地質調査総合センター研究資料集 no. 561
GSJ Open File Report, no. 561

一般向けウェブページ用地質用語の解説


著者

 吉川敏之・井川敏恵・西岡芳晴 (産業技術総合研究所・地質調査総合センター)

概要

 20万分の1日本シームレス地質図を始めとするウェブによる情報発信は、地質調査総合センターのサービスとして定着してきた。しかし、その内容を理解するにはある程度の地質学・地球科学の知識が必要である。そこで、情報の理解を少しでも助けるため、一般ユーザー向けに地質用語の解説文を作成した。

内容

 以下には地質用語について、用語・読み仮名・英訳・解説文を収録する。収録順は五十音順とする。

アア溶岩 (ああようがん)
aa lava
玄武岩~安山岩の陸上溶岩によく見られる形態で、表面をごつごつした岩塊 (クリンカー) で覆われています。パホイホイ溶岩とブロック溶岩の中間の粘性をもつ溶岩が流動してできます。

アルカリ質 (あるかりしつ)
alkaline
岩石中に含まれるアルカリ元素、すなわちK (カリウム) やNa (ナトリウム) の量が多い火成岩です。

安山岩 (あんざんがん)
andesite
マグマが急速に冷えてできた岩石のうち、やや黒っぽく重い石。鉄やマグネシウムをやや多く含み、シリカはやや少ないという特徴があります。日本の火山の多くは、安山岩からできています。

ウェーブリップル (うぇーぶりっぷる)
wave ripple
波の作用により堆積物の表面にできる凹凸模様。一般に砂の堆積物の表面につくられます。3次元では、とがった峰とゆるやかな谷からできており、峰は海岸線の方向に伸びています。

埋め立て地 (うめたてち)
reclaimed land
土砂などを積み上げることによって人工的に造成した土地を指します。水面に土砂を投入して造成する場合と、内陸地に盛土して造成する場合とがあります。

オフィオライト (おふぃおらいと)
ophiolite
斑れい岩、ドレライト、玄武岩など超苦鉄質岩、苦鉄質岩類,チャートなどの深海堆積岩類からなる層状構造を持った複合岩体を指します。固有の岩石名ではありません。プレートの運動により、海洋地殻の一部が破断し、めくれ上がって陸上に現れたものと考えられています。

オルドビス紀 (おるどびすき)
Ordovician
4億8,830万年前から4億4,370万年前までを表し、古生代を六分したうちの最初から2番目の時代です。

崖錘堆積物 (がいすいたいせきぶつ)
talus
崖や急斜面から崩落した岩屑類が、その斜面の下部に堆積したもの。半円錐状を呈した地形を形成します。

海成 (かいせい)
marine
堆積物が海底で形成されたことを示す用語で、堆積物や堆積岩の記載に使われます。海岸から大洋底まで幅広い堆積環境があります。海成の反対は非海成または陸成で、河口や三角州など中間の環境を示す場合は汽水成と呼びます。

火炎構造 (かえんこうぞう)
flame structure
堆積直後のまだ固まっていない堆積物の上により重い堆積物が重なると、上の堆積物は重みのために沈み込んで、下の堆積物が吹き上がったような堆積構造ができます。この形が炎に似ているので、火炎構造と呼んでいます。このようにしてできる構造を、一般に荷重痕 (ロードキャスト) と呼びます。

鏡肌 (かがみはだ)
slickenside
断層面に見られるガラスのような光沢をもった面を鏡肌と呼びます。また、鏡肌の表面には条線と呼ばれる線構造が見られることがあります。

鍵層 (かぎそう)
key bed
離れた地域の地層を比較 (広域対比) するときに、指標となる地層を鍵層といいます。鍵層には他の地層と比べて特徴がはっきりしており、広い範囲に同時に形成される地層 (火山灰層、石炭層、海緑石層など) が使われます。

花崗岩 (かこうがん)
granite
マグマが地下深くで固まってできた岩石です。数mm程度の、ほぼ等量の石英、正長石、斜長石からなり、普通は黒雲母も含みます。

花崗閃緑岩 (かこうせんりょくがん)
granodiorite
マグマが地下深くで固まってできた岩石(深成岩)です。数mm程度の石英、長石(斜長石は正長石よりも多い)からなり、普通は角閃石や黒雲母も含みます。

火砕岩 (かさいがん)
pyroclastic rock
火山活動で放出されたさまざまな大きさの砕屑物が固まってできた岩石。

火砕丘 (かさいきゅう)
pyroclastic cone
繰り返し小規模な噴火を起こした火口の周りにできる、円錐形の火山体です。降り積もった火山噴出物の種類や、山体の形の違いを基準に、スコリア丘、タフリングなどと細分されることがあります。

火砕流 (かさいりゅう)
pyroclastic flow
火山の噴火や溶岩ドームの崩壊によって放出された火山砕屑物と空気が混じり合い、高速で移動する流れ。そのスピードは、時速100 kmを超えることもあります。火砕流は粒子サイズの違いによって、下部と上部で流れ方が異なるため、更に細分して下部を狭義の火砕流、上部を火山灰雲サージと呼ぶることがあります。

火砕流堆積物 (かさいりゅうたいせきぶつ)
pyroclastic flow deposit
火砕流に運ばれてできた堆積物。噴火で放出された様々な大きさの物質が混在していることが多く、堆積直後は平坦な地形をつくります。

火山 (かざん)
volcano
マグマが地表に噴出したり、マグマによって熱せられた蒸気が地表を吹き飛ばしたりしてできる高まりや陥没地形。

火山岩屑 (かざんがんせつ)
volcanic debris
マグマから冷えてできた岩石の破片。山体崩壊や土石流などによって、火山体の周囲に運ばれます。

火山岩類 (かざんがんるい)
volcanic rock
マグマが急速に冷えてできた岩石。数 mmサイズの結晶 (斑晶) の粒が、微細な鉱物やガラスでできた基質 (石基) の中に散在する組織を示します。

火山弾 (かざんだん)
volcanic bomb
火口から放出されたマグマのうち、地上を流れる溶岩に対し、空中を飛んでくるものが火山弾です。着地するときにつぶれるなど、変形することがあります。

荷重痕 (かじゅうこん)
load cast
軟らかい堆積物の上に重い堆積物や溶岩・貫入岩が重なると、不安定なために地層の境界が変形し、凹凸のある形になります。この変形構造を荷重痕と呼びます。荷重痕の変形が進むと、火炎構造が形成されます。

化石 (かせき)
fossil
地層の中に埋積された生物または生物活動の痕跡 (足跡や棲み穴、糞など) を化石と呼び、条件によっては石化したり、鉱物に置換されたりしています。ただし、生物起源であってももとの形状や構造を残していない石油・石炭などは、ふつう化石には含めません。また、「雨の化石 (雨痕) 」、「波の化石 (漣痕) 」といった使い方をすることがありますが、生物活動と関係のないものは本来は化石とは呼びません。

軽石 (かるいし)
pumice
たくさんの穴のあいた (多孔質な) ガラス質の火山噴出物で、マグマが発泡してできます。白色、淡褐色、淡灰色などの明るい色を呈します。密度が小さいため水に浮くことが普通です。

軽石凝灰岩 (かるいしぎょうかいがん)
pumice tuff
軽石を多く含む火砕岩を指す日本独特の用語ですが、定義があいまいなので使わないほうが良いとされています。軽石を主体とする火砕岩は、正確には軽石火山礫凝灰岩といいます。

カレントリップル (かれんとりっぷる)
current ripple
一方向に流れる水流によって堆積物の表面にできる凹凸模様。一般に砂の堆積物の表面につくられます。断面を見ると下流側へ傾く縞模様 (葉理) が観察できます。

完新世 (かんしんせい)
Holocene
11,700年前から現在までを表し、第四紀を二分したうちの後半の時代です。最後の氷期が終わり、温暖化した時代です。

岩屑なだれ堆積物 (がんせつなだれたいせきぶつ)
debris avalanche deposit
山体崩壊などで発生する岩屑なだれは、山体の一部であった岩塊が粉砕化しながら山麓を高速で流れ下る現象です。岩屑なだれが落ち着いてできた堆積物は、大型の岩塊を多数含み、流れ山と呼ばれる巨大な岩塊 (粉砕されなかった山体の一部) を伴うことが知られています。

貫入岩 (かんにゅうがん)
intrusive rock
地下のマグマが地表に到達することなく、地下で冷えて固まった岩石を貫入岩といいます。貫入岩は形態と規模によって区分され、岩脈、シルなどの用語が使われることがあります。

級化構造 (きゅうかこうぞう)
grading
地層をつくる砕屑粒子のサイズが、下から上へ次第に小さくなることを級化 (または正級化) といいます。反対に、下から上へ粒子サイズが次第に大きくなることを逆級化といいます。

球状風化 (きゅうじょうふうか)
spheroidal weathering
岩石が風化により玉ねぎのように同心円状に割れていくような風化を指します.たまねぎ状風化とも言い,できた構造を玉ねぎ状構造といいます。花こう岩や斑れい岩、砂岩によく見られます。

暁新世 (ぎょうしんせい)
Paleocene
6,550万年前から5,580万年前年前までを表し、古第三紀を三分したうちの最初の時代です。

強変成 (きょうへんせい)
high grade metamorphism
変成岩が形成されたときの温度または圧力が比較的高いことを示します。

偽礫 (ぎれき)
rip-up clast
下の地層の一部がまだ十分固結しないうちに、上の地層の中に取り込まれたものを偽礫といいます。通常の礫と違って不規則な形をしています。英語ではrip-up clastといい、日本語でも侵食礫と呼ぶこともあります。

苦鉄質 (くてつしつ)
mafic
岩石の組成を表す用語で、「苦」はマグネシウムを表します。すなわち鉄やマグネシウムを多く含むことを意味します。苦鉄質の反対は珪長質で、火成岩の記載によく使われます。

クリンカー (くりんかー)
clinker
アア溶岩の表面に見られる、表面のけば立った荒れた岩塊。流動する溶岩の表面が引きちぎられるときに、糸を引くように割れるためにできます。

グリーンタフ (ぐりーんたふ)
green tuff
グリーンタフとは変質した火山岩類を示す日本独特の用語で、緑色凝灰岩と呼ぶこともあります。特に秋田~新潟油田地域に分布する、漸新世から中新世の中頃 (およそ3300~1300万年前頃) に形成された火山岩類を指すのが一般的です。ただし、グリーンタフと呼ばれてきた岩石には、実際には凝灰岩ではない岩相 (溶岩や貫入岩など) も多く含まれるため、用語として正確ではなく、近年ではあまり使われなくなっています。

黒雲母帯-菫青石帯 (くろうんもたい-きんせいせきたい)
biotite-cordieraite zone
変成岩分布地域を変成の強さにより分帯するときに使う用語で、泥岩起源の変成岩に黒雲母や菫青石がみられる地域を指します。珪線石帯に比べると変成度が低い地域です。

珪質 (けいしつ)
siliceous
変成岩の接頭辞の場合、二酸化珪素(石英)に富む変成岩をさします。日本では、変成を受ける前は付加コンプレックス中のチャートである場合が多いです。

珪質シルト岩 (けいしつしるとがん)
siliceous siltstone
陸から離れた海では、例えば珪藻や放散虫などのプランクトンの殻だけが堆積しており、長い年月をかけて珪藻または放散虫軟泥がつくられます。これが続成作用を受けると、珪藻質シルト岩、珪質シルト岩、チャートと次第に硬い石に変わっていきます。

珪質片岩 (けいしつへんがん)
siliceous schist
主にチャートなどの珪質堆積岩を起源とする結晶片岩で、広域変成作用を受けてできる岩石です。

珪線石帯 (けいせんせきたい)
sillimanite zone
変成岩分布地域を変成の強さにより分帯するときに使う用語で、泥岩起源の変成岩に珪線石がみられる地域を指します。黒雲母帯に比べると変成度が高い地域です。

珪長質 (けいちょうしつ)
felsic,silicic
岩石の組成を表す用語で、「珪」は二酸化珪素 (すなわち石英) 、「長」は長石を表します。すなわち石英や長石に富み、鉄やマグネシウムには乏しいことを意味します。珪長質の反対は苦鉄質で、火成岩の記載によく使われます。

頁岩 (けつがん)
shale
シルトや粘土を主体とする泥岩のうち、特に薄く剥離しやすい性質の岩石。剥離面はふつう堆積面と一致しています。

結晶片岩 (けっしょうへんがん)
crystalline schist
広域変成作用を受けて片理と呼ばれる顕著な面構造が発達した変成岩で、薄く割れる特徴があります。また、変成する以前の岩石 (原岩) の違いにより色が異なり、苦鉄質火成岩などを起源とする緑色片岩、泥岩などを起源とする黒色片岩、砂岩などを起源とする珪質片岩 (淡色系) などが区別されています。

顕生代 (けんせいだい)
Phanerozoic
5億4,200万年前から現在までを表し、地球上に多くの生物が生存していた時代です。

玄武岩 (げんぶがん)
basalt
火成岩の一種。マグマが急速に冷えてできた岩石のうち、黒っぽい色をした重い石。鉄やマグネシウムを多く含み、シリカは少ないという特徴があります。海洋島の火山や海底火山の多くは玄武岩からできています。

高圧型変成岩 (こうあつがたへんせいがん)
high-pressure type metamorphic rock
変成作用の過程で、温度と圧力のうち、相対的に圧力の影響を強く受けてできた広域変成岩。高圧型変成岩に特徴的な鉱物として、藍閃石、ひすい輝石などが形成されます。

広域応力場 (こういきおうりょくば)
tectonic stress field
3次元的に見て、地層にどのような力が加わっているかを示すもので、水平方向を基準にして押されていれば圧縮応力場、引っ張られていれば引張応力場といいます。

降下火砕堆積物 (こうかかさいたいせきぶつ)
pyroclastic fall deposit
火山噴火で空中に放出された砕屑物が、降り積もってできる堆積物。テフラと呼ばれるものの多くは降下火砕堆積物で、広域に分布するために、離れた地域の地質を比較する (地層の対比) とき、鍵層として役に立ちます。

降下テフラ (こうかてふら)
pyroclastic fall deposit
火山噴火で空中に放出された砕屑物が、降り積もってできる堆積物。降下火砕堆積物。広域に分布するために、離れた地域の地質を比較する (地層の対比) とき、鍵層として役に立ちます。

更新世 (こうしんせい)
Pleistocene
258万8千年前から11,700年前までを表し、第四紀を二分したうちの前半の時代です。氷河期の時代です。

黒色片岩 (こくしょくへんがん)
black schist
黒色片岩は主に泥質岩を起源とする結晶片岩で、このため泥質片岩と呼ばれることもあります。広域変成作用を受けてできる岩石です。

湖成 (こせい)
lacustrine
堆積物が湖の底で形成されたことを示す用語で、堆積物や堆積岩の記載に使われます。

古生代 (こせいだい)
Paleozoic
5億4,200万年前から2億5,100万年前までを表し、顕生代を三分したうちの最初時代です。生物が爆発的に進化した時代です。

互層 (ごそう)
alternation
性質の異なる地層が、交互に繰り返し堆積している地層を互層といいます。砂岩と泥岩の繰り返しならば砂岩泥岩互層と呼び、どちらか一方が卓越する場合は"砂岩優勢"砂岩泥岩互層などと呼びます。

古第三紀 (こだいさんき)
Paleogene
6,550万年前から2,303万年前までを表し、新生代を三分したうちの最初の時代です。貨幣石が栄えた時代です。

コンボルート葉理 (こんぼるーとようり)
convolute lamination
堆積岩に見られる葉理で、波打ったように乱れているものをコンボルート葉理といいます。葉理は比較的よく連続し、細かくちぎれたり、ブロック状になっていることはあまりありません。タービダイトによく見られます。

砕屑岩脈 (さいせつがんみゃく)
clastic dike
通常の岩脈が火成岩からできているのに対し、砕屑物からなる岩脈を砕屑岩脈と呼びます。地層面に対して調和的な場合は砕屑岩床と呼びます。

砂岩 (さがん)
sandstone
堆積岩の一種で、砂(粒径が1/16?2mmの砕屑物)が集まって固結した岩石。肉眼でも粒子の区別がつきます。

砂岩層 (さがんそう)
sandstone bed
砂が堆積してできた地層のこと。

砂岩優勢砂岩泥岩互層 (さがんゆうせいさがんでいがんごそう)
alternating beds of predominant sandstone and mudstone
砂と泥が繰り返し堆積する地層(砂岩泥岩互層)のうち、砂岩層の占める割合が泥岩層のそれより高いものを指します。

砂岩優勢層 (さがんゆうせいそう)
predominant sandstone bed
堆積岩のうち、全体に占める砂岩層の割合が高いものを指します。

砂丘 (さきゅう)
sand dune
風によって運搬された砂粒がつくった地形的高まりのこと。砂丘の形を調べると、砂を運んだ風の向きが分かります。砂丘の砂粒は、川砂や海砂に比べて、風化や摩耗が激しいことが多いです。

砂質 (さしつ)
psammitic
変成岩の接頭辞の場合、もともと堆積岩の砂岩であったものが、熱や圧力を受けることによって変成したことを意味します。

三畳紀 (さんじょうき)
Triassic
2億5,100万年前から1億9,960万年前までを表し、中生代を三分したうちの最初の時代です。

山体崩壊 (さんたいほうかい)
sector collapse
主に噴火やマグマの貫入などによって火山体が崩壊する現象で、岩屑なだれを発生することがあります。地震によって起こる場合もあります。

ジグソー割れ目 (じぐそーわれめ)
jigsaw crack
岩石全体に割れ目が発達し、なおかつ個々の破片がばらばらになっていないようなものをジグソー割れ目と呼びます。高温のマグマが急激に冷やされたり、岩石が衝撃を受けたりしたときにできると考えられています。

始新世 (ししんせい)
Eocene
5,580万年前から3,390万年前までを表し、古第三紀を三分したうちの中央の時代です。

地滑り (じずべり)
landslide
斜面の地盤が傾斜方向に滑動する現象で、一般に動きは比較的緩やかです。地すべりの多くは大雨や雪解けなど、地盤に大量の水が浸透することで起こりますが、地震をきっかけに発生することもあります。

沈み込み帯 (しずみこみたい)
subduction zone
地球表面を構成するプレートのうち、大陸プレートの下に海洋プレートが沈み込んでいる場所を沈み込み帯といいます。沈み込み帯では活発な火山活動や地震が起こることが知られています。日本列島はユーラシアプレートと太平洋・フィリピン海プレートとの間の沈み込み帯に位置しています。

自然堤防 (しぜんていぼう)
natural levee
河川の流路に沿って形成された地形的高まりのこと。河川が氾濫した際、あふれ出た土砂が堆積することで形成されます。砂と泥の互層からなることが多いです。

時代未詳 (じだいみしょう)
unknown age
化石年代や放射年代の情報が不足しているため時代が決められないことを示します。

湿地 (しっち)
wetland
淡水・汽水・塩水にかかわらず冠水する水深6mまでの水域。湿地のうち植生に覆われているものを湿原と呼びます。

弱変成 (じゃくへんせい)
high grade metamorphism
変成岩が形成されたときの温度または圧力が比較的低いことを示します。

斜交葉理 (しゃこうようり)
cross lamination
本来の地層面に対して斜め方向に堆積したことを示す葉理。クロスラミナとも呼びます。河川のような一方向の流れの堆積物に見られ、堆積物の表面に下流側が低くなっている段差があった場合につくられる葉理と考えられています。

蛇紋岩 (じゃもんがん)
serpentinite
主に蛇紋石からなり、少量の磁鉄鉱・クロマイト・炭酸塩鉱物などの鉱物を伴う岩石です。超苦鉄質岩が変質をうけると、その主な構成鉱物であるかんらん石や輝石が蛇紋石化して蛇紋岩ができます。アスベストの多くはこの蛇紋岩に伴って産出します。

褶曲 (しゅうきょく)
fold
地層が波打つように変形していることを褶曲といいます。

ジュラ紀 (じゅらき)
Jurassic
1億9,960万年前から1億4,550万年前までを表し、中生代を三分したうちの中央の時代です。アンモナイトが進化し、硬骨魚が出現、大型は虫類が繁栄した時代です。

条線 (じょうせん)
striation
地層面や断層面に見られる線構造で、運動方向を示すと考えられています。

鍾乳洞 (しょうにゅうどう)
limestone cave
石灰岩地帯の地下にできた洞穴で、石灰洞とも呼ばれます。洞穴は、二酸化炭素を含む弱酸性の地下水が、石灰岩を溶か(溶食)したり、侵食したりすることでできます。洞穴内部には、つらら石や石筍(せきじゅん)などの鍾乳石が沈殿していることがあり、幻想的な地下空間の景色を楽ませてくれます。

シルル紀 (しるるき)
Silurian
4億4,370万年前から4億1,600万年前までを表し、古生代を六分したうちの最初から3番目の時代です。

人工改変地 (じんこうかいへんち)
reclaimed land
人工的に地形を変えたところ。干拓地、埋立地、盛土 (堤防・線路など) 、ボタ山、ズリ山、遺跡などがあります。

侵食 (しんしょく)
erosion
地表の岩石や地層が、雨や風、波や氷河などの力で削られてゆく現象。

深成岩 (しんせいがん)
plutonic rock
花崗岩や斑れい岩などの、マグマが地下深くで固まってできた岩石のグループです。ゆっくり冷えたため大きめ(数mm程度)の結晶を含みます。

新生代 (しんせいだい)
Cenozoic
6,550万年前から現在までを表し、顕生代を三分したうちの最後の時代です。哺乳類の繁栄で特徴付けられます。

新第三紀 (しんだいさんき)
Neogene
2,303万年前から258万8千年前までを表し、新生代を三分したうちの中央の時代です。哺乳類の進化・大型化で特徴付けられる時代です。

水晶 (すいしょう)
rock-crystal
石英のうち、大きな結晶のものを一般に水晶と呼んでいます。無色透明なことが普通ですが、紫色や黒色のものもあります。水晶は電気を通すと一定の周波数で振動する性質があるため、現代では多くの時計に利用されています。

水冷破砕 (すいれいはさい)
quench-fragmentation
高温の溶岩または岩石が水と接触して急激に冷やされ、細かく割れる現象。角のとがったガラス質の岩塊や角礫を大量に生じます。玄武岩の枕状溶岩の周りに水冷破砕でできた火砕岩をハイアロクラスタイトと呼びます。

スランプ構造 (すらんぷこうぞう)
slump structure
本来整然としていたはずの地層が変形を受け、内部でブロック化したり、曲がりくねったりしていることをスランプ構造といいます。スランプ構造は、未固結堆積物が水底の斜面を重力によってすべり下ることで形成され、この作用をスランプまたはスランピングと呼んでいます。

スレーキング (すれーきんぐ)
slaking
岩石が風化により著しく細片化する現象をスレーキングといいます。乾燥と湿潤を繰り返すことで発生します。地すべりなどの斜面崩壊や、トンネル壁の膨張の原因になっています。

石英・長石質 (せきえい・ちょうせきしつ)
quartz-felspathic
変成岩の接頭辞の場合、二酸化珪素(石英)に富む変成岩をさします。

石英脈 (せきえいみゃく)
quartz vein
マグマから最後に残る熱水には、シリカ (二酸化珪素) が多く含まれています。これらは地層のすきまや岩石の割れ目に入り込み、冷えて固まる際にメノウや石英になります。

石炭紀 (せきたんき)
Carboniferous
3億5,920万年前から2億9,900万年前までを表し、古生代を六分したうちの最後から2番目の時代です。

石灰岩 (せっかいがん)
limestone
堆積岩の一種で、方解石、あられ石など、炭酸カルシウム (CaCO?) を50重量%以上含むもの。サンゴや貝殻など生物遺骸が集積したり、蒸発などによって炭酸カルシウムが無機的に沈殿することによって形成されます。鉱業資源としては石灰石と呼ばれています。熱帯~亜熱帯の浅い海で形成されることが多いです。

石灰質 (せっかいしつ)
calcareous
変成岩の接頭辞の場合、カルシウム炭酸塩に富む変成岩をさします。石材名として、大理石やマーブルと呼ばれることもあります。日本では、変成を受ける前は付加コンプレックス中の石灰岩である場合が多いです。

扇状地 (せんじょうち)
fan deposits
山地や丘陵の谷口を頂点とし、低地に向かって砂礫が堆積した扇状の地形のこと。立体的に見ると、半円錐形をしています。日本は急峻な山地が多く、湿潤地域であるため扇状地が多数見られます。また火山活動が主な成因となっている扇状地もあります。

鮮新世 (せんしんせい)
Pliocene
533万2千年前から258万8千年前までを表し、新第三紀を二分したうちの後半の時代です。哺乳類が分化、大型化、特殊化しました。

漸新世 (ぜんしんせい)
Oligocene
3,390万年前から2,303万年前までを表し、古第三紀を三分したうちの最後の時代です。

閃緑岩 (せんりょくがん)
diorite
マグマが地下深くで固まってできた岩石(深成岩)です。数mm程度の斜長石、角閃石からなり、黒雲母や輝石、正長石を含むこともあります。

層理 (そうり)
bedding, stratification
堆積物の中に見られる成層構造を層理と呼び、数 cmから数 mの間隔が普通です。ある面を境に堆積物が変わるときは明瞭な層理面として観察できますが、粒度が変化するときなどは明確な面が見られないこともあります。より細かい数 mm単位の成層は葉理といいます。また、堆積物に層理が見られない場合を塊状といいます。

ダイアピル (だいあぴる)
diapir
地下にある密度の小さい流体が、軽いために上の地層を貫いて上昇してつくる構造。このため周囲の地層は変形してしまいます。上昇してきた流体は、マグマやまだ固まっていない堆積物、岩塩などが一般的です。

堆積岩類 (たいせきがんるい)
sedimentary rock
堆積物が続成作用を受け固結した岩石。地球表層を広く覆い、多くの場合、地層を形成します。

堆積物 (たいせきぶつ)
deposit
岩石片や鉱物、生物遺骸、火山噴出物などが水、風、氷河などによって運搬され、特定の場所に積み重なったものをいいます。通常、未固結のものを指し、固結した堆積岩と区別します。未固結の堆積物とそれらが固結した堆積岩の総称としても使われます。

第四紀 (だいよんき)
Quaternary
258万8千年前から現在までを表し、新生代を三分したうちの最後の時代です。人類の繁栄で特徴付けられます。

蛇行河川 (だこうかせん)
meandering river
曲がりくねった流路をもつ河川。平野部のゆるやかな流れの河川に一般的です。流路が頻繁に変わることはありませんが、蛇行は次第に大きくなります。あまり大きくなりすぎると近道となる新たな流路ができて、屈曲部分は取り残され、三日月湖になります。

段丘 (だんきゅう)
lower terrace
川や海または湖などの周辺で、末端に崖を伴う平坦面が連続している地形を段丘といいます。平坦面は堆積作用または侵食作用のいずれでも形成され、それぞれ堆積段丘、侵食段丘と区別されることもあります。段丘の形成時期は、一般に、高い位置にあるものほど古いです。

段丘礫層 (だんきゅうれきそう)
terrace deposit
段丘を構成している礫層。特に大きな河川の流域に見られる河成段丘では、堆積物の大部分を段丘礫層が占めています。一般に、礫の大きさや形は場所によって変化します。表層部では風化して軟らかくなっていることがあり、クサリ礫とよばれています。

断層 (だんそう)
fault
地層や岩体がある面で割れてそれに沿って動いたとき,この面を断層といいます.断層では地層や岩体が食い違って見えます.

タービダイト (たーびだいと)
turbidite
混濁流から形成される堆積物を、一般にタービダイトと呼びます。タービダイトは、流れの種類、流れた距離などによって、形成される堆積物が変化するため、堆積実験などでよく研究されています。

遅延発泡 (ちえんはっぽう)
delayed vesiculation
噴出したマグマが、完全に冷却し固結するまでの間に発泡することを遅延発泡といいます。

チャート (ちゃーと)
chert
堆積岩の一種で、二酸化珪素(SiO?) を90%以上含むもの。緻密で非常に硬く、割れ目は鋭いです。層状、塊状、ノジュール状のものがありますが、日本の付加コンプレックスでは層状のものがよく見られます。層状チャートは、放散虫など微生物の遺骸が大陸から遠く離れた深海底で堆積した遠洋性堆積物と考えられています。

中圧型変成岩 (ちゅうあつがたへんせいがん)
medium-pressure type metamorphic rock
変成作用の過程で、温度と圧力のうち、温度と圧力の影響を同じ程度に受けてできた広域変成岩。中圧型変成岩に特徴的な鉱物として、十字石などが形成されます。

柱状節理 (ちゅうじょうせつり)
columnar joint
岩盤中を柱が密集したような形態に発達する割れ目 (節理) で、火成岩や溶結凝灰岩に見られます。高温の岩体が冷却するときに収縮してできるもので、ゆっくり冷えると大きな柱に、比較的速やかに冷えると小さな柱になると考えられています。

中新世 (ちゅうしんせい)
Miocene
2,303万年前から533万2千年前までを表し、新第三紀を二分したうちの前半の時代です。温暖化して海進が進み、また地殻変動が激しかった時代でもあります。

中生代 (ちゅうせいだい)
Mesozoic
2億5,100万年前から6,550万年前までを表し、顕生代を三分したうちの中央の時代です。大型は虫類の繁栄で特徴付けられます。

超苦鉄質 (ちょうくてつしつ)
ultramafic
岩石の組成を表す用語で、「苦」はマグネシウムを表します。すなわち鉄やマグネシウムを非常に多く含むことを意味します。

低圧型変成岩 (ていあつがたへんせいがん)
low-pressure type metamorphic rock
変成作用の過程で、温度と圧力のうち、相対的に温度の影響を強く受けてできた広域変成岩。低圧型変成岩に特徴的な鉱物として、紅柱石などが形成されます。

泥岩 (でいがん)
mudstone
堆積岩の一種、泥(粒径が1/16mm以下の砕屑物)が集まって固結した岩石。肉眼では粒子の区別がつかないほど細粒です。粒子の大きさによりシルト岩(粒径が1/256mm?1/16mmの粒子からなる)、粘土岩(粒径が1/256mm以下の粒子からなる)に区分することもあります。

泥岩優勢砂岩泥岩互層 (でいがんゆうせいさがんでいがんごそう)
alternating beds of predominant mudstone and sandstone
砂と泥が繰り返し堆積する地層(砂岩泥岩互層)のうち、泥岩層の占める割合が砂岩層のそれより高いものを指します。

泥岩優勢層 (でいがんゆうせいそう)
predominant mudstone bed
堆積岩のうち、全体に占める泥岩層の割合が高いものを指します。

デイサイト (でいさいと)
dacite
マグマが急速に冷えてできた岩石のうち、やや白っぽい石。シリカをやや多く含み、鉄やマグネシウムはやや少ないという特徴があります。流理と呼ばれる縞模様が見られることがあります。

泥質 (でいしつ)
pelitic
変成岩の接頭辞の場合、もともと堆積岩の泥岩であったものが、熱や圧力を受けることによって変成したことを意味します。

泥炭層 (でいたんそう)
peat layer
植物の遺骸が腐敗や分解せずに残ったものを泥炭といい、常に水の滞留する湿地にできます。泥炭は例えば釧路湿原や尾瀬湿原のような沼沢地にできるものと、河川の後背湿地にできるものがあります。

デボン紀 (でぼんき)
Devonian
4億1,600万年前から3億5,920万年前までを表し、古生代を六分したうちの最後から3番目の時代です。

点紋帯 (てんもんたい)
spotted zone
三波川変成岩分布地域のうち、変成作用によってできた斜長石のおおきな結晶を伴う地域を指します。比較的変成度の高い、高圧変成作用をうけた地域です。

等量砂岩泥岩互層 (とうりょうさがんでいがんごそう)
alternating beds of equal amount of sandstone and mudstone
砂と泥が繰り返し堆積する地層(砂岩泥岩互層)のうち、砂岩層と泥岩層の割合が同程度のものを指します。

ドレライト (どれらいと)
dolerite
玄武岩質のマグマが地下に貫入して、比較的ゆっくり冷えたときにできる岩石。顕微鏡で観察すると「ドレライト状組織」という独自の組織を示します。ゆっくり冷えるためガラスは含みませんが、結晶のサイズが不揃いで、深成岩ほど均等ではないという特徴があります。

トーナル岩 (とーなるがん)
tonalite
マグマが地下深くで固まってできた岩石(深成岩)です。数mm程度の石英、斜長石からなり、普通は角閃石を含みます。

中州 (なかす)
channel bar
川の中で周りの川岸から切り離された島状の陸地で、主に砂や礫からできています。網状河川にふつうに見られます。

ハイアロクラスタイト (はいあろくらすたいと)
hyaloclastite
マグマが水に急冷されてできた細かい砕屑粒子を主体とする岩石をハイアロクラスタイトと呼びます。もともとは玄武岩の枕状溶岩の周辺にできたものを指していましたが、近年では玄武岩に限らずに、水冷破砕でできた岩石をハイアロクラスタイトと呼ぶこともあります。

白亜紀 (はくあき)
Cretaceous
1億4,550万年前から6,550万年前までを表し、中生代を三分したうちの最後の時代です。被子植物が出現した時代で、陸域の大型は虫類、海域のアンモナイトなどが繁栄した時代です。

バッドランド (ばっどらんど)
badland
侵食により多数の谷が刻まれ、岩肌がむき出しになった土地をバッドランドといいます。乾燥地帯や火山灰台地のように保水の悪い地盤にできます。

パホイホイ溶岩 (ぱほいほいようがん)
pahoehoe lava
粘性の低い玄武岩の陸上溶岩に見られる形態で、滑らかで光沢のある表面をしています。パホイホイ溶岩は流動する間に温度が下がり、粘性が高くなってアア溶岩に移り変わることがあります。

斑晶 (はんしょう)
phenocryst
火成岩の中に、ほかの鉱物に比べて目立って大きな結晶が含まれていることがあります。これはほかの鉱物よりも早い時期から成長を始めたためで、斑晶といいます。一般に斑晶はマグマの中で自由に成長できるため、結晶本来の形 (自形) をしています。

斑れい岩 (はんれいがん)
gabbro
マグマが地下深くで固まってできた岩石(深成岩)です。数mm程度の輝石、斜長石からなり、かんらん石や角閃石も含むこともあります。

非アルカリ質 (ひあるかりしつ)
non-alkaline
岩石中に含まれるアルカリ元素、すなわちK (カリウム) やNa (ナトリウム) の量が少ない火成岩です。

非海成 (ひかいせい)
non-marine
堆積物が陸上で形成されたことを示す用語で、陸成とも呼ばれ、堆積物や堆積岩の記載に使われます。河川や湖、氷河など水の作用をうける堆積環境のほか、風に飛ばされて乾陸上に積もる場合も含まれます。非海成の反対は海成で、河口や三角州など中間の環境を示す場合は汽水成と呼びます。

氷河堆積物 (ひょうがたいせきぶつ)
glacier deposits
氷河が重力や圧力によってゆっくりと流動する際、氷河の下部や側面の岩盤が浸食・運搬されることによってできた堆積物が氷河堆積物です。氷河とは、複数年にわたって氷や雪が堆積し、万年雪が圧縮することでできた巨大な氷の塊をいいます。

ひん岩 (ひんがん)
porphyrite
安山岩質のマグマが地下に貫入して、比較的ゆっくり冷えたときにできる岩石。ゆっくり冷えるためガラスは含みませんが、深成岩ほどには大きな結晶がそろっていないという特徴があります。ただし、最近では「ひん岩」という用語は使わないことになっています。

浜堤 (ひんてい)
beach ridge
海岸の陸側に、海岸線に沿って形成された地形的高まりのこと。砂、礫からなることが多いです。

ファンデルタ (ふぁんでるた)
fan delta
ファンとは扇状地、デルタとは三角州のことを指します。つまり、扇状地がそのまま海または湖へ接しているもので、山から海または湖までの距離が短い場合に形成されます。

風化 (ふうか)
weathering
地表 (または地表の直下) にある岩石や鉱物が、大気や水にさらされて分解され、最後には粉々になる現象を風化といいます。風化には、実際に粒が細かくなる作用 (物理的風化作用) と物質が変化する作用 (化学的風化作用) があり、自然界ではこれらが同時に進んでいます。

付加コンプレックス (ふかこんぷれっくす)
accretionary complex
海洋プレートが海溝において大陸プレートの下に沈み込む際、海洋プレート上の堆積物や火山岩などが大陸地殻側に付加された地質体。

不整合 (ふせいごう)
unconformity
重なり合う2つの地層の形成時代が大きく離れていて、環境も変わっているとき、それらの地層は不整合関係にあるといいます。この場合、2つの地層は時代だけでなく種類や硬さ、走向・傾斜なども異なることが普通です。

フルートキャスト (ふるーときゃすと)
flute cast
河川のような一方向の流れにできる渦により、堆積物の表面が削られてできたくぼみ。上流側が深く、下流側が浅くなるという特徴があります。実際には、引き続いて堆積した地層の底に、突起として残っているものがよく観察されます。

ブロック (ぶろっく)
block
付加コンプレックスの泥岩などの基質中に含まれる異地性あるいは準現地性の岩塊。岩石の種類はチャート、石灰岩、玄武岩、砂岩など様々なものが見られます。大きさも数センチメートルから数キロメートルに及ぶものまで様々です。

ブロック溶岩 (ぶろっくようがん)
block lava
安山岩~流紋岩の陸上溶岩によく見られる形態で、表面を角張った多面体形の岩塊 (ブロック) で覆われています。内部は緻密で、角礫状にはなっておらず、規則的な割れ目 (節理) が発達することがあります。

噴気孔 (ふんきこう)
fumarole
火山活動によるガス (噴気) が放出される孔。ふつう、ガスは空気と混ざり合ってすぐに冷えてしまいますが、噴火直後の火山の場合、噴気孔からのガスの温度は700℃以上にも達することがあります。

平行葉理 (へいこうようり)
parallel lamination
互いにほぼ平行な縞状模様をなす葉理を平行葉理といいます。堆積当時の堆積面が平滑であったことを示しています。

ペグマタイト (ぺぐまたいと)
pegmatite
深成岩の中でも結晶の大きさがとりわけ大きなものをペグマタイトと呼びます。花崗岩と同じ組成のものを単にペグマタイトと呼び、他の組成のペグマタイトを閃緑岩ペグマタイト、斑れい岩ペグマタイトと呼ぶこともあります。

ペルム紀 (ぺるむき)
Permian
2億9,900万年前から2億5,100万年前までを表し、古生代を六分した最後の時代にあたります。

片岩 (へんがん)
schist
おもに圧力による広域変成作用を受けて、薄く割れやすい構造(片理)が発達した変成岩です。

変成岩 (へんせいがん)
metamorphic rock
いったんできた岩石が、熱や圧力を受け、その岩石に含まれる鉱物の種類や岩石の構造が変化してできた岩石です。

片麻岩 (へんまがん)
gneiss
おもに高温による広域変成作用を受けて、鉱物の並びによる縞模様(片麻状組織)を持つ変成岩です。

ホルンフェルス (ほるんふぇるす)
hornfels
深成岩が貫入するときに、周りにあった地層はマグマの高い熱のために再結晶し、一般にち密で硬い石に変わります。これをホルンフェルスといい、変成岩の一種です。

マイロナイト (まいろないと)
mylonite
地下深部の高温な場所で、断層運動に伴い、壊れることなく変形してできた岩石で、断層岩の一種です。マイロナイト化が進むと細粒で多結晶化するのが特徴です。

ミグマタイト (みぐまたいと)
migmatite
花崗岩からなる部分と片麻岩などからなる部分が不均質に混じりあったような岩石です。

メランジュ (めらんじゅ)
melange
さまざまな岩石が変形し、混合した状態にあるものをメランジュといいます。メランジュは、地すべりや土石流、断層運動などで元からあった岩石が混合してできると考えられていますが、特にプレートの沈み込みでできる付加体に見られるものをメランジュと呼びます。このため、付加体ではない場合にはあえてメランジュとは呼ばず、混在岩などと呼んでいます。

網状河川 (もうじょうかせん)
braided river
いくつもの浅い水路と砂州からできている河川。勾配の大きい、河川の上流部にできることが一般的です。流路が頻繁に代わり、いったん堆積した土砂を再び流し去るので、泥が堆積しにくい河川です。

溶岩 (ようがん)
lava
地表に流出した、または火口に溜まっているマグマ。流動するときに完全にバラバラにならないものを溶岩と呼ぶのに対し、粉々になって空気や水と混じり合って移動したものは火砕岩と呼びます。

溶岩ドーム (ようがんどーむ)
lava dome
珪長質の溶岩は粘性が高いために流れにくく、火口付近にお椀を伏せたような形の山体をつくることがあります。これを溶岩ドームと呼びます。

溶結凝灰岩 (ようけつぎょうかいがん)
welded tuff
火砕流堆積物は堆積後も数100℃と高温なため、バラバラだった構成粒子の火山ガラスは溶けてくっつき合い、軽石も地層の重みで押しつぶされて、溶岩のように硬い岩石になります。このような岩石を溶結凝灰岩と呼びます。

隆起礁成堆積物 (りゅうきしょうせいたいせきぶつ)
raised reefal deposits
もともとは浅海で形成された礁成堆積物が、海水面の低下あるいは形成された基盤の上昇のために、離水した(常に空気中にさらされるようになった)ものをいいます。完新世の離水したサンゴ礁をとくに離水サンゴ礁と呼びます。

流紋岩 (りゅうもんがん)
rhyolite
マグマが急速に冷えてできた岩石のうち、白っぽい石またはガラス質の石。シリカを多く含み、鉄やマグネシウムは少ないという特徴があります。しばしば流理と呼ばれる縞模様が見られます。

流理 (りゅうり)
flow structure
火成岩に見られる縞模様で、マグマの噴出時に結晶が配列したり、気泡が流動中に引き延ばされたり、温度の違うマグマが混合しててできると考えられています。

緑色岩 (りょくしょくがん)
greenrock
緑色岩は苦鉄質火成岩を起源とする弱変成岩で、特に付加体の中に多く見られます。これらの多くは海底火山から噴出した玄武岩類で、熱水変質作用を受けてもとの鉱物が変成鉱物にかわったものです。

緑色片岩 (りょくしょくへんがん)
green schist
主に玄武岩などの苦鉄質火成岩を起源とする結晶片岩で、広域変成作用を受けてできる岩石です。片理が発達し、縞模様がきれいなため、しばしば庭石として利用されています。

礫岩 (れきがん)
conglomerate
堆積岩の一種で、礫(粒径2mm以上の砕屑物)を多く含む岩石。礫の隙間は通常、砂や泥で充填されています。特に角ばった礫ばかりを含むときは、角礫岩といいます。

礫質 (れきしつ)
conglomeratic
変成岩の接頭辞の場合、もともと堆積岩の礫岩であったものが、熱や圧力を受けることによって変成したことを意味します。

漣痕,リップル (れんこん,りっぷる)
ripple mark
堆積物の表面にできる波状の凹凸模様を漣痕またはリップルといいます。一方向に流れる水流によってできるものをカレントリップル、波のように往復する流れによってできるものをウェーブリップルと呼びます。

ローム (ろーむ)
loam
火山から噴出した火山砕屑物を主体とした風成堆積物をさし、風化火山灰層とも呼ばれます。日本では偏西風の影響のため、火山の東側にあたる地域で厚く発達しています。本来ロームは、粒度組成によって分類した土壌1区分のひとつで、砂、シルト、粘土がほどよく混じり合った堆積物をさしました。シルトと粘土を合わせた割合が25%?40%程度で、粘性が高いのが特徴です。東京近郊の火山砕屑物起源の風成堆積物は、物理的性質がロームに似ているので関東ロームと呼ばれ、それから転じて、地質学では、火山砕屑物が風化したものをロームと呼ぶようになりました。

引用例:

吉川敏之・井川敏恵・西岡芳晴 (2012) 一般向けウェブページ用地質用語の解説. 地質調査総合センター研究資料集, no. 561, 20p, 産総研地質調査総合センター.