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要旨集 地質調査研究報告 Vol.52 No.6/7 2001
福井県西津地域における丹波テレーンのチャートから産出したペルム紀放散虫 中江 訓 福井県南東部の西津地域に分布する丹波テレーンのチャートからペルム紀放散虫化石を産出した.この地域の丹波テレーンは主に玄武岩・石灰岩・チャート・泥岩・砂岩から構成され,これらが複雑に混在した特徴をもっている.本地域における従来の化石層序学的研究はあまり多くないが,これまでにペルム紀・三畳紀・ジュラ紀の放散虫化石の産出が報告されていた.しかしながら本地域の丹波テレーン構成岩類の詳細な地質年代は明らかにされていない.本研究で新たに得られた放散虫化石によって,本地域のチャートの年代が前期ペルム紀の後半,中期ペルム紀の中頃,後期ペルム紀の中頃を示すことが判明した.またチャートは様々な規模と形態の岩体をなして露出するが,本研究によって,チャート岩体の規模とは関係なくペルム紀の放散虫化石が産出することが示された.
関東平野における地下温度分布と地下水流動系 宮越昭暢 ・ 内田洋平 関東平野における88ヶ所の観測井で地下温度プロファイルと地下水位を観測した.その結果,平野内の地下温度分布は,地下水流動による熱移流の影響を強く受けていることが明らかになった.関東平野の地下温度分布は,高温域と低温域の分布に地域性を持つ.高温域は,栃木県鬼怒川沿いと群馬県利根川沿いの低地および関東平野中央部に分布する.一方,低温域は埼玉県,群馬県,栃木県の山地・台地・丘陵部に分布する.観測された地下の温度分布と水理水頭分布を併せて考慮することにより,群馬県利根川沿いと栃木県鬼怒川沿いで流出する局地的な流動系と,平野周辺部で涵養され関東平野の中央部で流出する広域的な流動系の存在が推定される.更に,地表面温度上昇の効果として,浅層に地下温度逆転層が形成されるが,この逆転層は涵養域で深く流出域で浅くなる傾向が認められ,この結果も広域的な地下水流動系の存在を示唆している.
福島県東棚倉地域に分布する中新世海成層に挟在するKt-7凝灰岩のフィッショントラック年代 高橋雅紀 ・ 岩野英樹 ・ 柳沢幸夫 ・ 林 広樹 福島県東棚倉地域に分布する中新世海成層の久保田層最上部に挟在する軽石質凝灰岩 (Kt-7) より抽出したジルコンについてフィッショントラック年代を測定し,10.6±0.3Ma (1σ error) の年代を得た.得られた年代値は,久保田層最地下部でKt-7凝灰岩のおよそ200m下位に挟在するKt-1凝灰岩のK-Arおよびフィッショントラック年代に誤差範囲で一致する.これらの放射年代値は既存の浮遊性微化石層序に基づく年代と調和的であることから,それぞれの火砕流堆積物の噴出年代を示すと判断される.久保田層における複合年代層序学的結果は,久保田層の堆積速度が大きかったことを示している.
福井県経ヶ岳火山南西麓の覆礫構造をもつ塚原野岩屑なだれ堆積物と14C年代 三村弘二 福井県東部の経ヶ岳火山南西麓には,同火山に由来する0.3km³の塚原野岩屑なだれ堆積物が分布する.同岩屑なだれは標高差1.4kmを流れ下り,給源の経ヶ岳から11kmの距離まで達し,塚原野と呼ばれる比高10-25km,2.5平方kmの流れ山が発達した台地を形成している.堆積物は,主に温泉変質を受けた溶岩と脆い火砕岩の不規則な混合物からなり,様々なブロックを含み,火砕岩のブロックには流れに沿う炎状の顕著な塑性変形と覆瓦構造が発達する. その堆積年代は堆積物上位と下位の黒土の14C年代測定値から,6700年から5000年の間と特定できる.給源の経ヶ岳火山の活動が約100万年前と推定されることから,この岩屑なだれ堆積物は火山活動に直接結びついたものでは無く,上記期間に発生した地震等をきっかけに,流下堆積したものと判断できる.
東日本火山フロントに沿う七ッ森火山岩,神室岳及び青麻火山のK-Ar年代 三村弘二 東日本第四期火山フロントに沿う七ッ森火山岩,神室岳火山,青麻火山から,各一個のK-Ar年代測定を行い,それぞれ約2.3Ma, 1.7Ma, 0.7Ma の結果を得た.このことは,東北日本第四期火山フロントが,約2Maを挟んで,東方から西へ,現位置に移動したとすれば説明がつく.この動きは,同フロント南方延長にあるフォッサ・マグナ地域と同様である.
東日本岩手県葛根田地熱系に産する含亜鉛アクチノ閃石 佐脇貴幸 ・ 佐々木宗建 ・ 藤本光一郎 ・ 竹野直人 葛根田地熱地域系に掘削された深部調査井WD-1の,深度1,222mより回収されたコア試料を切る熱水性鉱物中に,含亜鉛アクチノ閃石が見い出された.含亜鉛アクチノ閃石は繊維状のものであり,閃亜鉛鉱,黄銅鉱,黄鉄鉱,緑簾石,硬石膏,石英,粘土鉱物と共に産する.その亜鉛含有量は0.4-1.5wt.%であり,これまでに報告されている含亜鉛カルシウム角閃石と比べると,亜鉛含有量が高い方に入る.この含亜鉛アクチノ閃石は,おそらく,葛根田地熱系の熱水活動の初期段階に存在していた亜鉛に富む流体から形成されたと考えられる.
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