国際惑星地球年2007-2009
開催宣言式典
国際惑星地球年(IYPE)2007-2009のスタートを記念して,2007年1月22日, 東京大学理学部小柴ホールでIYPEシンポジウム「国際惑星地球年2007-2009」開催宣言式典が催されました。

来賓および日本IYPE国内委員会委員
式典では,日本学術会議IYPE小委員会(日本IYPE国内委員会)委員長 佃栄吉氏による開会挨拶のあと, 国際惑星地球年日本実行委員会名誉会長 有馬朗人氏による国際惑星地球年2007-2009開催が宣言されました。 引き続き,日本ユネスコ国内委員会会長 吉川弘之氏,日本地球惑星科学連合代表 浜野洋三氏,および国際地質科学連合 Zhang Hongren氏による祝辞が表されました。
その後,国際惑星地球年本部事務局長 E. de Mulder氏とユネスコ生態・地球科学部地球観測課長 R. Missotten氏による基調講演, 佃IYPE国内委員会委員長による日本の取り組み方針の紹介へと移り,次いで4共催研究機関による発表が行われました。
海洋研究開発機構理事 平朝彦氏は「海から学んだ事,学ぶ事」, 土木研究所地質監 平野勇氏は「土木研究所の地球工学に関連する主な研究とICHARM」, 宇宙航空研究開発機構執行役 小澤秀司氏は「衛星による地球環境問題及び防災への貢献」, そして産業技術総合研究所理事 加藤碵一氏は「産業技術総合研究所におけるIYPEへの世界に向けた貢献」として, それぞれ講演が行われた。
開催宣言(全文)
国際惑星地球年日本実行委員会名誉会長 有馬 朗人
国際連合創立60周年に当たる2005年の12月, 世界の全ての国と地域そして人々が地球の科学の大切さをよりよく知りかつ容易に利用するために, 国連総会は来年2008年を「国際惑星地球年」とすることを決議しました。 この国連国際年を実りあるものとするために, ユネスコと国際地質科学連合は2007年から2009年の3ヶ年を惑星地球の3ヶ年として, 今年,国際惑星地球年活動のスタートを切りました。
私は,私たち日本が地球の科学の大切さを認識し, それを一層活用し,さらにアジアをはじめとして世界中で地球の科学の成果を享楽出来るよう, ここに国際惑星地球年の開催を宣言します。
地球の科学の大切さを知ることは大変重要です。 大陸と大洋に挟まれ,南北に長い日本に住む私たちは, 地球の科学無しには「人間の安全保障」を求めることが出来ないのではないでしょうか。 この21世紀を迎える直前に私たち日本は(阪神・淡路で)大変悲しい体験をしました。 そして新たな世紀になっても,あのインド洋津波のように,アジア,そして世界各地で痛ましい災害に遭遇しています。
一方,私たちの生活を支える石油,あるいは鉄とコンクリートも地球の賜物です。 石油にしても,あるいは鉄や石灰岩(コンクリート材)そのほかの資源にしても, この地球の46億年の営みと,それに即された生命の累積です。 日本ではあまり感じることはありませんが,水も貴重な資源です。21世紀は水の世紀とも云われています。 この水(飲むことの出来る水)も地球の働き無しでは枯渇していくのです。全くもって私たち人類が地球という場(環境)の賜物です。
地球の科学は,私たち人類の生存の場である地球の成り立ちを知る科学です。 そして地球の今と未来を尋ねる科学です。災害を最小にし,資源を持続的に利用し,私たちの生活と社会をより安全・安心にする源です。 その現場は,一歩足を踏み出せばどこでも訪れることが出来ます。そして今日では宇宙から全体を見ることも出来ます。 これほど近くに地球があるにもかかわらず,そして地球の科学が社会と深い関わりを持っているにもかかわらず, 地学・地球科学(さらには自然科学全般)に対する認知,理解が低下している現状は憂慮せずにはいられません。
国際惑星地球年の開催宣言とともに,科学技術に携わる私たちは地球の科学の知的すばらしさと社会的有用性, 経済的有効性の認知・理解が社会一般に,そして特に今後の地球を担う青少年と政策立案者に浸透するよう努力します。
(最後ではありますが)これはまさに,前IYPE小委員会委員長, 故大矢暁(おおやさとる)さんが内外のさまざまなNPO活動をとおして求めてこられたものです。 私もその一つにおつき合いして,彼の,地球の科学を社会に還元する情熱の一端に触れました。 たった今開催宣言しました国際惑星地球年によって, 彼の希求していた「社会のための地球科学」への道を照らし出していきたいと思います。
祝辞(要約)
国際惑星地球年開催宣言式典にあたって
日本ユネスコ国内委員会 会長 吉川 弘之
(独)産業技術総合研究所 理事長
科学は,社会にあって社会のための科学でなけれればならない。 資源の有限性,気候変動,水と衛生,森林保護などの社会的課題解決に必要な知識の多くは地球科学に関係する。 国際惑星地球年において,地球科学者が社会のための科学の実行者として活躍することを期待する。
国際惑星地球年2007-2009 祝辞
日本地球惑星科学連合 代表 浜野 洋三
東京大学大学院理学系研究科 教授
地球科学と社会との結びつきの強化を目指した国際惑星地球年が開催されるのは大変うれしい。 日本の地球惑星科学コミュニティとして,日本IYPE国内委員会と協力して,地球惑星科学の役割,意義を社会に宣伝していきたい。
国際惑星地球年2007-2009 祝辞
国際地質科学連合 会長 Zhang Hongren
代読 国際地質科学連合事務総長 P. Bobrowsky
国際地質科学連合を代表して,日本での国際惑星地球年開催宣言式典を祝す。
国際惑星地球年は,
国連ミレニアム開発目標
の成就と
国連持続可能な開発のための教育の十年
の目標達成に多大な貢献をするであろう。
日本の地球科学コミュニティは社会の持続的発展に向けた国際活動に重要な役割を果たしている。
基調講演(要約)
国際惑星地球年 〜社会のための地球科学〜
国際惑星地球年本部 事務局長 Eduardo de Mulder
国際惑星地球年は地球科学の必要性・有用性・重要性の社会的認知を高め,その効率的活用をめざすもの。 そのための様々な活動が世界中で計画されている。日本の取組に期待する。 前IYPE小委員会(日本IYPE国内委員会)委員長の故大矢曉氏の広汎な国際的貢献を記念して, IYPE活動に貢献した個人・団体へ Satoru Ohya Medal を授与する計画である。
国際惑星地球年と国際連合
ユネスコ生態・地球科学部 地球観測課長 Robert Missotten
科学は現在社会をさらに進展するための重要な要素である。 地球科学をはじめとする科学技術が持続的な社会・経済の発展に貢献することを知らねばならない。 国際惑星地球年は国連ミレニアム開発目標とも合致する。ユネスコは国際惑星地球年を強く支援する。
日本の取り組みなど(要約)
国際惑星地球年における日本の活動について
日本IYPE国内委員会委員長 佃 栄吉
(独)産業技術総合研究所地質調査総合センター 代表
社会が求めるあらたな地球科学情報取得への挑戦,情報利用の利便性向上を国際惑星地球年遂行の礎とする。 科学テーマでは特に災害,資源,そして巨大都市に焦点を合わせ,省庁・独法・大学,諸機関・団体の連携でもって実施する。 アウトリーチ活動では,日本のジオパーク実現,地学リテラシー向上,そしてマスメディアとの連携による教材・啓蒙資料の作成に力を入れる。
海から学んだ事,学ぶ事
(独)海洋研究開発機構 理事 平 朝彦
海洋の理解は地球の理解でもある。 地球深部探査船「ちきゅう」により,地球の歴史や状態が解明されるだろう。 その英知を社会に還元し,人類・社会とともに考え,安心・安全な生活を遅れるようにしなければならない。
土木研究所の地球工学に関連する主な研究とICHARM
(独)土木研究所 地質監 平野 勇
地球工学の立場から,地震・噴火・火砕流・土砂災害などに取り組んでいる。 とくに水災害に関しては,水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)としてユネスコととともに取り組んでいる。
衛星による地球環境問題及び防災への貢献
(独)宇宙航空研究開発機構 執行役 小澤 秀司
全球地球観測システムで,日本は温暖化・気候変動・水循環・災害監視で貢献する。 特に災害監視では,エーロス(ALOS)「だいち」の防災利用,きく8号の災害時通信機能などがある。 また,災害発生時の衛星画像データ交換システム「センチネルアジア」を開発している。
産業技術総合研究所におけるIYPEへの世界に向けた貢献
(独)産業技術総合研究所 理事 加藤 碵一
地球科学データをネットワーク上で組織化するジオグリッド(GeoGrid),デジタル化された地質図や地質災害図を整備している。 また身近に地球を考えることの出来るジオパークに取り組み,地域と連携して日本で最初のジオパークを提唱する。
(要約はIYPE推進事務局による)

