平成10年度活断層調査 トップへ

三方断層

小松原  琢・水野清秀・寒川  旭・山崎晴雄 (1999)

位置図

   三方五湖の東縁を南北に延びる三方断層上の3地点でトレンチを掘削し、さらに1662年の寛文地震に関する資・史料を収集して、この地震に伴う地殻変動を検討しました。三方町気山 (きやま) 地区で行ったトレンチ調査では、平安時代の遺物を含む土石流堆積物が、逆断層により変位していることが確かめられました。また、久々子 (くぐし) 湖南東岸のトレンチでは、約4,300年前の地層を変位させる大規模な地割れが確認されました。これらの調査結果から、三方断層が完新世後期に活動したことは確実であり、平安時代以降、恐らく1662年の寛文地震時に活動した可能性が高いと考えられます。さらに、 三方古文書を読む会 (1986, 1987) などの、寛文地震に関する資・史料を総合的に検討した結果、この地震により、久々子湖周辺から菅すが湖東岸地域が3.0~3.6mも隆起したことが分かりました (第2図)。
   一方、水月湖や三方湖の西岸は1.5m程度沈降した可能性が高いことが判明しました。


第2図

1662年寛文地震に伴う地変と地形変化

第2図  1662年寛文地震に伴う地変と地形変化