地質相談所で最近お受けした質問の一部に回答を加えて載せてあります。
ぜひ皆さんの参考にしてください。
また、いろいろな質問をいつでもお受けしていますので、
電話・ファクス・メールなどで、どんどんお寄せ下さい。

地質に関する質問
地質図の入手方法
都内六本木付近の地質
軟弱地盤の分布図
礼文島の地質と断崖・島の成り立ち
関東ローム層の透水性について
琵琶湖周辺の地質・土壌について
H市の地質調査の歴史
海水準変動と陸橋

鉱物に関する質問
花火のスターマインの様な瑪瑙(めのう)はどうやってできるか
砂漠のバラはどうしてできる
水晶を人工的に作れるか

粘土に関する質問
粘土の探し方

地質汚染・土壌汚染に関する質問
住宅地の土壌汚染の調査法
水田における自然由来の砒素汚染の評価方法
市内の自然由来の汚染土壌の分布域
自然由来の鉛汚染の識別法
香川県の土壌中の重金属イオンの濃度
各地の土壌の化学組成のデータベースはあるか

活断層・地震に関する質問
活断層資料入手
古墳の変形と活断層
片品川左岸の活断層
住所近くを通る活断層の資料
大阪平野北西縁の活断層

地下水に関する質問
新宿付近の地下水の分布状況
H盆地の地下水涵養
地下空洞周囲の地下水位変化について
おいしい水のふるさと調べ
つくば市洞峰公園付近の湧水について

岩石の性質・岩石物性などに関する質問
熱伝導率
蛇紋岩について

用語に関する質問
シェパード曲線と海水準変動曲線について

出版物問い合わせ
出版物問い合わせ(20万分の1地質図幅集と20万分の1数値地質図幅集)
浜松の地質図幅について

出版物利用申請について問い合わせ
出版物利用申請について

写真等提供依頼
褶曲・地層の写真を貸して欲しい
マスコミ:写真提供依頼

鉱床についての問い合わせ
鉱脈の地表徴候
モリブデン鉱床の地質的な生成過程
豊羽鉱山のインジウム生産量
褐鉄鉱の入手法
奈良県白迫鉱山の資料
N鉱山の特徴

石材・骨材などの問い合わせ
千葉県の山砂利について
石鍋の石材について

化学分析の問い合わせ
岩石の分析
岩石の化学分析

調査機器についての問い合わせ
調査機器の購入法

ボーリングについての問い合わせ
日本でボーリングが行われたのはいつ頃からか

岩石についての問い合わせ
那珂川河口で拾った赤くて丸い石のルーツ
岩石標本
美濃帯三畳紀赤色チャートの資料の紹介
岩石・鉱物の簡易鑑定法

化石についての問い合わせ
貝と一緒に採った化石の同定

技術指導・研究指導についての問い合わせ
NMRによるガラス製品の亀裂の検出可能性について
温泉に生息するシアノバクテリア研究者の紹介依頼

隕石についての問い合わせ
空から振ってきた石

食品混入物についての問い合わせ
食品混入物

火山についての問い合わせ
火山灰の毒性について

海外の地質についての問い合わせ
ベトナムの温泉
アメリカ、ファイアーバレーの地質

宅地についての問い合わせ
自宅の地質
東京23区内の地質情報を知りたい
宅地に井戸を掘れるか

探査法についての問い合わせ
産業廃棄物不法投棄場所のヘリコプターによる探査法

その他の問い合わせ
石油と石炭
せきたん通り
黒鉛珪石の活用について
我が国黎明期における辰砂の利用について
チャートの色
都会と山の土の違い
パイライト(黄鉄鉱)を用いて水稲用の培土の開発
岩石海岸の成因

地質に関する質問
地質図の入手方法
:地質図はどこで入手できますか

地質調査総合センター(旧地質調査所)発行の地質図類の購入方法
 [お出かけになって購入されるなら、現物を見て購入できます。]
  ●産業技術総合研究所 地質標本館受付, Tel. 029-861-3750, つくば市東1-1-1

 [お出かけになって購入されるなら、現物を見て購入できます。また、通信販売も利用できます。]
  ●(社)東京地学協会,
    〒102-0084 東京都千代田区二番町12-2, 地下鉄麹町駅下車日本テレビ向かい
    Tel: 03-3261-0809, Fax:03-3263-0257
    E-mail: chigaku@abox9.so-net.ne.jp
    URL: http://wwwsoc.nii.ac.jp/tokyogeo/index.html
  ●関西地図センター,
    〒606-8317 京都市左京区吉田本町27-8, 京大農学部バス停前
    Tel: 075-761-5141, Fax: 075-761-0120
    E-mail: kanchizu@arion.ocn.ne.jp
    URL: http://www11.ocn.ne.jp/~kanchizu/

 [通信販売]
  (代金は郵便振替の後払いです。Fax, E-mailなどで直接ご注文下さいますようお願いいたします。)
  ●地学情報サービス
    〒305-0045 茨城県つくば市梅園2-32-6
    Tel: 029-861-0561, Fax: 029-861-0568
    E-mail: gsis@kb3.so-net.ne.jp
    URL: http://www008.upp.so-net.ne.jp/gsis/gsis-J.htm

  ●NPO地質情報整備・活用機構
    〒113-0033 東京都文京区本郷三丁目17-7 丸尾ビル3F
    Tel: 03-5804-5711, Fax: 03-5804-5911
    E-mail: office@gupi.jp
    URL: http://www.gupi.jp
    ※取り扱い:数値地質図(CD-ROM),構造図,活構造図,火山地質図,200万地質編集図

  ●(財)日本地図センター
    〒153-8522 東京都目黒区青葉台4-9-6
    Tel: 03-3485-5414 (普及販売部), Fax: 03-3655-7591 (普及販売部)
    E-mail: maps@jmc.or.jp
    URL: http://www.jmc.or.jp
    ※取り扱い:構造図 14 「全国主要活断層活動確率地図」,数値地質図(CD-ROM),海洋地質図(CD-ROM),水文環境図(CD-ROM),日本の地球化学図(冊子)

 [地質図の概要の問い合わせ、目的の地質図を探す方法などは]
  ●地質標本館地質相談所へご連絡下さい。
    Tel: 029-861-3540, Fax: 029-861-3569、 地質相談所に相談する

都内六本木付近の地質
:(企業A氏)東京都六本木付近の地質図はないか。
:東京都建設局の土木技術研究所から、都内の地盤地質図が出版されている。また、ホームページに、地盤図をもとに作られた地質断面図が公開されているので、そこを閲覧してほしい。(S)

軟弱地盤の分布図
:(電柱などの設置の時、土壌の厚さや岩盤のN値がわかっていると経費の見積もりがやりやすい。軟弱地盤・風化地盤・岩盤の厚さやN値の分布図はないか。
:それらの分布図が有れば便利なことはわかるが、現状では存在しない。国土交通省の表層地質図や土壌図を使って作るしかない。当然データの使用に当たっては著作権利用申請が必要である。(S)

礼文島の地質と断崖・島の成り立ち
:礼文島はどうして島になったのか。礼文島の地質は?
礼文島の西海岸が断崖絶壁なのはなぜか。なぜ高山植物が分布するのか。
:礼文島の地質は、中央部が白亜紀前期の火山岩であり、北西-南東走向で北東に40度傾斜している。北部と南部は新第三紀の地層が分布している。中央部の西海岸が断崖絶壁なのは、固い火山岩が分布していてしかも走向傾斜で見られるように崖の斜面に対して地層がつっこんでいるので崖が崩れにくく、また冬の荒波が押し寄せる西海岸なので断崖絶壁になる。南北の海岸は新第三紀の比較的軟らかい地層なので、絶壁を作らないこと。海底地形の南北ないしは北北西-南南東方向の断層や褶曲で隆起したものと考えられるがいつ頃かを示す証拠はない。高位段丘があるのでそれより以前であるとは言える。高山植物は最終氷期に分布していたものが残ったものだと考えられる。詳しくは北海道開拓記念館など地元の博物館に問い合わせられたいと答えた。また、最終氷期には礼文島は北海道と陸続きであり、宗谷海峡も陸続きであった。最終氷期が終わって次第に海水準が上昇するにつれて北海道との間に海が侵入し島となったと追加回答した。(S)

関東ローム層の透水性について
:関東ローム層の透水性が悪いと、大雨が降った時などに水かあふれると思うが、具体的な研究はあるか
:関東ローム層は粘土質というイメージがあるため水はけが悪いのではないかと推定されるが、実際は管状の透水路ができるので上下にも水平にも透水性がよいとの論文があり、具体的な研究論文を知らせた。(S)

琵琶湖周辺の地質・土壌について
:表層地質図は、琵琶湖周辺(近畿圏)についてあるでしょうか?また、そのマップは、GISソフト(Arc/Viewなど)で利用が可能でしょうか?
 もう一つの質問は、森林土壌なども含めての地質調査をする場合、素人には地質の分類が困難であります。そこで、標準的な土壌・地質サンプルなどを利用して見比べて判断できますと大変便利なのですが、そのような標準的な土壌サンプルはあるでしょうか?もしくは、購入可能かどうかご存知でしょうか。
:地質調査総合センター(旧地質調査所)発行の5万分の1地質図幅は、琵琶湖周辺はほとんど出版されています。地質調査総合センターのホームページ(http://www.gsj.jp/)にはいると、左側の欄に出版物案内の項目があり、地質図の出版状況とサムネイルを見るには地質図カタログに入ります。ここで、出版状況・価格・購入方法などをご案内しています。これらの地質図は数値化はされていません。
 ・表層地質図はかつての国土庁が作製していた地質図です。紙ベースでの出版ですのでまだ数値化はされていません。国土交通省のホームページで無料で公開されており、土壌図もあります。下記のURL からお入り下さい。 土壌を中心に調査をされているのなら、こちらが便利でしょう。
  国土交通省 http:://www.mlit.go.jp/index.html
トップページ→インフォメーション/土地・水資源関係→国土調査(http://tochi.mlit.go.jp/tockok/index.htm)→土地分類と水調査 →国土のすがた/5万分の1土地分類基本調査図→郷土のすがた(都道府県をクリック)
 ・ただ、国土交通省のホームページに数値データ(内容はチェックしていません。各地方建設局毎に編集出版した20万分の1土木地質図の可能性があります。)が公開されていますので、閲覧してみてください。
 ・土壌・地質サンプルは地質調査総合センターでは販売しておりません。
 ・私どもの研究所は、土壌を除いた地質についての情報を地質図として出版・提供しています。土壌については農水省の研究所で研究していますのでそちらにお問い合わせ下さい。

H市の地質調査の歴史
:今地学の授業でH市の地質調査の歴史について知りたいのですが教えていただけますか。
:H市の地質については、H市博物館に展示があるようですので訪ねてみてください。
 また、それらの地質を調べるための調査がどの様に行われたか、その歴史と言うことでしたら、文献を調べるしかないですね。地質調査総合センターのホームページ(http://www.gsj.jp/)には日本地質文献データベースがあり、いくつかのキーワードを組み合わせて文献を検索することができます。ヒットした文献の後に引用文献が必ず付いていますからそれをまた調べて、いつ頃からどの様な調査が行われたか、順を追って文献を読んでまとめていくことで地質調査の歴史が理解できると思います。(S)

海水準変動と陸橋
: 筑波大学病院で小児外科医療に従事している者です.ブタは医療には重要な動物です.スウェーデンのグループとの共同研究を行っておりますが,ヨーロッパのブタとアジアのブタとの関係について遺伝学的に見た系統を整理しているところです.そこで,日本列島と中国大陸とのつながりにつきまして,英文で何かよい文献はございませんでしょうか.
: ブタの系統というと,それを飼っていたヒトの移動から考えようという話でしょうか.陸橋の話はおもしろいのですが,情報が限られていて難しいのではっきりしたことは申し上げられないことをご承知おきください.
日本列島と中国大陸・ユーラシア大陸がつながっていたのは,ご承知のように氷河期に海水準が下がった時ですね.海水準の変動は汎世界的に起きるわけで,海水準変動曲線を見ながら海底地形図を眺めて見ればどの時期にどこがつながっていたかがわかるはずです.
Rohling et al. (1998) Magnitudes of sea-level lowstands of the past 500,000 years. Nature, v.394, p.162-165.
という論文に最近50万年間の海水準変動曲線が描かれています.古い時代になると曖昧なことがわかります.新しい時代の海水準をもっと細かく描いた図は,
McGuire et al. (1997) Correlation between rate of sea-level change and frequency of explosive volcanism in the Mediterranean. Nature, v.389, p.473-476.
に出ています.ここで最終氷期の最低海水準期(酸素同位体ステージ2といわれる1万8千年ほど前の時期,ウルム氷期)には海水準は120m低下したということになっています.海底地形図を眺めれば対馬の南ではわずかに120mを越える水深の谷地形があります.一応,海で離れていたことになるので,この谷がそれ以降にできたのでなければ朝鮮半島まで歩いては移動することはできなかったことになります.
上記のRohling et al. (1998)は45万年前のステージ12(ミンデル氷期)には140m低下したといっていますので,その時にはもっと簡単に渡れたということになります.14万年前にも120m程度の低水準期がありましたので可能性はあります.時代がさかのぼるほど正確に何メートル低下したというのは不確かになります.
このような海水準変動は70-80万年前からくり返しており,数回の海水準低下期のどのときに陸橋ができていたかはよくわからないのが現状です.本当は,海水準と地形のほかに,上下に動いた地殻変動・浸食作用・堆積作用も考えなければ陸の分布はわからないのですが,何メートル違いがあったといえるほどには良くわかっていないと思います.
第四紀研究という邦文の雑誌に「東アジアから西太平洋へ −陸・海・ヒトのテレコネクション」という特集があります.日本海の堆積物の記録から最終氷期の塩分の収支を検討した松井ほか(1998)では「陸橋にはなっていなかった」とされています.また第四紀の哺乳動物群を検討した河村(1998)は30万年前と50万年前,100〜120万年前にナウマンゾウ・トウヨウゾウ・シガゾウがそれぞれ渡来したが,30万年前以降は日本列島と大陸とは基本的に離れていたと述べています.
この河村(1998)が示した時代にはヒトも一緒に来ても良いはずですね.この論文の参考文献に河村さんの英文の論文がいくつかあげられています.参考までに.
Kawamura, Y. (1991) Quaternary mammalian faunas in the Japanese Islands. The Quaternary Research, v. 30, p. 213-220.
Kawamura, Y. (1994) Late Pleistocene to Holocene mammalian faunal succession in the Japanese Islands, with comments on the Late Quaternary extinctions. ArchaeoZoologia, v. 6, p. 7-22.
海底地形図は海上保安庁水路部で作成しており,一般的には同部の「海の相談室」というところで閲覧でき,購入に関しても相談できると思います.

海上保安庁水路部「海の相談室」
〒104-0045 東京都中央区築地5-3-1
Tel.: 03-3541-4296,Fax.: 03-3545-2885
E-mail: consult@cue.jhd.go.jp
利用時間:午前10時-12時,午後1時-5時
休館日:土・日曜・国民の祝日および12/28-1/4
(TM・ST)

鉱物に関する質問
花火のスターマインの様な瑪瑙(めのう)はどうやってできるか
:瑪瑙(めのう)の写真で、断面が同心円状の縞模様が、ひとつの鉱物の中にいくつも存在するものを見たのですが、(ちょうど、花火のスターマインのような状態)これはどうやってできているのでしょうか?
:ほぼ完全な同心円模様が、縞模様の乏しい(比較的均質に見える)玉髄の中に散点して見えることがあります。シリカが沈着する際に核となったものが異なるために、スターマインの構造ができます。次のようなプロセスを想像してみて下さい。
1.空洞の中に、シリカで飽和した水が入り込むと壁面(岩石)の凹凸を核としてシリカが沈着して行きます。その時、壁面に平行な縞が出来ます。
2.岩石中の割れ目が閉塞して、水の供給が途絶えると、空洞の中が水不足の状態になるかもしれません。新たな水の供給が絶たれ、水が選択的に外方に拡散してゆくと、空洞中ではシリカに飽和した水の水位が徐々に下がります。そうすると、天井からシリカの鍾乳石が下向きに成長して行きます。水が間欠的に上下するたびに溶液中のシリカがシリカ鍾乳石を核として太ってゆきます。成長が水中で自由に起こるために、伸びに対して垂直な方向には等方的に成長し、きれいな同心円状の構造を作ります。(流入する水が時に酸化鉄を含んでいたりすると、白−灰色−赤色の縞模様が明瞭になります。)
3.その結果として、空洞の天井から下に向かって平行に伸びた多数の鍾乳石が出来ます。鍾乳石の間は空間です。
4.その後流入した水が、連続的にシリカを沈殿して全ての空隙を埋めて行くとき、先に出来た鍾乳石は後から沈着したメノウ(玉髄)の中に埋没します。このときには既に玉髄質石英で覆われている全ての面が公平に成長核になります。水の供給が間欠的でなければ、縞模様はだいたい不明瞭です。
5.このようにして出来た玉髄を平面的に切断するとき、切断の向きが“取り込まれた鍾乳石”の伸びの方向に垂直なときはきれいな同心円が現れますし、伸びに平行な時には、ウインナーソーセージのような形が現れます。斜め切りの場合は、“同心楕円”が現れます。
6.繰り返しになりますが、スターマインのスターは、先に出来た鍾乳石の部分で、スターマインが打ち上げられた空の部分は、後から沈着した玉髄の部分というわけです。
 標本ごとに解釈は微妙に異なるでしょうが、何を核に成長したか、成長に際して重力がどう効いたか、シリカを運び込む水の流れが連続的だったかどうかなどをポイントに考えてみるのが基本です。いろいろと考えてみて下さい。(ただし、縞模様がすべて堆積の間隙を表すわけではありません。この点にもどうぞご注意下さい。)(A)

砂漠のバラはどうしてできる
:私は、8月4日に貴館を生徒とともに訪問させていただきました。
そこで「砂漠のバラ」を見た生徒が、「この結晶はどうしてこんな形になるのですか。」という質問をしてきました。
: 「砂漠のバラ」についてのご質問ですが、その正体は石膏(gypsum CaSO4・2H2O)かまたは重晶石(barite BaSO4)です。砂漠の湖の水分が蒸発することにより、次第に水の中に溶けていたミネラルが析出・沈殿・集合してできた蒸発岩(EVAPORITE)の一種です。しかし、なぜバラの花の形になるのかはわかっていないようです。鉱物の世界では、まだまだわかっていないことが多いようです。疑問に思ったことを、後に自分で解き明かすという夢を持っても良いですね。完全な回答ができなくて申し訳ありません。 参考:「楽しい鉱物図鑑」堀 秀道著、草思社、211p、1992.(S)

水晶を人工的に作れるか
:実験室レベルでどの程度美しい水晶が得られるか。 家庭で作れるか。
:大きくて美しい物が、オートクレーブの中で合成できます。大きな結晶を工業的に作るには、長くても1〜数ヶ月程度で仕上がってくれなくては、エネルギーコスト的に困難です。そのために石英の溶解度を高めて、容器の中に温度勾配(過飽和度の勾配)を作ります。このあたりの事情は、人工水晶メーカーのウェブサイトを見て頂くと納得されると思います。
例えば、http://www.kyocera.co.jp/prdct/electro/pdf/crystal/23_25.pdf など。 肉眼的に見える程度の水晶を家庭で合成することはあきらめたほうがよいです。 350度 300気圧の水熱環境を家庭で作るのはムリでしょう。危険ですし、電気炉を長期間高温に保つために莫大な電気代がかかってしまいます。(A)

粘土に関する質問
粘土の探し方
:M地区の粘土は瓦原料として採掘利用されている。この粘土の採掘適地を地質学的に絞り込む方法はないか。
:全国的な整備が進んでいる5万分の1表層地質図に、2〜3km間隔で地下の様子が柱状図として示されており、概ね東海道新幹線以南は粘土が賦存する。しかし、採掘適地の絞り込みには、精度が不十分である。その地区での過去の採掘結果を基にした詳細な情報が必要であり、採掘業者は独自に情報を貯えている。また、粘土の採掘適地の絞り込みには、以前に採掘していないという条件が最も重要であるが、この情報はどこにも記録されていない。採掘に関係した採掘業者や地主などの情報が必須である。このような理由により、地質情報から採掘適地を探すことは難しく、地元の情報を収集しこれを利用することが必要である。(SD)

地質汚染・土壌汚染に関する質問
住宅地の土壌汚染の調査法
:住宅地や住宅開発予定地における土壌汚染の有無を評価するための、現場簡易分析法にはどのような手法があるか。
:我が国の住宅地や住宅開発予定地の中には自然由来の土壌汚染が存在する場合がある。特に鉛や砒素は環境基準値を超過する事例がある。これらの汚染を現場で迅速に分析する手法としては、エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いることが有効である。(A)

水田における自然由来の砒素汚染の評価方法
:水田土壌に含まれる砒素の分析方法として底質調査法や農地土壌分析法などがあるが、それらの分析法の相違点はどこにあるか。また両者のデータの比較はできるか。
:底質調査法では農地土壌分析法よりも強い酸処理を行うため、鉱物内部に存在する砒素も分析することができる。そのため、底質調査法で求めた砒素含有量は、農地土壌分析法の含有量よりも高い傾向にある。鉱物内部の砒素は稲が吸収できないため、砒素の稲への影響を評価する場合には、農地土壌分析法の砒素含有量のデータが有効である。(A)

市内の自然由来の汚染土壌の分布域
:各種工事による自然由来の汚染土壌を搬出する際の対処方針を検討中であるが、どのような地層で自然由来の土壌汚染が見つかっているか。
:T層やK層から自然由来のカドミウムや鉛が検出されている。(A)

自然由来の鉛汚染の識別法
:産業廃棄物処分場周辺の表層水から環境基準を大幅に超過する鉛が検出されたが、この鉛が自然由来のものか、廃棄物に起因するものかを判別する手段はあるか。
:鉛同位体を用いて鉛の起源を推定することは可能な場合がある。水の中の鉛が我が国の地質に固有な鉛同位体組成から有意に異なった鉛同位体組成の場合には人為汚染である可能性が高い。(A)

香川県の土壌中の重金属イオンの濃度
:香川県の土壌中の重金属イオンの濃度を知りたい。
:土壌の重金属イオンの分布図はないが、河川堆積物を分析した「日本の地球化学図」(販売価格4515円)が出版・販売されている。また、地球科学データベースに「有害元素を含む全国元素分布(地球化学図)データベース」として公開されており、バックグラウンド値として使用できるのではないか。下記のURLにアクセスすれば閲覧できる。(S)
http://www.gsj.jp/Gtop/Riodb/db_list_n.html

各地の土壌の化学組成のデータベースはあるか
:各地の土壌の化学組成のデータベースはあるか。
:土壌に関するデータベースはないが、地質調査総合センターでは日本全国の地球化学図を作っている。ホームページ(http://www.gsj.jpの地球科学データベース)で閲覧できることを話した。また、地質汚染評価基本図について説明し、購入方法(ホームページの出版物カタログにある)を教えた。(S)

活断層・地震に関する質問
活断層資料入手
: 1) 都内で一戸建てを購入したいと考えています。その場所の地質・活断層の有無等々を教えていただくことはできますでしょうか? まだ具体的に「ドコ」とは決めていないのですが…….阪神大震災のこともあり、活断層の有無を一番気にしております。ご相談に出向く場合は、やはり平日になりますよね? 私もなかなか休みがとりにくいこともあり、メール、電話、ファックスの方が助かるのですが・・・
2) 現在わかっている神奈川県(特に横浜・横須賀)の活断層の位置・大きさがわかる文献等がありましたら教えてください.
3) 山口県の活断層の場所が記載された地図を探しています。どのようなものがありますか.また購入方法を御教授下さい.
4) 活断層が地図上に描かれた図面を探している者です。日本全国の活断層を詳しく知りたいのですが、そのようなものを入手する方法をお教え頂けないでしょうか.
: 地質調査総合センターでは「50万分の1活構造図」を発行しております.沖縄・南西諸島・伊豆諸島をのぞき,全国で14枚になります(網走・釧路・旭川・札幌・青森・秋田・新潟・東京・金沢・京都・岡山・高知・福岡・鹿児島).これは,活断層・活褶曲・撓曲などの位置と,地盤の様子を表す第四紀地質を多色印刷で示しております.本体価格はほとんどが1575〜1890円ですが,「東京(第2版)」・「京都(第2版)」は説明書・過去の地震の震央・プレート境界の等深線図などが付いており,3255円、3780円です.
また,活断層に沿った各種の情報を書き込んだ詳しい地質図として,「活断層ストリップマップ」を発行しております.現在まで「阿寺断層系」「中央構造線四国地域」「中央構造線近畿地域」「柳ヶ瀬−養老断層系」「糸魚川−静岡構造線活断層系」「兵庫県南部地震に伴う地震断層−野島・小倉及び灘川地震断層−」「花折断層」が発行されております.

地質調査総合センター発行の出版物の入手法は,(上記Q1参照)
地質調査総合センター以外の出版物としては,東京大学出版会より「新編日本の活断層」という本が出版されております.これは,40万分の1地勢図に活断層の位置が示され,その名前・活動度・文献などが一覧表で示されております.重要な活断層には説明も付いております.本体価格3万5千円.一般の書店で取り寄せることが出来ます.公共の図書館などには備えておきたい図書です.
また,全国を網羅しているわけではありませんが,都市圏活断層図というものが発行されています.これは25000分の1で,財団法人日本地図センター(03-3485-5414)と言うところで販売しております.地形図を販売している一般の書店で取り寄せることが出来ます. 一般的に言えば,現在東京23区内には顕著な活断層は見つかっておりません.東京の場合,活断層に起因する直下型の地震よりもプレート境界型の地震が懸念されております.大正の関東地震もそれですし,現在最も警戒されている南関東地震と呼ばれているものも,関東地方の下に潜り込んでいるフィリピン海プレートと地表のプレート(オホーツク海プレートまたは北米プレート)との境界付近で発生することが予想されています.
活断層の有無よりもむしろ地盤の硬さ軟らかさが被害に大きく影響します.神戸でも,活断層のあった山側よりも地盤が弱かった海岸沿いの市街地で震度が大きくなり,甚大な被害をもたらしました.東京でも,沖積層の厚く分布する地域は注意が必要でしょう.
地質相談所は,月−金の9:30-5:00に開いております.お出でになるときは事前に日程をお知らせ下さいませ.アポイントなしでは無駄足になる場合がございます.電話・ファックス・E-mailによる相談にもお答えしております.相談所では懇切丁寧にご相談にお答えする所存です.お待ちしております.(ST)

古墳の変形と活断層
:活断層上に築かれた古墳が変形した事例で年代がわかるもの(特に誉田山古墳)を教えてほしい。
:20年前から知られているのは、誉田断層とその上に築かれて地すべりが生じている誉田山古墳だが、トレンチ調査などで断層の活動年代が判明していない。また、宮内庁陵墓指定地なので立入禁止のため、年代的な考察、古墳築造後の断層変位の有無については、詳しくわからない。南海地震で揺れる位置にあるので、南海地震による地すべりの可能性も高い。一方、今城塚古墳は有馬−高槻構造線活断層系上にあり1596年の伏見地震で崩れたのがはっきりわかっている。(SAA)

片品川左岸の活断層
:片品川左岸に活断層はあるか。平沢村で地すべりがおこっているが、それに対する対策を考える際に活断層の有無が重要である。
:新編「日本の活断層」によると、片品川左岸に活断層が推定されている。資料を送付した。(S)

住所近くを通る活断層の資料
:住所近くを通る活断層があると聞いた。数年前にボーリングもやっていた。資料があれば手に入れ団地の自治会内に周知したい。
:産総研 活断層センターの年次報告に2年にわたり掲載されていることを知らせた。(S)

大阪平野北西縁の活断層
:大阪平野北縁を限る有馬−高槻構造線活断層系の西端部付近の断層の正確な位置と周辺の地盤状態を知りたい。
:活断層分布図やS氏の論文、さらに、国土地理院発行の「都市圏活断層図」を示しながら断層の位置を説明した。さらに、断層活動の一般的な特性、断層沿いに発達する破砕帯についての解説、さらに、軟弱地盤と地震動との関連などについて話した。(Sn)

地下水に関する質問
新宿付近の地下水の分布状況
:地下水の分布状況や流れる方向が判る図面はあるか。
:地下水の帯水層は砂や礫層などの粗い地層の所。いくつか深さの違うところにあるので、一般的に言えない。東京都の土木研究所のホームページで東京の地下断面図が閲覧できるので参考にしてほしい。(S)

H盆地の地下水涵養
:3車線のトンネルや高架道路の建設など大規模な土木工事に伴い、H盆地の地下水涵養地帯に影響が出ることを心配している。このような工事の施工による地下水の影響にはどのようなものがあるか教えてほしい。
:H盆地という具体的な箇所が指摘されていたので、より現地に詳しい研究機関として、K県の研究所を紹介した。当該研究所には地学や地下水の専門家がいて、同県内の自然災害軽減や環境保全の研究を長年行っている。(I)

地下空洞周囲の地下水位変化について
:地下に大きな空洞を開削したときに、どのような地下水位の変化が起こると予想されるか、また、もし地下水位が著しく低下してしまった場合、水位を回復させることが可能かどうか。
:一般に地下に空洞を開けると、それを中心にして地下水位が漏斗状に低下する。これを防ぐには、1)空洞周囲をグラウチングする、2)空洞出口でプラグをうつ、3)地下水となる水を外部から供給するなどの方法が考えられる。効果を確かめるには、水理モデルにもとづくシミュレーションや水みちを探るトレーサー試験などを行ったり、水位変化を長期にわたってモニタリングする必要がある。(I)

おいしい水のふるさと調べ
:夏休みの自由研究で「おいしい水のふるさと調べ」をやろうと思っています。ミネラルウオーターの成分は、採取地の地質と深く関係があると思うので、以下の土地の地質を調べたいと思います。地質標本館で調べることができますか? また、地質図を入手できますか? 教えてください。日本1社、海外4社の飲料水の銘柄があげられた。
:「おいしい水のふるさと調べ」を自由研究のテーマに取り上げたとのこと、おもしろそうなテーマですね。さて、水には硬水と軟水があります。以下の説明はお酒を造っている「月桂冠」のホームページからのものです。
「ミネラル分を多く含む水を硬水、少ない水を軟水と呼び、硬度を目安に区分しています。硬度は、水1リットル(L)に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を、炭酸カルシウム(CaCO3)の重量(mg)に換算した数値(mg/L=PPM)で表し、その測定法はJIS(Japanese Industrial Standards、日本工業規格)に定められています。
 WHO(World Health Organization=世界保健機構)が示す「飲料水質ガイドライン」によると、軟水は「硬度0-60mg/L未満」、中硬水は「硬度60-120mg/L未満」、硬水は「硬度120-180mg/L未満」、非常な硬水は「硬度180mg以上」としています。
 硬度による水の特徴は、地下水が通過する地層のちがいによって表われます。伏見(京都)の地層は花崗岩(かこうがん)でできており、この層からほどよい量のミネラル分が水に溶けだしてくるため、硬度60-80mg/Lの中硬水となっています。これに対して、灘(兵庫)の宮水の場合、地層に貝殻層があるのでカルシウムなどの溶出量が多く、比較的硬度の高い水になると言われています。」
 このようなことを踏まえた上で、5ヶ所の水について調べるとすると、
1.どこで採水、つまり水を採っているかがわかっていますか?採水地点の上流側の地質についての情報が重要なのであって、その付近全体の地質について調べても意味がありません。
2.また、採取している水が地下水なのか、川の水なのかも重要です。
3.採取地点と川の名前がわかっていれば、地質を調べて意味付けができます。
4.地質図は地質調査総合センターの図書室(産総研第7事業所3階)で閲覧することができます。しかし、それぞれの国の地質調査所が出版したものなので、それぞれの母国語で書かれています。一般の人が見てもなかなかわからないかもしれません。
 むしろ、おいしい水とはどういうものなのかを、別の観点で調査してはどうでしょうか。日本では、国土が細長く、河川の長さはそんなに長くないし、河川勾配(山頂から河口までの長さと高さの比)が大陸地域と比べて大きいので、雨水は比較的短時間に流れ下るため硬度が低いことが多いので、飲料水として使えるのです。それとは逆にアメリカやヨーロッパ、オーストラリアでは河川勾配が緩やかで、しかも石灰質な地質が多いので非常な硬水が多く、飲料に適さないので(カルシウムやマグネシウムを多く含む水を飲むと下痢をしてしまう。豆腐を作る時に使う「にがり」が下剤に使われるのはそのような成分を含むため)、飲料に適した水が販売されているということです。軟水・硬水の観点から、それぞれのボトルに表示されている成分を比較してみるのも良いですね。また、それぞれがおいしいかどうかという、味覚の観点からの比較も何らかの基準を使って試してみると面白いかもしれませんね。(S)

おいしい水のふるさと調べ(続き)
:1.山梨県北巨摩郡白州町(販売されている天然水)
2.フランス・ロレーヌ地方コントレクスヴィル(輸入販売されている水)の採れる場所の地質が知りたい。
:白州町は中期中新世の花崗閃緑岩の分布地域、一般に花崗岩地域の水はおいしいといわれている。コントレクスヴィルの地質は後期三畳紀の石灰岩なので一番硬度の高い水である。便秘に効く水として売っているとのこと。話はうまく合うようだ。(S)

つくば市洞峰公園付近の湧水について
:洞峰公園に湧水があると言うが本当か。かつて、二宮尊徳が洞峰付近から北西に堀を掘って水を流そうとしたが失敗したのはなぜか。
:宇宙事業団から南に産総研つくばセンターの北西部で西に曲がって洞峰公園へと沼になっているが、研究学園都市周辺の環境地質図によれば、そこは常総層の砂岩卓越層の分布地域なので、不圧地下水の湧水があってもいい場所である。
また、二宮尊徳が掘った堀は、洞峰沼の水を北西に導いて小野川に流そうとしたものだろうと推測できる。掘った深さはわからないが、浅ければローム層の中で底漏れしたことが考えられるし、それより深いと常総層の砂層が分布しているのでやはりしみ込んだことが予想される。(S)

岩石の性質・岩石物性などに関する質問
熱伝導率
:住居番組で床暖房の素材として木材と岩石の熱効率の違いを熱伝導率で示そうとして調べている。熱伝導率に関する資料はあるか。
:地学事典の岩石の熱伝導率、理科年表のいろんな物質の熱伝導率、単位の事典の熱伝導率の単位を、ファックスした。(S)

蛇紋岩について
:私は食と安全に興味を持ち、農家や農業関係者の方とお付き合いをしています。現状を知るにつれ、私の企画営業や宣伝部の経験を生かし、ボランテイア的にお手伝いをさせていただいています。その中の一人の北海道の農家の方から、蛇紋岩の地層のある所に良い農作物が育つという言い伝えがあり、何か科学(地質学)的根拠が分からないか、又他の地域での蛇紋岩の分布状況を調べてほしいと頼まれました何卒宜しくお取り扱い下さいますようお願いします。
:蛇紋岩はマグネシウム(MgO)成分が多く、肥料としても使われているようです。「溶性りん肥(商品名 ようりん)」は蛇紋岩とりん鉱石を電気炉で焼成してつくります。「苦土過りん酸」は蛇紋岩粉末にドロマイトや水酸化マグネシウムを混入しリン酸を加えた物。「混合りん肥」は焼成りん肥に蛇紋岩粉末、重過りん酸石灰を加えた物などがあるようです。
 蛇紋岩は超苦鉄質岩が蛇紋岩化してできた岩石です。したがって、地質図では、超苦鉄質岩として区分・塗色されています。蛇紋岩は土木建設業界では、塊状・葉片状・粘土状に分類し、地滑りを起こすことで知られています。北海道では、超苦鉄質岩は蛇紋岩になっていることが多いのですが、北海道日高地方南部の幌満では超苦鉄質岩のままでかんらん岩として採掘され、耐火用材料として使われています。
 おおざっぱな分布でしたら、高校の地学の教科書や図表集に載っています。また、地質調査総合センター発行の200万分の1日本地質図(2002年、2,100円)があり購入できます。(S)

用語に関する質問
シェパード曲線と海水準変動曲線について
:シェパード曲線について調べています。海水準変化曲線の一つで あるということまではわかったのですが、それ以上よく分かりません。
:完新世の海水準変動を1960年代に精力的に調査研究した、海洋地質学の父と呼ばれるシェパードさんの描いた海面変動曲線です。当時、もうひとつの曲線がありました。フェアブリッジ曲線です。
 完新世の海面変動曲線で、約6千年前に今よりも海面が高く、それ以降、現在の水準まで変動を伴いながら至るのが、フェアブリッジ曲線です。一方、現在まで海水準が上昇し、今の海水準が最も高いのがシェパード曲線です。
どうしてこのような2種類の曲線が描かれたのでしょうか。どちらかが間違っていたのでしょうか。
 実は、両方とも正解です。シェパード曲線が主に北米のデータを中心にしたのに対し、フェアブリッジ曲線は、南米のブラジルのデータを基にしています。日本の曲線もどちらかと言えば、フェアブリッジ曲線に近いですね。でもヨーロッパの地中海周辺は、シェパード曲線に近いんです。なぜ、このように違う曲線が描かれるかといえば、大地が上下に変動しているからです。世界的な海水量の変動は同じでも。大地が動くと、大地に対して相対的に海水準は、見え方が違います。では、何故大地が上下に動いたのでしょう。
 海水準が上昇したのは、陸域にあった氷河が解けて、海に水が供給されたために、海水量が増加したためです。でも氷河があったところは、氷河がなくなった分、「おもし」が無くなって地面が隆起しています。ヨーロッパのスカンジナビア半島は今でも、隆起しています。隆起しているところでは、海面は相対的に今でも下がっています。上の2つの曲線とは別の曲線になっています。
ヨーロッパや北米にあった氷床の周辺では、氷床があった時の氷期には、地面が、どちらかというと盛りあがっていました。氷床があったところは、下に押さえられ、その周辺がもりあがっていたのです。ところが、氷床がなくなると、周辺のもりあがっていたところは、逆にもとにもどろうと、沈んでゆきました。沈降です。このような沈降地域は、今でもそれが続いています。アメリカの周辺やヨーロッパの地中海から北海にかけてです。これらの地域では、この沈降のために、相対的に海水準が今でも上昇しています。これらの地域の海面変動曲線がシェパード曲線となっているのです。
 1960年代には、このような解釈がまだされていなく、どちらの曲線が正しいか、議論になりました。見かけの海水準変動曲線が世界どこでも一緒のはずだと、皆が考えていたからです。しかし、1970年代に入って、氷床の影響によって、世界の各地で、地層に記録される海水準変動曲線は、違う事が理論的にもわかってきました。
 地球温暖化によって海水準が2100年には今よりも50cmほど上昇すると言われています。この値も世界どこでも同じではありません。上に述べた、シェパード曲線の地域では、それ以上の上昇になります(約+20cm)。
 今ではシェパード曲線、フェアブリッジ曲線という言い方は、場所によって異なるので、あまり使われなくなってきています。(SY)

出版物問い合わせ
出版物問い合わせ(20万分の1地質図幅集と20万分の1数値地質図幅集)
:新しい出版物のDGM G20-3 20万分の1数値地質図幅集「東北」等は未発行の図幅も掲載されているか。
2.新しい出版物の20万分の1数値地質図幅集と古い20万分の1地質図幅集(画像)Version.2.0との違いは。
:1.載っていない。
2.古いのは全国の既出版図幅をラスターデータで収録。新しいのには、地方毎の20万分の1のベクトルデータと5万分の1のラスターデータが掲載されていると回答。(Y&N)

浜松の地質図幅について
:私が所属するS県地学会の活動に利用する為、浜松市周辺の5万分の1地質図を入手したいと考えました。しかし、発行年が複数書いてあったので、新しいものか古いものかが分かりませんでした。注文した場合、10年以上も古いものしか手に入らないでしょうか。20万分の1の縮尺ならば、最近の新しいものが出ているようですが、何か分かることがありましたらお教え下さるようお願いします。
:5万分の1地質図幅「浜松」の初版は1972年です。しばらく在庫切れでしたが、1999年に2刷を出版・販売しています。したがって内容は1972年の初版のままです。  5万分の1地質図幅は、これまで在庫切れになっても改訂せず、重要地域のみ増刷を行ってきており、最近は、在庫切れについては地質図のみ注文プリントを行っています。  そして、未出版地域の調査・出版を進めているのが現状です。現在7万5千分の1地質図幅でカバーした地域を含めて進捗率は日本全体の70パーセントを超えたところです。このような現状をご理解の上、ご利用下さい。(S)

出版物利用申請について問い合わせ
出版物利用申請について
:地質調査総合センターの出版物を、ホームページに載せたい。広告に使用したい。地質図を基図にして、その上に会社が作成した情報を載せて販売したい。など
:出版物の利用申請のフォームをホームページに載せており(http://www.gsj.jp/HomePageJP.html、「地質図カタログ」の「地質図類の利用について」の項)、それに書いて申請していただきます。基本的に拒否はせず、許可している。ただし、販売している出版物については、すべてを利用したいというのは許可していない。あくまでも部分利用というのが原則である。

写真等提供依頼
褶曲・地層の写真を貸して欲しい
:6年生の授業に使用したいので、褶曲・地層の写真を貸して欲しい。使い方としては、その写真を拡大コピーして生徒に配布する予定です。また、出来れば写真の解説文、年代説明等についてもお願いします。授業は、9月の予定です。
:御依頼の地層・しゅう曲・断層のカラーコピーしたもの(写真1〜10)を同封します(返却不要です)。解説文も同封してあります。参考になさってください。色々探しては見たものの、自前のよい写真は少なかったため、雑誌等からのコピーが多くなってしまいました。ご容赦下さい。
一部のものについては、オリジナルの写真(写真2・写真5→絵葉書、写真3・写真6→写真印画紙、写真1→雑誌)を同封しましたので、必要であればコピーしてください。(B&T)

マスコミ:写真提供依頼
:教科書に、安定大陸の盆地であるパリ盆地を紹介したい。絵と組み合わせて使うことのできる、パリ盆地を想像させるような崖の写真があれば提供してほしい。
:崖の写真でパリ盆地を想像させることは難しい。むしろ、人工衛星画像を使ったらどうかとアドバイスした。(S)

鉱床についての問い合わせ
鉱脈の地表徴候
:金等の鉱脈があると地表に現れやすい岩石があると聞いておりますが、そのような展示物はあるのでしょうか?
:金鉱脈が露出している場所には、硫化鉱物の酸化によって鉄さびが出来ますので、褐色の岩石があります。
 金鉱脈が地下に隠れている場所には、鉱脈が出来るときに岩盤の割れ目を伝わって上昇した温泉水や蒸気の影響が見えることがあります。その場合には、岩石が粘土や珪酸鉱物に変化し白っぽくなったり、細粒の黄鉄鉱が出来て青っぽくなったり、それが酸化して褐色になったりします。
 地質標本館の中では、第2展示室の熱水性金鉱床の出来方のコーナー、および非金属鉱床のコーナー、また、第3展示室の地熱関係の展示コーナーに、後者の例が展示されています。

モリブデン鉱床の地質的な生成過程
:モリブデン鉱床の地質的な生成過程について知りたく。モリブデン鉱床は、南北両アメリカ大陸のロッキー・アンデス山脈沿いに多くは賦存し、アジア圏でも中国・モンゴルからロシアの一部の極限られた地域に偏在します。また、多くは硫化物(MoS2)の形で存在することが多く、地表部では風化による酸化物でも見つかることがあります。賦存地域の偏在性、硫化物での存在という状況を理解したい為、鉱脈がどのように生成されたのかについて、教えて戴きたく。また、適当な文献がございましたら、ご紹介もお願いします。
:モリブデン鉱床の成因と言うことですが、平凡社の地学事典(新版)を見ますと「ほとんどが花崗岩貫入岩体に伴う熱水鉱床で、主要鉱石鉱物は輝水鉛鉱」輝水鉛鉱の分子式はMoS2です。「比較的若い(中生代〜新生代)造山帯の内陸側に分布する特徴があり、世界の埋蔵量の4分の3は南・北米大陸のコルジレラ山系中にある。形態はペグマタイト質塊状鉱床・スカルン鉱床・鉱脈鉱床・斑岩鉱床など。(以下略)」となっております。  硫化物の鉱石はFeSを見るまでもなく普通のことと思いますが??? 鉛や亜鉛などに比べると花崗岩体に近い所に鉱床が存在し、より高温で形成されたことを感じさせます。説明する必要はないと思いますが、「熱水鉱床」とは「熱水溶液から沈殿生成した鉱床」すなわち高温のマグマが運んできた高温の水の中から沈殿した鉱床のことです。その熱水は地下深部でマグマが出きるときに関与した水(マグマの中の水)のこともあり、マグマが地殻を上昇中にまわりから集めた水のこともあるようです(ST)

豊羽鉱山のインジウム生産量
:豊羽鉱山のインジウム年間生産量約55トンと把握しているが、現在どのぐらいか詳細を知りたい。
:個別の鉱山の現在の生産量は企業秘密に属するため、当HPに書いてある表現(75〜125トン)以上の情報は仮に把握していたとしても教えるわけには行かない旨説明。直接鉱山に問い合わせてみるよう紹介した。(O)

褐鉄鉱の入手法
:製品の原料に褐鉄鉱を使用したい。中国で採掘しているところはないか。国内ではかつて稼行していたほとんどの鉱山が閉山している。
:その製品の使用目的では中国のものは有ったとしても適当ではないように思われる。日本国内の閉山した鉱山を再開するか、その近くで新しい採掘場所を見つけるのが最適ではないか。かつては多数の褐鉄鉱鉱山が有ったので、日本鉱産誌の位置図をコピーして提供した。数年前にも同じような問い合わせをされて情報提供したことがあったが、まだ解決していなかったものである。鉱山跡をいくつも尋ね歩いているようなので参考になればと思う。(ST)

奈良県白迫鉱山の資料
:奈良県天川村川迫鉱山の磁鉄鉱に関する資料があるか。
:地質学雑誌と日本鉱産誌にある川迫鉱山の資料を紹介した。(S)

N鉱山の特徴
:N鉱山から中継することになったが、何か特徴はないか。
:図幅とY県の地質説明書をもとに、ジュラ紀付加体中の石灰岩が白亜紀の花崗岩の貫入を受けて生成した高温交代鉱床であること。特に特徴はないが、マラヤ石という蛍光を発する鉱物の産することが知られていることを伝えた。
★:実際の報道で、蛍光を発する鉱物が紹介されていた。(S)

石材・骨材などの問い合わせ
千葉県の山砂利について
:なぜ千葉県の君津市や木更津市に山砂利の採取場があるのか。
:この地域の山砂利は、数十万年前から数万年前に堆積した上総層群上部や下総層群の未固結の砂と礫である。この地域の地層は北西側に緩く傾斜していて、砂や礫層を追跡しやすいこと、住宅などから離れた場所など採取しやすい環境にあることから集中している。関東平野の中央部や茨城県などでは常総層や成田層の砂層を採取しているところもあるが、地層が水平に分布しているため泥層を取り除かないと採取できなかったり住宅地が多いなどで大規模な採取ができない環境にある。また、あまり遠いと輸送コストがかかり採算に合わないという事もあり、自ずと採取地は限定されてくる。(S)

石鍋の石材について
:韓国料理の石鍋が不足してきている。国内にそれができるような石材はないか。
:割れにくい石材だとすれば、火山岩だと思う。ただ、石鍋用に出荷しているところがあるかどうかはしらない。韓国料理の石鍋は、角閃岩とのこと。日本には塊状のものを大量に出荷できる石材山はないのではないか。以前にも京都の料理屋から問い合わせがあったが、具体的な石材業者はわからなかった。(S)

化学分析の問い合わせ
岩石の分析
:岩石の分析をしてほしいのですが.
:地質相談所に岩石をお持ちになれば,肉眼鑑定は無料で行います.化学分析やx線分析などの機器分析は業務多忙のため民間会社をご紹介いたします.

岩石の化学分析について
:学校の理科の自由研究で身の回りの岩石の種類と成分について調べようと思ってます。そこで、化学分析やX線分析などの機器分析をして下さる民間会社等を紹介して下さいませんか? また、もしそのような分析依頼をすることになった場合、いかほどの代金が必要になるのでしょうか?
:理科の自由研究で身の回りの岩石の種類と成分について調べてみるとのことですが、直接、化学分析やX線回折などの機器分析をしてみたいということでしょうか。 分析をするには何を知りたいかという目的が必要です。それによってどの様な成分の値が必要であるかということが決まり、幾つの成分を測定してほしいという注文をするわけです。普通は教科書にも載っているように10成分、水の+−を入れると12成分を分析してもらいます。会社や分析方法によっても異なりますが、1個に数万円かかると思います。
 また、分析をするためには新鮮な岩石を採取する必要があります。そして、新鮮な岩石を砕いて粉にして分析をするので、そのような段階を試料調整と言いますが、これも業者に任せると2-3万円はかかると思います。
自由研究にそのようなお金をかける必要があるのでしょうか。私には疑問です。
 私から、アドバイスするとすれば、まず身の回りの岩石について、新鮮な岩石を集めること。新鮮なという意味は、河原の石や崖の石でも表面は風化していて、色も成分も変わっていることが多いので、良く割って中の新鮮な岩石を採ることが必要なのです。新鮮でないと含まれている鉱物もよくわからないことがあります。
そして次に、図鑑などを使って、岩石の名前を決めることが第二に必要なことです。これが重要であり、また一番難しいことです。そして、名前を決めたものの中に、火成岩や堆積岩があれば、理科年表などで平均的な化学組成を調べることができます。つまり、岩石の鑑定が正確であれば、文献から化学成分を知ることができるということです。試してみてください。(S)

調査機器についての問い合わせ
調査機器の購入法
:スウェーデン式サウンディング調査機器をできれば手動式のものを中古で購入したいが、情報が得られない。そちらでわからないか。
:インターネット検索で電動式の機器の販売業者は何社かヒットした。長崎に営業所のある会社と製作会社を2社紹介し、直接当たってみることを勧めた。(S)

ボーリングについての問い合わせ
日本でボーリングが行われたのはいつ頃からか
:現在は浅いボーリング資料がたくさんあり、帯水層の情報などに利用できるが、日本でボーリングが行われたのはいつ頃からか。
:全国地質調査業協会連合会(全地連)が出版しているボーリングポケットブックからボーリング技術小史をを紹介した。輸入されたのは明治2年で、実用化したのは明治20年頃。実質的に利用されるほどデータが増えてきたのは、戦後の鉱床探査が一段落して、土木のためのボーリングなどが増加してからだろう。(S&A)

岩石についての問い合わせ
那珂川河口で拾った赤くて丸い石のルーツ
:那珂川河口で赤くて丸い石を拾い、そのルーツを探して上流に向かい岩石を採集してきた。一番上流は那須の茶臼岳。岩石を鑑定してほしい。
:後から採集してきたのは、赤い色の安山岩。白い斜長石の斑晶が見えている。一部に石英の斑晶を含む微石英を含む石基の流紋岩質の火山岩があった。ルーペで見てもらい、斑晶を含むことを確認してもらい、火山岩の説明をした。最初に採集した石をルーペで観察し、放散虫が含まれていることを確認。典型的な放散虫チャートと比べてもらって、チャートであることを納得。第1展示室のチャートの展示と模式的な岩石のできる場所をみてもらい解説した。

岩石標本
:学校の夏休み自由研究で岩石標本をしたいのですがどこに行けばいいのでしょうか?
:岩石標本をつくりたいと言うことですが、そもそも「岩石標本とはなんぞや」を考えてみてください。めったやたらに集めたいなら、石屋さんに行って、いろんな国のいろんな岩石の切れ端をもらってくるのも一つ。何をテーマに集めたいか自分で考えてみてください。それが決まれば自ずとどこに行けばいいかも決まるでしょう。(S)

美濃帯三畳紀赤色チャートの資料の紹介
:理科教材のため、美濃帯三畳紀赤色チャートの資料を紹介してほしい。坂祝町は木曽川沿いで研究が最も進んでいるところだと思うので。
:回答者が執筆した論文等の別刷りを送付した。(SM)

岩石・鉱物の簡易鑑定法
:1.岩石の鑑定で岩種を確定するにいたるアプローチのポイントはどういうものがあるのか?
2.鑑定に携わっていないものでも解る簡易鑑定法のようなものがあるのか?
3.上記の研究文献や情報で解りやすいものはあるのか?
上記について御教示のほどをお願いします。
:岩石・鉱物の鑑定と言うことですが、
1. まずは、堆積岩・火成岩・変成岩に大きく分類します。それ以降、岩石の名前が付くかどうか、また肉眼でどこまで鑑定できるかは、経験がどの程度あるかによると思います。肉眼で鑑定できなければ、薄片を作製して、顕微鏡観察を行い鑑定します。岩石の名前を厳密に決めなければならない場合は、例えば火山岩の玄武岩と安山岩を厳密に分ける場合は、SiO2量が52%で境されているので、化学分析を行い全岩化学組成を求めることが必要です。鉱物の鑑定は、色・光沢・硬度・比重・割れ方などで決めます。肉眼で判断が付かない時は、顕微鏡・化学分析と進みます。
2. 簡易鑑定法なるものはありませんが、岩石や鉱物図鑑と絵合わせをするというのが、それかもしれません。鉱物については鉱物図鑑に先ほどの見分けのポイントを表にしたものが載っていることがあります。
3. 初歩的なものなら、高校の地学の教科書を推薦します。その後は図鑑、現場で鑑定して、博物館などで、現物と比較すること、それのくり返しでしょう(つまり経験)。大きな書店の地学のコーナーには、岩石や鉱物に関する普及書・教科書があります。一度ごらんになって下さい。
 我々専門家でも、現場では名前が付かず、または間違った名前を付けて帰って、薄片を顕微鏡観察して名前が付いたり、間違いに気づいたりすることはままあります。したがって、鑑定に自信がない時、何か気になる時は、私は薄片を作ることにしています。  その意味では、誰でも使える簡易鑑定法はないと言えます。(S)

化石についての問い合わせ
貝と一緒に採った化石の同定
:埼玉県小鹿野町のようばけに化石取りに行ったのですが、貝には見えない化石が出てきました。何の種類の化石か(貝か植物か骨か)知りたいのですが、メールの写真添付では判りませんか? 教えてもらいたいのは、棒のような化石のことです。よく映っていませんが、この奥にもう1本入っています。下のかけらは、続きかわかりませんが同じものだと思います。
:写真を見ました。私も小鹿野町のようばけには行ったことがあり、カニの化石を採ったことがあります。
 写真を見ただけだと、細長い殻を持った、ユキノアシタガイの仲間(Cultellus otukai OGASAWARA and TANAI)の貝のようにも見えます(「埼玉の自然をたずねて」築地書館、94ページ)。貝なら白い殻のようなところに塩素系の洗剤をかけたら泡がでるはずです(貝殻は炭酸カルシウムでできているので)。写真の化石の中は砂岩で埋められているように見えます。
ようばけでは植物化石も出ていますが、黒い枝状のものなので写真の化石とは明らかに違います。また、骨の場合は、中が海綿状に巣が入ったような状態になりますし、全体に焦げ茶色をしていることが多いです。
★相談者からの返信:最初に他の貝に洗剤をかけてみたら溶けてしまったのでおもしろい実験のようでした。次に棒にもかけたら、すき間から泡が出ました。S先生の説明を読んだら、「これは貝なんだなあ。」と、よくわかりました。どうもありがとうございました。学校で発表します。(S)

技術指導・研究指導についての問い合わせ
NMRによるガラス製品の亀裂の検出可能性について
:当社は、ガラス食器を生産しているメーカーです。代表的なガラス食器の欠点にクラック(ひび割れ)が有ります。現在、ガラス食器のクラック検査は光学的な方法に頼っています。光学的な方法では、検査範囲が狭いので一つの製品を完全に検査するのは難しく、多数のセンサが必要となります。また、ガラス食器の形状は千差万別であり、目視検査に頼っているのが現状です。
新聞記事で、先生が開発された片側解放型NMRの事を知りました。ひょっとして、この片側解放型NMRを使えば、どのような形状のガラス食器でも一つの検査機でどのようなクラックでも検出できるのではないかと考えて、問い合わせのメールを送りました。可能性は有るのでしょうか?
:ガラス製品の亀裂検査にNMRが使えるかどうかというのはユニークなので興味深く拝読しました。
片側解放型NMRが最適なソリューションかどうかはともかく、NMRは非破壊で対象物のなかの水の3次元空間分布を比較的短時間で可視化できるので、可能性はあると思います。ベルトコンベアに乗った製品を次々とNMR検査できるシステム構築は可能かもしれません。ただし、ご指摘のように水で予め、亀裂をぬらしておく必要があります。私の部屋に来室頂いて、情報を開示いただけるならば更に詳しい回答をさせていただくことができると存じます。(N)

温泉に生息するシアノバクテリア研究者の紹介依頼
:同博物館で来年の夏開催予定の特別展示で、温泉中の高温度で生息するシアノバクテリアの顕微鏡拡大写真あるいはプレパラートで実際に顕微鏡で覗くことができればそれを実現したいので、Mさんが管理しているホームページ中の、Aさんの所属を教えていただくことはできないでしょうか。あるいはMさんがご存じの方で温泉中の高温でも生息するシアノバクテリアのことについて教示願える研究者を紹介くださいませんでしょうか。
:Aさんの所属はN大学で、粘土鉱物がご専門のようです。ホームページのURLを紹介した。また、産総研の研究者も紹介した。(Mi)

隕石?についての問い合わせ
空から振ってきた石
:空から石が振ってきて、自宅車庫の屋根を壊した。隕石ではないか?
:持ち込まれた石は黒色のチャートである。H市付近にはジュラ紀付加体のチャートが分布していることを地質図を見せて説明。チャートは20cmX8cmX5cm程度の大きさ。片側が風化面、反対側が破断面であることから、崖からはげ落ちたか、風化レキが割れたものである可能性がある。
なぜ空から降ってきたかについては、現地の状況を知らないので解釈を控えた。
−−同様に、車で走っていてフロントガラスに当たった石が隕石ではないかとの問い合わせ複数あり。いずれも隕石ではなく、なぜフロントガラスに当たったのかは不明−(A)

食品混入物についての問い合わせ
食品混入物
:米の異物として、白榴石が検出された。外部に依頼して、X線回折分析法、X線蛍光分析法を行った結果、同定されたもの。我が国には産出しないと聞くが、白榴石が自然に(例えば水田の土の混入などにより)米に混入する可能性はないといってよいか。
:白榴石は、アルカリ岩の斑晶として、イタリア、トルコ、ロシアなどに産出するが、我が国には産出例がない。したがって、白榴石の混入は人為的な原因によると考えたい。
 X線回折で、白榴石と紛らわしいパターンを示す鉱物として方沸石がある。方沸石は白榴石のカリウムをナトリウムで置き換えた鉱物相である。エネルギー分散型X線検出器を用いた場合、ナトリウムに対する検出感度が低い。したがって、ナトリウムを含んでいても検出されていない可能性もある。分析値を精査し、ストイキオメトリーをチェックすることにより、方沸石の可能性を排除できるかどうかを検討することを進言した。  方フッ石は、我が国にも産出する。(A)

火山についての問い合わせ
火山灰の毒性について
:火山灰の毒性について詳しく教えてください。身体への影響・高い毒性がないとは、どの程度なのか。2004年9月1日浅間山の噴火以来、火山灰の毒性についての問い合わせが多くあります。是非教えてください。
:はじめにお詫びです。回答の中には、一般の方にはなじみの薄い用語が含まれるかもしれません。解りにくさの責任は回答者(宮城磯治)にあります。もしわからない用語がありましたら、どうぞ遠慮なく、何度でも、「地質相談所」をご利用いただければ幸いです。火山灰は、基本的には普段私達が日にしている砂塵と同じ、と考えていただいて結構です。但し降りたての火山灰は、以下の点が通常の砂塵とは異なります。
・ 砂つぶが鋭利な角をもっていること。
・ 砂つぶの表面に火山ガス成分が付着していること。
・ 砂つぶの中に熱水変質鉱物が含まれることがあること。
  したがいまして、火山灰の「身体への影響」および「毒性」は、火山灰の上記の特徴に由来する、と考えていただいて結構です。
  火山灰に対するその他諸々の対処方法については、
http://staff.aist.go.jp/miyagi.iso14000/ash.html に、情報をとりまとめておりますので、どうぞご覧ください。
★ 鋭利な角による影響★ これは機械的な損傷を与えるでしょう。デリケートな部分、たとえば目の角膜を傷つける可能性があります。傷をつけない方法については、上記のページをご覧いただければと思います。
★ 表面に付着した火山ガス成分の影響★ これらは塩酸と硫酸が主です。火山灰表面に付着しているこれらの成分は微量であり、水に濡れると容易に溶け出します。多めの水で洗われた火山灰は、既に火山ガス成分が失なわれているので、もう問題ありません。一方、降り始めたばかりの火山灰(成分を失なっていない)に、ごく少量の水が加わる(水が少ないほど酸の濃度が高くなる)場合には、金属製品が錆びたり、木綿の衣類が(硫酸によって)著しく痛みますので、注意が必要と思われます。
 いずれにせよ塩酸や硫酸は、自覚症状がない程度であれば、人間に健康上 の悪影響をおよぼすことはないでしょう。もし火山灰を直接食べたとしても、少量なら問題ないでしょう(ジャリジャリして不愉快でしょうが)。
 但し、動物の中には火山灰に敏感なものもあるようです。又聞きで恐縮ですが、火山灰を被った桑の葉を蚕に与えた場合、葉の洗浄方法によって、蚕の死ぬ量が異なるそうです。これについても、上記のページをご覧ください。
★ 砂つぶの中に熱水変質鉱物が含まれる影響★ 高温の火山ガスは反応性が高いので、これに曝されつづけた火口周辺の岩石は化学変化を起こし、別の鉱物に転ずることがあります。そのような鉱物を熱水変質鉱物と呼びます。爆発的な噴火においては、火口周辺の岩石も一部破かれ、火山灰とともに降ることがあります。
 火口周辺にみられる熱水変質鉱物の大部分は、人体に無害です。しかしクリストバライトという、微粒子を長期間を吸いつづけると「珪肺」になる鉱物も知られています。クリストバライトは高温の火山ガスから直接結晶化したり、溶岩中のガラスが変化することによって生じます。これについてはスフリエール ヒルズという火山での、Baxterほか(1999 年、Science) による研究があります。それによると、火山灰中に含まれるクリストバライトの量は、噴火の様式によって異なります。火山灰中の10 ミクロン以下の粒子に占めるクリストバライトの量は、爆発的な噴火(浅間山の2004年9月1日のような)では少なく(3〜6%)、溶岩が崩れ落ちる噴火(1991年の雲仙のような) では比較的多い(10〜24%)とのことです。溶岩丘の崩落を繰り返すタイプの噴火では、長期間にわたって粉塵を吸い込むことになるので、なるべく吸い込まないよう注意したほうがよいでしょう。一方現在の浅間山では溶岩丘の崩落を繰り返しておりませんので、心配に及ばないと判断します。(M)

海外の地質についての問い合わせ
ベトナムの温泉
:ベトナムには各地に温泉が点在するようだ。主として海岸沿いの町のようだ。インドネシアやフィリピンとは違い、ベトナムには火山が多いとは聞かないが、地質学上、温泉が出ても不思議はないのか?現地在住の人のホームページでは温泉卵ができるくらいのものもあるらしい。
:実は、ベトナムにはかなりの数の温泉があります。しかし日本のように火山があってそのマグマの熱で温められているわけではなく、おそらく「深層熱水」というタイプの温泉だと思われます。  ベトナム近辺には堆積物が多量にたまっている場所があり、その中に含まれている地下水が地球の深部から伝わってくる熱で温められ温泉になっていると考えられます。ベトナム近辺での地殻熱流量(地球深部から伝わってくる熱量)が、通常の大陸(例えばユーラシア大陸内部とか)に比べ高く、より高温になりやすくなっていると考えられています。ちなみに、日本近辺では1000m地下深くへ行くと平均して30℃くらい温度が上がります。わかりやすい喩えで言えば、地表付近の地下水が20℃であれば深度1000mでは50℃になるという計算です。このような深層熱水は、近年、日本各地の平野部での大規模な温泉レジャー施設の源として利用されるようになってきました。ただし、比較的低温(60℃以下)のものが主で、沸騰泉となっていることは非常にまれです。非常に高温の所まで掘削すればいいかもしれませんが、その場合は掘削コスト等の開発費用がとんでもなく高額になると思いますので、そのあたり、経済性を考えた開発がなされているのだと想像します。ベトナムの正確な状況はわかりませんが、どうもインドネシアやマレーシア程度の温度上昇率を持っているようですので、そういったものが熱源になっていると想像されます。
 各温泉に関してですが、フェ(Hue)、ニャチャン(Nha Trang?)については詳しいことはわかりません。泉温は共に60℃以下だと思われます。ビンチャウ(Binh Chau)については、Bang and Cuong (2003)によれば、沼沢地域にある温泉の溜まった池になっており、地下から気泡が湧いているとのことです。噴気やガスが地表に噴出していることはありません。泉温は67℃ですが、池の底の泥中では80℃を示すこともあるようです。(SW)

アメリカ、ファイアーバレーの地質
:アメリカはラスベガスの近くにFire Valleyと言う砂岩で形作られた景勝地があるそうで、友人からこの土地の地質について質問され困っています。インターネットで調べてみると鮮やかなピンクから赤い砂と岩の造形が面白そうですが、このピンク色の砂岩をすり潰して日本画の顔料の様に使えないか?と考えて居るようです。それでこの色が酸化鉄の色(にしては鮮やか過ぎると考えて居る様です)なのか?他の鉱物による色なのか?を知りたがっています。勿論、公園内では採取出来ない事は知っていますし、公園の外なら何とかなるのではないかと考えて居るようですが、ご教示頂ければ幸いです。ビジターセンターでは判らなかった様です。
:Valley of Fire State Parkの地質についてのご質問ですが、
・地質図で見る限り、中生代三畳紀・ジュラ紀・白亜紀の堆積岩が褶曲と断層により複雑に分布しているようです。
・色については、インターネットで見ると、人によりいろんな表現をしているので、ピンク色がどこの場所のまたはどの時代の砂岩?なのか、また限定できるものなのかもわかりません。
・ただし、砂岩だとすると、砂岩は様々な種類の粒子の集まりですから、例えば、白い粒子と赤い粒子の割合によって赤からピンクへの色の変化があるのかもしれません。岩絵の具として使う場合はその色だけの純度の高いものでなおかつ変色しないものを使うのではないでしょうか。サンプルがあればどの粒子による色か、または粒子と粒子の間を埋めているものの色なのか調べることができますが、メールだけでは判断できません。
・また、個人的に採集する場合は公園外であっても、きちんと許可を得ることが必要です。ビジターセンターで相談すると良いのかもしれませんね。(S)

宅地についての問い合わせ
自宅の地質
:自宅の庭を掘ると70cmくらいで水が出るがなぜか。
:その場所を地形図・表層地質図で調べた結果、K川の支流の河川敷であることがわかったので解説した。(S)

東京23区内の地質情報を知りたい
:個人的に宅地を購入するため東京23区内の活断層図や地盤に関する図面はないでしょうか。
:国土地理院発行の2万5千分の1都市圏活断層図。 東京都土木研究所発行の東京都地盤地質図が東京都庁第一庁舎3階資料室で閲覧ができる。(Y)

宅地に井戸を掘れるか
:天然災害に備え、自宅庭に井戸を掘りたいと思います。そうなりますと、水脈があるかが問題なのですが新興住宅地で分かりません。資料等が有れば助言いただけるとうれしいのですが。住所を送付。
:お住いの地域は、古第三紀始新世(約5000万年〜3700万年前)の泥岩や砂岩が分布しているところです。岩盤としては硬いので、地盤としては良いのですが、地下水を得るのは難しいと思います。団地の東側の尾根より少し西側には北西-南東に断層(活断層ではありません)が走っておりこの断層に向けてボーリングすれば水が得られるかもしれません。(S)

探査法についての問い合わせ
産業廃棄物不法投棄場所のヘリコプターによる探査法
:産業廃棄物の不法投棄された場所を特定するために、ヘリコプターによる探査をしたいが、どの様な探査法が有効か。地上からの探査は、投棄・埋設後すぐに草が生えてしまうため発見が困難である。
:ドラム缶など鉄の多い廃棄物であれば、空中磁気探査によって発見可能であり、アメリカでも実際に行われているようだ。プラスチックなど非金属廃棄物を見つけるために、重力探査をヘリで行うのは精度上困難であると回答した。(S&M)

その他の問い合わせ
石油と石炭
: 私は中学校の教諭です.石油と石炭についてお尋ねします.中学校で石油も石炭も過去の植物が地層の中で変化してできると教えています.なぜ植物がある時は石炭に,また,ある時は石油に変化するのですか.生徒の疑問でもあり,私の疑問でもあります.
: 石油の起源は泥岩の中に分散して存在する有機物です.それらは,湖や海の表面付近にいるプランクトンの死骸のこともあるし,川から運ばれた陸上の植物の破片のこともあります.海や湖の底に堆積した地層の中には,いろいろな起源の有機物が混ざって存在します.それらが地中深く埋没すると,熱と反応時間によって有機物の化学結合が切れて,比較的大きな分子の有機化合物ができます.これが石油です.
ただし,地層の中に分散していたのではダメです.できた石油は泥岩から移動して,隙間の多い砂岩の中を,浮力によって上に向かってさらに移動します.石油が背斜構造と呼ばれる馬の鞍のような地質構造のところに貯まっているのは,このためです.
また,ある程度の量が貯まらないと,生産しても採算がとれないということになります.もちろん,液体だけでなくメタンやエタン・プロパンなどのガス成分も一緒にできます.これらは天然ガスと呼ばれています.できたものが石油がである理由の一つは,起源となった生物が液体を作りやすい化学構造を持っていたためで,そのような生物が植物プランクトンなどです.陸上の植物の破片からは,天然ガスができやすいです.
一方,石炭のもとになる植物が堆積したところは,湿原(例えば釧路湿原)のような水深のごく浅いところや,寒冷地の湿地,例えば尾瀬ヶ原やイギリスの泥炭(ピート)地などの植物が枯れても分解しにくいところです.現在そのような所に生える植物は,葦などのような草,シダ類から樹木まで様々ですが,基本的に陸上の植物です.
しかし,植物も地質時代の間に進化しているので,古生代の石炭はシダ植物,中生代の石炭はシダ植物と裸子植物,新生代の石炭は裸子植物と被子植物を起源とするというように変化してきています.そして非常に長い期間の間に,あまり砂や泥を含まない有機物を主体にした地層として堆積します.
さらに長い時間がたち,砂や泥からなる地層が上に次々に堆積すると,有機物からなる地層は地下深くに埋没することによる温度と圧力の上昇から,その化学組成と(植物)組織を変化させ,泥炭>褐炭>亜瀝青炭>瀝青炭>無煙炭と変化していきます.
この過程での化学反応で,主としてメタンからなる天然ガスが生成し石炭層の中に貯まっているため,炭田での爆発事故の原因となります.また元の植物の種類によっては,石油のような液体を作ることもあります.ただし,このようにしてできた石油やガスは,石炭の中に閉じ込められていることが多く,そこから移動して石油鉱床を作ることは少ないです.石炭起源の石油・天然ガス鉱床としては,日本では常磐沖ガス田や勇払ガス田が知られています.
参考文献:
岩波講座「地球科学」14「地球の資源/地表の開発」第2章(1979)
地学団体研究会編 新版地学教育講座4「岩石と地下資源」第4章.東海大学出版会(1995)
(KN・ST)

せきたん通り
:アメリカオハイオ州シンシナチの西のアディストンにSEKITAN Avenueという通りがあります.この名前は1881年(明治14年)には存在していたことが分かっています.この町はこの頃(19世紀末)産炭地のペンシルベニアから船で運ばれてきた石炭を鉄道に積み替える中継地であったと言うことで,日本語の「石炭」であることはほぼ確実です.「ライマンが石炭という名前を持ち帰ったのではないか」と考えていますが,何か裏付けになる資料はありませんか.
: お問い合わせの「せきたん通り」について,本地質ニュースに連載されている「ライマン雑記(副見恭子)」から,ライマンの来日と帰郷の日時が判りましたのでお知らせいたします.残念ながら「せきたん通り」という名前をライマンが持ち帰ったかどうかは分かりませんでした.
ライマンは1872年12月17日にサンフランシスコを出帆して1873年1月18日に横浜に到着しました.蝦夷地(北海道)の地質測量調査や石炭・石油の調査を行い,日本で初めての色刷り地質図を作成し,多くの日本人ジオロジストを育てました.
ドイツからナウマンが来日したのに伴い日本政府との折り合いが悪くなり,1880年12月22日横浜を出発して,香港・シンガポール・ヨーロッパを回って1881年5月19日に生まれ故郷のマサチューセッツ州ノーザンプトンに帰着しました.ちなみに地質調査所は翌年の1882年(明治15年)を創立の年としております.
ライマンはかなりの日本語を話したり聞いたりする事が出来たと言うことです.ただ,マサチューセッツ州ノーザンプトンからオハイオ州シンシナチまでは直線で1060km以上で,つくばから稚内くらいと,かなりの距離があります.また,帰着してからすぐに活動を始めたかどうかは定かではありません.
ライマンの弟子の一人である賀田貞一という人が1882年にライマンの「日本油田之地質及ヒ地形図」を完成するため,私費で渡米しました.彼はノーザンプトンのライマンの邸宅に4ヶ月滞在した後,ライマンの世話で7月からペンシルベニア州の地質測量隊に参加したと言うことです.この記述からするとライマンはノーザンプトンを動かなかったように思われます.
1881年には「せきたん」という名前があったという事ですが,ライマンが持ち込んだ可能性は否定は出来ませんが年代的に接近しすぎているような感じがします.もっとも,ライマンはメモ魔でかつ手紙魔でしたので伯父のレスリーなどに書いた手紙がヒントになっていることも考えられます.当時から郵便はかなり発達していたようです.
伯父のJ.P.レスリーは長年にわたりペンシルベニアの地質調査を行い,その報告書と地質図は120巻にもおよびます.ペンシルベニアの地質調査事業の中心人物でした.また,ライマンがジオロジストになるについても大きな影響を与えています.ライマンはレスリーに日本における諸事情を逐一手紙で報告しています.
「せきたん通り」と言う名前にはライマンだけではなくレスリーの存在が無視できないのではないかと想像いたします.(ST)

黒鉛珪石の活用について
:最近、岩盤浴などで注目されているブラックシリカ(黒鉛珪石)についてお 尋ねしたいことがありましてメールしています。家族の中に腰痛などて長年苦しんでいる者がいまして黒鉛珪石を使用した健康グッズがいろいろと出回っていますが、いずれも高価で手が出せません。この度、原石が手に入ったので石を砕いて微細にしてシリコンシーラント(建築材料で窓などの隙間を埋める)に練りこんで板状の物を作って腰に当てようかと思っていますが。この石の最大の特徴ともいえる遠赤外線や修正波動は練り物の中にあっても本来の働きを発揮出来るものなのか教えていただければ幸いです。
:回答者の知る限り「ブラックシリカ(黒鉛珪石)」の名で販売されているのは、北海道などに分布する「泥質頁岩」が地殻変動などによりほどよく粉砕されたものです。簡単に砕けて粉末化できるので、以前は付近の農家が融雪剤として使用していました。ほとんどが石英粒からなる細粒の砂に少量の非晶質細粒カーボン(炭の粉のようなものです)を混ぜたものと考えればよいでしょう。
どのような物体でも暖めれば遠赤外線を放射します。遠赤外線の話で炭やグラファイト(結晶質カーボン)がよく引き合いに出されるのは、次のような理由によると思われます。
(1)黒体(あらゆる吸収する仮想物体)は吸収した光エネルギーをその温度に応じた波長をもつ赤外線として放射する。(2)黒体が放射する赤外線の波長別強度分布(放射スペクトル)は、室温〜体温付近の温度においては、波長5〜20μあたりにピークがある。これは遠赤外線の波長範囲の中にある。
(3)遠赤外線は人体(ほかの何でもいいのですが)の深い部分まで透過し、過熱する作用をもつが、加熱しすぎない限り紫外線のように有害な作用を起こさない。(4)炭やグラファイトはその黒い色からも予想されるよはうに、黒体にかなり近い放射スペクトルを示す。
さて、「泥質頁岩粉末」の大部分を占める石英については、河原の砂以上の薬効はありませんので、遠赤外線の放射に関する限り、ほぼ100%カーボンである「ただの炭」の方が効率が良いという科学的予想が成り立ちます。ですから、工夫すれば、何らかの方法で暖めた「泥質頁岩粉末」を温湿布などの温熱療法に用いることは可能でしょうが、効用について過大な期待をされない方が無難です。
「高価で手が出せません」という商品は、ブレスレットなどにして付加価値(?)をつけたものと思われますが、そのように整形することで、薬効が増すわけではありません。
さて、相談中にありました「ブラックシリカの修正波動」ですが、「修正波動」という学術用語はありませんし、そのような特殊な波動が科学的に測定された学術報告もありません。科学者のはしくれである回答者としては、科学的根拠の無い「修正波動」ついてのこれ以上のコメントを控えさせていただきます。(O)

我が国黎明期における辰砂の利用について
:古代墳墓に遺体と共に埋葬された辰砂の採掘場所はどのように推定できるか?
:硫黄同位体分析により、大局的に推定出来る。古墳から大量に発掘されたものの大部分は重い硫黄同位体に富んでいる。我が国の代表的水銀鉱床(例えば大和水銀鉱山など)は、0パーミル付近の軽い硫黄同位体を持っていることから、起源としては考えにくい。一方、中国貴州省産のものは、古墳から発掘された辰砂と類似の組成を持つ。従って、我が国の古墳時代には、中国から辰砂から運び込まれたとの推定が成り立つ。(A)

チャートの色
:多摩川には多くの石がありますが、チャートと呼ばれているものにはいろいろな色のものがあります。なぜこのような多様な色があるのでしょうか。放散虫の種類が関係しているのでしょうか。
:チャートの多様な色はなぜとのとですが、 基本的には、微量の元素によっていろんな色が出ているということでしょう。放散虫の種類とは無関係です。
 チャートの色は、赤色、緑色、淡緑灰色、淡青灰色、灰色、暗灰色、黒色など様々です。赤色は、酸化鉄やマンガンなどによります。基本的には海底火山活動による火山灰や、熱水が関係していると推定されます。赤色が緑色に変わっていたり、逆もあってどちらが元の色か学会講演で議論になったこともあります。風化によって色が変色したり(アンバー)、脱色する(橙色や黄色、白色)こともありますので、色の種類はもっと増えていきます。
地質の文献については、チャートなどの分布を示している地質図は、  酒井(1987) 五日市地域の地質。地域地質研究報告(5万分の1地質図幅)、地質調査所、75p。
 久田・小池・棚瀬・中山(2003) 東京都奥多摩地域地質図、東京都土木研究所。 などがあります。前者は2,520円で地質調査総合センターから出版されています。後者は東京都土木研究所に問い合わせてみてください。(S)

都会と山の土の違い
:夏休みの自由研究で都会と山の土の違いを調べている。具体的には学校のグランドの土とH町で取ってきた土の成分の違いが知りたい。グランドの土には排気ガス、H町の土には腐葉土が含まれているか。
:一般論として、珪酸、アルミナが主成分で黒土には腐葉土が多く含まれていることを解説。実際にはものを観察したり分析しないとわからない。特に排気ガスとなるとごく微量なため、特殊な分析が必要なことを説明。色や感触など身の丈にあった観察を奨めた(N)。

パイライト(黄鉄鉱)を用いて水稲用の培土の開発
:天然パイライトを用いて水稲用の培土の開発を行いたいと思っております。というのは、パイライトのpHが酸性という特性に注目したためであります。しかし、基本的な情報が手に入っておらず、具体的なイメージができておりません。是非とも、どういったデータでもいただければ幸いです。
:天然パイライトを用いて水稲用の培土の開発」をするため「基本的な情報」を ご要望とのことですが、ご使用になるパイライトを入手する目処が既についておられるのでしょうか。
パイライトには
 (1)硫化鉄鉱床や銅・鉛・亜鉛などの鉱床に産出するもの、
 (2)火山の噴気地帯近辺の変質した岩石中に散在するもの、
 (3)泥岩や石炭などの還元性の高い堆積岩中に散在するものなどがあります。
(2)や(3)は濃集度が低いので、鉱物愛好家の興味の対象になる程度です。 (1)については硫酸の原料として鉱山で回収され売買されていたこともありましたが、現在は市場では取り扱われていないと思います。ということから、まとまった量のパイライトを入手することは難しいのではないかと思います。 仮に(1)のタイプのものが入手できたとした場合、注意すべきは、含まれる重金属類です。特に鉛や砒素などは深刻な土壌汚染をひきおこす可能性がありますので、これらの不純物の濃度が十分低いものを用いなければなりません。次にパイライトの科学的挙動についてですが、パイライトとは日本名が「黄鉄鉱」で理想科学組成はFeS2です。例えば、以下のような反応で酸化されることにより硫酸鉄になります。 (1)FeS2+2O2+nH2O→FeSO4・nH2O 硫酸鉄がさらに酸化されると、例えば次のような反応で、酸化鉄と硫酸となります (2)4FeSO4+4H2O+O2→2Fe2O3+4H2SO4 Webで調べたことですが、確かに水稲用育苗培土のpHは4.5〜5.5の範囲にあることが望ましいようです。しかし、「原土に硫酸酸性土壌を使用すると、育苗中にpHが低下して、苗の生育が不良となることがあるので、原土の選定にも留意する必要がある。」という注意事項が以下のURLにありました。
http://www.zennoh.or.jp/zennoh/databank/eigi/top-397.htm育苗中にpHが低下する原因はこのURLには書かれていません。私が考えるには、鉄酸化細菌が上記(2)の反応をゆっくりと進行させることが原因と思います。また、鉄分があまり多いと鉄の酸化・還元反応と微生物の働きにより、土壌中に予期せぬ結果を引き起こすこともありますのでご注意ください。
例えば、http://www.gsj.jp/Hokkaido/BBoard/gs2001/rec9.htmをご覧ください。以上のことから、パイライトを土壌改良に使用するあたっては(1)有害不純物、(2)酸化バクテリアなどの関与による pH の緩慢な変化、(3)鉄の挙動の3点について十分な注意を払う必要があります。(O)

岩石海岸の成因
:千葉の海に行ったら大きな岩がごろごろしていた。どうしてか。砂浜の海岸どう違うのか。これを子供の夏休みの自由学習にしたいが。
:地理・地形の問題である。海岸は砂浜が発達している海岸、礫浜になっている海岸、岩が露出している海岸など様々で、それぞれ形成される理由がある。近くの図書館に子供さんと出かけて、地学や理科のコーナーの図書を調べてみてはどうか。(S)