01032_1970
5万分の1地質図幅説明書
(網走 第 32 号)
北海道立地下資源調査所
技術吏員 藤原哲夫
嘱託 金喆祐
技術吏員 松井公平
技術吏員 庄谷幸夫
北海道開発庁
昭和 45 年 3 月
この調査は, 北海道総合開発の一環である, 地下資源開発のための基本調査として, 北海道に調査を委託し, 道立地下資源調査所において, 実施したものである。
目次 はしがき I. 位置および交通 II. 地形 III. 地質概説 IV. 先白亜紀層(日高累層群) IV.1 中越層 V. 新第三紀層 V.1 ウエンナイ川層 V.2 於鬼頭岳火山噴出物 V.3 チカルベツ熔結凝灰岩 V.4 笹山熔結凝灰岩 VI. 第四紀層 VI.1 安足間川熔結凝灰岩 VI.2 層雲峡熔結凝灰岩 VI.3 河成段丘堆積物 VI.4 崖錐堆積物 VI.5 現河床堆積物 VII. 火成岩類 VII.1 先第三紀火成岩類 VII.1.1 輝緑岩類 VII.1.2 玢岩 VII.1.3 斑れい岩 VII.1.4 花こう岩 VII.1.5 石英閃緑岩 VII.1.6 花こう斑岩 VII.2 新第三紀火成岩類 VII.2.1 プロピライト質岩類 VII.2.2 流紋岩 VII.2.3 玄武岩質安山岩 VII.2.4 塩基性安山岩類岩脈 VIII. 地質構造 IX. 地史 X. 応用地質 文献 Résumé(in English)
5万分の1地質図幅説明書
(網走 第 32 号)
この図幅説明書は, 昭和 39~40 年の両年にわたって実施した野外調査の結果をとりまとめたものである。
野外調査は, 藤原が 中越 から 渚滑川 の上流にかけての地域を, 金が天塩川の上流から岩内川の上流にかけての地域を, 松井および庄谷が上川から 天幕 にかけての北方山地の調査を分担した。
なお, 野外調査に当たっては, 現地で, 上川営林署から, 一方ならぬ御世話をいただいた。 ここに, 厚く謝意を表する。
この図幅地域は, 北海道の中央部に位置し, 行政上は, 上川支庁(上川町・朝日町)と網走支庁( 滝上 町)の管轄内にある。
図幅内の南部には, 国鉄 石北 本線が, 留辺志部 川にそって走り, 上川・天幕・中越・ 上越 の各駅がある。 この石北本線に平行して, 上川市街地で, 国道 39 号線から分岐した主要道道が走っている。 この主要道道は, 上越の手前で, 旧 石北峠をこえて 遠軽 にぬけるものと, 浮島 峠をこえて滝上にぬけるものに分岐する。 このほか, この図幅地域には, 天塩川の流域をはじめ, 各河川にそって, 林道が発達しており, 自動車の通行に便利である。
この図幅地域の地形は, 大きくみて, つぎの4つにわけることができる。
(1) は, この地域の東部と南西部に分布しているが, 地形は急峻で, V 字状に切り立った谷が多く, 全般的に, 開析が進んでいる。
(2) は, この地域の中央部から北西部に分布している。 起伏にとんだ急峻な地形をしめし, 河川には, 急流や, 滝が多く, 開析作用がいちじるしい。 この中にある最高峰は, 天塩岳で, 標高 1,557.6 m に達している。
(3) は, この地域の南部に, (1) や (2) の古い侵蝕地形をうめて分布している。 鮮新世のチカルベツ熔結凝灰岩および 笹山 熔結凝灰岩は, 標高 1,300~500 m の面を形成しているが, 更新世の 安足間川 熔結凝灰岩は, 標高 800~400 m の面となっている。 層雲峡 熔結凝灰岩になると, より一段と低く, 標高 360 m の平坦面をつくっている。
(4) は, 石狩川・留辺志部川・天塩川・渚滑川などをはじめ, 各河川にそって分布し, 現河床氾濫原低地と, それより 2~10 m 高い河成段丘および崖錐地からなる。
この地域を構成する地質系統は, 第 1 図のとおりである。
| 時代 | 層序 | 記号 | 岩質および岩相 | 火成活動 | |||||||
| 第四紀 | 現世 | 現河床堆積物 | Al | 砂, 礫, 粘土 | |||||||
| 崖錐堆積物 | Td | 岩塊, 砂, 礫, 粘土 | |||||||||
| 河成段丘堆積物 | T | 砂, 礫, 粘土 | |||||||||
| 更新世 |
層雲峡
熔結凝灰岩 | Sw |
角閃石石英安山岩質
熔結凝灰岩 |
石英
安山岩 |
熔
結 凝 灰 岩 の 活 動 | ||||||
|
安足間川
熔結凝灰岩 | Aw |
黒雲母流紋岩質
熔結凝灰岩 | 流紋岩 | ||||||||
| 新第三紀 | 鮮新世 | 笹山熔結凝灰岩 | Lw |
含石英普通輝石しそ輝石
安山岩質熔結凝灰岩 | 安山岩 | ||||||
|
チカルベツ
熔結凝灰岩 | Cw | 流紋岩質熔結凝灰岩 | |||||||||
|
於鬼頭岳
火山噴出物 | Ov |
しそ輝石普通輝石
安山岩質火山角礫岩, 同質熔岩, 凝灰角礫岩 | |||||||||
| ↙ |
しそ輝石普通輝石安山岩
塩基性安山岩 玄武岩質安山岩 流紋岩 プロピライト質岩類 | ||||||||||
| 中新世 | ウエンナイ川層 | Un |
緑色凝灰角礫岩,
礫岩,
凝灰質砂岩 | ||||||||
| ↙ |
花こう斑岩,
石英閃緑岩
花こう岩, 斑れい岩 | ||||||||||
| 先白亜紀 |
日高
累層群 | 中越層 | Nk |
黒色粘板岩,
硬砂岩
(輝緑岩質凝灰岩を夹在) | |||||||
| 玢岩, 輝緑岩類 | |||||||||||
この地域の基盤を構成しているのは, 先白亜紀の日高累層群に属する 中越 層である。 この地層は, 単調な地向斜性の厚い堆積物であって, おもに, 粘板岩と硬砂岩によって構成され, 一部に, 輝緑岩質凝灰岩・石灰岩などを來在している。 地質時代は, 化石の産出がないため明らかでないが, 岩相から, いちおう, ジュラ紀~三畳紀と考えられている。 この地層の構造は, 攪乱がいちじるしいため, 明らかにすることは困難であるが, 大局的には, N - S から, 若干 W にふれた走向をしめすものが多い。 そして, この方向に, 花こう岩や斑れい岩・石英閃緑岩などの深成岩体をはじめ, 輝緑岩・玢岩・花こう斑岩など, 各種の火成岩類が多く迸入している。 これらのうち, 花こう岩や, 石英閃緑岩の周辺では, 接触変質による変質粘板岩・変質砂岩・ホルンフェルスなどが生成されている。
この基盤岩類の上には, 大きな時代間隙をおき, 新第三紀中新世のウエンナイ川層が, この図幅地域の中央部から北部にかけて広く分布している。 この岩相は, 一般に凝灰質で, おもに, 粗粒な岩相によって構成されている。 岩相からみて, この堆積物は, 当時, ひじょうに不安定な状態のもとで堆積したことがうかがわれる。 この中には, NE~SW 系の構造がよく発達し, この方向にそって, 塩基性安山岩類の岩脈が多く貫入している。
また, この堆積盆の中には, 安山岩質から石英安山岩質までの各種のプロピライト質岩類が数多く噴出し, 新第三紀堆積盆の大部分をおおっている。 この中にも, やはり, NE~SW 方向の鉱化帯が多くみられる。
さらに, これらの上には, 於鬼頭岳 火山噴出物が, 図幅地域の北西端に局部的に分布し, 南東部には, 噴出源不明の 笹山 熔結凝灰岩, および大雪山系のチカルベツ熔結凝灰岩が分布している。 これらの噴出物は, 直接, 時代をきめることはできないが, 地形の侵蝕状態や岩相からみて, いちおう鮮新世に属するものとした。
より新しい第四紀層としては, 大雪~十勝火山系の 安足間川 熔結凝灰岩, 大雪山系の 層雲峡 熔結凝灰岩などが, この図幅地域の南西部に分布し, 各河川ぞいには, 河成段丘堆積物および現河床堆積物, また, 山麓部に, 崖錐堆積物が分布している。
この図幅地域の基盤をなしているもので, 単調な堆積相をしめしている。 これらの岩相は, 北海道中央地域に発達する 神威 層群に相当するものと考えられる。
この図幅地域の南西部から東部にかけて, 広く分布している。 南西部では, 黒色粘板岩を主体とし, この中に, 硬砂岩のほか, ときに, 石灰岩や, 珪質岩および輝緑岩質凝灰岩などを來在しているが, 東部に行くにしたがい, 粘板岩は砂質となり, ひんぱんに硬砂岩と互層するようになる。 黒色粘板岩は, 一般に剥理面が発達し, 層理面もほぼこれに平行している。
この地層は攪乱が激しく, 褶曲のくりかえしと断層に切られている部分が多いため, 層序はもちろんのこと, その構造を明らかにすることはひじょうにむずかしい。 しかし, 一般的にみると, 南西部では, N 45~50°W・15~50°NE の走向・傾斜をしめすものが多い。 また, 東部では, 一定していないが, 概して N - S 性であるが, 若干 W にふれ E 落しの傾斜をとるものが多い。
この地層の中には, 東側から西側に向って, 圧砕質の花こう岩, 石英閃緑岩, 花こう岩および斑れい岩などの深成岩体の迸入帯が, 大きくみて3つみとめられる。 この方向は, いずれも N - S からやや W にふれた方向で, この中の深成岩体の周辺には, 接触変質岩類が生成されている。 この接触変質岩類 [ Hf ] は, きわめて低度のもので, 大部分が変質粘板岩・変質砂岩といったもので, 再結晶した石英および黒雲母からなるホルンフェルスの発達範囲はせまい。
この図幅地域の中央部から北部にかけて分布している。 北に隣接する渚滑岳図幅では標式的な発達をしめし, この図幅地域はその周縁部に相当している。
岩相的に, きわめて浅い堆積盆の堆積物で, おもに, 粗粒な岩相によって構成されている。 この岩相は, 上部と下部とでかなりの変化がみられる。 下部相は, ウエンナイ川および岩内川の上流 [ ← 図幅地域中央から西側 ] に分布し, おもに, 花こう岩や粘板岩・硬砂岩・チャートなどの礫からなる礫岩によって構成され, 角礫凝灰岩・凝灰質砂岩などを來在する。 上部相は, 天塩川の上流 [ ← 図幅地域北側 ] に分布し, おもに, 緑色凝灰角礫岩・凝灰質砂岩などからなり, 凝灰質泥岩・緑色凝灰岩などをまじえる。 緑色凝灰角礫岩の礫は, 下部にある基盤岩類の礫のほかに, プロピライト質岩類の礫もみられる。 また, 天塩川の上流では, この中に鉱化作用による黄鉄鉱の鉱染や粘土化がみられ, 地すべりの原因にもなっている。
この地層の走向は, N 50~60°E をしめすものが多く, 傾斜は, 一般に 20°以下の緩傾斜である。 とくにいちじるしい褶曲とか, 攪乱はみとめられない。
以上の構造や岩相上の特徴から, この地層は, [ 本図幅地域の北西隣の ] 奥士別図幅地域の奥士別層~ 似峡 層に対比されるものと考えられる。
この図幅地域の北に隣接する渚滑岳図幅地域の 於鬼頭岳(1,176.2 m)を中心に分布するもので, この図幅地域では, 北西端にその一部がわずかに分布しているだけである。
岩相は, しそ輝石普通輝石安山岩質の火山角礫岩を主体とするもので, 薄い同質の熔岩・凝灰角礫岩をともなっている。 火山角礫岩は, 概して下部に広く発達し, 赤褐色に汚染されていることが多く, 径 2~3 mm ていどの気泡がよくみられる。 火山角礫岩中の角礫には, しばしば基盤岩類の岩片がみられる。 熔岩は, ガラス質のしそ輝石普通輝石安山岩で, 斑晶の多い緻密な岩石である。
一般に, 下位にあるプロピライト質岩類は変質をうけているが, このものは変質をうけていることがなく, 新鮮な感じがする。
この熔結凝灰岩は, 南に隣接する大雪山図幅のニセイカウシュペ山山麓に広く分布するもので, この図幅地域では, 南東端に, 基盤岩類をおおってわずかに分布するだけである。 大雪山図幅では, 標高 1,000 m の屋根をつくって分布しているが, この図幅地域では, 標高 700~900 m ていどで, ひじょうに薄くなっている。 そして, 一部は転石状に屋根に残っている。
岩質は, 流紋岩質の熔結凝灰岩であるが, きわめて変化にとみ, 下部から, 流紋岩質火山灰層・腐植層・降下軽石層・厚い熔結凝灰岩層の順序で重なっている。
この図幅地域の東部の浮島峠から, その南西方に, おもに, 先白亜紀の基盤岩類をおおって広く発達している。 標高 500~1,300 m の流走面を形成し [ 以下の [注] 参照 ] , ポンルベシベ川 [ ← 浮島峠の南方から 上越 の西方に向けて南流する ] の上流では板状節理や柱状節理がみられ, 滝をつくっていることが多い。 分布状態からみると, 分布範囲の北方に噴出源があったらしいが, 確かなことはわからない。
岩質は, 含石英普通輝石しそ輝石安山岩質のもので, 全体がガラス質熔岩といった感じのものである。 肉眼的に暗灰色~灰色, ときに, 赤褐色をていし, 斜長石の斑晶がよく目立つ岩石で, 径数 mm~数 cm の角礫を多くふくんでいる。 流理構造がよく発達し, 黒色ガラスの縞目もよくみられる。 とりこまれている角礫は, ほとんどがプロピライト質岩類, 基盤岩類の粘板岩・硬砂岩・珪質岩などであるが, 花こう岩のみられることもある。
顕微鏡下では, 斑晶として, 斜長石 > しそ輝石 > 普通輝石 ≒ 石英などがみられるが, ときに, 黒雲母・角閃石などのみられることもある。 これら構成鉱物の多くは破片状をなしている。 石基は, 褐色~無色のガラスが流理構造をなしている。
この図幅地域の南西部に, 先白亜紀の基盤岩類をおおって発達するもので, 分布は, この図幅地域外の [ 南隣の大雪山図幅地域内の ] 大雪山の北方から西方の山麓まで追跡することができる。
この図幅地域では, 標高 400~800 m のやや起伏にとんだ面を構成している。
岩質は, 流紋岩質のもので, 灰色~灰白色, ところによっては赤褐色をていし, 堅硬・緻密なものから, 凝灰岩状のものまである。 肉眼的に, 石英の大きな斑晶と黒雲母の斑晶が顕著にみとめられ, これが岩質上の特徴となっている。
噴出源については現在のところ明らかでないが, 分布および岩質からみると, 十勝熔結凝灰岩に対応すべきものと考えられ, 十勝~大雪をむすぶ割目噴出によってもたらされたものと考えられる。
南に隣接する大雪山図幅に広く分布するもので, この図幅地域では, 上川市街の南方の台地崖に露出がみられるだけである。 この流走面は, 現河床より 20 m 高い平坦な面で, 懸崖にはみごとな柱状節理が発達している。
岩質は, 角閃石石英安山岩質のもので, 灰白色~灰色をていし, 凝灰岩状をなしている。 分布からみて, 大雪火山系のものと考えられる。
おもに, 石狩川および留辺志部川, 天塩川, 渚滑川などの各河川流域に分布している。 一般に, 現河床より 3~10 m 高い面をつくり, 数段みられる。 構成物は, 砂・礫・粘土で, 厚さは 1 m + ていどである。
[ 上川町市街の北西方 1.5 km の ] 越路付近に発達している。 構成物は, 岩塊・砂・礫・粘土である。
各河川にそって分布している。 構成物は, 砂・礫・粘土である。
先第三紀火成岩類には, 中越層中に岩脈, あるいは岩床として迸入している輝緑岩類および玢岩と, 深成岩体をなす花こう岩・斑れい岩・石英閃緑岩など, 半深成岩体をなす花こう斑岩などがある。 これらの火成岩類の迸入方向は, いずれも NS から, いく分 W にふれた方向である。
おもに, この図幅地域の東部に分布する基盤岩類の中に迸入しているもので, 迸入方向は, 大部分 N - S からいく分 W にふれた方向であるが, 浮島峠付近の一部に NE~SW 方向をしめしているものがある。
産状は, 幅数 m~150 m ていどの岩脈をなすものが大部分であるが, 一部に, 厚さ 1~数 m の岩床状をなしているものもある。
岩質は, 緑色~暗緑色をていする緻密・堅硬な岩石であるが, なかには, 風化によって褐色化しているものもある。 一般に, 方解石細脈が網状に発達し, また, 黄鉄鉱の鉱染がみられ, 破砕されているものも多くみられる。
顕微鏡下では, 志比内沢 [ ← 中越の北北西方 2 km ] のものは, オフィティック組織をなし, おもにソーシュル石化した斜長石と輝石類からなる。 輝石類は, 大部分が分解し, 緑泥石化している。 南沢 [ ← 上越の南西方 2.5 km ] および浮島峠付近では, インターサタル組織をなし, 斜長石の間を褐色に汚染された緑泥石や, 輝石がうめている。 なかには, 緑泥石や輝石のかわりに, 炭酸塩鉱物がうめているものもある。 そして, このものの空隙には, 緑泥石が生成している。 このほか, 浮島峠付近や, 中越~天幕間の道道ぞいには, おもに斜長石・緑泥石・ガラスからなり, 全体が変質しているスピライト質岩もみられる。
玢岩も, 輝緑岩類と同じく, 図幅地域の東部に, 基盤岩類をつらぬいて分布している。 迸入方向は, ほぼ N - Sから, N 20~30°W の方向である。
産状は, いずれも岩脈としてみられ, 幅は 5~20 m ていどのものである。
岩質は, 淡緑色をていする緻密・堅硬な岩石で, 一般に珪質な感じのものである。
顕微鏡下では, 斑状構造をなし, 斑晶として, 曹長石化・絹雲母化・方解石化などの変質をうけた斜長石と, 緑泥石化・方解石化などの変質をうけた鉄苦土鉱物のほか, ときには, 丸味をおびた石英がみられる。 石基は, 完晶質で, 大部分が斜長石からなり, その間を絹雲母・緑泥石・方解石などがうめている。 石基の斜長石は, わずかに曹長石や絹雲母にかわっている。
この図幅地域の西部の基盤岩類中に, 花こう岩体 [ 後述する Gn ? ] とほぼ平行して, NW~SE 方向に迸入している [ ← 天幕の北北西方 2.5 km ? ] 。 この迸入帯は, [ 本図幅の北西隣の ] 奥士別図幅地域の岩尾内の西方の斑れい岩迸入帯につらなり, 岩質もよく類似している。 この迸入帯の西側には, 花こう岩 [ 後述する Gn ? ] がみられ, これと密接な関係があるらしいが, 相互の関係については明らかでない。
岩質は, 暗緑灰色・顕晶質で, 弱い緑泥石化以外, とくに変質をうけていない。
顕微鏡下では, 粗粒で, 完晶質 等粒状構造をしめし, 構成鉱物は, おもに単斜輝石と斜長石からなる。 このほか, 少量の黒雲母・角閃石・しそ輝石をともなっている。
この図幅地域の花こう岩体は, 西部と東部に, それぞれ基盤岩類をつらぬいて分布している。 西部のもの [ ← 前述の天幕の北北西方 2.5~ km のもの ? ] は, N 30°W の方向に迸入し, [ 本図幅の北西隣の奥士別図幅地域内の ] 岩尾内の西方の花こう岩迸入帯につらなっている。 東部のもの [ ← 浮島の西方 2 km のもの ? ] は, ほぼ N - S の方向に迸入し, 一の橋の花こう岩迸入帯 [ ← これは本図幅の北隣の渚滑岳図幅の北隣の西興部図幅地域内にある 「一の橋花崗閃緑岩体」のこと ? ] につらなっている。 それぞれの特徴は, 前者 [ ← 西部の花こう岩 ? ] は, わり合に新鮮で, つねに斑れい岩をともなっているのに対し, 後者 [ ← 西部の花こう岩 ? ] は, 全体に圧砕がいちじるしい。 また, 両者とも周辺に弱いホルンフェルス化をあたえている。
これら [ 西部と東部 ] の花こう岩体は, 岩質的に, 日高変成帯東縁部に発達する花こう岩と同質のものであるが, 一般に, 構成鉱物の2次的変化が顕著である。
西部のエチャナンケップ川のものは, 一般に優白質で, 岩質的には黒雲母花こう閃緑岩である。 顕微鏡下では, 完晶質 等粒状構造をなし, おもに, 石英 > 斜長石 > カリ長石 > 黒雲母によって構成されている。 副成分鉱物としては, ジルコン・燐灰石・金紅石・チタン石などがみられる。 長石類は, いく分 ソーシュル石化・絹雲母化などの変質をうけ, 炭酸塩鉱物の生成しているものもある。 この岩体は, 北部に行くにしたがい細粒となり, 閃緑岩質となるが, この部分では変質がやや進み, 部分的に方解石脈に切られている。 顕微鏡下では, おもに, 斜長石 > カリ長石 > 角閃石 > 石英によって構成されている。 副成分鉱物としては, ジルコン・燐灰石などがみられる。 長石類は, ソーシュル石化し, 角閃石は, 大部分 方解石化・緑泥石化などの変質をうけている。
東部の渚滑川上流のものは, 圧砕 花こう岩というべき性格のもので, 全体が破砕している。 とくに, 東側でいちじるしい。 ホルンフェルス化は, 岩体の西側でよくあたえている。 顕微鏡下では, 全体が粒形のまちまちな破砕した結晶からなり, その破砕面の間に方解石が生成している。 構成鉱物は, おもに, 石英・斜長石・カリ長石からなり, 少量の黒雲母と, 緑泥石化してよくわからないが, 角閃石と思われる鉄苦土鉱物をともなっている。 副成分鉱物としては, 燐灰石・ジルコン・チタン石などがみられる。 長石類は, 大部分がソーシュル石化・曹長石化・絹雲母化などの変質をうけている。 この花こう岩体は, 西部のエチャナンケップ川のものにくらべて, 破砕がいちじるしく, より優白質である。 そして, 白色のアプライト質の部分をともなっている。 鉱物組成的には, 黒雲母がやや少なく, カリ長石が多くなっている。 アプライト質の部分は, 完晶質 等粒状構造で, おもに, 石英と斜長石からなり, チタン石を多くともなっている。 斜長石は, ソーシュル石化・絹雲母化などの変質をいちじるしくうけている。
天幕と中越の間の道道ぞいの崖に露出している。 迸入方向は N - S 方向で, 北は, 奥士別図幅地域の 似狭 付近の角閃石斑れい岩体に, 南は, 大雪山図幅地域の白川付近 [ ← 本図幅地域の天幕の南方 5 km ? ] の閃緑岩体につらなっている。
岩質は, 優白質で, 岩体の周辺に弱い接触変質をあたえ, 低変成のホルンフェルス・変質粘板岩・変質砂岩などを生成している。 また, 珪化や黄鉄鉱の鉱染のみられるところもある。
顕微鏡下では, 一般に, 完晶質 等粒状構造で, 緑泥石と方解石の生成が特徴的である。 構成鉱物は, おもに, 斜長石 > カリ長石 ≒ 石英 > 緑泥石化した鉄苦土鉱物からなり, ときに, 角閃石のみられることもある。 なかには, 斑状構造をしめしているところもあるが, この場合は, 斜長石 ≫ 普通輝石 > しそ輝石などが斑晶としてみとめられた。 石基は, 一般に, 粗粒質で, 石英・カリ長石・斜長石などによって構成されている。 斑状構造をしめす部分は, ほとんど変質をうけていない。
[ 上川町市街地の北方 5 km にある ] クツウンペツ川の中流に, 先白亜紀の基盤岩類をつらぬいて, 局所的に露出している。 迸入方向はほぼ N - S 方向をしめしている。
岩質は, 斜長石の斑晶の目立つ優白質の岩石で, 顕微鏡下では, 斑晶として, 斜長石 ≫ 鉄苦土鉱物がみとめられる。 斑晶の斜長石は, ソーシュル石化・絹雲母化・方解石化などの変質をうけ, 鉄苦土鉱物は, ほとんど緑泥石化している。 石基は, カリ長石・石英・黒雲母・方解石・絹雲母, そのほか, 鉄鉱類・チタン石などからなる。
新第三紀火成岩類は, 大部分が, ウエンナイ川層の堆積盆のプロピライト質岩類によってしめられているが, 基盤岩類の分布地域にも, 玄武岩質安山岩が熔岩流として直接おおったり, また, 塩基性安山岩類が岩脈としてみられる。 大規模な岩体の場合, その迸入方向ははっきりしないが, 岩脈をなすものは, ほとんどが NE~SW 方向をしめしている。
プロピライト質岩類は, この図幅地域の中央部から北西部にかけて分布している新第三紀堆積盆の中に, ウエンナイ川層の上部をおおって広く発達しているものが多いが, -部は, ウエンナイ川層中にも來在されている。
岩質は, しそ輝石普通輝石安山岩~ 石英安山岩~ 角閃石安山岩~ 含角閃石しそ輝石普通輝石安山岩などの各岩相にわかれるが, 相互の関係については明らかでない。
鉱化作用は, 石英安山岩質なものと角閃石安山岩質なものにとくに多くみられる。
この図幅地域の北西端にわずかに分布している。 ウエンナイ川層の堆積時の最初に溢流した熔岩流である。
岩質は, 一般にやや淡緑色をおびた緻密・堅硬な岩石で, プロピライト化をまぬがれた部分は, 暗灰色~黒色をていしている。
顕微鏡下では, 斑晶として, 斜長石 ≫ 普通輝石 > しそ輝石などがみられる。 輝石類はほとんど緑泥石化し, さらに, そのあとに方解石などの生成しているものが多い。 石基は, インターサータル組織をしめすものが多く, おもに斜長石と単斜輝石で構成されている。 このほか, 少量の斜方輝石・磁鉄鉱・燐灰石・ガラスなどをともなっている。 また, 石基には, 2次鉱物として緑泥石・方解石・石英などが生成している。
この図幅地域の岩内川 [ ← 図幅地域中央南方で留辺志部川から北北西に分岐 ] の流域から天塩岳 [ ← 図幅地域中央北方 ] にかけて広く分布している。 分布は, 新第三紀堆積盆の東縁に位置し, 東側に基盤岩類が発達している。
岩質は, 一般に灰色~緑灰色, ときに暗灰色の堅硬な岩石であるが, 角礫質の部分もともなっている。 また, 天塩岳付近と岩内川の上流の一部には完晶質の部分もみられ, 天塩岳付近ではこの完晶質の部分に幅 5 mm 前後の石英細脈が発達し, ときに, 微細な黄鉄鉱をともなっている。 摺鉢山 [ ← 天幕の北方 5 km ] のものは, 黒色~暗緑色で, 板状節理が発達している。
顕微鏡下では, 斑晶として, 石英・斜長石・普通輝石・しそ輝石・黒雲母のほかに少量の角閃石がみられる。 斜長石は, 割目や周辺から曹長石化しているが, ときに, 絹雲母や方解石で置換されていることもある。 石英は, 彎曲部をもつ融蝕石英が多い。 有色鉱物は, 一般に緑泥石化されている。 石基の部分は, 緑泥石と方解石に置きかえられているものが多い。 天竜 鉱山 [ ← 摺鉢山の東北東方 4 km ] 付近では, 斑晶として, 斜長石 > 石英 > 緑泥石化した輝石などがみられるが, 全般的に, 珪化・黄鉄鉱鉱染・緑泥石化・方解石化・一部, 絹雲母化などの変質をうけているものが多い。 摺鉢山のものは, 斑晶として, 斜長石 ≫ しそ輝石 > 普通輝石 > 石英がみられ, 全般的に緑泥石化がみられる。
おもに, ポン天塩川 [ ← 図幅地域北東隅やや南で天塩川から分岐し南東に延びる ] 流域から, この図幅地域の西に隣接する愛別図幅地域にかけて分布するもので, 鉱化作用の影響は, 石英安山岩質プロピライトとともにもっともいちじるしく, 隣接する愛別図幅地域では, 愛別水銀鉱山 元山鉱床の母岩となっている。 この図幅地域では, [ ポン天塩川の ] 支流の金山沢 [ ← 天塩川とポン天塩川の分岐点から南に延びる ; 地質図に記載なし ] で幅 3 m ていどの含金銀石英脈の母岩となっている。
岩質は, 一般に灰緑色~暗青灰色の緻密な岩石で, 角閃石の柱状結晶が顕著にみられる。
顕微鏡下では, 斑晶として, 斜長石・輝石・角閃石および黒雲母などがみられ, このほか, 石英が微斑晶として存在する。 石基は, 隠微晶質で, ほとんど緑泥石化および方解石化し, ときに緑簾石の生成していることもある。 斜長石は, ほとんど曹長石化しているが, これに, 微細な絹雲母化と方解石化がともなわれる。 有色鉱物は緑泥石化しているものが多い。 鉱化変質のいちじるしい部分では, 原岩の組織は消滅し, まったく石英 - 絹雲母 - 粘土鉱物の組合わせとなり, 黄鉄鉱の鉱染がいちじるしく行なわれている。
山陵部に多く分布し, プロピライト質岩類の中でもっとも新しい噴出と考えられる。 一般に, 鉱化作用による影響は少なく, わずかに黄鉄鉱化が小範囲にみとめられるにすぎない。
岩質は, 一般に暗緑色~緑灰色の緻密・堅硬な岩石であるが, [ 西隣の愛別図幅地域内の ] 愛別水銀鉱山の上流では黒色・緻密で, 板状節理がよく発達している。 そして, 下部に径数 cm~10 cm ていどの礫をふくむ集塊質熔岩ををともなっている。
顕微鏡下では, 斑晶として斜長石および輝石がみられ, また, 微斑晶として石英および角閃石がみられる。 斜長石の曹長石化は一般に弱く, 割目や周辺だけに限られている。 有色鉱物は, ほとんどが割目や周辺部から緑泥石に置換されている。 石基は, 一般に隠微晶質であるが, ときに, 斜長石の短冊状結晶が流理をしめしていることもある。 そして, これらの間に緑泥石や方解石が散在している。 愛別水銀鉱山の上流のものは, 斑晶として, 斜長石 > 普通輝石 ≒ しそ輝石がみられ, 輝石類は, 周辺部からわずかに褐色の緑泥石化が行なわれているにすぎない。 石基はハイアロピリティック組織で, 斜長石のほかガラスをともない, 若干の輝石もともなわれる。 そして, 微粒の磁鉄鉱が散点している。
この図幅地域の西に隣接する愛別図幅地域内の愛別水銀鉱床地帯に分布する一部が, この図幅内にわずかにのびて [ 図幅地域西端・南北中央やや北方に ] 分布しているものである。
岩質は, 白色~灰白色, ときに淡褐色をおびる緻密・堅硬な岩石で, 石英の斑晶が目立っている。 一般に, 鉱化作用による変質を強くうけているものが多く, とくに珪化が特徴的である。
顕微鏡下では, 斑晶として, 石英 ≒ 斜長石 ≫ 黒雲母がみられ, 石基は, おもにガラスからなり, 流理構造をしめし, この中に, 斜長石・石英・黒雲母の微晶が散在している。
天幕から上越にかけて, 留辺志部川ぞいに, 基盤岩類を直接おおって分布している。 このものは, 柱状節理の発達した熔岩流をなしている。
岩質は, 含かんらん石玄武岩質安山岩で, ときに暗灰色や緑色をおびるが, 一般には黒色の堅硬・緻密な岩石で, 部分的に小さな空隙がみられる。
顕微鏡下では, 斑晶として斜長石が主体をなし, 少量のかんらん石・普通輝石・しそ輝石などがみられる。 石基はインターサー夕ル組織をしめし, その組織は細粒から粗粒に変化する。 一般に, 概して粗粒であるが, 上越付近では, 一部が細粒になっている。 この石基はおもに斜長石からなり, その間を普通輝石・しそ輝石・ガラス・磁鉄鉱などがうめている。 変質のていどは, 全般的に, きわめて弱い緑泥石化がみられるだけである。 また, 空隙に, ときに, 方解石が生成している。
この図幅地域の南東部をのぞいた大部分の地域に, 先白亜紀の基盤岩類および新第三紀のウエンナイ川層をつらぬいて, 数多くみられる。 一般に, 幅 2~10 m ていどの小岩脈で, 迸入方向は E - W から N 60°E をしめすものが多い。
岩質は, 含石英玄武岩質安山岩~普通輝石しそ輝石安山岩で, 黒色~暗灰色のものから緑色の緻密なものまである。 岩体の幅が 7~10 m ていどに大きくなると, その中央部分は斜長石の斑晶が目立ち, 斑状構造をていする。
上川町市街地の北方の基盤岩類をぬいているものは, 暗灰色~黒色の緻密な玄武岩質安山岩が多く, プロピライト化の変質をうけているものもある。
顕微鏡下では, 斑晶はひじょうに少なく, わずかに斜長石と普通輝石, および褐色化した緑泥石などがみられるだけである。 石基はインターサータル組織をしめし, 柱状の斜長石の間を褐色化した緑泥石がうめている。 また, 石英・方解石などがこの間に生成していることもある。
渚滑川の上流地域の基盤岩類をぬいているものも 上川町市街地の北方のものとほとんど同じであるが, プロピライト化の変質がやや強いようである。 この中の斑状構造をしめす部分は, 顕微鏡下では, 斑晶として斜長石のほか, ときに, 単斜輝石がみられる。 この斜長石は曹長石化している。 石基はインターサータル組織で, 斜長石の間を, 単斜輝石と褐色化した緑泥石がうめ, その間に石英の生成がみられる。
この図幅地域は, 先白亜紀の基盤構造が骨格となって, その影響が新第三紀中新世以降の地質構造に反映している。
先白亜紀の地質構造は, 日高造山運動と密接な関連をもって組立てられ, N - S から若干 W にふれた方向の構造が主体をなしている。 これに対して, 新第三紀中新世以降は, NE~SW 方向の構造が主体となってきている。
基盤岩類の構造 : 基盤岩類を構成する先白亜紀の中越層は, 地層がひじょうに攪乱されているため, 構造解析はむずかしく, 明らかでない点が多い。 しかし, 大まかにみると, その走向は, 南西部では N 45~50°W のものが多く, 東部では N - S から若干 W にふれたり, E にふれたりしている。 傾斜は, 全般的にみて E 落しが多い。 おそらく, W にたおれた等斜褶曲のくりかえしが, 断層によって攪乱されているようである。 この中越層に発達する主要構造線は, いずれも N - S から若干 W にふれ, 日高造山運動における先駆的活動をしめす輝緑岩類・玢岩などはもちろん, 中期から後期にかけての深成活動をしめす 斑れい岩・花こう岩・石英閃緑岩などもこの方向に迸入している。
新第三紀堆積盆の構造 : 新第三紀堆積盆を構成する中新世のウエンナイ川層は, ひじように不安定な堆積物からなる。 一般に, 地層の走向は N 50 - 60°E をしめすものが多く, 傾斜は 20°以下の緩傾斜で, いちじるしい褶曲とか擾乱はみとめられない。 この地層の中には NE~SW 方向の構造線がよく発達し, この方向に塩基性安山岩類の岩脈が数多く迸入するとともに, 鉱化帯も大部分, この方向にそって行なわれている。
この地域の地質構成が現在みられるようになった経緯は, つぎのように推察することができる。
基盤岩類を構成する中越層の堆積時期で, 地向斜時代の単調な堆積物(粘板岩・硬砂岩)が厚くたまり, 日高造山運動の母胎がつくられた。 この中に, 玢岩・輝緑岩類および同質凝灰岩の迸入や噴出がみられ, この時期から, 塩基性の先駆的火成活動がはじまっている。
この時期には, 日高地域の中核ではミグマタイトの形成が主要な役割をはたし, 日高地向斜は大きく浮上っている。 しかし, この地域ではこれに対応するような本格的上昇運動はみられず, かなり性格を異にした深成活動が分化した形で行なわれただけである。 この図幅地域にみられる 斑れい岩・花こう岩・石英閃緑岩などの日高造山末期の分散的活動が これをしめしている。 日高変成帯が強い集約的変形であるのに対して, いちじるしい対照をなしている。
新第三紀中新世にはいると, 長い間の陸化状態で削剥をうけていた基盤岩類の上に, ふたたび, 海進がはじまり, 不安定なウエンナイ川層の堆積が行なわれた。 この堆積盆の中には, 各種のプロピライト質岩類や, 流紋岩・玄武岩質安山岩・塩基性安山岩類岩脈の迸入・噴出が活発に行なわれ, とくに, プロピライト質岩類や流紋岩は, その後火成作用により, 金銀を主体とする鉱化帯を形成している。
鮮新世にはいると, 堆積盆が隆起し陸化の状態となるが, この時期にも活発な火山活動が行なわれ, 於鬼頭岳火山噴出物・ チカルベツ熔結凝灰岩・ 笹山熔結凝灰岩などの中性~酸性の爆発的火山活動が行なわれている。
この図幅地域は, 鮮新世からひきつづき陸化した状態がつづき, 更新世中期には安足間川熔結凝灰岩が, 更新世後期には層雲峡熔結凝灰岩が, 十勝 - 大雪火山地域から低地を埋めて流走してきている。 このあと, 更新世末から現世にかけて, 緩慢な間歇的隆起と侵蝕によって河成段丘堆積物や現河床堆積物が形成され, 現在にいたっている。
この図幅地域の新第三紀中新世のプロピライト質岩類ならびにウエンナイ川層中には, いたるところで黄鉄鉱の鉱染・珪化・粘土化などの鉱化帯がみとめられる。 これら鉱化帯の方向は, 大部分が NE~SW 系のものである。
天竜鉱山 : 鉱山付近には, 石英安山岩質プロピライトを母岩とする珪化・黄鉄鉱鉱染などの鉱化帯が, N 40~70°E 方向に発達している。 旧坑もみられるが, 坑道が崩壊しているため, 鉱脈の状況は明らかでない。 鉱山の下流約 4 km の岩内川流域には青化製錬所(500 t / 月処理)の跡があるが, これは, 昭和 7 年頃から 14 年頃まで中島鉱業 KK によって操業されたものである。 この製錬所の原鉱石は, ほかの鉱山からもってきたものが大部分らしい。
天塩岳周辺 : 昭和 5 年頃から, 金銀を目的とした地表探鉱が行なわれている。 母岩は, 天竜鉱山と同じく, 石英安山岩質プロピライトで, この中に N 50°E・80°SE の走向・傾斜をもつ, 幅 2~40 cm ていどの石英脈が数本発達している。 天塩岳山頂では N 85°W~N 85°E の走向をもつ珪化帯が尾根を構成し, この中に, 幅 2~3 cm の石英細脈が平行して多数みられる。 当所の分析結果では, Au : 0~tr. である。
EXPLANATORY TEXT OF THE GEOLOGICAL MAP OF JAPAN (Scale 1 : 50,000)
(Abashiri - 32)
by Tetsuo FUJIWARA, Cheoul Woo KIM, Yukio SHŌYA and Kōhei MATSUI (Geological Survey of Hokkaidō)
The map area of the Kamikawa sheet is located in the central part of Hokkaidō between Lat. 43°50' - 44°00' N. and Long. 142°45' - 143°00' E.
The topography of the Kami-kawa sheet area is divided into four parts as follows ;
The basement complex of the area is represented by the Naka-koshi Formation of the Hidaka Super-group which signifies monotonous and thick sediments of geosynclinal nature. The formation is composed of slates and gray-wackes intercalated by diabasic tuffs and limestones. The age of the formation is not yet clear because of the lack of any fossils but is seemed to be the Jurassic to the Triassic from the view point of the occurrence of rocks. The structure of the formation is quite difficult to be clarified due to its disturbance. The general trend of the beds is in the direction of N - S and shows westerly variation more or less. The trend may control the direction of the intrusions of plutonic rocks such as granites, gabbros and quartz-diorites as well as various igneous rocks as diabases, porphyrites and granite porphyries. The granites and quartz-diorites reveal the contact aureoles around the bodies to form the meta-slates, mata-sandstones and hornfelses.
The Uennai Formtion of the Miocene covers the basement complex with considerable time gap and occupies widely the central as well as the northern parts of the sheet. The lithological character of the formation is coarse tuffaceous which suggests a peculiar unstable sedimentation. Within the formation, the fault and sheared zones in the direction of NE - SW develop along which the dikes of basic andesits are observed frequently.
The various types of propylitic rocks ranging from andesitic to dacitic in lithology are emplaced in the sedimentary basin of the Neogene of which the majority is covered by these effusives. The mineralized zone with NE - SW direction are frequently observed on these effusives.
Covering these effusives, the Okito-dake volcanic effusives are distributed locally at the north-western part of the sheet area. The Sasa-yama welded tuff of which the origin is unknown so far and the Chikari-betsu welded tuff of the Daisetsu volcanic series are found on the south-eastern corner of the sheet. The age of these effusives is not able to determine directly though it seems to be of the Pliocene from the view Points of disection grade and lithology.
The Antaroma welded tuff of the Daisetsu-Tokachi volcanic series and the Sōunkyō welded tuff of the Daisetsu volcanic series both of which are of the Quaternary, are seen at the south-western part of the sheet. The river terrace deposits and the Alluvial deposits develop along the rivers and also the talus deposits are distributed at the mountain foot.
The impregnations of pyrite, silicification and argillization within the propylitic bodies as well as the Uennai Formation, are observed everywhere in the sheet area. The majority of the mineralized zones is in the direction of NE - SW. The area around the Tenryū mine and the Teshio-dake could be pointed out to be some of the indication of ore.
昭和 45 年 3 月 5 日 印刷 昭和 45 年 3 月 10 日 発行 著作権所有 北海道開発庁