三宅島ヘリ観測 


2003年1月22日
   

観測搭乗者::飯野氏・中堀氏(気象庁),吉本(東大地震 研),鍵和田(東京都広報課)下司(産総研)
警視庁航空隊 おおとり7号


○スケジュール

東京へリポート9時24分出発,三宅島東方海上10時20分到着,直 ちにCOSPEC観測を開始,東方海上で3測線観測.COSPEC終了後につづけて山頂カ ルデラ観測,その後山麓域の防災施設の空撮をおこない11時23分三宅島離脱.の 新島11時37分着陸.昼食・給油ののち1時すぎに離陸し,東京へリポートに2時半 ごろ到着.


○天候

晴れ.三宅島付近は上層に積雲が散在する.西風約15m.洋上は一面白波 が立っている.




○火山の状況



噴煙の状況:北方海上からみる噴煙は微弱で,数分おきにややはっきりしたパルスが上昇するがそのサイズは小さい.



強い西風のため,主火口から上昇した噴煙は火口内の反転流にのっ てカルデラ西壁に押し付けられるように上昇し,カルデラ縁をこえると今度は東 に折り返すようにたなびく.白色噴煙はカルデラ東側縁付近で消滅する.噴煙高度は平均して火口縁上200m. ガスミストがカルデラ内外に少量ただよっている.
COSPEC観測中,三池港沖で弱いガス臭を感じた.


(右写真は中堀氏撮影)

火口状況:カルデラ内はよく見えた.カルデラ底に顕著な変化はない.主火口の 周りの火砕丘の基部から,相変わらず数筋の湧水がカルデラ底の池に流れている. 噴気の位置に変化は無い.
主火口からの噴気は寒さのためか白色不透明で,主火口内部は東側の一部のみ見 ることができた.また,主火口南側の竪穴火孔底を見ることができた.竪穴火孔 底は岩塊で埋まっており,その間から盛んに噴気がでているが,全体としては北 側火口からの噴気のほうがはるかに優勢で,上昇する噴煙の大部分は北側の火孔から放出されているように見える.
熱赤外による温度測定では,最高温度は258℃とのこと.
主火口外の噴気の位置などに変化は見られない.



火砕丘基部から,複数の湧水が確認できる.いずれも噴気孔の付近から流れてお り,流路に白っぽい沈殿物?がみられる.
カルデラ底の池の水位は低い.



三宅中グラウンドのヘリポートに隣接して,滞在帰島のためのクリーンハウス2棟が建築中.3階 建ての立派な建物.


三池上方の斜面は,植生が完全に破壊されており,枯れ木が次第に倒木となってきている.杉の枯れ木は枝が完全に落ちて,棒杭のよう.しかしよく見ると下草がわずかに回復し始めている.