南東方のポンアンタロマ川上流 [ ← 松仙ヒュッテの東方 1 km ] に発達している。 村雨の滝 [ 位置不明 ] , 昇天の滝 [ 位置不明 ] などをつくっており, 川の両岸には, 顕著な崖をつくって発達している。
厚さ 5~20 cm の板状節理が発達した, 灰色のしそ輝石普通輝石安山岩である。 熔岩流の上面はきわめて, 平坦で, 熔岩台地を形成し, 三ノ沼, 大沼, 小沼など大小の沼が多数発達している。
リクマンベツ川, テンマク川 [ テンマク沢 ] の上流部とニセイノシキオマップ川上流部とに, 2ヶ所に分かれて, それぞれ独立して分布している [ これら以外に白川の上流にも分布しているが, … ] 。 両者が, 同一の層準にあるかどうかについては, 調査が十分できないので不明である。 段丘あるいは, 湖成堆積物のように, 一般的にみられる正常堆積物とは異なり, 特異的な堆積物であるため, 現段階では, 一括した。 したがって, 個有名詞をつけて, 同一層準とするのをさけるため, 火山円礫層とした。
ニセイノシキオマップ川付近にみられるものは, 礫, 砂, 火山灰を主とし, 大ざっぱに成層した地層で, 崩れやすい。 ここでは粘板岩層を不整合におおっている。
リクマンベツ川, テンマク川上流部では, 粘板岩を不整合におおい, 下部には, うすい粘土層をはさむが, 大部分が安山岩礫である。 中部から上部にかけては, 大ざっぱに成層しているが, 亜角礫ないし亜円礫の安山岩礫で, 基質な砂および火山灰である。 礫は, 数 cm から 30~40 cm におよぶもので, 乱雑に堆積している。 一見, 粗しょうな集塊岩状を呈する。 安山岩礫は上位にのる古大雪熔岩とまったく同じ岩質の礫である。 層厚は 100 m をこえる。 リクマンベツ川の下流では, 下部は, こまかいうえラミナの発達した, 湖成堆積物に類似した凝灰質砂層になる。 全体に未凝固で, 崩れやすい。
赤岳の東部, 銀泉台 [ 位置不明 ] 付近に発達している。 岩質は, 古大雪熔岩と同じ, 角閃石しそ輝石安山岩で, 2~30 cm の礫からなる。 古大雪熔岩の前駆的な活動をしめすものである。 上部は, 塊状熔岩である。 なお, リクマンベツ川, テンマク川の上流でも, 古大雪熔岩の下部に, 集塊岩状の塊状熔岩の部分がともなわれているが, これらについては, 図幅では, 古大熔岩に含めて表現した。
永山岳, 愛別岳, 凌雲岳, 黒岳, 赤岳などを形成する熔岩で, 層雲峡熔結凝灰岩に不整合におおわれている。 他の岩石と同様に, 直接時代をきめるものはないが, 後にのべるように, 層雲峡熔結凝灰岩の時代は, ほぼ確定できるものであり, これにおおわれている点, 従来考えられていたように, 現世に形成されたものでなく, 少なくても, 更新世末期以前に形成されたものである。
古大雪熔岩は, 広大な面積を占めて分布している。 この古大雪熔岩は, 従来, 北鎮岳, 凌雲岳, 黒岳, 赤岳, 永山岳など, それぞれ独立したドームとして分けられ, とくに赤岳, 永山岳に対し, 北鎮岳, 凌雲岳, 黒岳などが新期のものとして分けられていた。 これらの諸峯は, いずれも, 岩質では全く区別できない。 北部の山麓にあたる白水川流域やリクマンベツ川流域などでは, 標高 800 m の地点まで同質の熔岩が流下しているので, 従来のように, 単純にドームと規定することはできない。 むしろ, 全体的には, 熔岩流として流出し, 山体を形成しているものである。 一見, まったくドームのような形をしている凌雲岳の場合でも, 上川岳 [ ← 凌雲岳の北方 1 km ] に至る北側のヤセ尾根に熔岩流として流下している状態が観察される。 また, 旭岳図幅に入るが, 白雲岳の場合も南側に熔岩流として流下している様子がよく観察される。 いずれも稜線部に熔岩流が分布している。 このことは, 熔岩流が流れた以後, 侵蝕作用によりドーム状の地形を形成したことを意味している。 もし, 半ばドーム状に盛り上り, その後, 熔岩を流出したのであれば, 稜線部に熔岩流が分布するより, 谷に沿った低地に分布するはずである。 ドーム状の地形は, 山体形成後の侵蝕作用によるものであり, 古大雪熔岩は, 熔岩流として流出したものである。 しかし, 古大雪熔岩は, すべて, 一度に形成されたものではない。 露頭によっては数枚に分けられ, また, 地形上からも第 2 図にしめすように分けられる。 本来, 各熔岩流ごとに区分しなければならないが, 岩質はいずれもまったく同じであり, しかも, 各熔岩流の間には, 火砕流や砕屑物などをまったくはさんでいない。 したがって, 局部的には, 熔岩流を分けることができるが, 他の露頭と結ぶことができない。 地形も, 侵蝕作用が進でいるので, 連続性は掴めない。 いちおう, 現在の段階としては, 一括して古大雪熔岩とした。
古大雪熔岩は, 大まかに2時期に分けることができる。 永山岳, 比布岳, 愛別岳, 烏帽子岳, 赤岳などを形成するものと, 北鎮岳, 凌雲岳などを形成しているものとに分けられる。 前者は, 古大雪熔岩の初期的な活動の産物であると同時に, 主体をなすものである。 両者は岩質上まったく違いないが, 赤岳, 烏帽子岳付近, 比布岳, 永山岳付近では, 局部的に変質しているため, 従来は, この大別した両者の間に, 時代の違いが大きく考えられていた。 赤岳, 烏帽子岳付近では, 有色鉱物がいちじるしくオパサイト化しているが, 同じ熔岩流の未端部では, 新鮮な有色鉱物がみられる。 同様なことは, 比布 - 氷山岳の間では, 斜長石の斑晶も粘土化しているが, 当麻乗越 [ 位置不明 ; 永山岳の西南西 2 km で松仙熔岩と古大雪熔岩の分布の境目あたり ? ] 付近では, 同一の熔岩流でありながら, 新期の北鎮岳の熔岩より, むしろ新鮮である。 古大雪熔岩の受けている変質作用は, 広域なものではなく, ごく局部的なものであり, 変質作用の時期も, むしろ後期のものである。 すでにのべたように, 北鎮岳などの熔岩が, 稜線部に分布している点からも, 両者の間に, 時間的間隙を大きくつける根拠はない。 全体的には莫大な量であるが, 比較的短期間に相次いで形成したものと考えられる。
古大雪熔岩は, 北海岳を中心とする成層火山をとりまいて分布している。 従来, これらの諸峯が, ドームであり, 成層火山をとりまいた弱線に沿って形成され, このように, 馬蹄形状に分布したと考えられていた。 しかし, 北鎮岳, 凌雲岳, あるいは白雲岳などのように, 外側には熔岩流として流下しているが, 馬蹄形にとりまく内側には, このような現象はみられない。 また, 地形上でも, 外側の熔岩流で形成された斜面に対し, 内側では, いずれも急な斜面を形成している。 このような点から, 弱線に沿って円形に配列したドームではなく, 古大雪熔岩により, 山体の形成後, ほぼ円形のカルデラが形成されたと考える方が妥当に思われる。 したがって, 古大雪は, 一種の外輪山と考えられる。
岩質は, ひじょうに粒粒な斑晶が多く, とくに角閃石では, 1 cm にもおよぶ自形結晶を含む角閃石しそ輝石普通輝石安山岩である。 全体的に, 大きな捕獲岩を多量にともなっている。
安足間 川流域に発達しているもので, 上位に層雲峡熔結凝灰岩がのっている。 斜面堆稚物の層準や分布については, まだ十分にわかっていない。
安足間川沿いでは, 粘板岩を不整合におおい, 層厚約 3 m の堆積物である。 この堆積物は, 淡褐色のややきたない基質の多い礫層で, 泥流状のみかけをもち, 礫は亜角礫である。 礫種は, 粘板岩, 流紋岩, プロピライトなどのほか, 大型の斜長石斑晶をともなう安山岩などである。 ポンアンタロマ川, 白川上流などでは, 亜角礫~亜円礫をともなう, 非火山性泥流状の堆積物である。 一般に淡褐色~赤褐色の基質が多く, 中に 50~80 cm 大の黄褐色の変質した安山岩や, 5 mm 大の大型の角閃石斑晶を含む安山岩礫を伴う。 後者は, 古大雪熔岩に類似する。 ところにより, 赤褐色の砂層, 泥層を伴い, ラミナの発達するところがある。
全体的には, すでにのべたように, 非火山性の泥流状堆積物である。 しかし, 一般の泥流にくらべると, 基質が多く, 広範囲におよんでいる。 また, その上面は, ゆるい平坦な緩斜面を形成し, 小さな, 新期の小沢の発達が悪い点に特徴があり, 一般的な堆積物とは異なっている。 同様な特徴をそなえている地形は, ニセイカウシュペ山北西の稜線部やニセイシキオマップ川上流部などにもみられるが, これらの地域では, 十分に堆積物が観察されていないので, 地質図上では表現しなかった。
北海岳, 間宮岳 [ 地質図上に記名なし ] , 中岳 [ 地質図上に記名なし ] などを構成する岩石である。 これらの諸峯は, 古大雪のカルデラのほぼ中央部に位置する, ほぼ円錐形の成層火山である。 この成層火山には, 直径およそ 1.5 km のほぼ円形の火口がある。 この火口は, お鉢火口と呼ばれている。 火口壁は東部は赤石川 [ ← お鉢火口の北東部から黒岳の南方を通って層雲峡に至る川 ] にけずられ, また, 脚部は崖錐堆積物および新期火山弾などでおおわれている。
間宮岳 [ ← お鉢火口の南西部 ] 付近では, 3枚の熔岩がみられるが, いずれも岩質は同じで, しそ輝石普通輝石安山岩である。 暗灰色を呈し, 緻密, 堅硬であるが, 一部は変質作用を受けて暗緑灰色を呈する。 また, 火口瀬の付近 [ ← お鉢火口の北東部 ? ] では, 硫気作用を受け, 灰白色を呈し, いちじるしく粘土化している。
層雲峡熔結凝灰岩の図幅内に分布する地域は, 大別すると, 次の3ヵ所である。
| [1] | 石狩川に沿う地域で, 石狩川によって侵蝕された低地帯を埋めて分布するもの。 |
| [2] | 図幅西部のピウケナイ沢から忠別川にかけて, 河川の侵蝕した低地を埋めるもの。 |
| [3] | 古大雪火山と新大雪火山との間の凹地を埋めて分布するもの。 |
いずれも, 層雲峡熔結凝灰岩の分布する地域は, 堆積面の平坦面がよく残されている。 層雲峡熔結凝灰岩の下部には, ところにより降下軽石をともなっている。 この降下軽石は, 層雲峡熔結凝灰岩を形成した熱雲に先き立つ, 先駆的な活動をしめすものと考えられるもので, 火山活動としては, 一つの単元とすることができる。 したがって, 地質図上の表現としては, 層雲峡熔結凝灰岩として一括した。
次に各地域についてのべる。
[1] 石狩川に沿って分布するもの は, 大函 [ ← 図幅地域外 ? ; 層雲峡を通る国道 39 号線沿いの名所で, 図幅地域の東端の外 ] 付近が東の端で, 西は, 安足間 川流域におよんでいる。 層雲峡温泉より上流部では, 狭い峡谷を埋めて発達し, 標高 900~1,000 m の平坦な面を形成している。 基盤の粘板岩, 朝陽山集塊岩, ユニ石狩熔岩などを不整合におおっている。 層雲峡温泉より東部の地域では, 厚さ 1~3 m の降下軽石を伴っている。 この降下軽石には, 黒色の火山礫を伴っている。
層雲峡熔結凝灰岩は, 小函 [ ← 層雲峡を通る国道 39 号線沿いの名所で, 図幅地域の東端に位置している ? ] 付近で最も厚く, 層厚 150 m におよぶが, 急傾斜の峡谷壁にへばりつくように埋めているもので, 支流に入ると急速に層厚を減じ, 20~30 m の層厚になる。 層厚の最も厚い, 小函付近では, 見事な柱状節理が発達している。
層雲峡温泉から西側では, 下部の降下軽石は, ほとんど伴われていない。 上流部と同様に, 谷壁では数 10 m におよぶ層厚であるが, 山体側に入ると層厚を急速に減ずる。 また, 石狩川の側方侵蝕が主体的に作用して, 平野を形成した地域では, 全体の層厚が薄くなり, 分布する高度も, 標高 700 m から 400 m まで下って, 平坦な面を形成している。 リクマンベツ川, 白水川の一部では, 層雲峡熔結凝灰岩が2枚に分けられるが, 他の地域では, まだ正確にわかっていない。 とくに, 標式的に発達する小函付近では1枚であり, 白水川などで分けられる上下のいずれが, 標式地に対比できるか不明であるので, 一括した。
層雲峡熔結凝灰岩は, 上川町市街地の南に発達する, 比高約 10 m の河岸段丘によって不整合におおわれている。
[2] 西部地域のもの は, 図幅では, わずかに分布しているだけである。 ピウケナイ川流域では, プロピライトを不整合におおい, 旭岳第2熔岩によっておおわれている。
[3] 古大雪火山と新大雪火山の間の凹地 に分布し, 雲井平 [ ← これは「雲の平」? ; 北鎮岳と黒岳の間 ? ] , 北海平なとの平坦な面を形成する。 層雲峡熔結凝灰岩と, 古大雪熔岩との関係は, 烏帽子岳, 赤岳付近でよく観察される。 とくに赤岳の北西の壁では, 古大雪火山のカルデラ壁に, いわゆるアバッ卜した [ よりかかった ? ] 関係で, 不整合におおっているのが観察される。
新大雪熔岩との関係は, 北海岳の山頂を形成しているのが, 層雲峡熔結凝灰岩であり, 山腹斜面をおおって, 流下しているのがみられる。 これに対して, お鉢平火口には, まったくみられない。 したがって, 層雲峡熔結凝灰岩は, 新大雪火山の形成後であり, お鉢平火口の形成以前ということになる。 またお鉢火口形成のさいの噴出物であることは動かせない。
この地域の層雲峡熔結凝灰岩は, 下部に層厚数 m 以上の降下軽石を伴っている。 この降下軽石には, 多量の黒色の火山礫を伴う。 本体の熔結凝灰岩は 10 m 前後の層厚で, 他の地域にくらべて, うすく, 熔結度も比軽的低くいので, 柱状節理も余り発達していない。
以上3地域に分けてのべたが, お鉢平火口から噴出した層雲峡熔結凝灰岩の前駆的活動として, 数回にわたる降下軽石は, 古大雪火山と新大雪火山との凹地を埋め, さらに層雲峡温泉付近から東側の地域に降下している。 次いで, 層雲峡熔結凝灰岩も, この凹地を埋めると同時に, 古大雪火山のカルデラ壁の侵蝕されたところから溢流した。 これは, ほぼ現在の赤石川に沿う, 侵蝕の進んだ凹地を流下し, 石狩川の峡谷に入り, ここで上流側と下流側とに分かれた。 上流側では, 厚く堆積し, 下流側では, 峡谷を埋積するとともに, 山腹斜面の脚部を埋めて, 広く平坦面を形成した。 一方, 古大雪カルデラの馬蹄形に開いた西南部に流下したものの一部は, ピウケナイ付近に至った。
降下軽石の岩相は, 固い白色の軽石と暗灰色の発泡の悪い軽石, 暗灰色スコリアで構成されている。 石狩川付近に発達するものは, 北海平なとにみられるものにくらべて, 暗灰色のスコリアの量は少なく, 軽石を主としている。
層雲峡熔結凝灰岩は, 暗灰~青灰色を呈する輝石安山岩質のもので, 暗灰色スコリアを伴っているのが特徴である。 スコリアの量は, 降下軽石と同様に, 山頂部に分布するものにくらべて, 石狩川やピウケナイ川付近のものでは少ないが, 降下軽石にみられるように, 急激な量的変化はみられない。
熊ヶ岳は, 新大雪火山 [ ← 有毒温泉を中心とするお鉢平火口 ] の西南に位置し, 直径約 500 m のほぼ円形の火口をもつ火山である。 熊ヶ岳熔岩は, 新大雪火山の西方の山腹斜面を流下している。 層雲峡熔結凝灰岩との直接の関係は, まだ観察されていない。 層雲峡熔結凝灰岩は, 赤岳の西部から南方へ流下し, 忠別川の侵蝕谷 [ ← 図幅南端の地域外 ] に至る経路は, 確実に追跡できるが, 西側では追跡できていない。 しかし, 忠別川を流下したものが, ピウケナイ付近に分布するとすれば, 少なくても標高 1000 m の山稜をのりこえて分布したことになる。 むしろ, 新大雪火山の西側の斜面を広くおおって流下し, 裾合平 [ ← 熊ヶ岳の西南にある図幅南端の地域外の旭岳の北山麓 ? ] からピウケナイ川にかけて分布したと考えられる。 熊ヶ岳熔岩および熊ヶ岳の火口は, 層雲峡熔結凝灰岩には, おおわれていない。 したがって, 層雲峡熔結凝灰岩が, 新大雪火山の西側斜面をおおい, さらに熊ヶ岳熔岩がおおっていると考える方が妥当である。 現在は, 旭岳熔岩や新期の岩屑におおわれていて, 斜面では, 層雲峡熔結凝灰岩の分布を確認することができず, これらにおおわれていない地域ではじめて, 分布が確認されているのである。
岩質は, 角閃石しそ輝石普通輝石安山岩で, 斑晶はひじょうに粗粒な, 暗灰色を呈する緻密堅硬な安山岩である。 肉眼的にも, 鏡下でも, 古大雪熔岩と岩質は類似している。 全体的には, 古大雪熔岩にくらべて, 捕獲岩は少なく, 新鮮で, ややガラス質である。
石狩川に沿って河岸段丘が発達している。 現河床面から, 比高 8~10 m の高さで, 下流に向うに従い, 比高は, 漸次低下している。 段丘堆積物は, 粘板岩および層雲峡熔結凝灰岩を不整合におおっている。 堆積物は, ところにより異なっている。 ニセイシキオマップ付近では, 約 25 m の層厚で, 粘板岩の亜円礫, 安山岩の円礫を主体とし, うすい砂層, 粘土層を伴っている。 下流部の菊水 [ ← 図幅地域北西部 ] 付近では, 1 m 前後の層厚で, 大部分が安山岩の円礫である。 下部には, 層雲峡熔結凝灰岩に由来する火山灰質砂層を伴うところもある。
なお, 上川市街地付近では, 比高 3~4 m と 1.5~2 m の面に細分されるが, 図幅ではこれらの一部も含めたので, 几例では, 上位の地層にした。
この段丘の時代については, この地域で直接明確にすることはできなかった。 しかし, この地域の北東にあたる白滝 [ 遠軽町 白滝 ] では, 石器をもとにして, 河岸段丘が細分されている。 これらの資料に基づき, 白滝における無土器文化で代表される面にほぼ対比することができる。
この地域で, 第四紀更新世と現世との境界を明確にできる関係はわかっていない。 しかし, すでにのべたように, 層雲峡熔結凝灰岩は, 段丘との関係から, 更新世に属するものであることは明確である。 したがって, 層雲峡熔結凝灰岩との関係を, いちおうの目安とした。
熊ヶ岳熔岩は, 層雲峡熔結凝灰岩をおおっているが, 岩質上, 古大雪熔岩に類似し, 新大雪熔岩や旭岳熔岩とは性質が異なり, 火成活動としては, 古大雪火山の活動の延長とも考えられるので, いちおう更新世に含めた。 したがって, 現世の火山活動としては, 旭岳を中心としたものであり, 堆積岩類としては, 各火口の堆積物および崖錐や現河床堆積物などである。
新大雪火山の火口, お鉢平に堆積したものである。 主として細粒物質で構成されており, 一見 軟弱なシルトのようであるが, いちじるしく珪質で, ひじょうに固く, 片状に剥理しやすい。 うすいラミナが発達し, 層間微褶曲や小さな断層が発達している。 有毒温泉付近では, 硫気活動により変質し, 硫黄の鉱染がみられる。
熊ヶ岳の火口は, 火口瀬を形成して流下する河川はなく, 火口壁はよく保存されている。 現在, 北西部の火口壁には, 遅くまで雪が残るので, この融雪による水が一部にたまっている。 したがって, 堆積物は観察できない。 残雪のない火口壁の部分は, 崖錐堆積物でおおわれ, ハイマツなどの植生におおわれている。 火口底の多くも, すでに植生におおわれているが, 裸地では, 亜角礫の砂礫が主であり, 30~50 cm の多角形上を形成している。 また植生の一部は, いわゆるヤチ坊主状の「小塚土」を形成している。
旭岳火山をのぞく, 大雪火山の最後の活動をしめす熔岩流である。 北海岳の肩から, 東北方向に流れ, 赤石川と赤岳沢にはさまれた, 稜線部に発達している。 はばのせまい熔岩流で, 延長 8 km におよんでいる。 火口から流出したものでなく, 北海岳の山腹裂かから流出したものである。 熔岩流の地形はよく保存されており, 熔岩流の両側は, 約 30~40 m の高さで, 堤防状をし, 内側は, 不規則な階段状に陥ちこんでいる。 これらの熔岩流の原形は, 航空写真でもよく観察される。 地形的には, 裾合平の旭岳の熔岩流より, むしろ新しい地形をとっている。
この熔岩は, 暗灰~黒色で, 部分的に多孔質である。 斑晶は一般に粗粒で, 一見 古大雪熔岩に類似しているが, 古大雪熔岩にくらべると, ややガラス質である。 岩質は含角閃石しそ輝石普通輝石安山岩である。
旭岳熔岩の主要部は, 隣接の旭岳図幅に発達している。 ここでは, その一部がみられるたけである。 したがって, いちおう第1, 第2熔岩と分けたが, 旭岳熔岩の全体的な層序については, 旭岳図幅で扱うことにする。
第1熔岩と第2熔岩とは, 岩質上大きな相異はない。 全体は, 数枚の熔岩流からできているが, 火砕岩などは挾在されていない。 きわめて流動性にとんだ熔岩流である。 標高 1,200 m 付近に, 急な斜面が南北方向に連続して発達しているので, 岩質は類似しているが, 第1熔岩と第2熔岩とに分けた。
分布の西縁は, 一般に 20 m をこえる段をつくり, 分布の限界がよくわかる。 しかし, 東縁では, 旭岳火山岩屑や新期の噴出物におおわれているために, 分布の限界も地形上の変換も不明瞭である。 この熔岩流は, 標高 1,200 m 付近に, 比較的平坦な地形をつくって発達している。 このような, 平坦な地形は, 層雲峡熔結凝灰岩が, 谷を埋めて, 平坦な地形面をつくるとともに, この熔岩流の流動性が, いちじるしく高かったことによるものである。
岩質は, 灰黒色, 多孔質で, 5 mm 大の斜長石斑晶を含む流理構造の顕著な, 輝石安山岩である。 一般には, やや塊状であるが, ピウケナイ沢など一部では, 板状節理の発達したものもある。
旭岳山腹から, 裾合平にかけて広く分布するものである。 旭岳火山に由来する熔岩, スコリアなどの破砕片からなり, 山麓部では細粒物質が多くなる。
大雪山の山頂部および山腹をおおっている。 黒色, 多孔質なもので, 一部発泡のよいところは白色を呈し, 縞状になっているものもある。 いずれも, しそ輝石普通輝石安山岩質のものである。
各所に発達しているもので, それぞれ後背地の岩石により構成物質も違い, 形成時も異なっている。 しかし, それぞれの個所で, 十分に観察していないので, 一括しておいた。
主として石狩川の流域に発達する。 とくに, 清川 [ ← 双雲別川の河口付近 ] 付近より西部で, 河床が広くなる地域に良好に発達する。 大部分が安山岩の円礫~亜円礫で, 他に, 砂岩, 輝緑岩などの礫を伴う。
大雪火山群の全体については, 旭岳図幅の説明で総括的に扱う予定である。 したがって, ここでは, 大雪山の概要についてのべておく。
粘板岩については, 広く火山岩類におおわれて, 石狩川に沿う流域にしか分布していないため, 十分に, その構造を明らかにするに至っていない。 新第三紀中新世のものと考えられるプロピライトやヤンベタップ層についても, 正常堆積岩を伴っていないので, 時代や構造は, ほとんど解明されていない。 また, 大雪火山群全体をみた場合も, 十勝岳から大雪に至る火山の西側は, 広く火砕流でおおわれているため, 基盤の問題については, 検討を要する多くの問題がある。 この図幅だけでは, これらの問題を明らかにすることはできないので, 旭岳図幅で検討したい。
この地域で, 粘板岩を含む中新世までの基盤岩は, 標高 1,000~1,300 m の高さにまで分布している。 これらの基盤岩をおおって, ユニ石狩熔岩, 米飯山熔岩などが分布している。 これらの熔岩は, 板状節理のよく発達した, 平坦な山稜を形成している点が特徴的である。 いずれも, 図幅地域で現在みられるものは, 標高 1,000~1,300 m の高さまで分布している。 これらの熔岩は, おそらく, 新第三紀鮮新世のものと考えられるので, 直接 大雪火山としての活動には含めない。
初期の活動としては, テンマク熔岩, 沼の平熔岩, 松仙熔岩などがある。 これらは, いずれも, 角閃石しそ輝石普通輝石安山岩で, 古大雪熔岩と類似している。
これらの熔岩を基底に, 古大雪熔岩の活動がはじまる。 大雪熔岩の前駆的な活動として, ヤンベタップ集塊岩に代表される火砕流の活動が広く行なわれた。 この活動とほぼ同時期に, 火山円礫層が形成される。 この火山円礫層については, また十分に解明されていないし, 多くの問題を残しているが, 山体の崩壊をともなう, 特殊な堆積物である。 このような作用が, 火山活動の一つの形態として, ひきおこされたものか, あるいは, 外的な条件として, 気候条件などによってひきおこされたものかは, 不明である。 この同礫層を構成する礫は, 上位にくる古大雪熔岩と同じであり, 火山円礫層の形成前に, ヤンベタップ集塊岩に代表される前期躯的な活動が 広く行なわれていたことを物語っている。 このように, 山体の形成と平行して, 一部がはげしく崩壊される作用とが結びついている。 このような作用は, あるいは, 特殊な気候条件と結びつくのかも知れない。
古大雪熔岩により, 古大雪火山の山体が形成された後, 現在は新大雪火山や層雲峡熔結凝灰岩に埋積されているカルデラが形成された。 しかし, このカルデラの形成にともなう火砕流や火山砕屑物についてはわかっていない。 安足間熔結凝灰岩は, 岩質上では, 十勝熔結凝灰岩に類似しているが, すでにのべたように噴出源については, 確認されていない。 古大雪火山のカルデラに関連するかも知れないが, もし, 十勝熔結凝灰岩と完全に同じものであれは, ひじょうに膨大な噴出量であり, 直接, 古大雪火山と関係づけることはできない, 別の機構による可能性がある。
カルデラの形成後, 山体は, いちじるしく侵蝕作用を受け, 特有なドーム状の地形を形成した。
新大雪火山の形成に関連するものである。 新大雪火山は, 岩質上, 古大雪火山とは異なる, 典型的な成層火山である。 古大雪火山のカルデラのほぼ中央に位置し, 外輪山に対する中央成層火山の位置を占めている。
新大雪火山の形成後, 直径はほぼ 2 km の円形の火口が形成された。 この際の火砕流が層雲峡熔結凝灰岩である。 層雲峡熔結凝灰岩に先き立ち, 爆発的な活動の現われとして, 軽石が多量に抛出されている。 この軽石は, 降下軽石層を形成し, 古大雪火山のカルデラ中では数 m 以上の層厚であるが, 大函付近では 2 m 前後の厚さで, 層雲峡温泉から東部の地域に分布している。 この活動にひきつづき, 層雲峡熔結凝灰岩をもたらした熱雲が溢流した。 この熱雲は, 3方向に分かれ, 山腹斜面を流下している。 いずれも, 山腹斜面では薄く, 低地に厚く堆積した。
新大雪火山の火口の形成後, 熊ヶ岳火山が形成された。 岩質上では, 古大雪火山に類似している。
この時期の代表的な活動は, 旭岳火山の形成と, 大雪山の最後の活動であるミクラ沢熔岩の流出である。
大雪火山の全体の活動を特徴づけているものは, 莫大な量の古大雪熔岩でありながら岩質上に変化のない点である。 岩質上, 一見 粘性の高い熔岩のように感じられるが, ミクラ沢熔岩などにみられるように, かなり流動性の高い熔岩である。
大雪火山の多くが, 更新世末には, すでに形成されていたことは, 大雪火山が氷蝕作用を受けた可能性をしめている。 氷蝕地形の一つとして, カールがあけられる。 また, 周氷河的環境下にあったことも当然である。 周氷河的環境の主要な要素は気候条件であり, 厳しい寒さというより, 気温が, 0 ℃ を上下して変動することである。 水の凍結, 融解が, 侵蝕作用の主要な営力となる。 この点では, 現在もなお, 山頂部では, 周氷河的気候条件下に置かれているということができる。 この気候条件は, ほぼ森林限界以上と考えられる。 大雪山で, 周氷河的気候条件下で形成されたと考えられる地形のおもなものは, 各種のいわゆる構造土を含む表層地形, 斜面地形などである。
大雪火山発達史でのべたように, 旭岳やミクラ沢熔岩の形成をのぞいて, 大雪火山の大部分は, 更新世末にはすでに形成されていた。 大雪火山は, ほぼ日高帯の延長上にあるので, 日高と大雪との間に, とくにいちじるしい相対的な昇降運動が, 更新世以後におこなわれたとは考えられない。 日高山脈では, 現在の標高 1,400~1,600 m 以上にカール地形が発達している。 日高地方の段丘などの研究から, 日高山脈が, 現世に沈降を続けている証拠はなく, むしろ上昇運動が考えられている。 大雪火山は, 現在 2,000 m をこえる高さであり, もし, 氷蝕作用をまったく受けなかったとすれば, 現世に入ってから, 日高山脈の上昇運動を上回り, 相対的に 600 m 以上の急激な上昇運動を考えなければならない。 しかし, そのような現象, 証拠は今のところわかっていない。 したがって, 更新世末には, すでに, 標高 2,000 m に近い山体を形成していたものと考えられ, 当時の雪線以上の標高にあったとみる方が妥当であろう。
以上の点から, 大雪山の地形を再検討する必要がある。 日本の多くの氷蝕地形が, 変成岩地域で観察されているのに対し, この地域は火山であるため, 氷期以降の河川の侵蝕により, 原地形がいちじるしく破壊されているので, 地形は不明瞭になりやすい。 また, 馬蹄形の凹地地形は, 火山地域であるため, 安易に爆裂火口の地形として, 記載されてきた。 この点は, 大雪火山が, 現世に形成されたという考え方で裏打ちされている面もある。
この地域で, 代表的な地形としては, 白水川の 谷頭 [ 谷の最上流部 ] のものがある。 白水川の源流部で, 凌雲岳と桂月岳 [ 地質図上に記名なし ; 黒岳の西方 1 km or 凌雲岳の東方 1.5 km ] の間に, 北に口を開いた, 馬蹄形の凹地地形が発達している。 圏谷壁 [ カールの谷の壁 ] は, 70 m 前後で, 半円形にとりまく。 圏谷壁の基部は, 新期の崖錐でおおわれ, じょじょに圏谷底 [ カールの谷底 ] の平担面に移行する。 圏谷底は, 北にゆるく傾き, 新期の岩屑でおおわれているので, 粘土質の堆積物はなく, いわゆるガレになっている。 この中央部を白水川が貫流し, 白水川に沿っては, 比高 2~3 m の高さで, 黄褐色砂質粘土を伴う角礫が堤状に堆積し, 圏谷 [ カール ] を2分している。 圏谷底の前端にあたる側方の山腹斜面には比高 8 m の高さに, 黄褐色の粘土を伴う, 角礫の堆積物がわずかに残っている。 圏谷底の前面にも, 黄褐色砂質粘土を伴う小丘がわずかにあり, その前面(北側)は急傾斜で沢に面している。 これらの小丘では, 圏谷底にくらべて, 土壌化が進み, 植生も異なっている。 ここでは, 圏谷底は, 標高 1,750 m である。 他に類似した地形もあるが, 多くのものが, すでに破壊されているので明らかにされていない。 また, 2期に分けられる可能性があるが, この点も, まだ明らかになっていない。 これらの類似した地形は, 旭岳図幅に多くみられるので, ここでは代表例の記載にとどめる。
代表的なものは, 一般に構造土といわれているもので, この中には, 各種のものが含まれている。 現在では, 完全に発生論的な分類はされていないし, 名称も一定していない。 とくに日本では, 記載もあまりない。 大雪地域で多くみられるものは, 幾何学的な形態をもつものとして, 通常多角形土(環状砂礫), 条線砂礫, を含み, 幾何学的な形態をしめさない, 無定形土として, 小塚土, 階段状をした傾斜面として, 流土階段(階段状砂礫, 芝草階段), 平坦な地形として, 砕石原などがあげられる。
一般に構造土といわれているもので, 構成物質の性質, 規模, 構造によっていろいろな形態をとっている。 礫質多角形土, 通常多角形土などが, 大雪地域では, よく発達している。 礫質多角形土は, 旭岳図幅の高根ヶ原に多くみられ, この地域では通常多角形土(環状砂礫)が多い。
赤岳付近に発達している通常多角形土は, 直径 10~20 cm のやや大きな礫が, 1~2列ならび, それに沿って, 数 cm の大きさの礫が並んで, 1~2 m のほぼ六角形の環状に配列している。 中央部は, 細粒物質からなり, 若干の小礫を伴い, やや盛り上り, 凸形である。 周囲の環状構造をつくる部分は, 礫であり細粒物質で充塡されていない。 環状構造は, 地表から約 30 cm の深さまでみられる。 このような単位のものが亀甲形に連なり, 広い平坦地に発達している。 さらに, これらの多角形土中に, 20 cm 前後の多角形土が発達し, 複合型をしめすものがある。 この地域では, 標高 1,600 m 以上の高さに発達する平坦地で, 裸地にみられるが, 赤岳など, 古大雪熔岩で形成されている地域では, 1~2 m の大型なもの, 複合型のものが発達しているのに対し, 新大雪熔岩あるいは層雲峡熔結凝灰岩で形成される, 北海平, 雲の平などでは小型の多角形土が発達している [ 以下の [注] 参照 ] 。
条線砂礫は, 前記の多角形土が, 平坦地に発達するのに対し, 斜面に発達し, 直接的な重力の淘汰作用を受けて形成されたものである。 ところにより, 通常多角形土との漸移型もみられる。 幅は, 10~20 cm で, 斜面に沿って配列し, ところによっては数 m 以上も連なる。 一般に, 礫は立ち並び, 粗粒物質帯を形成する。 粗粒物質帯は, 間隙が多く, 夏期には自然の排水路になりやすく, 水の営力も一部では関連するものと考えられる。 たとえば, 熊ヶ岳火口の斜面では, 軽石, 火山岩屑が主であり, 粗粒物質と細粒物質との対立があまり明確でないので, 10°前後の斜面でも通常多角形土ができている。 全体に間隙の多い構成物質であるため, 直接的な重力の淘汰や水の営力を, 比較的受けず, 本来なら, 条線砂礫の形成されるような条件の斜面勾配でも, 通常多角形土ができている。 このように, 表層の構成物質によって異なり, 単純に, 斜面の傾斜だけで, 地理的分布をわけることはできない。
これは, 条線砂礫と同様に, 斜面に発達するが, 前者は, 傾斜に沿って発達するのに対し, 傾斜に直角に分布している。 形態は, 急な崖と, 平坦な面とで構成されており, 大体 等高線に沿って崖が発達し, 三ヶ月型の平坦面を形成して, 階段状に並んでいる。
崖をつくる部分は, 粗粒物質の岩塊からなり, その上に細粒物質からなる, 平坦面があり, 何らかの淘汰作用を受けてできている。 これらの崖が植生でおおわれている場合とおおわれていない場合とがあるが, 両者が同じ成因であるかどうかについては, まだ不明である [ 以下の [注] 参照 ] 。 大雪地域では, 十分に観察されていないが, 一般的に, 植生におおわれているものの方が崖が高く, 60~70 cm であるのに対し, 植生におおわれていないものは, 30 cm 前後の階段が多いようである。 崖上の台地は, 一般に裸地で, 多角形土が形成されている。
条線砂礫のできている斜面にくらべて, 一般に傾斜は急であり, また, 植生が発達している。 このことは, 植生の発達した斜面に, 流土階段が発達するのか, 条線砂礫をつくる物質の移動にくらべて, 緩慢な移動によるものか, 比較的化石化した地形なのかは不明である。
無定形土のなかで, 小塚土は最もよく発達している。 比較的湿潤な雲の平, 赤石川に沿う地域などに発達している。 直径は 50 cm 前後で, 高さは 20~40 cm の高さの小丘を形成している。 一見「ヤチ坊主」と類似している。 全体的にみると, 密な網状に発達している。 あるいは, 多角形土などに関連するかも知れないが, 植生との関係がより密接である。
ほとんど植生はなく, 角礫で構成されている。 巨大な角礫から小型の角礫まであり, 無秩序に配列し, 淘汰作用は阻害されている。 礫と礫の間隙では細粒物質は洗い出されている。 これに対し, 平板な剥理の発達した礫では, 平らに配列している場合もある。
代表的な地形についてのべたが, これらの各種の地形は, ほぼ標高 1,600 m 以上の所である。 それぞれの地形について, 地理的分布を明らかにしなければならないが, 大雪図幅内では限られており, 結果を出すまでになっていない。
大雪山には多くの斜面地形がみられるが, ほとんど観察されていない。 ここでは, 現在形成されている斜面地形はのぞき, おそらく, 化石地形と考えられるものについてのべる。
この地域で特徴的な斜面地形は, 安足間川, ポンアンタロマ川にはさまれた地域, 白川上流域および, ニセイカウシュペ山の北西で, 標高 1,200~900 m 位までに発達する斜面である。 これらの斜面に共通している点は, 一般的な崖錐の斜面からみると, 傾斜は, ひじょうにゆるく, 平担な緩斜面である。 それらの面が発達している付近の他の地形にくらべて, 航空写真などで観察すると, 小沢の発達がひじょうに少なく, 起伏がない。 細粒物質の堆積物を伴っている点などである。
ニセイカウシュペ山の北西のものについては, 堆積物は, 十分に観察されていない。 しかし, アンタロマ [ ← 安足間 ? ] 付近のものについては, 記載したように, 通常の堆積物とは異なり, 斜面に沿って堆積し, 通常の堆積物にくらべて, 淘汰は悪いが, 細粒物質はひじょうに多く, 崖錐堆積物とも全く異なっている。 むしろ, 非火山性の泥流に類似するが, 稜線部を広大面積でおおっている点, 泥流とも異なる堆積物である。 したがって, 一種のソリフラクション [ solifluction ] によるもので, 化石化した周氷河地形の可能性がある。 この点については, 今後さらに検討する必要がある。
愛山渓鉱山は, 図幅内で唯一の鉱山である。 昭和 30 年から, 野村鉱業株式会社のイトムカ鉱業所の支山として稼行されていたが, 昭和 37 年に休山し, 現在にいたっている。 愛山渓鉱山については, 五十嵐昭明により研究されている。
プロピライト中の, 南北方向の剪断帯に胚胎する水銀鉱床である。 鉱床は, 東雲鉱床と菊水鉱床の2鉱床に分かれているが, 菊水鉱床は, 探鉱されただけで, 採鉱はされていない。
東雲鉱床は, 水準坑地なみで, 115 m 𨫤, 120 m 𨫤, 125 m 𨫤, 139 m 𨫤および 230 m 𨫤の5つの鉱脈がみられる。 鉱石鉱物は, 辰砂を主とし, 少量の自然水銀がみとめられる。 黄鉄鉱をともない, 破砕帯および裂かに鉱染し, あるいは方解石脈, 石英脈に伴って産する。 一部では, 珪化岩の割れ目に, フィルム状に輝安鉱が少量形成されている。
輝安鉱 : 真水川の中流で, 輝安鉱の転石がみられるが, 露頭は不明である。 輝安鉱を伴う転石の母岩は, 流紋岩である。
硫黄 : お鉢平火口および白水川上流部にみられる。 お鉢平火口のものは, 火口瀬の付近で, 昇華硫黄が主体で, 火口壁の崩壊した, 火山砂, 軽石などの中に賦存している。 このほか, 火口湖堆積物中にも低品位の沈澱鉱床がみられる。 昇華鉱は, 比較的品位が高いが, 規模が小さく, 立地条件も悪く, また, 国立公園内であるため, 稼行の対象にはならない。
白水川上流のものは, 硫気作用による, 鉱染帯であり, 品位は低く, 量も少ない。
この地域には, 多くの温泉がみられるが, 現在, 利用されているものは, 層雲峡温泉と愛山渓温泉の2ヵ所だけである。 未利用のものは, お鉢平にみられる有毒温泉, 白川上流, リクマンベツ中流, 中岳の西方約 1 km のところにある中岳温泉などである。
層雲峡温泉は, 上川町市街から石狩川に沿ってバスで約 30 分のところで, 観光地として, また大雪山登山口として有名である。
層雲峡温泉については, 鈴木醇, 福富孝治らの報告がある。
層雲峡温泉は, 粘板岩中より湧出しており, 北東 - 西南方向に発達する割目にそって湧出するものと考えられる。 湧出口は, 30 ヵ所以上におよび, 一部をのぞき, 自然湧出のものである。 現在, 使用しているものは, 46 ℃ 以上で高温のものが多く, 湧出量も豊富である。
泉源は分布状態から, 日赤分院地区, 層雲橋地区, 神仙橋地区に分けられる。
日赤分院地区は, 赤石川と九十九滝沢 [ 位置不明 ] にはさまれた地区で, 20 ヵ所以上の湧出口がある。 一般に 70 ℃ 以上, 最高 93.2 ℃ である。 泉質は無色透明で, ほとんどのものは, 単純泉であるが, Cl- がやや高くアルカリ泉に属するものや, SO4-- が多く硫化水素臭が強く, 硫黄の沈澱しているものもある。
層雲橋 [ 位置不明 ] 地区は, 赤石川の合流点から下流に約 400 m の範囲である。 日赤地区にくらべると, 泉温は, やや低く, 46.3 ℃ から 72 ℃ である。
神仙橋地区は, 神仙橋 [ 位置不明 ] の西方 200 m の間に湧出しているもので, 泉温は 46~65 ℃ で, 全般的に低い。 また, 一部は揚水して使用されている。
図幅西南部の安足間川上流にあり, 上川町からバスの便がある。 温泉は, 町営の宿舎に使用されている。
温泉は, 宿舎の背後の崖錐堆積物中から湧出しているので, 湧山地点を直接みることはできない。 しかし, おそらく, プロピライト中から湧出し, 崖錐を通り, 地表にあらわれているものと考えられる。
泉温は 45.5 ℃ で pH 6 であり, やや炭酸味がある。 泉質は, 含食塩・石膏・重曹泉である。 湧出量は, 現在使用している泉源で 57 l / min である。 この他, 宿舎の上流に 30 ℃ 前後の湧泉があるが, 泉質はまったく同じであり, 沢水でうすめられ, 温度が低下しているものである。
| 調査地 | 泉温 | pH | Cl- | HCO3- |
Free
CO2 |
Total
Fe- | SO4-- | Ca++ | Mg++ | Na++ | K+ | SiO2 |
Total
Solid matter | 摘要 | ||
| 白水川 | 1 | No.1 | 67.8 | 6.7 | 7.1 | 481.9 | 44.4 | None | 372.8 | 79.2 | 40.0 | 99.5 | 3.7 | - | 782 | 10 l/min |
| No.2 | 37.9 | 2.1 | - | - | 130.9 | 0.96 | 2735.2 | 96.3 | 53.8 | 78.5 | 28.8 | - | 4172 | |||
| ボーリング | 98.0 | 8.5 | 7.8 | 283.0 |
CO3
9.9 | 0.06 | 179.0 | 19.8 | 30.3 | 74.0 | 4.8 | 55.3 | 483 | |||
| 2 | No.4 | 80.3 | 6.7 | 6.6 | 420.9 | 38.5 | 0.00 | 604.5 | 138.8 | 49.6 | 96.5 | 12.7 | - | 1,235 |
35 l/min
硫化物沈殿 | |
| 3 | No.6 | 67.3 | 6.6 | 10.9 | 457.5 | 69.3 | 0.00 | 381.9 | 107.6 | 27.4 | 41.0 | 5.0 | - | 812 | 5 l/min | |
| No.7 | 95.0 | 8.4 | 80.0 | 219.6 | - | 1.40 | 244.8 | 17.7 | 8.7 | 202.0 | 0.9 | - | 964 | |||
| 有毒温泉 | 火口瀬 | 72.0 | 3.0 | 380.4 | - | - | 0.05 | 273.2 | 58.0 | 20.0 | 217.0 | 56.8 | 110.0 | 716 | ||
| 中央部 | 42.0 | 3.0 | 111.5 | - | - | 0.50 | 124.3 | 21.4 | 10.3 | 63.0 | 13.8 | 110.0 | 466 | |||
| 愛山渓温泉 | 45.5 | 6.4 | 101.5 | 835.7 | 82.5 | 1.31 | 364.6 | 85.2 | 83.3 | 330.0 | 55.0 | 112.0 | 1,543 |
使用中
57 l/min | ||
| - | 6.5 | 41.2 | 317.2 | 71.5 | 0.04 | 137.9 | 32.5 | 30.5 | 108.5 | 27.6 | 67.3 | 604 | ||||
白水川 : 白水川の上流に, 数多くの湧出口がある。 石狩川との合流点から, 約 4 km 上流の地点で, ヤンベタップ層の変質熔結凝灰岩中に発達する, 東北東 - 西南西方向の剪断帯に沿って湧出しているものである。 この地域では, 母岩はいちじるしく変質し, 珪化および粘土化している。 大きく3群に分けられ, Ⅰ) 下流のもの, Ⅱ) 上流のもの, Ⅲ) 枝沢のものである。 いずれも, 高温であり, 水蒸気を主として, ごく表層の水をあたためて, 湧出しているので, 湧出量は少ない。 したがって, 崖などに湧出しているものは, 大部分が蒸気であり, ある程度, 湯を伴うものは, 浅い沢に沿った地域である。 そのため, 表層の水の性質によって, 泉質は不規則な変化をする。 Ⅰ と Ⅱ は, この地域としては, 比較的湯量があるが, Ⅲ は, 大部分が崖の上にあるので, 小規模な泥火山(ボッケ)を形成しているだけであるが, 水蒸気量は多い。
現在 上川町で開発中であり, 数本のボーリングが行なわれたが, いずれも, 蒸気を主とした, かんけつ泉である。 したがって, 蒸気を熱源として利用する必要がある。
泉質は, すでにのべたように, 表層の水によって, それぞれ異なるが, ボーリングによって得られたものでは, 含石膏重曹泉である。
有毒温泉 : お鉢平火口にあり, 2ヵ所に分かれている。 一つは火口瀬の付近にあり, 他のは, 火口中央部にある。 火口瀬付近のものは, 高温で, 多量に硫黄の沈澱がみられる。 中央部のものは, 火口中を流れる川岸にあるので, 温度は 42.0 ℃ である。 ここでは, 多量に硫化水素ガスを, かんけつ的に噴出している。 泉質は, Cl- が高く, 苦味泉に属する。
中岳温泉 : 中岳から西へ約 1 km の地点で, 登道に沿っている。 熊ヶ岳熔岩の末端部に近いところで, 沢の中に湧出している。 泉温は 75 ℃ で湯量も多い。
リクマンベツ : リクマンベツ川中流付近に湧出しているものであるが, 調査はまだ進んでいない。 白水川と同様に, ヤンベタップ層から湧出している。
EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN (Scale 1 : 50,000)
(Abashiri 43)
By Moriaki Kōnoya, Kōhei Matsui, Shinpei Kawachi and Takehiko Kobayashi (Geological Survey of Hokkaido)
The area of this sheet map is situated in latitude 43°40'~43°50' N, in longtude 142°45'~143°0' E and at about the central part of Hokkaido. It belongs to the Taisetsu National Park, where such famous places as Sōunkyō Hot Spring and Mt. Taisetsu (Taisetsu-zan) are found. A high-way along the River Ishikari crosses this area connecting Kamikawa Town and Rubeshibe over the Sekihoku pass. It is the only road in this area, and communication is, generally, very difficult in this mountainous land.
The area includes, in its southern margin, a part of Mt. Taisetsu. It is one of the Taisetsu volcanoes between Mt. Tokachi and Mt. Taisetsu. The main part of this volcanic group is in the area of the neighbouring Asahi-dake sheet.
Three areas are distinguished, topographically, in this quadrangle, i. e., the areas of volcanic topography around Mt. Taisetsu and around Mt. Niseikaushupe and a flat lowland along the River Ishikari.
In the area of Mt. Taisetsu three part s are distinguished further. Older Taisetsu volcano exhibits a large, horseshoe-shaped depression opening widely to the southwest, of which the rim is represented by such peaks as Mt. Aka-dake, Mt. Kuro-dake, Mt. Hokuchin-dake and Mt. Nagayama.
Younger Taisetsu volcano, with Mt. Hokkai-dake at the center, is surrounded by the peaks of older Taisetsu.
Asahi-dake volcano is at the southwestern part of this area, and extends to the southwest.
The lower slopes of older Taisetsu is dissected so conspicuously that the radial valleys on the slopes show deep gorges. The summits form a continuous ridge of about 2,000 m altitude, and embrace a caldera, the horseshoe-shaped depression mentioned above.
Younger Taisetsu is a strato-volcano with a round crater of about 2 km diameter. The skirts are developed poorly, because it is surrounded by the walls of older Taisetsu.
Asahi-dake volcano is also a strato-volcano, and the skirts are developed well to the west.
In the area around Mt. Niseikaushupe the higher portions of ridges show a rather flat topography, but the sides are steep being eroded remarkably.
Flat planes, from 1,000 to 1,500 m high above sea level, are developed along the River Ishikar. They are the surfaces of the Sōunkyō welded tuff which has filled older valleys of the River Ishikari. The famous spots of Obako and Kobako to the east of Sōunkyō Hot Spirng are the cliffs engraved in the Sōunkyō welded tuffs. The well-developed columnar joints in these rocks, undoubtedly, played an important role for formation of the vertical walls.
The area of this quadrangle is composed, geologically, of the pre-Tertiary fomations and intrusive rocks, the Neogene formations and the contemporaneous volcanic rocks and of the Quaternary volcanic rocks of Taisetsu volcano which cover extensively the older rocks.
The pre-Tertiary formations, consisting mainly of clay slate, belong to the Hidaka super-group. Diorite is intruded into the slate, and forms a N - S trending series of discontinuous masses. It represents, probably, a northern extension of the Hidaka metamorphic belt.
The Neogene formations are composed mostly of volcanic rocks, while normal clastic sediments are so scarce that they are hardly differentiated into subdivisions of different ages. An attempt is made, however, to correlate them with well-known successions by means of lithology, distribution, mode of alteration and stratigraphic relations. The rocks that are considered as belonging to the Miocene series are propylite, severely silicified welded tuff probably of the same age and the Yanbetappu formation consisting mainly of propylite. They are developed extensively in the western part of this map area, and are correlated, probably, to the Higashitaka formation in the area of the Kami-shiyubetsu sheet.
The rocks that may belong t o the Pliocene series are the Chikarubetsu welded tuff, the Peipan-yama lava, the Chōyō-san agglomerate, the Niseikaushupe lava and the Yuni-ishikari lava. The Chikarubetsu welded tuff, being developed extensively in the northern area, is variable in rock facies considerably. All of the Peipan-yama lava, the Chōyō-san lava, the Niseikaushupe lava and the Yuni-ishikari lava are composed of hypersthene augite-andesite. Platy joints are conspicuous generally in these rocks.
Most of the rocks belonging to the Quaternary System are the volcanic rocks that are connected directly with the formation of the Taisetsu volcanoes. These volcanic rocks are classified, according to the history of the Taisetsu volcanoes, as follows :
The Older Taisetsu lavas are the sole constituent of the peaks of Mt. Aka-dake, Mt. Kuro-dake, Mt. Ryōun-dake and Mt. Hokuchin-dake. These peaks have been considered as independent lava domes of different origin of different ages. But they are composed, in fact, lava flows, in spite of their dome-like appearance. Two or three flow units are distinguishable in certain exposures, but a general succession of lava flows can not be established. Accordingly the name of the Older Taisetsu lavas is given to the whole of the lava flows in aggregate.
Rocks of the lava flows are composed, in all of the peaks, of coarse-grained hornblende-hypersthene-augite andesite. The main part of the volcano is composed of the lavas of the Older Taisetsu. The horseshoe-shaped depression surrounded by Mt. Aka-dake, Mt. Kuro-dake and Mt. Hokuchin-dake was formed later. It is a caldera. After the formation of Older Taisetsu volcano the deposits on the slopes were accumulated under a condition of periglacial climate. Also glacial erosion affected especially on the tops of the mountains to make a characteristic land form.
The second stage is represented by the activity of Younger Taisetsu volcano. The important phenomena of this activity were the construction of Younger Taisetstu volcano, the formation of the explosion crater which was followed by an eruption of pyroclastic flows resulting in the Sōunkyō welded tuff. The activity of the Kuma-ga-take lava is also of the second stage. Younger Taisetsu volcano is a strato-volcano constructed in the center of the Older Taisetsu caldera. The Sōunkyō welded tuff was ejected out of Younger Taisetsu volcano, and filled up the crater. Further the ejecta overflowed the Older Taisetsu caldera through lower parts of the caldera wall, and went out in three ways. One of the pyroclastic flows took the way of the Ishikari River valley through the River Akaishi on the eastern sides of the volcano. Another flow took a southern way from Mt. Hakuun-dake and followed the course of the River Chūbetsu. The last one took a course to the west from the neighbour-hood of Mt. Kuma-ga-take and reached Piukenai.
The Sōunkyō welded tuff beds are truncated, around the town of Kamikawa, by a river terrace with a relative height of 10 m. This terrace can be correlated to that including the non-ceramic culture bed in the Shirataki district. Consequently the formation of Younger Taisetsu volcano is proved to be of the late Pleistocene.
Mt. Kuma-ga-take is situated to the west of Younger Taisetsu volcano, and has a round crater with a 500 m diameter. The lavas of Mt. Kuma-ga-take, though not covered by the Sōunkyō welded tuff, are similar to those of Older Taisetsu, and are composed of hornblende-hypersthene-augite andesite.
The third stage is represented by the activity of Asahi-dake volcano and of the Mikura-sawa lava. It is considered to be of Holocene, according to the relation between these volcanics and the Sōunkyō welded tuff. The main portion of Asahi-dake volcano belongs to the area of the neighbouring Asahi-dake sheet. The volcanics of this stage, in this area, are the First and the Second Asahi-dake lavas, the Asahi-dake volcanic debris and the Younger bombs and ash, all of which are hypersthene-augite andesite.
The Mikura-sawa lava is erupted out of the fissures on the sides of Mt. Hokkai, and represents the last phase of the volcanic activity around Mt. Taisetsu. The rocks are composed of hornblende-bearing hypersthene-augite andesite. The lavas maintain the original form which is expressed well in topography.
Destruction of volcanoes, on the other hand, proceeded simultaneously with the events descibed above. The craters of Younger Taisetsu volcano and Mt. Kuma-ga-take were filled with the Ohachi-daira crater deposits and the Kuma-ga-take crater deposits respectively.
There are also terrace deposits, talus deposits and recent-river deposits, that are not related to the volcanic activity.
A closed quicksilver mine, Aizan-kei mine, is in the area of this sheet map. The ore is germinated in propylite rocks.
Several hot springs are found in this area, and two of them, Sōunkyō Hot Spring and Aizan-kei Hot Spring, are now open. Sōunkyō hot-spring is simple, being HCO3- type. Principal sources are divided into three.
Among the hot springs which are not utilized as yet, Yūdoku hot springs are found at the center and to the east of Ohachi crater, and Naka-dake hot spring is to the west of Mt. Naka-dake. The hot springs on the upper stream of the River Shira-mizu and on the middle stream of the River Rikumanbetsu are now being exploited.
It was thought, in former days, that not a trace of glaciation was seen on Mt. Taisetsu. This opinion was based on an erroneous prejudice that the volcano was formed recently in the Holocene age. Several evidences, however, of Old glaciatlon are discovered against the former opinion. It is quite natural, because the volcano, as mentioned above, was formed in the late Pleistocene age. In the area of the Hidaka range, several cirques are found between 1,400 m and 1,600 m altitude. If the age of the volcano were Holocene, an upheaval of hundreds of meters at least would have occurred after the Pleistocene age. But no evidence is found for such crustal movement.
In the area of Mt. Taisetsu moraine-like deposits are discovered in most of the depressions that have been regarded as explosion craters. A representative example is the deposits at the head of the River Shiramizu, where the bed of the cirque is 1,900 m high above sea level.
Peri-glacial phenomena are represented, in this area, by polygonal soil, striation soil, stone terraces, stone pavement and earth mounds. Gentle slopes caused by solifraction are also developed.
昭和 41 年 3 月 25 日 印刷 昭和 41 年 3 月 30 日 発行 著作権所有 北海道開発庁