Vol.58 No.1/2 (2007) 要旨集

The age of the Donghai rock crystals (clear quartz), eastern China:
Constraint from biotite Ar-Ar geochronology

Xiaofeng Li, Yasushi Watanabe, Chunzeng Wang,
Hideo Hirano and Yan Zhang

 本論文は,中国東部,江蘇省東海県の水晶の年代を報告し,水晶を含有する石英脈の形成史と蘇魯超高圧変成帯の 上昇侵食史との関係を議論したものである.年代測定に用いた黒雲母試料は石英脈に伴う変質帯から採取され,Ar-Ar法を用いて年代測定を行った.黒雲母と石英脈との関係から得られた年代は水晶の形成年代を表すものと解釈さ れる.分析により,Ar-Ar プラトー年代,アイソクロン年代,逆アイソクロン年代として,それぞれ239.8 ± 2.6 Ma, 241.0 ± 2.6 Ma, 241.1 ± 2.7 Ma の結果を得た.これらの年代は蘇魯超高圧変成帯における変成作用の頂点の年代 (240 〜 245 Ma)と近接しており,石英脈中の水晶は,蘇魯超高圧変成帯の上昇侵食初期に形成されたことを示す.


Indium and other trace elements in volcanogenic massive sulfide ores from the Kuroko, Besshi and other types in Japan

Shunso Ishihara and Yuji Endo

 黒鉱鉱床(35 試料),柵原鉱床(10 試料),田老鉱床(4 試料),下川,土倉と槇峰鉱床(6 試料),別子型鉱床から の 25 試料について硫化物鉱石成分を誘導結合プラズマ質量分析法で測定し,インジウムの資源的評価を実施した.北 鹿盆地の黒鉱鉱床群では東部の小坂内の岱,花輪,古遠部などがインジウムを多く含み,かつ亜鉛よりも銅との相 関性が良い特徴を示し,インジウムが四面銅鉱系サルフォソールトに含まれている可能性を暗示する.小坂鉱山で は,内の岱鉱石の含有量,選鉱産物の含有量に基づき約 50トンのインジウムが鉱床の含有量として推定されるが,こ れは世界的にインジウムを生産している大鉱床より 2 桁低く,我が国にはインジウムに富む塊状硫化物鉱床はないと 言える.別子型鉱床の個々の分析値やインジウムに富む亜鉛精鉱で明らかなように,このタイプの鉱床ではインジ ウムは閃亜鉛鉱に含まれている.佐々連・白滝鉱床の亜鉛精鉱はインジウムに富むが,原鉱の Zn 品位は 0.n%である から,資源的には期待できない.二畳紀流紋岩中に胚胎する柵原鉱床からは最高値 207 ppm In が得られた.当鉱床 に見られるインジウム異常は母岩の流紋岩類か後期白亜紀の貫入岩起源と推察される.別子鉱床下部には散点的な 異常(167 ppm 以下)が認められるが,これらは中新世の西南日本外帯のチタン鉄鉱系花崗岩の貫入に伴って割れ 目規制を受けた熱水鉱化作用が生じ,インジウムが付加されたものと考えられる.


イライト結晶度における温度条件の定量的見積もり:
九州東部,秩父帯・四万十帯付加コンプレックスにおけるビトリナイト反射率との比較

向吉秀樹・原 英俊・池原(大森)琴絵

 九州東部の秩父帯・四万十帯付加コンプレックスにて, ビトリナイト反射率(Rm)とイライト結晶度(IC) の測定を行い, その相関関係を求めた.Rm が 2.5 〜 5.1%を示す地点から,IC 値は 0.27 〜 0.56 Δ°2θが得られ た.9 つの検討地点において,Rm = 6.9 − 8.2 × IC,r = 0.91 の線形回帰式が得られた.この回帰式とビトリナ イト反射率の温度換算式から,イライト結晶度の温度換算が可能になる.イライト結晶度の anchizone(0.25 〜 0.42 Δ°2θ)の範囲では,その温度条件は 266 〜 302 ℃となる.


日本列島における年代未詳岩石のK-Ar年代測定
−地質図幅作成地域の火山岩・深成岩  (平成17年度分)−

松本哲一・太田 靖・星住英夫・高橋 浩・
西岡芳晴・三宅康幸・角田謙朗・清水正明

 産業技術総合研究所の陸域地質図プロジェクトで作成される地質図幅の正確さを向上するため,平成 17 年 度内に 13 個の火成岩試料について K-Ar 年代測定を実施した.これらの年代測定試料のうち,3 個の火山岩につ いては,結晶片を可能な限り除去した石基濃集フラクションを年代測定に用いた.一方,10 個の深成岩につ いては,黒雲母または普通角閃石を分離・精製したフラクションを用いた.K-Ar 年代が得られた試料ごとに, 岩石名と簡単な記載,産地,試料提供者,周辺の地質状況,K-Ar 年代,分析データ,測定結果の地質学的意 義を記述した.


鹿児島県トカラ列島トカラ平瀬に分布する火山岩類とそのFT年代

下司信夫・中野 俊・檀原 徹

 鹿児島県トカラ列島のトカラ平瀬(ひらせ)(以下,平瀬と称する)の火山岩から,鮮新世の FT 年代が得られた.平 瀬は口之島北東に位置する底面の直径が約 13 km 比高400 m の海山の山頂部に相当する.平瀬は輝石安山岩 と石英斑晶に富むデイサイトからなり,さまざまな程度に熱水変質作用をこうむっている.南端部の岩礁の 輝石安山岩から得られた FT 年代は 4.2 ± 0.2 Ma である.平瀬はこれまで第四紀火山と考えられてきたが,鮮新 世の火山であることが明らかになった.


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