平成9年度活断層調査 トップへ

活断層調査事業以外の研究項目・予算で実施した研究調査の主な成果

1. 濃尾断層系のセグメンテーションの研究 (概要報告書には未掲載)

   根尾谷断層のトレンチ調査を行った結果、この断層の平均活動間隔は約2700年であることが明らかになりました。また、1891年の濃尾地震時の地表でのズレの量と地形の累積変位量を精密に測量し直した結果、同断層の1回のズレの量は4mから7mと見積もられました。

2. 活断層の地球物理学的研究 (地殻物理部担当)

   養老山地〜濃尾平野西部地域で、伏在活断層の調査を目的とする高分解能重力探査と高分解能空中磁気探査を実施しました。その結果、濃尾平野の西端近くに伏在する養老断層に対応する重力異常構造が検出されました。
   一方、空中磁気探査では、ボーリングデータなどから濃尾平野西部に推定されている伏在活断層 (大薮-津島線と大垣-今尾線) に対応する磁気異常は認められませんでした。この結果は、活断層調査事業で行った反射法地震探査の結果と一致し、これらの推定伏在活断層が実在しないことを示していると考えられます。

3. 島弧サイスモテクトニクスの研究

   千島弧における海溝型地震の履歴の解明を目的とする津波堆積物の研究を開始しました。浜中町の霧多布湿原での予察調査により、18世紀中頃以降の3枚の津波堆積物が検出されました。この研究は、10年度からは重点基礎研究として実施しています。
   (津波堆積物の堆積構造)

4. 活構造情報の整備・活用

   50万分の1活構造図「東京」の第2版を刊行しました。詳しくは本研究室ウェブサイトの「出版のお知らせ」をご覧下さい。

5. 科学技術振興調整費「日本海東縁部における地震発生ポテンシャル評価に関する研究」

   新潟平野西縁部に位置する鳥越断層群のS波を用いた反射法探査を三島郡三島町と与板町で実施しました。その結果、断層活動による変形が沖積層にまで及んでいることが確認されました。このため、10年度には工業技術院特別研究の予算で、最近1万年間の活動の履歴を明らかにする研究を行う予定です。

6. 所内シーズ研究「関東平野縁辺部の構造運動の研究」(地殻物理部の研究)

   首都圏西部の立川断層の反射法地震探査を行った結果、地形的に認められる立川断層のほぼ真下に、幅約150mの撓曲帯あるいは破砕帯が存在し、深度1,000m付近までほぼ垂直に続いていることが分かりました。立川断層の地下の様子がはっきりと捉えられたのはこれが初めてです。深さ300〜500m付近では、断層の北東側が南西側に比べて100m程高くなっているのが確認されました。
   (立川断層のカラー反射断面)