7月9日の三宅島

警視庁の機材繰りの関係で午後からの観測になった.
東京ヘリポートより警視庁ヘリ(おおとり7号)で13:24発.三宅島着14:18,三宅島発14:51.神津島発15:34,東京ヘリポート着16:39. 同乗者は千葉大津久井さん,御進講予習の現地観察で震研井田噴火予知連会長.他に神津島への警視庁交代要員1名(+三宅島島内作業用ガスマスクの運搬).

晴れてはいるが,やや霞がかかったような天候で視程はあまりよくない.普段よりやや高めの巡航高度で三宅島に向かう.

三宅島での風は弱い東風.火口から白色噴煙がほぼまっすぐ1400-1500mまで立ち上がって, 西に流されている.最近にしては噴煙高度は高いが,噴煙の上昇の勢いは弱く,鉢巻き林道 付近で白色噴煙は消滅するのは同じ.青白色ガスはゴミ焼却場から夕景浜にかけての方向に 流れている.桑木平カルデラ縁までは山腹に沿って流れる.
噴煙を避けて東側から進入し,噴煙の上を飛び越えて(高度5000ft),時計回りにカルデラ内が 見える高度で2周.その後反時計回りに1周半ほどした.
#席が右側後部だったので,後半はほとんど何も見えていない.
噴煙の上を3回またいだが,特に匂いは感じなかった.

観察時間が午後2時半ということで,太陽の位置が通常より西側.そのためカルデラ内,特に北から東の壁が よく見えた.
地形に大きな変化はないが,スオウ穴西側カルデラ壁上部,カルデラ壁北西部は新鮮な断面が露出している.ところどころ崩落による土埃も見える.わずかにカルデラ縁が後退しているように見える. 帰ってから以前の写真と見比べてみると,多少の崩落は認められるが,カルデラ縁の形が大きく変わるほどの変化はないらしい.
南西部の割れ目,東側の割れ目に大きな変化はない.南側は噴煙のため観察できず.

全体にもやがかかったようだが,噴煙・噴気量が少なかったため,火口の様子がよく観察できた.
火口は,北側が浅い火口,南側に深いピット状の火口がある. COSPEC隊が6/4に撮影した画像と比べると,南側火口径が大きくなっているようにみえる.ただし周辺に 堆積物が顕著に増えているようにはみえないので,拡大は主に陥没によるものだろう.
東側カルデラ縁外側が,灰色に目立っている.降灰の可能性もあるが,上空からの観察だけでは判断できなかった.

7月9日
北から
噴煙は西へ
北東から
スオウ穴の
向かって右と
左が白っぽい
(降灰?)
西から見たカルデラ内
スオウ穴上空から
カルデラ西半部
噴煙を上げる火口
南西黒池

3月19日のスオウ穴西
7月9日のスオウ穴西
3月19日のカルデラ北縁稜線
7月9日のカルデラ北縁稜線
伊豆大島
カルデラと三原山