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三宅島ヘリ観察報告: 2003.10.30

観察・報告:宮城磯治 (産総研・深部地質環境研究センター)

同乗者:中堀さん・宮下さん(気象庁)、嶋野さん(東大)

ヘリ:海上保安庁・MH-805わかわし1号;クルー5名


もくじ: お世話になったヘリ | 三宅島まで | 噴煙 | ガス観測 | 火口観測 | 山麓の様子 | 帰路 |

概要:

天候: 三宅島上空は殆んど雲のない晴天。風は北東(2500ft上空にて45度、16ノット)。

噴煙: 白色噴煙。高さは、山頂から200-300m程度。 噴煙は上昇しながら南西に流され、島を出る前に白色部分は消滅し、 青白いガス(ようやく目視できる程度の量)が残る。 脈動がみられるものの、噴煙はほぼコンスタントに上昇していた。

陥没カルデラ内: カルデラ内は青白いガスが停滞しがちだが、比較的良く見えた。 スオウ穴直下では、崖錐の成長が継続している模様。 カルデラ底の池は、面積を前回(2003.9.16)より稍拡大。 それらの色は、中央部(マウンドに近いもの)がやや青白いのを除けば、 みな赤褐色を主体とする。 それ以外、大きな変化は認められなかった。 気象庁の熱赤外映像装置による火孔内最高温度は150℃以上 (測定レンジオーバー)。

火山ガス:三宅島の南〜西海上約3マイルと5マイルにおいて、 COSPEC観測を実施。 COSPEC観測時、噴煙の風下を飛行中に感じる火山ガス臭は、 普段はは硫化水素臭であった(前回2003.9.16も同様)。 これに対し今回は、硫化水素の臭いは弱く、 亜硫酸ガスや塩化水素臭をやや強く感じた。

山麓部: 特に大きな変化はなし。


画像;スライドショーは→こちら

お世話になったヘリ

:お世話になったヘリ。
左:海上保安庁、わかわし1号(エアロスパシアルAS332L1、スーパーピューマ)。
右:離陸直前の機内。

三宅島まで

:離陸直後の都内
左:離陸地点をふりかえる。
右:横浜上空。遠くに富士山が見えた。

:高度約800mを時速260kmで巡航。
左:10時25分ごろ、洋上に出る。本日は視程が良好で、洋上に出てすぐに伊豆大島が目視できた。
右:10時34分ごろ、伊豆大島沖を通過。

三宅島の噴煙

:島と噴煙の全体像。 10時40分ごろ、三宅島上空に到達。高度約900mにて、 島から約20マイルほど離れた場所から撮影。
噴煙は白色で、到達高度は、山頂から200〜300m程度である。 小さな塊が連続して上昇し、観察中は途絶えることはなかった。 白色噴煙は風(上空2500ftは45度16ノットの風)により 南西に流されるが、島を出る前に消滅する。

:南東に流される噴煙。 白煙は島内で消滅するが、そのあとに青白いガスが残る。
左:北西(横)から。
中:北東(風上)から。
右:東(ななめ風上)から。

ガス観測

:噴煙とともに放出される二酸化硫黄の量を測定するため、 紫外線相関スペクトロメータ(COSPEC)を準備する。 今回は整合性の確認のため、2台同時に測定。

:COSPEC観測作業中。機外に見えるのは三本岳。

山頂カルデラ内の観測

:山頂のカルデラ内の様子。内壁が継続的に崩壊している。 水たまりは赤褐色を呈する。その他、特に変化は認められず。

:陥没カルデラ内

山麓の様子

:山麓の様子

:上空からみた神着(左)と伊豆(右)。比較的緑が多い。これは噴煙の風下になりやすい三池とは対照的である。

12時12分に火口観測を終了し、帰路につく。

帰路

:12時55分横浜上空を通過。

:13時04分、羽田空港に着陸。直後、エンジンの洗浄をおこない、13時16分降機。

ヘリクルーの皆様、ありがとうございました。


行程:

0550 起床
0625 常磐自動車道に入る
0755 羽田空港に到着
0820 保安庁の建物に入る
0935 機体に移動
1010 羽田空港を離陸
1025 洋上に出る。すぐ伊豆大島を目視
1034 伊豆大島の東海上を通過
1043 新島の東海上を通過
1050 三宅島の上空に到達
1109 COSPEC観測開始 〜1140
1150 火口観測開始   〜1210
1212 三宅島上空を離脱
1255 横浜上空に到達
1304 羽田空港に着陸。エンジン洗浄
1316 機体を降りる
1400 昼食後、つくばに出発
1630 ガソリン補給後、庁舎に到着

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