2.5 野池火山・番屋ヶ峰火山・後境火山




野池火山の山頂火口

野池火山の山頂には東西に並んだ二つの火口地形が残っている.写真はそのうちの東側の火口.15000年前の湯向噴火はこの火口付近から発生したと考えられる.野池の火口底は湿地状になっており,1966年の新岳噴火の放出岩塊により,無数の小さな窪み(衝突クレーター)が形成されている.南方向から写す.2004年10月28日.




野池火山の北西山麓に広がる溶岩地形
西の湯付近の溶岩流地形.2005年11月14日.
野池火山の西〜北西山麓には,厚さ30〜50mの複数の溶岩流からなる台地状の地形が広がっている.矢印は溶岩流の末端崖を示す.これらの溶岩流はいずれもATテフラ(2.9万年前)よりも古い.西の浦海岸から東方を写す.




カシ峯の溶岩流地形と火砕丘地形
カシ峯火山は口永良部島東端を構成する.溶岩堤防がはっきりとわかる厚い溶岩流が火砕丘から西側(写真手前を右側に)に流れ下っている.もう一枚の大きな溶岩流はその向こう側に広がっているのが見える.これらの溶岩流もATテフラよりも古い.七釜南方から東を向いて写す.2004年10月28日




番屋ヶ峰火山
古岳山頂部から番屋ヶ峰火山の全体を見る.比較的傾斜のゆるい山体表面の地形は,おおよそ20万年前頃に噴出した番屋ヶ峰火山の活動の末期の溶岩流が作っている.手前の海食崖には表面付近を構成する数枚の溶岩流の断面が露出しているのが見える.また山頂部には拡大した火口地形と思われる窪地が認められる.




後境火山の火砕岩からなる立神岩
寝待温泉付近には,口永良部島で最も古い火山体の一つである後境火山の溶岩や火砕岩が露出している.寝待温泉にそびえる立神岩は後境火山の火山角礫岩からなり,陸地に向かって傾斜していることから,その火山体の中心は現在の海岸より沖合いにあったと推測される.後境火山を構成する岩石は熱水作用により黄褐色に変質している.