平成21年6月19日
平成21年6月24日更新
(6月16日、6月20日観測分の追加および図のスケールの変更)
6月12日に千島列島マツア島のサリチェフ火山で大規模な噴火があり、大量の火山灰が放出され、付近を航行する航空機の飛行に支障をきたしているとの情報から、(財)資源・環境観測解析センター(ERSDAC)と協力して、高性能光学センサ(ASTER)を用いた緊急観測を実施したところ、6月18日にマツア島の一部の観測に成功した。マツア島は無人島で火山観測設備もないため、現地の詳しい様子は分かっていない。


【図1】6月18日に観測されたASTER VNIR画像とその解釈図
6月18日の観測では、サリチェフ火山はその山頂と南東斜面の一部以外は雲に覆われていた。【図1】のAはサリチェフ火山の山頂であるが、噴煙が上がっている様子が分かる。Bの部分には山頂から筋が見えるが、これは火砕流の跡かも知れない。Cの部分には黒い筋が見えるが、5月31日に観測された画像【図2】と比較すると、雪の上に積もった火山灰かも知れない。

【図2】5月31日に観測されたASTER VNIR画像
白く見える部分は雪や雲、赤く見える部分は植生、黒く見える部分は植生が少ない地域または海。右の図の黄色い線は2001年9月5日の観測から作成した標高の50m間隔等高線。

【図3】6月16日に観測されたASTER VNIR画像
左側は直下視画像、右側は直下視撮影の55秒後に撮影された後方視画像。
6月16日の観測における直下視と後方視の視差 (Urai, 2004)から、噴煙の高さは火口から北西方向 10〜40kmの範囲で海抜 9〜11kmであることが分かった【図3】。また、噴煙に白っぽい部分と黒っぽい部分が見られるが、これは火山灰の含有量の違いであると思われる。

【図4】6月20日に観測されたASTER TIR画像から計算した表面温度分布
山頂からAおよびBへ向かう高温部分が見られる。図の範囲は【図1】や【図2】と同じ。
6月20日の夜間観測ではサリチェフ火山の表面温度分布が観測された【図4】。山頂から山腹へ向かう高温部分が見られるが、これらは火砕流の跡または溶岩流の流下域を示している可能性がある。
産総研では火山衛星画像データベースでサリチェフ火山のASTER時系列画像を公開している。
問合せ先
地質情報研究部門 情報地質研究グループ 浦井 稔 urai-minoru@aist.go.jp
地質情報研究部門 火山活動研究グループ 石塚 吉浩 y.ishizuka@aist.go.jp