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5.層序

本海域の地質層序は,内部構造が不明瞭な音響基盤及びそれを覆う堆積層を下位からM層,P層,Q層に,火山岩類はVm層とVq層に区分した(第4図).Vm層は内部反射が不明瞭なマウンド状の高まりで,M層以上の地層にオンラップ不整合で覆われる.本地質図の範囲内では堆積層の年代を検証できる地質試料は得られなかったが,北隣の積丹(しゃこたん)半島付近海底地質図(岡村,2023岡村行信(2023)積丹半島付近海底地質図.海洋地質図,no. 94,産業技術総合研究所地質調査総合センター.)の層序区分と年代と区分を一部簡略化して用いた.奥尻海嶺と日本海盆の年代は,本地質図の北方約1.7 km北方の奥尻海嶺東側斜面で掘削されたODPSite796の結果(Shipboard Scientific Party, 1990Shipboard Scientific Party(1990)6. SITE 796, Tamaki, K., Pisciotto, K., Allan, J., et al. ed.(1990)Proceedings of the Ocean Drilling Progam, Initial Reports, 127, 247–322.)との対比に基づいている.この地点では海底下465 mまで掘削され,第四紀から後期中新世までの堆積物が得られているが,地質構造が複雑な海嶺の東側斜面で実施されたため,反射断面の音響層序の対比及び広域的な追跡が容易ではなかった.本地質図の作成に当たって,掘削点付近の反射断面を詳細に検討し,中新統と鮮新統の境界付近の,Opal-A/Opal-CT境界に相当する強反射面をM層とP層の境界とした.Opal-A/Opal -CT境界は時間面と斜交する可能性があるが,それ以外の反射面を広域的に追跡するのは困難であることと,鮮新統はほぼ一定の厚さで広く分布することなどから,Opal-A/Opal-CT境界もほぼ同年代とみなせると判断した.なお,積丹半島付近海底地質図では,奥尻海嶺より東側の斜面域で後期鮮新世に断層運動が始まり,不整合が形成されたと解釈し,その層準を境界として下部をP1層,上部をP2層としている.本地質図では,奥尻海嶺より東側の斜面域海底地すべりが広く発達してその境界層準を追跡することが困難であったため,全体をP層とした.Q層は主に海盆域に広く分布し,海底をほぼ水平に覆うが,下部ほど傾斜が大きくなるという特徴が広く認められ,逆断層運動が活発化した時期の堆積物であることを示している.

M層は基盤を覆う地層で,一般に内部反射面は弱い.海底に露出するのは奥尻海嶺や 後志 ( しりべし ) 舟状海盆の東側斜面の地滑り域など一部に限られる.P層はほぼ平行な反射面からなり,M層を整合的に覆う.奥尻海嶺の表層には第四系が分布すると考えられるが,反射断面の分解能以下の厚さしかないと推定されるため,Q層の分布はほとんど示していない.このような層序区分の信頼性は、本地質図範囲内の堆積物試料の年代によって検証できていないことに留意する必要がある.


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