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博多駅前陥没事故現場付近の地質について

 博多駅西の陥没地点は、福岡平野のほぼ中央部にあたります(図1)。福岡平野の地下には軟弱層である第四紀層が広く分布し、その下位には基盤岩が分布しています。第四紀層の上部には主に砂層・シルト層からなる沖積層が、下部には粘土層、砂層、礫層からなる更新世堆積物が分布します。更新世堆積物は、上位から、地質学的には大坪砂礫層、須崎層、仲原礫層、地盤工学的には荒江層、博多粘土層、金武礫層と呼ばれています。その下位の基盤岩は、主に古第三紀堆積岩で、石炭層を含む砂岩・泥岩・礫岩からなり、福岡層群と呼ばれています。

 福岡平野に分布する第四紀層は、平野西側沿いに発達する警固断層沿いでは、その東側低下の断層活動により50-60mの厚さに達しますが、博多駅付近は厚さが比較的薄い地域で、地表(標高約3m)より地下10数m付近まで第四紀層が分布し、その下位には基盤岩が分布しています(図2、図3)。博多駅から陥没地点付近までの地下鉄工事区間は、地表より深さ20数m付近(標高-20m付近)の基盤岩中での工事で、むしろ以西の第四紀層中の工事区間より相対的に良い地盤でした。今回の陥没は、トンネル工事上面の薄い古第三紀堆積岩が上位の第四紀層と共にトンネル内に崩落したと推定されます。

図1 陥没地点周辺の地質図図1  陥没地点周辺の地質図
産総研の5万分の1地質図「福岡」(唐木田・富田・下山・千々和、1994)より作成。)

図2 陥没地点付近の基盤岩(福岡層群)上面図図2 陥没地点付近の基盤岩(福岡層群)上面図
産総研の海陸シームレス地質情報集「福岡沿岸域」中の「福岡平野の警固断層と第四系の地下地質構造」(木村・康・花島、2013)より作成。

図3 陥没地点付近の地質柱状図断面(地下地質の様子)図3 陥没地点付近の地質柱状図断面(地下地質の様子)
引用は図2と同じ。

引用した出版物のサイト

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産総研地質調査総合センター